一昨日昨日、一泊二日の避難小屋どまりで剣山系縦走した。コースは、高知県側、光石登山口からカンカケ谷を登り、オカメの避難小屋に泊まり、翌日は三嶺、白髪山へ登った。ここ数年アルプスに行けていないので、久しぶりに泊りがけの縦走がしたかった。剣山系はきれいな小屋が沢山あるので安心だ。
天気が良く、私の休みが取れそうな二日間は、月曜、火曜となった。平日、小屋どまりの人がいるだろうか。もしかすると、小屋にひとりきりかもしれない。一人で山中の長い夜を過ごすことになったらどういう心理状態になるか、というのが私の課題である。これは経験しておく必要があると思っている。ひとりで山へ行く私は、何か事故があって、ビバークすることになるかもしれない。それに、夜もひとりでも大丈夫という自信があれば、もっと解放され、自由に山へ行ける。
夜の長い時間をつぶすため、オカリナとICレコーダーを持って行ったけれど、実際は全く必要なかった。小屋に到着すると、高知から来たご夫婦が既に寛いでいたし、あとから九州から来た男性が加わり、小屋は4人だった。登山道ですれ違った方たちに話を聞くと、三嶺の小屋では10人くらいいたらしいし、白髪小屋でも何人かいたという。気候のいい季節、平日でも泊まりがけで登山するんだね。結構、人がいるのに驚いた。九州、広島、兵庫などから来ていた。
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山の会の会員であったとき、冬季、何度かカンカケ谷からオカメに登っている。雪景色の沢の風景が印象に残っている。新緑の景色はどんなだろうと、これを見たくなった。登山道はあまり整備されていない。ずり落ちそうな斜面をトラバースするのに、細いロープがフィックスされているだけ。滑って荷がかかったとき、このロープ、持ちこたえられるのだろうか。小屋手前、最後の急斜面もなかなかスリルがあった。そういえば、深い雪の中、登るの難儀したなあ。ピッケルで雪を掘ったり、根っこにひかっけながらよじ登ったっけ。懐かしい記憶。
小屋の下まで来ると、上から男性が手を振る。内心「ひとりでなかった、よかった」と思った。先着のご夫婦が連れてきた2頭の秋田犬。あの急斜面をよく登ったね、とビックリ。ご夫婦が大事にされているのがよくわかる。大切な同伴者なんだ。
お酒の大好きな高知の男性、「まあまあ少しだけ」と、栗焼酎を炭酸で割って、文旦を砕いて香り付けしたものを勧められた。私は、途中ローソンで買った350ミリリットルのリキュールにプラスして栗焼酎を飲んでしまい、体調がおかしくなった。いつもにないことをして、後悔。
ご主人は、学生時代、ワンダーフォーゲル部、奥さんは初心者。今は仲良く、犬を連れて登山している。山の話をすると楽しくて、すぐに誰とでも仲良くなれる。
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縦走路はつつじが満開、芽吹き始めたダケカンバ、時折爽やかな風が吹いて、素晴らしい登山日和。速足で過ぎ去ってしまうのはもったいない。いつも走るように歩く私だが、この日は山を楽しみたかった。
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三嶺をあとにして、縦走路途中で振り返る。
白髪分岐で、白髪避難小屋を見下ろすと、4人の登山者がこちらに歩いてくる。
白髪山の縦走路をあるくのは初めて。この道も、樹林の中なので涼しくて快適。
さて白髪からどうするか? 登山道を下って林道を延々と歩くか、尾根を光石登山口に向かって適当に下るか。短い笹の中に踏み跡らしきものがついているので、後者に決めた。カンカケ谷を登ってきたとき、樹林帯は下草があまりなくて、どこでも歩けそうだったから藪漕ぎは難しくないと思ってしまった。ところが大間違い、高度が下がるにつれて、背丈以上の笹漕ぎになった。こんな、鹿がうようよ居るところで、藪漕ぎして大丈夫だろうか。心配はダニである。
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鹿のたまり場のような平坦な場所。湿地もある。見ていると、鹿が3頭、驚いたように走っていった。このあたりはまだ、笹の丈が短く、歩きやすかった。小さな鹿の角を拾った。何年か前、この山域、牛の背でもっと大きいのを拾った。登山道を外れてウロウロしていると、こんなプレゼントがもらえる可能性がある。
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傾斜が緩いからといって、安易に藪漕ぎに突入してはいけない、教訓。いつも思う、急がば回れ。