7月10日の雲辺寺の写真である。台風がきてから、少しぐずついた天気が続いていた。山頂は霧のように靄っている。里から見ると、その名の通り、寺は雲の中なのだろう。
この時はトレーニングのため、五郷から登って奥谷に下り、林道を歩いて周回する行程だ。なんでトレーニングかというと、9月10日のトレイルランのイベントにエントリーしたからである。これからは、週一で雲辺寺に登らなくては、と思っていた。ところが3日前、コロナ感染者急増のため、大会中止のメールがきた。落胆この上ない。他県で、催し物が中止になったニュースは聞いたことがあったが、インカレのバスケットの開会式が高松で行われたという話もある。山を走るのは、そんなに密ではないと思うんだけど、とその時は思った。けれども、今週は感染者グラフが上がりっぱなしだ。仕方ないな、いつ行動制限がかかるか、心配だ。8月は、いくつか宿泊の予約が入っている。
6月に、友人からトレイルランの大会があると聞いて、さっそくネットで調べた。旧知の登山道だし、大会会場がこんなに自宅から近いなんて願ってもない、私にはうってつけの、初回トレイルランレースだ。でも、膝は心配だし、高齢の参加者はいるだろうか、年甲斐もなく出て、恥をかくことになるかもしれない。5歳くらい年下のその友人もでたいようなそぶりだったので、「一緒に出よう!」と話は決まった。
決心すると、善は急げ、6000円払って申し込んだ。さて、この暑い季節、どのようなトレーニングをしたらいいかな、大まかな計画も考えた。歳も歳、やり過ぎて、体を壊してはいけない。周りの数人の人には「私、トレイルランの大会出るよ」と宣言しておいた。背水の陣である。何が何でも完走する、そんな覚悟である。棄権なんてかっこ悪い真似はできない。
出るとなると、プレッシャーも感じるが、久しぶりに目標が目の前に設定され、充実感もあった。今でも努めてジムへ行って、運動を心掛けているが、ここ何年来、ダンス系が楽しくて、苦しいトレーニングは避けていた。筋肉は年とともに、拍車をかけて落ちてゆく。このトレラン大会では、目標を定めてトレーニングを積んでいたころを懐かしんで、もう一度そんな自分に帰れるかもしれないと楽しみにしていた。
雲辺寺で、お仲間らしき人々を見た。大会のお世話をするスタッフかな、と思った。
五郷からの遍路道は、尾根で草ぼうぼうになっている。イベントが開催される前、8月後半には登山道がきれいに整備されて、お遍路さんも歩きやすくなるだろうと喜んでいたのだが、中止になったからには、このままホッタラカシ?
頂上のロープウェイの駅横から五郷に下りたい人のために、あの草は切らなくてはいけない。下りの道を見つけるのは難しくなっている。昔からの遍路道であり、地元の人のハイキングコースであった、大事な登山道だ。私が若いころは、大勢の人が、この道を歩いて雲辺寺へ初詣に行ったものだ。
長い林道を歩いて車まで行く途中、ネジバナが何株か咲いていた。かつては、普通に野山に自生していて、珍しくもなかったんだ。