8月最後の週、折りしも25日、私の誕生日に北アルプスへ出発した。ハッピバースデイトウミー♪♪。
爽やか信州号も上高地しか残っていなかった。上高地から登れる山、そう、最も有名な山、穂高に決めた。西穂から奥穂の憧れのジャンダルム、考えなくもなかったが、自信もないし、経験者からも止められた。
さて、新大阪まで新幹線でいって、バス乗り場を捜すものの、噂の通り、分からなくてウロウロする。駅員さんに聞いてやっと見つけ、乗り込むと、隣のシートの岡山から来ている若い女性も、乗り場がわからなかったそうである。
無事車中の人となり、翌6時、上高地バスターミナルに到着。私には初めての上高地である。
登山客がいるいる。シーズン中はすごい人出なんだろうなあ。
清清しい森の小路を歩く。延々と3時間も林道を歩いた。飽きた。
途中、明神池の傍の穂高神社で、山行の無事を祈願する。
3時間の林道歩きのあと、横尾に到着、やっと登山道にはいる。天気は上々、明日もいいはず。しかし予想外れて、次の日はガスガスガス・・・。
よく見る景色だ。かの有名な涸沢カール。
私が連泊した小屋、涸沢小屋。
こちらは、すぐ下の涸沢ヒュッテとキャンプサイト。上の涸沢小屋のほうが人気があるようだ。
メインはチキンのソテー、塩さば、サラダ。連泊したYサンが
「昨日も塩さばだったよー、カラサワじゃなくてカラサバだねー」
と駄洒落をいう。
小さな部屋は、単独行の女性5人で満室になった。岡山、神奈川、松本、東京とさまざまだ。岡山のYさん、明朗で駄洒落が得意。「北穂でカッパをキタホウがいい」「奥穂で荷物をオクホウがいい」などなど。中高年女性部屋は賑やかである。Yさんは切り絵が趣味らしい。山の景色を切り絵にした葉書をみせていただいたが、なかなかすばらしかった。その他の趣味、フルートを吹く人、バイオリンを弾く人、二胡を弾く人(私)、女性は好奇心旺盛で元気だ。
翌朝5時、北穂高に向かって小屋を出る。前にも後ろにも、誰もいない。石ころゴロゴロの枯れた沢を歩いていて、どうもおかしいと気がつく。こんなあぶなっかしいところ、歩かせるわけないよねー。登山道から外れて枯れ沢にはいりこんだらしい。戻るの面倒くさいし、岩の下りは危ないので上に行ってみよう、合流するかもしれない。しかし、このまま突き進むと、上へも下へも行けず立ち往生するかもしれない。事故を起こさぬように気をつけて、下るべきだろう。下っていくと上りのグループに遭った。登山道はすぐ傍にあったんだ。高山植物を踏みたくって、正規の登山道に行き着いた。パトロールがいたら、きつーいお叱りをうけただろう。それにしてもいったいどうしてこんな大道で迷ったのか。なさけなやー。
北穂高小屋で、前日同室のメンバー4人が合流した。天気は悪いし、縦走はしたいし・・・。誰が音頭をとったわけでもなく、なんとなく、4人で穂高岳山荘まで縦走することにはなしがまとまった。
北穂高小屋でお茶をしながら、縦走パーティ結成。
北海道から来た9人のパーティ。鎖を降りるところ。
涸沢岳
2時間あまりで無事縦走路突破、お疲れ様。ガスで何も見えず、高度感を感じられなかったのがかえってよかったのかも。スパッと下まで切れていて、足がすくむような縦走路だったに違いない。私達4人は、この決断と実行を最高に喜んだのである。これがあるから、どんなに苦しくても山を続けられるのだ。
お昼は穂高岳山荘で麺類をいただき、心も胃袋も大満足。そして俄かパーティはこれで解散、私以外は前日に奥穂には登っているので、3人はここから下る。
奥穂高岳
西穂方面から2パーティがやってきた。最初のパーティは、中高年女性2人と若い男性の3人。ハーネスをつけていた。話を聞くと、男性はプロのガイドだそうだ。午前3時に西穂山荘を出たという。奥穂まで10時間の行程である。次のパーティは女性3人男性1人の4人組。こちらもガイド付きかな。せめてジャンダルムを拝みたかったのに、ガスで見えなくて残念。
2泊目も同じ部屋だった。ひとりだけだったので個室である。気遣うことなく荷物を部屋中ひろげた。疲れた。
翌朝、パノラマコースを下ることにする。「危険箇所多く、熟達者コース」と小屋のインフォメーションに書いてあった。客観的に見て、私は熟達者にはいるかなあ、ちょっと不安だけど行っちゃえ。大体、小屋では大げさに言うことが多い。昨日のオーバーワークで、筋肉痛は早くも私を悩ませる。
昨日はさっぱりだったけれど、今日は北穂の天気どうだろう。午後から下り坂というはなしだけど。小屋あたりでは晴れているけれど、頂ではずっとガスを被っている。上では、昨日と同じく、一日中霧の中じゃあなかったろうか。
私のコースは、まあまあ晴れていて快適だった。ずり落ちて危険な箇所はいくつもあったけれど、ロープを張ってくれていたので全然問題なし。パノラマコースはお勧めコース。横尾からのコースよりずっといい。素晴らしいお花畑があったからだ。それに、人が少なく静かで、登山道に変化も富んでいる。
屏風岩のしたは広大な花畑だ。紫のトリカブト、白いシシウド、何か黄色い花、この3つが主役で、あと脇役が何種類か控えている。
こんな大振りなトリカブトがいっぱい。
かなり降りてきたところでナイロンザイル事件、「氷壁」のモデルの人の慰霊碑があった。前穂での事故だったのかなあ、私は小説を読んでいない。読んだら、残っている前穂に絶対登りたくなるだろう。
徳沢で神奈川の彼女にばったり出遭う。私よりちょっと早く着いたらしい。ソフトクリームを舐めていた。食べたいなあ、でも是非是非岩魚を食べなきゃ。彼女とふたりで明神の嘉門次小屋を目指す。頭からきれいに全部いただきました。美味しかったなあ、でもお値段もいい。900円なり。彼女は、今夜は「しるふれい」とかいうペンションに泊まるそうだ。
超有名な河童橋、観光客がいっぱい。此処に来る間も、散歩中の人は必ず「こんにちわ」と声をかけてくれる。山での挨拶ではあるけれど、最後には意識して目を合わせないようにした。
バスターミナルに着いたら岡山のYさんがすでに待っていた。同じバスで大阪へかえるのだ。出発まで1時間あるので近くのロッジで風呂にはいらせてもらう。
人気の穂高を今まで敬遠していたけれど、シーズンを少し外していけば静かな山登りを楽しめる。人がたくさん行くところは交通の便がいい。また違うコースで登ってみたい。
河童橋付近で餌をねだるカモ、ここでも自然破壊のなみが・・・。
家に帰り着くと、玄関までモモがダッシュで出迎えてくれた。2日見ないうちに大きくなったねぇ。そんなわけない?