東京多摩借地借家人組合

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政府が単身高齢者・低額所得者など住宅確保要配慮者の住宅確保と入居支援の検討会を発足

2023年08月10日 | セーフティネット住宅
 生活困窮者、高齢者、障害者、ひとり親世帯などが住宅の確保が困難な状況に置かれています。住まいは安心して生活を送るための基盤にもかかわらず、高齢者や障害者に対して約7割の家主が拒否感を抱いているとの調査結果もあり、実際にも高齢者が民間の賃貸住宅の入居を拒否される事例が多数発生しています。政府は入居を拒否される人達を支援するための検討会を発足させ、秋には具体策が発表される予定です

 国土交通省の発表によると、2005年に約386万世帯だった65歳以上の単身高齢者は、20年に約672万世帯に増え、2030年には約800万世帯に迫る見通しです。単身高齢者や低額所得者が住む賃貸住宅の多くが老朽化しており、居住支援法人には立退きや家賃負担の増大の相談が転居相談として多数寄せられています。2017年に改正住宅セーフティネット法が施行され、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅登録制度が始まり5年が経過しますが、今年3月末で登録住宅は84万件を突破しましたが、要配慮者専用住宅は全国で僅か5284戸と登録住宅の0・6%しかありません。家賃低廉化補助を実施している自治体は40、家賃債務保証料補助等を実施している自治体が29、改修費補助が35という悲惨な実態です。

 セーフティネット登録住宅の家賃の調査(令和4年12月末時点)によると、全国で家賃5万円未満の住宅が19%で、3万円未満では0・5%しかなく、東京都では3万円以上4万円未満が0・2%、4万円以上5万円未満が0・5%しかありません。一方10万円以上の物件は23・6%を占め、これでは低額所得者や高齢者等が住める物件はなく、全くセーフティネットが機能していないのが実態です。
 唯一機能したのが、マッチング・入居支援を行う居住支援法人の指定が668者、居住支援協議会は129協議会が設立されました。居住支援活動には補助金が支払われていますが、居住支援事業が赤字の法人が5割を超え、居住支援法人に対するさらなる財政的な支援が必要です。

 検討会は国交省、厚労省、法務省の合同で設置され、
① 住宅確保要配慮のニーズに対応した住宅を確保しやすくする方策、②要配慮者が円滑に入居でき、かつ適切な支援につなげる」ための方策、③入居後の生活支援まで含めた要配慮者に対する居住支援機能のあり方、④大家等が安心して貸せる環境整備のあり方以上が検討項目に上がっています。絵にかいた餅にならないためには、家賃補助制度の実施、公営住宅の供給の促進等の施策の検討が不可欠です。(全国借地借家人新聞8月号)





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八王子市と協定。住宅確保要配慮者の入居支援

2023年02月14日 | セーフティネット住宅
https://www.re-port.net/article/news/0000071625/


東京都住宅供給公社(JKK東京)は10日、八王子市と連携協定を締結。住宅セーフティネット制度を活用した専用住宅を、同市内の高齢者世帯、障害者世帯および子育て世帯向けに提供すると発表した。

同市内にある一部のJKK住宅を、住宅セーフティネット制度の専用住宅として同市に登録。入居希望者とJKK東京が賃貸借契約を締結し、同市がJKK東京に「家賃低廉化補助」分を支払う。

提供するJKK住宅は10戸。間取りは2DK・3DK、専有面積は48.32~58.28平方メートル。入居者が負担する家賃は、1万7,000~3万600円。2月15日~3月15日まで募集を行ない、抽選で入居者を決定。5月1日に入居を開始する予定。

募集方法や資格要件の詳細は、JKK東京ホームページ https://www.to-kousya.or.jp/chintai/safetynet/index.html を参照。

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住まい連など住宅団体が3月23日に院内集会「公的賃貸住宅、住宅セーフティネットの抜本改善を!」

2022年03月16日 | セーフティネット住宅
 住まいを守る全国連絡会(住まい連)は、2月22日に中野区の公社自治協事務所において幹事会を開催し、当面の運動課題について討議しました。

 坂庭国晴代表幹事より議題が提案され、セーフティネット住宅の現実、東京都住宅マスタープラン、住宅確保要配慮者賃貸住宅促進計画の問題点が報告されました。2月23日現在、セーフティネットの総戸数70万7207戸のうち特に配慮を要する要配慮者が入居可能な専用住宅空き家が3064戸と総戸数の0・4%しかなく、大東建託、ビレッジハウス(旧雇用促進住宅)が登録住宅の98%を占め誰のためのセーフティネット住宅か分からない状況が起きています。
 東京都の住宅マスタープランについては、中島明子和洋女子大名誉教授はじめ等各団体・個人からも意見が出され、東京の住まいの貧困、高家賃などの実態が全く反映されておらず、「住まいは生活の基盤であるだけでなく、人権であることを明記すべき」との指摘もありました。全借連の細谷事務局長は都営住宅を住宅セーフティネットの中核の役割を果たすと言いながら、新規建設を抑制し、入居を希望する都民の中でより困窮度の高い人を競わせていると批判し、利便性の名のもとにデジタル化による賃貸トラブルの増加など問題点も指摘しました。

 住まい連では、3月23日(水)12時から参議院議員会館で院内集会「公的賃貸住宅、住宅セーフティネットの抜本的改善を」とのテーマで開催します。中島明子氏が基調講演を行い、公営・公社・公団・民間住宅の各団体の代表が報告する予定です。

 5月には、夏の参議院選挙も見据え、住居確保給付金等を土台とした家賃補助制度の実現をめざして院内集会(5月18日予定)を開催する準備を行うことが決まりました。
(全国借地借家人新聞より)
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セーフティネット住宅の家賃低廉化補助のある住宅 令和2年度で全国で僅か208戸しかなかった

2021年09月24日 | セーフティネット住宅
 2017年10月から住宅セーフティネット法が一部改正され、高齢者・子育て世帯・障害者など住宅確保が困難な人の入居を拒まないセーフティネット住宅の登録が始まって、4年が経過しました。国交省の「セーフティネット住宅情報システム」に掲載された登録住宅は9月21日現在で60万7千戸を超えています。しかし、本紙639号(5月15日号)で報道したようにハウスメーカーである大東建託の賃貸物件が8割以上を占めています。しかも、大東建託の物件は、家賃債務保証会社の審査が必要とされ、審査が通らないと入居できない仕組みになっています。インターネット上の不動産物件の検索と何ら変わらない有様です。

私たちが期待した家賃低廉化補助(家賃補助)のある登録住宅は、国交省の令和2年度の実績では、全国で17自治体で僅か208戸しかありません。これでは「まやかしのセーフティネット」と言わざるを得ません。


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