東京多摩借地借家人組合

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山谷は高くて 窓なし1日9百円「押し入れハウス」増加

2009年03月31日 | 最新情報
 「押し入れハウス」などと呼ばれる、狭いが格安の宿が首都圏で増えている。先の見えない不況の中、1円でも安く夜露をしのぎたい人たちが身を寄せる。春、夜風はまだ冷たい。狭い寝床で見る夢はいったいどんな夢だろう。

 東京・浅草の雑居ビル。狭く薄暗い階段を上ると、細い廊下の両脇に引き戸がずらりと並んでいた。

 引き戸をあけると、細い板張りの寝床。高さ約90センチ、幅約80センチ、奥行き約180センチ。1畳に満たない広さだ。この寝床が上下に2段ある。

 窓はなく、蛍光灯を消すと闇に包まれる。寝袋に入って横たわると、近くの部屋の「住人」のくしゃみやいびきが薄い壁越しに聞こえた。

 30日朝、ウズベキスタンからの留学生(25)が一室から出てきた。「寝坊しました」といい、洗面台に急いだ。

 家賃は光熱費込みで月2万7千円。1日900円の計算だ。シャワーとトイレ、台所は共同。敷金・礼金はない。

 大家の男性(40)は約10年前から裁判所の競売物件を買っては、押し入れハウスや約2畳の個室に改装してきた。現在は首都圏に7軒ある。

 学生時代の貧乏旅行の経験から、日本にも外国人旅行者が安く泊まれるゲストハウスをつくりたかった。これまでは中国や韓国からの留学生が主だったが、昨年の金融危機以降は留学生が減り、20~50代の日本人のフリーター、欧州からのワーキングホリデーの学生が半々になった。

 沖縄県出身の男性(27)は「どうせ夜寝るだけだから、家賃がもったいない」。ソフトウエア開発会社に勤めながら、起業を夢見ている。

 不動産業の男性(39)は2畳ほどの安宿を東京・錦糸町近辺で経営する。今の住人の多くは30~60代。女性専用の物件もある。生活保護を受ける人も多い。

 男性の元には、仕事を求めて上京したいという、地方からの問い合わせがくる。「東京も不景気だけど、地方はもっとひどいんだね」

 一方、東京の日雇い労働者の暮らしを支えてきた簡易宿泊所。山谷の街では、「1泊2200円」「冷暖房完備」「全室カラーテレビ」という古びた看板が目に入る。

 この地区の旅館組合が把握する最も安い宿は相部屋で1泊900円。利用者の約8割が生活保護を受けている。個室を求めれば、1泊2千円台後半から。1カ月暮らせば宿泊料は7万円を超す。

 ここ数年は多くの宿が改装し、日雇い労働者から、外国人旅行者や学生へと客層が変わった。春休みに入って観光に来た家族連れや部活動のグループ、スーツ姿で就職活動のために上京した学生がとぎれることなく訪れるという。

 簡易宿泊所「ほていや」を営む帰山哲男さん(58)は「ネットカフェ難民には山谷は高い。現代の『ドヤ街』は都心のネットカフェやマンガ喫茶なのでは」と言った。(中村真理子、石田博士)

(朝日 3月31日)
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新家主の不動産会社が正当事由なき明渡し訴訟 

2009年03月31日 | 明渡しと地上げ問題
 町田市金井町に住むAさんは、2年前に入居して1年も経たないうちに家主が不動産会社に変わり、新家主から昨年7月に今年1月31日の期間満了で家屋を明渡すよう請求されました。Aさんは断ると、家屋明け渡しとともに現行月額家賃7万5千円の倍の15万円の支払いを求める裁判を家主が提訴。町田裁判所から訴状が届き、4月23日に第1回目の裁判が行なわれます。

 今回家主の不動産会社の代理人は司法書士で訴状はおそまつで、更新拒絶の通知により期間満了で契約は終了したとしか書いておらず、肝心の明渡しの正当事由は全く書かれていない。また、家賃を倍額にする理由が契約書で契約が終了した後、明渡しを遅延したら家賃の倍額の遅延損害金を支払うということを根拠にしている。Aさんは組合の法律相談を受け、不当な請求に断固闘う決意です。(東京多摩借組ニュース4月号)


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組合の通告で敷金全額戻った! 泣き寝入りしないで敷金返還請求を

2009年03月30日 | 敷金と原状回復
 福生市のアパートを今年4月末に退去したHさんは、預けた敷金16万円が戻らないので管理している不動産屋に連絡したところ、「内装するのに22万円かかるので敷金は返せない」と言われた。後で見積書が送られてきたが、主なものはクロス・畳・襖の張替費用だった。

Hさんは、このアパートに1年1ヶ月しか入居していないし、室内も入居時も汚れていてクリーニングも不十分だった。納得できずに組合へ相談し、組合から「ご指摘の原状回復工事は次の入居者確保のためのリフォーム費用であり、貸主が全額負担するもの」で、敷金16万円を速やかに借主に返金するよう通告した。返事がないため、組合から直接オーナーの家主に連絡したところ、8月下旬になってようやくHさんの銀行口座に敷金全額が振込まれた。

 原状回復トラブルは、最高裁判決で「通常損耗の原状回復費用は家賃の中に含まれている」として、原状回復費用は全て借主負担との特約は無効であることが明確になった。しかし、借主が黙っているとHさんのような不動産業者がいるので、泣き寝入りしないで敷金の返還を強く求めていこう。(組合ニュース450号より)


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反貧困フェスタ2009 明日開催です

2009年03月27日 | 住まいの貧困に取り組むネットワーク
今年の「反貧困フェスタ」のテーマは“労働”です。増大する非正規労働者、横行する「派遣切り」、長時間労働を課される正社員たち。「働くこと」が壊されていく…労働の崩壊は目を覆うものがあります。加えて今回の大不況では、40万とも100万とも言われる非正規労働者が職を失うと言われており、その波は正社員や新卒者にも及んでいます。

忙しくて仕事が終わらない正規と、働いても生活できない非正規―「過労死か貧困か」という惨状の中で、「あいつは楽しんでいる」「ああいつは守られすぎている」という“労労対立”が作られてもいます。「自分だけは生き残りたい」…しかし、このままで本当にそんなことが可能になるでしょうか。

働く者が生き生きと働き、生活できる社会とはどのようなものなのか。私たちが直面している現実と課題はどんなもので、それをどのように乗り越えることができるのか。さまざまな働き方をするみなさんと一緒に考えてみたいと思います。

日時:2009年3月28日(土) 10:00~16:30
場所:千代田区立神田一橋中学校(東京都千代田区一ツ橋2-6-14)
日本教育会館東隣り
東京メトロ半蔵門線・都営新宿線「神保町」(A1出口)4分
東京メトロ東西線「竹橋」(1b出口)5分
入場無料、雨天決行(ただし校庭企画は中止となります)

・一部手話通訳・要約筆記、保育室あり。受付でご相談ください。
・車いす用トイレ(1階)、エレベーターあり。
・会場は使用中の学校です。主催者の指示にご協力いただきますようお願いします。
・上ばき(スリッパ等)をご持参ください。

□■プログラム■□
10:00 開会式

10:15 分科会(2階教室)
1 女性のハケンを考える―女性はハケンを望んでいるのか? 現状は?
2 住まいのセーフティネットをつくろう―安心して生活できる住まいとは?
3 湯浅誠×中島岳志対談「日本社会の「壁」を崩す」
4 働くこと《労働》を学ぶ

12:00 メインシンポジウム「いま“はたらく”が危ない」(2階体育館)

第1部
シンポジウム「いま“はたらく”が危ない―労働市場の多様性=格差・分断構造と「貧困」」
コーディネーター:雨宮処凛(反貧困ネットワーク副代表)、湯浅誠(反貧困ネットワーク事務局長)
前半は年末年始の「派遣村」に身を寄せた村民の話を皮切りに、あらためて様々な雇用形態ではたらく人、さらには労働市場から排除された失業状態の人たちの声に耳を傾けて、それぞれの「生きづらさ」を探ります。

第2部
パネルディスカッション
コーディネーター:東海林智(毎日新聞記者)
パネリスト:龍井葉二(連合)、井筒百子(全労連)、遠藤一郎(全労協)、伊藤みどり(働く女性の全国センター)、赤石千衣子(しんぐるまざあず・ふぉーらむ)、山本創(DPI日本会議)、中村光男(企業組合あうん)
後半のパネルディスカッションでは、労働組合の全国組織(ナショナルセンター)と「反貧困」の運動を担っている人たちが「この社会はどうあるべきか」「いま、私たちは何をなすべきか」を討論します。
「労働×貧困」をみんなで聞き、語り、考えましょう!

16:00 貧困ジャーナリズム賞表彰式、閉会式

その他、何でも相談会、炊き出し、ライブ(校庭)、貧困ジャーナリズム賞候補作品展示・上映(2階マルチメディアルーム)など。

校庭ライブゲスト:「月桃の花」歌舞団のエイサー、移住女性による寸劇カラカサン、「生きるための歌」を作り続ける五十嵐正史&ソウルブラザーズ、新宿駅地下BERGの愛染恭介さん、夢と希望を持ち続ける「マウム」(こころ)を伝える盧佳世(ノカヨ)さん、ブルース講師・非常勤の叫び佐藤壮広さん、「ひとりぼっちをなくそう」精神障害当事者運動に取り組む塚本正治さん、「前を向いて歩こう」の寿[kotobuki]さん(予定)

お問合せはこちらまで。

反貧困ネットワーク
162-0814 東京都新宿区新小川町7-7
NKBアゼリアビル202
Mail hanhinkon.net@gmail.com
Web http://www.k5.dion.ne.jp/~hinky/
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借地の更新と更新料問題で定例学習会

2009年03月27日 | 契約更新と更新料
 狛江市の組合員の方が地主から更新料の請求で東京地裁に提訴され、昨年12月に更新料請求を棄却する勝訴判決を勝ち取りました。この判決の意義と更新料問題について学習します。みなさん奮ってご参加下さい。

日時 4月11日(土)午後1時半開会

会場 組合事務所

テーマ 「更新と更新料問題の法律知識と更新料勝訴判決の報告」

講師 東京多摩借組 細谷事務局長

参加無料です。お気軽に申込み下さい。先着順で定員になり次第締め切ります。

◎まずは法律知識や裁判判例をしっかり学び対処しましょう。


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東借連第1回理事会開催、組織の強化に向け専門部を確立

2009年03月26日 | 東京借地借家人組合連合会
 東借連第1回理事会は、3月18日午後6時30分から豊島区東部区民事務所において13名の参加で開催された。

 理事会は佐藤会長の開会挨拶に続いて生駒副会長の議長で議事がすすめられた。自己紹介に続いて細谷事務局長より総会後の活動報告、拡大集計と新規相談者調査結果が報告され、桜井会計より1月と2月の収支報告が行なわれた。
 討議事項では①東借連第31回定期総会の総括が行われ、総会代議員の参加も前回を大きく上回り成功したことを確認した。②全借連の登録数については、当面全組合員登録が原則だが、暫定的措置とし未加盟組合については4月21日までに登録数を自己申告することを確認した。

 次に、③専門部の選出では組織拡大・拡大推進部、理論政策・学習部、新聞編集部、共闘部以上について部長と副部長及び部員を理事会の中で互選した。④第3回相談員養成学習会は、4月18日午後1時30分から開催し、50名の参加目標で参加者を動員することを確認した。その他追い出し屋被害ホットライン、評価替えと便乗値上げ対策、組合員拡大と全国拡大月間の取り組みを等を討議した。


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平成21年の地価公示を発表。全国的な地価下落が鮮明に/国交省

2009年03月25日 | 最新情報
 国土交通省は23日、平成21年1月1日時点の地価公示を発表した。

 平成20年1月以降の1年間の地価変動率は、全国平均で見ると、住宅地▲3.2%、商業地▲4.7%と、ともに平成18年以来3年ぶりに上昇から下落に転じ、すべての用途で下落した。

 三大都市圏においては、平均で見ると、住宅地は▲3.5%と平成18年以来3年ぶりの下落、商業地は▲5.4%と平成17年以来4年ぶりの下落となった。前回は一部のブランド力の高い地域や高級住宅地、高度に商業機能が集積した地区において高い上昇がみられ、これらに押上げられて平均が上昇したが、今回は、顕著な下落となった。なお、ほぼすべての地点において上昇から下落、もしくは下落幅が拡大したのは08年の後半。
 住宅地では2年連続、商業地では3年連続で平均で上昇を示していたが、今回は住宅地・商業地とも地方圏を上回る下落を示した。

 また、地方圏においても、住宅地・商業地ともに前回まで4年連続で平均で下落幅が縮小していたが、今回下落幅が拡大するなど、全国的に地価の下落傾向を顕著に表す結果となった。

 なお、住宅地で最も価格が上昇したのは、姫路市勝原区熊見字箱山の4.6%。第2位は北海道伊達市末永町(3.9%)、第3位は北海道伊達市竹原町(3.4%)など、北海道伊達市が上位10位中、4つを占めた。伊達市の地価上昇は4年連続。また、第5位の新潟市中央区水道町(2.1%)、第7位の新潟市中央区関屋昭和町(1.5%)など、新潟市中央区が10位中3つを占めた。

 商業地で最も価格が上昇したのは、静岡市葵区長沼字太郎丸坪の6.3%。以下、愛媛県松山市大街道、鹿児島県鹿児島市西田の2.8%、以下、三重県 津市上浜町1.1%。

 三大都市圏および地方圏の概要は以下のとおり。

■東京圏
○住宅地

 東京圏では、住宅地が平均で▲4.4%と前回5.5%の上昇から下落に転じ、ほぼすべての地点で下落となった。

 東京都が下落となるのは、平成17年以来4年ぶり。埼玉県、千葉県、神奈川県も平成18年以来3年ぶりの下落となった。
 特に、東京都区部では、平均で▲8.3%と前回10.4%の上昇から下落となり、なかでも区部南西部では、平均で▲10.1%と前回10.6%の上昇から一転して二桁の下落となった。
 優良住宅地としてマンション需要、収益性期待の不動産投資等を背景にこれまで高い上昇を示した地点が多かった港区、渋谷区においても、景気の悪化、マンション販売の不振、投資・融資等の資金調達環境の悪化等により需要が減退したことによりすべての地点で下落。港区では、平成12年以来9年ぶり、渋谷区では、平成13年以来8年ぶりに平均で下落となった。
 また、都下郊外部でも、駅周辺地域を中心に、武蔵野市および三鷹市で比較的大きな下落となった。
 千葉県浦安市および川崎市中原区では、周辺市区と比較して大きな下落となったが、いずれも前回、前々回と旺盛なマンション需要や住宅開発需要等を背景に高い上昇を示した地域であった。
 圏域縁辺部では、交通利便性の劣る地域や相対的に宅地需要が低迷している地域で下落幅が拡大した。

○商業地

 前回12.2%と高い上昇から、平均で▲6.1%とほぼすべての地点において下落となった。

 東京都は平成17年以来4年ぶり、埼玉県、千葉県、神奈川県は、平成18年以来3年ぶりの下落。
 東京都区部は、前回は収益性期待の不動産投資、オフィス・店舗併用マンションの需要等に支えられ、20%超の高い上昇を示した地点が多かったが、今回は景気の悪化、投資・融資等の資金調達環境の悪化、オフィス需要の減退等により、ほぼすべての地点で二桁の下落を示したが、都心部の地価水準の高い高度商業地は、比較的下落幅が小さく堅調さを示し、平均で▲8.1%となった。
 また、都下の郊外部では、三鷹市、武蔵野市等で駅周辺地域を中心に、比較的大きな下落となった。
 さいたま市大宮区、千葉県市川市、浦安市、横浜市青葉区、川崎市川崎区、幸区、中原区、高津区等では、駅周辺の再開発事業済地域周辺等繁華性、収益性が高まった地域や、沿線駅の背後人口の比較的多い地域でも景気の悪化等から下落に転じた。
 圏域縁辺部では、交通利便性の劣る地域や既存商業地の集客力の相対的減退等が進んでいる地域で下落幅が拡大した。

■大阪圏
○住宅地

 平均で▲2.0%と前回2.7%の上昇から下落に転じ、ほぼすべての地点で下落。

 大阪府、兵庫県、京都府が平均で下落となるのは、平成18年以来3年ぶり。
 景気の悪化、投資・融資等の資金調達環境の悪化等による需要の減退、不動産市場の停滞感等を背景に、大阪市中心6区では▲3.0%と下落に転じた。大阪府内でも利便性に劣る地域では下落傾向が強く、北部の豊能地域で大きな下落を示した。一方、南部の泉南地域は比較的小さな下落となった。
 兵庫県では、神戸市で平均で下落に転じ、東灘区で▲3.1%と下落が最も大きくなった一方、阪神地域では住環境に優れた芦屋市および西宮市では比較的小さな下落に留まった。
 京都府では、京都市中心5区で▲3.2%。郊外の利便性の劣る住宅地は大きな下落となる傾向にあり、特に南丹市では平均で下落幅が拡大した。
 奈良県では、平成19年以来2年ぶりに平均で下落。
 圏域縁辺部では、交通利便性の劣る地域や相対的に宅地需要が低迷している地域で下落幅が拡大した。

○商業地

 大阪圏では、平均で▲3.3%と前回7.2%の上昇から下落に転じ、ほぼ全ての地点において下落となった。

 平均で下落となるのは、大阪府および京都府は平成17年以来4年ぶり、兵庫県は平成18年以来3年ぶり。
 大阪市中心6区では、平均で▲6.3%。前回は駅周辺再開発の進展等による繁華性・収益性の向上により高い上昇を示した地点が一部に見られたが、不動産ファンド等による投資等の減少や、オフィス賃料の下落、空室率の上昇等の不動産市況の先行きに対しての不安から、平均で周辺区と比較して大きな下落となった。
 兵庫県では、神戸市で平均で下落に転じた。特に、中央区では前回二桁の上昇となった商業地を中心に消費低迷等を背景に下落に転じた。また垂水区、西区では下落幅が拡大。
 京都市では、景気の悪化、これまでの地価上昇に伴う取引の減少等から不動産市場が停滞し、平均で下落に転じ、特に京都中心5区においては▲4.4%の下落となった。 
 奈良県では、平成19年以来2年ぶりに下落。
 圏域縁辺部では、交通利便性の劣る地域や既存商業地の集客力の相対的減退等が進んでいる地域で下落幅が拡大した。

■名古屋圏
○住宅地

 名古屋圏では、平均で▲2.8%と、ほぼすべての地点で下落した。

 愛知県では、平成18年以来3年ぶりに平均で下落。
 また、名古屋市も平成17年以来4年ぶりの下落となった。
 そのほか、西三河地区の豊田市、刈谷市等も下落に転じ、尾張地域の一宮市、瀬戸市等では下落幅が拡大。
 三重県でも、四日市市、桑名市等で下落幅が拡大。
 圏域縁辺部では、交通利便性の劣る地域や相対的に宅地需要が低迷している地域では下落幅が拡大した。

○商業地

 名古屋圏では、平均で▲5.9%と前回8.4%の上昇から下落に転じ、ほぼすべての地点が下落となった。

 愛知県が平均で下落するのは平成17年以来4年ぶり。
 名古屋市では、前回名古屋駅周辺や繁華性、収益性等が高まっている地区等市内中心部の一部の地点で高い上昇を示していたが、不動産ファンド等による投資案件の減少や地域経済の急速な悪化等を背景とする需要の減退、オフィス賃料の下落、空室率の上昇等により不動産市況が悪化したことから、今回平均で下落に転じ、また大きな下落を示した地点が多く見られた。
 また住宅地と同様、西三河地域の豊田市、刈谷市等では下落に転じ、尾張地域の一宮市、瀬戸市等では下落幅が拡大。
 三重県では、四日市市及び桑名市で平均で下落に転じた。
 圏域縁辺部では、交通利便性の劣る地域や既存商業地の集客力の相対的減退等が進んでいる地域で下落幅が拡大した。

■地方圏
○ 住宅地

 平均で▲2.8%と前回▲1.8%に引き続き下落。前回まで4年連続して下落幅が縮小していたが、今回下落幅が拡大した。

 札幌市では平成17年以来4年ぶり、仙台市では平成19年以来2年ぶり、福岡市では平成18年以来3年ぶりに平均で下落。また、広島市では平成4年から連続しての下落となった。
 その他の地方中心都市では、新潟市中央区で堅調なマンション、戸建て需要を背景に上昇地点が見られた。
 その他の地方都市では、まちづくりの取り組み、観光需要が引き続き見られたことを背景として北海道伊達市で4年連続、倶知安町で2年連続して平均で上昇。
 兵庫県姫路市では新駅開業、広島市安芸区では駅周辺整備による利便性の向上により、それぞれ上昇地点が見られたが、これらの都市以外では、景気の悪化に加え、地域経済の低迷や人口減少の影響等により、依然として下落が継続している。

○商業地

 地方圏全体では、平均で▲4.2%。前回まで4年連続で下落幅は縮小していたものの、今回、拡大した。

 地方ブロック中心都市では、札幌市で平成17年以来4年ぶりに、仙台市、広島市、福岡市で平成18年以来3年ぶりに平均で下落。
 その他の地方中心都市では、静岡市葵区、津市、松山市および鹿児島市で、土地区画整理事業、中心市街地活性化、交通基盤整備等を背景に上昇地点が見られた。
 その他の地方都市では、鳥取県境港市等で横ばい地点が見られたが、これらの都市以外では、依然として下落が継続している。

なお、地価公示の詳細は同省ホームページを参照のこと。

(不動産ニュース 3月24日)



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公示地価3年ぶり下落 不況直撃 上昇地点は最少

2009年03月24日 | 最新情報
 国土交通省は二十三日、全国の公示地価(今年一月一日現在)を発表した。全国平均の変動率は住宅地がマイナス3・2%、商業地はマイナス4・7%で、いずれも三年ぶりに下落へ転じた。住宅地と商業地は前年と比較できる全国約二万四千の調査地点のうち、97%が前年比で下落。全用途の上昇地点数は二十三と、前年の一万三千四百十六地点から約五百八十分の一に激減。一九七〇年の調査開始以来、最少となった。

 昨年までは東京、名古屋、大阪の三大都市圏が高率で上昇し、地方圏も下落幅を縮めて「ミニバブル」の様相を呈していたが、米サブプライムローン問題に加え、昨年九月の「リーマン・ショック」を契機とした実体経済の大幅悪化が、不動産市況を直撃した。

 三大都市圏は住宅地マイナス3・5%、商業地マイナス5・4%で、住宅地が三年ぶり、商業地が四年ぶりに下落。地方圏は住宅地2・8%、商業地4・2%のそれぞれマイナスで、下落幅は拡大した。都道府県別でも前年は住宅地で十一都府県、商業地で十四都道府県が上昇したのに対し、今年は全都道府県が下落した。

 地点別上昇率トップは住宅地が兵庫県姫路市勝原区の4・6%。商業地は静岡市葵区長沼の再開発地区の6・3%で、全用途を通じてトップだったが、各トップ地点の上昇率が二けただった前年に比べ、いずれも小幅な上げにとどまった。

 下落率トップは商業地が名古屋市中区栄四丁目の28・4%、住宅地は東京都渋谷区大山町の18・3%。全用途の下落率ワースト十地点のうち、九地点を名古屋市が占めた。トヨタ自動車の業績悪化で住宅需要が急速に冷え込み、活発だったファンド投資も引き揚げたためとみられる。

 全国最高価格地点は東京都中央区銀座四丁目の山野楽器銀座本店で、一平方メートル当たり三千八百二十万円(前年比2・1%下落)。前年の27・5%上昇から一転して下落した。 (東京新聞 3月24日)

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なくそうハウジングプア! 住まいの貧困ネットワークが設立

2009年03月23日 | 住まいの貧困に取り組むネットワーク
 「なくそうハウジングプア!安心できる住まいを!」と題して住まいの貧困に取り組むネットワークの設立集会が、3月14日午後2時から新宿区の大久保地域センターにおいて開催され、200名の市民が参加した。
 同ネットワークは、昨年10月の反貧困ネットワークの世直しイッキ大集会の中で住まいの分科会が開催され、集会の取り組みの中でネットワーク組織の設立を準備してきた。東借連と全借連では、準備段階から参加した。

  住まいの現場から悲痛な叫び

 集会では、第1部「住まいの貧困の現場から」では、スマイルサービスから鍵を交換され、荷物を全て撤去された借家人、派遣切りでアパートの家賃の支払いが困難になり家族が離れ離れに友人宅などに身を寄せている外国人労働者、日産ディーゼルで働き昨年12月に派遣会社から契約打ち切りを通告されたが労組を結成し解雇と寮からの退去に反対して闘う労組役員、ホームレスで野宿生活しているときにNPO団体の寮に住み込まされ15万円の生活保護費から8万7000円の寮費を天引きされ、寮生活でいじめを受けた三十代の男性などから切実で深刻な内容の発言が次々にされた。
 第2部では、「住まいの貧困にどう立ち向かうか」と題してパネルディスカッションが行なわれた。パネラーのNPO法人自立サポートセンターもやいの稲葉剛代表理事は「東京都は石原都政になって10年間都営住宅を一戸も増やしていない。若年ワーキングプアは申込む機会すら奪われている。住宅政策の規制緩和で民間では家賃保証会社など追い出し屋が野放しにされ、ハウジングプアを増大させた。保証金など大家がかかえるべきリスクを入居者が支払うのはおかしい。借家の公的な保証システムを確立させるべきである」と指摘した。

  家賃保証会社に法的規制を

 次に、全国追い出し屋対策会議の司法書士の徳武聡子さんは、家賃保証会社など追い出し屋の手口と法的な問題点、対策会議の刑事告訴や民事責任の追及などの対応について報告した。「サラ金業者の規制が厳しくなった2年前から子会社を作り家賃保証会社に参入し、強引な家賃の取立てと不法行為を行なっている」とを指摘し、早期の法的規制の必要性を強調した。また、大阪市立大学の小玉徹教授より欧米と日本の居住政策について、資料使って詳しく説明がされた。
 最後にネットワークの世話人の藤本龍介さんより「住まいの貧困に取り組むネットワーク設立宣言」が読み上げられ全員で確認した。
 集会後、デモ行進に移り、「公共住宅をつくれ」、「保証人制度をなくせ」、「家賃を下げろ」等々のシュプレヒコールが新宿の街に響き渡った。
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住まいの貧困に取り組むネットワーク設立宣言

2009年03月20日 | 住まいの貧困に取り組むネットワーク
2009年3月14日

2008年の冬、突如として世界的な不況の波が押し寄せ、雇用情勢の悪化から、派遣社員や期間従業員が解雇や雇い止めにより職を失い、住まいも同時に失うといった事態が頻発し、にわかに住まいの問題が顕在化しています。

厚生労働省の発表では09年3月までに約15万8千人が期間満了や解雇により職を失うとされています(09年2月27日発表)。離職者のうち、09年2月までに職とともに住居も失ったのは、約3千人とされていますが、状況が不明な部分も多く、さらに多くの労働者が住まいを失っていると考えられます。また、収入が不安定になることで家賃の支払いが遅れ、立ち退きや遅延違約金の支払いといった追い出し被害の事態が拡がることも懸念されます。

また、国土交通省による、ゼロゼロ物件などの住宅の賃貸業務や家賃債務保証業務を巡るトラブルに関する実態調査(09年2月16日発表)では、家賃保証会社は全国で92社とされていますが、追い出し行為を行っているのは保証会社だけに限らず、不動産管理会社やサブリースによる賃貸業者も含めるとさらに多くの業者が取り立て行為や追い出し行為を行っていると考えられます。また、同日発表された賃貸住宅における家賃支払いの遅延等に伴う家賃回収方法を巡る相談等の実態調査でも、相談件数が07年から急激に増加したとされています。しかし、05年から4年間で合計190件という被害件数は、実態と照らしてあまりに少なく、加害業者が継続的組織的に業務として追い出し行為を行っていることを鑑みれば、さらに多くの被害が埋もれていると予想されます。

非正規労働者の多くは、収入が安定せず雇用期間も見通しが立たないことから、持ち家のためのローンを組むことはおろか、連帯保証人や入居時初期費用がハードルとなって民間賃貸住宅に住むことさえできないことがままあります。寮付き職場を選ばざるを得ないことで、職を失うとともに住まいも失う。その一方で、自ら部屋を借りようとすれば収入が不安定であるがゆえに、初期費用の安いゼロゼロ物件に入居せざるをえず、保証会社との契約を求められ、あげくは追い出し被害に遭う。これらは強く関連しており、違法な解雇を行う企業はもちろんのこと、強引な取り立てや違法な追い出し行為を行う保証会社や不動産管理業者、サブリース賃貸業者に対する規制は不可欠です。しかし、業者を規制するだけでは根本的な解決にはなりません。また、ゼロゼロ物件の多くが定期借家契約で契約期間も半年から1年というものであり、定期借家制度は期間が満了すると契約が終了となることから、家賃の滞納が一度でもある借主は再契約ができずに、家主の都合で無条件で追い出される不安定な居住を強いられています。

私たちは、いま、住まいの貧困(ハウジングプア)の問題に直面しており、そして、これは、なにもいまに始まった問題ではありません。

シングルマザーは女性であることにより不安定な職に就かざるを得ず、家計を支えながら育児を続ける困難を強いられ、さらには居住差別により民間賃貸住宅への入居が阻まれています。障害がある場合には、住宅改造のために貸主の理解を得ることや情報提供等も含めてバリアフリー化さていない問題があります。また、障害や病気を理由にして、入居や居住建設等に反対されるなど、居住差別もあとを絶ちません。外国人労働者についても、習慣・言葉が異なることへの不安としてなかば公然と同様の差別がはびこっています。野宿労働者は、最後のセーフティネットである生活保護の申請も水際作戦や稼働能力を問題とされることで阻まれ、さらには劣悪な第2種社会福祉事業施設への入居を強いられています。また、2006年度の日本賃貸住宅管理協会の調査では、管理を委託している家主のうち、単身高齢者及び高齢者のみ世帯を不可とする家主は15.5%に及び、高齢世帯が賃貸住宅を排除される比率が一番高くなっています。

これらはいずれも同様に住まいの貧困の問題であり、その根底にはこの国の居住政策の貧弱さが横たわっているのです。

この国の居住政策は、まずは職を確保することを優先し、居住の権利をないがしろにしてきました。社宅をはじめとする企業福祉に住まいの保障を依存し、足並みをそろえるように持ち家政策が進められ、そのレールに乗れない者の居住の権利が顧みられることはほとんどありませんでした。すべての人に基本的人権としての住まいを保障するといった政策とは逆に、生存に直結する住まいの提供を民間市場に委ねてきた結果、公的賃貸住宅は全住宅の6.7%に過ぎません(総務省・2003年度住宅・土地統計調査)。また、中でも生活困窮者の住まいのセーフティネットとされている公営住宅については、応募倍率が全国平均で約9.6倍、東京都では34.3倍にも上ります(国土交通省2006度発表)。また、公営住宅への入居はごく制限された条件があり、たとえば若年層単身者の入居は認められていません。このことからも公的な住宅供給が不十分であることは明らかです。

私たちは、あらゆる差別の撤廃を求めるとともに、ハウジングプア状態に置かれた人たち全体が、安心できる住居を確保できるよう、公共住宅を拡大し、民間賃貸住宅への居住対策として低所得者向けの公的支援制度を導入するよう求めます。

また、これまでも借家人が立ち退きを求められる紛争はありましたが、いまやいたるところで紛争が起こっており、局地的な紛争であったものが全面化されています。いったん紛争に巻き込まれた借家人は居住を奪われるのではという大きな不安に脅かされながら、組織である業者に対し、個人で立ち向かわねばなりません。いま求められているのは、家主や業者に比べ圧倒的に立場の弱い借家人が相互に連帯し、助け合い、対抗し、安心できる住まいを勝ち取り、確保していくことです。

安心できる住まいをすべての人々の手に取り戻すため、ともに立ち上がりましょう。
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追い出し屋被害、国交相「家賃保証業の規制も検討」

2009年03月19日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
 敷金・礼金なしの「ゼロゼロ物件」などで家賃を滞納した借り主が、家賃保証会社などから強引に退去を迫られる「追い出し屋」被害をめぐり、金子国土交通相は16日の参院予算委で、家賃保証業の規制を視野に入れた検討を進めていく考えを明らかにした。藤末健三氏(民主)の質問に答えた。各地で表面化している追い出し屋問題に対し、国交相が方針を示したのは初めて。

 金子国交相は「(全国追い出し屋対策会議などから)家賃保証業務を登録制にして、違反行為をした業者に登録取り消しなどの処分を科すことができるようにしてほしい、との要望があり、検討している」と述べた。

 国交省は、早ければ4月下旬にも民間賃貸住宅部会で家賃保証業務の適正化策を討議し、法規制の必要性を含めて議論を進める方針だ。

 追い出し屋被害は、居住権を侵害され、住まいの確保が困難な「ハウジングプア」を生み出している要因と指摘されている。(室矢英樹)

(朝日 3月16日)

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裁判事例 借上社宅での従業員の自殺と使用者責任

2009年03月19日 | 最高裁と判例集
東京地裁判決 平成13年11月29日
(判例集未登載)

《要旨》
 借上社宅として利用されていた貸室で社員が自殺した事案において、賃料差額2年分の損害賠償請求が認められた事例


(1) 事案の概要
 平成11年3月、業者Xは、一括賃借しているマンションの一室を、Yに期間2年、賃料月額4万8千円で転貸する契約を締結した。本件貸室は、Xの転貸開始以前からYに対し賃貸されており、Yは本件貸室をいわゆる借上社宅として使用していたもので、平成3年よりYの従業員であるAが住居として使用していた。
 平成13年1月、本件貸室においてAが自殺しているのが発見され、翌2月、XとYは、賃貸借契約を解約することに合意し、2月末日、Yは本件貸室を明け渡した。なお、合意解約に当たり、YはXに対して本件貸室の2か月分の賃料と、その遅延損害金及び修繕費の合計額から敷金を控除した残金の46万円余を支払った。
 しかし、Xは、以後、10年間にわたり従前賃料の半分でしか賃貸することができなくなり、損害(得べかりし利益の喪失)を受けるとして、Aの使用者であるYの債務(善良なる管理者の注意をもって本件貸室を使用し保存すべき債務)不履行に基づく損害賠償を求めて提訴した。

(2) 判決の要旨
 ①貸室において入居者の自殺があると、通常人からみて心理的に嫌悪すべき事由(心理的瑕疵)があるものとして、通常の賃料額よりもかなり減額した賃料額で賃貸せざるを得ない。実際にXは本件事故を告げたうえで他に賃貸したが、その賃料は従前の半額強であった。
 ②YはXに対し、本件賃貸借契約上の債務として善良なる管理者の注意をもって本件貸室を使用し、保存すべき債務を負っていたというべきであり、その債務には通常人が心理的に嫌悪すべき事由を発生させないようにする義務が含まれる。
 ③Yは、履行補助者たるAが本件貸室において自殺したことにより債務不履行があったものと認められる。
 ④本件のような貸室についての心理的瑕疵は、年月の経過とともに稀釈されることが明らかであり、本件貸室が大都市に所在することを斟酌すると、2年程度を経過すると瑕疵と評することはできなくなるとみるのが相当である。
 ⑤よって、Yは、Xが平成13年6月から2年間、1年間当たり24万円の得べかりし利益を喪失する被害を受けたので、その損害の現価から、中間利息を控除した43万円余について支払え。


(3) まとめ
 本判決は、自殺事故の心理的瑕疵の払拭に関して、一つの事例を示しているが、自殺事故に関する心理的瑕疵が減失したとする判断は、事故に関する周辺住民の記憶、事故の状況、当時の報道内容、事故後の貸室の使用状況等および貸室のタイプ(単身者用、ファミリー用)等、事例ごとに様々であると考えるべきであろう。



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派遣切り労働者の住居 借地借家法で守られている!

2009年03月18日 | 最新情報
全借連が緊急提言
二〇〇九年二月二十四日
全国借地借家人組合連合会常任理事会
派遣・期間雇用者の既存住宅における持続可能な居住の権利提言

 全借連は、二月二十四日開かれた第七回常任理事会で、派遣・期間切れなどから解雇された労働者が即日住まい失い、路頭にさまようことで住み続けられる権利を失う事態に憂慮し、別項のとおり「派遣・期間雇用者の既存住宅における持続可能な居住の権利」をまとめ、現行法でも居住の権利が守られることを明らかにし、政府と労働者へ居住の権利を守るよう訴えることにしました。

 昨年末、自動車および家電メーカーを中心に大企業は、「派遣切れ」「期間工の雇い止め」を理由にして大量の非正規労働者を一方的に解雇し大きな社会問題となりました。職を失った人々は、大量の非正規雇用を生み出した原因が人権を無視した雇用形態にあり、政治災害であると訴えました。
 そして、住まいを失い雨つゆや風雪に見舞われ路頭にさまよいながら、職と住まいの確保を求めています。
 今年三月末には、このような職を奪われる非正規雇用の人々が約四十万人を上まわることが報道されています。
 しかも、「職と居住」を同時に失う事態は、四十数年居住の権利を守る運動に取り組んできた全借連がかって経験しなかった非常事態でもあります。
 全借連は、「住まいは人権」のスローガンを掲げて「人間が人間らしく住み続けられる住居を」求めて運動に取り組んできましたが、大量の失業者が同時に住まいを失い居住不安に陥ることを放置することはできません。
 憲法第二十五条は、「健康で文化的な生活を営む権利」をすべての国民へ生存権として保障しなければならないことになっています。
 今日の事態は、この憲法で保障された居住の権利を軽々しく放棄していたことを示すものです。
 全借連は、このような居住の権利の侵害から、住まいを失った人々、居住不安に脅え生活基盤を失った人々と連帯し、「住まいは人権」として政府へ居住保障を求めて運動を強めていくことを決めました。
 そこで、全借連は、解雇されると同時に住まいも失う人々の居住の権利が現行法の下でも確保されなければならないとの視点から次の事項を訴えます。

[記]
(1) 世界人権宣言・ILO(国際労働機構)の労働者住宅に関する勧告・経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約・第二回国連人間居住会議の「居住の権利宣言」など国際的に認知された「住宅の権利・誓約」の理念を可及的速やかに最大限実行することを政府へ要求する。
(2) 居住の安定を前提に、すべての公的賃貸住宅の空家を早期に開放することを、政府と地方自治体及び関係事業主体へ要求する。
(3) 民法及び借地借家法・労働基準法・消費者契約法などが適用されることを退去を求められている居住者へ周知徹底することを要求する。
(4) 既存契約で住み続けられる具体的な事例については、次のとおりである。
(1) 解雇予告期間30日以内は、労働基準法によって居住できる。この間に、住み替え先及び家賃の確保の準備を行なうこと。
(2) 派遣会社へ家賃を支払っている場合は、派遣切れになっても、借地借家法により賃借権が継続し既存住宅に住み続けられる。
(3) 家賃支払い不能となった場合であっても、民法や消費者契約法などで一定期間住み続けられる。法的手続きによらない限り、強制的に明け渡しや追い出し行為はできない。
(4) 賃貸人は、借家の寮を解約する場合居住者へ正当事由が必要であり、その場合であっても六ヶ月前から一年以内に賃貸借契約の解約通知をしなければならない。従って、解雇即日明け渡しにはならない。
(5) 家賃の支払い資金が確保できない場合は、早急に生活保護制度を活用すること。

以上
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裁判事例 競売妨害に当たる暴力団の占有と損害賠償

2009年03月17日 | 最高裁と判例集
福岡高裁判決 平成17年6月14日
(判例時報 1922号 86頁)
(判例タイムズ 1213号 174頁)

《要旨》
 競売の対象建物に入居して暴力団事務所として使用し、かつ同建物の敷地の一部を取得したことが、競売を妨害し、担保権者に対する不法行為となるとされた事例


(1) 事案の概要
 土地及び建物には根抵当権が設定されていたところ、平成6年1月18日に競売開始が決定、平成7年7月、最低売却価額を約3,204万円として期間入札が実施された。その後の数回にわたる期間入札の後、平成11年6月、指定暴力団組長Yは本件建物の占有を開始した。その後も、さらに数回にわたり期間入札が実施され、平成14年8月の最低売却価額は699万円であった。
 債権者であるXは、Yが本件競売を妨害したとして、①得べかりし配当金500万円と②その遅延による約331万円の損害を被ったとして、提訴した。
 一審は、①Yは、本件競売を妨害したものと認められる。②Yの妨害がなければ、最低売却価額を999万円とした平成14年3月に実施された期間入札で落札されたものと認められる。したがって、Xの損害は上記999万円を前提とした遅延損害金99万円余であると判断した。不服としたXが控訴した。

(2) 判決の要旨
 ①Yは、専ら本件建物が落札されることを妨げる目的で正常でない権原により本件建物を占有するなど、本件競売を妨害したものと認められる。
 ②抵当権者は、競売の結果を待つことなく、その売却前であっても、抵当権に対する侵害行為がなければ売却が実現できたであろう時期以後において、当該侵害行為により価値が減少し、従前の価値を回復する見込みがないと認められる場合にはその差額を賠償請求できると解するのが相当である(大審院判例昭和11年4月13日)。本件についてみるに、Yの不法な占有以外に本件不動産の売却を妨げるべき要因はなく、また、平成11年12月期間入札時の最低売却価額1,659万円か、少なくとも平成13年7月期間入札時の最低売却価額1,482万円程度で本件不動産を売却できたものと認められる。結局、平成14年8月期間入札時の最低売却価額699万円でも買い手が現れなかったことを考慮すると、Yの占有により本件不動産の価値は上記最低売却価額の低下額に相当する額だけ減少させられたものと認めるのが相当である。
 ③最低売却価額の下落が直ちにXの配当額の下落を意味するものではないが、Yによる不法占有以外に最低売却価額が次々と低下していった原因はなく、最低売却価額の下落をもって交換価値の下落を推認することができる。仮に、不法占有が終了し価値が回復するとしても、これをもって法秩序を無視する不法行為者が負わなければならない損害賠償義務が軽減されると解することはきわめて不当である。Xには、500万円を超える損害が生じた。


(3) まとめ
 様々な競売妨害行為が問題とされてきたが、最低売却価額の下落



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派遣切りの3割弱が住まい得る 厚労省・都の相談窓口登録者

2009年03月16日 | 最新情報
 派遣切りで「ネットカフェ難民」などになり住まいを失った人々を支援するため、東京都と厚生労働省が昨年4月から始めた相談窓口「TOKYOチャレンジネット」(東京・新宿)の登録者が16日までに1000人を超えた。159人が無利子融資を受けてアパートに入居、123人が住み込みの仕事を得て、計282人が“難民”を脱出。だが平均月収が16万円なのに、登録者の過半数が借金を抱え、平均債務が200万円を超えていた。破綻すれすれの過酷な生活実態もいっそう浮き彫りになった。

 厚労省は2007年、東京23区のネットカフェ難民を約2000人と推定。これに対しチャレンジネット登録者は3月7日で1002人に。年齢は最多の30代が33%。40代が27%、20代が18%で、50代が14%、60歳以上も4%いた。

 相談内容は「住まい」が最多で、次が求職・転職だった。無利子融資を受けるには身分証明書などのほか、相談前に6カ月以上、都内で暮らしていることが条件。住宅用資金は上限40万円で、家具など生活資金は同20万円。167人が融資を申請し、まだ融資が下りていないのは8人。6畳1間で風呂トイレ付き、月5万円台前半のアパートに入居する人が多かった。(共同 3月16日)
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