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改正民法2020年4月1日施行 賃借人の建物の修繕する権利や原状回復など明確に

2019年06月28日 | 法律知識
 民法の債権関係分野の法律が改正され、賃貸借契約の改定ルールが2020年4月1日から施行される。改正のポイントについて解説する。

賃借物の修繕に関する要件の見直し

 アパートなど建物を借りていると雨漏りや備え付けのエアコンが故障する(賃借人が壊したわけではないのに)などが発生した時に、賃貸人が修繕しない場合、改正民法の607条の2(賃借人による修繕)では、①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知したか、又は賃貸人がその旨を知ったのに、賃貸人が相当の期間内に修繕をしないとき、②急迫の事情があるときには、賃借人は修繕することができることが法律で明確になった。
なお、賃借人が負担した修繕費用は、本来賃貸人が負担すべきものであり、賃借人から賃貸人に返還請求できる(民法608条)。

原状回復と敷金に関するルールの明確化

 賃借人が賃貸借契約を終了させ、借りていた建物を退去した場合の賃借人の原状回復義務について、改正民法621条では、原状回復の範囲について、通常損耗(賃借物の通常の使用収益によって生じた損耗)や経年変化については原状回復義務を負わないことは法文に明記された。
 敷金については、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義された。
判例に従い、賃貸借が終了して賃借物が返還された時点で敷金返還債務が生じること、その額は受領した敷金の額からそれまでに生じた金銭債務の額を控除した」残額であることなどのルールを明確化した。

保証人に関する規定

 アパートの賃貸借の連帯保証人の根保証契約では、賃料の滞納以外にも建物の原状回復義務など賃借人の一切の債務を保証することになり、際限のない債務を負担することから、今回の民法改正では、極度額(上限額)の定めのない根保証契約(連帯保証契約)は無効となる。極度額は「○○円」などと明瞭に定め、書面に記載する。極度額をいくらにするかは当事者の合意とされている。

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