東京多摩借地借家人組合

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飲食店からの悪臭を放置した貸主に対する損害賠償請求

2008年08月29日 | 最高裁と判例集
東京地裁判決 平成15年1月27日
(判例タイムズ 1129号 153頁)

《要旨》
 飲食店からの悪臭について、放置した賃貸人の責任を認め、賃貸人に対する損害賠償請求が認められた事例


(1) 事案の概要
 Xは、平成10年12月にY所有ビルの一室を賃借し、婦人服販売店を経営していたが、地下1階に、小料理屋Aが営業を開始すると、焼き魚等の臭いが発生し、売上げが減少するなど、婦人服販売に支障が生じるようになった。Xは、媒介業者やYに対して、苦情を申し入れ、悪臭の問題が解決するまで賃料を支払わないとYに通告した。一方、Yは、Xに対して、本件貸室の明渡し及び未払賃料等の支払を求めて訴えを提起し、平成14年7月、本件契約は合意解約された。
 Xは、賃借目的にかなう状態に維持すべき義務を負担していたにもかかわらず、悪臭の防止等の義務を怠ったとして、Yに対し、売上げ減少等の損害賠償を求めて提訴した。これに対しYは、債務不履行を争うとともに、予備的にXの未払賃料等との相殺を主張した。

(2) 判決の要旨
 ①賃貸借契約における賃貸人には、あらゆる臭いの発生を防止すべき義務があるというものではなく、賃貸借の目的から見て、目的物をその目的に従って使用収益する上で、社会通念上、受忍限度を逸脱する程度の悪臭が発生する場合に、これを放置し若しくは防止策を怠る場合に、初めて、賃貸人に債務不履行責任が生ずるというべきである。
 ②本件については、Xの30数名の顧客が飲食店からの魚の臭いについて、かなりの不快感を示しており、悪臭によって被害を被った事実が認められ、他方、Y側において、悪臭に関する抜本的な解決策をとらなかったことが認められる。したがって、Yは、賃借人に目的物を使用収益せしめる義務を怠ったのであるから、Xに対して債務不履行責任を負うというべきである。
 ③損害額については、客観的証拠はなく、Xの主張する損害全額を認めることは到底できないが、店舗の環境の悪化によって、顧客の購買意欲の減退などの被害を受けたことは認められ、悪臭の発生と相当因果関係にある損害は、80万円と認めるのが相当である。他方、Yが、Xに対して有する未払賃料等に係る債権は、112万円余であるので、これと、Yが、Xに対して負う損害額80万円余を相殺すると、XのYに対する本件請求債権は存在しないので、Xの請求は、理由がないから棄却する。


(3) まとめ
 本判決は、賃貸借契約における賃貸人の義務は、賃借人に目的物を引き渡すだけではなく、目的物が使用収益に適した状態にあることについても責任を負うものであり、目的物が使用収益に適した状態でなくなったのであれば、その直接的原因が他の賃借人に因るものだとしても、損害賠償責任を免れないとしている。



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自助・共助で住宅弱者を切り捨てる東京都の震災対策

2008年08月28日 | 地震と借地借家問題
政府の地震調査推進本部の地震調査委員会は、南関東直下でM6・8~M7・2の地震が発生する確立は、10年以内で30%、30年以内で70%、50年以内で90%と発表している。毎年のように日本各地で巨大地震が発生し、多くの専門家が首都直下地震はいつ起こっても不思議ではないと指摘している。

東京都は「首都直下地震による東京の被害想定」を平成18年に作成した。冬の夕方6時に東京湾北部地震M7・3が発生した場合風速秒速6mで死者は5638人、負傷者15万9157人、建物被害43万6539棟、地震火災31万16棟、帰宅困難者447万6259人、避難者385万4893人、エレベーター閉じ込め台数最大9161台等々想像したくない被害が想定される。時間や気象条件等によってさらに被害が拡大することが予想される。

阪神大震災では多くの人が家屋の倒壊で命を落としている。10数秒で家屋の下敷きになって絶命している。逃げる間もなかったのだろう。家の倒壊をどう防ぐか、これが最大の教訓であるにもかかわらず、東京都の震災対策は「自助、共助」が前提になっている。自己責任と地域の助け合いが強調され、行政の責任は大きく後退している。自費で耐震工事を行えない人や工事をしたくても貸主の許可が下りない借地借家人は切り捨てられるのか……。


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賃貸借契約における原状回復特約の消費者契約法による無効

2008年08月27日 | 最高裁と判例集
 本件は、自然損耗および通常の使用による損耗についての原状回復を賃借人の負担とする特約を含む賃貸借契約が、消費者契約法施行後に更新された場合について、その特約が消費者契約法10条により無効とされ、敷金の全額返還が認められた事例である。(京都地方裁判所平成16年3月16日判決 一部認容 裁判所ホームページ「裁判例情報」掲載)



事件の概要
X:原告(賃借人、個人)
Y:被告(賃貸人、個人)

1 Xは、平成10年7月にYから共同住宅の一室を賃借して入居をした際に、敷金として20万円をYに預託した。この賃貸借契約においては、期間が同月1日から翌年6月までとされ、また月額賃料は、5万5000円とされた他、退去時の原状回復について、次のような特約がなされた。すなわち自然損耗および通常の使用による損耗についてXが原状回復義務を負担し、また敷金は、建物明け渡し時にXが賃貸借契約に関しYに対し負担する債務を控除した残額を建物明け渡し後45日以内に返還する、というものである。なお、当事者に争いがないところから、Yは、事業者であると目される。

2 この賃貸借契約は1年ごとに合意により更新された。直近の更新としては、消費者契約法が施行された平成13年4月1日のあとである同年7月7日に更新の合意がなされている。そののち賃貸借契約は翌14年6月9日に終了し、同日にXはYに建物を明け渡した。しかしYが、建物の原状回復費用として20万円を要したとして敷金全額の返還を拒否したところから、XがYに対し、敷金20万円全額の返還を求めて提起したのが、本件訴訟である。

 この事件においてYは、上記の原状回復特約に基づく原状回復費用を控除すると返還すべき敷金はないことなどを主張したが、裁判所は、この原状回復特約は消費者契約法10条に基づき無効であるとし、Yに対し敷金全額の返還を命じた。




理由
1 消費者契約法の適用の有無
 消費者契約法の施行後である平成13年7月7日に締結された本件契約合意によって、同月1日をもって改めて本件建物の賃貸借契約が成立したから、更新後の賃貸借契約には消費者契約法の適用がある。したがって、従前の契約どおりとされ、更新後の賃貸借契約の内容になっている本件原状回復特約にも同法の適用がある。

 実質的に考えても、契約の更新がされるのは賃貸借契約のような継続的契約であるが、契約が同法施行前に締結されている限り、更新により同法施行後にいくら契約関係が存続しても同法の適用がないとすることは、同法の適用を受けることになる事業者の不利益を考慮しても、同法の制定経緯および同法1条の規定する目的にかんがみて不合理である。

2 本件原状回復特約は消費者契約法10条により無効か否か
 賃借人が、賃貸借契約の締結に当たって、明け渡し時に負担しなければならない自然損耗等による原状回復費用を予想することは困難であり (したがって、本件のように賃料には原状回復費用は含まれないと定められていても、そうでない場合に比べて賃料がどの程度安いのか判断することは困難である)、この点において、賃借人は、賃貸借契約締結の意思決定に当たっての十分な情報を有していないといえる。本件のような集合住宅の賃貸借において、入居申込者は、賃貸人または管理会社の作成した賃貸借契約書の契約条項の変更を求めるような交渉力は有していないから、賃貸人の提示する契約条件をすべて承諾して契約を締結するか、あるいは契約しないかのどちらかの選択しかできないことは明らかである。

 これに対し、賃貸人は将来の自然損耗等による原状回復費用を予想することは可能であるから、これを賃料に含めて賃料額を決定し、あるいは賃貸借契約締結時に賃貸期間に応じて定額の原状回復費用を定め、その負担を契約条件とすることは可能であり、また、このような方法をとることによって、賃借人は、原状回複費用の高い安いを賃貸借契約締結の判断材料とすることができる。

 以上の点を総合考慮すれば、自然損耗等による原状回復費用を賃借人に負担させることは、契約締結に当たっての情報力および交渉力に劣る賃借人の利益を一方的に害するものといえる。ゆえに本件原状回復特約は消費者契約法10条により無効であると解するのが相当である。




解説
1 敷金は、賃借人の債務を担保するため賃借人が賃貸人に預託する金銭である。賃貸借契約に基づいて生ずる賃借人の債務としては、例えば賃料債務や、賃借人の落ち度による賃借物件の汚損などに伴う損害を賠償する債務が考えられる。これらの債務が退去時に残っていれば、債務額を控除した金額が賃借人に返される(債務額が敷金の額を超える場合には、敷金は返ってこないし、賃借人は、不足額を払わなければならない)。これに対し、賃借人の債務が何ら残っていない場合には、賃貸人は、敷金の全額を返還しなければならない。

2 一般に賃借物件の修繕は、賃借人の落ち度による汚損・破損の場合を除いては、賃貸人の義務であり、その費用も賃貸人が負担する。民法606条で定められている原則であり、これと異なる趣旨の特約を裁判所がそのまま有効と認めることもある。なぜなら賃借人の通常の使用に伴う損耗は、賃料に含まれていると考えられるからである。なお、どこまでが通常使用損耗であるかも、しばしば争われるが、それを超える損耗であることは、賃貸人の側が主張・立証するべきである(加藤新太郎「実践的要件事実論の基礎/敷金返還請求訴訟における要件事実」 『月刊司法書士』374号参照)。

3 具体的に考えられる場面としては、(1)特約が不動文字(注)で前もって印刷されていて賃借人に十分に説明されないまま契約書に入れられたものであるから無効であると考えられる場合(例文解釈)、(2)修繕を賃借人負担とする特約があるが、そこにいう修繕とは通常損耗を超えた汚損などに限られると考えられる場合(信義則に基づく特約文言の制限解釈、民法1条2項)、(3)修繕を賃借人負担とする特約が著しく不公正なものであるため無効であると考えるべき場合(公序良俗違反、民法90条)および(4)消費者の義務を加重してその利益を一方的に害するものとして無効であると考えられる場合(消費者契約法10条)などがある。

 この事件の賃貸借契約は、最初の成立が消費者契約法施行前であったが、更新の合意が施行以後であったことから、(4)に当たるものとして扱われた。敷金トラブルの解決に画期的な判決であるが、一般にはこの事件とは異なり、賃貸人が事業者であると一概にいうことができない場合もあり得ることから、(3)などにより解決すべき場面が残されている。




参考判例
 特約の解釈として原状回復の義務付けられた損害に自然損耗等が含まれないとされた事例として、川口簡易裁判所平成9年2月18日判決(消費者法ニュース32号80ページ)、大阪高等裁判所平成12年8月22日判決(判例タイムズ1067号209ページ)他多数。特優賃法および住宅金融公庫法の適用事例であるが、特約が公序良俗に反し無効とされた近時の事例として、大阪地方裁判所平成15年6月30日判決(判例集末登載)。

 本件とは異なり特約が有効であるとされた事例として、東京地方裁判所平成12年12月18日判決(判例時報1758号66ページ)。市営住宅についてであるが、通常の住宅使用による自然減価分が毎月の家賃に含まれているとはいえないと判示した事例として、名古屋簡易裁判所平成16年1月30日判決(最高裁ホームページ掲載)。

 なお、近時の判例の動向については、『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(改訂版)』(国土交通省住宅局・(財)不動産適正取引推進機構編(’04年2月発行))48ページ以下が詳しい。

注 不動文字 : 契約書等において、あらかじめ印刷された定型的な共通文言のこと (国民生活センター 判例集)



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新宿で再開発問題で学習会開催

2008年08月26日 | 学習会と交流会
 7月20日に新宿区産業会館で、東借連佐藤会長を講師に「西新宿五丁目再開発問題と立退きについて」の学習会が、地元の新宿民商の班と城北借地借家人組合新宿支部の共催で行われた。

最初に佐藤会長は「都市再生の名のもとに、今全国で再開発事業が進められている。その多くが、市街地再開発事業という内容で行われ、大企業の利益の場になっている。今回の学習会が、住民が主人公の街づくりを考える一歩になれば」と訴えた。

 再開発事業の基本は独立採算性で、借地人や借家人にとってはこの再開発の地域に残ることが非常に困難となっている。東池袋再開発では借家人の95パーセントが残ることが出来なかった。また、土地所有者でも小規模の権利関係者は、住み営業し続けることが困難であることを紹介した。出席した区議会議員からは議会や行政の動向などが報告された。

 参加者から将来に対する不安などの質問や意見が出されたが、今後とも相談会や勉強会を重ね、住民本位の街づくりのためにがんばる決意を固めあった。(東京借地借家人新聞より)


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重要事項説明を説明しなかった不動産屋を追及し、敷金全額返還させる

2008年08月22日 | 敷金と原状回復
佐藤さんは、立川市曙町の2DKの賃貸マンションを1昨年の12月に借りて、僅か4ヶ月入居しただけで昨年3月に退去しました。 敷金一ヶ月預けてありましたが、退去後も精算書も送付されないままになっていました。そこで、今年の1月に組合を通じて貸主に敷金の返還を求め通知を出しました。 仲介した不動産屋が組合事務所にやってきて、当初礼金一ヶ月、敷金1ヶ月で募集したが1ヶ月分にするかわり、礼金として受領したが契約書には間違えて敷金7万3千円と書いてしまったと分けのわからない説明をし、頭を下げる始末。ところで、重要事項説明書にはどう書いてあるのかと聞くと、重要事項説明を省略してしまったと、またも平謝り。宅地建物取引業法では35条で宅地建物取引業者は宅地・建物の売買、仲介に当って書面に記載した重要事項を説明する義務がありますが、どうやらこの業者説明もしないで仲介し、手数料を取っていました。「これは、大家というよりあなた(業者)の責任である」と追及すると、敷金をお返ししますと約束。佐藤さんは、あきらめていた敷金が返ってきました。


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「敷金返さぬ特約 無効」 京都地裁 消費者団体が業者提訴

2008年08月21日 | 敷金と原状回復
 賃貸住宅の契約で、敷金の全額または一部を返還しない「敷引特約」は消費者契約法に反して無効だとして、京都市の消費者団体が12日、同市の不動産賃貸会社に、この特約条項の使用差し止めを求める消費者団体訴訟を京都地裁に起こした。敷引特約をめぐる団体訴訟は全国初。

 訴えを起こしたのは、NPO法人(特定非営利活動法人)「京都消費者契約ネットワーク」。違法な契約の使用差し止めなどを被害者個人に代わって消費者団体が訴える団体訴訟制度に基づく全国3例目の訴訟になる。被告は京都市南区の「大和観光開発」。

 訴状によると、同社は、敷金の一部を借り主に返還しない特約条項を設けている。京都消費者ネットワークは「借り主に賃料以外の負担を負わせるのは不当。敷引特約を無効とする判例は定着しているが、京都ではいまだに多くの物件に特約がある。今後も特約を使っている業者が確認できれば、積極的に提訴したい」としている。

 大和観光開発は「会社の主張は裁判で明らかにしたい」とコメントしている。
(京都新聞8月12日)


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山梨県大月の借地の地代調停で42%減額

2008年08月20日 | 地代家賃の増減
山梨県大月市の借地人は昨年7月に地代減額の調停を起こした。大月市の地代はこの10年で固定資産税が42%に下落、ところが地代は月額坪当たり450円と三鷹市並の高額な地代で、借地人は坪100円に減額する請求。調停は回数を重ね、借地人は粘り強く頑張り、調停委員より坪260円まで減額し、今まで高すぎた地代について更新料等を差引いて、68万円を返還するとの案がでて調停の和解が成立した。


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墨田区でも地上げ事件、土地売買が会社の方針と主張する不動産会社

2008年08月18日 | 明渡しと地上げ問題
 墨田区大平4丁目の借地人12世帯が6月に地上げ問題で入会した。新しく地主になったのは東京都市開発株式会社で、7月3日に千代田の本社に組合役員2名と地元代表1名が借地人一同から預かった地代を納めに行った。 
 翌日の7月4日の同社の担当の新居氏より組合に話し合ってほしいとの連絡があり、7月11日に会談した。新居氏は「14日から測量に入るので皆さんの了解を得てほしい」、「うちは地代を頂くのが本業ではなく、土地の売買、つまり開発するのが会社の方針です」と主張した。
 さらに、ここの場合は特別といいながら「売買価格は北側が1坪75万円、南側1坪70万円、角地の皆さんは1坪75万円で考えています」、さらに「金利のこともありますので1日も早く処分したいので皆さんのご協力を」と30分にわたり一方的に話をして帰っていった。
 組合では7月23日に借地人一同全員に集まってもらい、東京都市開発との話の内容を知らせ協議した。売買については結論が出ず、今後アンケートをとって組合員の意見を組合で集約することにした。
 東京都市開発の社員は一部の借地人に「地代をいつまで払っているのか」連絡をしてくるなどの動きがあり苦情がでた。組合では新居氏に対し勝手に組合員を回らないよう注意し、「個々には連絡をしない」ことを約束させた。組合では「買えなければ無理に買取る必要はない」と説明し、借地人一同の意見を聞き、今後も粘り強く交渉していく予定でいる。



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定期借家契約への切り替えで期間満了で明渡し訴訟

2008年08月11日 | 定期借家制度
大田区大森南3丁目にて、クリーニング業を営む尾城さんが、店舗併用住宅の明渡しの訴状を手に相談に見えた。

 訴状内容は、事業用定期建物賃貸借契約期間満了にも関わらず、明渡しに応じていないと、建物から退去して明渡せということだった。そもそも兄の名義の契約を更新の際に本人名義に切り替える時に、大変なこととは考えず家主のいわれるままに、定期建物賃貸借契約に署名捺印をしたのが問題の発端だった。

 これまで知り合いの税理士に相談してきたが、見通しが立たず組合の役員を介して組合事務所を訪ねたのだった。 定期建物賃貸借契約は、平成12年3月1日以前に契約し、居住用の建物賃貸借契約は定期借家契約への切り替えは認められていない。尾城さんの場合は居住もついているので定借法の附則第三条に抵触し、契約の切替は無効と争う決意でいる。



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東京・大阪のオフィスビル空室率、上昇傾向続く/三鬼商事調査

2008年08月11日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
三鬼商事(株)は8日、2008年7月末時点の東京・大阪のオフィスビル市況を発表した。

 東京のビジネス地区の平均空室率は3.75%で、前月比0.26ポイントの上昇。大型既存ビルの募集面積が増加したためで、都心5区全体の空室在庫が、この1ヵ月間で約1万8,000坪増加した。大型新築ビルの募集状況は順調に推移しているものの、供給棟数が多いため、テナント誘致競争が厳しくなってきている。

 大阪ビジネス地区の平均空室率は5.71%と、前月比0.13ポイント上昇した。新築ビルに成約の動きが見られたものの、既存ビルの募集面積が増加したため、平均空室率の上昇傾向が続いた。7月には、梅田地区で今年最大規模の供給となった「ブリーゼタワー」がほぼ満室状態で竣工。年内の新規供給予定は4棟(延床面積計約1万坪)となっており、その募集動向が注目されている。新築ビルの募集状況は順調だが、既存ビルについては、大型募集の開始や館内縮小の動きが目立ち、7月の1ヵ月で、既存ビルの募集面積は約3,700坪の増加となった。

 大阪のビジネス地区の平均空室率は9ヵ月連続で上昇しており、東京も6ヵ月連続の上昇。同社では「今後のオフィスビル市況の先行きに不透明感が出てきている」としている。(不動産ニュース8月8日)

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全借連第27回定期総会 公営住宅施策の拡充を求める特別決議

2008年08月08日 | 国と東京都の住宅政策

 貧富の格差と貧困が拡大する中で、公営住宅への入居を希望する人達が急増しています。04年の全国の公営住宅の応募倍率は9・7倍で、7年間で1・8倍に上昇しています。大都市では応募倍率が数十倍であり、公営住宅への入居資格があっても、公営住宅に入居することは絶望的な状況です。
 国の「住生活基本計画」に基づいて立てた全都道府県の公営住宅供給の目標量は、10年間に新規建設は僅か1万2千戸で、空家募集90万4千戸を足しても、10年経過しても国土交通省が試算した「公的支援により居住の安定を図るべき世帯」の数121万1489世帯には到底及ばない状態です。ましてや、東京・大阪などでは公営住宅の新規建設がストップされており、住宅セーフティネットの根幹である公営住宅が圧倒的に足りない状態です。
 昨年成立した住宅セーフティネット法では、「住生活基本法の基本理念にのっとり、住宅確保要配慮者(低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭等)に対する賃貸住宅の供給の促進を図り、国民生活の安定向上と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」と定めていますが、中味は公営住宅の供給の促進を図るのではなく、既存の公営住宅のストックの活用が強調される一方で、公営住宅を「公平かつ的確な供給」の名の下に、住宅困窮者に困窮度を競わせ、公営住宅を極一部の低所得の人にしか入居できない制度にしようとしています。
 昨年の12月末、政府は公営住宅の入居収入基準及び家賃制度を見直すため政令を改悪し、これまでの政令月収20万円を15万8千円に大幅に引き下げ、収入が15万8千円を超過すると明渡しの対象となり、明渡すまでの間は近傍同種の民間家賃と同じ水準の家賃に値上げされます。国土交通省の試算によると、この改悪で新たに約11万世帯の公営住宅居住者が収入超過者となることで、空家が現在9万6千戸の募集戸数が15万戸~20万戸に増え、応募者も15万人から10万人減少するとし、応募倍率が9.9倍から最小4倍程度に下落すると皮算用しています。
 これは、公営住宅を「建てず、入れず、追い出す」そのものであり、公営住宅を本来の住宅施策と無縁の救貧施設にするもので、「住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤である」とした住生活基本法第6条の「居住の安定確保」の基本理念にも反するものです。公営住宅の供給の拡大等公営住宅施策の拡充こそ、国民の居住の安定確保にとって欠かせない施策であり、政府及び自治体に対して「安心して住み続けられる」住宅政策の実現を強く求めます。
  2008年7月5日

全国借地借家人組合連合会第27回定期総会
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東借連が来年の総会で規約改正し、全借連に正式に加盟

2008年08月08日 | 東京借地借家人組合連合会
 東借連第2回評議員会が7月22日午後6時30分から豊島区東部区民事務所において開催された。
評議員会では、報告事項のあと、①借地借家人をめぐる情勢の特徴②全借連加盟について③夏季研修会の開催④組合の民主的運営と組織の拡大強化以上について討議した。

 耐震補強助成に地主承諾印

 討議事項では、借地借家人をめぐる情勢の特徴が討議され、荒川借組の生駒理事より「借地上の建物の耐震補強工事をするため区に助成を申請したら地主の承諾印がないと申請を受付けないといわれた」等の問題が指摘された。耐震改修工事は、耐震改修促進法の改正を受け各自治体で10年計画で耐震改修促進計画を立て実施しているもので、増改築ではない耐震補強工事まで地主の承諾を求めることは問題であり、今後各自治体の改修の要件を調査し、不当な要件を排除させることが議論された。また、初期費用を払えない若者をターゲットにした「ゼロゼロ物件」の借地借家法の脱法契約や不当な契約条項などに反対して立ち上がった借家人組合準備会とも連携を強めていくことが必要であるとの指摘もされた。

 東京が全借連牽引の役割を

 次に、全借連加盟問題が議論された。「東京がまとまって全国組織である全借連に加盟することは重要」、「東京と大阪など大都市が全借連運動を牽引する役割がある」等の発言もあり、評議員会として来年の東借連総会で規約第1条を改正し、正式に全借連に加盟することを決定した。
 なお、各組合の登録数については来年の3月末日までに各組合の財政状況を配慮し、自主申告とする。財政状況が改善次第、東借連の加盟登録数に一致させる。全借連未加盟組合に対して、加盟問題について意見・要望を求めることを確認した。




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敷引特約があっても災害により家屋が滅失したときは特約は適用できない

2008年08月07日 | 最高裁と判例集
最高裁判決 平成10年9月3日
(判例時報 1653号 96頁)
(判例タイムズ 985号 131頁)

《要旨》
 敷金につき、いわゆる敷引特約がされた場合であっても、災害により家屋が滅失して賃貸借契約が終了したときは、特段の事情がない限り右特約を適用することはできないとした事例


(1) 事案の概要
 Yは昭和51年8月、Xに対し、賃料月額5万5,000円、期間2年の約定で、木造二階の一戸建てである本件建物を賃貸した。その後、右賃貸借契約は、2年毎に更新され、本件建物が阪神・淡路大震災により倒壊するまで18年余り継続された。この間、賃料も8回にわたり改定され、阪神・淡路大震災当時は月額8万8,000円となっていた。
 本件賃貸借契約に際しては、賃借人のXから賃貸人のYに対し、「賃借保証金(敷金)」名で100万円が差し入れられており、賃貸借契約書には、「本件建物明渡しに際しては、敷金の2割引きした金額を返還する」旨のいわゆる敷引特約が定められていた。
 本件建物は、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災によって倒壊し、Xは本件建物から退去した。Xは、平成8年5月、Yに対し、敷金100万円の返還を求めて本件訴訟を提起した(なお、Xに賃料等の未払はない)。
 第一審(神戸地裁尼崎支部平8.9.27)は、Xの請求を全面的に認容し、控訴審(大阪高裁平9.5.7)では、逆に、一審の判決を取り消して、Xの本訴請求を棄却した。

(2) 判決の要旨
 ①居住用の家屋の賃貸借における敷金につき、賃貸借契約終了時にそのうちの一定金額又は一定割合の金員(以下「敷引金」という。)を返還しない旨のいわゆる敷引特約がされた場合において、災害により賃借家屋が消滅し、賃貸借契約が終了したときは、特段の事情がない限り、敷引特約を適用することはできず、賃貸人は賃借人に対し敷引金を返還すべきものと解するのは相当である。
 ②敷引金は、いわゆる礼金として合意された場合のように当事者間に明確な合意が存する場合は別として、一般に、賃貸借契約が火災、震災、風水害その他の災害により当事者が予期していない時期に終了した場合についてまで返還しないとの合意が成立していたと解することはできないから、他に敷引金の不返還を相当とするに足りる特段の事情がない限り、これを賃借人に返還すべきものである。
 ③これを本件について見ると、本件賃貸借契約においては、阪神・淡路大震災のような災害によって契約が終了した場合であっても敷引金を返還しないことが明確に合意されているということはできず、その他敷引金の不返還を相当とするに足りる特段の事情も認められない。よってXの請求には理由がある。


(3) まとめ
 本判決により、災害により賃借家屋が滅失し、賃貸借契約が終了した場合には、原則として「敷引き」という名目で敷金から金員を控除することはできないことになり、この方向で迅速な紛争解決が図られることが期待される。




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契約書の字句、内容のみでなく諸事情を考慮して一時使用と認めなかった事例

2008年08月06日 | 最高裁と判例集
 契約書の字句、内容のみでなく、契約締結に至る経緯、地上建物の使用目的、その規模構造等の諸事情を考慮して、一時使用のための土地賃貸借であるとは認めることができないとした事例 (東京高裁昭和61年10月30日判決、判例時報1214号)

 (事実)
 賃借人は昭和56年6月1日以降、軽量鉄骨造2階建を建築して家族と従業員10数名が居住して180坪の土地を使用していたところ、地主は、賃貸借は仮設作業所を建てることを目的とした一時使用の賃貸借であり、期間は1年の約束でその後契約をしたので、昭和60年5月31日に期間満了で終了した。よって、明渡せと要求した。

 一審の東京地裁では、判決文から理由はわからないが、借地人の敗訴であったが、高裁で逆転勝訴となった。

 (判決要旨)
 本件土地賃借権が建物所有を目的とすることは、弁論の全趣旨から明らかであるが、本件契約書には「土地一時使用契約書」なる表題が付せられている他、本件契約は借地法9条による一時使用のものであることを認めるなどの条項がある。しかしながら、賃貸借契約が一時使用を目的としたものであるかどうかは、契約書の字句、内容だけで決められるものではなく、契約書の作成を含めての契約締結に至る経緯、地上建物使用目的、その規模構造、契約内容の変更の有無等の諸事情を考慮して判断すべきものである。

 借地人は鉄筋工事の請負業者であるが、かねて近くの土地95坪を借地し、家族と従業員の宿舎を建てて居住していたが、そこの明渡を求められて、本件土地を賃借するようになった。契約書では、期間は昭和56年6月1日から1年間、賃料は月4万5000円とされ、その1年後には、賃料を月6万円、期間1年の再契約をし、その1年後には7万5000円、期間は2年間という再契約をし、それらの再契約のときには、特に本件土地の返還を要求することもなかった。

 以上の事実よりすれば、借地人は、契約の当初から短期間に限って土地を借りる意思ではなかったし、地主の方も、早期に本件土地の返還を受けるべき予定もなかったもので、その後の本件建物の建築及び土地の使用状況、借地人、地主の態度を考え合せれば、双方とも短期で契約を終了させる意思のもとに、一時使用の目的で本件契約の締結をしたことが明らかであるとは認められない。

 (解説)
 小さな工場や作業場などの土地賃貸借で期間5年、10年とかの法律に反するこういうk-スを見かける。借地人は借りたい一心で不当な契約を受入れてしまう。一時使用の賃貸借を拡大しようとする借地借家法の改正は、このようなケースを助長することになろう。


(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より



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違法生コン、新たに横浜市のマンション3物件 国交省

2008年08月06日 | 最新情報
 国土交通省は8月5日、六会コンクリートが出荷した建築基準法違反のレディミクストコンクリートに関する横浜市の調査で、新たに同市内のマンション3物件(泉区1物件、戸塚区2物件)で違法状態が確認されたと発表した。泉区のマンションでは74戸が引き渡し済み。戸塚区の1物件は工事中断中。泉区と戸塚区の1物件で、違法な溶融スラグの混入により、ポップアウト現象が発生していた。

 現時点では、ポップアウト現象が生じても構造耐力上で危険な状態ではないことが専門家により確認されている。現在、将来にわたって安全であることの検証を行っており、国交省では安全性が確認できそうな感触だという。8月中に結論を出す。

 今後の対応として、将来の安全性についての検証結果を踏まえ、物件ごとに安全性が確認できれば、個別に大臣認定を実施して適法化を図る方針だ。問題の原因となった溶融スラグの混入を一般的に認めることはしない。

 工事を中断したり、販売や引き渡しを見合わせている物件もあるが、適法化できそうな段階で行政から工事再開などの指導を行う方向で検討している。
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