東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

組合の新年の業務は1月8日から開業します

2018年12月28日 | 法律知識
 組合の本年の業務は終了しました。明年は、1月8日(火)より開業いたします。来年もよろしくお願い致します。

東京多摩借地借家人組合

電話 042(526)1094
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地代受領しているのに地主は地代ではないと明渡し請求

2018年12月28日 | 明渡しと地上げ問題
北 新宿に住む森田さん(仮名)は親戚から長年にわたって借地をしている。

 最近地主代理人弁護士から通知が届き、払っているのは固定資産税だけで地代ではない、借地賃貸借契約ではなく使用貸借契約であり、明け渡すよう求めてきた。

 数年前に組合に入会していた森田さんはすでに地主が受領拒否したため供託していた。

 借地契約が認められ、明け渡す必要はないのか組合に相談し、更に組合の顧問弁護士に相談することになった。

 支払い帳に地代として受領と明記されており借地契約は明らかだとアドバイスがあった。

 明渡し撤回交渉は顧問弁護士に委任した。「これでお正月も安心して過ごせます」と森田さんは笑顔でつぶやいた。
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単身高齢者らが住宅借りやすく 家主に葬儀費など補償 中野区

2018年12月27日 | 最新情報
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201812/CK2018122702000126.html
中野区は来年一月から、民間の賃貸住宅で入居を断られやすい単身高齢者や障害者らの入居を支援する制度「中野区あんしんすまいパック」を始める。民間事業者が入居者の安否を確認し、家主には入居者が死亡後にかかった葬儀費用などを補償する内容で、料金の一部を区が補助する。


 孤独死が増加傾向にある中、家賃滞納や死後の対応などへの不安から、家主に貸しづらい意識があることを受けて実施する。入居者には週二回、安否を確認する電話がかかり、その結果は指定連絡先にメールで送られる。入居者が死亡した場合、家主は葬儀費用の補償(上限五十万円)と、家財の片付けや原状回復にかかった費用補償(葬儀と合わせて百万円以内)が受けられる。


 区はサービス事業者のホームネット(新宿区)と協定を結び、初回登録料の一万六千二百円を全額補助し、入居者は月額利用料の千九百四十四円を負担する。補助対象者は前年の所得額などに条件がある。区は本年度、四十件の利用を見込んでいる。


 区によると、このような民間事業者のサービスへの利用助成は全国初。今後はサービスを選べるよう協定事業者を増やしていくという。 (渡辺聖子)
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足立区がシェアハウスの相談窓口

2018年12月26日 | 最新情報
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20181224/0023027.html複数の人が住居を共有するシェアハウスの運営を巡るトラブルを防ぐため、東京・足立区は、オーナーや
居住者からの相談を受け付ける専用の窓口を設置しました。
シェアハウスを巡っては、運営会社の「スマートデイズ」が経営破綻し、オーナーの人たちが多額の借金
を抱える事態となりました。
こうしたシェアハウスの運営を巡るトラブルを防ぐため、足立区は、今月からオーナーや入居者向けの相
談窓口を区役所に設置しました。
窓口では、区の担当職員が相談を受け付け、内容に応じて、不動産コンサルタントや弁護士などからアド
バイスを受けられるということです。
足立区には313棟のシェアハウスがあり、入居率は平均でおよそ4割にとどまっているということで
す。
足立区は「シェアハウスが経営に行き詰まると、違法民泊や貧困ビジネスに悪用されるおそれもある」と
して、シェアハウスの建設に独自の規制を設ける方針も打ち出しています。

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大阪北部地震で借家トラブル 一部損壊で退去求められ

2018年12月25日 | 地震と借地借家問題
https://www.sankei.com/west/news/181224/wst1812240004-n1.html

 今年6月に発生した大阪北部地震で、被災した借家をめぐるトラブルがくすぶっている。借家の住人を
支援する団体によると、被災した住宅の修繕に多額の費用がかかるため家主が修繕を拒むほか、住人に立
ち退きを迫るケースもあるという。地震は発生から半年が経過したが、被災地はいまだ課題が残る。弁護
士らでつくる支援団体は「借家を修繕するのは家主の責任。退去を強要してはいけない」としている。
(矢田幸己)

突然「出ていって」

 「地震の翌日、管理会社から『7月末で出ていってくれ』と。訳が分からなかった」。こう話すのは大
阪府茨木市に住む男性会社員(55)。軽度の認知症を患う母親(82)と実家で暮らしている。
 実家は借家。地震の影響で北側と西側の外壁に大きな亀裂が入り、市の調査で一部損壊と判定された。
外壁など地震で壊れた箇所に粘着テープを貼り付け、雨水が染み込まないようにしているが、住めなくは
ないと感じている。
 男性によると、7月中旬には、管理会社から「賃貸借契約終了のお知らせ」が届いた。今後大きな揺れ
が来れば倒壊の危険性がある一方で修復には多額の費用がかかるとし、8月末までに退去してほしいとの
内容だった。
 近所には同じ会社が管理する民家が複数あり、地震の発生当時は男性一家以外に5世帯が入居してい
た。この5世帯も当初は家を引き払わないつもりだったというが、年明けまでの退去が決まったという。
 母親は「地震が来たら怖いけど、思い出もあるし、ここから出ていきたくない」と話す。男性も、住環
境が変化することで母親の症状が悪化するかもしれないと思うと、退去には応じたくないと考えている。
 しかし最近は「納得できる転居先があれば」と思うこともあり、管理会社に転居先候補を挙げるよう依
頼したという。

「借り主の権利」

 借家の場合、ともすれば家主側が優位だと思いがちだが、「地震・台風借家被害対策会議」事務局の増
田尚(たかし)弁護士(大阪弁護士会)は「借り主の権利は守られるべきだ」と明言する。
 同会議は、大阪北部地震などで借家被害に伴うトラブルが相次いだことを受け、大阪の弁護士や司法書
士らが設立。京阪神地域の被災者を対象に無料の電話相談を実施したところ、11月末時点で21件の相
談が寄せられ、半数以上が「家主が修繕を拒む」などの内容という。
 民法では「賃貸人(貸主)は、賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負う」と規定。また
借地借家法では、家主から契約を打ち切るには賃料の不払いなど契約違反にあたる場合を除き「正当な事
由」を求めている。正当な事由があっても、退去通告は6カ月前までに行わなくてはいけない。
 当然、家主側にも事情はある。大阪賃貸住宅経営協会の山本肇会長は「オーナーの多くは補助金を使う
などして修繕しているはず」とした上で、「借家のオーナーも高齢者が少なくない。自身が被災者となっ
た人もおり、台所事情は厳しい。入居者の安全が確保されないまま住んでもらうわけにもいかず、一部で
はやむなく退去を求めるケースもあるのでは」と話す。
 増田弁護士は「相談件数以上に悩んでいる借家の住人はいるのでは。住宅は生活の基盤。立ち退きなど
は不当な要求であり、応じなくてよいと知ってほしい」と話している。


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家賃補助創設の署名運動を~東京では低家賃住宅が激減

2018年12月21日 | 東京借地借家人組合連合会
 雇用の劣化で低賃金で不安定な雇用で働く労働者が急増している。しかし、低家賃の賃貸住宅は東京では激減し、家賃負担率が上がっている。立命館大学の式王美子准教授の調査では、1988年から20年間で月額家賃4万円未満の民間借家は32・2%から4・4%に大きく減っている。逆に月額8万円以上が48%と約半数を占める。

 年収200万円未満の年収の低所得者にとって家賃補助などの支援がないと賃貸住宅では暮らせないことが明かである。来年3月末をめどに家賃補助制度の創設等を求める国会請願署名運動を行っている。1万筆を目標に東借連のホームページにもアップし、取り組みを強めている。


http://www.zensyakuren.jp/tosyakuren/minkan/minkan.html
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大阪北部地震、今年の災害で住宅被害最多 発生から半年

2018年12月19日 | 地震と借地借家問題
https://www.asahi.com/articles/ASLDF4WJVLDFPPTB00R.html
 18日で半年となる大阪北部地震では、5万棟を超える住宅が壊れた。大半が被災者生活再建支援法の
対象にならない一部損壊だ。今なお被災地では屋根をブルーシートで覆った住宅が目立つ。
 大阪府茨木市の名神高速茨木インターチェンジ近くの住宅街。門田勝次郎さん(66)、弘子さん(6
6)夫妻宅は一部損壊と判定された。屋根瓦がずり落ち、天井に雨漏りの跡が残る。「夜に雨が降るとお
ちおち眠れない」。元整備工の勝次郎さんが隣家と合わせてブルーシートをかけた。
 4軒並びの平屋の借家で、1970年の大阪万博の頃に建った。7月の西日本豪雨で雨漏りがひどくな
り、住民たちが不動産会社に「早く直して」と頼むと「(家主が)立ち退きを求めている」と告げられ
た。転居先を紹介し、年内の家賃免除、引っ越し代20万円を払う条件を示してきた。
 紹介物件は家賃が高く、弘子さんは「年金暮らしの身には払えない」。途方に暮れているとき、市内の
住宅相談会で増田尚弁護士(大阪弁護士会)と出会った。増田弁護士は、雇い止めで家賃が払えなくなり
立ち退きを迫られた非正規労働者らを救済してきた。門田さんらは立ち退き要求の撤回と修繕を求め、簡
易裁判所に調停を申し立てた。
 民法では賃貸物件の家主に修繕義務がある。しかし家主側は1軒数百万円かかる見積書を示し、家主も
また高齢で「修繕費をかけられない」と主張している。
 地震後、茨木市は所得制限付きで修繕費の一部を補助する制度を設けた。家主か借り主かは問わず、上
限は20万円だ。増田弁護士は「地震はとりわけ老朽家屋の高齢者や低所得者らに重い負担を強いた。し
かし公的な救済制度が追いついていない」と話す。
 「借家と異なり、簡単に手放せない意味で持ち家もまた難しい」。大阪府高槻市を中心に、住宅再建に
取り組む1級建築士の岩崎卓宏さん(53)は指摘する。
 JR高槻駅近くの70代の女性宅は72年に建った。地震で屋根の修繕に100万円余りかかった。壁
と風呂を直すにはさらに140万円かかるため、自分で隙間を建材で埋めた。岩崎さんは「お金をすぐに
用意できる人も少なく、助言に窮することが多い」と言う。
 高槻市は一部損壊の修繕費として最大5万円を支給するが、隣の茨木市と開きがあり、被災者から
「もっと出ないのか」との声が届く。高槻市の石下誠造副市長は「地震は市町村単位で起きず、被災した
自治体間で支援に差が出るのは好ましくない。国が制度をつくるほかない」と話す。

今年の災害で住宅被害最多

 総務省消防庁の11月6日時点のまとめでは、大阪北部地震の人的被害は死者が大阪府で6人、重傷が
4府県で28人、軽傷が7府県で415人。住宅被害は大阪、京都、奈良、兵庫の4府県で都市部を中心
に計5万8322棟にのぼった。7月の西日本豪雨の5万2033棟、9月の台風21号の5万869
棟、北海道地震の1万368棟、台風24号の5744棟を上回り、今年の災害で最多だった。
 住宅被害は震源地に近い大阪府高槻、茨木両市が6割超を占め、高度成長期に建てられた古い住宅で屋
根瓦の落下、壁の亀裂、柱の傾きなど一部損壊の被害が目立った。
 被災者生活再建支援法は全壊や大規模半壊のみが対象だ。そのため、大阪府は一部損壊以上の被災者に
府営住宅などを「みなし仮設住宅」として無償提供(最長1年)し、修繕費を無利子融資するなどして支
援。今月14日時点でみなし仮設住宅に86世帯が移り、融資申請は11月末時点で811件あった。
 被災自治体も一部損壊の修繕費に独自に支援金を出している。しかし最大5万円を支給する高槻市で
は、一部損壊2万2044棟に対し申請数は2321件にとどまる。施工業者の手が足りないほか、年金
暮らしなどで多額の修繕費を出せない被災者が多いという。
 大阪府市長会は「屋根の損壊は一部損壊であっても生活に支障を与える」などとして、国に被災者生活
再建支援法の対象拡大を要望している。(室矢英樹)

阪神大震災で被災住宅の調査にあたった神戸大大学院の平山洋介教授(住宅政策)の話

 近年多発する災害を超高齢化がより深刻なものにしている。一部損壊でも暮らしへの影響は大きい。現
実には、年金しか主な収入がないお年寄りが高額の修繕費を賄うのは難しい。それが住宅再建を遅らせて
いる大きな要因だ。国の施策は大きな災害が起きるたびに変わってきた。今後ますます超高齢化が進む。
国は今回の地震を教訓に、一部損壊の修繕費へも支援を検討する時期に来ている。

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ブラック地主が底地を愛知県の地主に転売!

2018年12月18日 | ブラック地主・ブラック家主
 埼玉県さいたま市に住む海野さん(仮名)は数年前に地主が業者に売却し底地の売買の話し合いと称して何度も訪問するために組合に入会した。その後、ブラック地主対策の学習会などに積極的に参加した。

ここ一、二年の間、業者の訪問がなかったが、11月にこの業者から「賃貸人の変更」という通知がきた。書面には新所有者として愛知県の個人の名前が記載されていた。そのうえで、来年の1月からこの個人名義の口座に振り込むよう指示してきた。最後に、新しい契約書を作成するのでよろしくという通知だった。

海野さんは組合と相談して、土地の登記簿などで地主ということが確認できれば賃料を振込むことと契約書については送付されてから検討することで確認した。
(東京借地借家人新聞より)
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“応急仮設住宅”から強制退去求められ提訴へ 東日本大震災で大阪市へ避難の女性

2018年12月13日 | 地震と借地借家問題
https://www.mbs.jp/news/kansainews/20181211/GE000000000000025666.shtml

東日本大震災で関東地方から避難してきた女性が、被災者向け住宅からの立ち退きを求める大阪市に損
害賠償を求める裁判を起こすことがわかりました。病気で転居できないと訴えると、生活保護を打ち切る
と言われたと主張しています。
 2011年3月に起きた東日本大震災では、強制避難・自主避難を含め多くの人が全国に避難しまし
た。関東地方に住んでいた40代の女性もその1人です。自宅が損壊し放射線への不安もあり、震災直後
に大阪市へ避難。市が「応急仮設住宅」として提供した市営住宅の一種である「事業用住宅」の一室で避
難生活を始めました。しかしその後、女性は「うつ病」になり、おととしには「がん」も発症し生活保護
を受けています。そうした中、去年3月末に住宅の退去期限を迎えました。
 「今の体調で引っ越しの準備をしたりするのは無理だと思う。医者からもあまり負担のかかることはし
ないようにと言われていて」(女性)
 女性が退去できずにいると、今年7月に市から明け渡しと損害金約275万円を求める裁判を起こされ
たのです。また生活保護についても打ち切りを示唆し、転居するよう求める指導を行ったということで
す。
 「電話がかかってきて『きょうで保護は打ち切りです』って言われて。“違法に住んでるから”という
理由で」(女性)
 区役所との協議の結果、生活保護は継続されることになりましたが、女性の代理人弁護士は「病気によ
り転居することは不可能で、生活保護の打ち切りを持ち出し転居を指導することは違法」として、市に2
00万円の損害賠償を求め近く大阪地裁に提訴する方針です。
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組合が交渉し立退料として家賃の20ヶ月分で合意

2018年12月12日 | 明渡しと地上げ問題
東急池上線久が原駅地域に居住する鈴木さん(仮名)は、家賃12万円を支払って20年余居住していたが、このほど購入したという不動産業者から明渡しを通告された。夫の名義で賃借していたが夫死亡後もそのまま夫名義で家賃を支払っていた。夫の賃借権を相続により継承しているので家賃を引続き支払っており明渡しには応じる必要はないことを伝える。鈴木さんから意向を聞いた業者は、組合を訪ねてきた。鈴木さんは当初は明渡しに反対だったが、今支払っている家賃も高額なため、納得ができる明渡しの補償金を希望。組合の交渉によって家賃の20カ月分の立退料を受け取ることで合意した。来年の4月末が明渡期日となり、4月末までは思い出のあるこの家で過ごして退去する。(東京借地借家人新聞より)
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借地借家法三二条一項ただし書の「借賃を増額しない旨の特約」について黙示の合意が成立していたとされた例(東京高等裁判所平28・10・19判決。判例時報二三四〇号)。

2018年12月05日 | 最高裁と判例集
借地借家法三二条一項ただし書の「借賃を増額しない旨の特約」について黙示の合意が成立していたとされた例(東京高等裁判所平28・10・19判決。判例時報二三四〇号)。

来年一〇月から消費税が八%から一〇%に上がります。これは、建物賃料にどう影響するでしょうか。そのことを考えるうえで参考となる判例を紹介します。

経済事情の変動等によって、賃料が不相当になった場合には、賃貸人には増額請求権、賃借人には減額請求権が認められますが、増額については、一定期間増額しない旨の特約があればこの請求権を排除することができます(借地借家法三二条一項ただし書き。地代については一一条一項ただし書き)。この特約が書面によってなされている場合(明示の合意)は問題ありませんが、そうでない場合にも一定の事情の下でこの合意が認められる場合があります。これを黙示の合意と言います。本件はそれを認めた事案です。

(判旨)「本件賃貸借契約においては、平成九年四月に消費税率が三%から五%に引き上げられた際にその前後を通じて賃料総額は変っておらず、平成一五年頃賃料が改定された際も税込の金額とされ、平成二六年四月に消費税率が五%から八%に引き上げられてもそれに伴って賃料が増額されることはなかった。それに、本件賃貸借契約は、建物共有者両名と両名が取締役を務める株式会社との間に締結されたものであり、その後共有者の一人が死亡し当事者に変更があったが、賃貸人と賃借人との密接な関係が続いており、このような関係においては、賃貸人において、消費税の引き上げ分まで賃借人から徴収して僅かな損害を防ぐとの意図はなく、むしろ、円満な賃貸借関係を継続することが優先されたと考えるのが合理的である。これらの事情に鑑みると、本件賃貸借契約の当事者間においては、本件賃貸借契約の内容として又は本件賃貸借契約と密接不可分な合意として、消費税率の変更にかかわらず賃料総額を変えないという黙示の合意が成立していたものと認められる。」

この判決は、当事者の関係、契約締結の経緯、賃料増額の有無等の事情を踏まえ、契約の合理的意思解釈に従ったものであって、正当と評価されます。消費税が上ったからといって当然賃料総額も上るわけではないことに注意が必要です。 (弁護士 白石光征)
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半壊の涙、境界線の明暗~全国知事会が被災者生活再建支援法の改正を提言

2018年12月05日 | 地震と借地借家問題
https://news.yahoo.co.jp/byline/okamototadashi/20181204-00103561/
被災者生活再建支援法の改正を提言

全国知事会は、大規模な災害で住宅が被災した世帯に支給される「被災者生活再建支援金」の支給対象の拡大や、地域間格差の解消を求める提言を決議した。提言の実現には被災者生活再建支援法や同法施行令の改正が必要となる。

全国知事会は、11月9日開催の全国知事会議において、「被災者生活再建支援制度の充実と安定を図るための提言」を決議。同月2日の全国知事会危機管理・防災特別委員会にて、同被災者生活再建支援制度に関する見直し検討ワーキンググループによる「被災者生活再建支援制度の見直し検討結果報告」とともに、提言の素案を公表していた。また、同月19日には内閣府防災担当大臣への要請活動も実施したところである。


被災者生活再建支援制度の充実と安定を図るための提言

1 被災者生活再建支援制度の支給対象を半壊まで拡大すること。

2 基金への都道府県による追加拠出にあたっては、これまでの拠出時と同等以上の財政措置を講じること。

3 相互扶助の理念に基づく被災者生活再建支援法の想定を超える大規模災害発生時は、東日本大震災の対応や教訓等を踏まえ、特別の国の負担により対応すること。

4 一部地域が適用対象となるような自然災害が発生した場合には、法に基づく救済が被災者に平等に行われるよう、全ての被災区域を支援の対象とすること。

被災者生活再建支援制度とは

被災者生活再建支援制度とは、被災者生活再建支援法にもとづき、全壊等の住家被災があった世帯へ被災者生活再建支援金の支給を行う制度である。例えば、適用地域において住家が「全壊」との認定を受けた世帯は、最大で100万円の使途自由の「基礎支援金」を受け取ることができる。また、その後の住宅再建の際には、最大で200万円の「加算支援金」を受け取ることができる。住宅損壊を契機として現金支給がなされる唯一の法律上の制度であり、被災者にとっては再建の第一歩となる極めて重要な支援となっている。過去の災害でも幾度となく適用決定・支給がなされてきた。平成30年7月豪雨や北海道胆振東部地震等の被災地においてもこれらの制度が適用されている(詳しくは内閣府(防災担当)ウェブサイトを参照)。

現行制度の課題―半壊の涙、境界線の明暗―

被災者生活再建支援法及び同施行令によれば、給付対象は、住家が「全壊」「大規模半壊」「半壊でやむを得ず解体した場合」「長期避難世帯」などの認定を受けた場合に限られる。「半壊」や「一部損壊」の世帯には支援金が支給されない。しかし、半壊とは「家屋損害の割合が20%以上40%未満」という状態であり、現実には住める状態ではない場合も多い。構造上の損傷が少なくても、実際には水害や雨漏りでカビの被害が蔓延したり、地盤損傷やインフラ損傷で結局のところ生活には大きな支障があったりするケースは枚挙にいとまがない。そのような場合に支援対象にならないことは、被災者にとっては酷な結果となる。

また、被災者生活再建支援法が適用されるためには「10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村」「100世帯以上の住宅全壊被害が発生した都道府県」など、市町村や県の区画ごとに一定数の全壊住宅被害がなければならない。これは法律ではなく「被災者生活再建支援法施行令」によって定められている。たとえば、一つの自然災害で、隣接するA市は全壊住家が10棟、B市は全壊住家が1棟となれば、同じ災害であるにもかかわらず、B市の1棟には被災者生活再建支援法が適用されない。まさに行政区画という境界線で明暗が分かれるのである。

「半壊の涙、境界線の明暗」問題の解消を~知事会提言のポイント

全国知事会は、「被災者生活再建支援制度の支給対象を半壊まで拡大すること」と提言し、具体的には住家の半壊世帯への支援額を50万円にすべき旨を提言した。現行制度の支給金額を前提にすれば十分考慮された額と言えそうだが、全体的なボトムアップも不可欠になると思われる。

また、「一部地域が適用対象となるような自然災害が発生した場合には、法に基づく救済が被災者に平等に行われるよう、全ての被災区域を支援の対象とすること」と提言し、「一災害一支援制度」の原則を述べている点も重要だ。同じ災害における、同じ被害であるにもかかわらず、支援を受けられる世帯とそうでない世帯を生むことがないようにすべきである。同様の問題は2012年から2013年に関東地方で頻発した竜巻被害の際にも明確に問題点が指摘されていた。

本来であれば2011年の東日本大震災の年が、2007年に大幅改正された「被災者生活再建支援法」の見直しの年だった。しかし、東日本大震災やその後の大災害の混乱の中で本格的な検討が放置されたまま、すでに7年以上の年月が経ってしまっていることも付言しておきたい。

提言のその先~災害ケースマネジメントの法制化へ~

世帯や住宅損壊にのみ紐づいた支援ではなく、一人ひとりの生活や再建への希望に応じてきめ細やかな支援メニューを用意すべきである。特に、高齢者等への「見守り支援」活動も、支援からこぼれおちる被災者を生まないために法制度として整備すべきではないだろうか。このような考え方は「災害ケースマネジメント」と呼ばれ、日本弁護士連合会の「被災者の生活再建支援制度の抜本的な改善を求める意見書」でも言及されている。特に急務だと考えるのは、住宅修繕制度の大幅拡充である。現在は、災害救助法適用地域において、60万円弱相当の応急修理制度が存在しているに過ぎないが、半壊住宅が十分に修理できる程度には増額しなければならないだろう。

知事会の提言を受け、11月29日、岩手弁護士会は「全国知事会の提言に賛同し、被災者生活再建支援制度の見直しを求める会長声明」を発した。岩手弁護士会副会長で日弁連災害復興支援委員会副委員長の吉江暢洋弁護士は、「被災者への支援が強化されることは良いことで、被災の程度が同じでも、微妙な認定の差で支援が全く受けられない被災者が存在する現状を変える必要がある。さらには、個々の被災者が、必要な支援を漏れなく受けられるように、被災者毎に寄り添って支援する仕組みを確立しなければならない。」とし、災害ケースマネジメントの法制化の重要性を述べた。

地震保険加入や共済制度の拡充を

自治体では、被災者生活再建支援金の対象とならない住宅や事業所への支援制度を独自に設けている場合があるが、全国的にみればばらつきが大きい。また、義援金に頼った施策にするわけにもいかないだろう。少なくとも、現行法制度の一定程度のボトムアップと支援メニューの増加は必要ではないだろうか。

法律上の生活再建制度の拡充だけではなく、自助による対応も不可欠だと思われる。ハード面としては、住宅やマンションの耐震工事の促進が一層必要である。ソフト面では、地震保険への加入や、兵庫県が実施する兵庫県住宅再建共済制度(通称「フェニックス共済」)の全国展開を推し進めていく必要があるのではないだろうか。全国知事会や日弁連の提言を踏まえつつ、公助をより効果的な制度にする一方で、自助による準備も両輪で進めていくことが求められる。

(参考資料)

・岡本正「災害復興法学2」(慶應義塾大学出版会2018)―第2部第5章「家族の生活(2)災害救助法を徹底活用せよ」、同第6章「家族の生活(3)半壊の涙、境界線の明暗」

・岡本正「災害復興法学」(慶應義塾大学出版会2014) ―第2部第10章「絶望を希望に変える情報を伝えるために」
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