昨日、モモタロウを母の敷地内の隅に埋めてやった。ロナウジと玉緒が眠っている場所だ。
ゆうべから降っている雨がまだ止んでいない。表通りに染み付いたモモの血を洗い流してくれただろう。勝手口や庭から眺めやると、モモが何処からか、チリンチリンと鈴の音とともに現れそうな気がする。
一昨日の夜、7時過ぎ、うちの前の藤川旅館さんが深刻な様子で勝手口にこられた。
「たった今、ネコが撥ねられたんだけど、三谷さんのところのと違うかなあ?」
モモは1時間ほど前、勝手口のあたりにいた。まだ家に帰りたくないようなので放っておいた。モモか、はたまたノラちゃんたちのどれかか、私に係りのあるネコであることはほぼ間違いないので、いそいで藤川さんに現場に連れて行ってもらった。うちから20メートルくらい離れた道路上にネコが横たわっている。脚を動かしたのが見えた。近づくにつれ、白黒ブチでもなく、クロネコでもなく、縞模様であることがわかった。決定的瞬間、そのネコは水色の首輪をしている!
「モモッ!」
呼んでも何の反応もない。口を開けて舌が出ている。死んでいるようだった。まだ柔らかいモモを拾い上げて家に連れて帰った。頭が変形している。胴体には傷はない。口からは血が流れ続けている。頭蓋骨骨折で即死だった。タオルにくるんで箱に入れた。じっと見ていると、眠っているかのようで、息をしているようにも見えた。
事故の後、すぐに連れてかえれて本当によかった。次々と轢かれてぺしゃんこになる前でよかった。知らせてくれた藤川さんに感謝したい。タイミングがよかった。良かったというか、何とも・・・。運悪く事故を目撃すると、その情景は何年経ってもふとアタマに蘇る。私はたった今撥ねられたという犬を見たことがある。ネコもある。完全に死体となっていて道路に転がっているものよりずっと悲惨である。車ではしっていて、犬にドンと当たったこともある。街中だったのでスピードをだしていなかったことと、犬がキャンと鳴いて見えなくなったので、たぶん怪我は軽症であったと慰めている。飼い主はもちろん、撥ねた人も目撃者も、何か心に影をおとす。事故を起こさないように気を配るべきなんだけど。