NHKの朝の連ドラが始まった。お決まりのタイプのドラマではあるが、見始めると欠かすわけにはいかない。
第一回目、蕎麦の花畑にたたずむ母と少女、私もあの花の中に身をおいてみたい。アルプスの山々、透き通った川の水、今年は長野に旅行、山登りを計画する人が多いだろうなあ。
早速、松本在住のKさんから「見てますか」のメールがはいった。美しい景色、美しいキャストたち(陽子役の女の子が、聡明で品がよく、素直な感じで、好感がもてた)美しいストーリー、朝ドラならではの現実離れした世界ではあるが、それはそれ、これから毎日楽しみにして見るだろう。松本まで、この目で景色を見に行くかもしれない。そのときはKさん、よろしく。
震災から4週間が経った。簡易の風呂を作りに行く建築家、寿司をにぎりに行く職人、倒壊した家の片付けに行く若者、さっと行動できる人たちに頭の下がる思いがする。3週間も海を漂流していた犬と飼い主との再会は、奇跡的、かつ感動的だった。震災のあと、瓦礫のなかで救助を待っていた人もたぶんたくさんいただろうと思うと、言葉にならない。毎日テレビとラジオに釘付けだったが、涙なしでは見られなかった。震災前の日本に戻ることは不可能として、これからどのような心構えで立て直していくのか、日本人皆でとりくまなければいけないのだろう。
今日、大阪に住む次女と腕白坊主二人がヨーロッパ旅行から帰ってきた。少々のトラブルはあったようだが、なにせすぐ迷子になるような男の子が二人だから、無事戻れるか心配していた。原発事故はまだまだ収束しそうにないけれど、西日本で暮らすぶんには問題なさそうで、「日本に帰ってくるな」なんて状況にならなくて良かった。
震災から1週間後、世界中が原発事故を深刻にみていた。外国人もぞくぞくと日本を出て行った。ルーマニアに住む長女から、「1ヶ月くらい旅行のつもりで避難したらどうか」と誘いがあった。娘婿が早々に飛行機のチケットを予約してくれたけれど、私は仕事をキャンセルできないので、大事な孫たちを行かせることにした。
あのころ、長女やあちらの家族は、情報不足から、日本の状況をかなり深刻にみていた。日本人はのんびりしているけれど、政府はパニックをおそれて本当のことを言っていないというのであった。外側からの心配や忠告を聞くにつれ、「ああそうなのかなあ」と徐々に不安になってきた。高いところからヘリで冷却用プールに水を入れようなんて、誰が見ても絶望的と思うではないか。もし日本中の人がパニックになったら、ガソリンはないしチケットはとれないし、逃げようにも、どこにもいけなくなる。まるで映画の世界だ。チケットはキャンセルできるとして、予約は必要と思った。
それから1週間後、事態はやや落ち着いてきたものの「せっかくやから、旅行してくるわ」と、やんちゃの二人を連れて飛び立ったのだった。なかなか元気な母である。ルーマニアはすこし生活レベルが低いようなので、迷子、誘拐を心配した。彼らはまず婿の実家ドイツに滞在し、ルーマニアの家で数日過ごし、ルーマニアの田舎でも一泊して、それからウィーンを観光して帰ってきた。私と三女は、二人で羨ましがっている。
遠く離れた四国はのんびりしたものだが、関東で水道水が汚染されたときは、こちらでも店に水がなくなった。挙って親類縁者に水を送ったのである。「こっちの水道水、ペットボトルにつめておくったら?同じだよ」なんてしゃべったけれど、水まで宅配でおくらなければいけないなんて、今の日本は信じられないたいへんなことになっているということだ。