東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

「退去強制執行は違法」借り上げ訴訟、敗訴女性が神戸市を提訴

2019年10月04日 | 地震と借地借家問題
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201910/0012755103.shtml
 神戸市が提供した阪神・淡路大震災の被災者向け「借り上げ復興住宅」で20年の借り上げ期間が過ぎたとして、退去を命じる判決が確定した同市兵庫区の女性側が、明け渡しの強制執行を許さないよう求める異議請求訴訟を神戸地裁に起こしたことが、2日分かった。提訴は8月6日付。

 女性(81)が暮らす復興住宅の借り上げ期間は2016年11月までで、神戸市は同月に退去を求めて提訴。明け渡しを命じた神戸地裁判決を大阪高裁が支持し、最高裁も今年3月、女性側の上告を棄却した。

 異議請求の訴状によると、女性は健康状態が悪く歩行器を使わないと歩けないが、使用可能な転居先を見つけられていない。女性側は「市が代替住宅を提供することなく、退去を強制しようとするのは公営住宅法違反」と主張している。神戸市は神戸新聞の取材に対し、判決確定後に自主退去するとの女性の話を受け「代理人を通じて速やかな退去を働き掛けていた」と説明。訴訟には「弁護士と相談
しながら対応する」とした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

被災の賃貸住宅、退去迫られ苦悩する入居者 修繕拒む家主も 大阪北部地震1年

2019年06月19日 | 地震と借地借家問題
https://mainichi.jp/articles/20190617/k00/00m/040/284000c 
最大震度6弱を観測した大阪北部地震から18日で1年となった。被災した賃貸住宅では、家主が修繕に応
じなかったり、取り壊しを理由に入居者に退去を迫ったりするケースが相次いでいる。地震から1年を経
ても行くあてがなく、壊れた住宅に住み続ける人も。相談に乗る弁護士は「弱い立場の人に今も影響が深
刻に表れている」と訴える。
 大阪府茨木市内の住宅密集地にある木造2階建ての賃貸住宅。被災した壁の亀裂にモルタルを塗った跡
がある。家主が修繕を拒んだため、入居する70代の夫婦が自ら応急措置をしたのだ。
 地震から1カ月後の昨年7月、家主に修繕を求めたところ、数日後、「取り壊すので年内に退去してほし
い」と言われた。しかし「年金暮らしの年寄りが新居を借りるのは簡単でない」と妻(71)は話す。「家
賃の手ごろな府営住宅なら」と、抽選に応募したが、落選した。今春、家主から「9月末までに退去しな
いと訴訟も辞さない」との通告がきた。入居して約50年。近所は顔見知りで、2人の子も孫やひ孫を連れ
て帰ってくるなど愛着もあるが、「はよ出なあかんな」と夫婦で話し合っているという。「この1年、胸
のつかえが取れない」と妻は漏らした。
 同市の別の木造2階建てアパートでも、パート従業員の男性(56)が退去を迫られている。壁の一部が
崩れ、下水配管が傷んだため敷地内のマンホールから汚物があふれる。
 地震から約10日後、「取り壊すことになったので退去をお願いします」との書面が管理会社から届い
た。当時、10部屋中7部屋に入居者がいたが、男性以外は昨年11月までに退去した。男性は「出て行きた
いが、転居先が見つからない」と言う。生活保護を受けており、住宅扶助の限度となる家賃3万9000円以
内の物件を探すが、さらに老朽化したアパートか、狭い部屋しかない。契約に必要な保証人のあてもな
い。
 管理会社から最近、「さらに地震があって、建物が壊れて周囲に被害が出たら、あなたに損害賠償を請
求する」と言われた。男性は「どうしていいか分からない」と途方に暮れている。
 関西の弁護士らが結成した「地震・台風借家被害対策会議」は昨年10~12月に賃貸住宅入居者の相談電
話を開設し、28件の相談が寄せられた。半数が「家主が修繕してくれない」「立ち退きを求められてい
る」という内容だった。【山本真也】

 「地震・台風借家被害対策会議」の増田尚弁護士(46)=大阪弁護士会=の話 借地借家法では退去を
求めるには家主側が6カ月以上前に通告しなければならないが、守られていないケースが多い。そもそも
一部損壊というだけでは退去を迫る正当な事由にあたらず、修繕するのは家主の責任だ。(退去を求める
のは)入居者の生活の基盤である家を単なる収入の手段としてしか見ておらず、家主としての自覚がない
と言わざるを得ない。収入などの理由で次の住まいを見つけられない人が取り残され、地震の影響が深刻
に表れている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高齢被災者の転居強制は健康リスク高い 神戸で医師語る

2019年05月23日 | 地震と借地借家問題
https://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/201905/0012352748.shtml

 阪神・淡路大震災の借り上げ復興住宅居住者らの住環境と健康を考える「神戸居住福祉塾」が19日、
神戸市中央区橘通3、あすてっぷKOBEであった。県保険医協会顧問の医師広川恵一さん=兵庫県西宮
市=が講演し「行政は本来あるべき福祉機能を発揮し、転居強制による健康影響と切実に向き合うべき」
と語った。
 阪神・淡路で生活再建支援の法制化に取り組んだ「公的援助法」実現ネットワーク被災者支援センター
などが主催した。同塾は2008年に始まり、今回が40回目となる。
 広川さんは神戸、西宮市から退去を求めて提訴された入居者のため、裁判所に提出する意見書を書いて
きた。訴えられた高齢者には慢性疾患や運動機能の低下が多く見られ、現在の住環境と人間関係が心身の
支えとなっているとの調査結果を示し、転居に伴うリスクが高いことを示した。
 同塾の発起人で、居住を基本的人権と位置付けた早川和男・神戸大名誉教授の著書を基に、「住居が福
祉の基礎として機能するには、住居継続の補償とコミュニティーの維持が重要だ」とも強調。強制退去は
人権と倫理、健康の3点で問題があるとし、転居に耐えうるかを、医学の知見で検討する必要性を説い
た。
 参加者からは、借り上げ復興住宅訴訟で訴えられた高齢者をどのように支えられるかといった相談や、
「次の災害に備え、被災者と住環境を巡る問題を記録・検証し、後世の財産としなければいけない」との
声が上がった。(竹本拓也)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

住まいは再建したけど…

2019年03月12日 | 地震と借地借家問題
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190311/k10011843791000.html

震災で家を失った人などが暮らす災害公営住宅。仮設住宅などで暮らしていた人にとっては、長く暮らす
ことを前提にした、待望のわが家です。震災から8年がたち、その完成率は今年度で100%に迫る見通し
となりました。
しかし、すでに移り住んだ人の中には、不眠など健康上の問題を訴える人が相次いでいることが最新の調
査で分かってきました。
(社会部・仙台放送局取材班)

思わぬ症状が…

岩手県宮古市にある災害公営住宅です。震災で自宅をなくした40世帯が入居しています。ここに入居した
あと、体調に異変が起きた女性がいるときき、訪ねました。
2年前に入居した堀子朝子さんは、津波で夫を亡くし、自宅も全壊しました。震災のあと、2か所の避難
所、仮設住宅を経てここにたどりつきました。引っ越した直後から眠れなくなったといいます。
堀子さんは「眠れないのはここに来てから毎日です。仮設住宅に住んでいた時はこんなことはなかった」
と話します。

その正体は「リロケーションダメージ」

この現象をどうみたらいいのか。7000人を超える被災者の健康調査を行ってきた、東北大学の辻一郎教授
は、災害公営住宅の住民に「リロケーションダメージ(移転被害)」が起きていると指摘します。
「リロケーションダメージ」は、もともと福祉の分野で使われている言葉で、高齢者が介護施設などに移
り、孤立することで、認知症や健康状態の悪化につながることをいいます。辻教授の最新の調査で、東日
本大震災の被災者に、この現象が起きていることが明らかになったのです。
その正体は「リロケーションダメージ」
辻教授が、災害公営住宅の住民を対象に行った調査です。転居の回数が増えるにつれ、不眠などの睡眠障
害の疑いがある人の割合が増加しています。4回以上転居した人では、実に4割近くにのぼっていること
がわかります。
元の住まいから避難所、それに災害公営住宅へと転居を重ねてきた被災者に起きている「リロケーション
ダメージ」。
辻教授は「引っ越しの回数が多い人では不眠・抑うつが多くなっていて、今回の震災でもリロケーション
ダメージが起きていることが明らかになったといえる。ほうっておくと、もっともっと重度のうつ状態、
あるいは本当のうつ病になっていく可能性がある」と警告します。

背景にあるのは「孤立」

なぜ転居を重ねると、リロケーションダメージが起きるのか。
辻教授は、地震や津波が原因で突然、住まいを奪われた被災者が、転居のたびに人間関係を断たれ、スト
レスを抱えていることが背景にあると分析します。
堀子さんの場合、5年間暮らした仮設住宅では、古くからの友人がいたこともあり楽しく過ごしていまし
た。しかし災害公営住宅に来るとき、友人と離ればなれになってしまいました。現在の住宅では、新たな
人間関係を築くきっかけも、多くありません。
堀子さんは、「普通ではいられないぐらい、ひとりぼっちだという感じがする。集合住宅だから、もっと
コミュニケーションもあって、皆さんとしょっちゅう会って楽しい生活ができるのではないかと思ってい
た。しかたがない、あきらめようかとも思いますが…」と話します。

つながりを生み出すカギは集会所!

住民どうしのつながりを生み出そうと、新たな試みを始めた災害公営住宅があります。宮城県塩釜市にあ
る清水沢東住宅です。
市の委託を受けたNPOの副代表で東北工業大学の新井信幸准教授が、この住宅のコミュニティーづくり
を支援しています。
新井准教授は、仮設住宅とは違い、災害公営住宅はプライバシーが確保されているため、逆に隣近所の顔
が見えにくくなっていると指摘。「集会所が毎日のように使われていくことで、あそこに行けば誰かに会
える、気晴らしになる、ふらっと寄れる、となってくる。みんなの“居場所”になることで、孤立を防ぐ
ことができる」と話し、災害公営住宅にある集会所を交流の拠点として活用することが住民どうしのつな
がりを生み出すカギだといいます。

住民だけでは限界 外部の力を利用すべし!

この住宅でも、当初、集会所はあまり使われていませんでした。しかし、新井准教授の助言を受けて、ま
ず住民の有志が体操やカラオケなどのサークル活動を始めました。加えて、ボランティアやNPOなど外
部を積極的に巻き込むことで、カラオケ大会や芋煮会、映画の鑑賞会など、多種多様なイベントを開催で
きるようになりました。その回数は、今では月平均20回を超えています。
新井准教授は、住民だけで集会所やイベントを運営すると、趣味や相性によって集まる人が固定化されて
しまうことから、災害公営住宅で孤立を防ぎ、住民の生活を充実させるには、行政や外部の専門家がサ
ポートしながら、交流を促す仕組み作りが必要だといいます。

住まいだけでは復興は果たせない…

見た目は真新しい災害公営住宅。取材を担当した私たちも、初めて訪れたときは、「頑丈で安心して住め
そうな家」という印象を受けました。しかし住民への取材を進めるうちに、多くの人が「以前の住まいに
戻りたい」と話すことが気になりました。
被災し、転居を繰り返した人たちは、住宅という建物だけを求めているのではなく、震災前と同じ、人と
のつながりのある暮らしを取り戻したいと考えているのです。「リロケーションダメージ」は、それがで
きないストレスが健康への影響として表面化した現象だと専門家はいいます。
しかも、災害は突然やってくるため、より深刻です。災害公営住宅の完成率が100%に迫る中、明らかに
なったリロケーションダメージ。被災地はいま、人と人とのつながりを再建するという難しい課題に直面
しています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「高齢者追い出し命に関わる」借り上げ復興住宅問題を一冊に

2019年01月17日 | 地震と借地借家問題
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201901/0011983293.shtml

 阪神・淡路大震災の被災者向け「借り上げ復興住宅」の入居者が、兵庫県神戸、西宮市から裁判で退去
を迫られている問題を巡り、神戸市灘区の団体職員市川英恵(はなえ)さん(25)が、入居者や有識者
らの主張を示す本「住むこと 生きること 追い出すこと 9人に聞く借上復興住宅」を出版した。「住
み慣れた場所からお年寄りを追い出すと、命に関わる。被災者支援は恩恵ではなく権利」。漫画も交え、
対話形式で分かりやすく伝える。(小林伸哉)

 神戸大在学時、復興住宅の「ふれあい喫茶」で高齢者を支援し、借り上げ復興住宅の退去問題を知っ
た。コミュニティーからの分離や健康上の不安を聞き取り、卒論にまとめた。
 著書は、卒論を基に法制度上の問題点などを紹介し、2017年春に出版したエッセー風の「22歳が
見た、聞いた、考えた『被災者のニーズ』と『居住の権利』-借上復興住宅・問題」(クリエイツかもが
わ)に続く2作目となる。
 裁判の傍聴支援をしてきた市川さんは、提訴された心労などから体重が22キロ落ちたという被災者ら
を目の当たりにし、胸を痛めた。借り上げ期間後の被災者に退去を命じる判決が続き「私に何ができるの
だろう」と思い悩み、執筆を決意した。
 新刊では、住まいを基本的人権とする「居住福祉学」を提唱し、昨年7月に死去した神戸大の早川和男
名誉教授や医師らが、裁判で出した意見書を紹介。高齢者の意に反する転居が、転倒や認知症、孤独死の
リスクを高めると指摘する。
 本書に登場する神戸大大学院の井口(いのくち)克郎准教授(社会保障)は、国際人権規約で社会保障
サービスの平等な受給などを定める「健康権」が「『健康を害する可能性のある』行為を禁止している」
として、退去を迫る施策の違法性を主張。全世帯の継続入居を決断した中川智子宝塚市長は「入居者のい
のちと暮らしを守る使命が行政にはある」と指摘する。
 市川さんは「いつどこで誰が災害に遭うか分からない。健康で文化的な生活を送るために『住まいは人
権』と多くの人に知ってほしい」と力を込める。
 A5判、92ページ。1296円(税込み)。漫画家寺田浩晃さんが前作に続き、イラストを担当。ク
リエイツかもがわから発行。既に書店に並ぶ。問い合わせは編集に関わった兵庫県震災復興研究センター
TEL078・691・4593
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

借り上げ復興住宅問題 80代で不本意転居「命縮む」

2019年01月16日 | 地震と借地借家問題
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201901/0011969982.shtml

 阪神・淡路大震災の被災者に自治体が賃貸で提供した「借り上げ復興住宅」の入居者らが、20年間の
借り上げ期間後に退去を迫られている問題で、退去に応じた被災者が急激な環境変化に適応できず、心身
の不調を訴えるケースが出ている。住まいを奪った激震から間もなく24年。入居者の多くは高齢とな
り、支援する医師らは「意に沿わぬ転居は命を縮めてしまう」と警鐘を鳴らす。(小林伸哉)

 「年を取って引っ越しなんてするもんじゃない」
 持病を抱えつつ転居したという男性(84)は嘆く。
 転居先は神戸市東灘区の市営住宅の高層階。1人暮らしで、引っ越しの荷物を詰めた段ボール箱の多く
は、半年以上たった今も積み上がったままだ。
 「よう片付けんまま住むんやろな。どないしたもんやろ。何が入ってるのか、捜し物が見つからない」
 男性は震災で東灘区の自宅が全壊。1997年に同区の借り上げ復興住宅に入った。趣味の観葉植物を
並べ、2005年に病死した妻と過ごした思い出の場所でもある。
 17年10月に借り上げ期間が終了。各自治体で借り上げ復興住宅の継続入居要件は異なり、同世代の
被災者でも明暗が分かれ、男性は転居対象になった。「迷惑はかけられん」と市営住宅に申し込んだが、
「本当は残りたかった」。
 18年6月に移った市営住宅は約300メートルの距離だが、居住環境は一変。数日後、大阪府北部地
震で戸棚のガラスが割れ、エレベーターに乗るのが怖くなった。転居前は2階で暮らし、買い物や通院に
さっと外出できたが、今はおっくうに思う。
 「引っ越してから心臓に違和感があって、少しでも動いたらこたえる」。脳梗塞の後遺症もあり「うま
く眠れない」と漏らす。
 訴訟も辞さない市の姿勢に、やむを得ず転居する高齢者が相次ぐ。男性は「みんなしんどい目をしてる
と思うよ。無理はさせんといてほしいなあ」と気遣った。

【借り上げ復興住宅】 兵庫県と県内5市が、都市再生機構(UR)や民間などから住宅を借り上げ、最
多時は7千戸超を提供。1月の取材時点では、計約2千世帯が暮らす。前年比で約250世帯減。神戸市
では2019年度以降に18団地で借り上げ期間が終了する。期間後も暮らす住民に対し、神戸市は12
世帯、西宮市は7世帯に退去を求めて提訴。神戸地裁は3世帯に退去を命じ、1世帯が明け渡す内容で和
解した。訴訟を継続する住民らは「入居時に期間終了時の明け渡しの説明は受けていない」などと主張し
ている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大阪北部地震で借家トラブル 一部損壊で退去求められ

2018年12月25日 | 地震と借地借家問題
https://www.sankei.com/west/news/181224/wst1812240004-n1.html

 今年6月に発生した大阪北部地震で、被災した借家をめぐるトラブルがくすぶっている。借家の住人を
支援する団体によると、被災した住宅の修繕に多額の費用がかかるため家主が修繕を拒むほか、住人に立
ち退きを迫るケースもあるという。地震は発生から半年が経過したが、被災地はいまだ課題が残る。弁護
士らでつくる支援団体は「借家を修繕するのは家主の責任。退去を強要してはいけない」としている。
(矢田幸己)

突然「出ていって」

 「地震の翌日、管理会社から『7月末で出ていってくれ』と。訳が分からなかった」。こう話すのは大
阪府茨木市に住む男性会社員(55)。軽度の認知症を患う母親(82)と実家で暮らしている。
 実家は借家。地震の影響で北側と西側の外壁に大きな亀裂が入り、市の調査で一部損壊と判定された。
外壁など地震で壊れた箇所に粘着テープを貼り付け、雨水が染み込まないようにしているが、住めなくは
ないと感じている。
 男性によると、7月中旬には、管理会社から「賃貸借契約終了のお知らせ」が届いた。今後大きな揺れ
が来れば倒壊の危険性がある一方で修復には多額の費用がかかるとし、8月末までに退去してほしいとの
内容だった。
 近所には同じ会社が管理する民家が複数あり、地震の発生当時は男性一家以外に5世帯が入居してい
た。この5世帯も当初は家を引き払わないつもりだったというが、年明けまでの退去が決まったという。
 母親は「地震が来たら怖いけど、思い出もあるし、ここから出ていきたくない」と話す。男性も、住環
境が変化することで母親の症状が悪化するかもしれないと思うと、退去には応じたくないと考えている。
 しかし最近は「納得できる転居先があれば」と思うこともあり、管理会社に転居先候補を挙げるよう依
頼したという。

「借り主の権利」

 借家の場合、ともすれば家主側が優位だと思いがちだが、「地震・台風借家被害対策会議」事務局の増
田尚(たかし)弁護士(大阪弁護士会)は「借り主の権利は守られるべきだ」と明言する。
 同会議は、大阪北部地震などで借家被害に伴うトラブルが相次いだことを受け、大阪の弁護士や司法書
士らが設立。京阪神地域の被災者を対象に無料の電話相談を実施したところ、11月末時点で21件の相
談が寄せられ、半数以上が「家主が修繕を拒む」などの内容という。
 民法では「賃貸人(貸主)は、賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負う」と規定。また
借地借家法では、家主から契約を打ち切るには賃料の不払いなど契約違反にあたる場合を除き「正当な事
由」を求めている。正当な事由があっても、退去通告は6カ月前までに行わなくてはいけない。
 当然、家主側にも事情はある。大阪賃貸住宅経営協会の山本肇会長は「オーナーの多くは補助金を使う
などして修繕しているはず」とした上で、「借家のオーナーも高齢者が少なくない。自身が被災者となっ
た人もおり、台所事情は厳しい。入居者の安全が確保されないまま住んでもらうわけにもいかず、一部で
はやむなく退去を求めるケースもあるのでは」と話す。
 増田弁護士は「相談件数以上に悩んでいる借家の住人はいるのでは。住宅は生活の基盤。立ち退きなど
は不当な要求であり、応じなくてよいと知ってほしい」と話している。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大阪北部地震、今年の災害で住宅被害最多 発生から半年

2018年12月19日 | 地震と借地借家問題
https://www.asahi.com/articles/ASLDF4WJVLDFPPTB00R.html
 18日で半年となる大阪北部地震では、5万棟を超える住宅が壊れた。大半が被災者生活再建支援法の
対象にならない一部損壊だ。今なお被災地では屋根をブルーシートで覆った住宅が目立つ。
 大阪府茨木市の名神高速茨木インターチェンジ近くの住宅街。門田勝次郎さん(66)、弘子さん(6
6)夫妻宅は一部損壊と判定された。屋根瓦がずり落ち、天井に雨漏りの跡が残る。「夜に雨が降るとお
ちおち眠れない」。元整備工の勝次郎さんが隣家と合わせてブルーシートをかけた。
 4軒並びの平屋の借家で、1970年の大阪万博の頃に建った。7月の西日本豪雨で雨漏りがひどくな
り、住民たちが不動産会社に「早く直して」と頼むと「(家主が)立ち退きを求めている」と告げられ
た。転居先を紹介し、年内の家賃免除、引っ越し代20万円を払う条件を示してきた。
 紹介物件は家賃が高く、弘子さんは「年金暮らしの身には払えない」。途方に暮れているとき、市内の
住宅相談会で増田尚弁護士(大阪弁護士会)と出会った。増田弁護士は、雇い止めで家賃が払えなくなり
立ち退きを迫られた非正規労働者らを救済してきた。門田さんらは立ち退き要求の撤回と修繕を求め、簡
易裁判所に調停を申し立てた。
 民法では賃貸物件の家主に修繕義務がある。しかし家主側は1軒数百万円かかる見積書を示し、家主も
また高齢で「修繕費をかけられない」と主張している。
 地震後、茨木市は所得制限付きで修繕費の一部を補助する制度を設けた。家主か借り主かは問わず、上
限は20万円だ。増田弁護士は「地震はとりわけ老朽家屋の高齢者や低所得者らに重い負担を強いた。し
かし公的な救済制度が追いついていない」と話す。
 「借家と異なり、簡単に手放せない意味で持ち家もまた難しい」。大阪府高槻市を中心に、住宅再建に
取り組む1級建築士の岩崎卓宏さん(53)は指摘する。
 JR高槻駅近くの70代の女性宅は72年に建った。地震で屋根の修繕に100万円余りかかった。壁
と風呂を直すにはさらに140万円かかるため、自分で隙間を建材で埋めた。岩崎さんは「お金をすぐに
用意できる人も少なく、助言に窮することが多い」と言う。
 高槻市は一部損壊の修繕費として最大5万円を支給するが、隣の茨木市と開きがあり、被災者から
「もっと出ないのか」との声が届く。高槻市の石下誠造副市長は「地震は市町村単位で起きず、被災した
自治体間で支援に差が出るのは好ましくない。国が制度をつくるほかない」と話す。

今年の災害で住宅被害最多

 総務省消防庁の11月6日時点のまとめでは、大阪北部地震の人的被害は死者が大阪府で6人、重傷が
4府県で28人、軽傷が7府県で415人。住宅被害は大阪、京都、奈良、兵庫の4府県で都市部を中心
に計5万8322棟にのぼった。7月の西日本豪雨の5万2033棟、9月の台風21号の5万869
棟、北海道地震の1万368棟、台風24号の5744棟を上回り、今年の災害で最多だった。
 住宅被害は震源地に近い大阪府高槻、茨木両市が6割超を占め、高度成長期に建てられた古い住宅で屋
根瓦の落下、壁の亀裂、柱の傾きなど一部損壊の被害が目立った。
 被災者生活再建支援法は全壊や大規模半壊のみが対象だ。そのため、大阪府は一部損壊以上の被災者に
府営住宅などを「みなし仮設住宅」として無償提供(最長1年)し、修繕費を無利子融資するなどして支
援。今月14日時点でみなし仮設住宅に86世帯が移り、融資申請は11月末時点で811件あった。
 被災自治体も一部損壊の修繕費に独自に支援金を出している。しかし最大5万円を支給する高槻市で
は、一部損壊2万2044棟に対し申請数は2321件にとどまる。施工業者の手が足りないほか、年金
暮らしなどで多額の修繕費を出せない被災者が多いという。
 大阪府市長会は「屋根の損壊は一部損壊であっても生活に支障を与える」などとして、国に被災者生活
再建支援法の対象拡大を要望している。(室矢英樹)

阪神大震災で被災住宅の調査にあたった神戸大大学院の平山洋介教授(住宅政策)の話

 近年多発する災害を超高齢化がより深刻なものにしている。一部損壊でも暮らしへの影響は大きい。現
実には、年金しか主な収入がないお年寄りが高額の修繕費を賄うのは難しい。それが住宅再建を遅らせて
いる大きな要因だ。国の施策は大きな災害が起きるたびに変わってきた。今後ますます超高齢化が進む。
国は今回の地震を教訓に、一部損壊の修繕費へも支援を検討する時期に来ている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“応急仮設住宅”から強制退去求められ提訴へ 東日本大震災で大阪市へ避難の女性

2018年12月13日 | 地震と借地借家問題
https://www.mbs.jp/news/kansainews/20181211/GE000000000000025666.shtml

東日本大震災で関東地方から避難してきた女性が、被災者向け住宅からの立ち退きを求める大阪市に損
害賠償を求める裁判を起こすことがわかりました。病気で転居できないと訴えると、生活保護を打ち切る
と言われたと主張しています。
 2011年3月に起きた東日本大震災では、強制避難・自主避難を含め多くの人が全国に避難しまし
た。関東地方に住んでいた40代の女性もその1人です。自宅が損壊し放射線への不安もあり、震災直後
に大阪市へ避難。市が「応急仮設住宅」として提供した市営住宅の一種である「事業用住宅」の一室で避
難生活を始めました。しかしその後、女性は「うつ病」になり、おととしには「がん」も発症し生活保護
を受けています。そうした中、去年3月末に住宅の退去期限を迎えました。
 「今の体調で引っ越しの準備をしたりするのは無理だと思う。医者からもあまり負担のかかることはし
ないようにと言われていて」(女性)
 女性が退去できずにいると、今年7月に市から明け渡しと損害金約275万円を求める裁判を起こされ
たのです。また生活保護についても打ち切りを示唆し、転居するよう求める指導を行ったということで
す。
 「電話がかかってきて『きょうで保護は打ち切りです』って言われて。“違法に住んでるから”という
理由で」(女性)
 区役所との協議の結果、生活保護は継続されることになりましたが、女性の代理人弁護士は「病気によ
り転居することは不可能で、生活保護の打ち切りを持ち出し転居を指導することは違法」として、市に2
00万円の損害賠償を求め近く大阪地裁に提訴する方針です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

半壊の涙、境界線の明暗~全国知事会が被災者生活再建支援法の改正を提言

2018年12月05日 | 地震と借地借家問題
https://news.yahoo.co.jp/byline/okamototadashi/20181204-00103561/
被災者生活再建支援法の改正を提言

全国知事会は、大規模な災害で住宅が被災した世帯に支給される「被災者生活再建支援金」の支給対象の拡大や、地域間格差の解消を求める提言を決議した。提言の実現には被災者生活再建支援法や同法施行令の改正が必要となる。

全国知事会は、11月9日開催の全国知事会議において、「被災者生活再建支援制度の充実と安定を図るための提言」を決議。同月2日の全国知事会危機管理・防災特別委員会にて、同被災者生活再建支援制度に関する見直し検討ワーキンググループによる「被災者生活再建支援制度の見直し検討結果報告」とともに、提言の素案を公表していた。また、同月19日には内閣府防災担当大臣への要請活動も実施したところである。


被災者生活再建支援制度の充実と安定を図るための提言

1 被災者生活再建支援制度の支給対象を半壊まで拡大すること。

2 基金への都道府県による追加拠出にあたっては、これまでの拠出時と同等以上の財政措置を講じること。

3 相互扶助の理念に基づく被災者生活再建支援法の想定を超える大規模災害発生時は、東日本大震災の対応や教訓等を踏まえ、特別の国の負担により対応すること。

4 一部地域が適用対象となるような自然災害が発生した場合には、法に基づく救済が被災者に平等に行われるよう、全ての被災区域を支援の対象とすること。

被災者生活再建支援制度とは

被災者生活再建支援制度とは、被災者生活再建支援法にもとづき、全壊等の住家被災があった世帯へ被災者生活再建支援金の支給を行う制度である。例えば、適用地域において住家が「全壊」との認定を受けた世帯は、最大で100万円の使途自由の「基礎支援金」を受け取ることができる。また、その後の住宅再建の際には、最大で200万円の「加算支援金」を受け取ることができる。住宅損壊を契機として現金支給がなされる唯一の法律上の制度であり、被災者にとっては再建の第一歩となる極めて重要な支援となっている。過去の災害でも幾度となく適用決定・支給がなされてきた。平成30年7月豪雨や北海道胆振東部地震等の被災地においてもこれらの制度が適用されている(詳しくは内閣府(防災担当)ウェブサイトを参照)。

現行制度の課題―半壊の涙、境界線の明暗―

被災者生活再建支援法及び同施行令によれば、給付対象は、住家が「全壊」「大規模半壊」「半壊でやむを得ず解体した場合」「長期避難世帯」などの認定を受けた場合に限られる。「半壊」や「一部損壊」の世帯には支援金が支給されない。しかし、半壊とは「家屋損害の割合が20%以上40%未満」という状態であり、現実には住める状態ではない場合も多い。構造上の損傷が少なくても、実際には水害や雨漏りでカビの被害が蔓延したり、地盤損傷やインフラ損傷で結局のところ生活には大きな支障があったりするケースは枚挙にいとまがない。そのような場合に支援対象にならないことは、被災者にとっては酷な結果となる。

また、被災者生活再建支援法が適用されるためには「10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村」「100世帯以上の住宅全壊被害が発生した都道府県」など、市町村や県の区画ごとに一定数の全壊住宅被害がなければならない。これは法律ではなく「被災者生活再建支援法施行令」によって定められている。たとえば、一つの自然災害で、隣接するA市は全壊住家が10棟、B市は全壊住家が1棟となれば、同じ災害であるにもかかわらず、B市の1棟には被災者生活再建支援法が適用されない。まさに行政区画という境界線で明暗が分かれるのである。

「半壊の涙、境界線の明暗」問題の解消を~知事会提言のポイント

全国知事会は、「被災者生活再建支援制度の支給対象を半壊まで拡大すること」と提言し、具体的には住家の半壊世帯への支援額を50万円にすべき旨を提言した。現行制度の支給金額を前提にすれば十分考慮された額と言えそうだが、全体的なボトムアップも不可欠になると思われる。

また、「一部地域が適用対象となるような自然災害が発生した場合には、法に基づく救済が被災者に平等に行われるよう、全ての被災区域を支援の対象とすること」と提言し、「一災害一支援制度」の原則を述べている点も重要だ。同じ災害における、同じ被害であるにもかかわらず、支援を受けられる世帯とそうでない世帯を生むことがないようにすべきである。同様の問題は2012年から2013年に関東地方で頻発した竜巻被害の際にも明確に問題点が指摘されていた。

本来であれば2011年の東日本大震災の年が、2007年に大幅改正された「被災者生活再建支援法」の見直しの年だった。しかし、東日本大震災やその後の大災害の混乱の中で本格的な検討が放置されたまま、すでに7年以上の年月が経ってしまっていることも付言しておきたい。

提言のその先~災害ケースマネジメントの法制化へ~

世帯や住宅損壊にのみ紐づいた支援ではなく、一人ひとりの生活や再建への希望に応じてきめ細やかな支援メニューを用意すべきである。特に、高齢者等への「見守り支援」活動も、支援からこぼれおちる被災者を生まないために法制度として整備すべきではないだろうか。このような考え方は「災害ケースマネジメント」と呼ばれ、日本弁護士連合会の「被災者の生活再建支援制度の抜本的な改善を求める意見書」でも言及されている。特に急務だと考えるのは、住宅修繕制度の大幅拡充である。現在は、災害救助法適用地域において、60万円弱相当の応急修理制度が存在しているに過ぎないが、半壊住宅が十分に修理できる程度には増額しなければならないだろう。

知事会の提言を受け、11月29日、岩手弁護士会は「全国知事会の提言に賛同し、被災者生活再建支援制度の見直しを求める会長声明」を発した。岩手弁護士会副会長で日弁連災害復興支援委員会副委員長の吉江暢洋弁護士は、「被災者への支援が強化されることは良いことで、被災の程度が同じでも、微妙な認定の差で支援が全く受けられない被災者が存在する現状を変える必要がある。さらには、個々の被災者が、必要な支援を漏れなく受けられるように、被災者毎に寄り添って支援する仕組みを確立しなければならない。」とし、災害ケースマネジメントの法制化の重要性を述べた。

地震保険加入や共済制度の拡充を

自治体では、被災者生活再建支援金の対象とならない住宅や事業所への支援制度を独自に設けている場合があるが、全国的にみればばらつきが大きい。また、義援金に頼った施策にするわけにもいかないだろう。少なくとも、現行法制度の一定程度のボトムアップと支援メニューの増加は必要ではないだろうか。

法律上の生活再建制度の拡充だけではなく、自助による対応も不可欠だと思われる。ハード面としては、住宅やマンションの耐震工事の促進が一層必要である。ソフト面では、地震保険への加入や、兵庫県が実施する兵庫県住宅再建共済制度(通称「フェニックス共済」)の全国展開を推し進めていく必要があるのではないだろうか。全国知事会や日弁連の提言を踏まえつつ、公助をより効果的な制度にする一方で、自助による準備も両輪で進めていくことが求められる。

(参考資料)

・岡本正「災害復興法学2」(慶應義塾大学出版会2018)―第2部第5章「家族の生活(2)災害救助法を徹底活用せよ」、同第6章「家族の生活(3)半壊の涙、境界線の明暗」

・岡本正「災害復興法学」(慶應義塾大学出版会2014) ―第2部第10章「絶望を希望に変える情報を伝えるために」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

災害列島日本 地震・台風で自宅損壊、さらに災難が・・

2018年10月29日 | 地震と借地借家問題
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3507402.htm

 シリーズ「災害列島日本」です。大阪府北部を襲った地震で自宅の屋根が壊れた後、相次いだ台風で雨
漏りの被害に悩む住民がいます。この住民に思わぬところから災難が襲い掛かっています。それは家主か
らの立ち退き要求でした。
 台風24号が近畿を襲った先月30日の大阪府茨木市。このエリアにある7軒の借家には、5世帯が暮
らしています。そのうちの1軒に、家族6人で住む梁田恵美子さん(51)。これから来る台風に備えて
いました。
 「ここですかね。常に上にあげて、いつでも広げられる状態にしています」(梁田恵美子さん)
 天井から雨漏りがしたらブルーシートを広げて床に落ちないようにするといいます。さらに、棚にはビ
ニールを被せています。
 「一応できる範囲のことだけして、あとは自然にまかせるしかない。すごく不安ですね」(梁田恵美子
さん)
 きっかけは、今年6月の、あの地震でした。震源は大阪北部、最大震度6弱を記録しました。梁田さん
らが住む借家も屋根瓦が剥がれ落ちました。住人らは、家主に直してもらうよう訴えましたが、家主は
「修理はしない」の一点張り。そればかりか、「引っ越し費用20万円で今年中に立ち退いてほしい」と
要求されたのです。
 「ここが好きで、ここの街も好きで、ここの人たちも好きで、ここでがんばってきていたので、とりあ
えず住めるようにはしてほしいですよね」(梁田恵美子さん)
 立ち退きを求められた住人らに追い打ちをかけたのが先月4日の台風21号です。
 「水がぽたぽた落ちてますね」(記者)
 「これになると、あっちもこっちも、こういうふうになる」(梁田恵美子さん)
 地震で壊れたままの屋根から雨が染み込み、家の中では、天井のあちらこちらで雨漏りがしたのです。
 なぜ修理をせずに立ち退きを要求するのか。JNNの取材に対して家主は・・・
 「予算の関係上、立ち退いてもらって建て替えた方が良いと判断した。また、住人の安全を考慮して立
ち退きを要求している」(家主)
 そして、先月30日の台風24号。幸い被害は少なく、雨漏りを防ぐことができましたが、次来る災害
に怯える日々は続きます。
 「寝ている間に雨漏りしていたらどうしようと、寝られない。まだまだ安心はできないと思う」(梁田
恵美子さん)
 住人らは今月初め、「家賃を支払っている以上、家主には修繕義務がある」として、解約申し入れの撤
回などを求めて、簡易裁判所に調停を申し立てています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

保証人不在の被災者も賃貸住宅に

2018年08月29日 | 地震と借地借家問題
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20180828/5000003341.html

保証人がいなくても、熊本地震の被災者が民間の賃貸住宅に入居できる支援制度を県が創設し、28日、
身元保証を行う法人などと協定を結びました。
県庁で行われた連携協定の調印式には、蒲島知事のほか、高齢者の身元保証を行う法人や不動産会社の団
体などの関係者が出席しました。
協定書の調印の後、蒲島知事は「この協定で、保証人がいない人でも安心して賃貸住宅で生活できるよう
になる。この制度が全国の災害対応の先例になってほしい」と挨拶しました。
通常、民間の賃貸住宅に入居する際には、保証人が必要ですが、県によりますと、今回の協定では、身寄
りがいないなどの理由で保証人の依頼相手がいない被災者に県が10万円を助成し、被災者は、その助成
金を身元保証の法人に支払うことで、賃貸住宅に入居できるようになります。
制度を利用する被災者は、賃貸住宅の家賃のほか、身元保証の法人に毎月4000円余りを支払う必要が
ありますが、月に2回、法人から安否確認の連絡があるなど、「見守りサービス」を受けられるというこ
とです。
県によりますと、今回のように、保証人がいない被災者が民間の賃貸住宅に入居できる制度は、全国でも
珍しいということです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大規模災害で住宅や暮らしを再建する災害救助法を積極的に活用しよう

2018年08月08日 | 地震と借地借家問題
6月16日に発生した大阪府北部地震では死者7名、負傷者360人、住宅の全壊9戸、半壊127戸、一部損壊28669戸、非住宅被害686戸と大きな被害をもたらしました(7月11日現在)。

大借連・兵庫借組・京借連・生活弱者の会・全国追い出し屋対策会議の5団体により7月12日に借地・借家・アパート・マンション居住者のための住まい緊急110番が実施され、関西のテレビでも報道されました。「地震で屋根瓦が崩れたので家主に修理を依頼したら、立退きを求められた」等の切実な相談が寄せられました。また、6月28日以降の台風7号や梅雨前線の影響により、西日本を中心に全国的に広い範囲で発生した豪雨「平成30年7月豪雨」は、12府県にまたがり死者・行方不明者は200人を超え、住宅被害も3万9千棟に広がるなど深刻です。今回の豪雨は、新しい気候災害の局面に足を踏み出したといわれ、日本中どこに住んでいてもいつ大規模な災害が襲ってくるか分からない状況を迎えています。

現状の国の被災者生活再建支援制度では建物が全壊で100万円、再建で200万円(補修100万円)合計300万円しか支援金がでないなど、支援制度の抜本的な見直しが必要です。なお、災害救助法では住宅の応急修理の制度があり、「災害のため住居が半壊、半焼の被害を受け、そのままでは居住できない場合であって応急的に修理すれば居住可能となり、その者の資力が乏しい場合には、自治体が必要最小限の修理を行う」ことができる制度です。先の相談のように家主が修理してくれない場合には、借家人が「現に居住する場所がない場合には、応急修理を行って差し支えない」とされています。自治体が補助する応急修理費用の限度額は54万7千円以内です(平成25年10月1日内閣府告示)。

 大規模な災害の被害にあった場合には、災害救助法に基づく様々な支援制度がありますので、日頃から知っておくことが必要です。

東京多摩借地借家人組合

電話 042(526)1094
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地震で立ち退き要求…損壊した借家に暮らす高齢者を悩ませる通告

2018年08月02日 | 地震と借地借家問題
https://www.mbs.jp/voice/special/archive/20180801/

今年6月に大阪北部を襲った地震で多くの家屋が被災しました。1か月以上経った今も修復が進まず、そ
のままの状態になっているところもあります。そんな中、風呂が壊れた家で暮らし、急な「立ち退き」を
迫られて、不安な日々を送る人がいます。

地震でお風呂が使えなくなった高齢夫婦宅

地震の爪痕が残る大阪府茨木市。屋根にブルーシートがかけられた住宅が目立ちます。2階建ての借家に
住む内村清子さん(69)。75歳の夫・久生さんと2人暮らし。間取りは3DKで、家賃5万円を家主
に支払って生活しています。築約50年の自宅はあの日、激しい揺れに襲われました。
「ここ(2階)で寝ててね。8時前だったでしょ。タンスがベリベリと全部落ちてきて、ぎゃー助けてっ
て思わず言ってしまったんです」(内村清子さん)
幸いけがはありませんでしたが、壁にひびが入ったりトイレのタイルが剥がれたりしたため、市の調査で
「一部損壊」とされました。そして、一番の問題はお風呂です。
「水道出ないです。全く水は出ないです」(内村清子さん)
今でもお風呂は使えません。原因は自宅の外にありました。
「給湯器がここにあったんです。それが剥がれて飛んで」(内村清子さん)
地震で、水道管とつながっていた給湯器が外れました。地震から1か月以上経った今でも、そのままの状
態です。
「お風呂だけ使えるようにしてくださいと(家主側に)言ったんですけど、それは無理ですと言わはっ
た」(内村清子さん)

突然の「立ち退き」要求

家主側は「修理はしない」の一点張り。それどころか、追い打ちをかけるように7月17日、内村さんの
もとに家主側からある通知が届きました。
「今後同じ様な大きな地震が発生すれば建物が倒壊する恐れがあります。皆様には平成30年8月末日を
以って当物件の賃貸借契約を終了とさせていただきます」(家主側からの通知より)
つまり、8月末で立ち退きを要求するという内容でした。家主側によると、立ち退き料は見舞金5万円、
引っ越し負担金10万円のあわせて15万円。ただし条件がありました。
「8月末までにご退去されない場合、引っ越し負担金はお支払い出来兼ねます」(家主側からの通知よ
り)
夫は今年5月に脳梗塞で入院。緑内障も患っています。夫婦の収入源は月15万円ほどの年金です。夫の
通院費が重くのしかかり、立ち退き料15万円では到底引っ越しはできないといいます。
「引っ越し代を見積もったときに27万円と聞きましたから、(立ち退き料15万円は)引っ越し代にも
あてはまらないし、次の家の探す気持にもなれない。直して住めるようにさえしていただければ、これ以
上にことを言うつもりもない」(内村清子さん)

家主側は「住人の安全のため」

内村さんが住むエリアには、同じ家主が所有する借家が5棟並んでいます。6世帯が住んでいますが、住
人全員が65歳以上の高齢者。一斉に立ち退きを迫られています。
85歳の丸塚和子さん。一緒に暮らす夫の曻さん(75)は、立ち上がりや歩行が不安定な「要介護1」
と認定されています。片づけをするのも一苦労。食器棚の中で倒れたコップは地震のあともそのままの状
態です。ただ、自宅の被害はお風呂やトイレの壁にひびが入った程度。今まで通りの生活を送る丸塚さん
夫婦にとって「立ち退き要求」は突然のことでした。
「うちとしては、このままおっておれんことないから。暑いのと荷造りなんか絶対できひんもん」(丸塚
和子さん)
この家に住んで約20年。足腰も弱り、引っ越しをする体力もありません。住み慣れた我が家を「終の棲
家」にしたいと考えていましたが、思いもよらない「立ち退き要求」に困り果てています。
「もうね、20年住んでたら荷物が増えますわ。もうどないしよかと思ってんねん。荷物が多すぎて。2
人しかおらんのに不思議なもんやな」(夫・曻さん)
「もう何があっても、ほんま動きたくない」(和子さん)
「年いってるから、そりゃ動くの嫌やわ」(曻さん)
なぜ、一方的な「立ち退き要求」をするのか。MBSの取材に対し、家主側は「住人の安全のため」と主
張します。
「住人の安全を考えて、退去をお願いしています。退去しようと思えば、2か月あれば出られるでしょ
う。立ち退き料15万円は妥当とは思いませんが、少ないか多いかは本人次第です」(家主側)

“立ち退きトラブル”は各地で

実は、地震のあとに立ち退きを迫られるトラブルは各地で起きています。7月に茨木市で開かれた「立ち
退き問題」の相談会。大阪北部などに住む10人が集まりました。そのほとんどが高齢者です。
「借金までして向こうに引っ越さなあかんのかなって、そんなんばかり頭の中に浮かんできて」(摂津市
の住民)
「おふくろのほうが精神的に患ってきてまして、病院にも連れていかなあかん状態」(茨木市の住民)
相談会を主催した団体には現在、立ち退きを迫られているなどの相談が約30件寄せられているというこ
とです。

地震で借家が損壊、立ち退かせる「正当な理由」になる?

では、実際に家主から「立ち退き」を迫られた場合、応じなければならないのでしょうか。その根拠にな
る法律が借地借家法です。これは、弱い立場になりがちな借り手の権利を守るための法律です。そこには
「正当な理由がなければ住民を立ち退かせることはできない」と定められています。今回のように地震に
よって借家が損壊した場合、立ち退かせる「正当な理由」になるのでしょうか。
「瓦がずれて雨漏りがするとか壁にひびが入ったとか、そういった修繕によって対応できる場合にはそも
そも賃貸借契約を解約して終了させるという『正当な事由』がない」(増田尚弁護士)
また、家主が壊れた風呂やトイレを修理しないことについては、「基本的な義務を果たしていない」と指
摘します。
「家賃を支払っている以上、家主さんは住むのにきちんとした状態にする義務がある。基本的な義務を履
行していないことになる。それは家主さんとして法律上おかしい」(増田尚弁護士)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大阪府北部地震で関西の組合 借地借家・住まい緊急110番

2018年07月23日 | 地震と借地借家問題
6月16日に発生した大阪府北部地震では死者7名、負傷者360人、住宅の全壊9戸、半壊127戸、一部損壊28669戸、非住宅被害686戸と大きな被害をもたらしました(7月11日現在)。

大借連・兵庫借組・京借連・生活弱者の会・全国追い出し屋対策会議の5団体は7月12日に借地・借家・アパート・マンション居住者のための住まい緊急110番が実施され、関西のテレビでも報道され、「地震で屋根瓦が崩れたので家主に修理を依頼したら、立退きを求められた」等の切実な相談が寄せられました。 また、6月28日以降の台風7号や梅雨前線の影響により、西日本を中心に全国的に広い範囲で発生した豪雨「平成30年7月豪雨」は、12府県にまたがり死者・行方不明者は200人を超え、住宅被害も3万9千棟に広がるなど深刻です。今回の豪雨は、新しい気候災害の局面に足を踏み出したといわれ、日本中どこに住んでいてもいつ大規模な災害が襲ってくるか分からない状況を迎えています。

現状の国の被災者生活再建支援制度では建物が全壊で100万円、再建で200万円(補修100万円)合計300万円しか支援金がでないなど、支援制度の抜本的な見直しが必要です。なお、災害救助法では住宅の応急修理の制度があり、「災害のため住居が半壊、半焼の被害を受け、そのままでは居住できない場合であって応急的に修理すれば居住可能となり、その者の資力が乏しい場合には、自治体が必要最小限の修理を行う」ことができる制度です。先の相談のように家主が修理してくれない場合には、借家人が「現に居住する場所がない場合には、応急修理を行って差し支えない」とされています。自治体が補助する応急修理費用の限度額は54万7千円以内です(平成25年10月1日内閣府告示)。

 大規模な災害の被害にあった場合には、災害救助法に基づく様々な支援制度がありますので、日頃から知っておくことが必要です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする