大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより~ 写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2014年02月14日 | 写詩・写歌・写俳

<895> 雪の斑鳩三塔巡り

       雪の朝 斑鳩三塔 またの景

 大和地方は十四日未明から降り出した雪がほとんど止むことなく降り続き、積雪量は深いところで二十センチ前後に達する記録的な大雪になった。スリップによる車やオートバイの事故が起き、怪我をする人も見られたようで、ニュースになった。大和平野の雪は、大体、午前中に止み、午後には融け出すことがほとんどであるが、今日の雪は本格的で、積もり続け、融けて消えることはなかった。奈良では珍しく大雪警報が出され、小、中学校では午後から休校になった。

      

 このように、今日は大雪ということで、ひたすら歩き、雪の斑鳩三塔巡りを試みた。まず、法隆寺。二月は人出の少ない時期であるが、今日は一段と少なく、雪の撮影のため訪れている人が目についた。中門の仁王の阿吽像だけは、降る雪にも変ることなく、睨みを利かせて立っていた。風がないためか、塔の先端の相輪にも雪の積もっているのが見られた。

 八角堂の夢殿を見て、天満池方面から法輪寺に向った。雪は止むことなく、法輪寺も降りしきる雪にすっぽりと被われ、普段とは違った塔の姿が見られた。お寺の周りを歩いて、東西から塔を入れた雪景色をカメラに収めた。そこから東へ約一キロの法起寺に向った。高浜虚子の『斑鳩物語』では一面に黄色い菜の花畑が広がる風景だが、今日は一面真っ白な雪の世界である。

  雪は全く止みそうになく、ときに激しく降ることもあった。雪が一面に積もった田んぼを前景に法起寺の塔を撮る人が何人か訪れていた。この塔は他の二塔と違って、開けた田んぼの傍にあるので、田舎らしさがあり、雪景色にも田舎の塔という感じがあった。復路は別の道を選んで、法隆寺まで帰った。約三時間の歩きだった。 写真は斑鳩三塔。左から法隆寺五重塔、法輪寺三重塔、法起寺三重塔。 

    雪の日や塔の眺めも雪のなか   雪の日や子らの声する懐かしく    雪の日や家々潜みゐるごとし   雪の日や雪は静かに降るがよし