冬の晴天の日は、里山歩きがいい。県境の山、大谷山へ北から登ってみることに。神社から取り付く。ここは、かつて、花見の人気スポットだった。最近はあちこちに新しい花見の名所ができ、20年、30年前に賑わった場所はひっそりしている。桜の木の寿命は長くないので、次々若木を植えていかなければ本数を減らすことになるのでは?
里山の藪漕ぎは、シダである。背丈ほどもあると、もう進めない。道が現れたと思うとまたシダに阻まれる。丈の低いものは踏んづけ乗り越え、高いものはイノシシよろしく、這いつくばってトンネルをくぐる。
216メートル四等三角点に出た。そこから少し歩くと、伐採されたところにヒノキが植林された、見晴らしのいい場所にでた。眼下に大きな施設がある。鶏舎にしては大きい。時折、ギャーッとか、キイーッとか、悲鳴が聞こえる。豚だ。このあたりのイノシシは、どんな気持ちで、仲間のこの声を聴くのだろう。かわいそうな豚、しかし、豚肉は食べないことにしよう、という決心はつかなかった。肉類は食べなくてもいい、とは思うのだけど、やはり美味しいものね。食欲に負ける。豚舎の豚と肉屋のブタニクは別物。
さて、なんだかやめたくなって、続きはまた今度にする。同じ道を歩くのはゴメンだ。藪漕ぎで谷あいに降りたところで、渡渉できるか、橋はあるのか。幸い、下っていくきれいな道、間違いなく道、が見つかり、どんどん下ると、底は何のことはない、深い谷ではなく小川だった。豚舎のすぐ下である。この小さな谷は行きどまりに豚舎がある。それからは、梨畑をはしる車道を下り、パーキングへと向かう。
川を堰き止めて池や公園を造り、子供に水遊びさせたくなるような小川なんだけど、すぐ上に豚舎があるのはどうだろう。汚水はちゃんと処理されているだろうが。
そんなことを考えながら、ぶらぶら散歩。ここら辺の田舎には、〇〇御殿といわれる、お城のような豪邸がよく見られる。例えば、レタス御殿とか。このお宅はナシ御殿といえばよいのかな。大規模農家さんならばこのような家を建てることができるのだろうか。サラリーマンではまず不可能だ。
フリースに付いた草の種、うんざり。こんなことだろうと、ズボンは木綿の、種を取りやすいものを穿いてきた。おかげで、藪漕ぎの途中で自然に落ちていた。うまくできてる。種は私に運んでもらって、どこかの新天地で芽を出して繁殖しようとしている。
観音寺市の豊浜という地区は、山のすそ野にナシの果樹園が広がっている。桜の花が終わったころ、梨の花見と散歩はどうだろう。