東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

保証会社と契約しないとマンションが借りられない日本の賃貸住宅市場

2020年06月25日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
 賃貸住宅への入居に当たり、個人の保証人を立てることが減少し、家賃債務保証会社を利用する事例が増加している。日本賃貸住宅管理協会の調査によると保証会社の利用率は約6割に達し、保証会社と契約しないとマンションを借りることができない実態が生まれている。

 国土交通省が管理会社を対象にした調査では、この10年で連帯保証人を求めるケースは、39ポイント下がった一方で、保証会社との契約を求めたケースは23ポイントも増えている。

 保証契約が増える背景には、賃貸住宅の入居者が保証会社に保証料を支払うことで、賃借人が家賃を滞納すると保証会社は滞納家賃を立替えるサービス行い、さらに原状回復費用、訴訟費用、残置物撤去費用まで保証の対象になる。家主にとっては至れり尽くせりのサービスが受けられ、保証料は全て賃借人が払ってくれる。収入のある保証人がいても、仲介する不動産会社は「保証会社と契約しなければ、マンションを契約することはできない」と言われるケースも増えている。

保証会社との契約は、仲介する不動産会社が行うため、賃貸契約の重要事項説明とは違って、十分な説明も行われず、トラブルも多く発生し、相談件数も高止まりしている。保証会社は登録制だが、国に登録している業者は半数にも満たない。任意の登録制ではなく、1日も早く法規制が必要である。(東京借地借家人新聞より
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コロナ不況最前線 アパート家賃滞納「じわり」発生

2020年06月23日 | コロナと家賃滞納
https://www.zenchin.com/news/post-5178.php

 コロナ不況の波が、賃貸住宅の「家賃支払い」の領域にも押し寄せてきている。入居者の収入減が響き、5月下旬に振り込まれる家
賃回収状況が「4月よりも悪化」と答える賃貸管理会社が一定数あった。滞納率は大半が「ほぼ横ばい」「微増」にとどまることか
ら、管理会社の経営的ダメージはさして大きくない。だが、滞納問題の解消は重要課題であり、その特効薬は簡単に見つからない。各
社の状況を1~3面にわたりリポートする。

「事前相談少ない」

 「今まで滞納したことのなかった世帯が、少しずつ滞納し始めている」
 こう語るのは、石川県の地場大手管理会社、アーバンホーム(石川県金沢市)の家賃精算部門で働く梶純係長だ。賃貸住宅の管理戸数
は1万8000戸ほど。5月回収分の家賃滞納件数は98件。4月分の68件から30件増えた。そのうち3件が飲食店や理容室などの店舗テナン
ト。残り大部分の27件が居住用世帯の滞納だ。
 支払い督促を担当する梶係長は「新たに増えた27件のうち、事前に滞納の連絡をしてくれた世帯はほとんどなかった」と振り返る。
未入金に気付いて連絡をとってみると、電話口から聞こえてきたのは「新型コロナの影響で収入が減ったので支払いが厳しい」という
苦しい声だった。「6月の滞納件数は、さらに増えるかもしれない」と先を案じる。
 同社では、減額や延滞を認める家主は少数派だ。しかし、家賃支払いをめぐっては、焦りを隠さず交渉に粘り強く臨む入居者もい
た。
 金沢市内で3LDKの戸建て賃貸に家賃月9万円支払っている個人事業主の50代男性は、2度にわたり、梶係長に減額を要請した。梶係長
は「決められた家賃ですし、契約期間中は変更できない旨を伝え、丁重にお断りした」と振り返る。
 ところが、同男性は、営業部門の別の社員に頼み込み、その社員を介して家主に減額を直接要請。その結果、6~8月までの3カ月間
に限り、家賃を9万円から6万円前後に下げてもらえることになった。家賃変更の覚書を取り交わし、例外的に減額を認めたという。
 家主からすれば、退去されるよりも、一定期間減額して残ってくれた方が、収支面で好都合なこともある。決して珍しい例ではない
だろう。

「若年層目立つ」

 家賃滞納者が微増していることに関しては、熊本県の地場大手会社、管理戸数1万6700戸のコスギ不動産(熊本市)からも同様の声が
聞こえてくる。
 5月の滞納率はわずか1%だが、3月の0.8%、4月の0.9%と比べると少しずつ悪化していることがわかる。資産活用部の元村大士次長は
「悪化の一番の理由はコロナ」と話す。
 5月の滞納者は20人ほど増えたという。多くは20~30代の単身者で、飲食店勤務者が目立つ。事前に滞納を予告してくれる世帯は「1
~2割くらい」(元村次長)と振り返る。
 滞納問題に、どう対応すればよいのか。定番は、行政支援の活用だ。
 先のアーバンホームでは、行政の家賃補助制度である「住居確保給付金」を滞納者に都度案内している。しかしすべての申請が認可
される保証がない上に、支払い期間が3カ月間で、上限額も決まっている。どの程度、滞納分をカバーしてくれるか見えないことか
ら、「過度な期待はできない」(梶係長)と語っている。

「翌月に2カ月分支払う」

 「家賃保証未加入の物件で、滞納がやや増えた」。こう語るのは、鹿児島県で7417戸の居住用賃貸物件を管理するMBC開発(鹿児島
市)、不動産事業本部賃貸部の高橋慎一郎次長だ。

家賃保証未加入の物件で要望

 5月の滞納率は0.98%。1%に満たない低水準だが、3月の0.48%、4月の0.67%と確実に悪化している。同社の管理物件における家賃保証
加入率は大部分を占めており、代位弁済分も「支払い済み」にカウントして計算しているため滞納率が低い。しかし家賃保証加入前の
物件に、7~8年前から住んでいる世帯の中から、滞納が確認できた。
 5月の滞納件数は64件。飲食業の従事者に多く、正規・非正規雇用ともに存在する。また学生で、生計を支える親の収入減による滞
納もあった。「今月末は厳しいから翌月に2カ月分を一度に振り込みたい」。こうした事情で初回滞納が目立ち始めてきた。
 このような相談を入居者から受けた際、同社は家主に報告する。家主側にもローンの返済があるため、うかつに減額・遅延を容認で
きない。
 家賃保証加入済みの物件でも課題が残る。通常は滞納が起きれば保証会社へ代位弁済請求を行う。しかし高橋次長は「5月分の滞納
は、事情が事情。安易に申請してよいものか、一度立ち止まってしまう」と心理的なハードルを指摘する。未入金者の相談に対しては
「住居確保給付金」の申請を案内し、できる対策を講じている。

滞納者は「家賃帯3万円」に多い

 管理戸数1544戸のジェイ・エッチ・ティー(北海道札幌市)でも、コロナ不況で居住用賃貸の家賃回収状況が徐々に悪化している。
居酒屋勤務で収入減などが理由
 3~5月にかけての滞納率は4.1%、4.4%、4.8%と上昇。保証会社と契約している約500戸分の管理物件を除いた、残り1000戸の管理物
件内の滞納率を算出した。管理物件の多くは、ワンルームや1DKなどの単身者物件となっている。
 総務部の関昌平部長によれば、滞納常習者以外からの滞納が少しずつ出てきているという。新たな滞納者とは、居酒屋などの飲食店
で働き、家賃帯3万円前後の物件に住む単身世帯が中心だ。
 4月に始まった緊急事態宣言に端を発した営業自粛によって、居酒屋でのシフトが減少。5月の給料に響いた。
 同社では、新規の滞納者に対して「住居確保給付金」の申請を案内しているが、「本当に申請してくれているかは分からない」(関
部長)と不安を口にしている。
 一方、自ら家賃減額を申し出る家主もいた。2LDK+駐車場の住戸が二つ入っている物件で、半年間1万円の値下げを認めた。「住み続
けてもらった方が得策という判断」(関部長)。しかし、能動的に手を挙げてくれるケースは少数派だろう。
 同社は滞納率を改善するために、保証会社との契約数を増やして未入金リスクを軽減したい考えを示している。管理戸数1544戸のう
ち、保証会社がかかわっている割合は現在4割。これを7~8割まで増やしたい。「もともと民法改正に備えて実施しようと考えてい
た。これを加速させる」(関部長)という。

滞納微増、対処法は手探り

 1面に続き、コロナ不況が家賃支払いにどう影響を及ぼしているのか、各社の状況を紹介する。滞納件数は同じ「微増」でも、当然
ながら会社によって程度や現場で起きていることが異なってくる。

「無い袖は振れない」

 首都圏で2500戸の賃貸住宅を管理するホーミングライフ(東京都新宿区)では、5月に振り込まれる分の家賃滞納率が3.3%、件数にし
て約240件に及んでいる。4月の1.1%から3倍になった。

5月 家賃滞納件数 240件

 滞納者の特徴について、経理課の平原聡氏は「飲食店勤務者や非正規雇用の単身者が目立つ」と述べる。コロナ不況が直撃しやすい
業種・雇用形態であることから、その悪影響を受けて収入が減った世帯が増えたと同氏は見ている。本社を置く新宿区以外の地方都市
の管理物件でも、同様の傾向がうかがえるという。
 このような滞納者への対応は簡単ではない。入金の督促をしようと、電話で「お支払いください」と伝えると、「こっちだって払い
たいが、仕事がない以上、払いようがない」と語気を強めて反発されてしまう場面もあった。
 こうした入居者に対しては、「慎重な対応が必要」と平原氏は説く。どうにもならない状況に立たされている入居者の不安を、とき
にはくみ取った上でコミュニケーションを図る姿勢も欠かせないだろう。
 同社の管理物件では基本的に家賃保証会社がかかわっているが、集金や滞納の初期対応に限っては、自社で滞納者本人と直接やりと
りしている。事情をヒアリングした上でしかるべき処置を講じている。
 滞納の理由がコロナ不況にかかわる内容の場合、同社は入居者に「住居確保給付金」の申請を案内している。その結果、5月は25件
の申請の意思を確認できたという。申請が通った分だけ、滞納状況は改善するだろう。

給付金申請でカバー

 管理戸数4471戸のハウスプロメイン(兵庫県神戸市)では、5月分の滞納者は、管理する一部のエリアで35人ほど。20~30代の単身者
が中心で、いつもより1割増えたという。

振り込み、約15件確認 

 管理物件の平均家賃単価は約7万円だが、滞納者の多くは5~6万円と低価格の物件に住んでいるという。
 5月の大型連休明けから「住居確保給付金」の申請に必要な書類の記入作業が増えた。居住者に申請書を郵送してもらい、営業ス
タッフ3人で、これまでに約30件対応してきた。
 5月25日に集金した6月分家賃では、「住居確保給付金」による振り込みが約30件のうち半数確認できた。
 営業担当の豊岡和樹氏は、「大半が滞納になる前に『住居確保給付金』の申請を行っていたため、滞納は最小限に抑えられている」
とポイントも説明した。

製造業不況が賃貸に直撃

 管理戸数7076戸の冨士物産(静岡県浜松市)では、5月中に振り込まれるべき家賃の滞納件数が200件弱に上った。前月から50件近く増
えた。中でも、飲食業や製造業の従事者の滞納が目立ったという。
 管理戸数の大部分が、製造業が盛んな浜松市内にある。自動車製造関連企業がコロナ不況でダメージを負い、収入が減った人が増
え、休業要請の後遺症が残る飲食店や小売店の経営に追いうちをかけた。そう推測する不動産統括本部の西田行宏氏は「滞納は今後も
増えるかもしれない」と先行きを心配している。
 同社では「住居確保給付金」の申請のための手続きが5月上旬から増え始めた。浜松店だけでこれまで10件ほど対応。その他、家賃
滞納にかかわる問い合わせも1日2件ほど寄せられている。

入居審査厳格化で滞納1件

 入居審査を厳しくすることで、コロナ禍から生じる滞納件数を最小限に抑えている会社もある。その一社が、管理戸数882戸の青木
ハウジング(神奈川県横浜市)だ。収入減による滞納相談は、現状1件のみ。新型コロナの煽りを受けた飲食業に従事する入居者だ。
 青木博昭社長は「入居時の審査を厳しくしているため、普段から家賃滞納のリスクを軽減できている」と語る。
 客付けの際、家賃保証会社の入居審査を通った後でも、独自審査を実施する。
 審査は細かい。入居希望者の書類一枚一枚に目を通し、ときには勤め先の会社名を検索する。企業サイトを開き、またサイトそのも
のが存在しなければグーグルのストリートビューで社屋を確認するという徹底ぶりだ。
 審査項目をみるときに、基準は設けていないが、ささいな違和感を見逃さないように努めている。
 「年収1500万と書かれているのに、家賃帯の低い部屋を探している場合などは注意が必要」(青木社長)。保証会社の審査を通って
も、2割程度は青木社長の判断で入居を断る。審査に慎重になることが滞納回避の一歩になると考えている。

相談者が微増

 管理戸数2636戸の大和財託(大阪市)の家賃滞納率が微増している。3月は0・61%、4月0・72%、5月は1・02%と上昇。この数字は、毎
月12日時点で、未納金額の合計を当月の請求額の合計で割ったものだ。入居者全体の構成はおおよそファミリー5割、社会人4割、学生
1割となっている。
経営への影響は「なし」
 事業部運用グループ・佐藤秀孝マネージャーは「収入が減った方からの支払い遅延の相談はあるものの、滞納そのものは多くありま
せん」とコメントする。
 同社は自社で家賃保証業務を手掛けている。滞納がわかった時点で迅速に電話連絡を行っている。どうしても支払いが困難な人に
は、「住居確保給付金」などの公的サポートを案内している。  
「給付金支給まで待ってほしい」

 管理戸数1237戸の佐藤商業(千葉県市原市)は、5月に振り込まれる家賃の滞納相談件数が約90件まで増加したという。例年は50~60
件程度。今年は昨年と比べて29件の問い合わせ増加があった。
5月相談、29件増加
 29件のうち20件が支払い猶予にかかわる相談だ。「(本業の休業による)収入減により、給付金の支給まで支払いを猶予してほしい」
という相談の他、失業による支払い猶予の相談も3件あった。
 管理部の柴田慎之介部長は、「保証会社を通していることもあり3~4月の滞納率・相談件数は例年と変わらなかったが、5月から格
段に増えた。普段滞納していない入居者からも相談があったことが意外だった」と驚きの声をあげた。初めて相談があった入居者に
は、ホワイトカラーの会社員や派遣社員が多いように感じたという。
 滞納相談の中には個人契約の入居者だけではなく、店舗テナントとして貸している飲食事業者が4件、整骨院が1件あった。これらは
支払い猶予ではなく補助金活用の相談だった。千葉市のテナント賃料補助の制度をオーナーに活用してもらいたいという内容だった。
 千葉市の補助制度とは、最大50万円をオーナーへ補償する「テナント支援協力制度」というものだ。オーナーが申請して、一定条件
をクリアすれば、オーナーに直接振り込まれる家賃が入る。
 だが同補助制度は原則オンライン申請。ITに抵抗感のある高齢のオーナーにとって、オンライン申請はハードルが高い。これが壁と
なり、相談を受けた物件オーナーは同制度を利用しなかった。テナント賃料の支払い問題の解決に向け、話が前に進みづらい原因のひ
とつになっている。

給付金活用は10人弱

 3391戸の賃貸住宅を管理している郡中本店(福島県郡山市)でも、3~5月の家賃滞納率は横ばいだった。保証会社の肩代わり分を除い
た滞納率は、金額ベースで3月0.67%、4月0.48%、5月0.76%だった。

減額対応は2件

 滞納者の多くは常習者。勤続年数が浅い若年層の男性と、加齢とともに収入が減少した高齢者が中心。特に、敷金や礼金などの初期
費用が低い物件での滞納者が発生する傾向が強いという。
 もっとも、コロナ禍による滞納も3月から徐々に増えてきている。
 5月までの3カ月間で20件ほど。その多くが飲食店や建設現場などで、勤務時間に応じて収入が変動する働き方をしている人たちだ。
コロナ禍の影響で出勤日数が減り減収となる、もしくは失業したことで家賃を支払えなくなるといった流れだ。このような入居者の家
賃は平均3万円前後だという。
 解決策として、同社は「住居確保給付金」の申請を案内する。同給付金によって滞納を解消した賃借人もすでに出始めてきている。
実際に申請した滞納者は10人弱程度という。
 もう一つの解決策としては、オーナーへの減額交渉だ。一定期間の減額に応じてくれた数は現在2件程度ある。
 不動産事業部の古和田泰彦氏は「幸い、新型コロナウイルスの悪影響はあまり感じられない。しかしスタッフによる案内状のポス
ティングや訪問など、滞納解消に向けた取り組みは強化していきたい」と語る。

家賃減額「覚書」必須

 コロナ不況で収入が減った入居者から家賃減額の交渉を受けたとき、「このまま退去されるくらいなら、一定期間減額して住み続け
てもらうほうが得策」と考える賃貸管理会社、オーナーは一定数いるだろう。そこで減額を受け入れる際、手続き面で何に気を付ける
べきなのか。不動産法務に詳しい神田元経営法律事務所の神田元弁護士は「必ず覚書を交わしておくこと」とアドバイスする。

「金額変更は避けるべき」

 例えば月10万円の家賃を7万円まで減額したとする。もし口頭で認めてしまうと、この物件の相当賃料が7万円である既成事実をつ
くってしまうことになる。万が一、悪意ある入居者から「賃料減額裁判」を起こされたときに、7万円という金額が「特例的に一定期
間下げた家賃」である証明ができなくなり、不利になる。賃貸借契約の変更も同様だ。
 先々のこうしたリスクを抑えるために、オーナーや管理会社ができることが、きちんと「覚書」を交わすことだ。書面で残せば、コ
ロナ不況で一時的に減額・猶予した事実を裁判所に示せるようになる。また書くときは「月額賃料○円のうちいつまでに×円の支払い
を免除する」と期限をつけるべきという。免除についての問題の有無があるかは税理士に相談した方がよい。
 神田弁護士は、賃貸経営するオーナーを顧客に抱えており、コロナ不況の中で、アパート関係ではこのような相談をよく受けるとい
う。

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緊急事態解除後に八王子で借地借家問題市民セミナー開催

2020年06月22日 | 借地借家問題セミナーと相談会
 東京多摩借組は、6月21日午後1時半から八王子労政会館で「借地借家問題市民セミナー」を10名の参加で開催した。

 新型コロナウイルス感染症の拡大で、4月と5月に予定していたセミナーが中止となり、3ヵ月ぶりの開催なった。三密にならないよう窓の換気や、参加者同士の距離を保って注意しながら開催となった。

 地元の役員の菱山、都丸氏が司会と開会挨拶を行った。細谷事務局長がプロジェクターを使って借地借家問題について報告した。参加者との質疑応答では、借地の更新料や等価交換、空き家となった借地権の活用、借地権の相続等の相談が寄せられ、細谷事務局長が丁寧に回答した。
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困窮者家賃補助、申請1077件 道内4、5月 昨年の100倍 相談は5千件超

2020年06月16日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/430530

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、困窮世帯の家賃を期限付きで補助する「住居確保給付金」の全道の申請件数が4、5月で計
1077件と、昨年同期の100倍近くに急増したことが北海道新聞の取材で分かった。ただ、申請は相談件数の約2割にとどまって
おり、要件の厳しさなどから断念するケースも少なくないとみられる。
 住居確保給付金は、従来ある厚生労働省の生活困窮者自立支援制度の一つで、原則3カ月(最長9カ月)の家賃を補助する。対象は
失業や離職、廃業で減収となった世帯に限定されてきたが、政府は4月下旬、新型ウイルスの影響に伴う休業などで減収した世帯にも
拡大。フリーランスも対象となった。
 道などによると、全道の申請件数は感染が拡大した4月に228件(昨年同月3件)と急増し、対象拡大後の5月は849件(同8
件)に達した。申請者は居酒屋などの飲食業やサービス業を営む人が多く、道央の自治体の窓口担当者は「20~50代が中心で、ひ
とり親家庭も目立つ」と話す。
 一方、住居確保給付金に関する全道の4、5月の相談件数は計5277件と申請件数の5倍に上った。
 給付金の支給には、収入が基準額以下でなければならないといった要件がある。基準額は自治体ごとに異なり、札幌市が単身世帯で
月収8万4千円、3人世帯で同17万2千円、旭川市が単身世帯で同8万1千円、3人世帯で同15万9千円など。「基準額は生活保
護費とほぼ同水準。要件は厳しく、収入が半減しても申請できない事例がある」(旭川市の担当者)といい、相談が必ずしも申請に結
びついていない実態が浮かぶ。

コロナ、住まい奪った 国の家賃補助制度、実態に追いつかず 民間が受け皿に
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/430537

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、生活の基盤である「住まい」を失うほど窮地に追い込まれた人々がいる。家がなければ、国
が家賃を補助する住居確保給付金などの支援制度につながることすらできない。札幌市のホームレス支援団体では相談が昨年の倍に急
増し、一時的な住まい「シェルター」の提供数を増やして対応。関係者は「景気悪化の影響が深刻さを増す中、住まい確保の対策を徹
底すべきだ」と訴える。

■業績悪化で失業

 政府が緊急事態宣言を全国に発令した4月中旬、男性(53)は札幌市中央区の大通公園にいた。道央のホテルに調理師として勤務
していたが、業績悪化で職を失い、社員寮にも住めなくなった。かばんには所持金2万6千円のほかは、手書きのレシピノート10冊
が入っているだけだった。
 2日に1度、100円のおにぎり1個を食べ、パーカにジーパン姿で植え込みで寝る毎日。仕事を探して飲食業など計80社に電話
したものの断られ、5月中旬、所持金は800円に。スマートフォンで「仕事ない 家ない」と検索し、札幌市ホームレス相談支援セ
ンター「ジョイン」のホームページにたどり着いた。
 ジョインのシェルターで半月ほど暮らし、今月から生活保護を受けてアパートを借りた。「当時は職探しで頭がいっぱい。行政に助
けを求める考えを持てなかった」と男性は言う。
 ジョインによると、新型コロナ感染拡大の影響を受けた人からの相談は4月が43件、5月が46件。それぞれ前年同月の相談件数
の倍以上だ。相談者の年齢は18~58歳と幅広く、13人は失業と同時に住居を失い、うち9人はジョインのシェルターを利用し
た。

■住宅提供拡充へ

 国の生活困窮者自立支援制度の住居確保給付金は、あくまで家賃の補助で、住まいを失えば受け取れない。ジョインのシェルターの
定員は計約40人と限られており、5月から8人分増設したものの、ほぼ満室の状態が続く。ジョインの小川遼・相談支援員は「住居
確保給付金を受けられたとしても、支給期間(最長9カ月)を過ぎたころに住まいを失う人がさらに増えるかもしれない」と危機感を
強める。

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稲葉剛さん「コロナで貧困拡大、リーマン以上」 「つくろい東京ファンド」代表に聞く

2020年06月09日 | 貧困と格差
https://www.tokyo-np.co.jp/article/34074

 新型コロナウイルス感染拡大で、雇用情勢が大きく悪化している。空き家、空き室活用による低所得者支援を行う一般社団法人「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事は本紙のインタビューで「貧困拡大のスピードが速く、政府の経済対策が追いつくかは疑問だ」と警鐘を鳴らした。失業などで収入が減った場合に家賃を補助する住居確保給付金の拡充や、生活保護を利用しやすくするための対策が急務だと指摘した。
 政府は感染拡大対策として、全ての国民に一律十万円の特別定額給付金を支給するが、稲葉氏は「諸外国に比べて少なすぎる。三カ月くらい連続で出すべきだ」と求めた。
 二〇〇八年のリーマン・ショックの際は、派遣切りに遭った労働者らに食事や宿泊場所を提供する「年越し派遣村」が東京・日比谷公園に設けられた。稲葉氏は当時と現在を比較し「貧困の拡大のスピードも規模もはるかに上回っている。先の見通しが立たないという恐怖を感じる」と話した。 (編集委員・上坂修子)

稲葉剛さん「福祉の崩壊始まっている」 インタビュー一問一答
https://www.tokyo-np.co.jp/article/34072

 新型コロナウイルス感染拡大が景気、雇用に与える影響は二〇〇八年のリーマン・ショック当時を上回るのか。同年十二月末から〇九年一月にかけて東京・日比谷公園内に設けられた「年越し派遣村」など、生活困窮者支援に長年取り組んできた一般社団法人「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事に、現状や見通しを聞いた。 (編集委員・上坂修子)

 −新型コロナの感染収束が見通せない。

 「三月ごろから、家賃が払えないという話が出てきた。最初に観光業や飲食業、文化・芸術関係の自営業やフリーランスの収入が激減した。四月に緊急事態宣言が出されてネットカフェにいた人が居場所を失い、『つくろい』には百七十件のメール相談が寄せられた。今は製造業で派遣切りが始まっている。貧困拡大のスピードも規模も、当時をはるかに上回っている」

 −四月の完全失業率は二カ月連続で悪化。三月の生活保護申請件数は前年同月比7・4%増だった。

 「生活保護申請者が増えているのに、自治体は総務省から感染対策で窓口に出る職員を削減しろと言われており、職員が少ないところに多くの人が訪れている。(窓口で申請を拒む)『水際作戦』が平常時より悪化している印象だ。福祉崩壊が始まっている」

 −生活保護を受けやすくするにはどうすべきか。

 「この間、生活保護のオンライン申請の導入を訴えているが、厚生労働省は消極的だ。ドイツは生活保護の受給要件を緩和し、担当閣僚が動画で『困っていたら制度をどんどん使ってください』と広報している。日本もやるべきだ。最後のセーフティーネットである生活保護をフル活用するしか手はない」

 −急ぐべき施策は何だと考えるか。

 「『ハウジング・ファースト(住まい優先)』だ。住まいを失わないための支援強化と、失った人への住宅支援の両方が重要だ」

 −政府は経済的に困窮した人の家賃を補助する「住居確保給付金」の支給要件を一部緩和した。

 「支給される家賃の上限は東京二十三区だと二人世帯で月六万四千円。中所得者層でも家賃を滞納せざるを得ない状況になりつつあるのだから、期間を限定して支給上限を撤廃すべきではないか。民間の賃貸住宅を行政が借り上げる『みなし仮設方式』による住宅の現物給付も必要だ」

 −特別定額給付金は一律十万円支給になった。

 「良かったが、他国に比べて少なすぎる。三カ月くらい連続して出すべきだろう。休業補償の拡充も、貧困拡大のスピードに追いつくことができるか疑問だ」

<いなば・つよし> 1969年、広島市生まれ。東京大卒。在学中から平和運動、外国人労働者支援活動に関わる。2014年までNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」理事長。立教大客員教授(居住福祉論)。

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家賃滞納対処法 明渡し合意書作成しない 弁護士 林 治

2020年06月08日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
 新型コロナウイルスの感染拡大により、経済活動が停滞しそれに伴い収入も減少し、住まいの家賃を支払えない者が増加している。賃料の不払いが続いた場合、賃貸借契約が解除され住まいの明渡を求められる恐れも出ている。

 滞納した場合、大家や家賃保証会社が強硬に(時には強迫など違法な手段を用いて)明け渡しを求めてくることもある。このような場合でも直ちに出て行かなければならないわけではない。大家が強制的に明渡を求めるには、裁判で明渡請求をして勝訴判決を得てから、その判決に基づき強制執行手続きを改めて裁判所に求めるという法的手続きを経なければならない。実力で部屋から追い出すことはできないのであり、もしそれを行ったら違法行為であり大家の方が責任を問われることになる。このような法的手続きを経ないで違法に退去を迫る者を追い出し屋と呼んでいる。

 また、追い出し屋の中には、実力で無理やり追い出したのではなく、合意により出て行ってもらったことを装うために、明け渡しの合意書を作成させることもある。例えば「私と大家は、本件物件を〇月×日までに明け渡すことを合意した。〇月×日以降本件物件内の残置物は大家が任意に処分することに私は異議を述べない」などと言う内容の書面に署名・押印させることがある。このような書面を基に、追い出し屋は「合意したんだから出ていけ」と迫るのである。

 滞納した負い目や自分でも合意書を作成してしまったことから、転居先も決まっていないのに仕方なく退去してしまうことも多い。しかし、この合意書が直ちに法的に有効になるものではない。

 しかし、無用なトラブルを避けるため実現できないような合意書は作成しないこと、もし仮に合意してしまった場合でも直ちに書面が有効になるわけではないことを知ってほしい。

 もし追い出し屋からの請求や実際に追い出されそうになった場合は、近くの借地借家人組合や弁護士に相談をしてほしい。
(全国借地借家人新聞より)


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まさか、家を失うとは… ~広がる 住居喪失クライシス~

2020年06月06日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4424/index.html

新型コロナウイルスの影響で収入が激減、生活の基盤である“家”を失う人たちが増えている。マイホームのローンが払えず売却を検
討する30代の家族、家賃滞納が続きアパートから立ち退きを迫られる50代夫婦、雇い止めと同時に住んでいた社員寮から出て行かざる
を得なくなった30代男性…。コロナショックの前は“普通に暮らしていた”人たちが路頭に迷うケースが相次いでいるのだ。番組で
は、新型コロナウイルスの影響で、突然、住居喪失の危機に陥った人たちの日常に密着。厳しい現実を描くとともに、国や自治体の支
援のあり方を考える。

出演者
石井光太さん (作家)
稲葉剛さん (つくろい東京ファンド 代表)
武田真一 (キャスター) 、 栗原望 (アナウンサー)

まさか、家を失うとは…住居喪失クライシス

「これから たくさん電話がかかってくると思うので、みなさんの力に人々の命がかかっている。頑張っていけたらと思う。」
新型コロナウイルスの影響で、生活に苦しむ人たちのための電話相談です。
「(所持金は)300円。食べ物は?カップラーメン。」
「家賃は待ってもらえない?厳しいですね。」
「出て行ってくれと言われている。」
「売ろうとしても、住宅ローン額にすらならない。」
収入が減り、家賃や住宅ローンが払えない。
この日だけで、100件を超える相談が寄せられました。
住宅ローンの支払いに苦しむ、30代の男性です。
マイホームを購入したのは3年前。携帯ショップの正社員になったことをきっかけに、35年の住宅ローンを組みました。
取材班
「いくらでしたか?」
携帯販売員
「3100万円くらい。」
毎月の支払は10万円。
しかし、勤務先の携帯ショップが営業を短縮。残業代がなくなり、収入が半減。ローンの支払いが難しくなりました。
携帯販売員
「とにかく、どうにかしないといけない。家族とも相談をしているが、このままだと厳しい。」
男性は、家族4人の生活費を賄うため、身の回りのものをインターネットで売り始めています。
携帯販売員
「これがいま出品している(商品)。昔 使っていたゲーム、健康器具、使ってない体重計。だいたい2~3千円にはなる。」
取材班
「それで何とか回っていますか?」
携帯販売員
「正直、回ってない。厳しいところですね。」
子どものころからピアノを続け、音楽大学を卒業した男性。長年慣れ親しんだ、このピアノの売却も検討しています。
携帯販売員
「音大に行かせてくれた父と母が、弾くと喜ぶ。自分も頑張った(思い)がこもっているので、(売るのは)嫌だ。」
貯蓄もほとんどなく、日々の暮らしさえ苦しい状況。
勤務先の営業短縮は今も続き、このままでは家を手放さざるを得ないと考えています。
携帯販売員
「こういうふうにピンチになるとは思ってなかった。正直、驚いています。」
賃貸住宅の家賃が払えず、立ち退きを迫られるケースも増えています。
都内の2LDKのアパートで夫と暮らしている、50代の女性です。
感染拡大の影響で勤務先の保育園が休園、仕事を失いました。派遣社員の夫の収入も半減したため、月6万5000円の家賃が払えな
くなり、3月から滞納が続いています。
50代 女性
「昨日も大家さんが『払ってもらわないと困る』と。だけど貯蓄もない。」
取材班
「所持金は?」
50代 女性
「300円ぐらい。300円ぐらいしかなかった。」
貯金も底をつき、災害に備えて買いだめていたカップ麺でしのぐ日々。
50代 女性
「これよ」
取材班
「何の薬?」
50代 女性
「心臓、心筋梗塞」
心臓に持病がありますが、薬代も払うことができないと言います。
取材班
「あと何日分?」
50代 女性
「これだけ」
取材班
「これで最後?」
50代 女性
「そう」
取材班
「病院に行くお金も?」
50代 女性
「ない。1万数千円かかるので。」
このまま滞納した家賃が払えなければ、アパートを出ていかなくてはなりません。
50代 女性
「住むところを失ったら、どうにもならない。来月になれば(仕事が)元に戻る約束もない。先が見えない。絶望しかない。」
住居喪失の危機。
一体どこまで広がるのでしょうか。

武田:感染が拡大する前までは普通に暮らしていた人たちが、生活の基盤である住まいを失いかねないという事態。栗原さん、一体ど
れくらい広がっているんでしょうか。
栗原:VTRでお伝えした人たちのケースは、決してひと事ではないんですね。データで見ていきます。まず、住宅ローンに関する相
談ですけれども、住宅金融支援機構に寄せられた相談件数は、2月は15件だったんですが、4月には1158件。77倍に急増して
いるんですね。「支払いを1か月だけ待ってほしい」など、切実な声が寄せられています。ほかの金融機関でも同じような相談が増え
ているということです。
武田:賃貸住宅についてはどうなんですか。
栗原:200余りの不動産会社を対象に行った調査によりますと、新型コロナウイルスの影響で、入居者から家賃の滞納や解約の相談
があったと回答した業者は35%に上りました。調査が行われたのは4月で、その後も経済や雇用の状況は悪化していますので、こう
した相談はもっと増えていると考えられています。
武田:生活困窮者の支援活動に取り組んでいる稲葉さん、こうした人たちの相談に乗っていらっしゃるということですけれども、今、
どんな危機感を抱いていらっしゃいますか。
稲葉さん:かつてないスピードで貧困が拡大していて、私たちのもとにも、「家賃が払えない」「立ち退きを迫られている」といった
ような相談が3月ぐらいから寄せられるようになっています。本来ですと、賃貸住宅の入居者の方には居住権、住み続ける権利があり
ますので、たとえ家賃を滞納していたとしても、大家さん側から無理やり追い出す、物理的に入居者を立ち退かせるというのは法律に
違反している行為ということになります。ただ、そうした権利についてもご存じない方が多いので、不況が長期化する中で6月、7月
となってくると、住まいを失う方が続出するのではないかというふうに危機感を抱いております。
武田:石井さんも、新型コロナウイルスによる生活困窮の実態を取材されているということですけれども、今回のウイルスの流行によ
る住居喪失の問題をどう捉えていらっしゃいますか。
石井さん:住居というのは、あくまでもマンションや一戸建てだけではないんですよね。仕事と一体化している会社の寮というのがあ
ります。例えば、風俗店、水商売、工場、パチンコ屋さん、警備会社といったような会社というのは、寮を用意することによって、本
当に着のみ着のままでも働ける。そして、すぐお金をあげるというような形で、仕事を売りにしています。あるいは私の知っている限
りですと、虐待を受けた子どもが家にいたくないということで、ホテルや旅館といったところに就職するケースがあります。今回コロ
ナによって、第1波として住宅の被害を受けた人たちというのは、寮に住んでいた人たちなんですよね。これは追い出されてしまって
いる。実際、これが4月、5月、6月という段階。今、本当に危機的状況にあるわけです。今回ここで取り上げるローンによる正社員
というのは、第2波の状況だということを忘れてはならない。この2つをきちんと支援するということが求められているのではないの
かなと思っています。
武田:その支援をどうするかということなんですが、どんな支援策があるのでしょうか。
栗原:住宅ローンに関して住宅金融支援機構は、感染拡大の影響で収入が減った人などについて、最長で15年返済期間を延長して、
月々の返済額を減らすなどの対応を始めています。また、返済条件の見直しに応じているので、ぜひ相談してみてください。
そして、家賃が払えない人が利用できる制度、「住居確保給付金」。仕事を失うなどした人に、自治体が原則3か月間 家賃を支給す
る制度です。さらに、取材した女性も使っていましたが、「緊急小口資金」。収入が減った人が、当面の生活費として最大20万円を
無利子で借りられます。
武田:そうした支援策はあるわけなんですが、取材を進めていきますと、それだけでは住まいの危機を救いきれない実態が見えてきま
した。先ほどのVTRで、家賃が払えず困っていた女性のケースをご覧ください。

家賃の滞納が続いている50代の女性。
この日、国の支援制度を利用するため、区役所に電話しました。
利用しようとしたのは「住居確保給付金」。仕事を失った人などに、自治体が家賃を支給する制度です。
しかし…。
50代 女性
「(契約の)名義が娘の名義なんですよ。」
「賃貸契約書の名義となっている方が申請になります。(娘さんじゃないと)申請も難しい。」
住居確保給付金は、契約者本人でなければ原則 利用できません。
しかし、女性はアパートを借りた際、一緒に住んでいた娘の名義で契約。そのままにしていました。名義の変更には、手数料などとし
て10万円を不動産会社に払う必要があります。
50代 女性
「10万円がないと言っても、どうにもならない?」
「そうですね。(名義)変更していただければと思います。」
制度の利用を諦めざるを得ませんでした。
50代 女性
「決まりがあって、事情は通用しない。制度も受けられない。どうすることもできない。」
立ち退きの危機が迫る中、女性は別の制度を利用することにしました。
「緊急小口資金」、収入が減った人が無利子で最大20万円借りられる制度です。
50代 女性
「とりあえず(家賃)1か月分だけでも『出ていただきたい』と言われたことも事実なので、2か月、3か月(滞納すると)大家さん
も困ると思う。一応これで家賃は払いました。」
女性は借りたお金で、滞納していた家賃のうち1か月分を支払いました。
しかし、残ったお金は食費や光熱費に回さなければならず、滞納している残りの家賃を支払うめどは立っていません。
50代 女性
「緊急小口(資金)で助けていただきましたけど、それで今後よくなるわけではない。どうにもなんないけど、なんないよね。限界だ
よね。限界。」

武田:今の方の「決まりがあって、事情が通用しない」という言葉がすごく印象に残りました。女性のように、本人ではなく親や子ど
もが契約者になっているケースはよくあるということなんですよね。本当にどうにかならないものなんでしょうか。
稲葉さん:アパートの契約の名義人が別であっても、どなたが住んでいるか調べれば分かることですので、自治体には実態に即した柔
軟な運用も求めたいというふうに思います。もう一つ、住居確保給付金そのものにも限界があるというふうに私たちは考えておりまし
て、例えば東京23区で1人で暮らしていらっしゃる方の場合、収入の要件が月収13万7700円以下の方、支給される家賃の補助
額も上限が5万3700円になっています。ただ、この間、私たちが相談に乗っていたケースで、もともと自営業で家賃が10万円の
ところに暮らしていらっしゃった中所得者以上の方々も家賃に対応せざるを得ないという状況に追い込まれています。そうした方々に
対応できる施策になっていない、もともと低所得者向けとして作られた対策ですので、中所得者以上の方が利用しづらい問題がありま
す。
武田:5万3000円余りじゃ足りないわけですよね。
稲葉さん:5万3700円補助してもらったとしても、それだけで家賃は賄えませんので、やっぱり住み続けることができない。そし
て、転居しようにも転居するために敷金、礼金等、初期費用が必要になっていきますので、この収入要件や家賃の上限額を撤廃する必
要があると思いますし、支給期間も最長で9か月となっておりますけれども、コロナの影響がどれだけ続くか分かりませんので、これ
も延長するべきだというふうに考えております。
武田:石井さんは、こうした支援制度をどうお考えでしょうか。
石井さん:緊急支援は絶対的に必要だと思っています。ただし、このコロナの怖さというのは、あと半月続くのか、1年続くのか、2
年続くのか誰にも分からないというところなんですね。その中で、例えば10万円あげますよと言ったとしても、それはその場限りの
ものなんですよね。受け取る側からすると、いつ自分が家を失うのか分からない。10万円では足りないのが見えているわけです。そ
うすると、やはり住宅を失う前に心を病んでしまうケースが多々出てくるであろうと。いま制度として必要なのは、その場限りの支援
ではなくて、持続可能な支援ではないのかなというふうに思っています。持続可能というのは、例えば10万円をもらっても半年後ま
では分からない、仕事があるかどうか分からないということであれば、じゃあ仕事も一緒にそこで紹介しますとか、住宅が本当に半年
後になくなってしまいますと、じゃあ10万円プラス住宅も用意します、といったような形で、セットできちんと持続可能な生活を安
定させるような支援が必要になってくるだろうと。これをするには、やはり国、自治体が縦割りの事業ではなくて、すべての部署が一
丸となってセットで支援をしていくことが必要になってくるのではないかと思っています。
武田:ここまで住居を失う瀬戸際に立たされているケースを見てきましたが、実際に住まいを失って、思ってもみなかった路上生活に
追い込まれた人たちもいます。その厳しい現実です。

埼玉県のJR川口駅前。
路上生活者を支援する団体の夜回りです。
「支援団体でまわってきていて。いま、家がない感じですか?」
「ないです。」
「収入はどうなっていますか?」
「100円くらいあるけど。仕事はなくなるわ、(居)場所はなくなるわ、大変ですよ。」
この日、駅の周辺だけで、新たに4人が路上生活を始めていたことが分かりました。
先月から路上生活を始めた30代の男性がいます。
以前はホテルで働き、月27万円の収入がありました。3月に退職し、転職先を探していたさなかに感染が拡大。仕事が見つからず、
所持金も底をつき、住む場所を失いました。
30代 男性
「21円です。路上生活は今回が初めてで、最初は場所が決まらず転々としていたんですけど、寝るところを探してて、ここに来た。
とうとうここまで来ちゃったなという感じです。」
ここ数日は、公園の水を飲んで飢えをしのいできたと言います。
30代 男性
「本当にこれが自分の悪い夢だったらって何度も考えたり、寝て覚めたら元の生活に戻ってるんじゃないかとか。それでも結局、朝起
きると今の状態で、今こうして生きてますけど、このまま死んでもという考えも時々よぎって、もうどうしようもないというか、限界
というか。」
このままでは生きていけないと、男性は生活保護の申請を決断しました。
区役所職員
「体調悪いとか、持病があるとかってあります?」
30代 男性
「ないです。」
区役所職員
「ちょっと仕事が途切れちゃって、こんな状況になってという感じですかね。まず住むところをしっかり確保して、頑張っていただけ
ればいいなと思っています。」
生活保護の受給が決まり、最低限の生活費や家賃の補助を受けられることになりました。早速、アパートを借りて暮らしを立て直そう
とした男性。
しかし、壁が立ちはだかります。
不動産会社
「入居の時期としてはいつ?早め?」
30代 男性
「早め。」
不動産会社
「35歳の方で生活保護の方は大丈夫でしょうか?生活保護は不可ってことですね。」
不動産会社
「ダメでしたね。すいませんね。物件はあったんですけど、ダメって言われた。」
生活保護受給者を敬遠し、入居を拒否する大家も少なくありません。
不動産会社
「生活保護の方なんですよ。生活保護 お断りですか。」
不動産会社
「本当、冷たい世間ですよね。」
さらに、感染拡大によって思わぬ事態が起きていました。
不動産会社
「お世話になってます。大久保とか北新宿で生活保護の方で、お風呂、シャワールームで物件ありましたよね?今ないですか?今な
い。新宿区においてはないでしょうか?豊島区でも売り切れ。」
生活保護の申請が急増し、家賃の安い物件が奪い合いになっていたのです。
不動産会社
「今後、生活保護の方も増えてくるでしょうけど、このまま物件が増えていくことはないと思われますし、対象となる物件がない以
上、ご案内すらできないという感じです。」
男性は、これまで10軒の不動産会社に相談しましたが、アパートはまだ見つかっていません。
30代 男性
「生活保護っていうハードルという壁が、まさかこんなに厚いというか、断られるっていうのは正直 驚きました。しっかりとした職
に就くとしたら、必ず住所が必要になると思うんで、いま現状では厳しいのかなと思いますね。」
栗原:この男性のように、生活保護を命綱として申請する人たちが今、急増しているんですね。NHKが東京23区、大阪市、名古屋
市など39の自治体に取材をしたところ、4月の生活保護の申請件数は8701件。去年より32%増えていました。中でも東京23
区は2121件と40%も増えているんですね。
またNHKは、感染拡大の影響で住む場所を失い、生活保護を申請するなどした都内の551人について、自治体にアンケート調査を
行いました。その結果、71%の人が今後の住まいがまだ決まっていないことが分かったんですね。最後のセーフティーネットとも言
える生活保護を受給しても住まいが見つけられない。厳しい現実が見えてきました。

武田:これだけ生活保護を申請する人が増えているとすると、本当にどうにかしなければならないと思うのですが、いかがですか。
稲葉さん:私たちの団体では、民間の賃貸住宅の空き家、空き室を借り上げて個室シェルターを整備したり、今晩泊まるところがない
という生活困窮者の方からのSOSに応えて、緊急の宿泊費、ビジネスホテル代を基金からお渡しするというような支援事業を行って
おりますけれども、やはり民間の支援というのは限界があります。ですから、生活保護を中心とした公的支援を拡充することが重要だ
というふうに思っております。VTRに出てきた福祉事務所はきちんと対応してくださっていたようですけれども、残念ながら、一部
の自治体では生活保護の相談が増える中で、相談に対応しきれなくなって、水際作戦といって、役所の窓口に来た人をたらい回しにし
たり、追い返したりするといったような現状が出てきています。ですので、生活保護の窓口をきちんと拡充していくことが重要だとい
うふうに思いますし、制度上では、先ほどの生活保護を利用しても住居が見つからないケースも出てきております。東京の新宿区では
家賃の上限が5万3700円なんですけれども、それでは見つからないという現状になっておりますので、家賃の上限額を引き上げて
いくといったような制度改正も求められるというふうに考えます。
武田:今、ステイホームと言われていますけれども、その家さえないという現実であるわけですね。石井さんは、何が必要だと考えま
すか。
石井さん:本当に今、稲葉さんがおっしゃったような生活保護だとかNPOの支援というのは絶対的に必要です。ただし、実はその
セーフティーネットをよしとしない人たちもいるんですね。例えば、あるアルコール依存症の人が非常に家に迷惑をかけてしまって追
い出されるように出ていって、パチンコ屋さんの寮で働いていたと。そこもだめになって、生活保護を受けてと言ったんだけれども、
生活保護を受けたくないと。なぜかというと家族に連絡がいってしまうから、もうこれ以上迷惑をかけたくない。だから俺は生活保護
を受けないと。あるいは、貧困から20年間ぐらい風俗で働いていた人がNPOのほうには助けを求めたくない。なぜか。NPOに
いって、自分が頑張ってきたことを否定されたくないと言うんですね。このように、本当に今あるセーフティーネットは非常にいいも
のなんですけれども、そこに引っ掛からない人たちが、どうしても出てきてしまうんですよ。そういった人たちが存在するということ
をしっかりと見つめた上で、じゃあ そういった人たちをどう救うかを同時に考えないといけない。彼らは、それまで風俗やパチンコ
といったところの寮にいたんですよね。そうすると、そういったところをきちんと手厚く支援して、そして、そういった人たちも必ず
こぼれないようにするという努力が必要なんじゃないかなというふうに思っています。
武田:例えば、寮を持っている会社を支援するというようなアイデアということですね。
石井さん:事業だけではなくて、寮のほうも同時に支援するということが必要になってくると思います。
武田:住まいというのはすべての生活の基盤なわけですけれども、今、それが揺らいでいるという状況。国や自治体がどういう考え方
で支援に取り組んでいけばいいのか。稲葉さんにキーワードを書いていただきました。「ハウジングファースト」。
稲葉さん:「ハウジングファースト」というのは、生活困窮者の支援において、安定した住まいの確保を最優先とするという考え方の
ことを指しています。今コロナの状況の中で、多くの人たちが住まいを失いかけている。そして、すでに失ってしまった方々もいると
いう状況になっております。私たちは今回の状況を「コロナ災害」と呼んでいます。例えば災害時、災害によって住まいを失った す
べての方に対して住宅が提供されます。近年では、みなし仮設というふうに言って、民間の住宅を借り上げて行政が提供するというこ
とが行われている。ですから、今の事態においても、住まいを失った方々に直接住宅を提供するといったような支援策が求められると
いうふうに思いますし、いま失いかけている人たちについては、住居確保給付金や生活保護で、公的な支援というのもフル動員して生
活を支えるべき、住まいを支えるべきだと考えます。
武田:まさに、まずは住まい。それがないと、10万円の給付ですとか、いろんなサービスも受けられないということになるわけです
ね。
稲葉さんも関わっていらっしゃる、住まいや暮らしの電話相談会は今週6日の土曜日にも開かれます。ぜひ困った方は声を上げていた
だきたいと思いますね。
今後も経済状況の悪化が予測される中で、住まいの危機に直面する人が増えていくことも考えられます。住まいを失うということは、
まさに命の危機にも直結します。早急な対策が求められています。

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借地借家問題市民セミナー 6月20日(土)八王子労政会館で開催決定

2020年06月05日 | 借地借家問題セミナーと相談会
借地借家人のためのやさしい法律の学習会と相談会 相談しておけばよかった!………というケースが必ずあります。

こんな問題で悩んでいませんか?

◎賃貸借契約の更新、更新料の請求
◎借地上の建物の増改築、修繕
◎地代・家賃の増額と減額請求
◎賃貸住宅の老朽化・耐震不足を理由とす
 る明渡し
◎ブラック地主問題(借地の底地の不動産業者への売却)
◎賃貸住宅の原状回復、敷金の返還
◎大規模災害が起きた場合の借地権・借家権
◎コロナで修業、家賃が支払えない。店の売上が激減、家賃を減額できないか。


日時 6月22日(土)午後1時30分から

会場 八王子労政会館第6会議室

※組合役員が親切に相談にのります。 借地借家人の権利は借地借家法・消費者契約法などで守られています。

東京多摩借地借家人組合

電話 042(526)1094
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新型コロナで住居喪失 低家賃アパートが “奪い合い” 状態に

2020年06月05日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200603/k10012456461000.html

新型コロナウイルスの影響で住まいを失って東京都が用意したホテルに一時的に宿泊し、生活保護を申請するなどしたおよそ550人に
ついて、NHKが自治体にアンケート調査を行ったところ、新たな住まいがまだ決まっていない人が全体のおよそ7割に上ることが分
かりました。生活に困窮する人が急増し、住まいの確保が難しくなっている実態が浮かび上がっています。
新型コロナウイルスの影響で経済的に困窮し、住まいや居場所を失う人が急増する中、東京都はビジネスホテルに一時的に宿泊しても
らっていますが、緊急事態宣言が解除され、無料で宿泊できるのは最長でも来月7日までです。
NHKは、ホテルに宿泊し生活保護を申請するなどした551人に、今後の住まいが確保できているかどうか、都内の自治体にアンケー
ト調査を行いました。
その結果、先月末の時点で新たな住まいが決まっていない人が、392人と全体の71%に上ることが分かりました。
理由は
▽「アパートや困窮者向けの宿泊所などの空きがない」という人が120人、
▽今後はネットカフェに戻るという人も80人いました。
NHKが調べたところ、東京23区では、ことし4月の生活保護の申請件数が2121件と、去年の同じ時期より40%増えています。
このため都心部では、生活保護の家賃補助で借りることができる低家賃のアパートがいわば奪い合いの状態になっていて、生活に困窮
する人の住まいの確保が難しくなっている実態が浮かび上がっています。
貧困や生活保護の問題に詳しい日本福祉大学の山田壮志郎准教授は「今回の緊急事態によって住宅支援の不十分さが表面化した形だ。
ビジネスホテルの滞在期限が迫る中で、次の行き先が見えないのは非常に不安だと思う。住居が確保できるまでホテルに宿泊できるよ
うにしたり、生活保護の家賃補助の上限額を引き上げたりするなど、実態に合った支援を行うべきだ」と指摘しています。

「しっかりした仕事見つけるには住所必要だが…」

「最後のセーフティネット」と呼ばれる生活保護を申請しても住まいを確保できない人が相次いでいます。
先月中旬、JR新宿駅近くの高架下で寝泊まりをしていた36歳の男性は、これまでネットカフェで寝泊まりしながら都内のホテルで働
き、月27万円ほどの収入を得ていました。
しかし、ことし3月末で退職し、転職先を探していたさなかに感染が拡大しました。
ネットカフェも休業になり、宿泊施設を転々としながら仕事を探していましたが転職先は見つからず、所持金も底を尽きました。
このため、初めて路上生活を余儀なくされ、公園の水を飲んで飢えをしのぎ、寝袋にくるまって過ごす日々が1週間ほど続いたといい
ます。
その時の状況について男性は「『これは悪い夢で目覚めたら元の生活に戻っている』と何度も考えましたが、朝、目覚めると状況は変
わらず、『このまま死んでしまおうか』と頭によぎりました」と話しました。
男性は悩んだ末に生活保護の申請を決断し、当面は最低限の生活費の支給を受けながら、東京都の支援策によって無料でビジネスホテ
ルに宿泊できることになりました。
家賃の補助も受けられる見通しになり、アパートを借りて生活を立て直そうとしました。
しかし、生活保護の受給者を敬遠する大家も多く、男性には保証人や緊急連絡先になってくれる家族もいないため、物件探しは難航し
ました。
また、生活保護を申請する人が急増する中、家賃補助の上限額の月5万3700円以下で借りられる低家賃のアパートが奪い合いの状態に
なっていて、3日までに10軒の不動産会社に相談しましたが、入居できるアパートは見つかっていません。
男性は「1件のアパートを何人もが争っている状況で、生活保護を受給してもこんなに厳しいのかと正直驚きました。しっかりとした
仕事を見つけるためには住所が必要になると思いますが、現状は厳しく、いつアパートが見つかるのか不安です」と話していました。

生活保護申請件数が4割増 東京23区

感染拡大の影響が深刻化し、経済的に困窮して新たに生活保護を申請する人が急増しています。
感染拡大に向けた取り組みを重点的に進める「特定警戒都道府県」に指定されていた13都道府県のうち、東京23区と政令指定都市や県
庁所在地の合わせて39の自治体にNHKが取材したところ、ことし4月の生活保護の申請件数は8701件に上り、去年の同じ時期より
32%増えたことが分かりました。
中でも東京23区の申請件数は合わせて2121件に上り、去年の同じ時期より40%も増えています。

生活保護の家賃補助 単身で5万3700円まで

東京都は、緊急事態宣言に伴い住まいや居場所を失った人たちの一時的な宿泊施設として、ビジネスホテルの部屋を無料で提供してい
て、6月1日時点で延べ1094人が利用しています。
このうち、生活に困窮し福祉の窓口で生活保護を申請するなどした551人がホテルに宿泊できるのは最長でも来月7日までで、多くの人
が今後アパートなどを自分で探す必要があります。東京23区の生活保護の家賃補助の上限額は、単身世帯の場合、原則、月5万3700円
ですが、都心部では低家賃で借りることができるアパートの数が限られ、生活保護の受給者などが入居する「無料低額宿泊所」もすで
に多くが満室の状態です。
東京都地域福祉課の畑中和夫課長は「アパートを見つけるのに苦労している人が多く、先月末までだったホテルに宿泊できる期間を延
長するなどの対策を取っている。区や市は、住まいが確保できるよう粘り強くサポートしてほしい」と話しています。

生活保護受給者の9割以上が住居未定 新宿区

ことし4月の生活保護の申請件数が去年の同じ時期より70%余りも急増した新宿区は、アンケート調査に、9割以上の人の今後の住まい
が決まっていないと回答しています。
新宿区生活福祉課の片岡丈人課長は「以前から新宿区内では、生活保護の家賃補助の上限額で借りられるアパートがある程度、埋まっ
ていたが、感染拡大の影響で新たな需要が発生し、対応が困難になっている。住まいを落ち着いた場所にきちんと定めていただくこと
が自立に向けた大前提になるので、家賃補助の額を実態に合わせて引き上げるよう国に要望していきたい」と話しています。
また、アンケートに回答した別の自治体の担当者は「生活保護の家賃補助で借りられるアパートがもともと地域に少なく、生活保護の
急増で物件が“取り合い”とも言える状態になっている。ビジネスホテルに宿泊できる都の支援策が期限を迎え、次の住まいが見つか
らなければ、生活保護を受けても一時的にネットカフェに戻らざるをえない深刻な状況にある」と話しています。

生活保護申請者 働き盛り中心に幅広い世代が

アンケートでは、新型コロナウイルスの影響で住まいや居場所を失い、生活保護を申請するなどした551人の年代や性別についても調
査しました。
▽50代が143人と最も多く、
▽30代が122人、
▽40代が120人、
▽60代が78人、
▽20代が60人などとなっていて、働き盛りの世代を中心に幅広い年代の人たちが感染拡大の影響を受けている実態が明らかになりまし
た。
男女別では
▽男性が477人、
▽女性が74人です。
生活保護の受給者の住宅支援について課題だと感じる点について複数回答で尋ねたところ、東京23区のうち15の区が「生活保護の基準
額で入れるアパートが少ない」と回答しました。
また「区内全域で再開発が行われ、基準額で入居できる古いアパートがなくなってきた」などと、時代の変化で生活に困窮した人の住
まいの確保が厳しくなっていることをうかがわせる回答もありました。

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