枇杷の木の傍に行くと、なにやらブンブンと、小さな羽音の大合唱が聞こえた。ミツバチがたくさん、蜜を集めに来ていた。次から次へと、頭を花の中に突っ込んで、忙しそう。枇杷の花は本当に質素で目立たないが、香りもまた、鼻を近づければほのかに香ってくる程度だ。地元の養蜂家が枇杷の花の蜂蜜を売っているはなしを聞いたことがある。結構なお値段のように聞いている。一度食べてみたいなあ。
身の回りの片付けができないのも老化現象か。子供のおもちゃが家中到る所に転がっていた頃、掃除も片付けも一生懸命やったし、やらせもした。今、ちらかすのは自分だけなのに、どの部屋みても雑然としている。夫は、自分の部屋に精一杯モノを並べて、真ん中に座っている。夫婦そろってダメなのだ。
モノを捨てられない性格だからたまる一方である。紙袋、レジ袋、箱類、娘達が置いていった服、等。袋はできるだけもらわないようにして、使い切って捨てるようにしているが、まだ増えていく。
目を通しておかなければいけない書類や、書かなければいけない書類も、面倒がってすぐにとりかからないから、あちこちに出しっぱなしにする。片付けると忘れる気がして怖いのだ。下手に片付けると何処にやったかわからなくなる。孫が来るときは大変である。触られたくないものを、大急ぎで押入れやら引き出しに仕舞いこむから、帰った後、「あれ、何処おいたかな?」なんて慌てたりする。したがって、部屋はいつまで経っても片付かない。ここまでちらかると何から手をつけていいやら・・・。年とってもきちんと片付け出来る人はいるだろうが、性格だけでなく、これも老化ではないかと思う。
この間、笑い話のような失敗をした。久しぶりにおはぎを作ろうと思ってもち米を炊いた。炊き上がった色がどうも黄色い。シャモジで混ぜると粘りが足りない。それでもアンコをつつんで数個こしらえた。ここで一つ味見した。「ン? これは・・・、お米だ!」
「さあ、2カップ量りましょ」と、もち米の袋を開いたのに、どーして米袋に計量カップをつっこんだの??? なんで米を炊いたのか自分でもわからないのだ。米をといでいる最中にだって気がつかなければおかしい。大事な考え事をしていたのでもない。ボーっと行っていた。
米のおはぎはパサパサしていて美味しくなかったけれど、もったいないから食べた。
もう一つ、失敗談。
私は煮豆をつくるのが好きだ。金時豆を柔らかく煮た。さあ、お砂糖をいれましょうと、ドバッといれてハッした。「シマッタ!これ、塩じゃ~」 いそいでその部分をすくい救い出すも、後の祭り。砂糖をたくさんいれたけれど、隠し味の塩にしては辛すぎる。
このときは考え事をしていた。とはいえ、よその台所でもあるまいし、砂糖と塩を間違えるとは・・・。これも老化かなあ。暗いなあ、この頃。