東京多摩借地借家人組合

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最高裁 公社住宅の住民の家賃減額等請求権 借地借家法の適用認める

2024年06月26日 | 法律知識
判例紹介 最高裁判所第1小法廷判決2024年6月24日判決
【地方住宅供給公社が賃貸する住宅には借地借家法の適用がある】
地方住宅供給公社が借り主の合意を得ずに家賃を増額できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は公社物件に借地借家法が適用されるとの初判断を示しました。地方住宅供給公社の借り主側が家賃の減額を請求できるほか、値上げに対して争えるようになります。
【公社住宅に借地借家法の適用がある】住宅供給公社は、都道府県などが出資し、住宅の整備・管理などを行います。最高裁判所は、地方公社は「住宅の不足の著しい地域において、住宅を必要とする勤労者に居住環境の良好な集団住宅を供給し、もって住民の生活の安定と社会福祉の増進医寄与することを目的とする法人」であって、「地方公社の業務として賃貸人との間に設定される公社の使用関係は、私法上の賃貸借関係であり、法令に特別の定めがない限り、借地借家法の適用がある」としました。
【借地借家法32条の適用がある】借地借家法32条1項は「「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。」としています。最高裁判所は「公社住宅の使用関係については、借地借家法32条1項の適用がある。」と明言しました。(東借連新聞 判例紹介 黒岩哲彦弁護士)
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総務省の令和5年度住宅土地統計調査 空き家数過去最多、全国で900万戸

2024年06月14日 | 法律知識
 総務省は、5年ごとに実施している令和5年住宅・土地統計調査の住宅数概要集計(速報集計)結果を4月30日に発表しました。
 調査結果によると、総住宅数は6502戸(23年10月1日現在)と、2018年から4・2%(261万戸)増加しました。総住宅数の最も多いのが東京都の820万戸、次いで大阪府493万戸、神奈川県477戸、愛知県3666万戸です。最少は鳥取県の32万戸で、青森県・秋田県・高知県・長崎県で住宅数が減少しています。
 空家数は900万戸と過去最多で、2018年から51万戸増加して過去最多となりました。空き家率13.8%で、2018年(13・6%)で過去最多です。空き家率の最も高いのが和歌山県と徳島県の21・2%で、次いで山梨県が20・5%となっています。賃貸・売却用及び二次的住宅(別荘他)を除く空き家は385万戸と、2018年より37万戸増加しています。空き家の取得経路の多くが相続ですが、売却も取り壊しもできず空き家になる事例が増えています。空き家を放置し市区町村が「特定空き家」に認定すると固定資産税の軽減措置がなくなり、空き家の破損を放置していると「管理不全空き家」として自治体の勧告・指導の対象になります。




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高齢者が詐欺の標的に…監督官庁もメチャクチャ「ヤバい制度」の悪用に「反社会的集団」が乗り出す日 伊藤 博敏 ジャーナリスト

2024年06月01日 | 法律知識

増加する「身元保証サービス」

全国の65歳以上の1人暮らし世帯が急増し、2001年の318万世帯が22年には873万世帯となり、1000万世帯超えが目前だ。
血縁、地縁が薄くなっているなかでの1人暮らしの老人には、深刻な悩みがある。老人施設はもちろん賃貸住宅への入居、病院への入
院の際、保証人を求められるのだが、用意できずに断られるケースが少なくない。
そこで増えているのが高齢者の身元保証サービスで、内容は契約を結んで保証人になるだけでなく、日常生活の支援、現金や財産管
理、葬儀を含む終活サービスなど多岐にわたる。
同時にトラブルも少なくない。監督官庁があるわけではなく、免許も届け出も不要で誰でも参入できる。そこで情報弱者の老人につけ
込むような価格設定や余分なサービスを付け加えて高額請求。解約を申し出ても返金されないといった苦情が全国の消費生活センター
などに寄せられるようになった。
そのため内閣府の孤独・孤立対策室が中心となって4月19日、「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(案)」をまとめ、5月18日
までパブリック・コメントを求めた。今後、早急に策定することになっている。

刑事罰を伴う法整備が必要

契約締結にあたっては、「民法や消費者契約法に定められた民事ルールに従いつつ、契約の適正な説明(重要事項説明書の交付)を行
うこと」とし、「寄付や遺贈を契約条件にすることは避け、遺贈を受ける場合も公正証書遺言によることが望ましい」と書かれてい
る。
また契約の履行にあたっては、「提供したサービスの時期や内容、費用等の提供記録を作成し、保存のうえ定期的に利用者に報告する
こと」や「利用者から前払い金(預託金)を預かる場合、運営資金とは明確に区分して管理することが望ましい」としている。
どれも当たり前すぎる内容で、これがガイドラインなら事業者のモラルに期待するしかなく、確信犯的な悪徳業者ならなんなく抜け穴
を見いだして突破しそうだ。
日本弁護士連合会は5月17日、「サービス内容が多様・複雑で費用体系が明確でないためにトラブルが多く消費者保護の必要性が高
い」と問題点を指摘したうえで、次のように指摘している。
<適正化を図るためには、一般的な現行法上の制度を前提とするガイドラインを示すだけでは足りず、事業の特性を十分に考慮した法
制度の整備を速やかに検討する必要がある>
法規制しなければダメだというわけだ。確かに悪徳業者も存在する現状を考えれば、「望ましい」「重要である」といった書き方のガ
イドラインで防げるものではなく、刑事罰を伴うような法整備が必要だろう。

監督官庁がない

司法書士が中心となった公益社団法人「成年後見センター・リーガルサポート」の5月17日付意見も厳しい。
<「義務」や「禁止事項」にはほとんどふれられていないため、ガイドラインに沿った確実な運用が期待できるのか不透明である。
チェックリストにチェックが入っているなら問題ないという認識であれば、現場において数多くのトラブルが発生する可能性も否定で
きない>
これもガイドラインでは防げないという意見だ。何より同様の意見を身元保証サービス事業に参加している業者自身から聞けた。葬儀
事業からこの分野に進出して1年目の業者である。
「中小の業者が多く、しかも監督官庁がなく縛りもないから、みんな好き勝手にやっている印象です。利用者から通帳と印鑑(キャッ
シュカード)を預かっているよう業者もいて『それは止めましょう』というガイドラインで対応できるものじゃない。認知度が高く信
用のあるリーディングカンパニーがビジネスをリードすればいいのですが、そうした企業もいない以上、法整備をしっかりするしかな
いと思います」
監督官庁がないというのは、この種の役所仕事では致命的だ。公表された「ガイドライン(案)」には取りまとめ役として「内閣官房
(身元保証等高齢者サポート調整チーム)」の名が上げられ、窓口は内閣府孤独・孤立対策室で以下に次のような省庁の名前が書かれ
ている。
金融庁、消費者庁、総務省、法務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省ーー。

反社が乗り出してきたら…

それだけ事業内容が多岐にわたるわけだが「ガイドラインの策定時期はいつか」という筆者のごく基本的な問い合わせに応える部署が
ない。結局、わかったのは厚生労働省老健局が内容のとりまとめは行うものの、今後のスケジュールを把握しているのは内閣官房副長
官補室で、それも「今のところいつになるとはハッキリ言えない」という心許ないものだった。
老人相手の犯罪といえば「振り込め詐欺」が思い浮かぶ。警告が繰り返され、何度報道がなされても被害者が減らないのは、他人との
縁が薄れて孤独に沈み、あらゆる騙しのパターンを持つ連中に引っかかってしまうからだろう。そして老人にはカネがある。
海外を拠点とした振り込め詐欺グループの摘発が相次ぎ、担当する警視庁捜査員などによると「そろそろ(振り込め詐欺も)限界に近
づいた」と思う連中もいるという。
そうした反社会的集団が、身元保証サービスに確信犯として乗り出せばどうなるか。ガイドラインの段階でもたもたしている状況では
ない。

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更新料と未払いで地主から契約解除通知

2024年06月01日 | 法律知識
 足立区内で約30坪の宅地を賃借する宇田川さん(仮名)は本年2月に地主代理人弁護士から更新料・地代未払いによって信頼関係が著しく破壊されたことから本件土地にかかわる賃貸借契約を解除する。1か月以内に、建物収去土地明渡と滞納地代の支払を通知されたと相談に訪れた。
 組合では先ず更新料について土地賃貸借契約書に更新料についての特約はあるか聞いたが、一昨年5月の更新時に更新料支払を請求されたまま支払いますと回答したとのこと。支払うお金の目途があったのか尋ねると何とかなると思ったと答えた。宇田川さんは支払うことが難しい更新料を安易に認めてしまう性格のようだ。地代の支払いは借地人の義務であることは知っていますか。地代の滞納がある場合申し訳ないけど地主及び地主代理人弁護士には反論する
こてはできないので先ずは代理人弁護士に再度、更新料の分割支払と地代滞納分支払計画書を作成提出するように助言した。 相談者は地主から何回か更新料分と地代滞納分支払を督促され一時は払ったが、再度払うことが難しくなり滞納した経緯がある。体調面で問題があることはわかるが、できれば一昨年の更新時に相談に来て欲しかった。(東京借地借家人新聞より)
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