十日ほど前のこと、1850メートルくらいの山、四国では屋根に近い程度の高さであるが、丁度紅葉が見ごろであった。今はもう、葉っぱは飛んでしまって、裸の幹ばかりなんだろうなあ。どんどん秋は深まっていって、寒い冬がやってくる。
巨大なキノコがたくさんはえていた。ツキヨタケである。かつて、嬉々としてザックいっぱい採って帰り、毒キノコと教わり、泣く泣く捨てたっけ。
春から設計士さんに図面に取り掛かってもらっているのに、一向に前に進まない。本当に、マッコト、家を建てるって大仕事だなあと思う。お金があればもっとスムースにいっただろうが、限られた予算で、皆がなんとか納得するためにはどうすればいいのか。欲をいえばキリがない。袖を振ってもないものはない。喧嘩しながら今に至っている。リフォームなのか新築なのか、一世帯住宅か二世帯なのか、なかなか決断できずにいる。
新たな問題は、7月に消防と土木がやってきて、建物の防火設備を調べにきたことである。そのとき、改善点をいくつか言われ、「素人ではわからないだろうから、しかるべき専門家に相談するように」と指示して帰った。1ヶ月後、土木事務所から、「この間の返事がまだきてないが改善計画はどうなったか」と、電話があった。そうだった、忘れてた、これは重要問題だぞ、と少し怖くなったのである。消防の立ち入り検査はときどきあったが、クリアしてきた。なんで今度は建築までいわれなアカンの? よその旅館はどうなの?と、お向かいの藤川旅館さんに聞くと、「そんなん来てないでェ」。
当局から催促されたのでは放っておくわけにもいかず、建築士に見積もりしてもらうと、なんと700万以上掛かる。とんでもない!これでは家が建てられない。もとより、こんなお金をつぎ込む気はさらさらない。私が元気で、あと10年仕事ができたとして、引き継ぐ者もいないし、建物自体も老朽化して、あと何年もつか心配だし、そうすると解体資金が要るし・・・。もうこれは泣きついて頼み込むしかない。
建築家二人と夫と私、4人で県事務所に相談に行った。で、結果、最低必要なことだけ改善して、あとは徐々に直しますということになった。その見積もりはまだできていない。多少の出費は仕方ないかな。
こんなことがあって、新築部の申請ができず、計画はストップしているのである。工事は、お客様の少ない冬の時期にやりたいのだけど。