東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

更新料の支払い拒否で提訴 京都地裁に大学院生の訴えで

2008年04月30日 | 契約更新と更新料
 賃貸住宅の借り主が1、2年ごとに家主に支払う更新料の妥当性が訴訟で争われる中、家主側を支援する「貸主更新料弁護団」(代表・田中伸弁護士)は28日、更新料の支払いを拒否しているとして、京都市北区の大学院生(26)に10万6000円の支払いを求める訴えを京都地裁に起こした、と発表した。借り主から起こされた訴訟の京都地裁判決が更新料制度を「有効」としたことを受け、家主側が「反撃」に打って出た格好だ。

 更新料制度をめぐっては、「消費者の利益を一方的に害し、無効」と主張する「京都敷金・保証金弁護団」(団長・野々山宏弁護士)の支援で昨年4月、既払い分の返還請求訴訟が起こされた。今年1月の地裁判決は「更新料は家賃の前払いに当たり、有効」と判断し、訴訟は現在、大阪高裁で争われている。

 田中代表は「返還請求への対応だけではなく、今後は支払いを求めていく」と積極姿勢を強調する。訴状などによると、大学院生は今年4月の契約更新時に、「消費者契約法により無効」とする文書を家主に示し、更新料10万6000円の支払いを拒否したとされる。 (京都新聞4月28日)



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

相談員養成学習会の継続を確認  東借連第13回理事会

2008年04月30日 | 東京借地借家人組合連合会
東借連第13回理事会が4月24日午後6時30分から豊島区東部区民事務所において役員10名の参加で開催された。

 理事会では、前回理事会以降の経過報告、3月の拡大集計報告、3月の新規相談者報告が細谷専務理事より、3月の収支報告が桜井会計よりそれぞれ報告された。
 討議事項では、①東借連第1回相談員養成学習会について参加した役員より「特別法(借地借家法)と一般法(民法)の関係が明確になった」。「昭和16年に導入された正当事由の意義がよく理解できた。正当事由の役割と導入された経緯をもっと組合員に知らせ学習していくことが重要だ」等の感想が述べられ、学習会について常任弁護団と協議して、継続して開催することを確認した。

 ②今年の6月14日の「住まいは人権デー」は、「住宅貧困110番」を行ない、賃貸トラブルの相談を東借連として担当していくことが議論された。③「夏季研修会」について今年は、「相談員養成学習会」のテーマである借地借家法の学習を継続してはどうかという意見が出された。

 ④組織の拡大強化では、入会申込書付リーフレットを当面2万枚作成する。宣伝用ポスターはシールを付けて各組合に5月中に無料配布。講座・相談会は各組合の申告で、1回1万円を補助する(年間2回まで)を確認した。

 ⑤7月4日・5日に大阪で開催の全借連第27回総会について、東借連として来年の東借連総会で規約上も関係を明確にすることを前提に積極的に参加することを確認した。



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『民事訴訟通告書』で架空請求! 連絡すると高額な料金を要求!!

2008年04月28日 | 裁判手続き
◎実施の理由

 PIO-NETに寄せられる架空請求に関する相談件数は、2004年度をピークに年々減少傾向である。しかし、今回、各地の消費生活センターに、「弁護士と販売業者の連名で『民事訴訟通告書』という文書が届いた。通信販売の商品代金が未納なので民事訴訟の手続きをとるという内容だが、身に覚えがない」という相談が多く寄せられている。

 なかには、法律事務所に連絡した相談もあり、「約50万円支払えば訴訟を取り下げる。後日、弁護士費用2万円と商品代金2万円弱を差し引いて、残りは返金する」と言われるケースが多いようである。

 当センターの調べによると、同様の手口の相談は各地のセンターに寄せられており、『民事訴訟通告書』の文面はほぼ同一であった。同一の業者が、一定期間に集中してある一定の地域に送りつけていることがわかってきた。地域によって販売会社名や弁護士名・法律事務所名なども変更しているようである。

 今回の手口の特徴は、(1)短期間にある一定の地域を狙って集中的に送りつけていること、(2)実在しない弁護士名・法律事務所名を騙っていること、(3)連絡すると金銭を要求し、一旦お金を振り込めば訴訟を取り下げて未納の商品代金と弁護士費用2万円を差し引いて後日返金すると約束して振り込ませていることである。

 消費者被害の未然・拡大防止のために注意喚起することとする。




◎相談事例

 男性系サプリメントを購入した際の商品代金が支払われていないという『民事訴訟通告書』という文書が届いた。文書には販売会社名と、その代理人の法律事務所名と連絡先が記されていた。訴訟に関する詳しい内容は法律事務所に連絡するよう記載されていたため電話したところ、「2年前の通信販売の商品代金6,800円が未払いである。再三の請求にも応じないので民事訴訟を起こすことになる。今ならまだ民事訴訟を取り下げることができるので、一旦52万5千円を振り込んでもらえれば、未払いの商品代金6,800円と弁護士費用2万円を差し引いて後日返金する」と言われた。身に覚えはなかったが、当日言われるままに支払った。すると、翌日、電話があり、販売業者が納得していないので、あと45万5千円を振り込むよう連絡があった。約90万円は、後日返金することになる旨の説明をされ、言われたとおり支払った。

(40歳代 男性 給与生活者)




◎消費者へのアドバイス

連絡すると民事訴訟を取り下げるための料金を請求されるおそれがあるので、身に覚えのない場合は、決して連絡しないこと。
もし、連絡を取ってしまい、後日返金するからお金を振り込むように言われても、決して応じないこと。
これ以上の個人情報を知られないようにすること。
もし、間違って振り込んでしまった場合は、早急に警察及び当該金融機関に連絡し、振込先口座の凍結を願い出ること。
身に覚えのない請求を受けた際は、業者に連絡したり、振り込んだりする前に、消費生活センターまでご相談すること。 (国民生活センター)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東借連が「第1回相談員養成学集会」を開催

2008年04月26日 | 東京借地借家人組合連合会
 東借連の「相談員養成学習会は」が4月19日午後1時30分から豊島区東部区民事務所において、9組合及び全借連の神奈川・千葉県連から25名の参加で開催された。

 野内副会長の司会で開会され、佐藤会長が主催者を代表して挨拶した。学習会の講師の東借連常任弁護団の榎本武光弁護士より1時間30分にわたって借地借家法との関係で「民法の賃貸借」について講演がされた。

 借地借家法は民法の特別法

 榎本弁護士は、はじめに相談員になるための心得として、「分ることと分らないことを区分する。分らないことを相談者が喜ぶようないい加減な回答をしてはいけない。相談者のかかえている問題、生活の背景を含めて事実関係を詳しく聞くことが大事で、分らないことがあっても、後で調べて他の人に聞いて正しい結論を得ることが出来る」と指摘した。相談員は「相談の内容について、問題の周辺のことも調べていくと、相談を受けるに従って知識が広がり、相談員の力量を高めることが出来る」と説明した。

 今回の学習会は第1回目として、借地借家法が生まれてきた背景、基盤、民法との関係について、借地借家人にとっての武器である借地借家法をどういう風に使っていったらよいか等が説明された。

 借地借家法は、民法の基盤の上の特別法の関係になり、借地借家法や契約にない事項は民法の定めに従うことになる。民法の存続期間、不動産の対抗力など不十分な点があるが、借地借家法では借地借家人の権利を保護する手当てがされ、「借地借家法が民法に優先する関係になっている」と説明した。

 正当事由の歴史的意義と経緯学ぶ
 
 次に、借地借家法の正当事由制度は、戦争中に銃後の家族を守るためと称して法律が作られたが、地主の力が圧倒的に強かった時代にこれまでの運動が実り、国策で地主の力を抑え、その後も引続き居住の安定を図ってきた歴史的な経緯のある制度で、法定更新とともに守っていかないといけないことが強調された。

 また、契約は対等な当事者を前提にしているが、貸主より力の弱い借主は不利な契約を押し付けられることが多い。消費者契約法では消費者を不利な契約から保護するために制定された。借地借家人にとっては、借地借家法の強行規定と消費者契約法の2つの武器があることが指摘された。




借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

借地借家問題市民セミナー 八王子を皮切りに各地で開催します

2008年04月26日 | 借地借家問題セミナーと相談会
 組合主催の「借地借家問題市民セミナー」を4月26日を皮切りに多摩地域で連続して開催します。

◎4月26日(土)午後1時半開会、八王子市民会館
 
◎5月31日(土)午後1時半開会、立川市民会館 

◎6月21日(土)午後1時半、福生市民会館(予定)

◎7月19日(土)午後1時半、府中市グリーンプラザ 以上です。

いずれも参加無料です。借地借家法と消費者契約法と賃貸借契約との関係など分りやすく解説します。講師は、東京多摩借地借家人組合 細谷紫朗事務局長が行ないます。講演のあと質疑応答、個別の相談も行ないます。賃貸トラブルでお悩みの方、法律知識を勉強したい方ご参加下さい。

◎お問合せ 東京多摩借地借家人組合まで  042(526)1094

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

全国連絡会が国土交通省と定期借家制度で懇談

2008年04月25日 | 定期借家制度
借地借家法改悪反対全国連絡会は、定期借家制度導入後の現状と課題や住宅政策について国土交通省と4月21日午前10時30分から1時間半ほど懇談した。国土交通省から住宅局住宅総合整備課の三浦賃貸住宅対策官が応対した。

 規制改革会議の「借家制度の改善」の答申については、「借地借家法の所管は法務省であり、国土交通省は住宅政策として活用しやすいようにPRし普及させる」と述べ、「議員立法なので国会の動きをホローしていく」と国交省の役割について語った。

 全国連絡会の代表は、定期借家制度が借家人の追い出しに利用されたり、「再契約可」と契約書に書いてあっても期間満了で借家人が追い出されている実態など指摘し、同制度について借主側の実態を調査すべきであると訴えた。

 また、定期借家推進協議会が平成12年3月1日以後に契約した居住用の普通借家契約については、当事者が合意により定期借家契約への切替は可能であるとの解釈をしている問題について三浦対策官は「グレーゾーンの問題で法務省の見解を聞いてみたい。当時の国会の審議を重く受け止める必要がある」と回答した。定期借家制度は、特別措置法の附則3条で法施行前の契約当事者が合意の上でも普通借家から定期借家の切替は禁止されている。



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

借地人に不利な特約付の契約書の作成を要求されたが

2008年04月24日 | 賃貸借契約
(問)父の代から土地を借りています。10年前に父が亡くなり、長男である私が借地権を相続し、地代を支払っています。父が土地を借りてから70年以上が経過し、建物も相当古くなっていますが、修理しながら建物を維持し生活しています。契約書は全く作成せず口約束で借りていて、地代の領収印が押された通い帳が契約書時から全部残っています。
 地主も代替りし、最近になって契約書を作成したいと言って、契約書の案文を郵送してきました。それを見ると契約期間は10年となっていて「更新時には借地権価格の10%の更新料を支払うことによって契約を更新することができる」「建物の増改築は一切行わないこと」と書かれています。どうしたらいいでしょうか。
(答)土地や家の賃貸借契約は口約束でも契約は成立する。借地借家法が一部改正され、更新のない定期借地や定期借家契約が法律で認められたが、定期借地や定期借家契約の場合は書面で契約して置かないと契約として認められない。それ以外の普通の借地や借家の契約は、地代なり家賃の領収書があれば立派に契約は成立する。
 契約書を作成して置かないといつ追出されるか不安だと思っている人もいて、契約書の内容が借地人にとって不利なものであっても判を押してしまう人がいる。契約書は契約内容を証明する一つの手段に過ぎない。貸主側が作成する契約書の多くは、借地人の権利を拘束し、義務ばかり押付けた不利なものが多く、作成したために後で取り返しの付かないことになり兼ねない。
 契約書の特約の中で借地借家法の強行規定に反する条文は無効である。10年の契約期間も旧借地法が適用される借地契約では最低が非堅固な建物では20年、堅固な建物では30年以上でなければ無効となる。更新料の支払特約は判例上、一概に無効とは言えない。
 いずれにしても借地人にとって不利な特約は削除させるか、削除に応じない場合は契約書の作成は拒否した方が得策だ。借地人の中には契約の更新時に莫大な更新料を支払った上に、著しく不利益な契約書を作成し、後で後悔している人が見かけられる。是非とも契約書を作成する前に組合に相談し、充分に点検して貰ってから押印しましょう。(東京借地借家人新聞)



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

敷金返還の可能性が殆ど無い場合は家賃の不払いで実質的な敷金回収を

2008年04月23日 | 敷金と原状回復
(問)引越を考えているが、噂によると家主は全く敷金を返さないことで有名らしい。敷金は家賃の3箇月分差入れている。自衛策として引越前の3箇月家賃未払いで退去して、敷金で精算してもらうという方法で何か問題があるのか。

(答)敷金の回収見込みが無い場合に、家賃の不払を実行して実質上敷金を回収する方策を是認する賃借人にとっては画期的な最高裁判決(平成14年3月28日)がある。最高裁の判決を少し検討してみる。

 〈事実の概要〉
 A所有の建物をBが賃借し、それをYに転貸していた。Yは家賃100万円、敷金1000万円でBと転貸借契約を結んでいた。Y入居前からA所有の建物は信託銀行によって抵当権が設定されていた。Aの経済的破綻が心配でYはBに対して平成10年3月30日に6箇月後に退去するという契約解除を通告した。敷金の回収目的から一方的に6箇月分の家賃の支払を停止した。Aの借入金の返済がストップしたので信託銀行は、抵当権者の物上代位権を行使して平成10年6月YからBへの賃料債権を差押えた。Yは家賃600万円を未払いのまま9月30日に建物を退去した。信託銀行は差押え家賃を支払えとYを提訴した。Yは裁判で未払い賃料は、建物明渡時に敷金によって当然に充当され消滅するものであると主張した。

 最高裁は「目的物の返還時に残存する賃料債権等は敷金が存在する限度において敷金の充当により当然に消滅することになる。このような敷金の充当による未払い賃料等の消滅は、敷金契約から発生する効果であって相殺のように当事者の意思表示を必要とするものでない」として、Yの主張を容れて信託銀行を敗訴させた。
 この最高裁の判決は、一方的な家賃の不払によって実質的に敷金を回収する方策を認めたもので評価出来る。明渡しが完了すれば、未払いの賃料債権は相殺の意思表示を待たずに預託されている敷金の限度で充当され、当然に賃料債権が清算される。これは敷金契約から発生する効果である。従って、相談者は一方的に家賃の不払を実行しても何ら問題は無い。

 なお、最高裁判決は敷金の特殊性を考慮したものであって、単なる一般債権の場合には当て嵌まらない。



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

外国人の入居拒否違法 京都地裁判決 家主に賠償命令

2008年04月22日 | 最高裁と判例集
 外国籍を理由に賃貸マンションの入居を拒否されたとして、京都市の韓国籍の女性が家主らに約230万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2日、京都地裁であった。池田光宏裁判長は「国籍を理由に賃貸借契約の締結を拒むことは、およそ許されない」と違法性を認め、慰謝料など110万円の支払いを命じた。

 外国籍を理由とした入居拒否をめぐっては、1993年に大阪地裁が「法の下の平等を定めた憲法に反する」と違法性を認定している。しかし、日本賃貸住宅管理協会が2002年に家主を対象に実施したアンケートでは「生活ルールなどによるトラブルの懸念や、誰がその対処するのかが分からない」などの不安点が挙げられ、「入居不可」としているケースもいまだ多いのが現状だ。

 女性の代理人の弁護士は「国籍による差別的な行為を正面から認めた判決だ」と評価し、女性も「この判決をきっかけに、同じような不当な差別がなくなることを望みます」と話している。

 判決によると、女性は2005年1月に仲介会社を通して入居を申し込み、3月末に敷金、礼金などを支払った。しかし、入居直前の4月8日に「外国人登録証明書」を提出したところ、家主から契約を拒否された。

 家主は「直前に韓国籍と知らされ、信頼関係を築くことが不可能と判断した。初めから知らされていれば問題はなかった」と主張したが、池田裁判長は契約の審査が順調に進んでいた経過に触れて「(契約拒否の)理由は原告の国籍であることは明らか。不法行為に基づき、損害賠償の責任がある」と結論付けた。

 外国人の人権に詳しい龍谷大経済学部の田中宏教授は「民間同士の契約の場合、従来は『契約自由の原則』に基づいた消極的な判断が多かった。近年は、外国人の入店拒否問題などで国籍差別を不法行為と認定するケースも目立ち、裁判所の意識も変わってきたのではないか」と分析する。
(京都新聞)



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

普及しない定期借家制度 不動産業者もそっぽ 国交省調査

2008年04月21日 | 定期借家制度
 国土交通省は、平成19年3月に調査した定期借家制度の活用状況について調査結果を公表しました。前回の調査が平成15年9月に行われています。

 定期借家制度の活用状況(事業者)では、定期借家契約の新規契約に占める割合では、4年前4・7%が今回は5%と、4年間に0・3%しか普及していないことが明らかとなりました。

 事業者が定期借家制度を活用しない理由として、「賃借人にとって魅力が乏しく、空家になる可能性があるため」45・8%、「普通借家契約に特段の不都合がないため」44・4%、「調査が厳格であれば、普通借家契約でもトラブルを防ぐことが可能であるため」が22・8%(複数回答可能)など、定期借家制度は借主ばかりでなく不動産業者にとっても魅力のない制度であることがわかります。

 家主の調査では、定期借家契約の締結実績「ある」が25・5%に対して、「ない」が74・5%と多数を占めています。「定期借家制度を活用しない理由」では、「複雑で、正確に理解するのが難しい」41・9%、「これまでの契約内容で特段の不都合がない」32・3%、「契約締結等の手続きが煩雑」26・6%で、家主にとっては建替え・リニューアル計画がある場合や転勤等の留守宅を賃貸する場合以外活用する必要性はないようです。

 入居者の調査では、「定期借家契約にした理由」は、「気に入った物件が定期借家契約だった」が57・9%で、物件に注意が向いて契約が定期借家であることに気がつかないで借りている場合が多いようです。

 定期借家制度の認知状況では、入居者の中で「内容の全部又は一部を知っていた」33・0%、「制度があることは知っていた」34%、「全く知らなかった」が33%を占め、入居者の多くが定期借家契約の内容を十分に理解しないまま契約してしまう危険があるようです。組合の相談事例でも、「再契約可」という条件で借りたが、契約期間内に建物の売却先が見つかったので再契約できなかったという苦情も寄せられています。

 期間が満了した定期借家契約の件数のうち再契約を締結した件数の割合は、47・9%で残りの52・1%が再契約が出来ず、借家人は無条件で追い出されています。
 また、定期借家制度で家賃が安くなると導入時から今日まで喧伝していますが、実際には家賃は安くなっていないようです。アットホームが首都圏で最近行なった調査では、定期借家マンションの平均賃料が月額15・7万円であり、普通借家10・2万円よりも5・5万円高いとの調査結果を発表しています。

 国土交通省の調査は、不動産業者の店頭調査で、かなり恣意的な内容となっていますが、定期借家制度は民間賃貸住宅市場においても8年間経過しても全く普及しない欠陥いっぱいの借家制度であることが明白となりました。

なお、定期借家制度を知らない多くの借家人の中に定期借家制度の問題点とさらなる改悪の危険性について借地借家人組合が先頭に立って宣伝・啓蒙する必要性がますます強くなっています。



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

借地借家問題市民セミナー 4月26日八王子で開催

2008年04月19日 | 借地借家問題セミナーと相談会
 今年初めての「借地借家問題市民セミナー」を下記の日程で開催します。

◎日時 4月26日(土)午後1時30分開会 午後3時30分まで

◎会場 八王子市民会館 第7会議室(地図参照)

◎講師 東京多摩借地借家人組合 事務局長 細谷 紫朗

◎講演 「借主の知らないと損する借地借家の法律知識」

 講演終了後、質問・相談を受付けます。参加無料です。



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 

◎主催・問合せ 東京多摩借地借家人組合 ☎ 042(526)1094
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

敷金の管理は誰の責任?

2008年04月18日 | 借地借家の法律知識
(Q) 分譲マンションを持ち主から賃借して住んでいます。初めは、間に管理会社が入っていたのですが、倒産したとかで、現在は、持ち主に直接家賃を払っています。

 先日、更新の際、入居の時に払った敷金の話が出て、管理会社の社長がお金を持ち逃げし、敷金が大家さんの手元に入ってきていないので、自分たちで管理会社と交渉して下さいと言われました。もちろん、大家さんも再三交渉はしてくれたようです。いきなり、そんなことを言われても、どうすればよいか分かりません。支払った敷金は、家賃の3カ月分ですので、私にとっては大金です。

 その管理会社は、現在も名前を変えて運営されているようですが、交渉したら返していただけるものでしょうか? また、その際どのように交渉すればよいのでしょうか?




(A) 借り主に対する敷金の管理責任者は貸主です
(住宅ねっと相談室カウンセラー NPO役員 賃貸住宅コンサルタント 朝永 彰)


 分譲マンションということですから、家主さんも一般の方で、慣れていらっしゃらないのでしょうか。

 まずは、その家主の方にもお分かりいただきたいことは、借り主が支払った敷金の管理責任は、その借り主に対しては、家主にあるという点です。

 家主は、自らの代理人として管理会社に業務を委託していたわけですから、借り主が管理会社に支払ったお金は、家主に支払ったのと同じ法的効果があります。つまり、たとえ現実に家主が管理会社から敷金を受け取っていなくても、借り主に対しては、受け取ったものとして行動しなければならない義務があります。

 要するに、借り主である相談者が、直接、管理会社と交渉する必要は一切ありません。既に家主の代理人に敷金を支払ってあるという事実に基づき、退去時には、正々堂々と、家主から敷金を返してもらうように要求してください。その際、家主は、いったん自腹を切ってでも借り主に敷金を返却しなければなりません。

 かわいそうですが、家主は、明け渡し時ではなく管理会社が倒産した時点で、取り戻せるかどうかは別として、賃借人の敷金を管理会社から取り戻す行動をしなければいけない立場なのです。

他人に家を貸して、賃料を取るということは、このようなリスクを伴うものなのです。



[2006.3.15 日経 住宅ネット相談室 掲載]



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

連帯保証人に突然3年分の滞納家賃の督促が

2008年04月17日 | 借地借家の法律知識
(Q) 連帯保証人に突然家主から滞納家賃の請求が 貸し店舗の連帯保証人になっていましたが、先日、賃借人が店舗を明け渡した際に、家主から私に3年分の滞納家賃の請求が来ました。それまで、一度も保証人である私に請求の連絡はありませんでした。保証金は300万円で、契約時に私が出しています。請求額は580万円で、差し引くと280万円の請求です。支払う必要はあるのでしょうか?

兵庫県尼崎市 sansan(無職)


(A) 信義誠実を著しく欠いており、連帯保証人は金額保証をする必要はありません 一般に、貸し店舗などの事業用賃貸借契約に連帯保証人を立てることは少ないと思われます。賃借人の事業採算が悪化した場合に、負債額が巨額になる懸念があり、保証人の負担が著しく膨らむことがあるからです。そのため、連帯保証人を立てるかわりに、保証金の額が一般賃貸借契約の保証金や敷金に比べ、高額になっています。

 その上で、今回のように連帯保証人を立てた場合の問題を考えてみましょう。

 連帯保証人の保証債務の範囲は「主たる債務に関する利息・違約金・損害補償、その他すべてその債務に従いたるものを包含する」(民法第447条)とされていて、賃借人の債務と同等の責務を負うようになっています。また、通常の保証とは異なり、「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」(主たる債務者への督促や、財産に強制執行するように要求する権利)を有していません。ですから、連帯保証人は非常に厳しい保証債務を負っているといえるでしょう。

 また、保証契約は、賃貸人と保証人の直接の契約関係にあり、両当事者は保証契約を誠実に遵守する責務を負っています。このことから、賃貸人は連帯保証人に対し、賃借人の経営状況や滞納状況を定期的に報告する義務を負っているといえるでしょう。

 今回のケースでは、それを怠って一度も滞納状況を報告せず、また、賃借人の契約解除などの対策を打たずに3年間も放置していたのです。このように、いたずらに連帯保証人の保証債務を拡大した上で、解約退去時に滞納金額(保証金を除いたもの)を請求することは、著しく信義誠実を欠いています。むしろ賃貸人は損害を拡大した責を負うべきであり、連帯保証人は金額を保証する必要はないものと考えます。

 その点を説明し、賃借人と話し合って納得の上で支払いに応ずべきで、話し合いがつかなければ、裁判所へ訴えを起こすとよいと思います。


財団法人 日本賃貸住宅管理協会

http://www.jpm.jp

(2008年4月11日 読売新聞)



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

法定更新された場合は契約書で特約した更新料を支払う義務があるのか

2008年04月17日 | 契約更新と更新料
(問)前回の更新の際、更新料支払いが一方的に書き込まれた借地契約を呑まされた。今回法定更新を選択した場合でも更新料を支払わなければならないのか。


(答)更新料支払の理由として多くの裁判例で指摘されるのは、(A)賃料の不足を補充する趣旨(例えば賃料の前払い)(B)賃貸人の更新拒絶権・異議権放棄の対価(C)合意更新された期間は明渡を求められず、法定更新の場合の、解約申入れの危険を回避出来るという利益の対価、以上3点である。(A)は、最近余り強調されず、中心は(B)と(C)に移っている。

 更新料支払特約があって法定更新した場合の裁判例で検討すると、(1)「肯定説」更新料特約は契約自由の原則によって合意したのであるから合意更新は勿論であり、法定更新にも有効である。即ち更新料特約が有る場合、賃借人は更新料支払の義務がある。(2)「否定説」更新料特約は合意更新の場合にのみ有効であり、法定更新になった場合は効力を有しない。即ち法定更新した場合、賃借人に更新料支払の義務はない。

 江東借地借家人組合の組合員(借地人)の実際の裁判例で検討してみたい。
 裁判では、法定更新した場合、契約更新料の支払義務の有無が争点となった。借地人は裁判で前記(2)説の立場から更新料支払理由の前提となっている(B)と(C)の事実を欠くので地主の更新料請求は根拠がないと主張した。
 だが東京地裁は更新料支払合意が法定更新の場合を除外するものとは認められないとして(B)と(C)を否定し、(1)の立場から更新料支払を命じた(2000年3月13日判決)。

 それに対して、東京高裁は借地人の主張を認め、(2)の立場から借地人に更新料支払の義務はないと判示した(2000年9月27日)。借地に関してはこの見解が裁判例では有力になっている。最高裁は(2)の見解に立つ東京高裁の判決を是認し、地主の要求を棄却した(2002年2月22日)。既に、(2)の見解に立つ同趣旨の借家に関する最高裁の判例(1982年4月15日)がある。相談者は法定更新を選択すれば裁判例から更新料の不払いは可能である。但し実行する場合は組合の顧問弁護士とよく相談する必要がある。(東京借地借家人新聞4月号)



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 



-
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「不動産トラブル事例データベース」の運用を開始/国交省

2008年04月16日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
国土交通省は14日、不動産取引に関する紛争等を類型的にまとめたサイト「不動産トラブル事例データベース」の運用を開始した。

 同サイトは、判例、特定紛争、行政処分などの情報を、消費者が検索できるようにしたもの。トラブル事例を広く一般に周知することで、不動産取引に関する紛争の未然防止や早期解決を図りたい考え。

 現在、登録している事例数は165例で、今後、新たな事例を追加更新していく予定。なお、運営は(財)不動産適正取引推進機構が行なう。

国土交通省
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする