東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

居住支援法人の活動、実態「知ってほしい」 コロナ禍で需要増も運営厳しく【NEXT特捜隊】

2022年05月27日 | 最新情報
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1069849.html

 「低額所得者や高齢者、ひとり親世帯などの賃貸住宅入居をサポートする居住支援法人について知ってほしい。コロナ禍を経て相談
件数が急増し、運営に困難が生じています」。読者の疑問や困りごとに応える静岡新聞社「NEXT特捜隊」に、静岡市清水区で居住支援
活動を行う鈴木久義さん(48)から依頼が届いた。現状を知るため早速、鈴木さんが総括責任者を務める法人「WAC清水さわやかサー
ビス」の支援現場に同行させてもらった。
 「仕事をくびになったとき、子どもがどうなってしまうのか、それが一番心配だった」。目に涙を浮かべて話すのは、静岡市清水区
に住む日系ブラジル人の丸山フェリペさん(30)。引っ越したばかりの2DKのアパートには、最低限の家具が置かれていた。丸山さん
は、静岡市の食品加工工場で派遣社員として働いていた。しかし3月上旬、派遣元から突然解雇を言い渡された。2024年9月までの雇用
契約途中の、予告ない解雇だった。3歳の息子と派遣会社の寮で暮らしていたが、そこも3月末で退去するよう命じられた。新型コロナ
による不景気の影響もあり、それまでの収入も月に10万円程度。「あす、息子に食べさせるものもどうしようかと、途方に暮れる毎日
だった」と振り返る。
 そのような状況の中、静岡市の紹介でWAC清水を知った。鈴木さんが不動産会社と交渉。間に入って家賃の支払いを見守ることを条
件に、入居審査を省いてもらい、丸山さんが受給している生活保護の範囲で支払える家賃に減額してもらったという。「鈴木さんが毎
日忙しい中、自分のことを最後まで気にかけてくれたのがうれしかった」と丸山さん。今後、仕事探しに本腰を入れていく予定だ。
 WAC清水さわやかサービスによると、新型コロナウイルス流行前だった2018年度の相談件数は32件、入居は6件だった。感染拡大とと
もに相談件数は年々増え、2021年度は123件、入居は66件に上った。国土交通省の補助金を受給しているが、直近2~3年は200万円ほど
の赤字が続いている。鈴木さんは「多忙のため人員を増やしたいが、人件費を捻出できる見込みがなく踏み切れない」という。資金繰
りの壁にも直面し、継続可能な体制確保に苦慮している。
 同省の調査事業「居住支援協議会調査ワーキング」で委員長を務める、日本大文理学部社会福祉学科の白川泰之教授は「国の補助金
の配分の見直しと、特定の団体に負担が偏らない仕組みが必要」と話す。同省の補助金は、年間の予算が設定されていて、申請した全
国の居住支援法人で分けあう仕組み。近年、居住支援法人が全国的に増え、1法人当たりの補助金が減っているという。白川教授は
「各法人の活動の充実度に合わせて軽重をつけるなど、配分のあり方を議論する必要がある」と主張する。
 「市町村単位で福祉サービスが連携することも重要」。白川教授はそうも指摘する。例えば、福岡市では市社会福祉協議会が入居相
談の窓口となり、入居後は民生委員が見守ったり、高齢者や外国人のサポートは市の専門部署が担ったりと業務を分散させているとい
う。白川教授は「福祉の担い手である市町村が旗振り役になり、地域のニーズに合わせて柔軟に対応することが大切」と話す。

■家賃の支払い、孤独死が不安…入居制限の理由は

 「居住支援協議会調査ワーキング」が2019年に全国の不動産関係団体や事業所を対象に行ったアンケートで、入居制限の理由を聞い
たところ、低所得者世帯やひとり親世帯に対する理由は「家賃の支払いに不安」、高齢者世帯に対する理由は「孤独死などの不安」が
挙がった。
 WAC清水では、入居者を1カ月に2度ほど訪問し、入居者の健康状態や生活上の不安がないかなどを確認する。生活が安定したら頻度
を落とすが電話での相談は随時受け付ける。
 静岡市葵区の富士不動産はこれまで、WAC清水の依頼に30件以上協力してきた。入居者の家賃滞納や、近隣トラブルは1件もないとい
う。富士不動産の前川るりこさん(52)は「配慮者の方には何かあったときにすぐ相談できる人が必要。その点、居住支援法人が間に
入っていると安心感がある」と話す。

居住支援法人 賃貸住宅の契約が困難とされる「住宅確保要配慮者」に対し、入居相談や情報提供、入居後の見守り、生活サポートな
どを行う。住宅確保要配慮者は①月収15万8千円以下の低額所得者②被災者③高齢者④障害者⑤子育て世帯⑥外国人などの住宅確保に
特に配慮を要する者として国土交通省令で定めるもの、とされている。2017年に制定された住宅セーフティネット法に基づき都道府県
から指定を受ける。静岡県内では22年4月現在、9団体が指定を受けている。

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借地借家問題市民セミナー IN 八王子

2022年05月19日 | 借地借家問題セミナーと相談会
借地借家人のためのやさしい法律の学習会と相談会 相談しておけばよかった!………というケースが必ずあります。

こんな問題で悩んでいませんか?

◎賃貸借契約の更新、更新料の請求
◎借地上の建物の増改築、修繕
◎地代・家賃の増額と減額請求
◎賃貸住宅の老朽化・耐震不足を理由とす
 る明渡し
◎ブラック地主問題(借地の底地の不動産業者への売却)
◎賃貸住宅の原状回復、敷金の返還
◎大規模災害が起きた場合の借地権・借家権
◎コロナで修業、家賃が支払えない。店の売上が激減、家賃を減額できないか



日時 5月21日(土)午後1時30分から

会場 八王子労政会館第6会議室(JR八王子駅北口徒歩10分)


※組合役員が親切に相談にのります。 借地借家人の権利は借地借家法・消費者契約法などで守られています

東京多摩借地借家人組合

電話 042(526)1094
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ドイツベルリンで住民投票可決 民間賃貸住宅を市が強制的に収用し、公的賃貸住宅に

2022年05月19日 | 最新情報
 ドイツでは家賃の高騰が大きな政治問題になっています。昨年9月にドイツ連邦議会選挙と同時に行われた首都ベルリン州で住民投票が行われ、「3000戸以上のアパートユニットを所有する大手不動産会社の物件をベルリン州が強制的に収用(購入)し、公的な賃貸住宅とする」ことへの賛否を問い、賛成56・4%、反対39%で可決されました。

 ドイツでは1989年のベルリンの壁崩壊後、公営住宅は民間不動産会社に売却され、25年間に半分以下になり、買い取った不動産会社が巨大化し、市場を独占し家賃を高騰させているという背景があります。

 住民投票には法的拘束力がないものの、社民党・緑の党、左翼党の連立の州政府の対応が注目されています。「公から民へ」が当たり前の社会になっている中で、「民から公へ」という画期的な住民投票とベルリン市民の草の根運動に敬服です。(全国借地借家人新聞5月号より)
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住居確保給付金の在り方を検討 生活困窮者自立支援制度在り方について厚労省が検討会

2022年05月16日 | 住居確保給付金の支給
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、休業やシフト減・雇止め等による経済的な困窮と社会的な孤立等によって生活に困窮する人が様々な階層で広がっている。厚生労働省では、昨年10月から生活困窮者自立支援制度の在り方について特別部会とワーキンググループを設置して検討会を開始している。この中ではコロナ禍で、家賃の支払いに困り住居の喪失の恐れのある方に給付される「住居確保給付金」の在り方も議論されている。

 同給付金の対象者が①離職・廃業後2年以内の者に加え、②給与等を得る機会が当該個人の責に帰すべき理由によらないで減少し、離職や廃業と同程度の状況にある者に拡大され、支給決定件数が令和2年度に一挙に約4倍に拡大した。支給期間は令和2年度に申請を行い、支給が開始された者については最長12カ月まで再々延長を可能とする特例措置が講じられた。コロナ禍が長期化する中で、令和2年度の受給者のうち「離職・廃業等」の者が常用就職した割合は33・2%、「休業等」の者が就業機会が回復した割合は10・5%、就業機会が回復できなかった割が89・5%と高い。

 住居確保給付金について、自治体から共通して「就労を目的とした家賃補助とそうでない家賃補助との棲み分けが必要」との意見が上がっている。

 検討会の中では「住居確保給付金についても、コロナ禍にあって一定の役割を果たしてきたが、住まいを喪失する恐れのある人の多さ(裾野の広さ)が顕在化した以上、家賃補助的な施策を含め、このようなリスクについて普遍的な社会保障施策として検討する必要があるのではないか」という注目すべき意見が上がっている。
(東京借地借家人新聞5月号より)
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借地借家問題市民セミナーのご案内

2022年05月16日 | 学習会と交流会
借地借家人のためのやさしい法律の学習会と相談会 相談しておけばよかった!………というケースが必ずあります。

こんな問題で悩んでいませんか?


◎賃貸借契約の更新、更新料の請求
◎借地上の建物の増改築、修繕
◎地代・家賃の増額と減額請求
◎賃貸住宅の老朽化・耐震不足を理由とす
 る明渡し
◎ブラック地主問題(借地の底地の不動産業者への売却)
◎賃貸住宅の原状回復、敷金の返還
◎大規模災害が起きた場合の借地権・借家権
◎コロナで修業、家賃が支払えない。店の売上が激減、家賃を減額できないか。


日時 5月21日(土)午後1時30
分から


会場 八王子労政会館第6会議室(JR八王子駅北口徒歩10分)

※組合役員が親切に相談にのります。 借地借家人の権利は借地借家法・消費者契約法などで守られています。

東京多摩借地借家人組合

電話 042(526)1094

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賃貸人がビルの管理を十分に行っていなかった場合、共益費は当然に減額される

2022年05月09日 | 最高裁と判例集
2020年4月の改正前の民法611条1項は、「賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したとき」に「その滅失した部分の割合に応じて」賃料の減額を請求することができると規定していました。
これに対し、改正後の611条1項は、「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合」で、それが賃借人の責任でないときは、賃料は、「その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて」、当然に減額されると規定しています。

東京地裁令和元年5月30日判決は、旧民法下の判決ですが、民法611条1項の趣旨により、当然に共益費の半額の減額を認めた判決です。同判決の事案は、以下のとおりです(一部簡略化しています)。

ビルの一部を賃貸していた原告会社が、賃借人である被告に対し、未払賃料等の支払いを求めたのに対し、被告会社が、原告がビルの管理を怠っており、空調設備がほとんど稼働しない状況が続いていること等を理由に、賃料の半額及び共益費の全額が減額されると主張するとともに、原告が管理を怠った債務不履行による損害賠償請求として、業務に支障をきたした損害及び移転費用を反訴請求した事案。

判決は、管理について賃貸人の義務違反を認定しつつ、賃料の減額については物理的に利用すること自体はできていたことを理由に認めず、共益費については、空調設備は共用部分の設備の中でも比較的大きなウエイトを占めていること等を理由に半額の減額を認めました。また反訴請求について、被告会社に生じた業務妨害、信用毀損等の無形損害として300万円、移転費用として約62万円の支払いを認めました。

賃貸人がビル等の管理を怠っているケースは相当数あると思います。このようなケースの対抗策として民法611条により賃料の一部を不払いとすることが考えられますが、上記の判決ではこれを認めないとしました。一方で共益費の半額の減額を認め、反訴請求として相当額の賠償金の支払いを命じたことに特色があると考えられます。上記の判決は、改正後の民法の適用のある事案でも、同種事案の参考となるものと思います。
(弁護士 瀬川宏貴)
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