今採れているのは、キイチゴとブルーベリーだ。キイチゴは、母の家の庭に、4年くらい前植えたものだが、今年はたくさん実をつけた。木が順調に成長しているのだろう。屋敷に成りものの木を植えると収穫がたのしみだ。ブルーベリーは6年くらい前に植えたが、土が固くて木が大きくならない。
キイチゴは、真っ黒に熟して、触れると落ちるくらいでないと甘くない。たくさん採れているのに孫には人気がない。ジャムにでもするかな。
台湾旅行の1週間くらい前、胃がシクシクする状態が何日も続いた。旅行までに治らなかったらおもしろくないのだが、医者に診てもらうほどでもなく、気にしながら過ごしていた。なんとなくよくなって、台湾でも普通に食べられた。ところが、帰ってからまた胃が重い感じが続いたので、これは一度検査を受けるべきと思い、医者の門を叩いたのである。人間ドッグで、あらゆる方面の検査をしなくちゃとずっと感じてはいたけれど、延ばし延ばしであった。
まわりを見ると、癌にかかった人のはなしが多い。癌年齢なのだ。同級生が肺がんの手術をしたばかりである。自分はもとより、ご主人もたばこは吸わない。そして、親類の男性が前立腺がんにかかった。この間、ニュースで坂本龍一が咽頭癌だったっけ、大きく報道されていた。超有名人だからね。
4年くらい前だったかな、一緒に中国語を勉強していた、少し年上の奥様が胃癌で亡くなった。レッスンに出てこなくなって何か月かののち、訃報で驚いたのだった。発見が遅かったのと、性質の悪い癌だったとか、数か月の治療だった。胃癌を切って、元気に暮らしている人は多い。お遍路さんにも、何人かそんな人がいた。昔と違って胃癌は治るといわれている。早期発見すれば、癌は怖くない。治療しながら、最期のときまで何年も生きられる。残りの人生の計画が立てられる。私の母のように、認知症を患い、自分というものがよくわからないまま、やがて死を迎える、そんな死に方より癌で死ぬ方がずっとましだ。
最近の胃カメラはラクになったと皆がいうので、それほどの緊張感はなかった。それよりやはり、もし癌がみつかったらこれからどうするか、どうなるか、考えを巡らせていた。手術すると、一か月旅館は休業だ。手遅れだと、これからのこと真剣に考えなければいけない。
さて、胃カメラ初体験、同じように検査を受ける人たちがベッドで待っている。やはり少し緊張する。口の中に薬を落とされて痺れてきた。喉にも麻酔がスプレーされ検査室へ。横になって注射針をさされ、薬を入れられる。少し頭がぼーっとして眠気を感じる。麻酔だ。簡単にカメラが入るといいなと、ぼんやりした頭で考えていたが、やはり違和感が気持ち悪い。一回、オエッとなった。検査はすぐ終わり、小さな点滴がはいる間20分くらい眠って、先生のお話。
「問題ありません。少し炎症があります。ポリープがあったので取りました。後日結果を聞きに来てください。」
やれやれ、寿命が延びた気がした。悶々としていた心が一気に晴れた。喉元過ぎれば・・・、ではなく、緊迫して過ごした日々を忘れず、毎日を大事に生きなければいけないと思う。
一か月も入院して過ごすことを思えば、ちょっと山行くくらい、いいんじゃない?と提案すると夫の機嫌が悪かった。