雨の多い最近であるが、昨日からやっと秋らしい晴天になった。屋上に洗濯ものを干しに行くと、川之江の製紙工場の煙突の煙が、まっすぐ上にのぼっている。穏やかな一日を予想させてくれる。お天気の日には、4階に当たる屋上まで、頑張って階段を上がっていく。籠が重いときは、ハアハア息があがる。これも足腰のトレーニングと思えば、なんてことはない。
久しぶりに雲辺寺の遍路道を歩いてみようかなと、奥谷の登山口まで車をはしらせる。一時間登って降りて来るつもりだ。鰻淵の展望台の20メートルくらい手前左側に、谷に下っていく道のようなものがあった。テープもいくつかみえるので、何か重要な道のようだ。帰りはこれを歩いてみるか。下って行けば必ず林道に出るはずだ。
立ち枯れのアジサイの色がまだ残っている。
そろそろ、秋の野イチゴが実るころだ。
ウナギぶちから少し歩くと、測量をしているおじさん二人に遭った。世界遺産登録のため、県から委託されて、遍路道を測量しているのだそうだ。この方たちからいい話を聞いた。「昔の遍路道はここから少し下ったところから左にある」と。私がさっき見つけた魅力的な山道は旧遍路道だったんだ。丁石もあるそうだ。私が、それを下ると言ったら、「岩があって危ないよ、やめたほうがいい」とご注意を受けた。
そして、下りの進路を左にとって、薄暗い谷の中、今の遍路道とは比べ物にならない細い山道を歩いて行った。昔のお遍路さんは、地図も磁石もなしで、こんな険しい、道もはっきりしない山の中を歩いていたんだね。厳しい巡礼だったと思う。その昔、どんな人がお遍路をしたのだろう。子供の頃のイメージでは、お遍路は幸せな印象ではない。修行のお坊さん、何らかの理由で家を追われた人、「砂の器」のような癩病を患った人、乞食、想像すると感慨深いものがある。死をも覚悟した巡礼だったのはなんとなく分かる。丁石だけが道しるべだったのだろうが、今はテープはあるし、道ははっきりしているので、旧遍路道だけれど不安はない。しかし、小さな沢に沿って、岩ゴロゴロの急な斜面を下るのは少し緊張が必要、これは普通のお遍路さんにはお勧めできないなと思った。もうすぐ林道というところでは、やはり迷った。麓の方では桧の植林地なので、仕事道やテープがあちこちにあって、迷う。丁石も見当たらなくなったので、遍路道から外れたのは確かだ。
世界遺産になることは果たして良いことだろうか。富士山は今やほとんど外国人というし・・・。遍路文化もガラッと変わるに違いない。宿泊所はゲストハウスが主になるだろう。時代の流れを受け入れなければいけないのだが、私はひっそりとした遍路道を歩いて、千年以上も続いている遍路を偲びたいなあと思う。私の好みを言うと、緊張して歩く、やや細い道が好きで、今日はひと昔前の遍路さんを思って歩くことができてよかった。
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仕事道を歩ていると、栗の木が何本かあって、当然実が落ちているわけがないとおもっていたけれど、僅かに3個拾えた。遍路道や林道で栗を拾おうと思ってもなかなかタイミングが難しいが、このあたりならば人はそう入ってはこないだろうから、来年は絶対ここに栗拾いに来るぞー。
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旧遍路道には、このような丁石が7,8体あった。10年後には幼木の桧も背が高くなって、鬱蒼とした山道になるのだろうね。この旧道、誰かが草刈りをしているようだ。有難いことだ。時々、鎌でももって、整備しながら歩いて道、が無くならないようにしなくてはいけない。
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このような、旧遍路道の道しるべもある。が、わざわざこれを通る人はいないだろうと思う。うちに毎年お出でるお客様で、マニアックなお遍路さんがいて、丁石や、昔の石の道しるべを訪ねてまわっている。今度お会いしたら、この道のことお話しよう。
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着ていたシャツ、パンツ、靴、種だらけ。秋の里山はこれだからイヤなんだよねー。
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登山口にあるカフェ、Botanでランチを食べた。こちらの奥様、体調を悪くされてから、ランチの種類や営業時間を減らしたりしたけれど、相変わらずお客が多い。お店の看板の、たくさんのネコと新入りの犬、必ずお客さんが写真を撮っていく。