久しぶりに、グループでお参りしておられるお遍路さんたちが泊まられた。待ってました!とばかり、新しい部屋にお通しした。
翌朝出発されるとき、
「お風呂、掃除道具がなかったからそのままにしてます」
とおっしゃった。
「とんでもない!そのままで結構です」
きれいすぎると、かえって気を遣わせてしまうのだろうか。お客様に気を遣わせないような対応をしなくてはと思った。物事に対する感じ方、受け留めかたは、本当に人それぞれ。お客様の為人を見て、瞬時に適合した対応ができなければいけない。まだまだ修行が足りない。
その後、ご夫婦のお遍路さんが二組使ってくださった。新しい部屋にお仕事させてあげたい。
この間、お車でお出での二人連れのお遍路さんが、うちの近く300メートルくらいまで来ているのに、辿り着けなくて、イライラしているご様子。幸い仕事が混んでいなかったので、自転車でお迎えに行った。部屋にお入りになって、お風呂をすませ、夕食をあがる、私はお客様の心がいつ穏やかになるのか観察していた。夕食時には、ほかのお遍路さん二人と和やかに談話されていた。以前の私ならびくびく怖がったと思う。姑が亡くなって20年以上経つ。私も少しは女将さんらしくなったろうか。