1週間以上前のこと、3月27日に谷川岳に登った。
この冬、埼玉に住む妹が雪山にはまって、何回か登山教室にも参加していた。アイゼン、ピッケルも購入して、使い方の講習も受けている。
四国の山では雪が少なくなっているので、関東北部の山に登ることにした。私は彼女の車を頼りにしている。彼女は運転が達者だ。どこへでも連れて行ってくれる。帰りの思いがけない事故渋滞も、高速を下りるという対応をして切り抜ける。都会での運転が全くできない私には、尊敬に値する。
天気は曇りという予報だった。冬の悪天候は怖いので不安であるが、せっかくその気になっているので、行けるところまで行ってみようと思った。スキー場から天神尾根を登る。スキーシーズンの終わった平日、何もかもガラガラ、空いている。人が少ないのもまた不安になる。
ゴンドラでスキー場まで上がる。登山の方5人がアイゼンを着けていた。初めての関東の山なので不安を感じていた。「谷川岳へ行くんですね?あとを付いていかせてもらっていいですか?」と端の女性に訊いたら、「ガイドにきいてください」という。で、ロープの装備を着けている男性に同じように訊くと、「いいですよ、でも面倒はみえませんよ」みたいなことを言われた。感じわるー。でも向こうにしてみれば、「お金払ってないんだろ、あつかましい」と思うよね。
結局、彼らはもたもたして時間がかかり、私達は彼らの前を歩いて行った。歩きだすと、トレースがはっきりとついていて、心配は要らないとわかった。
5人組はハーネス着けて、途中、ロープで繋いで歩いていた。彼らは頂上へは行かなかった。雪山トレーニングだったのだろうか。
稜線からスキー場を見る。ほとんど人がいない。もったいないなあ、独り占めで滑れるのに。
頂上にかかる雲はずっと消えてくれなかった。途中の避難小屋。2メートル近く積もっている。
いたるところ、大小の割れ目がある。肩の小屋手前の、地獄の急登では緊張した。表面が固く凍っているので、転んで滑り落ちたら、下の方まで一気に行ってしまう。
帰り道、振り返るとガスが消えて雄大な姿が現れる。谷川岳はこのピークの向こうだ。
この日登頂したのは、私たちを含めて6人。視界が悪い中、何度か、止めた方がいいかなと思ったが、二人組の男性に「あと少し」と励まされ、頑張れた。見ず知らずの人なのに、その一言に勇気と元気をもらえて頂上まで行けた。山ではみんな仲間なんだなと思う。
上り途中の事、先を歩いていた若い女性が「ホワイトアウトで怖いから止めます」と下ってきたとき、「一緒に行こう」と一言いえば良かったと悔やんだ。あの女性も喜びを共有できたのに。でも、あの時、私達も登頂の自信がなかった。
下山後、妹が素早く町営の温泉を探した。手際よい。
次は、仕事がシーズンオフになる梅雨に来られるかなあ。関東にも行きたい山がいっぱいできた。味を占めた。