東京多摩借地借家人組合

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厚生労働省、住居確保給付金 10万件支給

2020年11月17日 | コロナと家賃滞納
https://www.zenchin.com/news/post-5644.php

 コロナ不況で支給要件が緩和された「住居確保給付金」の申請・支給件数が高水準で推移している。厚生労働省によると、2020年4
~9月の累計支給件数が10万3918件と、半年間で19年度の支給件数の約26倍に増えた。空き家を除いた国内賃貸住宅の0.7%に相当する
規模だ。この推移について、「申請・支給のピークは過ぎた」と捉える管理会社が目立つ一方、倒産・失業の増加次第では、6月以降
減少している申請件数が増加に転じるとの見方もある。データを元に不動産事業者の声を探った。

4~9月 国内の賃貸住宅の1%弱

 「住居確保給付金」は、離職や廃業によって住居を失うおそれが生じている人に、実際の家賃額を原則3カ月間支給するというも
の。新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、4月より給付要件を緩和。離職・廃業していなくとも、それと同程度まで収入が落ち込
んだ人も給付対象に加えることにし、この給付金制度の認知度も急拡大した。
 4~9月の累計支給件数は10万3918件。単純計算で、全国の賃貸住宅1906万5000戸(総務省調べ)から空き家を引いた1500万戸弱の0.7%
に上る。
 4月の支給件数は3409件だった一方で、申請件数は9459件まで増加。5月には申請件数がピークを迎え、4万4811件に上った。支給件
数は2万7040件だった。6月は申請が3万1167件とやや減ったものの、前月の積み残しもあり、支給は3万4869件となった。以降は申請も
支給も減少傾向にあるが、9月でも申請7375件、支給7819件と、例年より異常に高い水準のままだ。
 支給額の上限は、市区町村ごとに定める生活保護制度の住宅扶助額で、最長9カ月間まで延長が可能。給付金は家主や不動産媒介事
業者らへ自治体から直接支払われる。

申請減でも残る不安

 賃貸住宅7076戸を管理する冨士物産(静岡県浜松市)では、「住宅確保給付金」に関する手続きを5~7月は毎月10件ほど、それ以降は
月に3件ほど行っている。例年は年に1、2件程度。受給者は飲食業やフリーランスの単身者が目立った。営業推進部の西田行宏部長
は、「ピークは過ぎたが、収入減で貯蓄が尽きて新たに受給する人が毎月いるようだ」と話す。今後については、支給額と実際の賃料
の差額によって、滞納額がかさんでいる人が多数いる点を懸念しているという。
 4471戸を管理するハウスプロメイン(兵庫県神戸市)では、5月に30件ほど手続きを行った。例年は1年間を通してもほとんどなかった
という。6月にも10件ほど手続きを行ったが、以降はほとんどない。「支給を受けられるような人たちは5月に一通り申請し終わったの
ではないか。支給対象は単身者が多かったが、職種も年齢層もバラバラの印象」と営業部の豊岡和樹課長は話す。今後については、
「8月に感染者が急増したときには、あまり影響がなかった。第3波も影響がないと思いたい」と、不安を抱えながらも悲観はしていな
い様子だ。
 2500戸を管理するホーミングライフ(東京都新宿区)は、5月に25件の手続きを行った。以降は月に1件もしくは0件だ。例年は年に1件
あるかないかだったという。経理課・平原聡氏は「必要な人は5月に申請を終えた」とみている。受給者は、飲食業や非正規雇用単身
者が目立った。今後については、「第1波、第2波は乗り切ったが、次の第3波で耐えきれなくなって申請する人が出てくるのではない
か」と警戒感を示す。
 帝国データバンク(東京都港区)の調べによると、4~9月における負債額1000万円以上の企業倒産数は全国で3858件で、過去30年で最
少。10月も前年同月比17.6%減の647件と低水準。データソリューション企画部情報統括課の神山竜哉氏は、「行政や銀行による資金繰
り支援の下支えで、当面は低い水準のまま推移する見込み。ただ、ビジネスモデルの転換を迫られている企業は多く、増加に転じるリ
スクをはらんだ状況が続きそうだ」と話す。
 コロナ禍の影響は減少傾向にあるが、家賃滞納や退去が増える可能性は残っているようだ。

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「相当の更新料」は払わなくてよい!

2020年11月05日 | 最高裁と判例集
借地について,契約書などの書面に更新料の記載がない場合,借地人が更新料を支払う法的義務はないとされています(最高裁判所昭和51年10月1日判決)。

それでは,書面で更新料を支払うという記載があった場合,借地人は,更新料を支払う法的義務があるのでしょうか。

今回,ご紹介するのは,書面に「相当の更新料」を支払うという記載があった場合のケースで,東京高等裁判所は,令和2年7月20日,「更新料の支払請求権が具体的権利性を有するのは,それが,更新料の額を算出することができる程度の具体的基準が定められていることが必要であるところ,本件合意第3項は,その「相当の更新料」という文言が,抽象的で,裁判所において客観的に更新料の額を算出することが出来る程度の具体的基準ではないから,具体的権利性を肯定することはできない」と判示しました(なお,地主から,この判決に対する異議申し立てはなく,この判決は,確定しています。)。

 この判決は,一義的かつ具体的に記載された更新料条項に関し,高額に過ぎるなどの特段の事情がないかぎり,消費者契約法に反しないとした最高裁判所平成23年7月15日判決と同様,その記載を見ただけで,誰が計算しても,更新料の金額にブレがない場合でなければ,更新料を支払う必要は法的にはないと明言したものです。

 つまり,「相当の更新料」だけでなく,「相応の更新料」や「相場の更新料」という記載でも,更新料を支払う必要はありません。さらに,「路線価を基準にした更新料」や「更地価格の5%の更新料」という記載も,見た人によって,金額にブレが出るので,同様に,更新料を支払う必要はありません。他方,借家であれば,「新家賃の1か月分の更新料」,借地であれば,「更新日に確認できる最新の路線価に借地面積を乗じた金額の3%の更新料」と書いてあれば,誰が計算しても,同じ金額になりますから,このような場合のみ,更新料は支払わなければならないということです。

 この判決を受け,ご自身の契約書に,誰が見てもブレない金額の更新料の定めがあるかを確認し,そういう定めがなければ,更新料を支払わないという選択肢を検討することをお勧めします。
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コロナ禍で賃貸困難の相談増 要配慮者「居住支援」増す重要度

2020年11月04日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www.at-s.com/news/article/topics/shizuoka/820458.html

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済的打撃を受け、低額所得者や高齢者など「住宅確保要配慮者」とされる人の円滑な入居をサ
ポートする居住支援の活動が重要度を増している。静岡県内で最初に居住支援法人の指定を受けた「WAC(ワック)清水さわやか
サービス」(静岡市清水区)によると、感染が拡大し始めた春以降、失職した人からの相談件数が高水準で推移。しかし、制度の歴史
が浅く認知不足や、支援団体の少なさから県全域をカバーする体制が敷かれていないのが現状だ。
 勤務先の自動車部品工場の業績悪化で、2月に派遣契約を突然解除された男性(38)が10月上旬、同法人を訪れた。現在は在職
中と同じ家賃約4万2千円のアパートに住んでいるが、コロナ禍で再就職の求人が少なく、生活保護を受給して暮らしをつなぐ日々。
静岡市の家賃補助の上限額である月3万9千円以内のアパートを探している。鈴木久義代表が低額所得者に理解ある不動産会社の中か
ら、男性の希望に合う物件を提案した。男性は「生活保護を受けていると話した途端、物件を紹介してくれない不動産会社も多い」と
支援の必要性を語る。ワック清水では、必要に応じて不動産会社との交渉や入居後のサポートを行う。
 ワック清水によると、今年9月までの相談は64件で、すでに昨年1年間の相談件数を超えている。活動を始めた2018年当初
は、家が見つからない高齢者や障害者からの相談が多かったが、感染拡大と共に派遣切りにあった人からの相談が上乗せされたとい
う。男性も初めてワック清水を訪れたのは今年5月。鈴木代表は「社員寮に入っていた人は雇用契約解除で即退去となる。今現在家が
ある人はどうしても優先順位が下がってしまう」と人手不足を嘆く。
 県内には他に三つの居住支援法人があり、活動は広がりつつある。しかし各法人の活動区域は団体の所在地中心なのが現状。鈴木代
表は「支援を県内に行き届かせるには法人数がまだ足りない。要配慮者に認知が広がらない要因にもなっている」と話す。

 ■入居後の見守り、交流の場を/静岡県立大短期大学部 佐々木隆志教授(社会福祉)

 社会福祉が専門の県立大短期大学部の佐々木隆志教授は、物件所有者が低額所得者や高齢者への賃貸契約をためらうのは、家賃滞納
と物件の価値が低下することへの二つの懸念が要因と指摘する。
 生活保護受給者は真面目に働かないという誤解は根強く、入居者が高齢の場合は孤独死の可能性も考える大家も多いという。そのた
め賃貸契約の仲介だけでなく、入居後の見守りを行う居住支援は今後一層重要になる。
 居住支援は制度としてまだ新しい。佐々木教授は「行政が周知活動に努めるべき。空き家問題の解消にも一役買うはず」と話す。そ
れと同時に、住民同士が自然に交流できる場を設け、多様性を受け入れる地域づくりも進める必要があるとした。

 <メモ>居住支援法人 住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を図るため、住宅情報の提供、相談、見守りなどの生活支
援を行う組織。2017年に施行された改正住宅セーフティーネット法を基に、都道府県が指定する。県内ではWAC清水さわやか
サービス(静岡市清水区)、天竜厚生会(浜松市天竜区)、静岡生活振興会(袋井市)、ふじのくにコンシェルジュ(富士宮市)が指
定を受けている。静岡生活振興会は県内全域を活動区域としているが、東部地域の相談はメールや電話相談が主という。

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