東京多摩借地借家人組合

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自衛隊の憲法明記は憲法9条2項を死文化、空文化させ、日本を戦争する国に変貌させる

2019年07月12日 | 政治経済
 第7回目の「やさしい憲法学習会」を6月29日(土)午後1時30分から立川市女性総合センター会議室で開催され、13名が参加しました。

今回のテーマは「自衛隊を憲法に明記しても何も変わらないのか?」、組合顧問の植木則和弁護士が約1時間にわたって詳しく講演しました。

①自衛隊を憲法に明記することの意味、改めて9条が果たしてきた役割を考える、9条解釈に関するこれまでの経緯、加速化する日本の軍事化として軍事費の急増、高額兵器の爆買い問題を指摘。自民党が検討している加憲の内容、なぜ9条「改正」でなく「加憲」なのか。②9条加憲の与える影響について私たちの生活への影響等について説明がありました。

とくに、最高法規である憲法に自衛隊が明記されれば、自衛隊やその軍事力を否定する法律は「憲法違反」になり、自衛隊違憲論による歯止めが失われる。9条2項の「陸空海軍その他戦力を保持しない」「交戦権」などの憲法の制約から解放され、軍事費のさらなる膨張と社会保障費の削減、自衛隊への土地収用など国民の財産権も制約される、また将来的には「徴兵制」にもつながりかねない等の問題点が指摘されました。

③国民投票法の抱える問題点としては、有効最低投票率の定めがないために、仮に投票率が30%でも過半数が賛成したら、少数の賛成で改憲ができてしまう。

また、国民投票運動はほぼ完全自由なため大手広告会社の改憲派のコマーシャルがテレビのゴールデンタイムを使って大々的に宣伝され、「改憲をお金で買う」ことも自由になる恐れがある等の危険性が指摘されました。参加者の自己紹介の後、学習会の感想と意見が自由に披露されました。参加者の皆さんから「憲法に関心がない人が多い。学習会は大変勉強になった。家族の中でも話し合っていきたい」との意見も出され、意義のある憲法学習会となりました。

(東京多摩借組ニュース7月号より)
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参院選:各党の住宅政策を比較する~住まいの貧困対策に熱心なのはどこ?

2019年07月10日 | 政治経済
http://housingpoor.blog53.fc2.com/blog-entry-322.html
今年5月、住まいの貧困に取り組むネットワーク、国民の住まいを守る全国連絡会等の住宅運動団体は、参議院選挙に向けて、各党の住宅政策に関するアンケートを実施しました。

その結果、日本共産党、社会民主党、日本維新の会、立憲民主党の各党(回答到着順)から回答をいただきました。ご協力ありがとうございました。

以下に4党の回答をご紹介します。また、4党以外の政党の住宅政策も、公表されている公約集から抜粋したので、後半に記載しました。

参議院選挙の投票のご参考にしてください。

◆政党アンケートの内容とその結果◆

政党アンケートの内容は、大きく分けて、重視する住宅政策に関する質問(自由回答)と個別政策に関する質問(選択型)の2つのパートで構成されています。

A.重視する住宅政策に関する質問

参議院選挙での貴党の住宅政策(公約など)をお聞かせ下さい。主な政策の柱(項目)を5つ以内でお書きください(この間の国政選挙での政策でも構いません)。
上記の政策のうち当面最も重視する項目とその要点を記入下さい。

【日本共産党の回答】
1.住まいに対する権利の規定、公共住宅の質量ともの改善の明確化などを内容とする「住生活基本法」の抜本改正
2.民間住宅借上げなど多様な供給方式に活用で公営住宅を大幅に増やす
3.UR賃貸住宅は「応能家賃」(収入に応じた家賃)にし、住み続けられる家賃制度に改善する。劣化した台所、風呂場、トイレなどの設備の改善、畳、ふすまの入れ替えをUR負担で実施させる。
4.民間賃貸住宅に居住する低所得者(概ね公営住宅入居資格者)への家賃補助制度の創設
5.分譲マンションの維持・管理に対する公的な支援を充実し、安全・快適で長持ちするマンションをめざすとりくみを支援する

当面最も重視する項目
1.を最も重視する。(その理由)住まいは権利であることは、世界人権宣言や日本政府も批准している国際人権規約でも認めている。「民間まかせ」、「自己責任」を基本とする住宅政策を「住まいは人権」との立場の政策に転換することがいま求められている。 

【社会民主党の回答】
①「居住の権利」(Housing Rights)に基づき、住宅を社会保障として位置づけ、福祉と環境の視点から住宅政策を見直す。
②「住宅支援制度」を創設し、「住まいの貧困」に対するセーフティネットを強化する。
③公的住宅政策を抜本的に強化し、優良な公共賃貸住宅を着実に増やす。
④各地における「居住支援協議会」の設置を進めるとともに、「公的な保証人制度」や「公的家賃債権保証制度」の創設を検討する。
⑤空き家データベースを整備するとともに、古い空き家や集合住宅に手を入れて、家賃負担が軽い住宅を再供給し、既存の住宅ストックの有効活用と住宅困難者対策の一石二鳥を実現する。

当面最も重視する項目
住宅支援制度の創設
安心して暮らせるよう、現物給付(低廉な家賃の公営住宅の供給拡大や空き家等の既存の住宅ストックを活用した借り上げ住宅等)または現金給付(家賃補助、家賃の税制上の控除制度)による「住宅支援制度」を創設し、「住まいの貧困」に対するセーフティネットを強化する。

【日本維新の会の回答】  

1.都市計画法の改正
2.UR完全民営化の推進
3.ゴミ屋敷対策

当面最も重視する項目
都市計画決定された後も住民の意見を反映させるために必要な措置について検討を加える。都市計画事業が施行されることなく長期間経過する場合、建築制限を受けることによる経済上の不利益を受ける者への必要な措置を講ずる。

【立憲民主党の回答】

① 中古住宅・マンションのリフォーム(耐震化、ゼロエネルギー化)の推進
② リフォーム市場の活性化
③ すべての建築物の断熱を義務化
④ 子育て家庭への住宅支援、団地の世代循環、高齢者向け住宅の供給拡大
⑤ 高齢者資産、空き家の有効利用(住宅手当制度)

当面重視する項目
日本はこれまで「持ち家政策」を重視してきましたが、空き家が1000万戸を超えると言われる中、持ち家重視から賃貸重視へと変換するべきであると考えます。住宅は人間の生活にとって、「住宅」は欠かせないものであり、セーフティネットであることから、賃貸住宅への支援制度の創設が必要であると考えます。


B.個別政策に関する質問

1. 2017年国会で成立し、同年10月から施行された「改正住宅セーフティネット」法について、経済的支援 (家賃低廉化、住宅改修費)の大幅改善が必要と思いますが、お考えをお聞かせください。
① 必要である、②必要ではない、③どちらとも言えない

2. 本来の住宅セーフティネットである公営住宅を中心とした拡充・強化こそ必要であると考えますが、ご意見をお聞かせください。
① 必要である、②必要ではない、③どちらとも言えない

3. 民間賃貸住宅の高家賃の抑制と家賃補助が求められているが、ご意見をお聞かせください。
① 必要である、②必要ではない、③どちらとも言えない

4. 上記の1~3についてご意見をお聞かせ下さい。

【日本共産党の回答】 3点とも「必要である」

国土交通省によると「改正住宅セーフティネット」法による家賃低廉化措置を予算化した自治体は全国で23、登録住宅への補助の実績は49戸、補助額は約1000万円(うち国負担は約500万円)、家賃低廉化の支援を年間6億円とした制度開始当初の想定は全く機能していなしし、法によるセーフティネットにもなっていない。自治体負担の割合、入居要件が厳しいなどの問題点もあるが、賃貸人への家賃低廉化補助になっていることが最大の問題だ。民間賃貸住宅に入居する低所得者への適切な家賃補助制度にするなど速やかな改善が必要だ。

【社会民主党の回答】 3点とも「必要である」

先進諸国のなかで、日本の低所得者向け住宅施策が際立って小規模であることに加え、政府が住宅政策への公的責任を後退させ、住宅をさらに市場化する政策が進められてきました。格差や貧困が深まり、また単身低所得高齢者が増加する中、住まいは原則私的な問題と捉えてきた日本の住宅政策の落とし穴が顕在化しています。改正住宅セーフティネット法も最低限の位置づけしかもっていません。「住まいは人権」であり、居住の権利を保障する方向で、見直していくべきです。

【日本維新の会の回答】 3点とも「どちらとも言えない」

法改正の効果について検証されるのはこれからのこと。
効果が見られた場合は、対象を限定しての拡大は検討すべきである。

【立憲民主党の回答】 3点とも「必要である」

日本はこれまで「持ち家政策」を重視してきましたが、空き家が1000万戸を超えると言われる中、持ち家重視から賃貸重視へと変換するべきであると考えます。住宅は人間の生活にとって、「住宅」は欠かせないものであり、セーフティネットであることから、賃貸住宅への支援制度の創設が必要であると考えます。


◆アンケート回答のなかった政党の住宅政策◆

【自由民主党】

「令和元年参議院選挙公約」より
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/manifest/20190721_manifest.pdf

不動産市場・リフォーム産業の活性化、適正な建物評価の定着、取引市場環境の整備、賃貸住宅管理業の適正化、既存マンションの管理の適正化・建替え等の円滑化等を通じ、既存住宅ストックの有効活用や既存住宅市場の活性化を図ります。また、住宅団地の再生、空き家バンクの活用等による空き家の活用と低未利用地の利用促進を図ります。

【公明党】
『成長戦略2019』より
https://www.komei.or.jp/campaign/sanin2019/images/top/stra2019.pdf

若者・子育て世帯・高齢者が安価で良質な住宅を手に入れやすくする環境整備を推進するため、安心R住宅等の既存住宅の流通、リフォーム市場の活性化と住み替え支援の充実等を促進し「住宅ストックビジネス」を活性化させる。空き家や賃貸住宅等を活用する「新たな住宅セーフティネット制度」に基づく登録住宅の改修補助の強化や居住支援法人の指定促進と活動支援の強化、賃貸住宅管理業の適正化を図る。
消費税率引き上げに伴う住宅需要の変動対策を確実に実行して、住宅関連市場の新たなけん引力を創出する。

【国民民主党】 
参議院選挙政策 「新しい答え 政策INDEX2019」より
https://www.dpfp.or.jp/new_answers_2019

住宅
○「中古住宅高付加価値化法」(仮称)を制定し、地域の工務店・大工などの人材と地元の木材などの資材を活かした中古住宅のリフォーム(耐震化、ゼロエネルギー化)の推進、既存ストックの高価値化、宅地建物取引業者などへの支援、中古住宅の流通合理化・市場活性化を図ります。
○また、子育て家庭への住宅支援、団地の世代循環、高齢者向け住宅の供給拡大を進めます。
○「高齢者の居住の安定確保に関する法律」を活用し、地域包括ケアシステムを構築し、まちづくりと一体となって高齢者の居住の安定を図るとともに、サービス付き高齢者住宅の建設を促進するなど、自宅と介護施設の中間的な施設の拡大を図り、安全・安心な高齢者居住を実現します。リバースモーゲージの拡充・活用促進などによる高齢者の資産の有効利用を図ります。
○公共建築物において再生可能エネルギーの導入を促進するための法制度を整備し、公共建築物への再生可能エネルギー導入を進めます。また、小水力・地中熱・河川熱・下水熱などの再生可能エネルギーの導入を進めるため、規制緩和や手続簡素化、財政支援強化を行います。
○マンションの省エネ化・長寿命化を図り、住民の安全と健康を守るとともに、築年数が古い物件について、建て替えを促進する政策をさらに拡充させます。
○年収 500 万円以下で、賃貸住宅で暮らす世帯の家賃について、月 10,000 円の補助を行います。住環境の改善が実現できれば、子育て支援にもつながります。
○所有者不明土地問題を含め、空き家対策の検討を進めます。

【れいわ新選組】 
「政権とったらすぐやります 今、日本に必要な緊急政策」より
https://www.reiwa-shinsengumi.com/policy/

安い家賃の住まい 敷金、礼金などの初期費用や家賃、高くないですか?
空き家、中古マンション、団地を活用し、全ての世代が初期費用なし、安い家賃で住める公的住宅を拡充します。


 

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多摩借組がやさしい憲法学習会第6回開催 

2018年04月09日 | 政治経済
 東京多摩借組は、第6回目の「やさしい憲法学習会」を3月24日午後1時半から立川市柴崎学習館で組合員15名が参加して開催しました。

三多摩法律事務所の植木則和弁護士より9条加憲と国民の投票法の問題点について、安倍政権がなぜ9条を変えたいのか、自民党の加憲案のたたき台について、加権の狙い等が説明され、9条加憲によって、9条2項の「戦力不保持」が死文化し、自衛隊に課せられた様々な制約が解放され、将来的には徴兵制も可能になると警鐘しました。危険な改憲の発議をさせないために、3000万署名を成功させようとの訴えがありました。

講演後、自衛隊と憲法との位置付け、国民投票法と改憲反対の運動等活発な質疑応答が行われました。
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第5回憲法学習会のご案内 7月14日

2017年06月12日 | 政治経済
安倍首相は5月3日の憲法記念日に突然2020年の東京オリンピックの年に憲法「改正」をするんだと提案し、来年の通常国会に憲法改正を発議し、12月までに衆議院選挙と同時に憲法改正の国民投票を行うこともあると新聞で報道されています。このままでは、国民が置き去りにされたまま、改正の理由さえ明確にされないまま国民投票が実施されかねません。多摩借組主催の5回目となる今年の憲法学習会では、現在自民党内で改憲項目として検討中の憲法9条の自衛隊の加憲・緊急事態条項・教育無償化などについて、本当に改正の必要性があるのか否か学習したいと思います。国民一人一人につきつけられた課題ですので、皆さん奮ってご参加下さい。(参加無料です)

◎日時 7月14日(金)午後6時半開会
◎会場 三多摩法律事務所会議室(立川北口薬局ビル4階、JR立川駅北口から徒歩8分)
◎講師 大浦郁子弁護士

主催 東京多摩借地借家人組合

電話 042-526-1094
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NHKクローズアップ現代「独立する富裕層~アメリカ 深まる社会の分断~」を見て

2014年04月25日 | 政治経済
 アメリカの自治体で今異変が起きている。会社経営者・医師・弁護士などの富裕層が州の下の行政区分である群から独立した市の境界線を決め、州議会を動かし住民投票を実施に「富裕層だけの市」を独立させる動きについてNHKの「クローズアップ現代」で放送していた。

ジョージア州のサンディ・スプリング市では市のほとんどの業務を民間企業に委託し、市の運営コストを半分以下にカットし、浮いたお金を市民の治安や安全の費用に使っている。お金持ちの都市の周辺の群では、税収が減りゴミの収拾もできなくなり、子供たちが勉強する図書館は2時間も短縮。貧困層の治療を行う公立病院は医師の数が減り、満足な治療も行なわれていないという。

 ジャーナリストの堤未果氏の話では富裕層の都市の誕生で公教育にお金を出す概念が無くなり、公立学校が切り捨てられ、教育難民、学校に行けなくなった子どもたちが、全米各地であふれているという。日本でも自治体の仕事を民間委託する動きが強まっている。自治体を株式会社化してもいいのか。考えさせられた番組だった。


http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3488.html
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なぜ、いま自由にモノを言えなくなる社会なのか 弁護士 枝川充志

2013年08月21日 | 政治経済
 先の参議院選挙で自民党が圧勝し、改憲を進める勢力が多数を占めるようになりました。いよいよ本格的に憲法改正が政治スケジュールに位置付けられることになります。そうである以上、様々な表現媒体をつかって憲法の意義や改憲の問題性についてきちんと発言し討議していく必要があります。
 しかし自民党の改正草案を見ると、今後そのような発言を封じることを可能にする規定が新設されています。具体的には表現の自由の条文です。
 自民党草案では、現行憲法21条1項とほぼ同じ条文である「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する」に加え、2項を新設して「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」との規定を設けています。この規定が意味するところは何でしょうか。
 これまでの連載にもあったように、憲法は本来国民の自由を保障するため国家権力に対して縛りをかけるものです。そのために自由を保障する種々の規定をおいているのです。
 しかしこの条文は違います。国民の自由、すなわち人権に制約をかけようとしているのです。表現の自由は人間の尊厳にかかわる人権とされ、また民主政治に不可欠の人権とされています。それは、表現することが人間の本質であり、また民主政治において十分に議論をたたかわせることが不可欠と考えられているからです。そのため表現は自由でなければなりません。しかし自民党草案では、このような重要な人権を憲法で制約しようとしているのです。
 自民党の「日本国憲法改正草案Q&A」で「『反国家的な行動を取り締まる』ことを意図したものではありません」としています。しかし「公益」や「公の秩序」を害する場合とはいったいどんな場合でしょう。原発反対やTPP反対を叫ぶデモ行進をなどをして、時の政権の政策や方針に反対するとしましょう。時の権力者が原発再稼働やTPPを進めるようとしている場合、そのようなデモは「公益」に反する活動とされ禁止される恐れがでてきます。官邸前で抗議活動をすれば人がふくれあがり交通秩序が乱れる、だから「公の秩序」を害するとして取締りを受けかねません。憲法がこのような制約を認めることになるわけですから、対抗するのは極めて困難となります。
 いま、自由にモノが言えない社会をわざわざ作り出す必要がどこにあるのでしょうか。
 戦前、私たちは言論が制約された時代を経験しています。それがいかなる悲劇を招いたか歴史上明らかです。「公益及び公の秩序」によって表現の自由を制約することはまさに時代を逆行させるもので、決して許してはなりません。(全国借地借家人新聞より)
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憲法96条改正は国民へのだまし討ち 弁護士 枝川充志

2013年07月10日 | 政治経済
 来たる7月の参議院選挙で憲法96条改正が大きな争点となっています。
 96条は憲法改正の手続要件を定める規定です。そこでは、衆参議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が改正を発議し、国民の過半数の賛成が得られた場合、改正ができるとされています。96条改正とは、このうち「総議員の3分の2」の要件を「総議員の2分の1」にしようというものです。
 しかしこれはあまりにも姑息なやり方で、国民を欺くものと言えます。なぜでしょうか。
 そもそも憲法は、個人の自由を保障しています。権力者が個人の自由を制約しようとするとき、これに歯止めをかけるのが憲法なのです。ですから、権力者にしてみれば自らに歯止めをかける憲法を変えたい、それには「総議員の3分の2」の要件はハードルが高すぎる、ならばハードルを下げればよい、ということで改正要件を「総議員の2分の1」に変えようとしているのです。
 しかし憲法が「総議員の3分の2」の賛成による発議を求めたのは、「正当に選挙された国会における代表者」(憲法前文)で3分の2の合意が形成されるまでに熟慮と討議を重ねなさい、少数意見を含めて十分な判断材料を有権者に提供しなさい、という役割を国会議員に課している点にあります。
 ですから、ハードルを下げてあとは国民に判断してもらう、というのでは、多数をとった権力者が思いのままに憲法を変えられるのと同じことになるのです。「96条が設けている憲法改正権への制限を96条自身を使ってゆるめることは、憲法の存在理由そのものに挑戦すること」(96条の会)に他なりません。
 また改正手続きを緩和し本当に手をつけたいのは平和主義を定める9条です。しかしいきなりこれに手をつけるのはあまりにハードルが高く国民投票で否決される可能性があります。そこでまずは改正手続の緩和なのです。ここに国民へのだまし討ちがあるのです。
 加えて今の国会の構成は衆参とも違憲と判断されています。「正当に選挙された」(憲法前文)とは言えない国会議員がまずやるべきことは、96条改正ではなく、選挙制度の違憲状態を解消することです。
 96条改正後の、個人の自由が権力者によって意のままに制約される社会とはどんな社会でしょうか。今の憲法はそんな社会を想定していません。ですから、96条改正を阻止するよう一人一人が声をあげ、「現在及び将来の国民」(97条)に対する責任を私たち自身がしっかり果たしていく必要があります。(全国借地借家人新聞より)
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毎日社説: 脱法ハウス 行政が「住」の受け皿を

2013年07月10日 | 政治経済
毎日新聞 2013年07月09日 02時33分


 倉庫や貸事務所として届けられながら、実際には狭い空間を仕切って作った個室に多数の人が住む「脱法ハウス」が問題化している。

 近年、東京など大都市圏で目立つが実態は不明だ。一つの建物に数十人から100人を超える人が住んでおり、火災が起きれば多数の犠牲者を生みかねない。建築基準法や消防法に反するケースもあるようだ。

 太田昭宏国土交通相は、都道府県や政令市などに実態調査と報告を求めた。現状の把握は、対策の必要性を判断する第一歩で、当然の措置だ。報告を踏まえ、こうした施設に対する法や規制のあり方を早急に検討してもらいたい。

 5月に閉鎖された東京都内の施設の場合、薄い壁で仕切られた個室に窓はなく、約1・7畳の居住空間に1畳の寝台が付いているだけだった。キッチンとトイレは共同だった。

 運営業者は、ホームページで「話題沸騰中のシェアハウス」と宣伝していたが、消防などには「24時間利用可能な貸事務所だ」と説明していたという。

 建築基準法や消防法、自治体の条例などは、互いに補完し合いながら防火対策を定める。共同住宅は事務所などに比べて規制が厳しい。法の隙間(すきま)に目をつけた商法と言える。

 実際、この運営業者は、こうした実態が報道されたとたん、施設を閉鎖したり、「住民」に閉鎖通告をしたりした。脱法的であることを認識していたとしか思えない行為だ。

 入居している年齢層は幅広いが、20〜30代も多い。敷金や礼金、連帯保証人が不要で、入居手続きも簡便だ。就職のためには住所が必要なため、「脱法ハウス」に住民登録をしていた人も少なくない。

 経済が低迷する中で、職も住むところもない人が若者を中心に激増した。路上やネットカフェなど本来、人が住む場所でないところに多くの人が住まざるを得ない現実を直視しなければならない。需要がある以上、一部の業者の行為を貧困ビジネスと批判するだけでは済まないのだ。

 危険な施設が閉鎖されるのは当然だが、受け皿がなければ追い出された人は路頭に迷ってしまう。

 市町村や区など住民に最も近い立場にある行政がまず、当事者の声を聞き住宅政策を見直してもらいたい。

 公営住宅などは、高齢者が優先されるため、働く世代が入りにくいとかねて指摘される。また、生活保護受給者や職がない人に対する支援策と比べ、低収入の生活困窮者に対する「住」の支援が不十分だと言われる。条例の整備などを通じ、「住」支援を前進させてほしい。また、背景に社会構造の変化がある以上、国も明確な施策を示すべきだ。
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やさしい憲法の学習会

2013年06月15日 | 政治経済
 安倍首相は、憲法96条(憲法改正の発議、国民投票及び交付)の「改正」を行い、衆参それぞれの3分の2から過半数の賛成で国民に発議できるようにすべきであると主張し、憲法「改正」問題が国政の重要な問題にクローズアップされてきました。

 今年7月の参議院選挙の結果、自民・維新・みんなの党など改憲に賛成の議員が3分の2以上を占めれば、96条が改正され、発議されて国民投票ということにもなりかねません。さて、私たち国民は憲法のことをまず十分に知ることが重要です。そこで今回の学習会では、「憲法とはどのような法律なのか」、「改憲を主張している政党はどのような憲法にしたいと考えているのか」、「仮に憲法の「改正」に賛成でも、96条を普通の法律のように過半数の賛成で改正していいのか」等、そんなことをまずは組合顧問の大浦郁子弁護士の講師で学習したいと思います。みなさんお気軽にご参加下さい。

◎日時 7月10日(水)午後6時30分開会
◎会場 立川市女性総合センター・第2学習室
 (立川駅北口徒歩7分) 参加無料
◎講師 三多摩法律事務所 大浦郁子弁護士
◎申込み 電話・FAXで組合事務所まで 電話 042(526)1094
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被災者向け融資開始、借入者には返済猶予、延長などで対応 住宅金融機構

2011年03月15日 | 政治経済
住宅金融支援機構は今回の大地震で住宅が全壊、大規模半壊又は半壊した被災者を対象に、住宅復旧のための補修資金と住宅の建設資金、購入資金の融資の受け付けを始めると発表した。受付期間は、り災日から2年間。適用金利は全期間固定金利で年1.77%、特例加算については2.67%(3月14日現在)で融資する。



 また被災者で同機構から融資を受け現在返済中(フラット35を含む)の人には、返済金の払込みの猶予、猶予期間中の金利引き下げ、返済期間の延長で対応する。被災の程度に応じて返済方法の変更を受け付ける。



 同機構は3月11日付で、機構本店内に被災者対応本部を、東北支店内に現地被災者対応本部をそれぞれ設置。現地の情報収集、被害状況の把握、被災者向け情報の発信、受託金融機関との調整、顧客相談対応などにあたっている。(住宅新報 3月14日)
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相続税の定額控除3000万円に、最高税率は55%に引き上げ 政府税調

2010年12月13日 | 政治経済
 政府税制調査会は12月13日の会合で、相続税の基礎控除額について、「定額5000万円に法定相続人1人当たり1000万円を加えた額」とした現行から、「定額3000万円に法定相続人1人当たり600万円を加えた額」に下げる方針を決めた。併せて、最高税率を現行の50%から55%に引き上げる。こうした相続課税の強化は、格差是正や所得再分配機能を図ることが目的。



 また、資産課税関連で議論されていた新築住宅等の固定資産税の減額措置(新築特例)の見直しは、検討を継続する方針を決定。「住宅をめぐる状況が地域によって様々であることを踏まえつつ、優良な住宅ストック重視の観点から2012年度改正までに真摯に議論し、結論を得る」とした。新築特例は2010年度税制改正大綱で、2011年度末までの延長を認めつつ、今後1年間で見直しを検討するとされていた。(住宅新報 12月13日)
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参院選:「消費税率」競い合い 民主、自民党が政権公約

2010年06月17日 | 政治経済
民主、自民両党は17日、参院選の政権公約(マニフェスト)を発表した。菅直人首相は東京都内で記者会見し、消費税増税について「税率については自民党が(マニフェストで)提案している10%という数字を一つの参考にさせていただきたい」と述べ、具体的な税率に初めて言及した。また「10年度内にあるべき税率や、逆進性対策を含む消費税の改革案を取りまとめていきたい」と明言した。自民党もマニフェストで消費税率を10%としたうえで「超党派による円卓会議」を提案した。参院選は、与党・民主党と最大野党の自民党がともに消費増税を掲げて戦う異例の展開となる。

 首相は記者会見で消費増税について「幅広い合意を得ることができれば、超党派で法案を提出し、成立を目指す」とも語った。記者会見で民主党マニフェストに明記していない税率10%に言及したのも、自民党への誘い水の意味がある。玄葉光一郎政調会長は「最速では12年度秋に上がる。(引き上げ幅の)5%は最終的に足りるのかという議論にもなる」と指摘した。

 民主党マニフェストは「早期に結論を得ることを目指して、消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始」と明記し、「法人税引き下げ」も掲げた。財政再建の目標を3段階で規定。第1段階では超党派での協議のほか「11年度の国債発行額は、10年度発行額を上回らないよう全力を挙げる」と盛り込み、中期目標で「15年度までに基礎的財政収支の赤字(対国内総生産=GDP=比)を、10年度の2分の1以下にする」、長期目標で「20年度までに基礎的財政収支の黒字化を達成」--を掲げた。

 衆院選マニフェストは、子ども手当などで家計の可処分所得を増やし、内需主導の経済成長を目指すとした。だが、10年度予算で、事業仕分けなどで確保できた恒久的な財源は2兆円強。11年度予算で公約通り子ども手当の満額支給などを実施すれば、12.6兆円の財源が必要になる。国と地方の長期債務残高がGDPの2倍近くまで膨らみ、ギリシャの財政危機で市場の視線が厳しさを増す中では、財政赤字をこれ以上膨らませるのは難しい。首相は「家計への直接支援」からの路線を転換せざるをえなかった。

 首相が新たに掲げたのは「強い経済、強い財政、強い社会保障」だ。増税で財源を確保し医療や介護、環境など成長が見込める分野に集中的に投入すれば、新たな雇用を生み出し、経済が成長。税収増で財政再建と社会保障の充実も同時に図れるとする考えだ。マニフェストでは成長戦略を柱に掲げ、法人税減税や鉄道、原発などのインフラ輸出の促進などを盛り込んだ。

 ◇保守色強まる自民
 自民党は参院選公約で政府目標を上回る「名目4%の経済成長」を掲げ、消費税については年金、医療、介護の社会保障給付と少子化対策に全額充当することを前提に「税率を引き上げる」と明記した。食料品の複数税率など低所得者への配慮も検討する。

 谷垣禎一総裁は17日の記者会見で、民主党の公約を「われわれのカーボンコピーのようだ」と批判、自民党こそ財政再建の「本家」だと強調した。だが、首相が「税率10%」に言及し、経済・財政分野で民主党との違いを示すのは一層難しくなった。

 このため、選挙戦では「進取の精神を持った保守」(谷垣氏)を前面に出し、菅政権との差別化を図る方針だ。公約の冒頭に党是の「自主憲法制定」を位置付け、国民投票法の施行を受けて「憲法改正原案の国会提出を目指す」と明記した。民主党が目指す夫婦別姓制度や外国人地方参政権への導入反対も盛り込んだ。

 外交・安保分野では、民主党政権の迷走で日米の信頼関係が大きく損なわれたと指摘。在日米軍再編の着実な推進▽インド洋上での補給支援活動の早急な再開▽自衛隊を迅速に海外派遣できる国際平和協力法(恒久法)制定--など与党時代からの主張を並べ、民主党政権との対立軸を示した。

 教育分野でも保守色を強めた。民主党政権の教育政策を「日教組の偏向教育丸のみ」と批判し、教職員組合の政治的中立を確保するため教育公務員特例法違反に罰則規定を設けるよう提案。政府が見直しを進める教員免許更新制度に実効性を持たせることも打ち出した。【中田卓二、坂井隆之、小山由宇】(毎日 6月17日)

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全国消団連が消費者庁設置法案可決で声明

2009年05月30日 | 政治経済
参議院にて「消費者庁関連三法」が全会一致で可決されました。全国消費者団体連絡会は可決にあたって声明を発表しました。

 全国消費者団体連絡会の声明
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臨時国会、8月下旬召集で調整

2008年06月03日 | 政治経済
2008年06月03日(朝日)

 政府・与党は臨時国会を8月下旬に召集する方向で検討に入った。インド洋での給油活動を延長するための補給支援特別措置法改正案など重要法案が参院で否決されても、衆院で再議決できるよう、会期を十分に確保する狙いがある。消費者庁設置法案も提出する方針で、福田首相は会期内成立にこだわりをみせている。100日間前後の会期とする方向で調整している。

 昨年も、「ねじれ国会」に伴う審議の難航を予想して、例年より前倒しで9月10日に臨時国会を召集した。それでも2回の会期延長を余儀なくされたため、今年はさらに早めて8月25~29日召集を軸に検討している。会期末は11月末から12月中旬の想定だ。

 臨時国会では、補給支援特措法の取り扱いが最大の焦点となる。同法は今年1月、参院での否決を受けて57年ぶりに衆院で再議決され、成立した。今回も野党の反対は確実な情勢。一方、与党は自衛隊を随時海外派遣できるようにする恒久法(一般法)の検討を進めているが、公明党に慎重論が強く、臨時国会までに成案を得られそうにない。

 このため、政府・与党は今回も特措法で対応する方針を固めている。自民党の大島理森国会対策委員長は5月中旬、福田首相に「補給支援特措法の延長問題は11月中に結論を出したい。12月は予算編成に集中したい」と進言。予算編成時期に法案審議が重なった昨年末のような状況は避けてほしいと要望した。

 政府管掌健康保険(政管健保)に対する国庫負担を、大企業などの健保組合に肩代わりさせる法案は今国会で継続審議となるが、今年度の社会保障費の伸びを2200億円抑制するために不可欠だとして、政府・与党は臨時国会での再議決を辞さない構えだ。

 与党内では、7月の北海道洞爺湖サミット後の内閣改造を求める声が強まっている。首相が内閣改造に踏み切る時期によっては、臨時国会の召集が遅れる可能性もある。


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新春業況アンケート、「景気悪化する」64% 住宅新報調査

2008年01月16日 | 政治経済
2008年は米国の景気後退などを反映した株価急落でスタートした。住宅・不動産業界の経営トップ91人を対象に住宅新報が実施したアンケートにも、日本経済を取り巻く不安や懸念が色濃く表れたが、一部では今年後半の回復を見込む声も聞かれ、期待と不安が入り混ざる結果となった。

 日本経済(景気)や住宅・不動産業の業況については悲観的な見通しが皆無だった1年前の同アンケートから、今年は状況が一変した。日本経済は、「景気回復は腰折れ期に入る」が39%、「景気悪化が企業活動に影響を与える」も25%に上り、併せて64%が景気悪化の見通しとなった。国内消費の停滞、サブプライム問題の長期化、円高、原油高などが主な理由として挙げられた。一方、成長著しいアジア経済への期待や国内における好調な企業業績、実態経済の底堅さなどを背景に「前年並みの回復基調を維持する」との回答も3分の1に上った。

 住宅・不動産市場動向については「前年並みの市場動向で推移」の44%を、「需要停滞、マーケット縮小」の49%が5ポイント上回った。

 建築確認の厳格化に伴う市場縮小、不動産価格の高騰が2大要因に挙げられ、景気鈍化によるムードの悪さを指摘する声も聞かれた。

 一方、環境対応や「200年住宅」、ファンド再編、外資の投資活動、金利アップと消費税増税論議のタイミングなどに注目するという自由回答が目立った。

 経営トップが挙げた今年の業界キーワードを見ると、業界内外を問わず偽装問題が多発したことへの警戒感から「安全・安心」が55票と2位以下を大きく引き離し関心の高さがうかがわれた。「用地難」と「団塊世代のリタイア」がほぼ同率でこれに続き、先送りされている「金利上昇」は、昨年の1位から大きく後退した。

 好調を続ける首都圏のオフィスビル市場は、全体的に空室率低下、賃料上昇の流れが続く見通しが多かった。なかでも一部に高値感がうかがえた好立地、高グレードのオフィスビルにこの傾向が顕著だった半面、賃料上昇は大都市にとどまり地方との二極化が進むと見ている。また、不動産投資市場については投資活動は伸び悩むものの高い水準を維持するとの見方が多かった。

 昨年中ごろから減速し始めた首都圏の不動産流通市場は、リテール、ホールセール共に取引量が「前年並み」との回答が過半数を超えた。しかし、「増加」の回答が減り「減少」が大きく増える傾向が強まって、流通市場の風向きは大きく変わった。首都圏の不動産価格は、「価格上昇」が昨年の75%から8%にまで激減し、横ばいもしくは二極化の見通しが強まった。


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