東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

国土交通省 単身高齢者を対象とした残置物処理等のモデル契約のオンラインセミナーに参加

2023年02月21日 | 最新情報
 国土交通省が所管する社会空間研究所のオンラインセミナーに参加しました。

 賃貸住宅の入居に当たって賃貸人に対する調査で高齢者(60歳以上)に対し7割以上の家主が入居拒否感強いと言われています。その理由として、家賃の支払いに対する不安とともに、賃借人の死亡時に残された家財の処理の問題があると言われています。

 そこで、国交省は拒否感を払拭するために、残置物の処理や死亡時の賃貸借契約の解除がスムーズに進めるために、賃借人に受任者を定めてもらい、賃借人死亡後に委任契約に基づき、賃貸借契約の解除と残置物の処分を実行してもらうという話です。

 受任者は推定相続人か居住支援法人、管理業者の第3者がなるということですが、お金がある高齢者であれば受任者になる人がいるかもしれませんが、お金のない単身の高齢者のために委任契約を行ってくれる受任者が出てくるのか、はなはだ疑問です。今後、単身の高齢者に賃貸住宅を貸す条件に残置物処理等の委任契約に応じられない高齢者は排除される恐れもあり、単身の高齢者が安心して入居できる公営住宅の整備が必要ですが、単身の高齢者向けの都営住宅は応募倍率が高く、簡単には入居できないのが現実です。(多摩借組ニュースより)

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家賃保証業者の「追い出し条項」を無効とした2022年12月12日最高裁判決

2023年02月20日 | 最高裁と判例集
事案の概要

 適格消費者団体が家賃債務保証会社に対し、消費者契約法12条3項に基づき、保証委託等の契約条項の差止等を求めた事案。
 問題となった契約条項は以下のとおり。
①賃料3か月分以上の滞納があったときは、家賃債務保証会社が、無催告で、賃貸借契約を解除できるという条項
②賃料等の支払いを2か月以上滞納し、家賃債務保証会社が合理的な手段を尽くしても賃借人と連絡がとれないなど所定の4要件を満たすときは、家賃債務保証会社が、建物の明渡があったものとみなすことができるという条項

判断

上記条項①について
最高裁は、賃貸借契約の解除は、賃借人の生活の基盤を失わせるという重大な事態を招来し得るものであるから催告の必要性は高いとした上、上記条項①は、所定の賃料等の支払いの遅滞が生じた場合、賃貸借契約の当事者でもない家賃債務保証会社がその一存で何らの限定なく賃貸借契約を無催告で解除権を行使することができるとするものであるから、消費者契約法10条に該当すると判断した。
上記条項②について
最高裁は、上記条項②は、賃貸借契約が終了していない場合でも、家賃債務保証会社に建物の明渡しがあったものとみなすことができる旨を定めた条項であり、賃借人の建物に対する使用収益権が一方的に制限されることになる上、賃借人は明渡義務を負っていないにもかかわらず、法律に定める手続によることなく明渡が実現されたのと同様の状態におかれることになり著しく不当であるとして、消費者契約法10条に該当すると判断した。

コメント

 本判決の原審判決である大阪高裁判決は、上記条項①および②について、いずれも限定的な解釈をすることで消費者契約法に違反しないとした。
 これに対し、本判決は、上記のとおり上記条項①および②の問題点を正面から認め、賃貸借契約の解除や明渡が賃借人の生活の基盤を失わせるという観点から、消費者の利益を一方的に害すると判断したものである。また、上記条項②の判断において、法的手続によらない明渡(自力救済)につき厳格な判断を行っており実務上も重要な意義のあるものである。(弁護士 瀬川宏貴)
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業界従事者の過半が事故物件の取り扱いに抵抗

2023年02月15日 | 最新情報
不動産従事者の77.5%が事故物件を扱ったことがないと回答!不動産業界における、事故物件とそのガイドラインについて、意識・認知度の調査を実施致しました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000054696.html

業界従事者の過半が事故物件の取り扱いに抵抗
https://www.re-port.net/article/news/0000071633/

 (株)マークス不動産は13日、「事故物件」と「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」に関する意識・認知
度調査の結果を公表した。全国547人の不動産業従事者(20~70歳代)を対象にインターネット調査を実施。調査期間は2022年7月27~
28日。
 「事故物件に対するイメージ」については、「安い」(55.0%)がトップ。以下、「幽霊が出そう」(40.2%)、「運気が下がる」
(32.4%)とネガティブな回答が続いた。
 「事故物件を扱うことに抵抗はあるか」については、56.7%が「ある」と回答。「ない」(18.3%)を大幅に上回り、不動産従事者
でも事故物件に抵抗を感じる人が多いことが分かった。「事故物件を扱った経験」は、77.5%が「ない」と回答。「経験がある」回答
者が扱った物件は、「孤独死物件」が17.7%、「自殺物件」が11.7%、「殺人物件」が3.1%、「火災による死亡事故」が2.6%だっ
た。取引形態は、賃貸取引が76.4%、売買取引が38.2%。
 21年10月に国土交通省より発表された「人の死の告知に関するガイドライン」については、「知らない」(44.6%)が4割強と、不
動産業界従事者であってもガイドラインの認知度は進んでいないことが明らかになった。
 「事故物件の告知」については、60.1%が「丁寧に告知するのが望ましい」と回え、「必要最低限の情報のみをするのが望ましい」
(30.0%)を大幅に上回った。一方、「告知しない」(4.9%)、「聞かれたら答える」(4.9%)との回答もあった。
 実際に売買物件を行なう際の告知については、「死因と場所、発生した時期等の詳細まで知らせている」(50.6%)が過半数を占
め、「死因と場所」(24.7%)、「死因のみ」(15.0%)が続いた。9.7%にとどまったものの、「告知しない」との
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八王子市と協定。住宅確保要配慮者の入居支援

2023年02月14日 | セーフティネット住宅
https://www.re-port.net/article/news/0000071625/


東京都住宅供給公社(JKK東京)は10日、八王子市と連携協定を締結。住宅セーフティネット制度を活用した専用住宅を、同市内の高齢者世帯、障害者世帯および子育て世帯向けに提供すると発表した。

同市内にある一部のJKK住宅を、住宅セーフティネット制度の専用住宅として同市に登録。入居希望者とJKK東京が賃貸借契約を締結し、同市がJKK東京に「家賃低廉化補助」分を支払う。

提供するJKK住宅は10戸。間取りは2DK・3DK、専有面積は48.32~58.28平方メートル。入居者が負担する家賃は、1万7,000~3万600円。2月15日~3月15日まで募集を行ない、抽選で入居者を決定。5月1日に入居を開始する予定。

募集方法や資格要件の詳細は、JKK東京ホームページ https://www.to-kousya.or.jp/chintai/safetynet/index.html を参照。

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公営住宅の空き家が急増中 未募集空家が大幅増加

2023年02月13日 | 最新情報
 全国の公営住宅の空家が、2011年度(平成23年度)から2020年度(令和2年度)の10年間で2倍化(4大都市圏)をしている問題で、国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)は国土交通省に対し、この状況をどのように捉えて改善するのか質問し、昨年12月2日に回答がありました。

 公営住宅の空き家が急増している要因として「未募集空家」の増大が考えられ、10年間で大幅に増加しています。東京都は10年間で75%も増加し、20111年度の10997戸から2020年度は28700戸増加しています。大阪府も64%も増加し、2020年度の未募集空家が24286戸と空き家総数の約1割を占めています。

 未募集空家は、「大規模修繕、改造等」及び「用途廃止等を行うため」とされ、用途廃止には「建替え」と「廃止・削減」があるとされていますが、国交省の回答では空家の原因については、「都道府県に細かく分けて聞いていない」、「分けることは都道府県の負担になるので、現状を変えることは考えていない」との回答でした。

 また、準備中の空家も10年間に増えています。神奈川県では2772戸から7316戸、埼玉県が833戸から3906戸、兵庫県では2354戸から4502戸、福岡県が2432戸から6561戸に増加しています。準備中空家は入居募集の最中の空家との回答で、地方都市では応募がない状況もあり、3階以上でエレベーターがない住宅が空家になり、空家が長期化し維持管理も困難になっています。長期空家が多い自治体は兵庫県で2020年度に7843戸と5602戸も増加しています。 
         
 公営住宅は大都市部では不足しており、住まいの貧困が加速する中で、空家のまま放置することなく、有効な活用が望まれます。尼崎市で行った住宅困窮者のための「目的外使用」など全国で広がるよう組合でも運動していきましょう。      









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給湯器の故障で家賃減額

2023年02月13日 | 法律知識
世田谷区で部屋を賃借している萌田さん(仮名)は設置されている給湯器が故障しました。

管理会社に電話をすると早速修理の手配をしてくれたが修理完了まで3日ほどかかると言われ、この寒い時期にお湯が使えないのは納得いかないと不満を言ったところ、家賃減額をしますと返答されたので、詳細を相談したいと組合に電話相談してきました。

組合のアドバイスは、民法611条の一部滅失等の賃料減額について一定期間使用できない期間は話し合いによって家賃を減額してもらえると伝えました。萌田さんも簡単に解決しないと思っていたが、管理会社と穏やかに話し合いします、民法611条についても調べてみますと前向きな答えでした。ただ免責期間として一定期間分は減額対象にならない日数があるので、そちらも確認し、話し合ってくださいと伝えました。

管理会社が丁寧なのですぐに解決しそうですし、組合にも相談して良かった、感謝いたしますとお褒めの言葉がありました。(全国借地借家人新聞より)
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底地を買った新地主が地代一挙に8倍の増額請求

2023年02月08日 | 底地買い・地上げ
 地主が不動産会社に土地を売買し、不動産会社が賃料の増額を通知してきました。増額は現行の8倍もの金額で、とても払えるような金額ではありません。不動産会社の担当者と話しをしたところ金額については考える余地はあるがいずれは明け渡しをしてほしいとのこと。借地人は三代続く店を手放すことはできないと主張し、明け渡しを拒否しました。幾らの賃料を要求してくるのかわかりませんが納得のいく解決をめざしています。

もう一人の借地人には、賃料を供託していることから借地の無断譲渡の件が浮上し、借地契約の解除と建物を収去して明け渡せと請求し、その借地上の建物を借りている借家人に対しては占有が権原なくされたものであり退去して明け渡せと請求してきました。

建物の賃借人は、借地が譲渡されたことで賃料の振込先を新家主に変更し、毎月きちんと家賃を納めてきています。今まで何の問題もなく日常生活を送っていたのに突然明け渡せといわれてもとてもできません。まして、借地上の建物が無断譲渡されたということなど借家人には知る余地もありません。地主と借地人との争いで何故何の落ち度もない借家人が明け渡さなければならないのか分かりません。借家人の居住の権利を守る上からも法整備が必要です。

不動産会社が、無断譲渡があったと言っているのは17年前の話しで当時の関係者はすべて亡くなっています。そして、現在不動産会社が証拠として提出しているものは当時から続けている供託の事実だけで、供託した理由も定かではありません。借家人は、不動産会社の横暴を許さないために弁護士に依頼をして闘うことにしました。

(全国借地借家人新聞より)

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安い立退料で立ち退き迫る 不動産業者が毎日押しかけ大声で叫ぶ 兵庫借組

2023年02月07日 | 底地の売買 地上げ
兵庫借組の相談で立退き問題が令和2年に47・6%、令和3年が40%、昨年の令和4年62・6%と急増。立退き問題で共通していることは古い借地・借家で空き家が多く、経営者が高齢で空き家空き室をリフォームすることができず、放置された物件を業者が安く買い取り、残された借地借家人に対し、安い立退料で立退きを迫る事件が横行。多くの借地借家人は高齢で年金生活、単身で新しい借家は年齢的に拒否され、受け入れる借家がほとんど見当たらないのが現状です。

兵庫借組の相談で立退き問題での多くは引越料と立退料は数十万円で、転居先には近くに風呂屋がないため、風呂付住宅で探すと、現在の家賃の差額は1ヵ月2万円ほど高くなります。公営住宅の募集の単身者住宅は特に少なく応募しても入居できないのが現状です。

 尼崎市内で発生してる事例では、5軒長家で2軒が空き家になっている借地人に対し、新しく底地を買い取った業者が「建物が老朽化して地震が発生すると危険だから立ち退けと通告」し、借地人が立退きを拒否すると毎日押しかけ、そして空き家の部分を切り取ると脅され、組合に相談に来ています。また、尼崎市内の中心地で100坪程の借地に2棟の5軒長屋の半分が空き家の土地を買い取った地主が立退き要求。5人全員が組合加入し、新しい地主に対し、立退きを拒否すると1日何回も訪問し、当事者の返答がなければ大声で呼び出す。空き家の入口のドアと窓を破壊し、入口を封鎖のため「出入り禁止」と書かれたテープを貼る等の嫌がらせを行っている。組合では弁護士に協力依頼し警察に対しては違法行為を取り締まるよう申し入れを行い、地主の横暴を許さない構えで頑張っています。
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家賃保証業者の不当契約条項の使用差し止めを命じた最高裁判決 弁護士 増田尚

2023年02月07日 | 最高裁と判例集
 昨年12月、最高裁は家賃保証会社フォーシーズの保証委託契約書の家賃滞納など際の「追い出し条項」が消費者である賃借人の権利を一方的に害しているとして同条項は無効であると画期的な判決を下しました。提訴した適格消費者団体である消費者支援機構の主任弁護士である増田尚弁護士に最高裁判決の解説と意義について語っていただきました。

 家賃債務保証業者のフォーシーズが、保証委託等の契約条項に、消費者契約法により無効とされるべきものが使用されているとして、適格消費者団体である特定非営利活動法人消費者支援機構関西が、同法12条3項に基づき、使用の差止等を求めた事件で、最高裁第一小法廷(堺徹裁判長)は、昨年12月12日、同社に、契約の差止めや契約書ひな形の廃棄を命じる判決を言い渡しました。

 問題となった契約条項は、①賃料3か月分以上の滞納があったときは、フォーシーズが、無催告にて、賃貸借契約を解除できるとする13条1項前段、②賃料等の支払を2か月以上怠るなど所定の4要件を満たすときは、フォーシーズが、建物の明渡があったものとみなすことができるとする18条2項2号の2つです。

 最高裁は、①13条1項前段について、賃貸借契約の当事者でないフォーシーズがその一存で何らの限定なく賃貸借契約を無催告で解除権を行使することができるとするものであるから、賃借人が重大な不利益を被るおそれがあるとして、消費者契約法10条に該当すると判断しました。

 また、②18条2項2号の趣旨について、賃貸借契約が終了していない場合でも、フォーシーズに建物の明渡しがあったものとみなすことができる旨を定めた条項であり、賃借人は、賃貸借契約の当事者でもないフォーシーズの一存で、建物に対する使用収益権が一方的に制限されることになる上、建物の明渡義務を負っていないにもかかわらず、法定の手続によることなく明渡しが実現されたのと同様の状態に置かれ、著しく不当であるなどとして、消費者契約法10条に該当すると判断しました。

 最高裁判決は、住宅が「賃借人の生活の基盤」であると指摘して居住の権利を重視するとともに、法定手続によらずに契約で明渡の実力行使(自力救済)が可能になるかのような原審大阪高裁判決を厳しく批判しています。フォーシーズのみならず、他の家賃債務保証業者においても、保証委託契約の不当な条項の改善を迫る内容になっており、家賃債務保証業の義務的登録制を含む見直しにつなげていきましょう。

(全国借地借家人新聞より)
           
       










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