昨日今日はいくぶん爽やかな気候だが、一昨日は不快指数100とおもわれるほど蒸し暑かった。このうだるような暑さの中、ギャレスとエリーゼの兄妹は、20キロの荷物をしょって人だらけの大阪を歩いているだろうか。
17日夕方、二人は観音寺にやってきた。ギャレスはオーストラリアにいる娘が以前借りていた家のハウスメイトだ。彼はコンピューターの仕事をしていて、とても真面目ないい人だそうだ。うんうん、確かに人柄の良さがうかがえる。妹は写真を撮る仕事らしい。明るい灰色の瞳をした美人だ。その夜は私の手料理をたべていただいた。
翌18日、午前中、彼らは琴弾公園へ散歩、砂絵を見て、海辺を歩いたらしい。暑い暑いと言って、昼過ぎ帰ってきた。さて、午後からは私が車で近辺の名所を案内することになっている。
先ず、名物うどんを食べに行く。ランチタイムはとっくに過ぎていて、セカンドメニューの品はない。かけうどん、おでん、おにぎりを食べた。彼らは静かにゆっくりとうどんを食べていた。汁をとばすのがいやだし、音をたてて食べるのはマナー違反である。食器を持ち上げることもしない。
ドイツ旅行で、私も娘たちも夫の食事のマナーについて、とても心配、ハラハラしたのである。夫がうどんを啜る勢いといったら凄い。汁を啜る時も同じく、一緒に大量の空気を吸い込む。したがって大きなゲップを吐き出す。気持ちよさそうに。言葉は通じないし、楽しい食事にも注意されたのでは、可哀想に、夫は気苦労が絶えなかっただろう。あの旅行が気づかれしたのは私も同じだが。
豊稔池ダムを見学した。何年かぶりにおとずれたのだが、周りはきれいに手入れされているし、石積はヨーロッパのお城みたいですばらしい。エリーゼは何を熱心に撮っているのかとおもえば、イネ科の草。彼らには、日本の緑溢れる自然が興味深いのかもしれない。オーストラリアでは、南のメルボルンではたしかに森林もあったけれど、砂漠も大きな面積をしめる。
雲辺寺に案内する。シーズンオフだからか、ロープウェイの中は数人の客しかいない。五百羅漢の顔がおもしろいのか、しばらく写真を撮っていた。
19日昼前、高松に出発した。後ろに75リットルのザック、前にデイパック、手には袋を提げている。一旦身体にセットしたら解除するのもタイへン。バックパッカーのスタイルである。今日から直島で二泊、大阪で三泊して奈良を観光、そしてバンコク、カンボジア、ベトナム、ラオス、中国を回ってオーストラリアへ帰る。彼らは4月末に日本に入っている。北海道と甲府の農場で仕事をしたり、日光、富士山、京都、広島、博多を観光している。徳島の祖谷の「古民家ちいおり」で二泊して観音寺に来た。これはなにかおもしろそうな施設だ。通算半年くらいの長い旅だ。費用も半端ではない。直島は今人気だけれども、ホテルはみな高そう。どこに泊まるのか聞いてみると、モンゴリアンテントにとまるのだそうだ。それなら安そう。ギャレスはパソコンで情報を得ている。便利だと驚くと同時に、もしなんらかの理由で使えなくなったら、言葉が通じないところでは困ったことになるだろう。何かにつけ、機械に依存しすぎてもよくない。チープに快適に旅を続けてほしい。
互いに精一杯の日本語と英語でコミュニケーションしようとするけれど、すぐ詰まる。そして沈黙。英語必須、と再確認した今日この頃である。