先月末、32歳の末娘が結婚して、これですべて片付いた。やはり、遅くてもいい、一応嫁に行ってくれると、親としては安心する。千葉で一軒家を借りて一緒に住み始めて2年、遂に決心したようだ。喧嘩もよくするらしいが、我慢して心に溜めておくより、言葉に出してぶつけたほうがいい。
お婿さんはアメリカ人である。彼がairbnbに登録してくれて、外国人お客様の対応をしてくれている。こちらに帰って、ゲストハウスをしながら、英語教室を開くというのはどうだろうと、チラリと考えるが、あちらはあちらの都合がある。彼の夢は、日本で英語の学校をつくりたいのだそうだ。娘は、バニラ・エアーでしっかり仕事をしているので、まだやめる気はないようだ。私は、あと10年は元気で仕事をするつもりである。目まぐるしく変わる世の中、遍路宿も変わってゆく。今、古い宿が消えて、ゲストハウスが増えてきているようだ。うちも、このままの旅館でやっていくか、先がみえない。10年後、この夫婦がどこで住んでいるか、わからない。ひょっとするとアメリカかもしれない。ひと昔前と違って、人は自由である。世界はぐっと近くなった。
長女はドイツ人と結婚した。何人かの友人に言われた、「よく許したねぇ」って。長女のときは8年前だったが、そんなに抵抗はなかった。大好きな人と一緒になるのだから、本人にとっては一番幸せなことだ。言葉も充分でないのに、日本人のほとんどいない、習慣も文化も違うところで、精神はまともでいられるのか、それが心配だった。しかし長女は強い精神をもっているようだ。あちらの人たちに、めげずに頑張っている。うまく泳いでいる。「マッサン」の時代のエリーの苦労は想像もつかないが。
世界中、どの場所であってもいい、家族とともに幸せに暮らしてくれればそれが理想だ。日本人と結婚して、日本で暮らしていても、子孫は故郷に戻らず、先祖の墓の心配をしている人が大勢いる。長男が跡を継がなくてはいけない時代は終わった。これから私たちを取り巻く社会はどのように変わってゆくのだろう。
3人の子供のうち2人が国際結婚をするなんて、思ってもみなかった。ご先祖さまも、さぞや驚いていることだろう。