東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

民間賃貸住宅の現状と住まいのセーフティネットをめぐる諸問題

2022年04月27日 | 国と東京都の住宅政策
1、 東京の民間借家の現状
① 「仮住まい」と位置付けられ、劣悪住環境の民間借家
・我が国の住宅政策は、賃貸住宅は持ち家を取得するまでに一時的な「仮住まい」とみなされ、それを改善する施策は、ほとんど講じられなかった。(平山洋介神戸大学院教授「仮住まいと戦後日本」)
・家賃は高く、劣悪狭小、日照通風が乏しく、老朽化している借家が多い。
 住宅土地統計調査(2018年)によると、1住宅当たりの平均床面積は持ち家93.3㎡に対し、借家は40・8㎡と43%しかない。借家はウサギ小屋から脱していない。
② 賃貸トラブルが日常化している
・オナーチェンジに伴う、家賃の増額・明渡し請求、騒音等に伴う近隣トラブル
 ペットに伴うトラブル等
・建築して40年以上経過した建物を借りている場合には、耐震性がないことを理由に立ち退きを求められる。耐震性・老朽化を理由とした明渡し請求の多くは、借家人を立ち退かせるための口実にされている。(耐震性のみでは正当事由には当たらない)
・借家人や借地人が居住している土地や建物を地主から安く買い取り、追い出し目的の地上げ屋が東京、埼玉、神奈川で横行している。安い立退料で追い出される借家人・借地人も多い。
・退去後には莫大な原状回復費用を請求される。1LDKの賃貸マンションに住んでいた女性が結婚を契機に退去後に管理会社から265万円請求された例も。
③ 定期借家契約による被害も
 2000年3月から期間が満了したら、無条件で追い出される定期借家契約が借地借家法の一部改正で認められ、シェアハウスなどで利用されている。「再契約可」との条件で定期借家契約を結んでも、再契約ができず追い出される被害も生まれている。
定期借家契約の意味も分からず、住まいが不安定な人ほど、定期借家契約を結ばされるケースが多い。
④ 家賃債務保証会社と契約しないと借家を借りられない
 国土交通省が管理会社に行った調査で、家賃債務保証業者を利用するケースが約8割(18年度調査では6割)と急上昇し、保証会社と契約しないと借家を借りられなくなっている。連帯保証人を立てていても保証会社と契約させられるダブル保証が増えている。保証会社の契約にも連帯保証人が署名・捺印させられている。保証会社の利用が増える一方で、賃借人の認知度は低く、「あまり知らない・全く知らない」が5割強を占めるなど、賃借人は何も分からずに保証契約を結ばされている。保証契約が2年後に更新されるに当たり、「家賃の50%の保証委託更新料を請求された」と驚いて相談するケースもある。
⑤ 高齢者や生活保護受給者への入居差別
国交省が調べた賃貸人の意識調査では、高齢者に対し約8割、障害者に対し約7割、外国人に対し約7割の拒否感がある。入居制限する理由として、「家賃の支払いに対する不安」24%、」「他の入居者・近隣住民との協調性への不安」19・3%、「居室内での死亡事故等に対する不安」18・9%と高い。
国交省と法務省は単身高齢者が賃貸住宅内で亡くなった場合の契約解除の委任契約や残置物処理の委任契約を行うためのモデル契約条項を昨年発表した。こうした契約をすることで賃貸人が安心して高齢者に貸すことにつながるのか。
⑥ 契約時の初期費用に様々なオプション契約が押し付けられる
 賃貸契約の初期費用として、敷金・礼金・仲介手数料(法令上賃貸人・賃借人が月額賃料の半額づつ負担だが、実際は賃借人が全額負担)、火災保険料(借家人賠償保険)、保証会社の保証委託料(月額家賃の半額程度もしくは月額保証委託料の契約もある)、当月家賃と翌月賃料で家賃の5か月分以上が必要に。
 その他、様々なオプション契約、室内清掃費用・クリーニング費用(敷金なしの物件に多い)、鍵交換費用、消臭・除菌費用、24時間サポート料、入居安心パック等とわけの分からない契約が多い。
⑦ 賃借人に不利益な賃貸借契約書が横行
宅地建物取引業者は賃貸住宅の管理を任されていることが多く、賃貸人に有利で賃
借人に不利益な契約書を押し付ける傾向がある。不利な契約でも拒否すると物件が借
りられない。契約更新時には家賃の1か月分の更新料を支払う特約多く、「合意更新・
法定更新にかかわらず2年毎に新家賃の1か月分の更新料として支払う」、「退室時
に、ルームクリーニング・エアコンクリーニング他原状回復費用は借主負担とする」、
「契約後1年以内に賃借人が解約する場合は家賃の1か月分の違約金を支払う」等。
 東京都住宅政策本部は、民法改正「成年年齢の引き下げ」に伴う不動産取引に注意
を呼び掛けているが、「宅建業者による説明を聞き、十分に理解、納得した上で契約を
結びましょう」と言っても、法律知識のない賃借人には対等に契約することは困難で
ある。

2、住宅セーフティネットは機能しているのか
 ①セーフティネット住宅は低額所得者等が入居できる専用住宅が少ない
 3月10日現在、インターネット情報提供システムに掲載中の東京で登録されているセーフティネット住宅は4099戸、その内家賃低廉化補助や改修費補助が受けられる専用住宅の空き室は52棟、355戸と少なく、0・8%しかない。
 登録住宅の多くは大東建託の物件で、要配慮者を拒まない住宅として登録されているが、全て入居審査が必要とされ、専用住宅の登録はゼロ。高家賃物件が多く、要配慮者が入居困難である。入居条件として保証会社に加入し、保証委託料契約時2万2千円、月額保証委託料として家賃の2.2%叉は5・5%必要。2・2%のプランだと月額2730円を支払わされる。契約時のクリーニング費として4万円が必要とされている。

②家賃債務保証料の補助制度、家賃債務保険制度が利用されていない
 住宅確保要配慮者専用住宅に低額所得者が入居する場合に、入居時の家賃債務保証料を低廉化した登録事業者に補助金が交付され、要配慮者の家賃滞納リスクを軽減する「家賃債務保証保険」制度も設けられている。(住宅セーフティネット法第20条、住宅金融支援機構の行う家賃債務保証保険契約に係る保険)
 2020年12月に全借連が行った国交省との懇談で、家賃債務保険の対象とされた事例は11件(制度開始時の平成29年10月~令和2年11月末現在)、保証料の低廉化補助を受けた件数23件(令和1年度)との報告があり、要配慮者の入居円滑化のために設けられた制度がほとんど利用されていない。
③家賃債務保証業者に対し早期の法規制を
 家賃債務保証業を登録制にして5年目を迎えるが、保証会社は数百社あると言われているが、登録している事業者は2021年11月30日現在で83社と全く増えていない。任意の登録制のため、法規制もなく事実上野放し状態で、不動産会社が保証業者の代理店になるため、賃借人が保証会社を選ぶことができない。保証会社の家賃等の不当な取り立て行為を禁止する法律はなく、早期の法規制が必要である。
 保証会社による審査は、それぞれの会社の裁量で行われており、家賃滞納リスクに該当する入居者は審査で落とされる。審査の基準もなく、入居希望者はなんで審査に落とされたのか理由も分からない。銀行の通帳で預金があるかどうかも審査の対象にされている。家賃滞納履歴があるとブラックリストに載る恐れがあり、退室後の正当な根拠もない原状回復請求を拒否できないという賃借人もいる。
 全借連では、保証会社の被害を受けた組合員がツイッターで「家賃保証会社問題対策班」を立ち上げ被害者からの情報を収集し、数百の被害情報が連日寄せられている。
保証会社被害をなくすために、当面国交省に対して「保証会社の契約に保証人を求めない。保証会社の督促方法に法規制する。借主の承諾なく原状回復費用を保証会社に立替えさせない」以上の実施を求める。
④賃貸借契約のデジタル化に反対、デジタル被害の対策の強化を
 住生活基本計画に「持家・借家を含め、住宅に関する情報の収集から物件説明、交渉、契約に至るまでの契約・取引プロセスのDX化の推進」が盛り込まれた。賃借人は情報力・交渉力が圧倒的に弱く、法律知識のないままに不利益な契約をさせられているのが実態であり、デジタル化は賃借人をさらに被害を拡大させる恐れがある。不動産業者の店に行かないままインターネットで契約をした賃借人から被害の相談も寄せられいる。デジタル化の利便性のみが強調されているが、デジタル契約の落とし穴など注意喚起が必要である。
 ⑤本当の住宅セーフティネット制度にするために
  要配慮者の滞納家賃、孤独死などのリスクを賃貸人にのみ押し付けるのではなく、
入居選別をせず誰もが入居できる住宅セーフティネット制度にする。公的保証人制度を創設し、居住支援法人と連携した「居住支援付き住宅」を増やす。孤独死対策の保険や見守りサービスなどの補助制度を充実させる。家賃補助制度をセーフティネット法に明記し、国の財政的支援を抜本的に強化する。
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借地借家問題市民セミナー 5月21日に八王子、6月18日に府中で開催 (多摩借組第3回理事会開催)

2022年04月27日 | 借地借家問題セミナーと相談会
 多摩借組の第5回理事会が4月8日、約5カ月ぶりに立川市女性総合センターで役員12名が参加して開催されました。久しぶりに役員の皆様の元気な顔を見ることができました。

 斎藤組合長の司会で会議が進められ、細谷事務局長より第2回理事会以降の活動報告と議題が提案されました。寺崎事務局次長(会計担当)より、3月までの会計報告がありました。

 討議事項では、①感染対策を行いながら、2年ぶりに借地借家問題市民セミナーを、5月21日(土)午後1時半から八王子労政会館で、6月18日(土)午後1時半から府中市ル・シーニュ6階第7会議室Aで開催します。市の広報やチラシを配って宣伝活動を行います。②組合員に向けた学習会を三多摩法律事務所の小口明菜弁護士を講師に行います。7月16日(土)に立川市内の会場を確保します。学習会のテーマは「借地の相続・遺言・借地権の処分」を予定しています。
 ③全借連オンライン第2回学習会は6月11日(土)午後3時から行います。テーマは「借地契約の法律知識」で、講師は東借連常任弁護団の穐吉慶一弁護士。参加は無料です。参加希望の方は組合までメールで申し込みください。④組合員交流ハイキング「羽村の堰」を4月17日(日)に行いました。

 その他、最近の相談事例として地上げ屋の「日本建物」によって練馬区で悪質な嫌がらせが起きていることが報告されました。役員の皆さんからも最近の近況が報告され、役員間の交流を深めました。

ドラマ正直不動産大反響

小平市の役員から自宅の近所でNHKドラマ「正直不動産」の撮影が行われ、ドラマの話が話題になりました。4月5日(火)午後10時から放送が始まり、山下智久さんが出演する不動産会社の営業マンの話です。営業マンの永瀬財地(山下智久)は、嘘もいとわないセールストークで成績No1を維持してきましたが、あるアパートの建設予定地にあった祠(ほこら)を壊したことから、たたりで嘘がつけないからだになってしまいます。正直すぎる不動産屋となった永瀬は生き残れるのか。なかなか面白いドラマです。

ドラマの中で、お客さんは地主でありオーナーであって、借りる人のことなど考えていたら儲からない。借りて出ていったら、新たに貸せば仲介手数料がどんどん稼げるという不動産屋の本音も聞かれ、実感させられる話です。ドラマは10回放送予定ですが、大変反響があり、再放送もされているようです。ぜひ、皆さんご覧ください。(東京多摩s借組ニュースより)
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賃料の増減額請求とその対応についての法律知識

2022年04月22日 | 地代家賃の増減
 最近電話の相談で、賃貸マンションのオーナーが代わった途端に、家賃を一挙に1万円増額請求された。また、長くアパートに入居しているが、最近入居した人の方が家賃が高く、家主に家賃値下げを要求したら僅かな金額しか下げてくれず、他の人には言わないよう口止めされた等の相談がありました。

 地代・家賃の増減額についての法律知識についてご説明します。

 賃料の増減額請求をするには、従前の合意賃料がその後の経済事情の変動等の事情の変更により、不相当となっていることが必要です。借地借家法では、不相当を判断するための要素として、①土地や建物に対する租税その他負担の増減、②土地建物の価格の上昇低下その他経済事情の変動、③近傍類似の賃料との比較、④その他の事情をも合わせて総合的に判断するとされています。
 以上のように、値上げをするには、貸主の主観的な判断で値上げできるわけではなく、値上げの根拠を賃借人に説明し、賃借人が納得した場合に値上げの合意が成立します。家賃を毎月一挙に1万円も上げられたら、賃借人は賃料が生活費に占める割合は高く、生活に重大な影響を与えます。賃借人は、値上げが不当と思えば値上げに反対の意思表示を行います。意思表示はメールとかラインで送る人がいますが、やはり書面で送った方がよいです。
 値上げ額について、協議が成立しない時は、借地借家法第11条2項で「地代等の増額について当事者間に協議が整わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。┉┉┉┉」とされています。(家賃も同様)従って、とりあえず値上げする前の現行の地代・家賃を支払えばよいのです。地主(家主)が値上げをしなければ賃料を受け取らないと言って、賃料の受領を拒否してきたら法務局に供託します。また、現在の賃料はちょっと安いなと思えば、このぐらいなら値上げしてもよいと考える賃料を相当と認める額として支払うことも可能です。
 賃貸人がどうしても値上げしようとすれば、調停を申し立て、最後は裁判で賃料の相当額がいくらが適正かを決定します。そうなると、弁護士費用や裁判費用(鑑定費用)等もかかるので、最後まで争った方がよいか費用対効果も考えないといけません。

賃料減額請求は書面で

 賃料の減額の請求は、賃借人の方から請求しなければなりません。過去にさかのぼって請求することはできませんので、必ず書面(内容証明郵便)で次回に支払う賃料から請求します。よく聞かれる相談で、減額した額で賃料を供託できるかですが、減額についてはが逆に賃貸人が減額には応じないので、今支払っている賃料相当額で支払うよう求められた場合には、賃借人が勝手に賃料を減額して支払うことはできません。
減額を請求する場合も、減額を請求する根拠が必要です。近隣と比べて明らかに賃料が高いことを証明する証拠が必要です。例えば、以前支払っていた地代は公租公課額の3倍だったが、固定資産税が値下がりして現在の地代は公租公課の4倍になっている等の資料があれば、減額請求の有効な証拠になります。

 その場合は、減額の調停を申し立て、減額が確定するまで現行賃料で支払い、減額が確定したら減額を請求した時から減額されます。ご相談は組合で受け付けます。まずは、組合にご相談ください。

東京多摩借地借家人組合

電話 042(526)1094

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家賃補助制度の実現へ、住居確保給付金を基礎に 院内集会のご案内

2022年04月18日 | 家賃補助制度創設
【院内集会】5月17日(火)「家賃補助制度の実現へ~住居確保給付金を基礎に~」
http://housingpoor.blog53.fc2.com/blog-entry-342.html


【院内集会】
家賃補助制度の実現へ~住居確保給付金を基礎に~
参議院選挙と各政党の住宅政策

日時:5月17日(火)12時~14時
(予約不要・参加無料・11時30分から会館ロビーにて通行証配布)

会場:参議院議員会館1階101会議室

【アクセス】
東京メトロ
国会議事堂前駅(丸の内線、千代田線)徒歩約5分
永田町駅(有楽町線、南北線、半蔵門線)徒歩約3分


コロナ感染拡大が激化、長期化し、国民各層の生活困窮、居住貧困が深刻化しています。

そうした中で、住居確保給付金についての最近の議論(厚生労働省の4月開催の「生活困窮者自立支援のあり方等に関する検討会」)として、つぎの意見があります。
「住居確保給付金については、コロナ禍にあって一定の役割を果たしてきたが、住まいを喪失するおそれのある人の多さ(裾野の広さ)が顕在化した以上、住宅手当といった家賃補助的な施策も含め、普遍的な社会保障施策として検討する必要があるのではないか」。
まさに、住宅手当化が求められているといえます。

7月には参議院選挙が行われます。各党が「家賃補助的な施策」を積極的に掲げ、実現をめざしていくことを私たちは要望します。


<プログラム>

主催者あいさつ (コーディネーター)
稲葉剛・立教大学大学院客員教授

報告1 ひとり親、単身女性などの居住貧困と家賃補助制度の不可欠性
葛西リサ・追手門学院大学准教授

報告2 住居確保給付金の現状と論点、諸外国の家賃補助について
坂庭国晴・日本住宅会議常任理事

報告3 参議院選と各党の住宅政策、家賃補助制度の課題と展望
佐藤和宏・高崎経済大学講師

各党国会議員のあいさつ
各報告の質疑・討論、会場からの発言

【開催団体】 国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)、日本住宅会議・関東会議、
住まいの貧困に取り組むネットワーク(住まいの貧困ネット)

【連絡先】NPO住まいの改善センター(台東区) TEL:03-3836-2018 FAX:03-6803-0755


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多摩借組第6回常務理事会開催 5月から借地借家問題市民セミナー再開

2022年04月18日 | 借地借家人組合への入会と組合の活動
 多摩借組の第6回常務理事会は3月18日にオンラインで開催されました。

 斎藤組合長の司会で議事が進められ、報告事項の中で寺崎会計担当より2月度の会計報告がありました。討議事項が細谷事務局長より提案され、①組織の拡大強化では、5月から「借地借家問題市民セミナー」を再開し、5月21日(土)午後1時半から八王子労政会館、6月18日(土)午後1時半から府中市ル・シーニュ6階会議室で行うため、都丸・川合両副組合長に会場を確保してもらいました。

チラシや広報で宣伝を行うなど宣伝を強化します。組合員の方々も会場に参加いただき、一緒に借地借家問題の学習を行います。

②組合員に向けた学習会として、三多摩法律事務所の小口明菜弁護士を講師に、「成年後見・相続・遺言・借地権の処分」をテーマに行います。日程は7月中旬で会場が取れ次第お知らせします。
③東京の住宅マスタープランの改定案、セーフティネットの院内集会について議論しました。
④組合員交流ハイキングは、昨年から延期となった「羽村の堰とチューリップの見学」を4月17日(日)に実施します。午前10時にJR青梅線羽村駅改札口に集合します。都丸副組合長と斉藤組合長がご案内します。

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昭和63年から更新料支払わず契約を更新 組合との約束守る

2022年04月18日 | 契約更新と更新料
 日野市に住む組合員のKさんは、今年4月1日から2年契約の更新を行いました。契約書は契約期間と賃料以外は昭和63年2月13日に作成した原契約に従うとされ、きわめてシンプルな契約書で、更新料を支払う特約もなく、Kさんは更新料を一度も支払っていません。当初はトラブルがありましたが、組合も応援し、更新時には契約書作成事務手数料として管理会社の不動産会社に3300円のみ支払っています。Kさんは建物は古くなっていますが、借家に住み続けるために頑張っています。(多摩借組組合ニュース4月号から掲載)

賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合まで

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東京都の住宅マスタープラン 成長と成熟が両立した未来東京とは?

2022年04月14日 | 国と東京都の住宅政策
 東京都は2021年から2030年の「住宅マスタープラン」改定案を本年1月に発表し、2月にはパブリックコメントの募集を行い、東借連・全借連は関係する部門に関して意見を提出しました。

 同マスタープランは東京都住宅政策審議会の昨年11月の答申「成長と成熟が両立した未来東京に相応しい新たな住宅政策の展開について」が土台になっています。成熟社会の対応への対応として少子高齢化社会における住宅セーフティネット(住宅確保要配慮者の居住の安定確保)、災害に強い住宅、マンション対策等を上げています。成長についてはDX導入等による新たな日常の実現、脱酸素社会の実現に向けた住宅市街地のゼロエミッション化など指摘しています。

 新たな住宅政策の展開として、「成長と成熟が両立した明るい未来の東京実現を目指して、今後の住宅政策の目標や施策について具体的かつ体系的に示し実施していくための計画」と策定すると述べています。2030年度に向けた施策として10の目標を掲げています。

 そもそも成長と成熟が両立できるのか、はなはだ疑問です。コロナ禍において仕事と住まいを失い、家賃も支払えず、所持金も尽きて生活困窮者の支援団体にSOSの連絡が後を絶ちません。東京で暮らすために家賃が高過ぎて、コロナ前からネットカフェに寝泊まりする若者が増えています。

 家賃を支払うために食費を削っている生活困窮者の中には、各地の支援団体の食糧支援を掛け持ちしている状況です。同マスタープランでは、「コロナ禍の住生活の変化」ではテレワークや郊外の居住地の選択について述べていますが、コロナ禍で生活に困窮する人々の状況については全く触れられておりません。東京都はホームレスになった人に対して、緊急事態宣言やまん延防止特別措置の間だけホテルを提供していますが、その後は安定した住居の提供も全く不十分です。

 都営住宅については、マスタープランでは「現在のストックを最大限に活用し、住宅に困窮する都民に的確に供給することで、住宅セーフティネットの中核としての機能を果たしていきます」と述べているように、新規建設ゼロ方針を継続し、都民に住宅の困窮度を競わせる政策を取り続けています。
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全借連第1回オンライン学習会 借家の相談事例から民法改正を学ぶ

2022年04月12日 | 法律知識
 全借連は第1回オンライン学習会を3月12日に開催し、7組合から21名が参加し、多摩借組から役員と組合員7名が参加しました。講師は東借連常任弁護団の瀬川宏貴弁護士で、借家の相談事例から民法改正問題について学習しました。

借家の相談事例から①修繕、②保証人、③更新料について、東借連常任弁護団の瀬川宏貴弁護士より具体的な相談事例に基づいて民法の改正のポイントを講演してもらいました。

 借家の修繕では、家主に督促してもやってくれない

 賃借人が修繕できる場合の要件として、『⑴賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、叉は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき、⑵急迫の事情があったとき』に修繕ができます。

修繕費の請求と家賃減額は慎重に

 賃借人が立替えて行った修繕費は費用償還請求ができることになっていますが、修繕費の金額について争いがある場合には慎重な対応が必要です。また、賃借物の一部が滅失した場合などで、従前は賃料の減額を請求できるから民法改正で「使用収益ができなくなった部分の割合に応じて減額できる」となりました。しかし、どの程度の金額まで減額ができるのか、判断が難しく勝手に賃借人が家賃を減額したり、賃料を支払わないという対応については慎重な対応が必要です。裁判所の調停を申し立てるなどの対応が必要になるのではないかとの説明がありました。

 勝手に減額すると、賃貸人から賃料不払いで明渡しを請求されることもあるので、やはり組合の弁護士との相談をお勧めします。保証人の問題では、2020年4月1日以降に賃貸借契約や保証人との契約を結ぶ場合には、極度額を定めないと根保証契約は無効となります。組合員の皆さんからも管理している不動産会社から極度額について規定が設けられたとの相談はよくあります。日野市の組合員は、家賃の10カ月分の極度額を定めた「連帯保証人引受承諾書」に署名捺印を求められたケースがあります。不動産業者からは家賃の2年分の極度額を要求する事例が多いようですが、裁判所の判決における連帯保証人の負担額の調査では平均家賃の13・2カ月とされ、一応の目安とされています。日野市の組合員の家賃の10カ月はこの範囲内で妥当な額と考えられます。

法定更新でも更新料支払う特約

 相談事例の最後に更新料の事例を学習しました。

最近組合で相談を受けた更新料の事例では、借地の契約書に「期間満了による更新(法定更新を含む)の場合、乙は甲に対し、甲乙間の協議により取り決めた更新料を支払うものとする。但し、甲乙間で協議ができない時は、不動産鑑定士の鑑定価格をもって、更新料額とする。鑑定費用は甲乙折半とする」と明記されていました。最近の借地借家の契約書では、「合意更新・法定更新に関わらず更新料として○○○円を支払う」が多くなっています。

 契約の更新について、賃貸人が更新を拒絶するには正当な事由がない場合には、法律上契約は更新がされ、賃借人が更新料を支払わないからとの理由で更新を拒否することはできません。更新料を支払うことを契約の更新に義務付けることはあってはならいことです。ましては、法定更新を選択しても更新料を支払うなど、とんでもない話です。お金を払えない借主は更新させないことになってしまいます。地主や賃貸人にそんな権限ないはずです。

 更新料について裁判所の判断は、契約書に「一義的で具体的な更新料を支払う特約」は有効とされ、更新料の支払い義務を残念ながら認めています。

 先の例のように、「協議により取り決めた更新料を支払う」などいくら支払うのか明確でない特約については支払い義務を認めていません。更新の際には、契約書に更新料をいくら支払うか明確な特約を結ばないよう注意しましょう。ぜひ、契約書を結ぶ前に組合にご相談ください。(東京多摩借地借家人組合ニュース4月号より)
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管理会社と大家が連名で部屋のドアに告知文貼り付ける ドアと鍵穴出入口ふさぐ

2022年04月11日 | 明渡しと地上げ問題
3月28日、組合員の紹介で相談に来た尼崎市南塚口町3丁目の文化住宅の2階に賃借している河内さん(67歳)はこの文化住宅に21年前に入居していました。

昨年の10月初めに家主の管理会社が突然訪問し、「退去通知書」を持参し、それには①建物が老朽化している。②解体し土地を売却すること。③立退き費用40万円支払う。令和4年3月末日までに退去するとの内容でした。さらに、管理会社は今年に入り2月20日付で「送付案内」の文書を送って来ました。これには月末までに管理会社に電話するように指示して但し書きには「家主は勝手に取り壊すと言っている」という脅しの文書を出してきました。

3月26日には、管理会社は家主と連名による「告知」文書を河内さんの部屋のドアに貼り、鍵穴とドアに粘着テープを張り付け、部屋の出入りを封鎖してきました。この行為はプライバシーや居住者の生活を奪う人権侵害行為であり許せないと河内さんは怒ります。河内さんは尼崎警察に被害相談に行きました。また、不動産管理会社が単独で行った代理行為は弁護士法第72条違反し、弁護士会に告発する意思を表明しています。河内さんは家主に対して管理会社の行った違法行為は契約違反であり立退き請求は無効である。管理会社に対しては弁護士法第72条違反行為で告発する用意のある事を告げる2通の内容証明を発送しました。
(全国借地借家人新聞より)
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家を借りられない…生活保護受ける「住宅弱者」の苦悩

2022年04月11日 | 貧困と格差
 https://mainichi.jp/articles/20220406/k00/00m/040/205000c

新型コロナウイルスの流行による不況で、仕事を失って家賃を払えなくなったり、会社の寮に住めなくなったりするなど、住まいを失う人たちが少なくない。そうした人たちや単身高齢者、障害者など、住宅を借りづらい「住宅弱者」は、貸す側からすると、家賃の未払いや孤独死などのリスクがあり、貸すことをちゅうちょするという。賃貸住宅を借りるのに苦労した当事者に実情を聞き、支援の在り方を考えた。【道下寛子】

コロナ禍で失業、住居探しに苦労

 東京都内の30代女性は、沖縄・石垣島のリゾートホテルで住み込みで清掃の仕事をしていたが、2020年10月、コロナ禍により仕事を失った。都内の貧困支援を行う団体を頼って東京へ。生活保護を申請して受給し、アパートを探したが、なかなか見つからなかった。団体が探してくれた物件の中から4件を見学。3件は断られ、残りの1件は当初は断られたが、家主らとの話し合いで入居できた。だが、同じアパートに暮らす家主の高齢夫婦は過去に家賃を滞納された経験があったため、家賃に対して厳しかったという。

 家主は女性が職を見つけられないことを気にして、たびたび部屋を訪ね「仕事決まったの?」「決まったら教えて」と言ってきた。家賃未払いの不安を払拭(ふっしょく)してもらうため、生活保護の住宅扶助費を福祉事務所から代理納付してもらうことにしたが、その後も、ゴミ出しのたびに「そんなに求人が厳しいの?」などと聞いてくることが約5カ月間続いた。聞かれることが苦しくなり、次第に自宅から出ないようになった。元々患っていたうつ病が悪化し、転居することにした。

「入居可能」は10件に1件

 新たなアパートを探すため、不動産仲介業者に行って物件を探してもらったが、生活保護受給者が入居可能な物件は10件に1件程度。業者の担当者には「ほとんど断られてしまいますが、落ち込まないでくださいね」と言われた。担当者が目の前で電話したが、生活保護と伝えると、すぐにやり取りが終わってしまうケースも多かった。結局、2件を見学することができ、そのうちの1件に代理納付を条件に入居できた。

 女性は「生活の基盤は家だということに気付きました。そこに安心感を得られないと、安定して仕事などで活動することは厳しいです」と話す。女性は週3日、東京に来る時に助けてくれた支援団体で事務の仕事をし、月に3回、自治体から委託された仕事をしながら、うつ病の治療をしている。「週5回働き、生活保護から抜けて、これまでお世話になった人たちに恩返ししたいです」

「事故物件しか紹介できない」

 東京都豊島区の男性(47)は自営業だったが無職となり、20年11月に都内の別の支援団体の施設に入りながら生活保護を受給し始め、アパートを探した。インターネット検索で、生活保護受給者が入居可能な物件を探した。サイト上で生活保護受給者が「入居可能」と書いてあっても、電話してみると「今はお断りしています」と言われてしまう。「入居可能」となっていることを伝えても「(前の入居者が部屋で死亡した)事故物件しか紹介できない」と返された。

 他の物件でも、サイトに家賃4万円と書いてあったが、電話すると「今はそこは借りられない。6万7000円の物件ならある」などと話され、福祉事務所に住宅扶助費が上乗せできるか聞いてほしい」と言われたという。東京都によると、車椅子を利用するなど、やむを得ない事情がある場合、住宅扶助に上乗せできる特別基準がある。だが男性は、自分の場合は該当しないと考えて諦めた。これら2件も含め、ネットでは生活保護受給者が入居可能な物件を5カ所見つけたが、全て部屋を見学できなかった。

百数十件のうち内覧可能は十数件

 その後、支援団体から、住宅弱者の家探しをするコンサルタント会社「Well-being.Tokyo」を営む柿本志信さん(51)を紹介された。柿本さんは男性の物件を探す上で、百数十件の物件について、生活保護受給者の入居が可能か連絡したが、そのうち内覧が可能だったのは十数件だったという。その中から、今のアパートに入居することができた。

 男性は「しょうがないのかな、と半分は分かっています。(家主や不動産会社からすると)面倒なことになりそうな人よりは、普通の人を取りたいのは分かります。でも、住むところが決まらないのはつらい。私は支援団体とつながっていたから良かったの…

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公的賃貸住宅、住宅セーフティネットの抜本改善を求め院内集会 住まいを守る全国連絡会

2022年04月08日 | 国民の住まいを守る全国連絡会
 住まいを守る全国連絡会(住まい連)など3団体は、3月23日、参議院議員会館で「公的賃貸住宅、住宅セーフティネットの抜本改善を」を求める院内集会を開催しました。国会議員6名(立憲民主党1名、れいわ新選組1名、日本共産党4名)と議員秘書5名が参加しました。

 住まい連の坂庭国晴代表幹事が開会の挨拶を行いま、「住生活基本法が2005年に制定された以降、住宅のセーフティネットの根幹である公営住宅は5万2152戸も減らされ、公社・公団(UR)住宅も同様に削減され、UR賃貸住宅は最近5年間で約3万戸と大幅に削減されている」と指摘しました。また、「改正セーフティネット法の下で、登録住宅(入居を拒まない賃貸住宅)は3月15日現在72万戸を超えたが、家賃低廉化補助等のある要配慮者が入居可能な専用住宅の空き室は3091戸で登録住宅の0・43%しかない。登録住宅の実に95%は大東建託の物件で、水増しした登録住宅の実態で、現状は住宅セーフティネットが全く機能していない」と強調しました。

 特別報告は中島明子和洋女子大学名誉教授より「居住保障から見た東京都住宅マスタープランの現実」と題して講演が行われました。

 中島氏は、東京都の住宅マスタープラン(改定案)について少子高齢化の急激な進行等の東京の住宅問題を指摘しているが、コロナ禍で深刻になった住宅困窮者の状況に触れていない。住宅セーフティネットという新自由主義による住宅居政策(自助・自己責任による市場主義の住宅政策)から居住保障を強化した福祉型「地域居住政策」に転換させる必要があると指摘しました。

 公営・公社・公団・民間の各居住者の団体から報告があり、全借連の細谷事務局長が「民間賃貸住宅の現状と住まいのセーフティネットをめぐる諸問題」について報告しました。(全国借地借家人新聞より)
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ネットで契約更新したら、家賃が上がっていた オンライン契約要注意

2022年04月06日 | 地代家賃の増減
 長野市の林さん(仮名)はアパートの更新時にネットで家賃の値上げが通知されました。本人は通知をよく見ずに更新の返信をしてしまい、すぐに値上げの気づき連絡したところ、不動産会社大東建託は「すでに手続き済み入力してしまったので変更できない」との返事でした。

 林さんは、長野市消費生活センターに相談し、組合を紹介され相談がありました。早速、同社の担当者に連絡し「賃料改定にあたってその内容を説明しないまま一方的に値上げすることは、消費者契約法や借地借家法からも納得出来ないので、ただちに本人に説明し納得してもらうようにすべきだ」と連絡しました。その後、同社から「今回は賃料値上げをせず現状の条件で更新します」と連絡がありました。

 なんでもネットの時代になり、お年寄りやなれない人に、このようなやり方が増えてくることが予想され注意が必要になっています。

(全国借地借家人新聞より)




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借家の家賃の大幅値上げ請求、これ以上値上げしたら家賃払えなくなる

2022年04月01日 | 地代家賃の増減
林家さんは、京都市内の借家で親子二人で住んでいました。いままで多額の費用を費やして建物の修繕を行いながら生活を維持してきました。突然家主が不動産会社に変わり、賃料を2倍弱にするとの通知を受け取りました。とても払える金額ではなかったのでそのまま現行賃料を払っていました。後日、家主は調停申立を行ってきました。母親は、現行賃料でも1人になれば支払いに困るのに、上がれば払えなくなると心配していました。しかし、調停では、少しの増額には応じることを主張しましたが家主は受け付けませんでした。その後、申立人と代理人弁護士に会って建物の維持管理の状況を説明しました。後日、弁護士から立退料の提示を受けました。調停は、不成立となり、現行家賃でも厳しい状況と1人になった場合には払えなくなる不安から明け渡す方向で交渉を行いました。その結果、家主の譲歩を勝ち取り、立ち退きをすることで合意しました。
林家さんは、この地を離れれば生活環境が変わり、人との交流もなくなることから立ち退きを拒んでいましたが、家賃が上がれば払えなくなることを恐れ、明け渡しの決断をしました。
収入が増えない高齢者や低所得者の場合、賃料増額は生活を大きく変えてしまいます。高齢での移転はリスクをともないます。住み慣れた場所で生活をしていくためにも家賃補助は欠かせません。家賃補助制度を創設させましょう。

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