東京多摩借地借家人組合

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三菱東京UFJ、暴力団と関係深い元社長側に地上げ融資

2008年12月27日 | 最新情報

 東京・渋谷の再開発をめぐり、三菱東京UFJ銀行(旧東京三菱銀行)が03~05年、都内の住宅販売会社を融資の受け皿にして、暴力団と関係が深かった不動産会社の元社長(48)側に約62億円の地上げ資金を提供していたことが分かった。同行の呼びかけで他の銀行も加わった融資総額は216億円に達し、その後、土地の転売に成功した元社長側は約90億円の利益を得たとされる。

 三菱東京UFJ銀行広報部は「個別のことなのでコメントできない」としている。

 地上げが行われたのは、JR渋谷駅に近い渋谷区南平台町の商業地約6948平方メートル(約2100坪)。土地の買収は03年から始まり、現地にあったビル8棟の買収や競売に出された都の施設の落札などを経て05年10月までに終えた。現在は、これを約422億円で買い取った大手不動産会社が高層ビルの建設を進めている。

 複数の取引関係者の話を総合すると、地上げを仕掛けた元社長は、自身の会社が多額の融資を受けることは難しかったため、融資に住宅販売会社(東京都武蔵野市)を介在させることにし、東京三菱銀行の新宿副都心支店幹部(いずれも当時)に相談。支店も、住宅販売会社を通じて元社長側に地上げ資金を提供するという、結果的に迂回(うかい)融資となる仕組みを了承したとされる。

 住宅販売会社がそれまで取引していたのは同行三鷹支店だったが、元社長が事情を知る新宿副都心支店に代えさせたという。また、住宅販売会社は、その後の融資関係の交渉や立ち退き交渉にはかかわらず、いずれも弁護士と協力した元社長が仕切った。住宅販売会社関係者によると、元社長側は地上げで約90億円の利益を得たという。


 暴力団との関係をめぐっては、元社長は91年ごろ、指定暴力団極東会組長(95年に死亡)らと連携して横浜市にある自動車学校の経営権の取得や敷地の地上げを画策。これを不当とする職員の労働組合が起こした訴訟の判決で、元社長は「暴力団組長と交際し、一緒に地上げを計画した」と認定された。当時、旧三菱銀行は学校側に約13億円を融資していた。

 一方、渋谷の地上げでも、テナント側が「業務妨害や脅迫を受けた」と主張。明け渡しを請求された訴訟で「ビル内に事務所を構えた地上げ屋のヤクザ風の男たちが出入りするようになり、著しい恐怖心を覚えた」「生ゴミが放置されたり、落書きなどで汚されたりして嫌がらせを受けた」などと訴えていた。(アサヒコム 12月27日)
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18年前の無断譲渡を理由に明渡しを請求されたが

2008年12月26日 | 明渡しと地上げ問題
(問)借地の一部を地主の承諾を得て食品会社に倉庫として転貸した。ところが先日地主が亡くなり、相続人から18年前の倉庫の無断転貸を理由に契約解除・土地明渡請求をされた。

(答)相談者の場合は先代の地主から承諾を得て転貸していた。だから過去に地主との間にトラブルがなかった訳である。無断転貸の主張は言掛かりに過ぎない。

 民法612条は「賃借人は賃貸人の承諾がなければ賃借物を転貸することが出来ない。賃借人がこれに反し転貸した時は契約を解除することが出来る」と定める。

 問題は契約解除権を長期間権利行使しなかった場合、解除権どうなるのか。
 最高裁は「賃貸土地の無断転貸を理由とする賃貸借契約の解除権は、その権利を行使することができる時から10年を経過したときは時効によって消滅する」(昭和62年10月8日判決)としている。

 また時効の起算点は転貸借契約が結ばれ、使用収益を開始した時から進行する。

 結論、難癖であろうと降り懸かる災難は取除かなければならない。相談者の場合は既に10年の時効期間を満たしている。従って地主に対して内容証明郵便で「解除権は既に時効である」と《時効の援用》をすれば、消滅時効は完成する。



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国土交通省  離職者の居住安定確保に向けた対策について

2008年12月25日 | 国と東京都の住宅政策
厳しい経済状況の下で離職者の居住の安定確保を図る必要性に鑑み、国土交通省においては、別添の通り公的賃貸住宅ストックを活用した対策の円滑化等を推進することとしています。12月18日付けでお知らせした公営住宅の目的外使用に係る承認手続きの合理化以外の主要な取組内容は以下の通りです。

 ○地方公共団体等が供給する地域優良賃貸住宅の目的外使用に係る承認手続きの合理化(12月22日付けで対応)

 ○都市再生機構(UR)賃貸住宅の空家の活用(定期借家契約により低廉な家賃で提供)
  (上記については、都市再生機構(UR)の記者発表 http://www.ur-net.go.jp/press/h20/ur2008_press_1224_risyokutaikyosya.pdf を御参照下さい。)

 ○地域住宅交付金の活用による地方公共団体独自の提案による取組みの推進

 また、国土交通省としては離職者向けに活用可能な公営住宅、特定公共賃貸住宅等の空家の情報を離職者が入手可能な環境整備を図るため、厚生労働省に都道府県等の住宅担当部局に係る連絡先及び担当者のリストを提供し、当該情報が全国の主要なハローワークにおいて共有されるよう措置することとしています。
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地代の減額で最高裁事務総局の指針を活用 税金の2・5倍に値下げせよと調停

2008年12月25日 | 地代家賃の増減
 バブル期に急上昇した地代は、バブル崩壊後も高値安定となっています。一方、借地人にも高齢化の波が押し寄せ、生活を直撃しています。静岡借地借家人組合のYさんもその犠牲者の一人です。

 「生活が苦しくて高い地代が払えない」とのYさんの訴えに組合では、地主側の代理人の弁護士へ「地代減額の交渉に応じてほしい」と申入れ、今年4月に交渉が実現しました。

 地主側の弁護士は、「現行地代は合意賃料、値下げの意思はない、借地の譲渡も認めない、意義があれば法廷で」というものでした。

 組合では、Yさんの近隣で以前地代値上げ反対の運動があったことを知り、情報収集と共に「借地人新聞地域版」を作り配布しました。

 そして、7月には、「地代を最高裁事務総局が示した公租公課の2.5倍に値下げせよ」との調停を静岡簡易裁判所へ申立、9月上旬から調停が始まりました。地主側弁護士は、「若干の値下げには応ずる」と当初のゼロ回答から値下げを認める変化を見せました。

 調停委員の斡旋が数回続き、「坪月50円の値下げなら応ずると地主側から提案されましたが、問題にならないと一蹴したところ、地主側から「地主負担で地代を鑑定したい」と申入れがありました。

 10月開かれた調停では、地主側から「鑑定の結果が遅れているので次回に提出する」との申し出がありました。

 組合側は、近隣で公租公課の2.69倍の地代の実例を示し地代の値下げの実現へ向けて奮闘することにしています。


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住宅セーフティネットの確立を求める緊急アピール

2008年12月24日 | 住まいの貧困に取り組むネットワーク
【緊急共同アピール】
住宅セーフティネットの確立を求める緊急アピール

住まいの貧困に取り組む準備会 有志

 2008年の冬、突如として世界的な不況の波が押し寄せ、雇用情勢の悪化から、派遣社員や期間従業員が解雇や雇い止めにより職を失い、住まいも同時に失うといった事態が頻発しています。

 これは、95年の日経連による「新時代の『日本的経営』」以来、派遣業の拡大が繰り返されることで製造業にまで及び、いまや全労働者の3人に1人以上にもなった非正規労働者が、企業による雇用の調整弁として「使い捨て」にされることで、生存が脅かされるに至った労働問題です。

 そして、これは同時に、持ち家推進政策とともに進められてきた民間企業福祉や民間賃貸借市場に頼った居住施策の破たんによる住宅問題でもあります。

 非正規労働者は、収入が安定せず雇用期間も見通しが立たないことから、持ち家のためのローンを組むことはおろか、連帯保証人や入居時初期費用がハードルとなって民間賃貸住宅に住むことさえできないことがままあります。その結果として、住まいの貧困に曝された非正規労働者は製造業等の寮付き職場やネットカフェなどでの不安定な生活を選ばざるを得ないのです。

 一方で、住宅施策としては、1961年のILO(国際労働機関)による労働者住宅に関する勧告(第115号)が、使用者が直接住宅を提供することは特定の理由がある場合を除き、一般的に望ましくないことであるとしているにも関わらず、すべての人に国が基本的人権としての住まいを保障するといった政策とは逆に、生存に直結する住まいの提供を企業福祉を含めた民間市場に委ねてきました。その結果、2000年の調査では公的賃貸住宅は全住宅の7%に過ぎません。その公的賃貸住宅も若年層に対しては、ほぼ門戸が閉ざされているのが現状です。

 企業による住まいの提供が、雇用情勢の変動により生活の拠点である住まいに直接影響する点や、常に企業からの監視の目に曝されるといった点で好ましくないのは明らかです。

 また民間賃貸借市場においては、1990年代以降、家賃保証会社や悪質な「ゼロゼロ物件」業者(初期費用を低額にする代わりに入居者の居住権を侵害する契約内容を結ばせる業者)により、家賃を少し滞納しただけで入居者を退去させる等の被害が相次いでいます。これらは公的住宅政策の不在につけ込んだ「貧困ビジネス」であると言えます。

 本来であれば行政がしなければならなかった居住福祉政策を、企業福祉や民間業者に依存することでしなかった不作為ばかりではなく、そのことを放置してきた責任は重いと言わざるをえません。

 2008年12月15日より厚生労働省は、「派遣切り」等により社宅からの退去をされられた人々を対象に、雇用促進住宅の入居あっせんを始めました。まずは住まいの確保から始める、という政策の方向性自体は間違っていませんが、廃止決定をしていない雇用促進住宅に限定されるため地域や戸数に限りがあること、入居者がまずは6ヶ月限定の定期借家契約(更新なし)を締結させられることになり、居住権が保障されていないこと、すでにネットカフェや個室ビデオ店、ファーストフード店、あるいは野宿での不安定な生活を余儀なくされている方々が対象となっていないことなど、質量ともに不充分な対策であると言わざるをえません。

 私たちは、住まいはすべての人の基本的人権であるとの考えから、企業を含めた市場に委ねることのない安定的な住宅政策への転換を求めます。

 そのための第一歩として、廃止決定をした雇用促進住宅を含めた運用されていない社会資本の活用を緊急に図るべきです。
その上で、「派遣切り」により社宅を退去させられる人たちだけではなく、ネットカフェや路上など不安定な居所で暮らさざるをえない「ハウジングプア」状態に置かれた人たち全体が、安心できる住居を確保できるよう、政府は公的住宅を拡大し、低所得者に対する家賃補助制度を導入すべきです。

 誰もが安心して暮らせる住まいを確保できるよう、私たちは住宅セーフティネットの確立を強く求めます。

-------------------------
賛同団体(五十音順):NPO法人自立生活サポートセンター・もやい、カトリック社会活動神戸センター、釜ヶ崎のまち再生フォーラム、近畿生活保護支援法律家ネットワーク、国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)、困民丸相談所、山谷労働者福祉会館、借家人権利向上委員会、城北借地借家人組合、スマイルサービス闘争を支援する会、生活保護問題対策全国会議、「生の保障」の再生を求めるネットワーク富山、生・労働・運動ネット、全大阪借地借家人組合連合会、全国クレジット・サラ金被害連絡協議会、全国クレジット・サラ金問題対策協議会、全国一般全国協、全国一般労働組合東京南部、全国借地借家人組合連合会、賃貸住宅追い出し屋被害対策会議、東京借地借家人組合連合会、特定非営利活動法人・仙台夜まわりグループ理事会、ホームレス総合相談ネットワーク、夜回り三鷹
以上24団体
賛同個人(五十音順):四十物(あいもの)和雄(困民丸相談所・雑用係)、青野貴美子(松山たちばなの会)、青山定聖(弁護士)、赤石千衣子(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事)、浅田奈津子(司法書士)、有園正俊(精神保健福祉士)、井口鈴子(司法書士)、伊澤正之(弁護士)、石井芳郎(城北借地借家人組合・組合長)、稲毛由佳(社会保険労務士)、稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長)、稲本信広(全国青年司法書士協議会)、猪股正(弁護士)、猪股智夫(麻布大学准教授)、岩川保久(翻訳・通訳者)、岩崎淳子(前高松市議会議員・二五の会)、岩田哲夫(個人事業主)、岩田正美(日本女子大学人間社会学部)、内山智絵(東京都地域精神医療業務研究会)、宇都宮健児(反貧困ネットワーク・弁護士)、浦松祥子(賃金と社会保障)、及川智志(弁護士)、大倉祐二(大阪市立大学研究員)、大河内知彦(夜回り三鷹)、大部孝(司法書士)、大本圭野(東京経済大学教授・日本住宅会議理事)、奥山たえこ(杉並区議会議員)、おぐら修平(足立区議会議員)、小澤吉徳(司法書士)、小野順子(弁護士)、垣田裕介(大分大学・福祉社会科学研究科准教授)、加藤政洋(立命館大学教員)、椛島敏雄(弁護士)、金子直樹(弁護士)、川島章平(地方公務員)、河添誠(首都圏青年ユニオン書記長)、上溝博司(司法書士)、河野聡(弁護士)、川元みゆき(ホームレス支援を考える会・オープンハンドまつやま)、木下浩(司法書士)、木村達也(弁護士)、木村裕二(弁護士)、北川浩司(弁護士)、北川由紀彦(東洋英和女学院大学等講師)、木谷公士郎(司法書士/兵庫県司法書士会)、小久保哲郎(弁護士、生活保護問題対策全国会議事務局長)、小玉徹(大阪市立大学・創造都市研究科教授)、後閑一博(ホームレス法的支援者交流会代表)、後藤道夫(都留文科大学教員)、後藤悠(借家人権利向上委員会)、今野晴貴(NPO法人POSSE)、酒井克明(びよんどネット)、酒井恵介(弁護士(東京弁護士会))、酒井健雄(弁護士(第二東京弁護士会))、坂庭国晴(国民の住まいを守る全国連絡会・代表幹事)、佐々木(ホームレス自律支援ハウス・カトレア)、笹沼弘志(静岡大学教授)、佐藤一穂(会社員)、佐藤修三(三多摩自由労働者組合)、佐藤富美男(全国借地借家人組合連合会・副会長)、澤口宜男(夜明けの会)、全泓奎(大阪市立大学都市研究プラザ准教授)、志賀文哉(富山大学教員)、芝田淳(司法書士)、下村幸仁(会津大学短期大学部ホームレス支援夜回りの会)、鈴川千賀子(社会福祉士)、鈴木俊志(首都圏仲間ユニオン)、鈴木實(岡山野宿生活者を支える会)、須田光照(全国一般労働組合東京東部労組・書記次長)、関耕平(島根大学教員)、関井正博(司法書士)、高幣真公(APWSL日本委員会共同調整委員)、高橋尚子(NPO法人グローバルヒューマン)、竹川愼吾(富山大学名誉教授)、辰巳裕規(弁護士)、田場暁生(弁護士)、千原茂昭(労金協会)、塚本聡(介護支援専門員)、堤圭史郎(大阪市立大学研究員)、土屋トカチ(映画監督)、妻木進吾(龍谷大学等非常勤講師)、鶴田啓洋(社会福祉士・精神保健福祉士)、徳武聡子(司法書士)、戸舘圭之(弁護士)、冨岡典子(首都圏青年ユニオン)、中島明子(和洋女子大学教授・日本住宅会議理事)、中嶋陽子(京都健康よろずプラザ)、中野真樹子(ひげとしっぽ移動どうぶつ病院代表・獣医師)、長田悦子(司法書士)、永田廣次(司法書士)、中村あずさ(社会福祉士)、中村宏二(司法書士(兵庫県司法書士会))、新里宏二(弁護士)、信木美穂(ホームレス総合相談ネットワーク)、拝師徳彦(弁護士)、橋詰栄恵(尼崎あすひらく会)、橋野高明(日本キリスト教団牧師)、藤井克彦(笹島診療所ソーシャルワーカー)、藤井吉祥(都立大/首都大院生)、藤本龍介(スマイルサービス闘争を支援する会)、舟木浩(弁護士)、船越康亘(全国借地借家人組合連合会副会長)、細谷紫朗(東京借地借家人組合連合会・専務理事)、堀江尚子(大阪大学人間科学研究科博士後期課程)、本田哲郎(釜ヶ崎反失連共同代表)、本多良男(全国クレジット・サラ金被害連絡協議会)、増田尚(弁護士)、水谷英二(司法書士)、水村秀男(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)、村上英吾(日本大学経済学部准教授)、森川文人(ホームレス総合相談ネットワーク代表・弁護士)、松元千枝(全国一般労働組合東京南部)、山田治彦(弁護士)、山西麻依(大阪市立大学大学院文学研究科前期博士課程地理学専攻)、山本栄一(東京司法書士会)、山本創(難病の会)、山森亮(同志社大学教員)、湯浅誠(反貧困ネットワーク事務局長、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長)、湯沢直美(立教大学教員)、吉田豊樹(夜明けの会)、吉田洋一(NPO熊本クレ・サラ被害をなくす会)、寄藤晶子(松本大学総合経営学部講師)、若松由佐子(すまい・まち工房主宰・日本住宅会議理事)、渡邉恭子(弁護士)、渡邉充春(釜ヶ崎講座代表)
以上125名
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有益費償還請求権を予め放棄する特約を有効とした事例

2008年12月24日 | 最高裁と判例集
 有益費償還請求権を予め放棄することは借家法6条、民法90条に違反しないとされた事例 (東京地裁昭和61年11月18日判決、金融商事判例773号)

 (事案)
 賃借人は、ビルの一室を賃借して店舗内装を一切自分で行い、パブを営業していたが、8か月分の家賃(約570万円、共益費含む)を滞納してしまった。家主は契約を解除して明渡の訴訟を提起した。

 裁判で、賃借人は、店舗内装工事に4654万円を掛けたので、その有益費の償還を受けるまでは明渡す義務はないと争った。

 家主は、賃貸契約書には、有益費償還請求権を予め放棄する特約をしているので、賃借人には、有益費償還請求権がないと反論した。

 そこで、有益費とは何か、造作と何か、有益費償還請求権も放棄できるかが論点となった。

 (判決要旨)
 賃借人は有益費償還請求権は借家法5条6条に照らし、予め放棄することは許されないと主張するので検討する。

 造作買取請求権は、賃借人が建物に付加した造作について、特にこれが独立の存在を有し、賃借人の所有に属することに着目して特に借家人保護のため強行法規とする。

 これに対し、有益費償還請求権は、借家人が建物の改良に支出した有益費を償還せしめるものであって、借家人が右支出によって建物に付加した部分は独立の存在を有するものではない。従って当該部分の所有権は借家人ではなく、建物と一体となって建物所有者に帰属するものである。

 有益費償還請求権の本質は任意法規でである不当利得返還請求権に由来しているものであり、両者は賃借人の建物に対する投下資本の回収という点では共通するものの、法律的にはその根拠ないし本質を異にする。

 造作買取請求権の場合にはその目的物が賃貸人の同意を受けて付加したものに限られるのに対し、有益費償還請求権については有益費という限度があるほか、賃貸人の意思如何を問わず認められるものである。

 従ってこれを強行法規と解すると、賃貸人に過酷な結果を強いることになり、かえって建物賃貸借の円滑な設定を阻害するおそれもあるので、有益費償還請求権について明文の規定がないのに単に経済的には同一の作用を営む点だけをとらえて造作買取請求権と同様に強行法規であると見ることはできない。

 (感想)
 有益費償還請求権の法規の条項を入れた契約書が、よく取交される。本件では賃料不払のケースであるが、そうではなく期間満了あるいは合意解約で明渡す場合は矛盾が出る。
 賃借人の負担で建物の価値を増し、その質を高めて賃貸人にも利益を与えたのに、特約を入れさすれば、その費用償還が認められないというのは不公平であるし、良質な建物を供給するという社会的利益にも反する。 

(1987.12.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


◎造作買取請求権は借地借家法の改正で任意規定になりましたので、契約書で請求を放棄する特約は有効とみなされますので注意しましょう。



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ゼロゼロ物件訴訟 業者側争う姿勢 慰謝料支払いの意向も

2008年12月22日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
 敷金・礼金なしでマンションなどに入居できる「ゼロゼロ物件」をめぐり、家賃を数日間滞納しただけで部屋の鍵を交換されたり、法外な違約金を取られたりしたとして、居住者らが、不動産会社「スマイルサービス」(東京都新宿区)を相手取り、損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が17日、東京地裁(矢尾渉裁判長)であった。スマイル社は争う姿勢をみせつつ、慰謝料を支払う意向も示した。 スマイル社は答弁書で「違約金は賃料支払いを果たしてもらうのが目的。契約時に説明し、貸借人も合意した」などと主張しつつ、「行き過ぎと思われる部分もあり、適正な金銭的解決を希望する」とした。 同日は原告2人が意見陳述。派遣社員の男性は「遅延損害金を取られ、アパートのカギも無断で交換され、就寝中に部屋に無断で立ち入られた。謝罪を求めたい」と訴えた。 同日、提訴の追加があり、原告数は9人、賠償請求額は計約3500万円に増加した。(産経 12月17日)
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住まい連が寮・社宅問題と住宅セーフティネットで政府に申入れ

2008年12月20日 | 国民の住まいを守る全国連絡会
内閣総理大臣 殿
厚生労働大臣 殿
国土交通大臣 殿
2008年12月18日

国民の住まいを守る全国連絡会
代表幹事 坂庭国晴

「寮・社宅」問題と住宅セーフティネットに関する緊急申し入れ書

ご承知のように、製造業を中心として非正規労働者・派遣労働者の違法・無法な「雇い止め」・「解雇」が行われ、職を失うとともに、社員寮からの退去が迫られ、住まいを失うという深刻な事態が広がっています。こうした事情に対する対応が貴職らの手によって実施に移されようとしており、当面の救済策として、一定評価すべき施策も見られます。しかし、このような事態が起こる要因は、労働者の住まいを「社員寮」に頼らざるを得ないという、わが国特有の住宅問題があり、かつ住宅セーフティネットが事実上存在しないという、住宅政策の無策があります。
 「寮・社宅」問題では、かって提起され日本政府も賛成したILO(国際労働機構)の「労働者住宅に関する勧告」(第115号・1961年・ILO第45回総会で採択)を改めて想起し、この勧告等による対処が求められます。また、わが国における実効ある住宅セーフティネットを公的住宅を中心として直ちに実施し、ホームレスやネットカフェ難民など、住宅難民を生み出さない措置が必要です。
 私たちはこのような考えに立って、以下の諸点を緊急に申し入れますので、速やかな対応と回答を求めるものです。

Ⅰ.「社員寮・社宅」の居住問題について
1.「寮・社宅」問題の認識について
政府は、前記のILOの勧告にあるように、「特殊な環境を除いて、使用者が労働者に直接に住宅を供給することは、望ましくない」という認識をもち、「公共的な住宅を供給することの重要性」を再認識すべきです。これは、寮や社宅が企業の雇用と一体のものであり、雇用等が切れれば退去させられることをはじめとして、企業の介入を受ける極めて不安定な居住形態であるからです。「寮・社宅」問題について改めて政府として検討することを要求するものです。
2.社員寮などへの継続居住について
 ILOの勧告では、①労働者の雇用契約が切れた場合、適当な期間内に施設を再所得する権利
を有すること、②労働者あるいはその家族は・・・適当な期間引き続いて占有する権利を公平に有
すること。などを指摘しています。これは雇用契約が切れた場合であっても継続居住の権利を有す
ることを示したもので、ましてや雇用契約が切れる前に解雇するような場合は、無条件に継続居住
を行い、当面の生活安定が図られるよう派遣会社や派遣先企業を厳しく指導すべきです。
 なお、継続居住の場合の社員寮等の家賃(使用料)負担については、国や自治体の援助も時と
して必要ですが、第一義的には派遣会社、派遣先企業が責任をもって負担すべきです。
3.社員寮への国内法の適用などについて
 ILOの勧告では、「住宅が使用者によって供給される場合には」として、①労働者の基本的な人
権、特に団結の自由が認められること。②雇用契約の終了による、住宅の賃貸もしくは占有契約の
終了については、国内法と慣行が充分に尊重されなければならない。③徴収される家賃は、労働
者の収入の適当な割合以上に高いものとならないこと、などを規定しています。
 これは、社員寮であっても借家(給与住宅)であり、国内法である「借地借家法」が充分尊重され、
適用されることを意味しています。そして、これらの法律等を根拠とした慣行が尊重される必要があ
ります。なお、派遣会社によっては、徴収する家賃が高額なものがあり、1住戸に何人もの労働者を
詰め込むなどの事例も見られます。こうしたことを是正させるためにも、国内法の適用や居住水準
の改善についての指導を関係者に行うべきです。
 
Ⅱ.実効ある住宅セーフティネットの即時実施について
1.雇用促進住宅の全面的活用と廃止方針の撤回について
 公的住宅である雇用促進住宅の入居については、政府によって一定の対応が行われ、当面の居住の安定が図られることは前進です。同時に今後の対応として、雇用促進住宅の廃止方針は撤回し、改めてこの住宅の役割を位置づけ直し、雇用の安定と住居の安定を一体として確保する公的住宅として強化していくことを要求します。
2.都市再生機構(UR)住宅の空家の積極活用について
 独立行政法人都市再生機構の賃貸住宅(旧公団住宅)は、「住宅確保要配慮者の居住の安定を図る上で重要な役割を担うストックと考えられ、優先入居の実施等を通じて、住宅セーフティネットを充実させることが重要」(国土交通大臣の「住宅セーフティネット基本方針」)としています。
 大都市部における非正規労働者、派遣労働者の住宅確保の受け皿として、公的住宅であるUR住宅を積極活用すべきです。例えば、東京都足立区所在の花畑団地は2,725戸のうち空家が1,000戸以上ありますが、政府やURの計画では、この空家を含め1,358戸の住宅を解体・除却する方針を立てています。こうした無謀な計画(UR賃貸住宅ストック再生・再編方針など)を撤回し、セーフティネットの住宅として、一定の修繕とルールづくりを行い、直ちに提供することを求めます。
3.公営住宅の「目的外使用」での入居などについて
 公営住宅は入居資格がないと応募すらできない現状にありますが、国の基本方針で「DV被害者世帯について、被害者が若年単身である場合に対応した目的外使用の実施について特段の配慮を行うこと」等としています。今回のような「雇い止め」・「解雇」などは、人災とよぶべき被害を労働者が受けていることに他なりません。「目的外使用」での入居について、検討と実施を要望します。
 また、公営住宅は大都市圏では応募倍率が極めて高く、「入りたくても入れない」状態が続いています。今こそ借上げを含めた公営住宅の確保と拡大を行うことを要求します。
 そして、公営住宅入居階層で公営住宅に入居できない者を対象とした、国と自治体による家賃補助制度の導入を強く求めるものです。
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初めての更新でいきなり明渡し、組合との交渉の結果家主が明渡しを撤回

2008年12月17日 | 明渡しと地上げ問題
 府中市是政の賃貸マンションに住む木村さんは、2年前に契約してはじめての更新を10月に迎える4ヶ月前の今年の6月に家主から「このマンションを売りたいので12月か1月に出て行ってほしい」といわれました。木村さんは家主と何回も書面のやり取りをしても埒が明かず、10月に組合に相談に来ました。組合では家主が遠距離のため書面のやり取りをしましたが、賃借人の移転条件の提示をしたところ、11月に突然電子メールで「和解金金額が合意に至らないため賃貸借契約を更新いたします」との回答がありました。

 木村さんには不動産関係の免許を持っているとか弁護士に知り合いがいるとか言って、圧力をかけてきましたが、組合には何らのまともな回答もできず降参したもようです。



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借地更新料600万円の請求断ると1000万円に増額

2008年12月16日 | 契約更新と更新料
荒川区荒川6丁目で昭和22年から親子三代にわたり46坪を借地して和菓子店を経営している斉藤さんは、昨年5月に20年の更新を迎えていたが、地主が何も言ってこなかったから気がつかなかった。

 ところが今年の夏になって不動産屋から更新の通告を受け「更新料を600万円支払え、地代は現行6万円のところ8万円に値上げする」と言われてビックリ。斉藤さんは今まで親の代から更新料を支払っていたので、今回300万円位は仕様が無いと思っていたが、金額の差があまりにも大きいのでとっても支払えないと断ったところ、どうした訳か今度はいきなり地主本人が直接来宅。しかも、更新料は1000万円に値上げすると通告してきたので、法定更新にすると決めて地代を現行6万円で9月末に地主の銀行口座振込んだ。すると、地主は10月に入って直ぐに振込んだ地代を返しに来て「更新料を払ってないから地代の受領を拒否する」と言ってきた。斉藤さんはそれならばと9月末に9月分から10月分の地代を6万円で供託した。数日後、地主から今度は賃料二ケ月払ってないから契約を解除すると文書通告を受けた。

 斉藤さんは、地主の理不尽なやり方に怒りを感じた。商売も売上げが伸びず不況続きの中で高額な更新料や一方的な値上げ等到底容認できるものではない。地主とはみんなこんなやり方で借りている人達を苦しめていることを初めて知って、もう少し早くから借地人の権利を知っておけばよかったと反省している。(東京借地借家人新聞より)


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防火地域・準防火地域で建物は境界線からどのぐらい離して建築したらよいか

2008年12月15日 | 増改築と修繕
(問)借地が15坪と狭いので、敷地一杯に建てたいと思い、建設会社に相談した。ここは防火地域であり、建築基準法で外壁が耐火構造の建物の場合、隣地境界に接して建てられると言われた。そこで鉄骨3階建の建物を境界ギリギリに建て始めたところ、隣家に境界から50㎝以上離して建てるよう要求された。要求に従わなければならないのか。(答)建物をどの程度離して建てるべきかについては、その地方の慣習に従う(民法236条)。そのような慣習がない場合は民法の規定によって、境界から50㎝以上離すことが原則となっている(民法234条)。この距離は土台敷または建物側壁の固定的突出部分(例えば出窓)と境界線との最短距離をいうとされている。 ところが建築基準法では「防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる」(建築基準法65条)と規定している。この規定は明らかに民法の50㎝以上の距離規定に反するものである。 問題は民法の規定に反していても、防火・準防火地域では外壁が耐火構造の建物であれば、境界線に接して建てることが許されるのか。換言すれば、民法と建築基準法とのどちらの規定が優先するのか。 民法では境界から50㎝以上離さない規定違反建築は、建築に着手してから1年以内又は完成前であれば、建築変更や差止めが出来ると規定している(民法234条2項)。 これに関係する事例(境界から50㎝以内の建物の収去請求訴訟)では、民法と建築基準法のどちらが優先するのかが争点となり、一審の大阪地裁、控訴審の大阪高裁は、相隣者の同意や民法236条の慣習等の合理的な理由がないから建築基準法の適用は認められないとして、建物の一部収去の請求を認めた。 これに対して、上告審は、「建築基準法65条は、民法234条1項の規定が排除される旨を定めたものと解するのが相当である」(最高裁平成元年9月19日判決)として、建築基準法は民法の特則という立場から民法に優先すると明確に判断した。耐火外壁の建築物に限り、隣地境界に接しての建築を許可する趣旨とした。結論、判例に従えば隣家の要求に従わなくてもよい。(東京借地借家人新聞より)



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社員寮を退去させられた人に相談窓口 15日から

2008年12月12日 | 最新情報
派遣社員らの雇い止めや正社員の解雇が相次いでいる問題で、厚生労働省は、失業に伴い社員寮を退去させられた人に対し、15日から全国の主要なハローワーク187カ所で相談を受け付ける。雇用促進住宅への入居あっせんや、住宅入居費用、生活費の貸し付けに関する相談、社員寮つきの求人情報の紹介などに応じる。

 対象となる雇用促進住宅の空き部屋は全国で約1万3千戸、平均家賃は月約2万5千円。6カ月まで入居できる。

 資金貸し付けは住宅入居初期費用が上限50万円。失業手当を受けていない人には家賃補助を月6万円、生活・就職活動費は月15万円をそれぞれ上限に、6カ月まで低利で貸す。長期雇用の仕事に就けば、一部は返済が免除される。

 また、厚労省は12日、全国の労働局幹部を緊急に集め、新たな雇用対策の周知徹底を図った。舛添厚労相は「年の瀬や新年に、借り上げの寮などに住んでいた派遣社員や期間工が雇い止めで住居を失う。雇用安定や再就職促進、住宅確保に最大限の尽力をお願いしたい」と指示した。 (朝日新聞 12月12日)
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地主の土地が税金払えず公売に、18軒に呼びかけ相談会

2008年12月12日 | 最新情報
 足立区の組合事務所の近くに住む山本さんは、借地の土地の公売通知を見てビックリ、とても買う資金も用意できず途方にくれていた。看板を見て組合に相談した。同じ地主の敷地内に19軒の借地人がいるが聞くとも出来ずにいた。共同入札等の入札の方法もあることを知り、勇気を出して18軒に声をかけ相談会を開いた。全員一致の方向はとれなかったが、3軒が組合に加入し、今後もお互いに情報交換していくことになった。(東京借地借家人新聞より)


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高齢者住宅:生活保護者受け入れ施設「都内は飽和状態」

2008年12月11日 | 最新情報
 入居者集めに苦労する地方の高齢者専用賃貸住宅(高専賃)に、生活保護者のお年寄りを金銭であっせんする「ビジネス」の存在が明らかになった。背景には、東京都内では受け入れ先のない要介護者をどうするかという深刻な問題がある。都内の自治体から生活保護を受けながら都外で生活する人は、都の1月の調査で約500人。あっせんを持ちかけた介護事業会社「いっしん」(茨城県かすみがうら市)の川島正行社長は、「相手が助けてくれと言うんですから」と、行政との太いパイプを強調した。 「入居者で困っているようですね。1人30万円でどうですか」。今夏、水戸市で介護施設を併設した高専賃を運営する「ソウジン」に、いっしんの営業担当者と関連コンサルタント会社「ケアスター」(同県土浦市)の社員が一緒に顔を出した。 ソウジン関係者は「偶然ではない」と思った。数カ月前、介護用エレベーター改修工事の見積もりで、大手ゼネコンの下請けとして川島建設が来訪していた。いっしんは川島建設の関連会社で、両社のトップを川島社長が務める。 3億円ともいわれる投資がされた高専賃(25室)は、需要予測を誤り、空室が埋まらず赤字続きだった。入居者のあっせん契約を結ぶと、いっしんの営業担当から都内で介護を必要とする生活保護者のリストがファクスで流れてきた。2カ月足らずでほぼ満室になり、現在は川島建設が持ち掛けた増築計画が進む。 送り出す側も重い問題を抱える。墨田区の担当者は「生活保護者を受け入れてくれる施設は都内では飽和状態。施設も病院も受け入れてくれない。人権を守るため、複数の業者にお願いして入ってもらっている」と言う。 川島社長は取材に「グループホームをやっている時から、生活保護者を受けられないかという相談が(行政側から)たくさんあった。23区の社会福祉事務所とか、さまざまなところと信頼関係ができている」と話した。 ◇費用回収確実な「ビジネス」 介護施設付きの高齢者専用賃貸住宅(高専賃)の運用会社が、あっせん料を支払って要介護の生活保護者を受け入れる理由は、生活保護者にかかわる保護費と介護報酬で、施設の賃料や介護費用などを確実に回収できるからだ。生活保護費と介護報酬の合計額は、1人当たり月40万円を超すケースもある。そこに「ビジネス」が生まれる。 前田雅英・首都大学東京法科大学院教授(刑法)は「あっせん料を払ったしわ寄せが、待遇などにはね返ってくる可能性もあり指弾されるべきビジネスだが、刑事事件として問うには法律を拡大解釈しなければならず無理がある」と指摘。新たな法律など、対応の必要性を強調する。 また、東京の別の業者からあっせんを持ちかけられたという証言もあり、こうした「ビジネス」が広がっている可能性は否定できない。生活保護者が意思に反して入居を強いられていないか、入居後に不当な待遇を受けていないか、チェック体制の強化は、行政の最低限の責務といえる。【立上修、山本将克】(毎日 12月11日)
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借地の土地が競売に 買った不動産会社が買取から一転売却に

2008年12月10日 | 明渡しと地上げ問題
板橋区清水町で商売をしている松平さんは、二十数年前に、当時の地主から多額な更新料の請求を求められ、地代の受取を拒否され供託した。その後、その地主が底地を担保に銀行から多額の借金をしていたが、バブルの崩壊で競売にかかった。その前には、債権機構から、地代の差押えなどいくつかの係争があった。競売で落札したのは、A不動産会社だが、その背後に大手不動産会社のM不動産がいた。昨年から今年の前半にかけては借地権を買取り、立退きをして跡地にタワーマンションを計画していた。執拗な交渉に組合員であることを通告し、話し合いをしていた。ところが、11月に入ると様相は一変した、借地権の買取を言っていた不動産会社は底地を買取ってくれ、しかし、その条件は親族以外には絶対流さないでという一筆を提出するように要求してきた。組合に入会し、20年以上頑張ってきた松平さんには到底承服できないので断り、今までどおり組合と相談しながら交渉するということを不動産会社に通告した。


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