東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

東京都が東借連など住宅運動団体の2024年度住宅

2024年04月30日 | 国と東京都の住宅政策
 東京住宅運動連絡会が提出した2024年度の予算要求書に対し、東京住宅政策本部は3月1日付で回答書を書面で提出した。同連絡会に参加している東借連は、今年度27項目を要求した。東京都は都内8団体から提出された都民の切実な住宅要求に対し、協議する場も設けず回答に対する再質問も文書で回答するなど回答の内容も含め、小池都政の冷たい姿勢を反映している。

⑴ 都営住宅の新規供給の
25年間ゼロ計画を改め公営住宅の大量建設を
(回答)今後とも都営住宅について既存ストックの有効活用を図りながら、真に住宅に困窮する都民に公平かつて的確に供給していく。
⑵ 住宅セーフティネット
登録制度の抜本的改善と要配慮者専用旧宅の供給促進策を
(回答)区市町村や不動産業団体等の意見を踏まえながら、国の補助制度の改善に向けて国に働きかけを行うとともに、国の補助制度を活用して貸主に対する補助を行う区市への財政支援や、補助制度を導入していない区市へ戸別訪問し、制度の導入を働きかける。
⑶ 高家賃負担で苦しむ若
年単身世帯や母子世帯、高齢者等に対する家賃補助(住宅手当)等の施策の実施を
(回答)家賃補助については、国も対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担の問題点を指摘しており、また生活保護制度との関係等、多くの課題があると認識している。都では東京ササエール住宅において家賃低廉化する貸主を補助する区市町村の取組に対して、国と併せて財政支援を行っている。
⑷ 高齢者が民間賃貸住宅
の入居を拒否されている。高齢者が民間賃貸住宅で安心して住み続けられるよう、孤独死・孤立死問題を貸主任せにせず、見守り機器の設置補助や孤独死保険などの対策を
(回答)高齢者を含み住宅確保要配慮者の居住安定のために、東京ササエール住宅の登録を着実に進める。見守りサービスや残置物処理等に関するモデル契約条項の普及促進などにより、貸主の不安軽減を図る取組みを進める。
⑸ 家賃保証業者や管理会
等を法的に規制するため国と連携した取り組みを。保証業者を任意の登録制度ではなく、許可制にして国や自体が保証業者を指導できるように。
(回答)住宅政策本部・産業労働局に保証会社への法的な指導権限がないため回答できない。管理業法は国の所管であり、都は国の動向を注視していく。
⑹ 契約の更新や契約の終
了時に宅建業者が更新手数料を借主に請求したり、敷金の返還を拒んだり、明渡しを請求する等弁護士法違反の悪質な業者への指導の強化を
(回答)賃貸住宅に関しての更新手続きや退去時の原状回復のような管理業務において、更新時に高額な更新手数料を要求し、過大な原状回復費用を請求する例も見受けられるが、これらは宅地建物取引業法の規制の対象外である。国は、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の発行などにより、業界等への注意喚起等取組を進めていたが、令和3年6月「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が施行した。こうした動向を踏まえ、都においても国と連携しながらトラブルについて個別の相談に対応し、講習会等を通じて引続き適切に対応する。
⑺ 地上げ行為を規制でき
るよう宅建業法の抜本的見直しを国に要請を。
(回答)宅地建物取引業法による規制は、賃貸では代理・媒介業務が対象であり、自ら賃貸を行う行為は対象外となるが、底地の買取りを執拗に求める行為は、売買の勧誘行為に当たり、迷惑な勧誘行為等につき勧誘の相手方からのご相談や調査などに基づいて認定できた違反に対しては、行政指導・行政処分等現勢に対処する。
⑻ 賃貸借契約の更新時に
宅建業者から請求される更新手数料は管理業務を依頼した家主から取るべきである。
(回答)更新事務手数料は賃貸の管理業務において生じるものであり、宅地建物取引業法に定められているものでないので、業者に対して指導することはできない。
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社説:住宅弱者 誰も入居拒否しない社会に

2024年04月26日 | 法律知識
https://nordot.app/1155053615676523113

 「住宅弱者」をどう救うか。
 1人暮らしの高齢者が2050年に1千万世帯を超え、5軒に1軒の割合になるという国の最新推計が公表された。死別や未婚で頼れる身寄
りがなく、暮らしの根幹となる住まいへの入居を拒まれ、行き場をなくす人の増加が懸念される。
 単身高齢者らの住宅確保を支援するため、住宅セーフティーネット法改正案が今国会で審議されている。2017年に創設した高齢者、
低所得者らの入居を拒まない賃貸住宅を紹介する「セーフティーネット登録住宅」制度を拡充する内容だ。
 日本賃貸住宅管理協会の調査では、単身の高齢者の入居に拒否感がある大家は65%、実際に60歳以上の単身者の入居を断っている大
家は11%あった。大家側の理由は、孤独死と遺品の処理への不安、家賃滞納、認知症になった場合など入居後の課題の相談ができるか
といった懸念が背景にあるとされる。
 セーフティーネット登録住宅は昨春時点で、京都府約1万3千戸、滋賀県約1万千戸。制度創設後の新型コロナウイルス禍での停滞を
勘案しても、伸びを欠く。入居相談や家賃債務保証をサポートする居住支援法人の数も十分といえないという。
 障害者や低所得者、ひとり親世帯も家を借りにくい住宅弱者だ。児童養護施設を出た人も保証人を見つけるのが難しい。
 一方で、空き家は増えている。18年調査で京都府は17万戸、全国で846万戸に上り、総住宅数の1割を占める。住宅施策と福祉施策の
間に空いた大きな溝を埋めねばならない。
 改正法案は、入居後の見守りや一定の債務保証などサポートの強化で、大家の不安を軽減する狙いがある。国会審議を通し、実効性
を高めてほしい。
 国が同法で「住宅確保要配慮者」と定義するより幅広く、入居差別に苦しむ人たちがいることにも目を向けてもらいたい。
 同性パートナーの世帯、生活習慣の異なる外国籍の世帯、ヘルパーが頻繁に訪れる難病患者、刑務所を出所した人らである。差別や
偏見から家を借りにくい「住宅難民」ともいえよう。理不尽に住まいの確保を拒まれ続け、諦めている人の実態を十分に把握する必要
がある。
 府県営や市町村営などの公営住宅こそ、本来の住宅セーフティーネットにほかならない。
 連帯保証人が見つからずに入居できない人をなくすため、国土交通省が、公営住宅の募集に際して保証人規定を削除するよう全国の
自治体に要請したことは評価できる。京都府や京都市も保証人規定を除いた。
 民間賃貸住宅がいまだカバーできない住宅弱者の受け皿として、公営住宅が果たすべきことは多い。福祉施策と結びつけてさらに要
件を柔軟にし、入居後のサポートを充実させることが求められよう。

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違法・不当な保護行政が浮き彫りに 桐生市生活保護違法事件全国調査団が要請・市民集会

2024年04月24日 | 生活保護 住宅扶助
http://www.zenseiren.net/osirase/news/2024/2692/2692.html

 全国生活と健康を守る会連合会(全生連)などの市民団体、支援団体、弁護士、研究者らが今年2月に発足させた「桐生市生活保護
違法事件全国調査団」(全国調査団)は4月4、5日、昨年11月に報道された「生活保護利用者に1日1000円しか支給しない」
などの群馬県桐生市の生活保護行政(本紙2月11日号で一部既報)について、市や県などへの要請、市内で市民集会などを行いまし
た。(齊藤 豊、永久俊満)

4グループで要請行動

 全国調査団は4月4日、桐生市生活保護違法事件について翌5日に行う行動の打ち合わせ会議を行いました。
 井上英夫団長(金沢大学名誉教授)のあいさつ、全生連の吉田松雄会長の経過報告、支援団体などから事件の概要などの説明、全国
調査団が桐生市に提出した質問状の回答の分析などの後、5日の行動グループごとに打ち合わせを行いました。
 翌5日、全国調査団は、午前中に(1)群馬県庁へ要請、(2)桐生市福祉課、第三者委員会へ要請、(3)桐生市が委託(いたく)する金
銭管理団体への要請、(4)フードバンク・生活相談、の4つのグループに分かれ行動しました(2面に記事)。
 午後には、桐生市市民文化会館で「誰もが人間らしく生きるために」と題し、桐生市の生活保護をよくする市民集会・シンポジウム
を開催。報道関係者を含め市内外から約200人が参加しました。
 集会では、井上団長のあいさつに続き、午前中に行われた全国調査団の(1)~(4)の行動の報告が行われました。

事件の要因は“組織的”

 続いて、今回の事件の当事者Aさんの音声データが流され、生活保護申請時の支援者の同行拒否、威圧的な対応で申請不受理、保護
開始後も市に勝手に保護費1日1000円の分割窓口支給とされ、ハローワークに行った証明がないと保護費を支給しないとされたこ
となど、違法な行政の対応が語られました。
 尾藤廣喜(ひろき)弁護士と花園大学の吉永純(あつし)教授は、以前に全国で起きた同類の事件を説明。今後必要なこととして
(1)実態・問題点を究明し違法・不当性の明確化、(2)第三者委員会の重要性、県や国への働きかけ、(3)改善策の提案とその実施の監
視―などを挙げました。
 反貧困ネットワークぐんまの町田茂事務局長は、桐生事件の背景・要因に、2005年の市の行財政改革方針に「自己責任、自己負担
の大原則」「扶助費などを中心に削減」と書かれていることを挙げ、事件は保護係長などの思いつきで発生したのではなく、市の目標と
して組織的に行われてきたと指摘。また、保護課に警察OBを4人も配置していることなどで市民を恫喝(どうかつ)し、保護申請数を
抑制する「水際作戦」、違法・不適切な対応で保護辞退に追いやる「硫黄島作戦」などが横行していることを批判しました。

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住宅セーフティネット法改正法案が参議院先議で可決 居住支援サポート住宅の認定制度を創設

2024年04月23日 | 国と東京都の住宅政策
 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給促進に関する法律等の一部を改正する法律案(住宅セーフティネット法改正)が4月5日の参議院本会議で可決成立しました。

 同法案は、単身世帯の増加によって孤独死や死亡後の残置物処理等の課題への不安から単身高齢者など要配慮者に対する大家の拒否感が強く、高齢者がアパートに入居できない問題が発生。法案では①大家と要配慮者が円滑に利用できる市場環境の整備、②居住支援法人が入居中サポートを行う賃貸住宅の供給促進、③住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化が必要としています。

 法案の概要としては、「大家が賃貸住宅を提供しやすく、要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備」として、◎相続されない終身建物賃貸借の利用促進、◎居住支援法人による残置物処理の推進、◎要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者の認定制度の創設、住宅金融支援機構の家賃債務保証保険を利用することで、家賃滞納等の保証リスク低減が謳われています。

 法案のもう1つの柱は、「居住支援法人等が入居中サポートを行う賃貸住宅の供給促進」で、◎居住サポート住宅の認定制度を創設する。居住支援法人等が、要配慮者のニーズに応じて、安否確認、見守り、適切な福祉サービスのつ
なぎを行う。生活保護入居者の住宅扶助費(家賃)は原則代理納付。要配慮者は認定保証業者が家賃債務保証を原則引き受ける。

 3点目は「住宅施策と福祉施策連携した地域の居住支援体制の強化」で、市町村による居住支援協議会の設置(努力義務化)し、住まいに関する相談窓口ら入居前・入居中・退去時支援まで、住宅と福祉の関係者が連携した地域における総合的・包括的な居住支援体制の整備推進が盛り込まれています。

 参議院の審議では要配慮者が入居できる公営住宅や低家賃の民間賃貸住宅が不足している、サポート住宅のサポート料など入居者の負担になる等の問題点も出ていました。

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横浜市男女共同参画推進協会が単身者の住宅状況を調査、借家世帯は今後の住まいの不安が過半数に

2024年04月17日 | ジェンダーと住宅貧困
 全世帯に占める一人暮らし(単身世帯)の割合が増加しています。国立社会保障・人口問題研究所は4月に「日本の世帯数の将来推計」を発表。この中で単身世帯は、20年の38%から50年には44・3%と急激に増加する予想です。単身世帯とくに女性の単身世帯にとって、住宅の課題と問題点について、横浜市の男女共同参画推進協会は、横浜市に住む単身者500人に住まいの状況~シングル女性の課題を中心にアンケート調査を行い、昨年3月に調査報告書を発表しました。

 2020年の国勢調査によると50歳未婚率は男性25・8%、女性16・4%を占め、20年前と比較する男性2倍以上、女性3倍以上に急激に伸びています。
 今回の調査は、横浜市内で一人暮らしをする勤労世代がどのような住まいに住み、居住についてどのような課題をかかえ、どのような支援ニーズを持っており、どのようなジェンダー格差があるのかを把握することを目的としています。調査項目は27項目で、男性・女性各250人から無作為にウェブアンケート行っています。

① 住居費負担率家賃や住宅ローンの支払額などの住居費について、全体では6万円~9万円未満が40・2%と最も高く、次いで3万円~6万円未満が31・2%を占めています。賃貸住宅では全体で6万円~9万円未満が50・4%と高い。 月収に占める住居費の負担率は30%台以上が全体で31・4%と高くなっている。とくに賃貸住宅居住者の負担率は、30%台以上の割合は、全体で37%、女性36・6%、男性36・9%で、持ち家も含めた全対象者の回答より高くなっています。

②住居費の支払についての負担感
住居費の負担感について、全体で「やや負担」が31%で最も高く、次いで「非常に負担」が22・2%で、合計すると53・2%と過半数が負担に感じています。女性では「やや負担」34%、「非常に負担」が21・6%で、合計55・6%と住居費の負担を重く感じています。

③今後の住まいの不安
持ち家以外を対象として、今後の住まいの不安について過半数が不安を禁じています。具体的な内容では「家賃等を払えなくなること」が36%と最も高く、「転居することになっても保証人を頼める人がいないこと」が全体で17・6%、男性で19・9%と高くなっています。「転居することになっても初期費用が準備できないこと」全体で17・6%、女性では18・4%、「更新を断られること」が全体で14・7%、「立ち退きを迫られること」が全体で15%を占め、立ち退き等に伴う借家問題の不安が高い割合を示しています。

④単身者への住まいのサポート
 単身者への住まいのサポートとして利用したいことについて、全体で69%は利用したいサポートがあると回答しています。中でも「国や自治体からの家賃補助」が36・2%と最も高く、次いで「保証人や保証制度の見直し」と「単身でも入居しやすい公営住宅」がいずれも35・2%となっています。
 女性では利用したいサポートがある割合は72・8%と高く、具体的には、「国や自治体からの家賃補助」と「単身者も入居しやすい公営住宅」がいずれも38・4%で、次いで「保証人や保証制度」が36・8%となっています。「国や自治体からの初期費用(仲介手数料・敷金・礼金)の補助」や「年齢や性別、職業、収入等で入居を断る業者等への指導」では男性と比べ女性から高い要望の声が上がっています。

 本調査を監修された追手門学院大学の葛西リサ准教授は「生涯未婚率、離婚率の上昇による単身世帯の増加をはじめ、雇用の非正規化の急速な進行は、婚姻を前提とした居住保障システムを崩壊させ、女性たちの居住の貧困を露呈させることにつながった」と指摘しています。家賃補助制度や公営住宅の入居資格の改善など住宅政策の見直しが必要です。
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“住宅弱者”を見捨てない!

2024年04月17日 | 最新情報
https://www.re-port.net/article/news/0000075396/

 高齢者や低額所得者、障がい者といった住宅確保要配慮者(以下、「住宅弱者」)の中には、そもそも住宅の確保が難しく、さらに住宅を見つけた後もそこで安定した生活を営むためのサポートが不可欠なケースが少なくない。このような住宅弱者に対し、相談から住まいの確保、入居後の一貫したサポートを提供する不動産事業者が見られる。
 神奈川県座間市を中心に賃貸仲介、管理等を手掛ける(株)プライム(神奈川県座間市、代表取締役:石塚 恵氏)は、高齢者を「絶対に見捨てない」をモットーに活動を展開している。
 2012年に開業する以前、母親の介護をきっかけに、高齢者や生活困窮者の住まい・生活サポートを行なうNPO法人「ワンエイド」を11年に開設。住宅探しに窮する多くの高齢者に遭遇したことから、「自分で不動産会社を立ち上げ、高齢者に住まいを提供したい」と決意し、独立に至った。
 同社は、ワンエイドとの両輪で高齢者の居住支援を実施。ワンエイドが困窮する高齢者の相談窓口となり、同社が部屋探しをするというスタイルだ。家賃が払えない場合には生活保護を申請して滞納しないことを条件にオーナーから部屋を提供してもらい、同社が入居後の見守りも行なう。こうした取り組みを続ける中で、徐々にオーナーの理解が得られるように。「創業時は6戸からのスタートでしたが、高齢者の入居を拒まない管理物件が現在は250戸を超えています」(石塚氏)。
 豊島区北池袋周辺や板橋区、北区で賃貸仲介、管理を手掛けるあさがお不動産(株)(東京都豊島区、代表取締役:宇山大紀氏)は、母子生活支援施設を退所するDV被害者や生活保護受給者の親子などを支援している。
 配偶者の暴力から逃げてきた女性が直接店舗を訪れるケースも。こうしたケースに対応するため、同社は一般貨物自動車運送(トラック運送)許可を取得。着の身着のままで逃げたきた女性がすぐに生活できるよう、古物商許可も取得し、家具・家電、食器などを安く仕入れ、住戸に備え付けているそうだ。
 「新居を加害者や配偶者に知られることだけは避けなくてはならない。社名の入っていないトラックで引っ越しを行ない、子供が通う小学校には『広報紙に載せない』『親を名乗ってかかってきた電話は取り次がない』などをお願いしに出向く」(同社福祉・要介護住居斡旋専門相談員・早川伸也氏)という。また、母親には「郵便物の転送設定をしない」「住民票や戸籍の閲覧を制限する」といったことをアドバイスする。
 「地域の警察署やケースワーカーとの連携強化、そして自分たちの取り組みに賛同してくれるオーナーを1人でも多く増やし、DV被害者が安心して生活できる住環境を提供したい」(同氏)。
 詳細は、(株)不動産流通研究所が発行する「月刊不動産流通2024年5月号」の特集を参照。住宅弱者の部屋探しと生活サポートを行なっている上記2社を含めた5社の事例を紹介している。

【最新号試し読み】月刊不動産流通 24年5月号
https://note.com/fudosanryutsu/n/nb5d4a3f40e4b

「月刊不動産流通2024年5月号」が発売となりました。

その中から、
・特集「『賃貸仲介・管理業の未来』Part7 住宅弱者を支える 」
・流通フラッシュ「地域の再生、課題解決。キーワードは『共創』」
の試し読みを掲載します。

試し読み①(一部掲載)
特集「『賃貸仲介・管理業の未来』Part 7 住宅弱者を支える 」

 ユーザーの住まい探しに際しては、それぞれの希望に沿って住宅を紹介するのが不動産事業者の基本的な役割だ。しかし、高齢者や低額所得者、障がい者といった人々の中には、そもそも住宅の確保が難しく、さらに住宅を見つけた後もそこで安定した生活を営むためのサポートが不可欠なケースも少なくない。そこで、このような住宅確保要配慮者(以下、「住宅弱者」)に対し、相談から住まいの確保、入居後の一貫したサポートを提供する不動産事業者が各地で見られるようになってきた。
 本特集では、賃貸住宅の提供、+αの生活支援で住宅弱者を支える事業者の取り組みを紹介。そこから住宅弱者への今後の支援のあり方を探ってみたい。

【単身高齢者】絶対に見捨てない。必要な世帯に見守り・食料支援も

◆門前払いされる高齢者に住まいを提供したい!

 神奈川県座間市を中心に賃貸仲介、管理等を手掛ける(株)プライム(神奈川県座間市、代表取締役:石塚 恵氏)は、高齢者を「絶対に見捨てない」をモットーに活動を展開している。石塚氏は2012年に開業する以前、他の不動産会社に勤務しており、部屋探しに訪れる高齢者を「利益にならないしリスクが高い」と門前払いすることに心を痛めていたという。その会社を辞めた後、母親の介護をきっかけに、高齢者や生活困窮者の住まい・生活サポートを行なうNPO法人「ワンエイド」を11年に開設。住宅探しに窮する多くの高齢者に遭遇したことから、「自分で不動産会社を立ち上げ、高齢者に住まいを提供したい」と決意し、独立に至った。
 同社は、ワンエイドとの両輪で高齢者の居住支援を実施。ワンエイドが困窮する高齢者の相談窓口となり、プライムが部屋探しをするというスタイルだ。家賃が払えない場合には生活保護を申請して滞納しないことを条件にオーナーから部屋を提供してもらい、プライムが入居後の見守りも行なう。スタッフ4名が週に1回ほどのペースで入居者を訪問。「困ったことはないか」などと声を掛けコミュニケーションを図るなど、高齢者に孤独感・孤立感が生じないよう配慮している。
 住まいに困っている人は、日々の食事にも事欠いていることが多い。最初は自分が食べる弁当を渡していたという同氏だが、11年からはワンエイドでフードバンクを開始した。地元のスーパーマーケットや食品会社などに足繁く通い、食材等の提供を呼び掛けたところ、徐々に協力してくれる企業が増加。寄付された米やレトルト食品などを高齢者を含む生活困窮者に提供している。
 こうした取り組みを続ける中で、周辺のオーナーから「部屋を提供してもよい」と連絡が入るように。「創業時は6戸からのスタートでしたが、高齢者の入居を拒まない管理物件が現在は250戸を超えています」(同氏)。

◆行政・NPOとの三位一体が 「座間モデル」として定着へ

 改正セーフティネット法が施行されたのを機に、地元・座間市役所が積極的に居住支援に取り組むようになり、ワンエイドは市役所から住まいの相談事業を依頼されるようになった。ワンエイド、行政、プライムのトライアングル支援「座間モデル」が定着しつつあり、これを手本に、近隣の相模原市の不動産事業者数社が協力して居住支援のNPO法人を立ち上げようとする動きもある。「1社単独で居住支援を行なっていくのは難しいと思います。高齢者支援は、オーナーへの説得や見守りといった手間がかかる割に、メリットは仲介手数料をいただけることくらい。何らかのインセンティブがあると、居住支援に取り組む事業者がもっと増えるのでは」(同氏)。  
 今後、同社では訪問介護ステーションと連携して(※)「居住サポート住宅」を運営していきたいと考えている。「ワンエイドは生活の困りごとの相談には応じられますが、いざ高齢入居者の具合が悪くなったときに十分なケアはできません。介護・看護のプロと連携し、高齢者が安心して生活できる環境づくりを行なっていきます」(同氏)。
(※)居住支援法人等が、要配慮者のニーズに応じて、安否確認、見守り、適切な福祉サービスへのつなぎを行なう住宅

この特集では他にも、【DV被害者】【路上生活者】【障がい者】【ひとり親世帯】をサポートする事業者の取り組みを紹介。改正住宅セーフティネット法など、国による施策についても解説しています。

試し読み②(全文掲載)
流通フラッシュ「地域の再生、課題解決。キーワードは『共創』」

不動産事業者を核に多様な関係者が連携。地域に新たな活力と価値を生み出す

 全国各地で問題となっている空き家や空き店舗の増加。単に個人資産の未活用の問題にとどまらず、住宅地や商店街の衰退やまちの活力低下にもつながるとして深刻視されている。こうした空き家や空き店舗の多くは、基幹産業の衰退やまちの中心軸の変化といった地域固有の問題が背景にあり、行政や事業者が単体で取り組んでも、思うような解決には結び付かない。
 そうした中、不動産事業者が中心となって、地方公共団体や教育機関、地域住民や異業種と協働で遊休不動産を再生。地域づくりやコミュニティづくりを通じて、新たな地域価値を「共創」する取り組みに注目が集まっている。
 国土交通省も、こうした新たな「共創」の活動に注目し、2022年に「地域価値を共創する不動産業アワード」を創設。毎年優れた取り組みを表彰している。23年9月から行なわれた2回目の募集にも、全国から36件の応募があり、DIY手法で遊休不動産を再生し新たな住民や起業家を呼び込み地域を活性化している取り組みや、不動産事業者と地域とが一体となって「良き商い」を育て空き店舗の活用を進める取り組みなど9件が表彰された。
 いずれにおいても、不動産事業者は単なる「場の提供者」ではない「クリエイター」としての役割を担い、多様な関係者と力を結集し、空き家や空き店舗の利活用だけにとどまらない、地域課題や社会課題の解決に貢献している。
 地方創生が重要テーマとなっている中で、こうした「共創」の取り組みはますます期待が高まっていくだろう。

その他さまざまなコーナーが有ります

「月刊不動産流通2024年5月号」には、この他にも不動産実務に関わるさまざまなコーナーを掲載しています。
・宅建業者が知っておくべき『重説』に必要な基礎知識Q&A 〜建築編
「改正建築物省エネ法」
・関連法規Q&A 
「『改正障害者差別解消法』について教えてください。」
・一問一答!建築のキホン
「建築家が設計したような空間を作るにはどうすればよいですか?」
・不動産登記の現場から 
「外国人、海外居住者の登記手続き」
・適正な不動産取引に向けて―事例研究
「司法書士への必要書類の預け入れは履行の着手に
当たらないとして買主の手付解除を認めた事例」
などなど…
不動産会社の取り組みや、不動産業に携わる方々に役立つ情報を多数紹介。業界の把握に役立ちます。

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Q 地主から一方的に地代値上げを請求された、支払わないといけないのか

2024年04月16日 | 地代家賃の増減
○A 借地借家法では、地代の増額について、①土地に対する租税その他公課の増加、②土地の価格の上昇その他経済事情の変動、③近傍類似の土地の地代等と比較により不相当である等の事情がある場合値上げ請求できるとされています(借地借家法11条1項)
 地代など賃料は地主と借地人との協議によって、双方が合意した時に、地代が確定します。地主が地代の増額を一方的決め、借地人が従うしかないわけではありません。地代の値上げに応じないからといって、地主に借地契約を解除することはできません。地主の値上げ額が相当なのかどうか、話し合いがつかなければ最終的は調停、裁判で決まります。
 裁判で争うと裁判費用や弁護士費用などそれなりに費用がかかり、そこまで争う費用対効果も考える必要があります。できれば、話し合いで決めることが最善ですが、これも相手があることなので難しいケースもあります。地代の相当な額の判断基準があるといいのですが、不動産鑑定士の地代の算定も不動産鑑定士によってまちまちです。増額請求の根拠とされる①の土地の公租公課額は借地人でも固定資産税の課税課で調査することが可能です。まずは、地主が支払っている固定資産税と都市計画税を調べてみましょう。借地人であると証明書類、契約書や地代の領収書があれば、課税課で土地課税台帳登録事項証明書を発行してもらうことができます。ざっと固定資産税と都市計画税の
3倍程度支払っていれば、相当な地代であると考えていいでしょう。3倍以下の場合には裁判で争い、不動産鑑定すると地代が値上がりする事例が多いようです。
 地主の中には、借地人との話し合いにも応ぜず、地価の利回り率をかけて、現在支払っている地代の2倍、3倍と無茶苦茶の値上げ請求するケースもありますが、その場合にはしっかりと増額請求を拒否しましょう。
借地借家法11条2項では、「裁判で地代が確定するまで増額を請求された借地人が相当と認める額の地代を支払うことで足りる。」とされています。借地人が相当と認める地代を決めることができるのです。自信を持って地主と交渉しましょう。(東京多摩借組ニュース)

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公示地価3年連続上昇 懸念される地代・家賃の値上げ問題

2024年04月08日 | 地代家賃の増減
 3月26日に今年の1月1日現在の公示地価が発表されました。東京都内の住宅地、商業地、工業地を合わせた全用途で地価が上昇し、3年連続の上昇となりました。新型コロナウイルスの5類以降に伴って、経済活動が正常に近づく中で、マンション需要の高さや各地で進む再開発や各地で進む再開発などが上昇の背景にあるとみられています。住宅地の変動率は区部が5・4%、多摩地区2・7%で、23区は大きく上昇しています。区部で最も高いのが豊島区で7・8%、次いで中央区7・5%、文京区7・4%で、都心5区平均6・9%と他の区を上回っています。

 多摩地域は、高いのが調布市の4・5%、府中市4・4%、なお多摩地区で駅から遠く利便性の悪い地域で地価が値下がりしている箇所も見られます。多摩地域の商業地では、狛江市5・9%、武蔵野市5・8%、国分寺市5・4%と上昇しています。区部の商業地では台東区9・1%、荒川区8・3%、中野区8・2%などで値上がりしています。

 懸念されるのは、地価の上昇の影響で地代・家賃の値上げです。組合にはすでに賃貸マンションの家賃値上げ、地代増額の相談が寄せられています。地主家主から値上げの請求がありましたら、組合にご相談ください。地代・家賃は貸主と借主が協議して決めるもので、一方的な値上げに応じる必要はありません。


地代・家賃の増額のご相談は

東京多摩借地借家人組合まで

電話 042(526)109
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東借連春季研修会のご案内

2024年04月08日 | 東京借地借家人組合連合会
・日時 5月12日(日)午後9時30分集合
・会場 IKE-Biz(としま産業振興プラザ)
・講師 東借連常任弁護団 種田和敏弁護士
・テーマ 「借地借家の相続~法改正含め対策」
・会場40名
・オンライン参加
ミーティングID 862 2603 6488
パスワード 110665
主催 東京借地借家人組合連合会

電話 03(3982)7177
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住まいの貧困解決と居住支援の強化に向け、住宅団体が共催で院内集会開催

2024年04月03日 | 住まいの貧困に取り組むネットワーク
 今国会に生活困窮者自立支援法と住宅セーフティネット法の2本の改正法案が提出され、審議されている中で「住まいの貧困と居住支援」をテーマに衆議院第1議員会館において全借連も含め住宅4団体の共同開催で院内集会が開催されました。会場40名、オンライン7名の方が参加しました。

 住まいの貧困ネット世話人の稲葉剛氏のコーディネーターで集会は進行し、主催者を代表して住まい連代表幹事の坂庭国晴氏が挨拶しました。
 坂庭氏は、居住支援法人が全国で668団体現在設立され、この内約6割の法人が赤字で、居住支援だけでは事業の継続が困難であり、国からの財政面の支援がないと居住支援事業を継続できないとの声が上がっていることを指摘しました。

 また、住宅セーフティネット法の低所得者向けの専用住宅は全国で5697戸と登録住宅全体の0・6%しかなく、家賃低廉化補助を行っている自治体は全国で49自治体と全自治体の3%しかなく、低家賃住宅も不足し、機能不全状態にあると強調しました。住まいの貧困をなくすためには、居住保障と居住支援の抜本的な改善と改革が必要であると発言しました。

 院内集会には、立憲民主党、日本共産党、社民党、れいわ新選組から9名の国会議員と9名の議員秘書が参加し、挨拶しました。

 次に、つくろい東京ファンドの小林美穂子氏より「家なき人のとなりで見る社会―生活保護の現場から」と題して講演がありました。小林さんは、コロナ以降、セーフティネットからこぼれ落ちる人達の中には、生活保護制度の「扶養照会」と「役所の対応、相部屋施設入所の強要」などによって制度の利用を阻まれている実態を報告し、「生存が椅子取りゲームでいいのか」、全ての人権が守られる社会の実現を訴えました。次に、高崎経済大学准教授の佐藤和宏氏より改正法案の問題点について、現行の居住支援策は居住保障なき支援であり、政治を変え予算や人員など資源の制約を打破すべきと指摘しました。
 居住支援に関わっている団体から発言があり、全借連の細谷紫朗事務局長より、民間賃貸住宅の現状について、劣悪な住環境、賃貸トラブルの日常化、家賃保証会社と契約しないと家を借りられない等の問題点を指摘し、住宅セーフティネットは貸主に貸しやすく、借主に借りにくい制度になっている批判しました。
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