東京多摩借地借家人組合

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戦前から借りている借家の明渡訴訟 京都地裁が家主の明渡請求棄却

2022年01月29日 | 明渡しと地上げ問題
 京都地方裁判所で昨年10月に借家の明渡しを求める訴訟の判決があり、借家人の京都借地借家人組合員への明渡し請求を棄却し、全面勝訴する判決が下りました。

 借家は親の代から借りている建物で、建物の修繕は全て借家人が行ってきました。家賃は月額1万円と低額です。老朽化していても、維持管理は十分に行われ、十分に居住に耐えうる状態でした。原告の家主は
本件建物の耐震評点0・164と耐震基準を満たしておらず地震で倒壊の可能性が高いと主張しています。

 さらに、予備的に裁判所が相当と認める立退料の支払いと引き換えに建物を明渡せと請求しています。

 判決では、「被告が高齢かつ単身の年金生活者であり、一般的に転居先の確保及び新たな生活環境の構築は困難な状況であって、近隣に賃貸物件が存在するからといって被告の転居先確保が容易であるとはいえない」、「被告が77歳になってはじめて転居することの心理的ないし社会的な障壁は、同年代の者の中でも相当高いと考えざるを得ないから、被告については本件建物に引き続き居住する高度の必要性が認められる」
 最後に判決文は「以上の検討したところによれば、少なくとも一般診断法によれば現状では本件建物の耐震性を欠いており、かつ本件建物によって本件土地が有効活用されているとはいい難いことを考慮してもなお、被告の本件建物を使用する必要性は本件建物を取り壊すことの必要性を大きく上回り、原告の相当額の立退料を支払うとの申し出によっても、正当事由が補完されたとはいえないから、本件解約申入れには正当事由があるとはいえない」として、原告の請求を棄却しました。

 判決文を京都借地借家人組合から送ってもらいました。最近では借家の建物が老朽化し、耐震性がないことを理由に簡単に明渡し請求する事例が多く、「老朽化」「耐震性」がまさに明渡の口実にされています。本判決建物老朽化や耐震性のなさ等の事情だけでは明け渡しを認めず、借家人である被告の事情を大変重視した判決です。実務的にも大変参考になります。

(東京多摩借組 組合ニュース)

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全借連第4回Zoom三役会議開催 第34回定期総会の開催に向けてスケジュール確認

2022年01月25日 | 全国借地借家人組合連合会
 新型コロナウイルスのオミクロン株による感染急拡大する中で、全借連は第4回三役会議をオンラインで開催しました。

 会議には、馬場副会長、田中会長代理で大塚常任理事、上野理事(狩俣副会長代理)、細谷事務局長、綾事務局次長の5名が出席しました。討議事項は細谷事務局長が報告し、決算報告は綾事務局次長が報告しました。
 討議事項では以下の議題が討議されました。

①家賃補助創設等を求める国会請願集会は、野党4党から5名の国会議員が参加し、国会請願署名を手渡した。請願集会はマスコミでも報道され、家賃補助はNHKのクローズアップ現代+でも報道された。請願集会の成功を契機に夏の参議院選挙に向けて家賃補助制度創設の世論を大いに盛り上げていく。

②全借連第34回定期総会を今年12月に開催し、開催向けてのスケジュールを確認した。前回総会を反省し、総会議案の討議など準備を十分に行い成功させる。

③前総会時の予算案に基づき、2019年10月から2021年9月までの決算が報告され、確認された。コロナ感染の影響を考慮して、総会を1年延期したため、前総会時の予算を見直した仮予算を組み、予算の執行を行う。予算案については次回に討議を行う。

④第34回定期総会の議案の骨子が提案され、三役で議案のたたき台を2月末までに作成する。3月の次期三役会議でたたき台の討議を行う。総会議案は5月の常任理事会で討議し、8月号の全借連新聞で発表する。
⑤全借連新聞2月号の編集案が発表された。2月号と3月号は2頁立てで4月号は4頁にする。

⑥オンライン学習会を3月12日(土)午後1時半からZoomで開催する。講師は東京合同法律事務所の瀬川宏貴弁護士。全借連役員に参加を呼びかけ、相談できる役員を育成する。テーマは「よくある借家の相談事例と民法改正」。年内3回程度学習会をオンラインで開催し、関西の弁護士にも講師を依頼する。

⑦組合に集まった相談事例のアンケート調査を継続的に実施するためのアンケート案を検討する。次回の三役会議は3月25日に京借連の事務所で開催する。
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ネットで契約した賃貸物件 人が住めない事故物件だった

2022年01月24日 | 賃貸借契約
さいたま市借組に26歳の佐々木(仮名)さんが組合に加入しました。

昨年東北から就職のため上京し、都内日野市の借家を契約しました。部屋の間取りなどは写真と動画で見て契約し、就職も決まりいざカギをもらい部屋を見てびっくり。換気扇はじめトイレも建てつけもカビと汚れで人が住めない状況で、インターネットの事故物件情報にも掲載されていました。佐々木さんは入居予定日から4日後に事故物件情報と部屋の写真など証拠そろえ、組合に相談。

アドバイスを受け、「汚れと傷みがひどく解約します」と家主(法人)に告げると、「人が住めない状況と分かって貸した。あんたはそれを承知で契約したんだから違約金を請求する」と言われ2度びっくり。すでに5万数千円入金済みの上、解約違約金も請求され、保証会社からは再三家賃の請求がされ、「家主の問題、解約の通知があるまで家賃は請求する」として返金にも応じません。

佐々木さんは事故物件の告知義務にも反する(国土交通省のガイドライン)悪質な貸主に対し、弁護士の協力を受け新年早々悪質家主や保証会社に対し、解約を求め立ち向かう事になりました。

(全国借地借家人新聞より)
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契約書に「相当の更新料を支払う」と書いてあっても、更新料の支払い義務なし(東京高裁)

2022年01月20日 | 契約更新と更新料
北区内に土地を賃借している米田さん(仮名)は地主から高額な更新料を請求されました。

契約書には相当の更新料を支払うと書かれており、以前東京地方裁判所での判決で相当の更新料と書いてある特約は一義的かつ具体的な文言で明確な約束とは言えないとして支払い義務はないととされました。

そこで、米田さんは更新料の支払いを拒否しました。合意に至らなかったため地主は当然裁判に提訴しました。

東京地方裁判所での裁判例があるにもかかわらず一審では残念ながら敗訴となりました。しかし、二審控訴審の結果は一審判決を破棄し、借地人逆転勝訴となりました。

判決内容は以前の裁判例と同様の更新料を支払い義務が発生するのはやはり一義的かつ具体的な文言、少なくとも金額や誰でも計算できる算式がなければ明確な特約とは言えず、相当の更新料を支払う義務が発生しないとのことです。

地主側が上告しなかったため判決は確定しました。この判決は相談を受ける借地借家人組合にとっても大変画期的な判決で、相当な更新料を支払うと契約書に書いてあっても支払いを拒否するよう助言しています。

(全国借地借家人新聞より)

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借家の明渡しで京都地裁が借家人に勝訴判決

2022年01月18日 | 明渡しと地上げ問題
京都市のK地域で親の代から住み続けている上田さんは、家主が亡くなり相続により借家を取得した新しい家主から「ここにマンションを建てるので明け渡してほしい」と立ち退きを求められました。

年金生活の高齢者の一人暮らしのため、転居もむつかしく、明け渡しせずここに住み続ける決意をしました。

その後、家主からは、家賃の受け取りを拒否されるようになりましたが、京借連に加入し相談をして法務局に供託しました。

まもなく裁判になり、第一法律事務所の弁護士さんの支援をうけて闘い「建物は借家人の負担により手入れ、維持管理されており、居住の用に供しない程の老朽化はしていない。また、借家人は高齢者でかつ単身の年金生活者で新たに転居先の確保はむつかしく引き続き居住する必要性がある」と家主側に正当事由はないという上田さん勝訴の判決が京都地裁から出されました。

家主側は大阪高裁に控訴してきましたが、上田さんは「これからも安心してここに住み続けるために京借連の支援をうけて頑張ります」と決意しています。
(全国借地借家人新聞より)


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管理契約解除したのに、管理会社がマンション住民に頻繁に電話 警察から介入しないよう忠告

2022年01月17日 | 管理会社とのトラブル
阪神電鉄武庫川沿線で2年前にマンションに入居していた野尻麻梨亜さん24歳は、ご主人と子供さんと3人で暮らしていました。契約書に2年毎に5%の家賃値上げの約束されていたこともあり、2人目の子供が昨年に生まれて手狭になったため、もう一部屋広いマンションに移転することになり、昨年9月末日に賃貸借契約解約の文書を送り、10月末日に退去することを告げました。

 解約通知を出して直ぐに管理会社より連絡が入り退去立ち会いを10月29日に指定されました。当日は本人のみとし、立会にはハウスクリーニング代として6万8千円を現金にて持参して下さいとの通知が届きました。「そんなこと知りません」と管理会社に言ったところ、契約書第4条にそのことが書いてあり、それを貴方が認めて契約したからと一方的に言われました。契約書を見直してみるとあまりにも酷い契約書にびっくりでした。

その後、①契約書第9条ではでは、2年毎の更新に5%の賃料値上げでこれに異議を申し立てない。
②第11条では、金銭の支払いが遅れると、日歩10銭の年率36・5%の金利(出資法違反刑事罰)同条2項では、1ヶ月分以上家賃を滞納すれば入室禁止の措置を取る。
③第17条では、管理人が必要と認めたら、無断で室内に立ち入ることができる。
④退去時の立会いには6万8千円の原状回復費を持参する。
⑤更新時に事務手数料として2万円を管理人に支払う。
⑥火災保険に加入しない時は、賃貸契約を解除する。  以上の不当な契約条項が36条にわたり記入されていました。弁護士に相談に行ったところ、「こんな不当な契約は無効になります」と言われましたが、弁護士費用の方が高くなるので尼崎市の消費生活センターより兵庫県借地借家人組合を紹介されました。

 組合では、早速、家主と交渉し、管理人契約を解除しました。その後、管理人から野尻さんにひっきりなしの電話が入り、着信を拒否したら保証人である母の方に電話が入り、職場まで電話が入るようになり、尼崎警察署と転居先の伊丹警察署に相談したところ、両警察署とも身辺警護をしてくれるようになりました。

 10月26日、退去日の立会いを迎えました。現場には本人と保証人(母)、組合長が家主を迎え、室内点検を行い、原状回復箇所がないことを確認され、それを待っていた尼崎警察署の刑事係が家主に対し、「管理会社の管理契約を解除したはずなのに当人に対し、連絡しているのは何故か」、この場で家主から管理会社に電話して明確にするよう求められ、電話による確認をとり、刑事係は「これ以上野尻さんと連絡をとるなら刑事事件にせざるを得ない」と通告がありました。その結果、管理会社は通告を承諾し、この件に介入しないことの確認が取れ解決しました。野尻さんは子供が2人とも小さいので、もしもの事があればと心配しましたが、「これで一安心しました」とお礼を述べられました。

(全国借地借家人新聞より)

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