東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

借地権を売却し、老人ホームに転居したい 組合と相談し借地権買取り業者を紹介

2024年03月19日 | 譲渡・転貸借
 立川市錦町に住むSさんは、ご主人が亡くなり一人暮らしのため、借地権を売って老人ホームに入りたいとの希望があり、借地権を買ってくれないか、ないしは地主と借地人双方で土地を売却し、借地権の割合で売却金額を分割する方法は可能か、組合を通じて地主の土地を管理している不動産業者に相談してみました。土地は借地権割合は60%で路線価でも6300万円の価値があります。

 地主の回答は、借地権を買い取る余裕はない、土地を売却する予定もない、建物解体費用程度であれば出してもいいとのゼロ回答でした。借地人には地主に強制的に借地権を買い取らせる権利はなく、建物買取り請求権を行使しても、古い建物だとゼロ円程度。地主が小地主で借地権を買い取りたいという意向がないと、借地権買取り交渉は困難です。

 そこで、借地権を他人に売却することを提案したところ、借地権購入者が地代を支払う資力があるのであれば、検討してもよいとの回答で、また借地上の建物を賃貸することも可能です。Sさんは、今後借地権を買い取ってくれる人を探すことを検討する予定です。現在、組合と連携している生協消費者住宅センターに相談し、借地権を購入する不動産業者と3月中に打ち合わせを行う予定です。
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転借地権を売却させる 長年にわたるトラブルが解決

2018年06月11日 | 譲渡・転貸借
 JR青梅線の拝島駅傍の福生市熊川の約45坪の土地を昭和24年、大地主の石川酒造から隣の親戚と一緒に父親の代から借りている高橋さん(仮名)は、親戚のM氏に地代を支払っていたために転貸借の関係にあった。しかし、高橋さんの父親は親戚のM氏から様々な嫌がらせを受け、父親が高齢で認知症の状態を利用して近所の管理会社に連れて行き「賃借土地無償返還及び建物解体承諾書」に署名・捺印させるという詐欺行為までされ、Tさんは直ちに組合に相談し、上記承諾書は無効であるとして同承諾書を撤回させた。

 以来、地代の受け取りは拒否され、高橋さんは父親の転借地権を相続し、M氏に対し地代の供託を続けた。その後、拝島駅前が整備されたものの商売も止め、店舗を貸していたがテナントも商売が続かず空き家となり、高橋さんには自宅もあり、毎月4万5千円の地代を支払って借地を継続することは困難となった。

 今年組合に土地の返還について相談し、組合では生協・消費者住宅センターに転借地権の売却を相談するよう提案した。住宅生協は高橋さんの依頼を受け、早速M氏と石川酒造に連絡し、土地を管理している管理会社と交渉。転借地権を借地権価格7割×7割の49%で売却することで合意し、5月末に契約を締結し、建物は6月に高橋さんが解体することになった。(東京借地借家人新聞6月号より)

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格安借地権付マンションの落し穴

2009年01月15日 | 譲渡・転貸借
 杉本さんは家を買いたいと思って、手頃な家を物色していた。不動産屋へも足繁く通った。そんな折、知人からマンションを格安で売りに出している人がいるとの情報を得て、その人を紹介してもらった。そのマンションは借地権付ではあったが、2千万円と格安で部屋数の多い掘出し物であった。
 杉本さんは即決で買うことにした。不動産業者が介在していないので仲介手数料(66万円)も支払わなくて済むと思うと安い買物である。
 杉本さんはマンションの登記も済ませ、そのマンションに引越した。ところが、マンションの土地所有者から、借地権の無断譲渡であるというクレームがついた。土地所有者は「部屋の前所有者は、私(土地所有者)から借地権の譲渡承諾を受けずに、売ったので、その譲渡承諾料を支払え」と言い、「支払わなければ、賃貸借契約を解除する」と杉本さんを脅したのである。
 杉本さんは困って、組合に相談してきた。組合は杉本さんに、「土地所有者の言っている通り部屋の前所有者が譲渡承諾料を支払っていないことが事実であれば、借地権付きマンションであるから敷地利用権が賃借権であり、その無断譲渡ということで、民法612条2項の規定から賃貸借契約を解除されることは当然あり得ることである」と回答した。
敷地利用権に対して予め一定の金銭を支払って包括的に賃借権の譲渡承諾を土地所有者から受けている場合は、自由に譲渡が出来る(譲渡権利付賃借権)。しかし、そうではないとすると、譲渡の度毎に土地所有者の承諾を得なければならない。その場合の譲渡承諾料は一般的には各室の敷地利用権価額の10%程度であるが、売買代金の10%位の支払いで認める場合が多い。
杉本さんの場合、45万円支払えば承諾すると言っているのであるから取敢えず支払って、後日、売主に損害賠償請求をして、その代金を取返すことを提案した。
(東京借地借家人新聞より)


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借地権を地主に買取らせ老人ホームに入居した

2008年09月06日 | 譲渡・転貸借
大田区久が原2丁目に宅地33・45坪を賃借していた依田さんは、更新料支払いを拒否したところ、昭和63年10月分地代が受領拒否されて供託することになった。
年末に地主の友人という弁護士から「世間並みの更新料」を支払わないとは何事かと、法的手続き取る旨の書面が届き組合に相談のうえ入会した。

 直ちに、借地法に基づき法定更新になっていることを指摘し、重ねて更新料の支払いを拒否した。さらに受領拒否により地代を供託していることを地主代理人弁護士に通告した。それから15年依田さんが死去し奥さんが相続して地代の供託を継続した。奥さんも2年前から体調を崩し入退院を繰り返すようになり、昨年には養老の老人ホームに入ることになった。その経費捻出のために借地権を処分したいと組合に相談された。

 約20年及ぶ地代供託の状況で地主の承諾は困難と考えつつ、組合知り合いの不動産業者を介しての地主交渉は不調。同業者を介して借地権の購入者を得て、借地非訟手続を行った結果、地主が借地権を買い取ることになり、裁判所の鑑定のための現地調査が行われて、今年5月和解が成立した。

和解まで約7カ月経過したがこれまでの経費を差し引き手にした金額に、依田さんの奥さんは「安堵しています」と老人ホームから丁寧な挨拶があった。。(東京借地借家人新聞より)




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借地権を売却したいのだが無断譲渡だと言って地主は承諾してくれない

2008年07月02日 | 譲渡・転貸借
(問)借地上建物の売却を不動産業者に依頼し、売買契約書を作成し、手付金の授受及び所有権の移転の仮登記も終了している。しかし地主は無断譲渡を理由に、土地明渡を通告して来た。


(答)建物を譲渡する場合、借地権の譲渡について予め地主の承諾を必要とする(民法62条1項)。
 承諾を得ずに借地権を譲渡すると地主は、無断譲渡を理由に借地契約を解除することが出来る(民法612条2項)。契約が解除されると借地人は地上建物を収去し、土地を明渡さなければならない。
 また地主が契約を解除しない場合でも、譲受人は無断譲渡ということで借地権の取得を地主に対抗出来ない。従って、譲受人は土地を不法占拠していることになり、地主から直接建物収去・土地明渡の裁判を申立てられることもある。明渡請求に対して譲受人は地主に建物買取請求権を行使することが出来る(借地借家法14条)。しかし建物買取価格は借地権価格の20~30%位であり、最終的に譲受人は金銭的損害を蒙ることになる。
 このようなトラブルを回避するためにも、地主の承諾に代わる許可を裁判所に申立てて譲渡代諾許可を受けておく必要がある(借地借家法19条)。
 申立の時期は「譲渡」の前になされなければならない。
 譲渡とは建物の所有権の移転の本登記又は引渡を受けて土地を使用する状態と解されている。売買契約を既に締結している場合でもその履行前に申立をしないと「不適切な申立」として却下される。
 相談者は仮登記の状態なので未だ代諾許可の裁判の申立は出来る。この申立をすると裁判所が借地条件の変更や財産上の給付を条件に地主に代わって譲渡の許可をする。その場合譲渡許可の承諾料は、特段の事情が無ければ借地権価格の10%を基準額としている。残存期間が5年以下の場合は基準額より2~4%程度増額される。
 但し申立をする場合、譲渡する「第三者」は特定されていなければならない。また地主は「第三者」に優先して買受ける権利を有している。
 尚、許可後の6ヶ月以内に建物を譲渡しないと効力は失われる。(東京借地借家人新聞)




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借地権譲渡契約をした時に借地権譲渡の効力が生じるとして契約解除が認められた事例

2007年08月09日 | 譲渡・転貸借
土地賃借権譲渡契約をした時に借地権譲渡の効力が生じたとされて契約解除が問題となった事例 (最高裁昭和63年9月8日判決、判例時報1291号)

 (事案)
 賃借人は借地上建物と借地権を第三者に売買する契約をしたところ、地主は借地権の無断譲渡を理由に借地契約を解除し、建物収去土地明渡訴訟を提起した。

 右売買契約書には、
 「本件建物の所有権の移転に伴う本件土地の借地権譲渡についての地主の承諾は、賃借人において得るものとし、もし右承諾を得ることができなかったときは、当事者双方において協議し、円満に取引を完了することとする」との特約条項があり、この特約の意味が論争点となった。

 1、2審判決は、本件特約は、地主の承諾を得たときに借地権譲渡の効力が生ずるという意味と解釈するべきであるから、地主が承諾していない以上、まだ譲渡の効力は生じていないので、契約を解除する理由がないと判断した。

 これに対して最高裁判決は次のように逆転判決をした。

 (判決要旨)
 本件建物の売買契約を見ても、本件賃借権の譲渡に関しては地主の承諾を得たときに譲渡の効力が生ずると書かれているわけではないので、専ら売買契約書の本件特約事項が右の趣旨に解釈されるか否かという契約解釈の問題になる。

 本件では、売買代金750万円のうち300万円もの代金が手付金として支払われる約定になっており、かつ、右手付は支払われており、また、買受人は約定によれば、契約締結と同時に本件建物に入居することができ、かつ、買受人は右約定どおりに家族とともに本件建物に入居しており、しかも、買受人は、入居後その程度はともかくとして建物に造作工事を施しているということであるから、本件建物の売渡及び本件土地の賃借権譲渡との効力の発生は契約と同時であったと解して初めて矛盾なく説明できるものである。


 (解説)
 賃借権の譲渡の承諾を地主から貰う時は、買受人が決まっていないとできないので、どうしても買受人との間の売買に関する契約書が地主の承諾に先行することになる。その場合、契約書に「地主の承諾を条件に借地権を譲渡する」とはっきり書いておかないと、判決のように解釈されてしまう心配がある。    1989.4.


(弁護士 川名 照美)


東京借地借家人新聞より



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裁判の期日にどうしても裁判所に出向けない場合はどうしたらいいの

2007年01月14日 | 譲渡・転貸借
決められた期日に,病気などの理由で裁判所に来られない場合には,簡易裁判所の担当の裁判所書記官に御相談ください。やむを得ない場合には,期日を変更することもあります。その場合には,事情を証明する診断書などの書類を提出していただくことがあります。原則として,仕事の都合だけで期日を変更することはできませんから,御注意ください。

 なお,被告が答弁書を提出せず,決められた最初の期日にも裁判所に来ないと,原告の言い分どおりの判決が出ることがありますので,御注意ください。


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