一昨日の日曜、お天気いいし、予約もなく、お仕事休みにして、88番札所大窪寺に山道を使って登った。車では、母のお伴で来たことはある。先日泊まられたお遍路さんに、「大窪寺へはキビシイですか」と聞かれ、歩いたことのない私はお答えできなかった。大窪寺は日帰りで偵察できる距離だ。その日、お客様を見送って、10時というちょっと遅い時間だが出発した。
私の車にはナビがないので、パソコンで道を調べ、頭に入れておかなければいけない。高速は使わず、塩之江回りで行くことにした。少し迷って、たっぷり2時間でお遍路交流サロンに着いた。結願の証明書をいただけるというのはここのことか。色々展示物や資料があるようだったが、見学の時間はない。お遍路が一般に知られる前の時代、実態はどうだったのか、興味があるので、また今度ゆっくり見にこよう。
交流サロンのスタッフに詳しい地図をいただき、大窪寺までは4つのコースがあると教えてくださった。県道3号線の車道が遍路道らしい。ウーン、いくら遍路道とはいえ、車がビュンビュン通るところを歩くのはつらい。歩きの遍路さんがよくつかうのは四国の道コースらしい。私もこれを行くことにした。初めはほとんど車道を歩く。時々ショートカットのため、細道にはいる。四国の道の道しるべと遍路マークが要所にあるので、迷うことはない。
だんだん山道らしくなって、高度をあげていくと、女体山直下に岩場が現れる。なるほど、これが話に聞く難所か。雨の日は車道を行くようにアドバイスされるのも頷ける。
頂上の、絶好の展望所で、デンマークからの仲良し遍路さん二人が休憩していた。長い道のりを経て、とうとう最後のお寺大窪寺まで辿り着き、感動もひとしおと思われる。この方たち、善根宿、紫雲庵の運営者である久保さんのフェイスブック投稿で、私は知っていた。
さて、私は大窪寺3時50分発のコミュニティーバスに乗るため、1000メートルの道を急いで下らなくてはいけない。バス発車10分前、お寺に到着。バス停に、すらりとした女性のお遍路さんが立っている。まさか、大窪寺のことを聞かれたあのUさん? 近寄って笠のなかのお顔を覗き込んで、「やっぱり、Uさん!」Uさんも、こんな所で若松家の女将にまた会うとは、驚きだったろう。不思議なご縁である。日曜の朝、お客様がもっと早くチェックアウトされていたら、私はもっと遠くの、愛媛か徳島の山へ行ってたかもしれない。
大きくてきれいなコミュニティバスに私たち二人だけ。すぐに交流サロンに着き、私は降り、Uさんはそのまま志度駅まで乗り、高松のホテルに泊まる。行きは、お昼の混雑で駐車場も満杯だったが、夕方4時も過ぎると、道の駅も交流館も閉まっていて、人もまばら。
Uさんは陶芸家である。お若いけれど、白い髪がとても綺麗で、上品で、印象的だった。ご主人を亡くされ、思うところあってお遍路されたんだろう。大分に戻られて、また陶芸に入られるよう祈りたい。
急ぐあまり、お参りもせずに通り過ぎてしまったお寺。
次は、歯抜けのような私の納経帳持参で、ゆっくりお参りに来ます。
山登り半ば、携帯が鳴った。「今日泊めてください」ならば、急いでとんぼ返りだ。声の主は金沢のSさん、お得意さんだ。「明日行きます」だったので、ホッとした。お大師様ありがとうございました。