東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

借地・借家の更新料問題学習会~更新料を払いたくない方ぜひご参加下さい~

2010年10月28日 | 借地借家問題セミナーと相談会
 借地や借家をしている方にとって、契約更新の度に高額な更新料を請求され、頭を悩ましている方が多いのではないでしょうか。借地人や借家人の方の中には、「更新料を支払わないと契約更新ができないのではないか」、「地主さんと大家さんもめると後でしっぺ返しくる」と思っておられる方が意外に多いのです。

ところが、更新料など1円も払わなくても、借地借家法ではなんの問題もなく、借地であれば更新料を支払ってしまった人と同じように20年の契約で更新できるのです。何百万円、何千万円という莫大なお金を支払っても、一円も払わなくても借地人の権利が法律上なんら変わらなく、20年の更新ができるのなら支払わない方がいいに決まっています。

現在、賃貸マンションの更新料を支払う契約は有効か無効か裁判所の判断が分かれて、今年か来年には最高裁で明瞭な判決が下る予定です。いずれにせよ法律上しっかりとした根拠を説明できないお金は支払う必要はありません。なぜ、支払わなくてもいいのか、皆さんに学習会で分かりやすくご説明します。奮ってご参加下さい。その他の相談にも応じます。


■日時 11月19日(金)午後6時半開会、9時まで
■会場 立川市柴崎学習館・会議室 
  (会場の案内)

■講師 東京多摩借地借家人組合
    事務局長 細谷 紫朗
■参加無料 定員30人になり次第締め切ります。
■申込みは組合事務所にお電話下さい。
 〒190-0023 立川市柴崎町4-5-3-101
 東京多摩借地借家人組合
 電話 042(526)1094
Email:union.tama.sh@sepia.plala.or.jp
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貧困ビジネス規制条例可決 大阪府、届け出制で罰則つき

2010年10月28日 | 最新情報
 生活保護受給者をアパートなどに住まわせ、保護費を吸い上げる「囲い屋」などの貧困ビジネスを規制する全国初の条例案が27日午後、大阪府議会で可決された。入居時の契約を受給者側から解約できるようにするほか、業者を届け出制とし、違反した場合は罰則を科す。ただ、効果を上げるには受給者の転居や自立に向けた行政の支援が欠かせない、との指摘もある。

 府内では全国最多の保護受給者を抱える大阪市を中心に貧困ビジネス業者が横行。同市から生活保護費を詐取したとして、5月には「囲い屋」とされるNPO幹部や、大手不動産仲介会社の社員らが相次いで府警に逮捕された。

 条例では業者に、事業開始前の知事への届け出や、料金やサービス内容の事前説明と契約書交付を義務づけた。また受給者が食事など生活サービスの契約をいつでも解約できるとし、違反業者には府が勧告、命令できるとした。命令に従わなければ6カ月以下の懲役か100万円以下の罰金を科す、と定めた。

 府は条例によって、保護費のピンハネや自立を阻む行為を防ぐのを狙う。原案を作成した橋下徹知事は「弁護士や福祉担当者が悪質業者と戦う武器になる」としていた。

 ただ、府議会に参考人として招かれたNPO法人「釜ケ崎支援機構」の尾松郷子さんは「業者に囲われる人は何らかの支援が必要な人が多い。規制だけできちんと支援しなければ、野宿に戻って死亡する危険がある」と指摘。同じ参考人として、大阪弁護士会の小久保哲郎弁護士も「転居費の支出など行政の支援がなければ、安心して解約権を行使できない」と述べた。

 このため府議会は条例の付帯決議で、府が大阪市などの生活保護担当者や医療、介護の関係機関と十分連携を取り、適切な転居支援をすべきだと求めた。

(アサヒコム 関西 10月27日)
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年金生活で高額な借地更新料払えない!

2010年10月27日 | 契約更新と更新料
大田区新蒲田地域に宅地約35坪賃借しているHさんは、平成22年6月の契約更新を控えて1月組合に入会した。

 前回は高額な更新料も地主とのトラブルを避けたいと払たが、今は年金生活で日々の生活に追われている状況の中で、地主の更新料請求にどう対処するかとの相談だった。

 更新料は法律上支払い義務はなく、最高裁判所も借地人に地主の更新料請求に応じて
支払う必要性はないと判決していますと相談に対する回答は明確だ。問題は地主とのトラブルを避けるために支払うか、自らの生活を守るために地主と正面から立ち向かうかの決意が大切と伝える。

 Hさんは6カ月前払いの地代を6月中旬に持参し、12月分まで受領された後に、地
主の口頭による更新料請求に対し、すでに法定更新されて更新期日後の地代も受領され、経済的にも更新料は支払えないことを内容証明郵便で通告した。1カ月後地主代理人の弁護士より内容証明郵便にて「契約期限後の受領した地代は返還するので更新料を支払へ」との通告だったが、地主からの返還はなかった。

Hさんは、年末に地代を持参し受領拒否されたら供託して、権利主張して頑張る決
意を固めている。



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東京都は居住貧困をなくし、家賃補助制度創設せよ! 東京住宅運動連絡会が予算要求

2010年10月22日 | 国と東京都の住宅政策
 東京住宅運動連絡会は、10月20日の午後2時から東京都都市整備局に対して2011年度東京都予算に関する要求書を提出した。当日は、東借連、公住協、公団自治協、公社自治協、住宅支部など6団体から代表8名が参加した。

 都市整備局長あての要求は全部で73項目、東借連から民間の借地借家人の要求18項目を提出した。都市整備局から担当課長代理の係長が出席し応対した。

 東借連の細谷事務局長は、「住宅弱者に対する総合的な住宅施策の拡充に関する要求」の中で、「石原都政になって12年連続で都営住宅の新規建設がストップする一方で、景気の悪化で居住貧困が加速し、都営住宅の応募倍率は平均30倍を超えている。これ以上居住貧困を放置することは許されない。都営住宅の入居資格のある民間賃貸住宅居住者に対し家賃補助制度を創設してほしい」と訴えた。

 また、ゼロゼロ物件など仲介・管理する不動産業者によって賃借人に一方的に不利益な契約が押し付けられている。都民住宅でも民間の管理会社が家賃滞納で不当な追い出し行為が行われている実態を指摘し、不動産業者への指導を強化するよう求めた。住宅連の代表は、その後石原東京都知事や都議会各派に対して予算要求書を提出し、都民の切実な住宅要求の実現を訴えた。
   
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家主が明渡し訴訟取り下げる

2010年10月20日 | 明渡しと地上げ問題
 町田市のAさんは、入居直後から異常な家主から理不尽ないやがらせを受け、挙句の果てに新家主である業者に借りている建物を売却され、明渡しの訴訟を起こされました。この度、勝ち目のない裁判を家主が取り下げ、契約をあらたに締結したことについて報告があり、匿名ということでAさんのお手紙を紹介致します。

『3月に義父が急死し、その告別式の直前に弁護士さんから電話が入りまして家主側から和解の申出がありました。その後、こちらがその申し出を受け入れましたので家主は(明渡し)訴訟を取り下げました。今回の新契約の際にも、あちらは駐車場を取り上げようとしたり、少しでもこちらの権利を奪おうと色々働きかけてきましたので、それらを排除するのに素人の私どもにはかなりの精力が必要でした。それでも弁護士の権威とプロフェショナルな発想で何とか切り抜けられそうな一般的な契約書に落ち着きました。それで、更新可能な2年間の契約ということになりました。

 私どもは、この件で精神的、肉体的、経済的にあまりにもたくさんの痛手を受けましたので、勝ちだか負けだかわかりません。

 だが、次の更新までの2年間だけは少なくとも静かに暮らせることを喜んでおります。どっちみち、こんな目に会わされたことの運命と受け止めるだけです。このような意識の低い家主の借家にいる限り、いつなんどき家主からどのような理不尽な申出を受けるか分かりませんので、このまま借家人組合に所属していたいと思いますのでよろしくお願い致します。』(東京多摩借組ニュースより)


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契約更新で家賃値上げ等拒否したら、家主が勝手に作業所に侵入

2010年10月19日 | 借地借家人組合への入会と組合の活動
 北区豊島でクリーニング業を経営している岡崎さんは、父親の代から同所で営業を継続している。今年3月で賃貸借契約の更新を迎え、家主から更新料及び現行賃料の20%アップを要求された。

 岡崎さんは、賃料については不景気で経営が厳しいが話し合いで5%位なら考慮するが、更新料については賃貸借契約上約束していないこと、また更新料は法律上支払う義務がないので応じられないと請求を拒否した。

ところが岡崎さんの休みの日に、家主は作業所の顧客の品物保管場所の木戸の鍵を勝手に開け、室内に入り込み、壊す行為に出たため、組合の指導で即パトカーを呼び不法侵入に厳重に注意し、再度このような行為をした場合は事件として取り扱う旨を警告したところ現在家主はおとなしくなった。家賃は受領を拒否され、現在供託中である。  
(東京借地借家人新聞10月号より)


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組合の催物とお知らせ

2010年10月17日 | 東京借地借家人組合連合会
■城北借組「西武デパート相談会」
 11月17日(水)・18日(木)午前11時~午後5時(午後1時~2時昼食休憩)まで、西武デパート7階お客様相談室。
 「無料法律相談会」
 11月19日(金)午後2時から組合事務所。相談者要予約。連絡・(3982)7654。
■多摩借組「更新料問題学習会」
 11月19日(金)午後6時30分から立川市柴崎学習館。連絡・042(526)1094。
■江東借組「法律相談」
 毎月第2水曜日午後6時から大島総合区民センター。
 「第42回定期総会」
 11月28日(日)午前10時から大島総合区民センターで。昼から別会場で懇親会。
 連絡・(3640)4694。
■葛飾借組「定例相談」
 毎週水・金曜日の午前10時から組合事務所。連絡・(3608)2251。
■足立借組「定例相談」
 毎月第2日曜日午後1時から2時、組合事務所。連絡・(3882)0055。
■荒川借組「夜間相談会」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から組合事務所。
 「法律相談」
 毎月第3金曜日の午後7時から組合事務所。相談者は要予約。連絡・(3801)8697。
■北借組「法律相談」
 毎月第1・第3水曜日午後7時から赤羽会館。相談者は要予約。連絡・(3908)7270。
■世田谷借組「相談会」
 毎月23日午後2時~7時まで組合事務所。連絡・(3428)0828。



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借地借家問題市民セミナー 10月16日府中市で開催

2010年10月13日 | 借地借家問題セミナーと相談会
   ──こんな問題で悩んでいませんか──
■借地の契約更新で高額な更新料を請求されている!
■地主が突然土地を不動産業者に売却してしまった!
■賃貸マンションの契約更新料を払いたくない!
■借地上の建物を増改築したいが地主が許可しない!
■借家の退去後に高額なリフォーム費用請求された!
■借地権を相続したら名義変更料を請求された!
■借地権を売却したいがどうしたらよいか! 
  この他にも、皆さんの悩みにズバリお答え致します。

◎ 日時 10月16日(土)午後1時30分開会

◎ 会場 ルミエール府中 2階講習会議室

◎ 講師 東京多摩借地借家人組合 
  事務局長 細谷紫朗氏

◎ 講演 「借主の知らないと損する借地借家の法律知識」

  講演終了後、質問・相談を受付けます。 参加無料
組合では土・日・祝日を除き毎日 午前10時からご予約の上ご相談に応じています。

主催・お問合せ  東京多摩借地借家人組合

立川市柴崎町4-5-3いわなビル1階 

℡042(526)1094 
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借地を地上げ屋が隣接借地人に売却

2010年10月13日 | 明渡しと地上げ問題
大田区西六郷地域に約16坪(私道分含む)を賃借中の石山さんは夫の借地権を継承し、この程地上げされ80歳の老齢で地上げ屋と対決している。

土地を買うか借地権を売るかという地上げ屋に対し「買うにもお金はないし、気に入
った所なので移転する考えはないことを伝え、高齢者をいじめるなと」主張すると、警察を呼んでも問題はないよ低姿勢となったという。区の法律相談で組合を紹介された。相談は地上げ屋の勧めで隣接者(同一借地人)が、石山さんの底地を買取る検討をしているとのことで、今後の対応についての相談となった。

 早速、隣接者より「土地の所有者となったので、1年6か月後の契約期限満了で契約解除するので、今後の地代は受領しないから移転の準備をするように」と内容証明郵便で通告してきた。 石山さんは、今後も契約を継続するので地代を提供し、受領拒否を確認して供託する決意である。


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家賃19年滞納、保証人に3百万円請求 大分・宇佐市

2010年10月12日 | 最新情報
 大分県宇佐市が、市営住宅の家賃を19年滞納した50代女性と連帯保証人で同県中津市に住む弟に約300万円の支払いと女性の退去を求めて提訴し、弟と争っている。弟は「過去、市からも姉からも何の話もなかった。20年近く放置した責任は行政にもある」と、市は「連帯保証人への請求は法的に問題ない」とそれぞれ主張している。

 訴状によると、女性は1990年、旧安心院町(現宇佐市)の町営住宅に入居した。1年後から家賃が滞り、滞納額は今年2月末で148万8千円に達した。

 市は今年4月、大分地裁中津支部に提訴。昨年9月、翌月末までの退去を求めたが、女性は応じなかった。請求は2月末までの滞納金148万円と延滞料153万円。延滞金利は国や自治体で一般的な年14.6%。女性は出廷も意思表明もせず、女性に対しては市が7月に全面勝訴した。

 弟は「市や旧町から過去に連絡や催促はなく、姉とも年1、2回会う程度で滞納の話はなかった」と言う。過去3回の弁論で、3カ月以上の滞納者に退去請求できると定めた旧町や市の条例を指摘して「行政が初期に対処しなかったのは怠慢。数カ月分の支払いには応じる」と主張した。

 取材に対して市は「現在は連帯保証人に滞納状況を通知しているが、過去はしていなかった」と認める半面、「連帯保証人には責任がある。財政は厳しく、滞納はできるだけ解消したい」と譲らない。

 連帯保証人を提訴するかは自治体によって様々だ。熊本市は「名義人に支払わせるのが第一原則」として訴えていない。大分県も「今後は訴える方向だが、連帯保証人の責任の明確化など訴訟を提起するための条件整備ができていない」と担当者は話す。

 福岡県は連帯保証人も訴えているが、入居者が2カ月以上滞納すると定期的に連帯保証人に催告書を送っており「連帯保証人が滞納を知らないという事態はない」という。

宇佐市営住宅約1600戸の09年度末の家賃滞納は累計1億3800万円。大分県内18市町村では大分市の2億6千万円に次ぐ。

 宇佐市は08年度以降、滞納者への最終催告書を市長名から弁護士名に変更し、建物明け渡し訴訟を起こし始めた。08、09年度で計15件提訴し、同年度の訴訟の請求額は200万~64万円。家賃の収納率は07年度末の61.0%から2年連続で上昇し、09年度末は61.68%になった。滞納額も2年で約780万円減った。

 市の担当者は「最終催告書を出してから200万円の滞納額を一括で支払ったケースもあった。これまでの怠慢のそしりは免れないが、滞納を将来に引きずるわけにはいかない」としている。(阿部彰芳)

(1朝日 10月12日)
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●定期借家契約は賃借人に対し書面の交付の説明がない限り定期借家契約の効力は認められない

2010年10月09日 | 最高裁と判例集
 定期借家契約につき賃貸人から賃借人に対して借地借家法三八条二項所定の書面の交付があったとした原審(東京高裁)判決が取り消された事例(最高裁第二小法廷平成二二・七・一六・裁判所WEB掲載)


 賃貸人は、平成一五年一〇月二九日賃借人と定期賃貸借建物契約書で期間を同年一一月一六日から平成一八年三月三一日まで賃料を月額二〇万円とする契約を締結し、同月三一日定期建物賃貸借公正証書が作成された。賃貸人は期間満了後に本件は借地借家法三八条所定の定期建物賃貸借であり期間の満了により終了したと建物明渡し及び賃料相当損害金の支払を求め提訴。賃借人は法三八条二項所定の書面(「説明書面」)の交付及び説明がなく定期建物賃貸借に当たらないとして、本件建物につき賃借権を有することの確認を求め提訴。
 地裁、高裁とも賃借人敗訴。東京高裁は「公正証書に『賃貸人が賃借人に対し、本件賃貸借には契約の更新がなく、期間の満了によって終了することについて、あらかじめ、その旨記載した書面を交付して説明したことを相互に確認する』との条項があり、同証書末尾に『公証人役場において本件公正証書を作成し、賃貸人及び賃借人に閲覧させたところ、各自これを承認した』との記載があるので、本件につき説明書面の交付があったと推認するのが相当であり、本件賃貸借は借地借家法三八条所定の定期建物賃貸借であり期間満了により終了した」として、賃借人の請求を認容し、賃借人の控訴を棄却した。
 最高裁は、「賃貸人は、本件賃貸借の締結に先立ち説明書面の交付があったことにつき主張立証をしていないに等しく、それにもかかわらず、単に、本件公正証書に上記条項があり、賃借人においてその公正証書の内容を承認していることのみから、法三八条二項において賃貸借契約の締結に先立ち契約書とは別に交付するものとされている説明書面の交付があったと原審の認定は、経験則又は採証法則に反する」として、高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。
 定期建物賃貸借契約が成立するのは、「賃貸借契約の締結に先立ち契約書とは別に説明書面が交付されていなければならない」ことは、借地借家法三八条一項とは別に同条二項が説明書面の交付を要求していることから本来明白である。しかし、従来下級審の中には賃借人が契約書において定期建物賃貸借であり更新がないことを具体的に認識していた場合は契約書と別個独立の説明書面を要しないとするもの(東京地裁平成一九年一〇月二九日民事五〇部・判例タイムズ一二七五号二〇六頁)があった。
 今回の最高裁の判決は、賃貸人は契約書とは別個独立の説明書面を交付していない限り定期建物賃貸借契約の効力(更新がないこと)を主張できないことを改めて最高裁として明示した点で、このような緩やかな解釈を排斥した点で、実務上重要である。


(弁護士 田見高秀) 東京借地借家人新聞10月号より

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定期借家契約は賃借人に対し書面の交付の説明がない限り認められない

2010年10月09日 | 最高裁と判例集
 定期借家契約につき賃貸人から賃借人に対して借地借家法三八条二項所定の書面の交付があったとした原審(東京高裁)判決が取り消された事例(最高裁第二小法廷平成二二・七・一六・裁判所WEB掲載)


 賃貸人は、平成一五年一〇月二九日賃借人と定期賃貸借建物契約書で期間を同年一一月一六日から平成一八年三月三一日まで賃料を月額二〇万円とする契約を締結し、同月三一日定期建物賃貸借公正証書が作成された。賃貸人は期間満了後に本件は借地借家法三八条所定の定期建物賃貸借であり期間の満了により終了したと建物明渡し及び賃料相当損害金の支払を求め提訴。賃借人は法三八条二項所定の書面(「説明書面」)の交付及び説明がなく定期建物賃貸借に当たらないとして、本件建物につき賃借権を有することの確認を求め提訴。

 地裁、高裁とも賃借人敗訴。東京高裁は「公正証書に『賃貸人が賃借人に対し、本件賃貸借には契約の更新がなく、期間の満了によって終了することについて、あらかじめ、その旨記載した書面を交付して説明したことを相互に確認する』との条項があり、同証書末尾に『公証人役場において本件公正証書を作成し、賃貸人及び賃借人に閲覧させたところ、各自これを承認した』との記載があるので、本件につき説明書面の交付があったと推認するのが相当であり、本件賃貸借は借地借家法三八条所定の定期建物賃貸借であり期間満了により終了した」として、賃借人の請求を認容し、賃借人の控訴を棄却した。

 最高裁は、「賃貸人は、本件賃貸借の締結に先立ち説明書面の交付があったことにつき主張立証をしていないに等しく、それにもかかわらず、単に、本件公正証書に上記条項があり、賃借人においてその公正証書の内容を承認していることのみから、法三八条二項において賃貸借契約の締結に先立ち契約書とは別に交付するものとされている説明書面の交付があったと原審の認定は、経験則又は採証法則に反する」として、高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。

 定期建物賃貸借契約が成立するのは、「賃貸借契約の締結に先立ち契約書とは別に説明書面が交付されていなければならない」ことは、借地借家法三八条一項とは別に同条二項が説明書面の交付を要求していることから本来明白である。しかし、従来下級審の中には賃借人が契約書において定期建物賃貸借であり更新がないことを具体的に認識していた場合は契約書と別個独立の説明書面を要しないとするもの(東京地裁平成一九年一〇月二九日民事五〇部・判例タイムズ一二七五号二〇六頁)があった。

 今回の最高裁の判決は、賃貸人は契約書とは別個独立の説明書面を交付していない限り定期建物賃貸借契約の効力(更新がないこと)を主張できないことを改めて最高裁として明示した点で、このような緩やかな解釈を排斥した点で、実務上重要である。


(弁護士 田見高秀)  東借連のホームページより
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地主提案の契約書案を訂正・削除させる

2010年10月08日 | 賃貸借契約
 八王子市のYさんは、昭和26年から地主と借地契約を結んでいます。契約期間は当時5年契約で旧借地法では20年以下の契約は無効となり、30年の契約で昭和56年以降は法定更新され、ています。

 この程、地主から契約書を作成したいとの提案があり、契約書案が送られてきました。Yさんは組合と相談し、地主の代理人の弁護士が作成した契約書を検討し、9ヵ所ほど指摘しました。例えば、「火災その他天災により別紙記載の建物が滅失したときは、本件賃貸借契約は終了する」とか「乙は、本件土地明渡しに際し、甲に対し移転料その他名目の如何を問わず金銭上の請求をしない」等の削除をしたり、訂正を要求しました。

 地主は、Yさんの提案を認め、契約書を訂正してきたので、契約書の作成に応じることにしました。なお、契約期間は法定更新された期間から平成13年8月1日から平成33年7月31日までとしました。地主の提案する契約書の多くは、弁護士と相談していますので、契約書を提案された場合には書名・捺印する前に、必ず組合か組合の顧問の弁護士さんにご相談下さい。


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消費者機構日本がシンエイ・シンエイエステートに契約書の是正申入れ

2010年10月07日 | 消費者トラブルと消費者契約法
 当機構は、不動産事業者である㈱シンエイ及び㈱シンエイエステート(以下「シンエイ等」 両事業者の本社:東京都立川市)が使用する貸室賃貸借契約書と短期一時使用契約書の条項に、消費者契約法第10条等に抵触する定めがあるとして、削除等を求める申入れ(2009年12月25日)を行いました。
 当初、シンエイ等は貸室賃貸借契約書から更新料支払条項と督促手数料条項に関しては削除しない旨の回答(2010年2月5日)をしていましたが、再度、当機構が督促手数料条項の削除の申入れ(同年3月31日)を行ったところ、シンエイ等から督促手数料条項は削除する旨の回答(2010年4月15日付)を得ることができました。更新料支払条項を削除しない理由についてシンエイ等は、更新料支払条項の有効無効をめぐっては、現在、高等裁判所レベルにおいて、その判断が分かれていることを理由にあげています。
 その後(2010年7月下旬)、シンエイ等から改定した賃貸借契約書と定期建物賃貸借契約書(シンエイ等は短期一時使用契約の形態を廃止し、定期建物賃貸借契約の形態に改めた)の提示を受けました。シンエイ等は、既に改定賃貸借契約書と定期建物賃貸借契約書の使用を開始しているとのことです。
 当機構の申入れ要旨とシンエイ等の回答要旨、並びに、現在、実際に使用されている改定賃貸借契約書の状況は下記【表】のとおりです。特に不当性が強かった"督促手数料条項"(【表】申入れ事項2)、"延長更新料条項"(【表】 申入れ事項3)、"自力救済条項"(【表】申入れ事項8、10)については、改定賃貸借契約書等では削除されています。
 当機構は改定賃貸借契約書等については、消費者契約法等に反する条項が存在しないか、改めて精査しているところです。

消費者機構日本の申入れ内容
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更新料問題学習会が大盛況

2010年10月05日 | 学習会と交流会
 多摩借組は第18回目の定例学習会を9月25日午後1時30分から組合事務所において開催しました。今回のテーマは「更新料問題」で、関心の高いテーマであり12名が参加しました。とくに、初参加の方や若い方の参加が目立ちました。

 はじめに、参加者全員の自己紹介が行なわれました。続いて、細谷事務局長より今年の5月26日に開催された東借連主催の学習会「借地・借家の更新料をめぐる裁判例」のレジメに基づいて報告がされました。その中で、借地の更新料の不払いで契約が解除された最高裁の昭和59年4月20日の判決、更新料の支払の特約が法定更新の場合適用されないとして更新料不払いでも契約解除が認められなかった東京地裁昭和59年6月7日の判決を紹介しながら、二つの正反対になった判例の違いについて解説しました。

 更新料を支払う特約は、裁判では有効になるか無効になるか分からないので、組合員の皆さんは更新料の特約の付いた契約書は締結しない、また特約付契約書であっても直ちに支払に応じるのではなく、まずは交渉で更新料は貸主(不動産業者)の言い成りには払わないことが重要であると強調しました。更新料を支払う特約がない場合には、「更新料の支払義務はない」と堂々と主張し、相手が応じない場合には法定更新にする旨を主張することが重要であることを強調しました。

また、相手方が更新料の不払いを理由に債務不履行で明渡しを求めてきた場合や、借主が明渡しが困難な生活状況にある場合には、更新料だけの問題ではすまないことになるので、リスクをおかして裁判まで争うのかどうか慎重な対応が必要であることが説明されました。

 質疑では、「不動産業者は新しい物件を借りる際には借主に不利な特約を削除してくれない」、「借主にとって新規に物件を借りる時はとても不利な立場にあるので、更新の時に更新料の削除を求めるしかない」、「来年借地の契約更新を迎えるので次の契約書は注意したい」等の意見が交流されました。また、地代減額の調停・裁判を借地人の側で提訴した組合員より、地代を減額させる成果を上げた経験が報告されました。
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