東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

定期借地権への切り替え無効 新地主の代理人弁護士が不当な通告

2012年08月31日 | 明渡しと地上げ問題
 府中市宮町の組合員のBさんは、底地の買い取りを強要する地上げ屋は来なくなった代わりに、新地主の○○ホームの代理人弁護士から2度にわたって脅しの内容証明郵便が送られてきました。Bさんが17年前に前地主との間で締結した期間50年で更新請求できない旨の定期借地契約は「有効であり、異議があれば2週間以内に書面で申し出るように、申し出がなければ一切異議なく承諾したこととみなおす」とまさに一方的な内容で、借地権の買い取りを希望する場合には代理人宛てに連絡する様にとの内容でした。底地の買い取りを拒否しているBさんに対し、○○ホーム側は執拗な嫌がらせを繰り返しています。

 Bさんは、定期借地契約書を締結した時には契約書の中身も理解できず、仲介した不動産業者からも一切説明もないまま、建替え承諾料200万と契約書を作成した紀伊国屋商事株式会社に20万6000円の労務報酬を支払っています。Bさんは、契約書を結ばないと建替えの承諾を認めないと言われ、仕方なく結んだ経緯もありますが、契約書には十分な注意が必要です。

 Bさんは、組合と相談し、定期借地契約への切り替えは借地法の強行規定に反して無効であり、認められない旨を法改正審議がされた国会の議事録等も調べ詳細に反論しています。
(東京多摩借組ニュース9月号)


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地上げ屋との攻防7年 裁判を繰り返す大阪の新地主

2012年08月29日 | 明渡しと地上げ問題
大田区新蒲田地域に居住して約43坪借地している若菜(仮名)さんは、平成17年4月に地主から土地を買上げた都心の不動産業者(地上げ屋)の底地の買取りか、借地権の売却を強要との攻防線が始まる。

業者のいずれの要望も受け入れず借地契約の継続を強調する若菜さんに対し、業者は代理人を送り込んだ。荒々しく乱暴な言葉で買取か売却か強引に迫るが、若菜さんは動じずこれまで通り、契約の継続を伝えて対抗する。周りの借地人にはすでに底地を売却し、東南の角に位置する若菜さんの借地にこだわる業者は追い出しの策動に3年の歳月を掛けた。

しかし、平成20年10月には大阪の建設業に関わる会社に売却した。新地主は、前地主の承諾の下に借地の一部の駐車場使用は違反として、契約解徐を求めて平成21年に提訴した。同23年6月には原告地主の請求は棄却。また、双方がそれぞれ反訴した地代の増・減額も棄却されて現行地代なった。地主は、裁判で法定更新されて今日に至っていることを、確認されたのにも関わらず、法定更新を認めず坪当り10万円の更新料を請求してきた。若菜さんは直ちに支払拒否を通告。地主は更新料を求めて提訴したので再び裁判になった。

 大阪地裁に提訴されたが時間と経費を考慮して、前回同様に東京地裁への移行要望して実現させた。受領拒否による地代の供託は持参払が原則なので、大阪の法務局宛に供託用紙を郵送しや地代を送金している。(東京借地借家人新聞より)
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更新料支払う必要なければ住み続けたい

2012年08月29日 | 契約更新と更新料
佐藤さん(仮名)は池袋駅から10分位の住宅街に祖父母の代から借地していた。

建物の名義は死亡した祖父のままで、今回更新の時期を迎えた。数年前までは、介護が必要な祖母が住んでいたが、今は施設に入居している。20年前に高額な更新料を支払ったので、建物の売却(借地権の譲渡)を考え組合に相談に来た。相談の中で、更新料については支払特約がないので支払う必要のないことなどを説明した。佐藤さん高い更新料のために売却しようと考えていたが、その必要がないならば、引き続き住み続けることも検討することにした。その上で、建物の名義を祖父から相続人である祖母や母の名義にすることなどを説明した。その際、名義書換料なども不必要なことを説明した。佐藤さんは「知らないと損してしまいますね」と感想を語った。(東京借地借家人新聞より)

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更新料の計算式付の借地契約書の作成要求される

2012年08月24日 | 契約更新と更新料
 立川市錦町で約41坪を借地しているWさんは、地主の依頼を受けた不動産コンサルタントから建物を改築した平成8年から平成28年までの更新契約書を作りたいと、契約書を渡されました。

 契約書の最後の条文を見てビックリしました。「賃借人は、本契約期間満了に際し契約更新を賃貸人に請求する場合には、次の算定方法に基づく更新料を賃貸人に支払うものとします。」、算式として「更新時の㎡当り相続税路線価÷公示地価換算率0・8×借地面積×5%

 この地主、最近立川市内の借地の更新料請求で組合から「更新料は支払い義務はない」と明確に断られたことがあり、不動産コンサルタントの助言を受け、あらかじめ借地更新料の請求を断られないために契約書で明確にしておこうと考えたようです。組合では「前の契約書があるので、わざわざ不利な契約書をつくる必要はないです」とアドバイスしました。

 今後、地主は借地人に対し更新料を確実に支払わせるために契約書の条文で更新料の算式を明記した契約書つくる事例が増えてくると思いますので、組合に相談し簡単に判を押さないよう十分に注意しましょう。


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60年以上住む借家を老朽化を理由に明渡し請求

2012年08月08日 | 明渡しと地上げ問題
足立区千住で60年以上借家に住む駒場(仮名)さんは本年5月末、練馬の不動産屋(新家主)から「老朽化し倒壊の危険あり」と明渡し請求の内容証明郵便が送られた。

突然の通知に地元の区議に相談したところ「借地借家人組合に相談する方がよいので紹介します」と言われ相談に来た。「住み続けるのか、明渡し条件によっては応じる気持ちがあるのか、その上で話し合いに臨みましょう」と助言し、高齢でもあるので組合を窓口にして交渉することにした。

最初、新家主の条件は家賃の数十カ月分を提供するというもので、組合は「低額の家賃でも一定の保障は必要」と申し入れた。2回目の交渉で「新家賃の数十カ月分を提示し、物件も提供する」条件提示され、詰めの交渉中。(東京借地借家人新聞より)

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判例紹介 借地権とは、建物所有の目的でなければ借地借家法の適用がない

2012年08月02日 | 最高裁と判例集
 そもそも借地権とはなにかー東京地方裁判所平成二二年三月二五日判決
借地権は、「建物の所有を目的とする」地上権又は土地の賃借権といいます(借地借家法第二条一項)。「建物の所有の目的」でなければ、借地借家法の適用がなく、民法の賃貸借になるので、借地借家法の法定更新等の保護は受けられません。

事案は、契約書には「鋼材及び駐車場」と書かれていましたが、「プレハブ構造の仮設建物」がありました。判決は「借地権ではない」として次のように判断をしました。「被告が設置した仮設建物も、いわゆるプレハブ構造のものであり、撤去も容易である上、建物の登記を経由しておらず、本件土地の所有権を取得した者に対して対抗要件を備えていなかったこと、本件土地の主たる目的は「鋼材置場及び駐車場」であり、仮設建物の敷地の広さも約一一九〇坪の本件土地に比して僅少であり、本件土地が建物所有目的であるとは認めるに足りない。したがって、本件賃貸借契約につき、借地借家法の適用がないことが明らかである。」

借地の一部を駐車場して第三者に貸すのは転貸か(地主の承諾がいるか)―東京地方裁判所平成五年三月二九日判決

 事案は、駐車場部分の面積は約一五ないし一八平方メートル程度で、土地全体の面積一二五・四八平方メートルの一二ないし一五パーセント程度でした。駐車場の契約内容は、自動車一台の駐車場として賃料を月額二万五〇〇〇円ないし二万六〇〇〇円と定めるほか、敷金、第三者への賃借権の譲渡転貸の禁止等について詳細な条項を定め、賃貸期間については一年間で合意による更新可能としています。判例は「地主の承諾は必要」と判断をしました。

「民法六一二条(賃貸人の承諾なく賃借人が賃借権を譲渡し目的物を転貸することを禁じ、これに反したときは賃貸人が賃貸借契約を解除することができるものと規定)の趣旨に照らせぱ、第三者に使用収益をさせた対象が賃貸借の目的物である借地の一部であるからといって民法六一二条にいう「転貸」に該当しないということはできない。

 本件においては、契約内容及び利用形態であることに照らせば、本件駐車場部分を駐車場として使用させたことは転貸に該当する。たしかに、借地上に商店、飲食店、劇場等の、不特定多数の顧客の来訪を伴う建物を所有ないし管理する場合において、自動車を利用する顧客の来訪を容易ならしめるために、右建物に付属して不特定多数の顧客を対象とするいわゆる時間貸しの駐車場を設置するような場合には、第三者を対象とする駐車場として借地の一部を使用することが、社会通念上右建物所有ないし管理の目的の範囲内の利用行為と認められ、転貸に該当しないものと認められることもあり得るものといえる。しかし、特定の賃借人を対象として賃貸期間一年間しかも更新を前提とする駐車場契約を締結しているのであって、本件駐車場部分を第三者に駐車場として使用させたことについては、社会通念上本件建物所有の目的の範囲内の使用と認めることは到底できないものであり、転貸に当たることは明らかである。」 (弁護士 黒岩 哲彦)
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災害時の借地権優先保護規定廃止を検討 法務省が素案

2012年08月01日 | 最新情報
 法務省は大規模災害にあった借地・借家人の権利を保護する罹災(りさい)都市借
地借家臨時処理法の見直し素案をまとめた。災害で借りていた家を失った人が地主の
土地に自ら家を再建する場合、借地権が地主の土地所有権に優先する「優先借地権制
度」の廃止が柱。1日からのパブリックコメントを経て、法制審議会(法相の諮問機
関)に諮問する。

 被災した地主が新たな建物を建てる場合、家を失った借家人が優先して借家権を得
られる「優先借家権制度」の廃止も検討する。借家人が建物の完成前に申し出をする
ことが前提で、新しい家の家賃や間取りがわからないため、権利行使が難しい仕組み
になっている。

 同法は終戦後に家を失った借家人の権利を保護するために制定した。その後の大規
模災害でも適用例があったが、東日本大震災では被災自治体が適用を求めなかったた
め、活用されていない。(日本経済新聞8月1日)
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