東京多摩借地借家人組合

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“住宅弱者”を見捨てない!

2024年04月17日 | 最新情報
https://www.re-port.net/article/news/0000075396/

 高齢者や低額所得者、障がい者といった住宅確保要配慮者(以下、「住宅弱者」)の中には、そもそも住宅の確保が難しく、さらに住宅を見つけた後もそこで安定した生活を営むためのサポートが不可欠なケースが少なくない。このような住宅弱者に対し、相談から住まいの確保、入居後の一貫したサポートを提供する不動産事業者が見られる。
 神奈川県座間市を中心に賃貸仲介、管理等を手掛ける(株)プライム(神奈川県座間市、代表取締役:石塚 恵氏)は、高齢者を「絶対に見捨てない」をモットーに活動を展開している。
 2012年に開業する以前、母親の介護をきっかけに、高齢者や生活困窮者の住まい・生活サポートを行なうNPO法人「ワンエイド」を11年に開設。住宅探しに窮する多くの高齢者に遭遇したことから、「自分で不動産会社を立ち上げ、高齢者に住まいを提供したい」と決意し、独立に至った。
 同社は、ワンエイドとの両輪で高齢者の居住支援を実施。ワンエイドが困窮する高齢者の相談窓口となり、同社が部屋探しをするというスタイルだ。家賃が払えない場合には生活保護を申請して滞納しないことを条件にオーナーから部屋を提供してもらい、同社が入居後の見守りも行なう。こうした取り組みを続ける中で、徐々にオーナーの理解が得られるように。「創業時は6戸からのスタートでしたが、高齢者の入居を拒まない管理物件が現在は250戸を超えています」(石塚氏)。
 豊島区北池袋周辺や板橋区、北区で賃貸仲介、管理を手掛けるあさがお不動産(株)(東京都豊島区、代表取締役:宇山大紀氏)は、母子生活支援施設を退所するDV被害者や生活保護受給者の親子などを支援している。
 配偶者の暴力から逃げてきた女性が直接店舗を訪れるケースも。こうしたケースに対応するため、同社は一般貨物自動車運送(トラック運送)許可を取得。着の身着のままで逃げたきた女性がすぐに生活できるよう、古物商許可も取得し、家具・家電、食器などを安く仕入れ、住戸に備え付けているそうだ。
 「新居を加害者や配偶者に知られることだけは避けなくてはならない。社名の入っていないトラックで引っ越しを行ない、子供が通う小学校には『広報紙に載せない』『親を名乗ってかかってきた電話は取り次がない』などをお願いしに出向く」(同社福祉・要介護住居斡旋専門相談員・早川伸也氏)という。また、母親には「郵便物の転送設定をしない」「住民票や戸籍の閲覧を制限する」といったことをアドバイスする。
 「地域の警察署やケースワーカーとの連携強化、そして自分たちの取り組みに賛同してくれるオーナーを1人でも多く増やし、DV被害者が安心して生活できる住環境を提供したい」(同氏)。
 詳細は、(株)不動産流通研究所が発行する「月刊不動産流通2024年5月号」の特集を参照。住宅弱者の部屋探しと生活サポートを行なっている上記2社を含めた5社の事例を紹介している。

【最新号試し読み】月刊不動産流通 24年5月号
https://note.com/fudosanryutsu/n/nb5d4a3f40e4b

「月刊不動産流通2024年5月号」が発売となりました。

その中から、
・特集「『賃貸仲介・管理業の未来』Part7 住宅弱者を支える 」
・流通フラッシュ「地域の再生、課題解決。キーワードは『共創』」
の試し読みを掲載します。

試し読み①(一部掲載)
特集「『賃貸仲介・管理業の未来』Part 7 住宅弱者を支える 」

 ユーザーの住まい探しに際しては、それぞれの希望に沿って住宅を紹介するのが不動産事業者の基本的な役割だ。しかし、高齢者や低額所得者、障がい者といった人々の中には、そもそも住宅の確保が難しく、さらに住宅を見つけた後もそこで安定した生活を営むためのサポートが不可欠なケースも少なくない。そこで、このような住宅確保要配慮者(以下、「住宅弱者」)に対し、相談から住まいの確保、入居後の一貫したサポートを提供する不動産事業者が各地で見られるようになってきた。
 本特集では、賃貸住宅の提供、+αの生活支援で住宅弱者を支える事業者の取り組みを紹介。そこから住宅弱者への今後の支援のあり方を探ってみたい。

【単身高齢者】絶対に見捨てない。必要な世帯に見守り・食料支援も

◆門前払いされる高齢者に住まいを提供したい!

 神奈川県座間市を中心に賃貸仲介、管理等を手掛ける(株)プライム(神奈川県座間市、代表取締役:石塚 恵氏)は、高齢者を「絶対に見捨てない」をモットーに活動を展開している。石塚氏は2012年に開業する以前、他の不動産会社に勤務しており、部屋探しに訪れる高齢者を「利益にならないしリスクが高い」と門前払いすることに心を痛めていたという。その会社を辞めた後、母親の介護をきっかけに、高齢者や生活困窮者の住まい・生活サポートを行なうNPO法人「ワンエイド」を11年に開設。住宅探しに窮する多くの高齢者に遭遇したことから、「自分で不動産会社を立ち上げ、高齢者に住まいを提供したい」と決意し、独立に至った。
 同社は、ワンエイドとの両輪で高齢者の居住支援を実施。ワンエイドが困窮する高齢者の相談窓口となり、プライムが部屋探しをするというスタイルだ。家賃が払えない場合には生活保護を申請して滞納しないことを条件にオーナーから部屋を提供してもらい、プライムが入居後の見守りも行なう。スタッフ4名が週に1回ほどのペースで入居者を訪問。「困ったことはないか」などと声を掛けコミュニケーションを図るなど、高齢者に孤独感・孤立感が生じないよう配慮している。
 住まいに困っている人は、日々の食事にも事欠いていることが多い。最初は自分が食べる弁当を渡していたという同氏だが、11年からはワンエイドでフードバンクを開始した。地元のスーパーマーケットや食品会社などに足繁く通い、食材等の提供を呼び掛けたところ、徐々に協力してくれる企業が増加。寄付された米やレトルト食品などを高齢者を含む生活困窮者に提供している。
 こうした取り組みを続ける中で、周辺のオーナーから「部屋を提供してもよい」と連絡が入るように。「創業時は6戸からのスタートでしたが、高齢者の入居を拒まない管理物件が現在は250戸を超えています」(同氏)。

◆行政・NPOとの三位一体が 「座間モデル」として定着へ

 改正セーフティネット法が施行されたのを機に、地元・座間市役所が積極的に居住支援に取り組むようになり、ワンエイドは市役所から住まいの相談事業を依頼されるようになった。ワンエイド、行政、プライムのトライアングル支援「座間モデル」が定着しつつあり、これを手本に、近隣の相模原市の不動産事業者数社が協力して居住支援のNPO法人を立ち上げようとする動きもある。「1社単独で居住支援を行なっていくのは難しいと思います。高齢者支援は、オーナーへの説得や見守りといった手間がかかる割に、メリットは仲介手数料をいただけることくらい。何らかのインセンティブがあると、居住支援に取り組む事業者がもっと増えるのでは」(同氏)。  
 今後、同社では訪問介護ステーションと連携して(※)「居住サポート住宅」を運営していきたいと考えている。「ワンエイドは生活の困りごとの相談には応じられますが、いざ高齢入居者の具合が悪くなったときに十分なケアはできません。介護・看護のプロと連携し、高齢者が安心して生活できる環境づくりを行なっていきます」(同氏)。
(※)居住支援法人等が、要配慮者のニーズに応じて、安否確認、見守り、適切な福祉サービスへのつなぎを行なう住宅

この特集では他にも、【DV被害者】【路上生活者】【障がい者】【ひとり親世帯】をサポートする事業者の取り組みを紹介。改正住宅セーフティネット法など、国による施策についても解説しています。

試し読み②(全文掲載)
流通フラッシュ「地域の再生、課題解決。キーワードは『共創』」

不動産事業者を核に多様な関係者が連携。地域に新たな活力と価値を生み出す

 全国各地で問題となっている空き家や空き店舗の増加。単に個人資産の未活用の問題にとどまらず、住宅地や商店街の衰退やまちの活力低下にもつながるとして深刻視されている。こうした空き家や空き店舗の多くは、基幹産業の衰退やまちの中心軸の変化といった地域固有の問題が背景にあり、行政や事業者が単体で取り組んでも、思うような解決には結び付かない。
 そうした中、不動産事業者が中心となって、地方公共団体や教育機関、地域住民や異業種と協働で遊休不動産を再生。地域づくりやコミュニティづくりを通じて、新たな地域価値を「共創」する取り組みに注目が集まっている。
 国土交通省も、こうした新たな「共創」の活動に注目し、2022年に「地域価値を共創する不動産業アワード」を創設。毎年優れた取り組みを表彰している。23年9月から行なわれた2回目の募集にも、全国から36件の応募があり、DIY手法で遊休不動産を再生し新たな住民や起業家を呼び込み地域を活性化している取り組みや、不動産事業者と地域とが一体となって「良き商い」を育て空き店舗の活用を進める取り組みなど9件が表彰された。
 いずれにおいても、不動産事業者は単なる「場の提供者」ではない「クリエイター」としての役割を担い、多様な関係者と力を結集し、空き家や空き店舗の利活用だけにとどまらない、地域課題や社会課題の解決に貢献している。
 地方創生が重要テーマとなっている中で、こうした「共創」の取り組みはますます期待が高まっていくだろう。

その他さまざまなコーナーが有ります

「月刊不動産流通2024年5月号」には、この他にも不動産実務に関わるさまざまなコーナーを掲載しています。
・宅建業者が知っておくべき『重説』に必要な基礎知識Q&A 〜建築編
「改正建築物省エネ法」
・関連法規Q&A 
「『改正障害者差別解消法』について教えてください。」
・一問一答!建築のキホン
「建築家が設計したような空間を作るにはどうすればよいですか?」
・不動産登記の現場から 
「外国人、海外居住者の登記手続き」
・適正な不動産取引に向けて―事例研究
「司法書士への必要書類の預け入れは履行の着手に
当たらないとして買主の手付解除を認めた事例」
などなど…
不動産会社の取り組みや、不動産業に携わる方々に役立つ情報を多数紹介。業界の把握に役立ちます。

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相続登記が令和6年4月1日から義務化についてQ&A(東京法務局より)

2023年12月27日 | 最新情報
法務省、東京法務局のホームページの「相続登記の義務化についてQ&A」より

(Q1)不動産(土地・建物)の相続登記が義務化されるのは、なぜですか❔
(AI)相続登記がされないため、登記簿を見ても所有者が分からない「所有者不明土地」が全国で増加し、周辺の環境悪化や公共工事の阻害など、社会問題になっています。
 この問題解決のため、令和3年に法律が改正され、これまで任意だった相続登記が義務化されることになりました。
(Q2)相続登記の義務化とは、どういう内容ですか❔
(A2)相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になります。法務局に申請する必要があります。
 正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
 遺産分割の話し合いで不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に、登記をする必要があります。
(Q3)義務化が始まるのは、いつからですか❔始まった後に、対応すれば大丈夫でしょうか❔
(A3)「相続登記の義務化」は、令和6年4月1日から始まります。ただ、今のうちから備えておくことが重要です。
 また、令和6年4月1日より前に相続した不動産も、相続登記がされていないものは、義務化の対象になります(3年間の猶予期間があります。)ので、要注意です。
(Q4)不動産を相続した場合、どう対応すれば良いですか❔ 新制度のペナルティが不安なのですが。
(A4)相続人の間で早めに遺産分割の話し合いを行い、不動産を取得した場合には、その結果に基づいて法務局に、相続登記をする必要があります。
 早期の遺産分割が難しい場合には、今回新たに作られた「相続人申告登記」という簡便な手続きを法務局にとって、義務を果たすこともできます。
❋相続人申告手続きは、戸籍などを提出して、自分が相続人であることを申告する、簡便な手続きです..


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分譲マンションの建替え決議で賃借権消滅! 区分所有法改正中間試案に全借連が反対意見提出

2023年09月20日 | 最新情報
 法制審議会区分所有法制部会は、2023年6月8日に「区分所有法制の改正に関する中間試案」を取りまとめ、意見募集を行っています。令和6年の通常国会に法案が提出される予定です。
区分所有建物(マンション)の建て替えなど円滑化を図るため、建替え決議要件の緩和に加え、建替え決議がされた区分所有マンションに住む賃借権についても消滅させる案が検討されています。全借連として事務局長名で9月1日に法務省民事局宛てに次の意見を提出しました。

 法制審議会区分所有法制部会の「区分所有法制の改正に関する中間試案」の第2の1(2)の建替え決議がされた場合の賃借権等の消滅について、(ア)存続期間中の賃借権の消滅、(イ)更新等に関する借地借家法の適用除外についいずれの案も以下の理由により反対する。

 現行の借家制度において、定期借家契約を除く普通借家契約において、賃貸人が契約の更新拒絶叉は解約の申し入れをするには正当事由を必要としている(借地借家法28条)。賃貸人の主張する建替えの必要性のみでは正当事由が認められないことは法文上明らかであり、区分所有建物に居住ないしは営業する賃借人に対し、建替え決議のみで正当事由を適用しないとして適用除外を認めることになれば、借家制度の根幹である正当事由制度を解体し、賃借人の居住や営業の権利を脅かすものであり、区分所有部会部会の審議で進められることに反対である。区分所有マンションが老朽化するに伴い、マンションに居住しないまま、賃貸で貸し出す物件が増え、建替え決議が賃借人を立ち退かせる口実に利用されることは明らかである。

 また、(ア)の存続期間中賃借権の消滅については、B案では賃借権消滅請求がされた時から4カ月もしくは6カ月が経過したときは、専有部分の賃借権が消滅するとされているが、賃借権の消滅により生ずる損失補償金支払の請求ができたとしても、賃貸借契約期間を定めた意味がなくなり、契約期間中の賃貸人からの突然の明渡しによって受ける賃借人の損害ははかり知れない。
現在、不動産業者よる地上げ問題が多発し、借地借家法を無視して「3カ月以内に立ち退け」と脅迫する事例が後を絶たず、明渡しに応じないことで生ずる人権侵害の嫌がらせに怯えて不合理な立退き請求に応じてしまう賃借人が多いのが現実である。建替え決議を唯一の根拠にして、賃借人の居住する権利を一方的に奪うことは許されない。借地借家法制の賃借人の居住の権利を賃貸人及び建替えを求める区分所有者の言い分のみ認めて、賃借人の権利をないがしろにすることのないよう、立退きを求められる賃借人の事情等をより重視し、審議会において区分所有法制の慎重な審議を求めるものである。

(全国借地借家人新聞より)
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居住支援の検討会で、全宅連・全日らが取り組み紹介

2023年08月30日 | 最新情報
https://www.re-port.net/article/news/0000073502/

 国土交通省は28日、「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」の3回目の会合をオンライン併用で開催。各委員が、所属する団体の取り組みを発表した。不動産業界団体からは、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)、(公社)全日本不動産協会(全日)が、住宅確保要配慮者に対する居住支援の取り組みについて説明した。

 全宅連理事の岡田 日出則氏は、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」「終身建物賃貸借」の認知度と利用意向について、会員事業者向けに行なった調査の結果を紹介。その結果を踏まえ、残置物処理等に関するモデル条項については、「活用ケースが限定的。残置物処理や賃貸借契約の解除等、契約終了時の手続きの簡素化を図るとともに、国による運用指針の策定等が必要ではないか」と言及。終身建物賃貸借制度では、「認定制度や改修要件が制度普及のネックになっている」とし、「普通賃貸借・定期建物賃貸借などとともに、一般的な賃貸借の類型として位置付けるなど、思い切った見直しが必要ではないか」と要望した。

 全日常務理事の出口賢道氏は、高齢者等の賃貸住宅への入居円滑化に向けた課題について説明。家主側の心理的阻害要因として、「物件棄損」「残置物」「風評被害」リスクの3つを挙げた。「孤独死の場合、特殊清掃や大規模なリフォームが必要となる。また、発見状況によっては次なる入居付けに際して告知を要し、これにより賃料下落の懸念があることから、円滑な入居が阻害されている事情が見受けられる」とした。また、高齢者等への住宅提供環境に関し、「保証契約に際し、緊急連絡先となる親族等がいない場合、多くの保証会社において審査が通らないため、契約締結に至らない」と言及。セーフティネット住宅情報提供システムについて、「家主、管理会社の認知が進んでいないことも阻害要因」であると説明した。

 そのほか、(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、社会福祉法人・全国社会福祉協議会、更生保護法人・全国更生保護法人連盟が、それぞれ居住支援に関する報告を行なった。

 これまでの検討会の議論を踏まえ、座長の大月敏雄氏(東京大学大学院工学系研究科教授)が、住宅セーフティネット制度の見直しの方向性を示した。「居住支援の充実、賃貸人が住宅を提供しやすい市場環境の整備、住宅確保要配慮者のニーズに対応した住宅等の確保に取り組む必要がある」(同氏)。そのほか、委員からは「まずは居住支援に関する認知度を上げる工夫が必要では」「セーフティネット住宅に関するサイトの充実も課題」「居住者の属性が変化することを鑑み、変化に柔軟な追従性を持った終身建物賃貸借制度となることを求める」といった意見が挙がった。4回目の会合は、9月21日に行なわれる予定。
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公営住宅入居の保証人、不要にしても「特に支障ない」 規定削除した県内8自治体が回答 事務の円滑化や負担軽減のメリットも

2023年07月05日 | 最新情報
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1729581.html

 公営住宅入居の際に保証人を必要とする条例の規定を削除した自治体へ県司法書士会(上原修会長)が調査したところ、回答した8
自治体全てが、規定削除による支障について「特に生じていない」と回答した。上原会長は「規定を削除していない自治体は、家賃収
納率が低下することなどを懸念している。今回の調査で実態が明らかになり、(条例改正への)後押しとなると思う」と話した。同様
の調査は初めてという。
 司法書士会によると、現在県内では県と13市町村が保証人規定を削除している。調査は今年3月28~4月30日にかけて、県と11市町村
を対象に実施。県と国頭村、那覇市、豊見城市、与那原町、八重瀬町、名護市、糸満市から回答を得た。県は、支障について「その
他」も選び「滞納家賃の納付について、連帯保証人からの納付が期待できない」と答えた。
 規定を削除したことによる効果について、名護市と与那原町が「保証人を確保できないことによる入居辞退などの解消」と答えた。
那覇市など5市町が、審査事務の軽減などによる自治体側の事務の負担軽減、円滑化をメリットに挙げた。
 上原会長は「保証人がいることで長期間滞納を放置してしまうケースもあった。保証人をなくすことで、滞納者に会って福祉につな
げたり悪質な場合は厳しく対応したりという適正な管理につながる」と話した。
 単身の入居者が死亡した際に残された家財などの移動や処分などに関する事務処理要領については、8自治体全てが「定めていな
い」と回答した。
 保証人の問題に取り組んできた県司法書士会総務部長の安里長従氏は「離婚して最初に困るのは住まい。保証人がおらず受け付けて
もらえないという相談を受けたことがある」と話し、「保証人が不要な自治体は増えているが、まだまだ周知が不足している。住まい
の貧困の解消に向けて、さらに関心を持ってほしい」と話した。
 (沖田有吾)

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空家対策特別措置法が一部改正 管理不全空家に固定資産税が増税

2023年05月31日 | 最新情報
 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案が衆議院で審議され5月12日に全会一致で可決され、参議院で審議され、今国会で成立する見込みです。
法律案の上程の背景としては、居住目的のない空家がこの20年で1・9倍に増加し、今後の増加する見込みであること。空家の除去等のさらなる促進に加え、周囲に悪影響を及ぼす前の有効活用や適切な管理を総合的に強化する必要があるとされています。  
         
 法案では、現行の「適切な管理努力義務」に加え、所有者に区や自治体の施策に協力する努力義務が加わりました。その他、空き家等の活用拡大、空き家等の管理の確保、特定空家等の除去等の内容からなり、管理の強化では①特定空家化を未然に防止する管理として、放置すれば特定空家になる恐れのある空家(管理不全空家)に対し、市町村から所有者に対し指導・勧告がされ、勧告を受けた空家は、固定資産税の住宅用地の特例(6分の1等に軽減)を解除され、固定資産税が更地並みに増税となります。また、市町村長に特定空家等に対する報告徴収権(勧告等を円滑化)が付与され、特定空家除去の命令等の手続きを経るいとまがない緊急時の代執行制度を創設し、所有者不明時の代執行、緊急代執行の費用は確定判決なしで徴収できるなど強い権限が与えられています。


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国土交通省 単身高齢者を対象とした残置物処理等のモデル契約のオンラインセミナーに参加

2023年02月21日 | 最新情報
 国土交通省が所管する社会空間研究所のオンラインセミナーに参加しました。

 賃貸住宅の入居に当たって賃貸人に対する調査で高齢者(60歳以上)に対し7割以上の家主が入居拒否感強いと言われています。その理由として、家賃の支払いに対する不安とともに、賃借人の死亡時に残された家財の処理の問題があると言われています。

 そこで、国交省は拒否感を払拭するために、残置物の処理や死亡時の賃貸借契約の解除がスムーズに進めるために、賃借人に受任者を定めてもらい、賃借人死亡後に委任契約に基づき、賃貸借契約の解除と残置物の処分を実行してもらうという話です。

 受任者は推定相続人か居住支援法人、管理業者の第3者がなるということですが、お金がある高齢者であれば受任者になる人がいるかもしれませんが、お金のない単身の高齢者のために委任契約を行ってくれる受任者が出てくるのか、はなはだ疑問です。今後、単身の高齢者に賃貸住宅を貸す条件に残置物処理等の委任契約に応じられない高齢者は排除される恐れもあり、単身の高齢者が安心して入居できる公営住宅の整備が必要ですが、単身の高齢者向けの都営住宅は応募倍率が高く、簡単には入居できないのが現実です。(多摩借組ニュースより)

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業界従事者の過半が事故物件の取り扱いに抵抗

2023年02月15日 | 最新情報
不動産従事者の77.5%が事故物件を扱ったことがないと回答!不動産業界における、事故物件とそのガイドラインについて、意識・認知度の調査を実施致しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000054696.html

業界従事者の過半が事故物件の取り扱いに抵抗
https://www.re-port.net/article/news/0000071633/

 (株)マークス不動産は13日、「事故物件」と「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」に関する意識・認知
度調査の結果を公表した。全国547人の不動産業従事者(20~70歳代)を対象にインターネット調査を実施。調査期間は2022年7月27~
28日。
 「事故物件に対するイメージ」については、「安い」(55.0%)がトップ。以下、「幽霊が出そう」(40.2%)、「運気が下がる」
(32.4%)とネガティブな回答が続いた。
 「事故物件を扱うことに抵抗はあるか」については、56.7%が「ある」と回答。「ない」(18.3%)を大幅に上回り、不動産従事者
でも事故物件に抵抗を感じる人が多いことが分かった。「事故物件を扱った経験」は、77.5%が「ない」と回答。「経験がある」回答
者が扱った物件は、「孤独死物件」が17.7%、「自殺物件」が11.7%、「殺人物件」が3.1%、「火災による死亡事故」が2.6%だっ
た。取引形態は、賃貸取引が76.4%、売買取引が38.2%。
 21年10月に国土交通省より発表された「人の死の告知に関するガイドライン」については、「知らない」(44.6%)が4割強と、不
動産業界従事者であってもガイドラインの認知度は進んでいないことが明らかになった。
 「事故物件の告知」については、60.1%が「丁寧に告知するのが望ましい」と回え、「必要最低限の情報のみをするのが望ましい」
(30.0%)を大幅に上回った。一方、「告知しない」(4.9%)、「聞かれたら答える」(4.9%)との回答もあった。
 実際に売買物件を行なう際の告知については、「死因と場所、発生した時期等の詳細まで知らせている」(50.6%)が過半数を占
め、「死因と場所」(24.7%)、「死因のみ」(15.0%)が続いた。9.7%にとどまったものの、「告知しない」との
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公営住宅の空き家が急増中 未募集空家が大幅増加

2023年02月13日 | 最新情報
 全国の公営住宅の空家が、2011年度(平成23年度)から2020年度(令和2年度)の10年間で2倍化(4大都市圏)をしている問題で、国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)は国土交通省に対し、この状況をどのように捉えて改善するのか質問し、昨年12月2日に回答がありました。

 公営住宅の空き家が急増している要因として「未募集空家」の増大が考えられ、10年間で大幅に増加しています。東京都は10年間で75%も増加し、20111年度の10997戸から2020年度は28700戸増加しています。大阪府も64%も増加し、2020年度の未募集空家が24286戸と空き家総数の約1割を占めています。

 未募集空家は、「大規模修繕、改造等」及び「用途廃止等を行うため」とされ、用途廃止には「建替え」と「廃止・削減」があるとされていますが、国交省の回答では空家の原因については、「都道府県に細かく分けて聞いていない」、「分けることは都道府県の負担になるので、現状を変えることは考えていない」との回答でした。

 また、準備中の空家も10年間に増えています。神奈川県では2772戸から7316戸、埼玉県が833戸から3906戸、兵庫県では2354戸から4502戸、福岡県が2432戸から6561戸に増加しています。準備中空家は入居募集の最中の空家との回答で、地方都市では応募がない状況もあり、3階以上でエレベーターがない住宅が空家になり、空家が長期化し維持管理も困難になっています。長期空家が多い自治体は兵庫県で2020年度に7843戸と5602戸も増加しています。 
         
 公営住宅は大都市部では不足しており、住まいの貧困が加速する中で、空家のまま放置することなく、有効な活用が望まれます。尼崎市で行った住宅困窮者のための「目的外使用」など全国で広がるよう組合でも運動していきましょう。      









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日本住宅会議サマーセミナー「健康と居住をめぐって」

2022年10月05日 | 最新情報
 日本住宅会議のサマーセミナーは、9月10日午後2時からオンラインで開催されました。

 今年は「健康と居住をめぐって」とのテーマで阪東美知子氏(国立保健医療科学院)、岩前篤氏(近畿大学副学長)、岡本祥浩氏(中央大学教授)の三氏から多面的な報告がありました。

 阪東氏は、住居衛生に関して法律がなく、1965年に公害審議会生活環境部会で健康な居住水準の設定などが議論され、1970年に建築物衛生法ができたが、事務所やビルの衛生に関するもので住居は定められないままに来ている。住まいと健康は密接な関連があり、熱中症や転倒転落、凍死など家庭における不慮の事故死が増えている背景等について指摘しました。

 岩前氏は「脱酸素社会における住宅のありよう」について報告。国は住宅性能表示制度の断熱等性能等級(等級1~7)という省エネ基準について、等級4を2025年に義務化するとしました。日本の既存の戸建て住宅の現状は、等級1~等級3が86%で、等級4は僅か10%。アメリカやヨーロッパの新築住宅は等級7を義務づけられており、日本の住宅性能は極めて遅れた現状にあり、住宅の断熱性を高めることが健康な住宅であると強調しました。

 続いて、岡本氏より健康と居住の関係について居住環境、健康観の変化健康を改善させる居住の在り方等について報告がありました。質疑では新型コロナに感染し自宅療養した場合の居住環境問題など質問が出ました。
(全国借地借家人新聞より)
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居住支援法人の活動、実態「知ってほしい」 コロナ禍で需要増も運営厳しく【NEXT特捜隊】

2022年05月27日 | 最新情報
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1069849.html

 「低額所得者や高齢者、ひとり親世帯などの賃貸住宅入居をサポートする居住支援法人について知ってほしい。コロナ禍を経て相談
件数が急増し、運営に困難が生じています」。読者の疑問や困りごとに応える静岡新聞社「NEXT特捜隊」に、静岡市清水区で居住支援
活動を行う鈴木久義さん(48)から依頼が届いた。現状を知るため早速、鈴木さんが総括責任者を務める法人「WAC清水さわやかサー
ビス」の支援現場に同行させてもらった。
 「仕事をくびになったとき、子どもがどうなってしまうのか、それが一番心配だった」。目に涙を浮かべて話すのは、静岡市清水区
に住む日系ブラジル人の丸山フェリペさん(30)。引っ越したばかりの2DKのアパートには、最低限の家具が置かれていた。丸山さん
は、静岡市の食品加工工場で派遣社員として働いていた。しかし3月上旬、派遣元から突然解雇を言い渡された。2024年9月までの雇用
契約途中の、予告ない解雇だった。3歳の息子と派遣会社の寮で暮らしていたが、そこも3月末で退去するよう命じられた。新型コロナ
による不景気の影響もあり、それまでの収入も月に10万円程度。「あす、息子に食べさせるものもどうしようかと、途方に暮れる毎日
だった」と振り返る。
 そのような状況の中、静岡市の紹介でWAC清水を知った。鈴木さんが不動産会社と交渉。間に入って家賃の支払いを見守ることを条
件に、入居審査を省いてもらい、丸山さんが受給している生活保護の範囲で支払える家賃に減額してもらったという。「鈴木さんが毎
日忙しい中、自分のことを最後まで気にかけてくれたのがうれしかった」と丸山さん。今後、仕事探しに本腰を入れていく予定だ。
 WAC清水さわやかサービスによると、新型コロナウイルス流行前だった2018年度の相談件数は32件、入居は6件だった。感染拡大とと
もに相談件数は年々増え、2021年度は123件、入居は66件に上った。国土交通省の補助金を受給しているが、直近2~3年は200万円ほど
の赤字が続いている。鈴木さんは「多忙のため人員を増やしたいが、人件費を捻出できる見込みがなく踏み切れない」という。資金繰
りの壁にも直面し、継続可能な体制確保に苦慮している。
 同省の調査事業「居住支援協議会調査ワーキング」で委員長を務める、日本大文理学部社会福祉学科の白川泰之教授は「国の補助金
の配分の見直しと、特定の団体に負担が偏らない仕組みが必要」と話す。同省の補助金は、年間の予算が設定されていて、申請した全
国の居住支援法人で分けあう仕組み。近年、居住支援法人が全国的に増え、1法人当たりの補助金が減っているという。白川教授は
「各法人の活動の充実度に合わせて軽重をつけるなど、配分のあり方を議論する必要がある」と主張する。
 「市町村単位で福祉サービスが連携することも重要」。白川教授はそうも指摘する。例えば、福岡市では市社会福祉協議会が入居相
談の窓口となり、入居後は民生委員が見守ったり、高齢者や外国人のサポートは市の専門部署が担ったりと業務を分散させているとい
う。白川教授は「福祉の担い手である市町村が旗振り役になり、地域のニーズに合わせて柔軟に対応することが大切」と話す。

■家賃の支払い、孤独死が不安…入居制限の理由は

 「居住支援協議会調査ワーキング」が2019年に全国の不動産関係団体や事業所を対象に行ったアンケートで、入居制限の理由を聞い
たところ、低所得者世帯やひとり親世帯に対する理由は「家賃の支払いに不安」、高齢者世帯に対する理由は「孤独死などの不安」が
挙がった。
 WAC清水では、入居者を1カ月に2度ほど訪問し、入居者の健康状態や生活上の不安がないかなどを確認する。生活が安定したら頻度
を落とすが電話での相談は随時受け付ける。
 静岡市葵区の富士不動産はこれまで、WAC清水の依頼に30件以上協力してきた。入居者の家賃滞納や、近隣トラブルは1件もないとい
う。富士不動産の前川るりこさん(52)は「配慮者の方には何かあったときにすぐ相談できる人が必要。その点、居住支援法人が間に
入っていると安心感がある」と話す。

居住支援法人 賃貸住宅の契約が困難とされる「住宅確保要配慮者」に対し、入居相談や情報提供、入居後の見守り、生活サポートな
どを行う。住宅確保要配慮者は①月収15万8千円以下の低額所得者②被災者③高齢者④障害者⑤子育て世帯⑥外国人などの住宅確保に
特に配慮を要する者として国土交通省令で定めるもの、とされている。2017年に制定された住宅セーフティネット法に基づき都道府県
から指定を受ける。静岡県内では22年4月現在、9団体が指定を受けている。

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ドイツベルリンで住民投票可決 民間賃貸住宅を市が強制的に収用し、公的賃貸住宅に

2022年05月19日 | 最新情報
 ドイツでは家賃の高騰が大きな政治問題になっています。昨年9月にドイツ連邦議会選挙と同時に行われた首都ベルリン州で住民投票が行われ、「3000戸以上のアパートユニットを所有する大手不動産会社の物件をベルリン州が強制的に収用(購入)し、公的な賃貸住宅とする」ことへの賛否を問い、賛成56・4%、反対39%で可決されました。

 ドイツでは1989年のベルリンの壁崩壊後、公営住宅は民間不動産会社に売却され、25年間に半分以下になり、買い取った不動産会社が巨大化し、市場を独占し家賃を高騰させているという背景があります。

 住民投票には法的拘束力がないものの、社民党・緑の党、左翼党の連立の州政府の対応が注目されています。「公から民へ」が当たり前の社会になっている中で、「民から公へ」という画期的な住民投票とベルリン市民の草の根運動に敬服です。(全国借地借家人新聞5月号より)
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賃貸入居を断られやすい高齢者 官民の支援で壁を低く

2022年02月21日 | 最新情報
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20220131-OYTET50031/

 高齢になると、賃貸物件への入居が難しくなるという。家主側が高齢者の家賃を負担する能力や健康を不安視することが主因だ。高
齢化が進むなかで、増加する独居高齢者の住居確保が深刻な課題となっており、入居難に直面する高齢者を支援する動きが広がってい
る。(平井翔子)

不動産会社が見守り・自治体も物件紹介


面談や電話

 「新型コロナウイルスの感染が広がっているけど、僕は風邪もひかず元気。おかげさまで困り事もないよ」
 1月中旬、東京都八王子市に住む男性(87)が、不動産会社「中央企画」(東京都多摩市)を訪れた。男性から近況報告を受けるの
は、同社事業部マネジャー、馬場節子さんだ。同社では2~3か月に1回、管理物件の高齢居住者から面会や電話で報告を受ける決まり
になっているという。
 男性は55歳の時に離婚して以来単身で、6年前から家賃5万円のワンルームのアパートで生活をしている。馬場さんは「65歳以上の方
でも実際に会うと元気で、支払い能力に問題のない人も多い」と話す。定期的な近況報告は、家主や管理会社の不安を軽減するための
工夫の一つだ。
 中央企画は居住者の異変を早めに察知するため、動静を見守る装置を住居に設置している。冷蔵庫などの電気使用量を自動的に解析
し、使用頻度などの変化を検知すると、中央企画にメールが送られてくる。男性は「干渉にならない程度に気に掛けてくれるので助か
る」と笑顔を見せた。

希望は増加

 持ち家と比べ、維持費用の少ない賃貸住宅を希望する高齢者は増えている。また、体力に応じて掃除などの家事負担を減らすため小
規模住宅へ転居するケースも少なくない。2018年の総務省の調査では、賃貸物件に住む単身の65歳以上は約213万世帯で、13年から
14%増加した。
 一方で、不動産業者「R65」(同杉並区)が20年に行った調査では、65歳以上の回答者348人のうち、23・6%が「賃貸住宅の入居を
断られたことがある」と答えた。4人に1人の割合だ。そのうち5回以上断られた経験がある人も13・4%いた。R65の山本遼代表取締役
(32)は「高齢化は進んでおり、賃貸住宅を希望する高齢者も増える。民間企業と行政が連携し、高齢者が入居を断られない仕組み作
りが必要だ」と強調する。

設備に助成

 自治体に民間と連携する動きもある。東京都葛飾区では17年から、電気やガスなどの利用状況を家族にメールで知らせる民間の見守
りサービスを導入する際に、設置費用の9割を助成(上限1万3500円)している。区の担当者は「自治体が補助することで、見守りサー
ビスへ信頼をもっていただき、高齢者や大家の不安解消につなげていきたい」と期待する。
 福岡市社会福祉協議会と同市は共同で、65歳以上や障害のある人に、入居を受け入れる賃貸住宅を紹介している。弁護士やボラン
ティア団体、葬儀業者など約14の企業や団体と連携しているのが特徴だ。市社協の栗田将行課長は「社会福祉協議会のような半官半民
の組織は、民間の企業や団体と柔軟に協力しやすく、市民にとっても相談してもらいやすい」と説明する。
 入居後の定期的な訪問や電話による見守りのほか、家事の手伝い、死後の家財回収や清掃、葬儀などのサービスも提供している。
 神戸大の平山洋介教授(住宅政策)は「室内の段差解消といったバリアフリー化や、居住者の死後に発生した居室の改修費用、家賃
滞納リスクの対策などで、家主の不安を緩和することが重要だ。民間だけでは担えないため、国や自治体が中心的な役割を果たすこと
も不可欠だ」と指摘している。

◆独居高齢者= 65歳以上で一人暮らしをする人は2015年現在、625万3000人いた。その後、男女ともに増加傾向にあり、40年には896
万3000人と、25年間で43.4%増えるとする試算もある。未婚率の上昇も増加の一因とみられる。入院や賃貸住宅の入居の際などに
「身元保証人」となる頼れる家族がいなくて困るケースも多い。

次の入居者への告知に指針 国交省

 単身高齢者や障害者、ひとり親世帯など、入居を断られやすい「住宅弱者」の住まいを保障し、家主の不安を軽減させるため、国も
動き始めている。
 2017年には、改正住宅セーフティネット法に基づき、高齢等を理由に「入居を拒まない」空き家や空き部屋を紹介する「住宅セーフ
ティネット制度」が始まった。登録物件は専用サイトで閲覧できるほか、各地で指定された非営利組織(NPO)などによる住居選びの
支援も受けられる。登録戸数は約68万戸(1月24日時点)あるが、空室物件が少ないため、さらに登録を増やすことが今後の課題と
なっている。
 家主側の高齢者を敬遠する最大の理由とされているのが孤独死のリスクだ。「事故物件」と扱われて次の入居契約が入りにくくなる
という不安が、高齢者の入居を難しくしている。
 これに対し国土交通省は昨年10月、老衰や病気などの自然死は「発生が当然に予想される」として、入居者に対する告知は原則とし
て必要ないとするガイドライン(指針)を策定・公表した。一定の基準を示すことで、家主側の不安を軽減し、高齢者を受け入れやす
くなると期待される。
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高齢者お断り」の賃貸住宅がなくならない、知られざる理由

2022年02月07日 | 最新情報
宗 健 麗澤大学客員教授・大東建託賃貸未来研究所長/AI-DXラボ所長
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00247/020100026/

 日本が高齢化社会に突入したといわれて久しいが、住まいを自由に選べない高齢者は年々増加している。
 それは、高齢者の増加と持ち家率の低下によって、高齢者が必要とする賃貸住宅数が増えているにもかかわらず、高齢者が借りやす
い住宅はなかなか増えないことが背景にある。
 今回はなぜ高齢者が家を借りにくいのか、その隠れた構造的背景について考えてみたい。

 この連載ではこれまで何度も「持ち家か賃貸か」というテーマを取り上げてきた。
 連載第4回で述べたように、年齢が上がるに従って持ち家率が高まることからも持ち家が有利であるのは自明と考えている。しかし
一方で、第5回で紹介したように、持ち家率は近年低下している。例えば、住宅・土地統計調査の1998年と2018年を比べると、45~49
歳の持ち家率は69.7%から60.5%と大きく低下している。
 このような状況を踏まえると、高齢化で世界のトップランナーである日本においては今後、高齢者の住まいをどうするかという問題
を避けて通れない。
 平均寿命は1950年には男性63.6歳、女性67.75歳だったが、1990年には男性75.92歳、女性81.9歳と大きく伸び、2020年時点では男性
81.64歳、女性87.74歳と男女ともに80歳を超えている。
 今生きている人が、どのくらいまで長生きするかは、平均余命という指標で推測できる。
厚生労働省が作成している令和2年(2020年)簡易生命表によれば、現在50歳の人(ちなみに、
日本人の平均年齢は47.8歳)の平均余命は男性33.12年、女性38.78年。つまり現在50歳の人は、平均で男性は83歳まで、女性は88歳ま
で生きることになる。このようにこれからも平均寿命は延び続け、男性で85歳近くになり、女性は90歳を超えると予測されている。
 例えば夫35歳、妻30歳だとすると、夫は85歳になるまでの50年間、妻の立場で考えれば90歳になるまでの60年間、住まいを確保しな
ければならないということになる。
この時、35年ローンで家を買ったとすると夫70歳、妻65歳の時点で返済が終了することになり、妻はその後の25年間は家賃の心配はす
る必要がなくなる。この安心感が持ち家の大きなメリットと言えるだろう。
 しかし、賃貸住宅に住み続ける場合には、そうはいかない。夫35歳、妻30歳の時点で子どもがいる場合、少なくとも20年程度は比較
的広い家が必要となる。子どもが独立して手ごろな住まいに引っ越すときには、夫は55~60歳、妻は50~55歳になっている。
 未来の不動産の状況を予測することは極めて困難だが、現状では夫60歳、妻55歳で家を借りることは、ややハードルが高くなってい
る。そして、例えば夫が85歳で亡くなったときに80歳の妻が新たに小さな部屋を借りることは極めて難しい。持ち家でローン返済が終
了していれば、多少広い家でも問題はないが、年金生活で夫が亡くなった場合の年金額では家賃を支払いきれない可能性が高く、引っ
越しを考えざるを得ないが、現状ではなかなか貸してくれないのである。

法律を厳守すれば高齢者には貸せない

 民間賃貸住宅市場で高齢者に部屋を貸したがらないのには、大きく3つの要因がある。
 1つは、家賃滞納リスクである。高齢賃貸住宅居住世帯は十分な金融資産を保有していないケースがあり、必ずしも余裕があるとは
言えない年金受給額から家賃を支払うことになる。ひとたび家賃滞納が始まれば正常化することが困難だと判断される。さらに家賃滞
納によって建物明け渡し訴訟を起こしたとしても、転居先が見つからなければ強制執行が行われない場合がある。そうしたリスクを家
主が回避する傾向にある。
 しかし、筆者の家賃滞納に関する研究論文では、60歳以上の家賃滞納確率は年齢別に見ると最も低く、家賃滞納リスクは実際には低
いことが強く示唆されている。逆説的に言えば、高齢者は家を借りにくいからこそ、家賃をしっかり払おうという動機が強いというこ
となのだ。
 2つ目の要因は死亡時の対応になる。夫婦での入居の場合には、亡くなったことに誰も気づかない孤独死のリスクはあまりないが、
単身入居の場合には孤独死の可能性がつきまとう。そして、発見が遅れれば部屋自体の原状回復に多額の費用がかかり、告知義務が発
生し家賃も下落することになる。
 孤独死を防ぐことは実際には難しく、いわゆる見守りサービスはその多くが孤独死を防ぐことではなく、孤独死をできるだけ早く見
つけることに主眼を置いている。それは残されたご遺族に多額の原状回復費用を請求しないことにもつながるからである。
 これら2つは、読者の皆さんも、仮に自分が家主になると想像した場合にきっと思いつくリスクだろう。しかし家主が高齢者に貸し
たがらない3つ目の要因は、想像がつくだろうか。
 実はこの要因が実は最も構造的な課題を含んでいる。それは「賃貸借契約は相続される」ということだ。
 借地借家法は1921年に成立し、太平洋戦争が始まる直前の1941年3月に、家主からの解約を制限することで出征者の家族の住まいを
安定させるための正当事由制度が導入された。賃貸借契約が相続されるのも、戦死者の家族が借家に住み続けられることを担保すると
いう背景があった。しかし、戦後75年を経て、賃貸借契約が相続される社会的意義はかなり薄れたにもかかわらず制度は変わっていな
い。
 そのため、厳密に法律を守ろうとすると、以下のようなことが起きる。
 借家人が死亡しても、相続人全員による相続手続きが完了するまでは、賃貸借契約は解除できず、部屋にある物品にも手を付けられ
ない。その間の家賃収入は途絶え、場合によっては相続放棄となり、それまでの家賃収入も残置物の処理費用も全てが貸主の負担にな
ることもある。
 現実の賃貸市場では相続手続きの完了を待たずに残置物を撤去し、新たに部屋を貸し出すことが行われているが、厳密に言えばこれ
は法律に違反した自力救済となる。つまり、法律を守ろうとすればするほど、高齢者には貸せなくなるのだ。
 そうした状況を変えようと2011年に改正された「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者居住安定確保法)」では、「終身建
物賃貸借制度」が新設された。借り主が60歳以上の場合は本人が死亡するまで終身にわたり居住でき、死亡時には賃貸借契約が終了す
ることとなっている。
 しかし、この制度の適用を受けるには都道府県知事の認可が必要であり、事実上数十年にわたって建物の用途が固定化されるためほ
とんど普及しておらず、東京都ではわずか52棟が認可されているにすぎない。しかも、そのほとんどがサービス付高齢者住宅か有料老
人ホームとなっている。
 さらにこの終身建物賃貸借制度では、契約者の死亡時に賃貸借契約は終了するものの、契約とは別の概念である建物の明け渡しと残
置物の処理について明確な規定がない。そのため、相続人と残置物の処理について紛争が起きる可能性は否定できない。

公営住宅は退去義務がないので空かない

 このように民間賃貸住宅市場では高齢者を敬遠する構造的な問題があるため、
受け皿になっているのが公営住宅やUR賃貸住宅だ。公営住宅は借地借家法とは別の公営住宅法を基に運営されている。1990年の最高裁
判決で、民間賃貸住宅の賃貸借契約とは異なり「その相続人は、その使用権を当然に継承するものではない」とされており、高齢者を
受け入れやすい。
 この点に加えて、そもそも公営住宅は民間賃貸住宅と異なり営利を目的としていないため、死亡時の原状回復費用や部屋の明け渡し
完了までの家賃負担といった経済的リスクが入居時の判断に影響しないということもある。もっとも、こうした公営住宅のコストは納
税者負担になっていることには留意が必要だろう。
 ただし都市部を中心に、高齢者が入居を希望してもなかなか順番が回ってこずに入れないことがあるようだ。
 また先ほど、公営住宅では使用権が相続されないと紹介したが、実際にはそうではない。
 例えば東京都では、都営住宅の使用承継制度というものがあり、東京都住宅政策本部のホームページには「公募の例外である使用承
継によって長年にわたり同一親族が居住し続けることとなり、入居者・非入居者間の公平性を著しく損なっている原状がみられます」
という記載がある。こうした問題を解決するために東京都では2007年より「使用承継を認める範囲を原則として名義人の配偶者のみ」
とすることとしているが、問題が全て解決しているとは言いがたい。
 公営住宅法では、公営住宅の入居条件である所得制限を超える所得があったとしても退去義務がない。基準を超えた収入があったと
しても、「当該公営住宅を明け渡すように努めなければならない」という努力義務しか規定されていないからだ。そのため無理に退去
させることができず、希望者が入居できないという状況が生まれている。
 持ち家率が低下する中、高齢者世帯の賃貸住宅の確保は急務と言える。しかし高齢者を受け入れるための法制度が十分に整っていな
いことから、民間賃貸住宅で増え続ける高齢者世帯を受け入れることは現実的ではない。
 こうした課題の解決については様々な検討が行われている。筆者も委員として参加した「高齢者棟の居室内での死亡事故等に関する
賃貸人の不安解消に関する調査」や、国土交通政策研究所の「賃貸住宅等における残置物問題に関する検討会報告」といったものもあ
る。しかし、法制度の再構築には合意形成のために長い時間がかかる。であれば、原状の制度の中でどのような解決策があるのかを考
えるべきだろう。
 1つの方法は、民間賃貸住宅を借り上げて公営住宅として高齢者に貸し出す枠組みである。民間賃貸住宅の借り上げ公営住宅は、
2011年の東日本大震災のときに大規模に運営された。実際には現場で様々な問題が発生したが、家主は国に貸すという枠組みであった
ため、入居者の家賃滞納や死亡時の対応といったリスクから解放されるメリットがあった。
 これに伴い、老朽化している公営住宅の更新を止め、滅失を進めることも検討されるべきだろう。「民間の事業者としては高齢者に
貸しにくい状況が今後も解決されない」という前提の下、必要な高齢者向け賃貸住宅は借り上げ公営住宅として運営し、高齢者の受け
皿を作っていくのだ。既存の民間賃貸住宅を活用すれば、人口減少によっていずれ不要になる可能性の高い公営住宅の新設や更新コス
トを削減できる。その一方で、民間賃貸住宅経営者が負担してきた高齢者に関する様々な追加コストを、社会全体の負担として税金で
まかなうことができる。
 このように民間、公営という枠を超えた、俯瞰(ふかん)的な未来を見据えた住宅政策が求められているのだ。そして、その恩恵を
被るのは、未来のあなたかもしれない。

参考文献

高齢者等の居室内での死亡事故等に対する賃貸人の不安解消に関する調査 三菱総合研究所 平成25年2013年3月
https://www.chintai.or.jp/common/img/pdf/kourei-tintai02.pdf
137ぺージ

国土交通省 国土交通政策研究所 賃貸住宅等における残置物問題に関する検討会報告
https://www.chintai.or.jp/common/img/pdf/kourei-tintai02.pdf
 賃貸住宅等における残置物問題に関する検討会報告
◆要旨
 近年、高齢化、核家族化、未婚者の増加などが相まって、一人暮らしの高齢者(単身高齢者)が増加傾向しており、賃貸住宅におい
ても単身高齢者の入居機会の拡大が求められている。しかしながら、単身高齢者の中には、子や兄弟姉妹がいないなど、いわゆる身寄
りのない人も少なくない。賃貸住宅の所有者(賃貸人)としては、そのような単身高齢者が賃貸住宅に入居中に亡くなった場合には、
相続人と連絡がとれず、賃貸借契約を終了させ、居室内にそのまま残された物(残置物)を円滑に処理することが困難になる。それが
要因の一つとなり、賃貸人が単身高齢者に住戸を賃貸することを忌避・敬遠しがちであるという状況が生じている。このような問題の
解決策の一つとしては、入居者(賃借人)が自分の死亡後の残置物処理について相続人や第三者と委任契約を結んでおくという形も考
えられるが、今後さらに単身高齢者の増加が予想されることに鑑みると、そのような個別の契約による措置とは別に、死亡した賃借人
の相続人以外の者による円滑・適正な処理を可能とするための統一的なルール・手続を整備することも有用であると考えられる。本研
究所では、このような問題意識に立ち、「賃貸住宅等における残置物問題に関する検討会」を立ち上げ、
残置物処理の適切なあり方について提言するため、調査検討を行ってきた。本報告書は、その結果をまとめたものである。
◆キーワード
賃貸住宅、単身高齢者、残置物、遺品整理、遺失物、終身借家
◆発行
令和3年6月
◆在庫
<在庫有>(重量105g 厚さ2mm)
◆詳細
詳細(PDF:7MB)
https://www.mlit.go.jp/pri/houkoku/gaiyou/pdf/R3_6.pdf

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高齢者、家借りやすく 遺品処理など孤独死リスク対応

2021年11月26日 | 最新情報
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD15A6M0V11C21A1000000

高齢者が賃貸住宅に入居しやすくする取り組みが不動産業者で広がっている。高齢者が物件を借りようとする場合、孤独死などのリス
クからオーナーに敬遠されやすい。亡くなった後の持ち物の処理を引き受けたり、こうした物件の情報を開示し納得してもらったうえ
で転貸したりすることでオーナーや高齢者の負担を軽くする。
高齢者の持ち家率は全体的には高いが、単身世帯に限ると、賃貸住宅などに暮らす割合は約3割にのぼる。総数は2018年時点で200万世
帯を超える。賃貸で長く暮らし続ける人がいる一方、持ち家があっても子どもの独立や配偶者の死亡などを機に、コンパクトで交通の
便が良い賃貸へ移ることを考える人も一定数いるとみられる。
ただ、思うように入居できない高齢者が少なくない。入居中に亡くなって「事故物件」になることなどへの警戒感がオーナーに根強い
からだ。

持ち物の処理、引き受け

不動産会社のフラット・エージェンシー(京都市)は昨年、高齢者の専用店「下鴨ひろば」(同)を開いた。平均年齢70歳のベテラン
従業員のみを配置した。「同年代の視点から、高齢者の住まい探しを支援する」(同社)ことが狙いだ。
同社はオーナーから家を借り、高齢者に転貸するのと並行し、入居後の見守りサービスも手掛けてきた。今後は専用店舗の開設を機に
事業の範囲を広げる。例えば、高齢の入居者が亡くなったとき、部屋に残された持ち物処理の事務作業を引き受ける。持ち物の扱いに
苦慮するオーナーは多く、処理を受託することで入居の拡大につなげる。
下鴨ひろばで今年末にも、この事業の相談会を始める。将来は複数の高齢者が同居するシェアハウスも転貸方式で展開する方針だ。候
補の物件は、地域の空き家などの活用を視野に入れる。

事故物件、情報開示して転貸

通常は入居をためらう事故物件を逆に活用するのが不動産会社のMARKS(横浜市)だ。オーナーから借りた事故物件を高齢者へ転貸す
る事業を昨年、始めた。入居を予定する高齢者には、自殺なども含め物件の事故情報を開示し、納得してもらったうえで、見守りサー
ビスなども加えて契約する。
「立地や部屋の広さなどの条件が良く、通常より賃料が割安な物件もある」(同社)。老後資金の節約のため事故物件を積極的に選ぶ
高齢者も増えているといい、すでに複数の契約を結んだ。

受け取れなかった家賃、保険で補償

東京海上日動火災保険は今年10月、入居者の孤独死などが原因でオーナーが受け取れなかった家賃を補償する保険を拡充する検討を始
めた。要望に応じ、従来より1年長い最大3年の損失を補償する方針だ。
15年の発売以来、保険の契約は伸び続けており、同社は「リスクヘッジをさらに厚くすれば、もう一段の高齢者の入居促進につなが
る」とみる。
単身の高齢入居者が亡くなったときの賃貸借契約の解除などを円滑にする契約のひな型を、国土交通省が今年6月に公表するなど、国
も流通促進に動き出した。入居者の死後、契約を解除できる代理権を持つ第三者「受任者」を入居時に定めるのが柱だ。受任者には部
屋に残った持ち物の処理を任せることもできる。
不動産コンサルティングのさくら事務所(東京・渋谷)の長嶋修会長は「孤独死などのリスクに対応する制度は整いつつあるが、高齢
者を積極的に受け入れる動機づけがまだ乏しい」と指摘。「物件によっては国がオーナーから借り上げ、高齢の入居者に転貸するな
ど、さらなる流通促進策も検討すべきだ」と話す。
(堀大介)
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