先週、大学生たちがたくさんこの町にやってきた。トライアスロンの大会が、今年も観音寺でおこなわれた。
恒例のように、ここで競技をやってもらえるのは、駅から歩いて20分という距離、宿泊所も結構ある、スイム、バイク、ランのコースも使い易い、といった好条件を備えているからだろうか。大会運営者も選手も受け入れ側も、もうすっかりこのイベントに慣れているので、すべてがスムースにはこぶのである。いつもうちに泊まる学生さんたちは、うどんが大好きで、毎日、「今日は何処のうどんへ行こうか」なんて、私よりうどんやさんについては詳しい。ある日、彼ら、観音寺の札所のなかの売店、「梧桐庵」へうどんを食べに行くというので、
「エッ、あれは土産物屋でしょう。うどんを売っていたとしても、手打ちじゃないんじゃないかな」
感想を聞くと、
「いやぁー、美味しかったッス。いままででサイコー、サービスもサイコー。」
「なんのサービスがあったの?」
なんと、うどんをタダにしてくれたという。選手で来ている大学生とわかって、お接待してくれたようだ。総勢8人、彼らのことだから大盛りを注文したに違いない。うどんやのおばさん、太っ腹だなあ。今度私も食べにいこ。どんなおばさんか顔を見てみたいし、私からもひとことお礼を言いたい。
町を挙げて、この大会と学生を歓迎しているのである。普段年寄ばかりの静かな町が、この時期だけ元気な若者であふれるのだから。
会場の有明浜
スイムが行われる浜まで行くと、今年は近畿大学の応援団がきていた。去年は確かいなかった。よく見ると、応援団に学ラン着た女の子がひとりいる。初めて見た、女の子も応援団やるんだ。
四国も天候不順で、当日のお天気が心配されたが、夜明けとともにお日さんが照ってきた。前日は雨が降ったので、河口では泥水である。しかし海は青くてきれいだ。
ランのコースは松林の中なので、応援する者にとってはとてもありがたい。何処で応援しようかなと歩いていると、夫のおじさんが自宅の前で元気に応援しているのを見つけた。私もここで見ることにした。おじさんは女子のレースも応援した。声援をたいそう喜んでくれたそうである。
「ニイチャン、がんばれよーッ」
「〇〇大学、暑さに負けるなよーッ」
大きなよく通る声で叫ぶのだから、周りも爆笑である。
通りがかりの女性に
「オバチャンもガンバって!、ハハハッ」
声をかけられた奥さん、びっくりして笑う。
周囲を笑わせる、天性の才能を持っておられるおじさんである。おじさんの声援で元気が出た選手も多かったのでは? 私もいっしょに、最後まで面白おかしく、楽しく、応援できた。おじさん、お疲れ様、喉は大丈夫ですか。