暮れも押し迫って、訪ねてきた男性が
「NHKの受信料、云々。テレビの台数を確認させてください、云々。」
「いいですよ、どうぞ。」
と、気軽に部屋に案内して、一台、二台と数えていく。まてよ、何年か前、旅館組合の集まりで、今までと受信料の支払い方が変わったということを聞いたことがあるなあ。あのとき、向こうから何か言ってくるまでこのままでいきましょう、という話だったと思う。終に、NHKから支払を請求してきたわけだ。これまでは個人契約だったのが、事業所契約になる。今、二階の客室は布団部屋になっていたり、テレビが故障して撤去していたりで、5台設置という契約になった。たったの五台なのに、なんと、以前の3倍の金額を払わなければいけない。個人契約ならば、一家に何台テレビがあろうと同じ金額である。事業所は二台目以降は半額になるけれど、一台ごとに加算される。満室になることなど年に数えるくらいしかない。12月など閑古鳥が鳴いている。NHKは私が食堂でみるだけだ。客室のテレビは毎日静かに座っている。家庭には一人一台ずつ、一部屋に一台ずつテレビがあるだろう。一家に4,5台はあるんじゃないだろうか。家庭のテレビはほとんどフルに活用されているだろう。
「うちは5台あるけれど、稼動率悪いからほとんど見てません。」
と訴えても聞き入れてはくれない。水道代にしても事業所としての基本料金をとられる。一般家庭とさほど違わない規模の事業所は、本当に、厳しい仕打ちを受けているなと感じる。調べに来る日がわかっていればテレビを撤去するのに・・・。
「また何年後かに調べにくると思います。話を合わせておいてください。」
と言って帰った。数を増やしてくれるなよと言っているようだ。受信料請求に、このあたり一帯を回っているらしい。他の旅館がどのような契約をしたのか、機会があれば聞いてみたい。