観音寺の登山愛好家2人が、危うく遭難しかけた佐々連尾山に行ってみることにした。この頃の私の好みの傾向は、ちょっとややこしい山歩きである。
山と渓谷社の「愛媛の山」を参考にさせていただいて、愛媛側から登る。高知側からは、何年か前、大森山から佐々連尾山へと、縦走したことがある。国土地理院の地図を部分的にコピーしたものを持っていく。
佐々連尾山といえば、猿田地区から白髪トンネルを抜けて・・・というイメージから、金砂湖の赤い橋を渡って右に向かってしまった。持参の部分的な地図では、中ノ川集落への入り口がわからなかった。この道路の左に沢があってその谷を行くはずと思い込んでいる。いつしか猿田方面の分岐まできていた。運よく地元も人が立っていて、中ノ川集落はどこか聞いてみると、なんと赤橋を渡って左へいくのだそうな。引き返して金砂湖の畔のくねくね道をかなり走った。途中、左の谷へ「佐々連尾鉱山跡」の標識があって、これかな?とチラッと思ったが、さっきの人の話から、ここはまだまっすぐ行く。随分はしって、湖に流れ込む川に沿って道が谷の奥に続いている地点にきた。何も案内板はないけれど、どうもにおうな。間違っていたら今日はドライブでお仕舞いになるだけだ。行ってみよう。1キロばかりはしると、「中ノ川温泉郷」と掘ってあるおおきな岩が置いてある。当たりー、そこから9.5キロ行くと、石川道夫氏が書いてあるとおり、桃源郷のような集落があらわれた。こんな山深くに集落がある。畑を耕している人がいる。道沿いの斜面にはシキビがたくさん栽培されている。これがこの集落の主な現金収入源かな。ところで温泉はどこに・・・?
集落を過ぎると道路は未舗装となる。轍がほれこんで、ぬかるんでいる。久々に愛車ラブ・フォーが本領を発揮する。未舗装の林道を走ることはよくあるが、四輪駆動が必要な悪路は、私が山へアプローチするくらいのところでは、そうはない。
林道の終点で林業の人たちが仕事をしている。ひとりが仕事の手をとめて、駐車スペースをあけてくれた。作業員が
「この間、香川の人が迷ったよ」
「そのひと、私の知り合いの知り合いです。今からだと頂上へはいけないから、迷わないように早めに降りてきます」
いつものように誰にも言ってこなかったから、彼の記憶にアッピールしておく。ここに人がいてよかった。もし何かおこれば捜してくれるだろう。
登山口はすぐ見つかった。道ははっきりしているし、テープもしっかりついていて、何ら問題はなかった。上等の道だ。
傾斜が緩やかになってきて、やたらとテープがつけられている箇所で、私は作業道に入り込んでしまった。おかしいと思って、引き返す。明らかな登山道、テープがっぱいあった場所まで戻らなければいけない。傾斜の緩やかな植林の中、どこも同じに見える。自分が歩いてきた道がよくわからない。テープはあちこちにあってあてにならない。遭難か~?少々パニクった。こころを落ち着かせて歩いていくと、間違って入り込んだ場所に出た。やれやれ。
ここで地図を見るべきだった。自分専用のテープを持って、道がはっきりしないところでは印をつけて、帰りに回収するというやりかたが安全だろう。
作業道と登山道の交差点で、地図で確認して方向を確かめ、進んだ。往くてが明るくなり、尾根に近づいているのを感じた。順調に中川l峠に到着。ブナの良い森だった。ここからは笹の中、気持ちの良い尾根歩きだ。本には、わかりにくいコースとは書いてない。雨がポツポツ、時間も気になる。きょうはここまで、下山にかかる。
なにも収穫なし
迷った2人は何処で道をはずしたのだろう。本にもあるように、間違えやすいのはあの交差点だ。それにしても、私も何度テープにまどわされ、痛い目にあったことか。決してテープを頼りにしてはいけない。地図を持っていかなくてはいけない。教訓!
帰途、曼荼峠からの下りでクサギをたくさん採った。「臭木」といって、とても臭い。若葉は山菜として食べるらしい。次の春、挑戦してみよう。今は濃紺色の実と赤紫色のガクをとって草木染に用いる。染織が趣味の妹のために採っておく。この木は日向を好むから道のやや高い位置に生えている。どこの道端でもみかけるから、すぐ間に合うように車に高枝きりを積んでいる。
今日は大収穫だった。おかげで、車の中は虫が這い回っているし、実をはずす作業で指先が真っ黒。実は冷凍保存する。きれいな水色のストールを手に入れるために頑張ります。
クサギの実