東京多摩借地借家人組合

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解約後賃料の5倍の損害金を払うなど借家人に不利益になる約定は消費者契約法で無効

2006年12月29日 | 消費者トラブルと消費者契約法
不退去・監禁
 消費者契約法は、自宅を訪れた事業者に対し退去を求めたのに退去しないで契約をさせられた場合(不退去型契約)や事業者の事務所などに呼ばれた消費者が帰りたがっているのに帰してもらえないまま契約をさせられた場合(監禁型契約)、その契約を取消すことができると定めています。借地借家のケースを想定すると、

 (例3)明渡し約束

 借家契約の更新期に家主が自宅にやってきて、今回は更新するが次回には更新しないのでそのことを契約書に書き入れてくれ、書かないのであれば更新しないと要求。借家人は、よく考えて返事するから帰ってくれと答えるが、家主は、今了解しないのなら更新はしないと迫り、困り果てて家主の言とおりに契約書に印を押してしまった。これは、不退去型の困惑契約になるので、借家人は取消すことができる。
 以上ですが、消費者契約で取消せる契約をまとめると、不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知により消費者が誤認した場合、不退去、監禁により消費者が困惑した場合ということになります。

 事業者の代理人

 消費者に誤認をさせる、困惑させることは事業者本人でなくともできます。事業者から契約の委託を受けた者あるいは代理人となった者が同じことをすれば、消費者は、事業者が行ったのと同様に契約を取消すことができます。借地借家の場合は、不動産仲介業者が地主、家主の代理人となることが多いですが、事業者と同じと扱われることになります。

 取消権行使の期限

 消費者に契約の取消権がある場合、権利行使には時間の制限があります。不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知の場合は消費者が誤認したことに気付いたときから、不退去、監禁の場合は不退去、監禁が終わったときから、六か月以内に取消さなければなりません。また、契約してから五年経つと無条件に取消すことができなくなります。

 契約条項無効

 消費者契約法は、消費者に不当な不利益を与える契約条項は無効である旨定めています。たとえば、借家契約書に、賃貸借契約解除後立ち退くまでの間、契約家賃の五倍の損害金を支払うことが明記されていたとします。このような損害金条項については、「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるものは、超える部分については無効」とされます。何が平均的な損害の額かは明白ではありませんが、新規に賃貸すれば得られるであろう賃料額と考えればいいと思います。また、賃料滞納した場合、滞納賃料に年二〇パーセントの遅延利息を付すという条項があったとすると、消費者契約法では上限を一四・六パーセントとしていますので、これを超える部分は無効となります。


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事実と異なることを告げられた賃料値上げや更新料の支払約束は消費者契約法で取り消せる

2006年12月28日 | 消費者トラブルと消費者契約法
消費者の取消権

 消費者契約をする場合、事業者は、①重要事項について事実と異なることを告げたり(不実告知)、②将来の価額、金額、価値の変動が不確実な事項について、断定的な言い方をして(断定的判断の提供)契約をすることができません。また、事業者は、③ある重要事項やそれに関連する事項について、消費者の利益となることだけを強調し不利益になることを隠して(不利益事実の不告知)契約することができません。 取引社会ではあの手この手の方便を使って、事業者は契約を勧誘します。事業者は、消費者に比べれば、売りつける物品、サービスあるいは契約内容について、圧倒的な情報を握っています。情報量の格差をこれ幸いに消費者をだますような契約は不公正です。消費者契約法は、右の三点のようなことがあった場合、消費者にあとから契約を取り消す権利を与えました。

  借地借家契約の場合

 消費者契約法は、平成一三年四月一日からの施行ですから、この法律が適用されるのは、四月一日以降の契約に限られます。しかし、それ以前からの借地人、借家人は、この法律を使えないのかといえば、そうではありません。当初の借地借家契約が平成一三年四月一日以前であっても、その借地借家契約に付随して、例えば、地代家賃の値上に関する契約、更新料支払に関する契約、一時立退再入居に関する契約、立退に関する契約、借地建物増改築に関する契約、更新に関する契約など、当事者間で取り交わす合意事項があります。これらの付随的合意は、その一つ一つが消費者契約となり得る別個の契約であり、既存の借地借家であっても、平成一三年四月一日以降になされるこれらの契約(合意)には適用されます。

 (例1)賃料値上問題

 地主・家主が今年は税金が上がったので賃料を上げてくれといってきた。借地借家人は止むを得ないと思って値上に応じたが、実は税金は上がっていなかった。賃料増額契約について公租公課額の増減は重要事項なので、この点で事実と異なることを告げられて増額を承諾した借地借家人は、増額合意を取消すことができる。

 (例2)借地更新料支払問題

 更新料支払約束のない借地契約なのに地主は更新料を要求した。その理由として、法律でも支払うことになっているし、自分の貸地の借地人は全員が払っていると説明した。借地人は、しぶしぶ更新料を払うと約束してしまったが、地主の借地人の中には払っていない人も数人いたことがわかった。この場合、支払約束のない更新料について支払義務があるという法律はないし、他の借地人全員が支払っているということも事実と異なっており、いずれも重要事項と言えるので、この借地人は、更新料支払約束を取消すことができる。 借地借家人が取り消せる契約のあり方は、もう一つあります。


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消費者契約法の消費者とは借家人で建物を住居として利用する個人

2006年12月27日 | 消費者トラブルと消費者契約法
「消費者」と「事業者」

 この法律で最も特徴がある点は、「事業者」と「消費者」の定義です。「事業者」とは、①「法人その他の団体」、②「事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人」です。それ以外の個人はすべて「消費者」です。「事業」とは、一定の目的をもった同種の行為がくり返し行われるものであり、営利目的の有無は問いません。この定義は非常に広いもので、国も「事業者」になりえます。
 消費者と事業者の間でなされる契約を「消費者契約」といいます。この「消費者契約」というのは、個別の売買契約、工事請負契約とは別の次元になり、個別の契約の上に消費者契約という網をかぶせるものです。

 借地借家人は「消費者」

 借地借家契約と消費者契約の関係は次ぎのようになります。
 (例1)個人の家主と個人の借家人が住居目的で借家契約をした場合、家主は事業として貸家契約をするので「事業者」になります。借家人は、個人で、しかも事業のための借家契約ではないので、「消費者」になります。この借家契約は「消費者契約」です。

 (例2)個人の家主と個人の借家人が店舗目的で借家契約をした場合、借家人は、個人ですが店舗営業という事業のために借家契約をするので「消費者」には該当せず、この借家契約は「消費者契約」ではありません。

 (例3)個人の家主と会社名義で住居として借家契約をした借家人は、たとえ住居目的であっても、契約の当事者が個人でなく会社名義なので、「消費者」には該当せず、この借家契約は「消費者契約」ではありません。


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貸主が死亡し、共同相続になったとき、相続人の持分の割合で賃料を支払うのか

2006年12月26日 | 借地借家の法律知識
(問)建物や土地の所有者が死亡し、複数の相続人による共同相続により、単独所有から共同所有によって建物や土地が共有に変わった。その場合、借主は賃料を各人に分割し、それぞれの相続割合に応じて各人にそれぞれ支払わなければならないのか。

(答)土地や建物の貸主が死亡した場合、相続人は土地や建物の所有権を相続すると同時に貸借関係についての貸主の地位を承継する。相続人が数人あるときは、相続財産は、共同相続人の共有に属する(民法898条)。

  最近は、不動産小口化商品の1つとして投資者等が細分化された建物の共有持分を買受けるケースが多くなっている。

 共同相続人や共有持分取得者が貸主人の地位を承継した場合貸主が複数になる。その場合、借主は相続割合に応じて賃料を各人にそれぞれ分割して支払わなければならないのか、それとも、貸主の内の1人に賃料を全額支払えば、それで全員に弁済したことになるのかが問題になる。

  この問題に対して、共有物件の賃料は「不可分債権」であるという判例(東京地裁1972年12月22日判決)がある。

  家賃・地代は金銭で支払う債務であるから一見したところは分割債務とするのが素直なように思われる。即ち分割が出来る可分債権に思える。しかし、共有賃料を可分債権とみなすと色々不都合が生じる。

  例えば貸主の各自は自分の共有持分の賃料しか請求・受領が出来ないし、借主からすれば、複数貸主の各人に別々に賃料を支払わなければならず、どちら側からも不便である。

 そこでこの不都合を避けるために判例は、共有賃料はその性質上不可分債権とみなした。①不可分債権には性質上不可分給付と意思表示による不可分給付がある。②不可分債権においては、債権者の1人が債務者に履行を請求すると、総ての債権者が履行を請求したのと同様の効果が生じる。③債務者が債権者の1人に履行すると、総ての債権者に履行したものと同様の効果が生じる(①②③は民法428条)。

  このことから、共有賃料は共同貸主の内の1人に賃料の全額を支払えば、それで総ての貸主に弁済したことになる。

 弁済供託を行う場合も同様に考えればよいことが判る。

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建物賃貸借の仲介手数料は0・5ヶ月が原則

2006年12月25日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
不動産業者は居住用建物の賃貸借の仲介料として家賃の1か月分相当の報酬を借主に充分な説明もせずに当然のように要求する。しかしこれは宅建業法に違反する不当行為である。
 建設省は、昭和48年5月28日付で宅地建物取引業法により禁止されている不当行為を行わないよう都道府県へ業界の指導監督を強めるように通達した。

  〈建設省通達〉
  賃貸借の媒介に関する報酬の遵守について

 宅地建物取引業者が宅地建物の売買、交換又は貸借の代理、または媒介に関して受けることのできる報酬の額については、宅地建物取引法第46条第1項の規定に基づき、昭和45年10月23日建設省告示第1552号で定められ、同年12月1日から施行され数年を経過したところであるが、これが必ずしも遵守されていない。

 特に同告示第3の居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関する報酬の額については、依頼者である借主の1カ月に相当する金銭を報酬として当然に要求、受領する事例が多く見受けられる。また借主から媒介の報酬として借賃の1カ月相当分を支払うことにつき承諾を得た場合であっても、その取引経過から見て必ずしも貸主の自由な意思に基づく承諾がなされたと認められない取引もある。特に媒介者が契約の締結に際し、媒介の報酬として借賃の1カ月分に相当する金銭を支払う旨の特約を一方的に定め、物件説明書等に記載してる場合には、正規の報酬が原則として1カ月の借賃の2分の1であることを説明しないこととあいまって承諾が借主の無知に乗じてなされる結果となっている。 

 したがって報酬額の制限を超過して受領し束愛、及び承諾を得て借賃の1カ月相当分を報酬として受領した場合であっても、当該承諾が借主の無知に乗じ不当になされたと認められる場合には、宅地建物取引法第46条第2項、違反又は第65条第2項第5号の規定に該当するものとして厳重な監督処分を行うので当該告示の遵守について留意されたい。

  賃貸借物件の管理について

 最近、賃貸借物件の仲介あっせんの延長として、賃料の集金をはじめ賃料値上げの手続きその他貸主の代理としての賃借人との交渉事項を含めた賃貸借物件の総合管理を貸主より受託している業者が増加している傾向があり、そのために賃貸借物件の管理、特に賃料の値上げ交渉を中心とするトラブルに宅地建物取引業者が介在することについての苦情相談が増加している。

 もとより賃貸借物件の管理そのものは、宅地建物取引法の適用外のことであり、基本的に民事上のことと判断できるが、その管理に際して対応する賃借人は、宅地建物取引業者としての仲介あっせんにより、入居されている顧客であることを考えると、専門的な知識を有する宅地建物取引業者が一方的に代理として貸主の側に立って賃料値上げ等の交渉を行ってトラブルを生ずることは、宅地建物取引業法第31条に規定している業務処理の原則に背くものであるといわざるを得ない。

 したがって、賃貸借物件の管理については、一方に偏することのないよう十分留意の上業務に当られたい。

    (東京借地借家人新聞 2004年1月15日号掲載)

 以上が昭和45年建設省(国土交通省)告示第1552号のいわゆる報酬規定である。
 消費税の総額表示実施に伴い、平成16年2月18日に改正され、4月1日から施行された。
 それに伴い消費税5%が加算され上記の「1か月分に相当する金額」が「1か月分の1.05倍に相当する金額」、「1か月分の2分の1に相当する金額」が「1か月分の0.525倍に相当する金額」に改定された(平成16年2月18日国土交通省告示第100)


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借地の期間満了直前に建物が全焼したら、地主が建築を妨害してきたら

2006年12月24日 | 増改築と修繕
(A)30年前に賃借した土地で、期限まであと3ヶ月という時に借地人の建物が失火で全焼しました。借地人は直ちに建築に取りかかろうとしましたが、地主が建築禁止の仮処分などして、3ヶ月間建築にかからせないうちに借地の期限が満了しました。この場合、更新されずに土地を明渡さなければならないでしょうか。

(Q)最高裁昭和52年3月15日判決の事例では、借地上の建物が契約期間が切れる3ヶ月前に第三者の失火によって焼失(全焼)したところ、地主はその翌々日に借地人に対して「建物の再建築をしてはならない」と通告して借地の即時明渡しを求めました。
 そのため、借地人は建物建築計画をすすめることができないでいるうち、その1ヶ月も経たないうちに地主から借地明け渡しの調停申立てが成され、その調停中に契約期間がきれてしまいました。調停はその後不調に終わったため、地主は直ちに借地明渡しの訴訟を起こしましたが、その理由は、契約満了時に借地上の建物が存在しなかったから、借地契約は法定更新されないまま終了し、借地権は消滅したというものです。
 これに対して判決は、借地上の建物が火災によって滅失した後、借地人は建物を再築しようとしていたのに、地主の建築禁止通告及びこれに続く借地明渡し調停の申立てがあったために、借地人は再建築ができなかった(再建築を妨害された)。そのために契約期間満了時に借地上に建物が存在しなかったのであるから、地主が(自分の妨害によってもたらした)建物不存在を理由に借地人の更新請求権を否定するのは「信義誠実の原則」に反し許されない。つまり、借地契約は有効に更新されたものとして扱うべきだから、地主の借地明渡請求は認められない。としました。


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大阪府の原状回復パンフは敷金返還に効果覿面

2006年12月23日 | 敷金と原状回復
賃貸マンションの契約を解約する時のトラブルは、依然として全国的に広がっています。
 中でも、退去時の敷金の返還をめぐるトラブルや原状回復費用の負担額をめぐる問題や原状回復範囲など貸主(管理業者)借主間での見解の相違から問題が複雑になっています。
 大阪府は、平成17年3月、「賃貸住宅の退去時における原状回復トラブルの防止方策研究会」を発足し、昨年3月「報告書」をまとめました。
 大阪府は、この「報告書」によりパンフ「賃貸住宅退去時のトラブル防止策」を発行し、国土交通省が示したガイドラインによる負担区分表を掲載し、平成17年12月16日に「原状回復費用負担の特約は損耗範囲や費用の負担を具体的に契約書に明示されていない場合は無効」であるとした最高裁判決を紹介するなど、借主にとってわかりやすい内容となっています。

 東大阪市で賃貸マンションを解約し、原状回復費用の請求を受け敷金未返還どころか追徴金まで請求されたAさんは、「パンフに示しされたとおり管理業者に通知すると、敷金全額返還された」と喜んでいます。
 大借連では、貸主へこのパンフを添付し敷金返還督促状を送ると、ほとんどの場合、敷金を全額返還されてきています。


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借家人が立退き料をもらったときの税金は

2006年12月22日 | 借地借家と税務
店舗や事務所などを借りている個人が、その事務所などを明渡して立退料を受け取った場合には所得税がかかります。

 立退料は、その中身から次の三つの性格に区分され、それぞれその所得区分は次のとおりとなります。

 資産の消滅の対価補償としての性格のもの
 家屋の明渡しによって消滅する権利の対価の額に相当する金額
 → 譲渡所得の収入金額となります。


 移転費用の補償金としての性格のもの
 立ち退きに当たって必要となる移転費用の補償としての金額
 → 一時所得の収入金額となります。


 収益補償的な性格のもの
 立ち退きに伴って、その家屋で行っていた事業が休業又は廃業による営業上の収益の補償のための金額
 → 事業所得の収入金額となります。


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自力救済条項に基づく建物などに無断で侵入は違法の判決

2006年12月22日 | 最高裁と判例集
家賃の滞納があったときは建物に立ち入ることができると定めた契約条項に基づいて賃借人に無断で建物に侵入し鍵を取り替えた行為が違法であるとして、賃貸管理業者の損害賠償責任が認めれた事例。(札幌地方裁判所平成11年12月24日判決 判例時報1725号)
  この事件で問題となったのは、マンションの賃貸借契約に入っていた「賃借人が賃料の支払いを7日以上怠ったときは、賃貸人は直ちに賃貸物件の施錠することができる。また、その後7日以上経過したときは、賃貸物件内にある不動産を賃借人の費用負担において賃貸人が自由に処分しても、賃借人は異議の申し立てをしないものとする」という条項である。
 賃借人は入居後に雨漏りがするためカビが発生したことについて、管理会社に苦情をのべたところ、同社はカビによる被害の弁償には応じられないと答えた。そこで賃借人は賃料の支払いを停止したところ、管理会社は賃料を督促し、期日までに支払いなき場合にはドアをロックし、マンション内の立ち入りを禁止すると通告してきた。賃借人は督促に応じなかったところ、管理会社はマンション内に立ち入り、鍵を取り替えた。
 判決では、問題の契約条項について「賃貸人側が自己の権利を実現するため、法的手続きによらずに通常の権利行使の範囲を超えて、賃借人の平穏に生活する権利を侵害することを内容とするものということができるところ、このよう手段による権利の実現は、┅┅緊急やむを得ない特別の事情が存する場合を除くほか、原則として許されないものというほかなく、そのような特別の事情がない場合に適用される限りにおいて、公序良俗に反し、無効である」として、マンション管理会社に対し10万円の損害賠償の支払いを認めた。国民生活センター『くらしの判例集』より


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借地権と底地権交換したときは譲渡とみなされないの

2006年12月21日 | 借地借家と税務
固定資産である土地や建物を同じ種類の資産と交換したときは、譲渡がなかったものとする特例があり、これを固定資産の交換の特例といいます。

 この特例の要件の一つに、交換する資産は互いに同じ種類の固定資産でなければならないとする要件があります。

 同じ種類の固定資産の交換とは、例えば、土地と土地、建物と建物の交換のことです。

 この場合、借地権は土地の種類に含まれます。

 したがって、地主が建物の敷地として貸している土地、いわゆる底地の一部とその土地を借りている人の借地権の一部との交換も、土地と土地との交換になり、その他の要件にも当てはまれば、固定資産の交換の特例を受けることができます。


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定期借家契約でなければ更新しないそれが嫌なら今すぐ部屋を明け渡せ

2006年12月20日 | 定期借家制度
(問)2年の借家契約は5月15日に満了した。家主は定期借家契約でなければ契約しないと、契約の切替えを強要した。納得出来ないので契約締結を保留していたら、6月20日契約切れだから7月15日までに部屋を明け渡せと通告して来た。どうしたらよいか。(台東区 会社員)

(答)(1)既存の借家契約から定期借家契約への切替えは居住用借家に関しては特別措置法附則第3条によって禁止措置が採られ、仮に合意の上であっても、居住用普通借家契約から定期借家契約への切替えは法的に出来ない。
(2)借地借家法には、法定更新というものがあり、その規定は次のようになる。賃貸人は、法定通知期間(契約の期間満了の1年前から6ヶ月前まで)に賃借人に対して更新拒絶或は条件変更の通知を行っていないと、借家契約は従前の契約と同一の条件で自動的に更新される(借地借家法26条1項)。相談者の場合はすでに5月16日より法定更新されており、契約切れなどしていない。契約は適法に継続している。
 法定更新後の契約期間は、同26条1項の規定により「定めのないもの」ということになる。以後契約の更新は発生しないので更新料の問題は法的に起こりえない。
(3)家主は、7月15日までに明渡しを要求しているが、期間の定めのない契約の場合「建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。」(同27条1項)とあるように、解約の申入れをしてから6ヶ月間の法定期間を経過しなければ、解約の効果を生じない。そして、6ヶ月経過後も借家人が借家の使用を継続している場合は、家主は積極的に遅滞なく異議を述べないと、借家契約は法定更新される(同27条2項)。
(4)但し、賃貸人の解約の申入れには正当事由がなければならない(同28条)。正当事由の有無の判断は裁判所が認定する。因って、賃貸人の部屋の明渡し要求は、裁判所が「正当事由」有りと認定しない限り法律的に認められないので、すぐ部屋を明け渡す必要はない。だが、今後のことを考えると組合とよく相談し、対処方法を検討して行動されることを勧める。


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家賃の値上げを請求され、家賃の受領を拒否されたが

2006年12月19日 | 地代家賃の増減
(Q)家賃の値上げを請求され、話し合いしましたが協議がつかず、家賃の受領を拒否されました。家賃の供託をしたいと思いますが、その方法を教えてください。

(A)どのくらいの額に値上げを要求してきたかわかりませんが、あなたとしては、増額に不服なのですから、あなたが相当だと思う家賃の額を供託すればよいでしょう。
 ところで、供託の手続きですが、まずどこの供託所にすればよいかが問題です。一般に供託者がどこの供託所に手続きをするかは、その債務の履行地所在の供託所(法務局)でなければならないとされています。
 お尋ねの場合に、今までどのような方法で支払っていたのかが、供託所の決定に必要なことです。家主があなたのところに取りに来ていた(取立債務)とすれば、あなたの住所の最寄の供託所に、あなたが家主のところに持参(持参債務)していたのでしたら、家主の住所地の最寄の供託所に供託することになります。なお、銀行振り込みの場合には振込先の銀行の所在地の供託所に供託します。
 供託の手続きは費用がかかりませんが、供託者が法人の場合には資格証明、会社の謄本が必要です。


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りそな銀行、自民党への融資残高3年で10倍

2006年12月18日 | 政治経済
12月18日(アサヒコム)

自民党に対する大手銀行の融資残高が05年末で約80億円に達し、3年間で倍増したことが17日、わかった。03年春に実質国有化されたりそな銀行が同期間に融資残高を10倍に急増させたためだが、三菱東京UFJなど3メガバンクは融資を圧縮しており、自民党から3メガへの返済をりそなが肩代わりした形だ。3メガは政治献金の再開を検討中で、再開すれば政権与党に対する融資の返済原資を今度は大手行自らが穴埋めする構図になる。利用者などからの疑問の声も高まりそうだ。



 自民党本部の毎年の政治資金収支報告書によると、05年末の銀行の融資残高はりそなが約54億円と突出。メガバンクは旧東京三菱(現三菱東京UFJ)銀行が3億7500万円、旧UFJ(同)、みずほ、三井住友各銀行が7億5000万円となっている。

 メガバンクの融資残高は02年末で約33億円だったが、05年末には約7億円減の約26億円になった。一方、03年春の経営危機で約2兆円の公的資金が投入されたりそなは、02年末(当時は大和銀行)の残高約5億円から、05年末には約54億円まで急増させている。

 衆参両院に支店を持つりそなは旧大和銀行時代から永田町と関係が深く、国政選挙で資金を工面してきたとされる。

 大手行は93年の総選挙の際、当時の都銀8行が自民向けに総額100億円の協調融資を実施。将来の企業献金を返済にあてることが融資条件で、経団連(現日本経団連)の平岩外四会長(当時)が「経団連が返済に協力する」との念書を銀行側に示したとされる。

 返済が必ずしも確実とは言えない政党融資に対し大手行は当時から慎重で、その後の政党交付金制度のスタートや不良債権問題、公的資金注入などで慎重姿勢をより強めた。りそなだけが融資を増やした理由について、りそなホールディングス広報部は「融資の個別案件には答えられない」としている。

 公的資金完済を機に、メガバンクは98年以降自粛してきた自民党への政治献金を再開する見通し。再開すればりそなや自行の融資に対する返済資金の一部を、銀行自らが負担する奇妙な構図になる。その間、大手行は経営危機寸前まで追い込まれた不良債権を公的資金で処理し、過去最高の利益水準まで回復した。

 旧第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)出身で、作家の江上剛氏は「献金の形で返済の一部を事実上免除するのは、タコが自分の足を食うようなもの。大手行は公的資金や超低金利で巨額の不良債権を処理できた。利益還元で優先すべきは政党ではなく、国民や利用者ではないか」と批判している。

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情け容赦のない家主、障害者をかかえる母子家庭に明渡し裁判

2006年12月18日 | 明渡しと地上げ問題
 東村山市秋津町の一戸建を2年前の11月に借りて住んでいるMさんは、今年の9月に突然「貸主のご子息が結婚予定であり新居として使用する。勤務地のアクセスからも物件を使用する必要がある」といってきた。
 Mさんは、障害児をかかえる母子家庭で一戸建でないと住めないため、やっと見つけた借家だけに明渡しは困難。困って組合に相談し、組合より家主宛に明渡しを拒否する通知を出したところ、家主は連絡をよこし「うちには明渡しを求める正当事由がある」と高飛車で、結局明渡し請求で東京地裁に裁判を起こしてきた。
明渡しの正当事由なるものは、Mさんの息子さんの世話で夜も眠れず姉のKさんに夜から朝だけ泊まってもらっていることを無断で同居していると因縁をつけている。Mさんは組合顧問の弁護士を代理人に立て、法律扶助を受けて裁判を受けてたつことにした。
裁判は家主の明渡し請求の根拠はなかったが、家主の異常な態度を考えこのまま住み続けても嫌がらせをしてくることも予想され、5年後に移転することで和解しました。Mさんは、この間に障害者向けの公営住宅を申し込むことにしました。


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ワーキングプアⅡ「努力すれ抜け出せますか」を見て

2006年12月16日 | 政治経済
NHKが12月10日に放送した「ワーキングプアⅡ」を見て「明日はわが身か」と感じた人が多かったのではないか。 

 7月の第1回の放送では千四百件の投稿やメール等が寄せられ、大反響があったという。以前アメリカでは、2つの仕事をかけもちしないと生活できない人達が増えているとの報道を目にしたが、日本でも現実になってきた。昼夜二つのパートと児童手当でやっと生活し、家に帰るのは深夜2時という母子家庭の生活が放送されていたが、この児童扶養手当さえ2年後に政府は半分に減らすという。

 80歳になっても空き缶を拾って生計を立てている無年金のお年寄りの姿には衝撃を覚えたが、フリーターの青年たちの将来の姿と思うとぞっとした。自助努力を促す国の「再チャレンジ」支援など明日の生活もままならない人達にとって何の役にもたたないことに腹立たしく思った。
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