東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

原状回復をめぐるトラブルについて 東京地裁判例から

2023年05月02日 | 敷金と原状回復
賃貸住宅の退去時における原状回復をめぐるトラブルが増加を続けています。判例のキーワードは「経年変化」と「通常損耗」です。

【東京地方裁判所原状回復工事費用等請求事件(本訴),費用償還等請求事件(反訴)の平成30年12月12日判決】
判決は「民法の規定する賃借人の原状回復義務は、①付属物の収去義務と②賃貸目的物の毀損部分の補修義務(いわゆる通常損耗を超える損耗部分の補修義務)からなる義務である。」としています。この判決で重要なことは「毀損部分の補修義務」とは「通常損耗を超える損耗部分の補修義務」と定義していることです。

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン (再改訂版)」(平成23年8月)
このガイドラインは、賃貸住宅の原状回復をめぐるトラブルの未然防止と解決のために作成をされました。判例の考えを整理していて参考になります。賃借人は「経年変化・通常損耗」の費用分は、賃料として支払ってきているのであり、賃借人が明け渡し時に負担すべき費用にならないはずです。このような分まで賃借人が明け渡しに際して負担しなければならないとすると、経年変化・通常損耗の分が賃貸借契約期間中と明け渡し時とで二重に評価されることになり、、賃貸人と賃借人間の費用負担の配分について合理性を欠くことになります。また、実質的にも、賃借人が経過年数1年で毀損させた場合と経過年数10年で毀損させた場合を比較すると、後者の場合は前者の場合よりも大きな経年変化・通常損耗があるはずであり、この場合 に修繕費の負担が同じであるというのでは賃借人相互の公平をも欠くことになります。 そこで、賃借人の負担については、建物や設備等の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させることとするのが適当です。また、次の入居者を確保する目的で行う設備の交換、化粧直しなどのリフォームについては、経年変化及び通常使用による損耗等の修繕であり、賃貸人が負担すべきです。
(弁護士 黒岩哲彦)

多摩借組の組合業務は 5月3日から5月7日までお休みします。
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通常損耗に関する補修費用を賃借人が負担する旨の特約が成立していないとされた事例(最高裁第2小法廷判決)

2023年03月20日 | 敷金と原状回復
 (判決要旨)
⑴建物の賃貸借において、賃借人が社会通念上の使用をした場合に生ずる賃貸借物件の劣化叉は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払いを受けることにより行われている。
⑵賃借人に通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、少なくとも、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約の条項自体に具体的に明記されているか、仮に契約書で明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約(通常損耗補修特約)が明確に合意していることが必要であると解するのが相当である。
⑶原状回復の特約である本契約書22条2項自体において通常損耗補修特約の内容が具体的に明記されているということはできない。┉┉┉

 上記の判例は、最高裁平成17年12月16日 判事1921号61頁の有名な判決です。この判決によって、特約を定めても3つの要件、①特約の必要性があり。かつ暴利的ではないなどの客観的、合理的理由が存在すること。②賃借人が特約によって通常の回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること。③賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること。以上の要件に反した特約は全て無効です。ぜひ、皆さん覚えておいてください。(東京多摩借組ニュースより)
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通常損耗に関する補修費用を賃借人が負担する旨の特約が成立していないとされた事例(最高裁第2小法廷判決)

2023年03月13日 | 敷金と原状回復
 (判決要旨)
⑴建物の賃貸借において、賃借人が社会通念上の使用をした場合に生ずる賃貸借物件の劣化叉は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払いを受けることにより行われている。
⑵賃借人に通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、少なくとも、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約の条項自体に具体的に明記されているか、仮に契約書で明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約(通常損耗補修特約)が明確に合意していることが必要であると解するのが相当である。
⑶原状回復の特約である本契約書22条2項自体において通常損耗補修特約の内容が具体的に明記されているということはできない。┉┉┉ 以下略
 上記の判例は、最高裁平成17年12月16日 判事1921号61頁の有名な判決です。この判決によって、特約を定めても3つの要件、①特約の必要性があり。かつ暴利的ではないなどの客観的、合理的理由が存在すること。②賃借人が特約によって通常の回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること。③賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること。以上の要件に反した特約は全て無効です。ぜひ、皆さん覚えておいてください。
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過剰な原状回復費用 管理会社と交渉し大幅に引き下げる

2021年10月19日 | 敷金と原状回復
京都市内に住む井戸さんは、6年間借りていた賃貸マンションを6月に引越しました。その後、管理会社から原状回復費用として、40万円の請求がきました。内容は、天井壁クロスの張り替え、フロアータイルの貼り替え、エアコンの交換などでした。管理会社は、井戸さんが日常的にタバコを吸っていたことで臭いが付着しており、すべてを替えていかなければならないため、井戸さんには原状回復する責任があることを告げていました。経年変化や通常損耗はまったく考えていませんでした。しかし、多額の費用であったため、納得がいかず管理会社と話し合うことにしました。そして、タバコを吸っていても賃借期間を考えれば、クロスなどは減価償却がされているから、張り替え費用を賃借人がすべて持つことにならないことやエアコンも新しく購入する金額を賃借人に負わすことは納得ができないなど主張しました。管理会社は、見積には入っていないが風呂でもヤニなどが染みついていたが請求していないことなどをあげて、見積の正当性を主張しました。井戸さんは、ガイドラインを示し、話し合いをした結果、担当者は、賃貸人と相談し、後日返事をすることになりました。

 後日、返事がきた結果、原状回復費用として、15万円に引き下げることになり井戸さんも承諾しました。

 本木さんも16年間賃借した建物を明け渡したところ、19万円の原状回復費用の請求を受けました。請求に納得がいかない本木さんは、ハウスクリーニングは貸主が自己の負担で行うことであり賃借人が払うものではないことなどを告げ、組合と一緒に出向くことを告げました。その後、管理会社からの請求は中断しています。(全国借地借家人新聞より)

賃貸住宅の原状回復トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合まで

電話 042(526)1094
 


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原状回復問題で管理会社と交渉し、14万9千円と請求が3万円の負担で決着

2021年08月11日 | 敷金と原状回復
阪神間の北部に位置する川西市で7年間借りていた借家を本年2月27日に明渡し、尼崎市に転居されたTさん67歳は、貸主から4月2日に原状回復費14万9千円を請求されました。納得がいかなく、尼崎の年金者組合の役員さんに相談され、そこからの紹介で組合に相談に来ました。原状回復の明細は、クロスの張替全室分で11万6000円、フスマ張替3千円とハウスクリーニング3万円の合計14万9千円の請求に対し、フスマの張替はペットによる損傷なので認め、それ以外は国土交通省の「原状回復トラブルガイドライン」に照らしても全室のクロス張替は認められないと、内容証明を本人が書き、相手に4月27日に発送し返事を求めました。

5月1日に貸主から手紙で通常損耗は認めるが、その他は認めない、そして、話し合いを求めてきたのでTさんは貸主との話し合いを持ちました。貸主の管理会社は宅建業者の社長と話し合うことが決まり、借家人組合で原状回復問題で学んで知識を得たので一人で宅建業者との交渉を持ちました。

初めに友好的に話し合うことを確認し、Tさんは借主の損傷した部分は払うが、ハウスクリーニング費の3万円は支払わないことを提案し、貸主側からは損傷部分が損傷の5分の1はあると主張があり、管理会社の社長は歩み寄りについて貸主のオーナーを説得し、約2時間に亘る話し合いで両者が歩み寄り、請求全額から、借主が3万円を支払うことで合意することになり、解決しましたと報告されました。 

Tさんは、組合から良きアドバイスをいただき、相手方と自信を持って話し合いが持てたと感謝を述べています。

(全国借地借家人新聞より)


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アパマンの特別清掃費等の請求を撤回させる

2021年06月22日 | 敷金と原状回復
 Kさんは、アパマンショップの仲介で小平市栄町の1Kのアパートを2017年に契約した。

 入居直後からお勝手の床の湿気でカビが発生し、昨年の夏流し台の下の収納庫の床が腐って、穴が開いた。アパマンに修理を依頼したが、担当者は「今修理すると全部入居者の負担になる。入居者の負担は4割で15万円払ってもらう」と、入居者が喚起をやらないからだと入居者の責任を問うばかり。その後、お勝手の床まで腐ってきた。何度修理を依頼してもアパマンの態度は入居者が負担しなければ修理しないという対応で、Kさんは不信感からアパートの退去を決断し、退去後の原状回復で不安を強め、多摩借組に相談した。

 今年の4月9日に組合役員が退去に立ち会ったところ、アパマンの社員と立会い業者が来た。お勝手のカビや収納庫の床の破損は建物の欠陥であることを認めた。しかし、タバコのヤニの特別清掃等で3万円を請求してきたが、その場での清算は拒否した。組合から通知を出し、契約書で明渡しの際に退去費用4万8千円を支払う特約があるが、特約がクリーニング費用であるならヤニのクリーニング費用に充てるべきであり、退去費用の定額以上の負担には応じられないと通知したところ、2か月後アパマンは3万円の請求を撤回した。(東京借地借家人新聞より)


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アパマンショップ アパート退去後に賃借人が明渡し料支払う契約 おかしいだろう!

2021年05月26日 | 敷金と原状回復
 組合ニュース612号で紹介した小平市のアパマンショップの1Kの賃貸マンションを4月26日付で解約し、4月9日に退室に当たり、立会いをしました。

当時は時間を決めて、組合役員も同席しました。アパマンの社員と立会業者のホームクリエイトの社員が立会を行い、Kさんが心配していたお勝手のカビについては入居してからの経緯を説明し、Kさんの過失ではないことが確認されました。

 その後、立会業者壁紙はタバコを吸っていて黄ばんでいたことを理由に、これは普通の清掃では落ちない、エアコンもクリーニングが必要と述べ、その場で3万円のクリーニング費用と、定額精算(明渡しの際の退去費用)45000円、合計税込みで82500円の見積書を作成し、これにサインするよう求められました。Kさんは、立会の前にその場でサインしないよう組合役員から言われていたので、サインを拒否し、後日清算について組合と相談し、見解を伝えることを約束し明渡しの立会を終了しました。

 組合では、4月20日に以下の内容でアパマンショップに通知を送りました。

①貴社の賃貸借契約書の特約条項では、「乙は明渡しの際に契約期間や汚損の程度にかかわらず退去費用として48600円(税込み)を負担するものとする」とされていますが、そもそも賃借人が何故に退去費用を支払うのか理由が明確ではなく、仮にクリーニング費用というのであれば、賃借人の室内使用によるタバコのヤニのクリーニング費用に充てるのが相当であり、特別清掃費など追加して支払う必要はない。

②賃貸借契約書第18条4項では、「乙は本物件の明渡しに際して、原則として自然損耗・経年変化・通常の使用に伴う損耗について、原状回復義務を負担しないものとします。但し、本契約に別途特約の定めがある場合には、その定めに従う」とされています。しかし、この特約条項は明らかに消費者の利益を一方的に害するもので、消費者契約法に違反しており、原状回復のガイドラインの「賃借人に特別な負担を課す特約の3要件」にも当てはまりません。

 以上、4月20日に本件について組合まで回答をよこすよう千代田区大手町の本社に通知しましたが、1ヶ月経過してもアパマンから何らの返事も来ていません。
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賃貸マンション退去後の過大な原状回復費37万円以上カットさせる

2021年03月29日 | 敷金と原状回復
 神奈川県横浜市の賃貸マンションを昨年9月に退去した馬場さんは、9月25日に管理会社から送られてきた敷金等の解約清算書を見てびっくりしました。原状回復費として56万1092円で、敷金11万5000円と9月分の日割家賃7万7901円、鍵交換費用1万1000円を差し引いても、残額37万919Ⅰ円が不足しているので10月9日まで管理会社に送金して支払うよう督促されました。

 確かに、馬場さんも無断で猫を飼って傷つけた個所など過失もあり、敷金や日割家賃の範囲であれば清算することはやぶさかでなく、10月に組合に相談に来て、組合を通じて19万2901円の範囲に収まるよう原状回復の見積書を改訂するよう通知を出しました。その後、管理会社は原状回復費を12万円ほど下げてきましたが、馬場さんも納得できず、さらなる減額を求めて交渉しました。

 組合にも管理会社から電話がありましたが、過剰な原状回復費用の負担を拒否したところ、今年の1月7日付の解約清算書が送られてきました。内容は、敷金と日割家賃の合計額19万2901円で原状回復費と鍵交換費用を清算することを認め、当初の請求から37万919Ⅰ円を減額させることができました。(東京多摩借組ニュースより)
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1年しか住んでいないアパートの退去で51万円超の法外な原状回復費用請求される

2020年08月20日 | 敷金と原状回復
 Yさんは中国人留学生で、コロナの影響でアルバイト先が休業となり、家賃が払えなくなり、アパートを借りて1年後の7月に退去し、友人宅に引っ越しました。1ヵ月家賃無料のフリーレントの契約でしたが、2年以内に退去したため、ペナルティとして家賃1ヶ月分支払う契約をしていました。

 退去する時に家主の指定業者が点検し、上記の写真のなぐり書きのような見積書を作成され、日本語もよく分からないYさんは、原状回復工事費用として51万3612円もの法外な請求を受け、見積書は敷金11万6000円を差し引き、39万7612円の不足額があることを合意すると書いてあり、Yさんはよくわからないまま署名捺印しました。

 とても払える金額ではなく、消費生活センターの紹介で組合に相談に来ました。契約書の特約で明渡し時に賃借人は室内クリーニング費用5万5千円プラス消費税と毀損した壁紙2枚分の張替え費用の90%分は認めるが、その他の請求は認められないと組合から早速、家主宛に通知を出しました。(東京多摩借組ニュースより)

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国交省のガイドラインを無視し、不当な原状回復特約を根拠にリフォーム代を請求 少額訴訟で敷金残額返還訴訟

2020年07月08日 | 敷金と原状回復
 八王子市石川町の共同住宅を今年の4月30日に退去した橋本さん(仮名)は、5月に管理する不動産会社から敷金精算明細者が送られてビックリしました。2年1ヵ月しか住んでおらず、退去時の立会いでも原状回復について何らの指摘もなかったにもかかわらず、敷金13万円からクリーニング費用、畳の表替え費用として税込みで8万5800円を差し引き、4万4200円しか戻らないと言われました。

 納得ができない橋本さんは、依然相談したことのある多摩借組に相談し、組合から橋本さんと連名で、特約条項の「借主の都合で解約の時、リフォーム代(畳、ふすま、障子、クロス等の張替え、クリーニング)の費用は、借主の負担として敷金より充当する」は消費者契約法に反し、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドラン」の賃借人に特別な負担を課す特約の要件、①特約の必要性があり、かつ暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在する。②賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること。③賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること。以上の3要件にいずれにも該当せず、今回のリフォーム代の請求は認められない。敷金全額返金するよう通知しました。

 その後、不動産会社から組合に電話がありましたが、何と国交省のガイドラインは認めず、特約は有効の一点張り、裁判で家主と争うことになるがそれでもいいかと言っても、家主も承知しているとの返事でした。家主に対しても同様の文書を出し、最高裁判決(平成17年12月16日)も同封しましたが、不動産会社は敷金からリフォーム代を差し引いた残金4万4200円を組合に現金書留で送ってきました。

 橋本さんと相談し、話し合いによる解決は困難であるため、家主を相手に八王子簡易裁判所に敷金返還の少額訴訟を起こすことにしました。最高裁判決は、通常損耗に関する補修費用を賃借人が負担する旨の特約が成立していないとした有名な判決で、この判決を基にして国交省のガイドラインの中で特別な負担を課す特約の3つの要件が定められました。
 いまだに、このような不当な原状回復特約を結んでいる不動産会社がいることが驚きです。賃借人の使い方が悪くて建物や設備を汚損・破損させたなら別ですが、特約を根拠に敷金から勝手にリフォーム代を相殺するなど悪質であり、泣き寝入りすることなく最後は裁判所に訴えましょう。少額訴訟は費用も安く、誰でも利用できる制度です。書面の作成などご支援します。
(東京多摩借組ニュースより)
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自然損耗でも借主負担とする例外のある特約は借主負担とする理由が書いてないと無効になる可能性高い

2020年03月10日 | 敷金と原状回復
 国のモデル契約書である「賃貸住宅標準契約書」では、原状回復についてガイドラインの考え方に基づいて作成され、別表第5でガイドランの概要が記載されている。なお、別表第5の最後に「例外としての特約」で、本来貸主が負担すべき原状回復費用を借主に負担とする理由を示して、特約を明記し貸主・借主の署名・捺印を求めている。

 講師の弁護士は、単に契約書の特約に例えば「乙は退去後、汚れの程度に如何を問わず、指定クリーニング業者にて行う室内クリーニング費用を支払うものとする」と書くだけでは無効となると指摘していた。

 賃貸住宅標準契約書の再改定の主なポイントについては、①家賃債務保証業者型が追加。②連帯保証人については改正民法に基づき「極度額」を頭記欄に設けた。③契約期間内に借主が修繕を行う場合のルールを明記した。④賃貸物件の一部滅失その他の理由で賃貸物件が使用できなくなった時の賃料減額の規定が明記。⑤敷金・原状回復・賃借物の全部滅失による契約の終了に関する規定が明記。極度額について金額の基準はなく、国交省は「極度額に関する参考資料」を発表している。

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賃貸住宅の契約の相談対応研修会開催 原状回復トラブルのガイドラインと賃貸住宅標準契約書

2020年03月10日 | 敷金と原状回復
 株式会社社会空間研究所が国交省の補助事業として毎年行っている「賃貸住宅の賃貸借契約に係る相談対応研修会」が全国9都市で開催され、東京会場は2月13日午後12時から千代田区の全国町村議員会館で開催された。150名の定員一杯となり、東借連から役員3名が出席した。

 研修内容は、①原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)の解説、②賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)の解説、③民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)の解説以上で約4時間にわたり、3名の弁護士から講演と質疑応答が行われた。

 原状回復をめぐるガイドラインでは、原状回復について「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意過失、善管注意義務違反。その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、建物の通常使用・経年変化は賃料に含まれるので貸主が負担、賃借人の善管注意義務違反や故意・過失部分は賃借人が負担と分類している。また、借主の退去後に古くなった設備等を最新のものに取り換える等のグレードアップは貸主が負担するとしている。

 また、ガイドラインでは経過年数の考え方が導入され、経過年数の経過割合について耐用年数経過時に残存簿価1円となり、賃借人の入居期間が長くなるほど賃借人の負担割合は減少する。クロス・畳床・クッションフロワ等については入居期間が6年で1円になる。
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契約書の特約に借主の不利益な条文を書くだけでは効力なし

2020年02月19日 | 敷金と原状回復
 国のモデル契約書である「賃貸住宅標準契約書」では、原状回復についてガイドラインの考え方に基づいて作成され、別表第5でガイドランの概要が記載されている。なお、別表第5の最後に「例外としての特約」で、本来貸主が負担すべき原状回復費用を借主に負担とする理由を示して、特約を明記し貸主・借主の署名・捺印を求めている。

 講師の弁護士は、単に契約書の特約に例えば「乙は退去後、汚れの程度に如何を問わず、指定クリーニング業者にて行う室内クリーニング費用を支払うものとする」と書くだけでは無効となると指摘していた。

 賃貸住宅標準契約書の再改定の主なポイントについては、①家賃債務保証業者型が追加。②連帯保証人については改正民法に基づき「極度額」を頭記欄に設けた。③契約期間内に借主が修繕を行う場合のルールを明記した。④賃貸物件の一部滅失その他の理由で賃貸物件が使用できなくなった時の賃料減額の規定が明記。⑤敷金・原状回復・賃借物の全部滅失による契約の終了に関する規定が明記。極度額について金額の基準はなく、国交省は「極度額に関する参考資料」を発表している。

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国交省補助事情「賃貸住宅の賃貸借契約に係る相談対応研修会」開催 2月13日

2020年02月19日 | 敷金と原状回復
 株式会社社会空間研究所が国交省の補助事業として毎年行っている「賃貸住宅の賃貸借契約に係る相談対応研修会」が全国9都市で開催され、東京会場は2月13日午後12時から千代田区の全国町村議員会館で開催された。150名の定員一杯となり、東借連から役員3名が出席した。

 研修内容は、①原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)の解説、②賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)の解説、③民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(改訂版)の解説以上で約4時間にわたり、3名の弁護士から講演と質疑応答が行われた。

 原状回復をめぐるガイドラインでは、原状回復について「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意過失、善管注意義務違反。その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、建物の通常使用・経年変化は賃料に含まれるので貸主が負担、賃借人の善管注意義務違反や故意・過失部分は賃借人が負担と分類している。また、借主の退去後に古くなった設備等を最新のものに取り換える等のグレードアップは貸主が負担するとしている。

 また、ガイドラインでは経過年数の考え方が導入され、経過年数の経過割合について耐用年数経過時に残存簿価1円となり、賃借人の入居期間が長くなるほど賃借人の負担割合は減少する。クロス・畳床・クッションフロワ等については入居期間が6年で1円になる。
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原状回復の暴利的特約は認められない、敷金の一部返還を請求

2018年07月18日 | 敷金と原状回復
 八王子市に住む加藤さん(仮名)は、中野区のアパートを今年2月4日に退去した。2年6か月ほど入居し、以前から申し込んでいた都営住宅に当選したため転居した。管理会社からクリーニング費用、エアコンの内部洗浄費用、クロスの張替え費用として10万5千円を請求された。6月末になって入居時の紛争防止条例に基づく説明書と写真を送ってきた。説明書には借主の負担内容として退去時に汚損の程度・入居期間の長短に係わらず、貸主の指定業者による住宅の内部各部のクリーニング、エアコンの内部洗浄、喫煙等の汚れが発生した場合、特別清掃費用、クロスの張替え費用が加算されると明記されていた。組合では管理会社に対し、清掃は不十分なところがあり室内クリーニングは認めるが、特約については借主に不利な暴利的特約は認められないとして敷金の一部を返還するよう督促した。

(東京借地借家人新聞7月号より)
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