東京多摩借地借家人組合

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生活苦で年末年始も相談実施

2020年12月23日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20201222/1000057889.html

新型コロナウイルスの影響で年末年始にかけて仕事を失う人が増えるおそれがあるとして、弁護士や労働組合などで作る支援グループは、大みそかの今月31日から1月3日まで緊急の電話相談を行うことになりました。
弁護士や労働組合、NPOなどで作る支援グループのメンバーが22日、記者会見し明らかにしました。
支援グループでは、新型コロナウイルスの影響で仕事を失ったり収入が大幅に減ったりして生活が苦しくなる人が増えているとして、ことし4月からあわせて5回の電話相談を行ってきました。
寄せられた相談はこれまでにおよそ7700件にのぼり、その多くは非正規雇用で働いていた人からの相談で「所持金がほとんどなくなり生活ができない」という声が目立っているということです。
年末年始にかけて仕事を失う人が増えるおそれがあるとして、支援グループは大みそかの今月31日から1月3日までの間、いずれも午前10時から午後7時まで電話相談を受け付けます。
全国の5か所程度で受け付けることにしていて、このうち東京・新宿区の事務所では弁護士や労働組合のスタッフなど5人が相談に応じます。
支援グループの猪股正弁護士は「感染拡大の影響が長期化していてギリギリの生活を余儀なくされている人が増えていると感じている。1人だけで悩まずに相談をしてほしい」と話しています。
電話相談の番号は「0120−157−930」です。
新型コロナウイルスの影響で仕事を失ったり収入が減少したりして生活に困窮する人が増えているとして、自治体の中には年末年始も相談を受け付けるなど支援の動きが広がっています。
NHKが東京23区に取材したところ、年末年始に臨時の相談窓口を設けたり電話相談を受け付けたりすることを決めたのは22日の時点で4つの区となっています。
このうち、江戸川区は今月29日から1月3日までの間、いずれも午前9時から午後5時まで、区にある3か所すべての福祉事務所で相談窓口を開設します。
足立区は今月29日は午前9時から午後7時まで、今月30日から1月3日までは午前9時から午後4時まで、区役所を開庁し、区や福祉事務所の職員が窓口での相談に応じます。
品川区は今月30日と1月2日の2日間、練馬区は今月29日から1月3日までの間、いずれも午前9時から午後5時まで、区の職員が電話相談に応じます。
このほか、新宿区と渋谷区も、年末年始に相談を受け付けることを検討しています。
それぞれの区では、電話番号などの詳しい情報をホームページなどで周知することにしています。
また、緊急の場合に食料を渡すことができるように準備を進めている区もあります。
中央区は年末年始に相談窓口などは設けませんが、区役所に職員が待機し、仕事や住まいを失った人などからの緊急の相談に対応したり、状況に応じて食料を手渡すことができるよう準備を進めるということです。
東京・狛江市ではNPOの協力を依頼し、年末年始も支援を続けるために食料の準備を進めています。
狛江市では、コロナウイルスの影響で働いていた飲食店が休業し生活が苦しいという相談や、アルバイトがなくなり食べ物に困っていると支援を求める人が相次いでいます。
狛江市によりますと、食料の支援はことし5月以降、月に100件を超えていて、件数は例年の2倍を超えているということです。
このため年末年始も支援を続けるために食料の準備を進めていて、市から依頼を受けたNPOのスタッフが寄付された米や缶詰などを袋に詰める作業を行っています。
市では2人から3人の世帯用と1人暮らしの人のための食料をあわせて10セットを作り、年末年始に生活に困り、市役所に訪れた人に職員が生活の状況などを聞き取ったうえで手渡すことにしています。
狛江市福祉相談課の宗像秀樹課長は「年末年始、安心して生活していただくために緊急の相談を受け付ける体制も整えます。新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、困ったことがあれば相談して欲しい」と話していました。
東京・江戸川区は今月29日から来月3日までの間3か所の福祉事務所で相談を受け付けることになりました。
生活に困窮する人などからの相談を受け付けている江戸川区の窓口には、「新型コロナウイルスの影響で仕事がなくなった」、「収入が減って生活ができない」などの相談が相次いでいます。
年末年始も相談が増えるおそれがあることから、江戸川区は今月29日から来月3日までの6日間、区にある3か所の福祉事務所で相談を受け付けることになりました。
相談の内容や状況に応じて、生活保護の申請の受付や、一時的な宿泊施設の提供などを行うことにしています。
その日の食事に困るなど緊急性が高い場合は、区で用意した乾パンを支給できるよう、準備も進めています。
また江戸川区は新型コロナウイルスの感染が拡大する中、路上で生活する人の生活状況が悪化していないか、確認する取り組みを続けています。
22日は区の職員や相談支援員3人が荒川の河川敷などを歩いてまわり、路上で生活する人たちに声をかけるなどしました。
江戸川区生活援護第一課の安田健二課長は「年末年始を前に生活ができないと苦しんだり追い込まれている人も多いと思います。そうした不安を少しでもやわらげることができるよう、誰ひとり取り残さないという姿勢で継続して対応にあたっていきたい」と話していました。

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支援団体 緊急食料配布・相談へ

2020年12月22日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20201221/1000057851.html

新型コロナウイルスの影響で仕事を失うなどして生活に困窮する人が、年末年始に公的な支援を受けられない可能性があるとして、支
援団体が大みそかや元日などに東京都内で緊急の食料配布や生活相談を行うことになりました。
これは生活困窮者などを支援する5つの団体が21日、記者会見し明らかにしました。
それによりますと、感染拡大の影響で仕事を失ったり収入が減ったりした状態が長く続き、「所持金がなくなり生活できない」と相談
に訪れる人が増えています。
このため、自治体の窓口が閉まる年末年始に公的な支援を受けられない人が相次ぐ可能性があるとして、緊急の支援を行うことを決め
ました。
具体的には、大みそかの今月31日は東京・豊島区の東池袋中央公園で、元日の1月1日と3日は東京・千代田区の聖イグナチオ教会
で、食料の配布や生活相談などを行います。
支援団体では、仕事と住まいを失った人に当面の生活費を支給し東京都が用意したビジネスホテルに誘導するとともに、1月4日以
降、自治体への生活保護の申請を支援することにしています。
団体によりますと、非正規雇用で働いていた若い女性が仕事を失って相談を寄せるケースが多く、家族とは疎遠で頼ることができずに
追い込まれる人も少なくないということです。
支援団体の1つ「つくろい東京ファンド」の稲葉剛代表理事は「自分がまさか支援を受けると思わなかったという人が多く、突然、仕
事や住まいを失ったことで孤立し精神的にも苦しんでいる。『1人ではないんだよ』と伝え生活支援を行うとともに、年末年始に路上
での生活を余儀なくされる人を少しでも減らせるように取り組みたい」と話していました。

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【独自】「生活困窮」相談、3倍に急増…4~9月「コロナで失業や収入減に直面」

2020年12月21日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201219-OYT1T50319/

 生活困窮者向けに全国約900自治体に設置されている相談窓口「自立相談支援機関」で、新型コロナウイルスの感染が拡大した今
年度上半期(4~9月)の新規相談が39万1717件に上ることが、厚生労働省の集計でわかった。前年度同期(12万4439
件)の3倍に急増。年末の雇い止めなどで困窮者はさらに増える可能性があり、同省は年末年始の支援体制を整えるよう自治体に求め
ている。

国、年末年始も支援要請

 支援機関は、生活保護に至る前の「安全網」として、2015年施行の生活困窮者自立支援法に基づき都道府県や市区などに設置さ
れている。実際の窓口は自治体の福祉部署や社会福祉協議会(社協)などに置かれ、NPO法人や社会福祉法人が運営するケースもあ
る。失業者らの相談に乗り、家賃や生活費給付などの公的支援につなげている。
 月別の新規相談は昨年度までは2万件前後で推移していたが、今年度は全国に緊急事態宣言が出された4月(9万5214件)と5
月(8万5635件)に急増。7月は4万件台だが、8月と9月は5万件を超え、再び増加傾向にある。
 厚労省によると、「コロナの影響で失業や収入減に直面する人が増えている。住居確保給付金など、制度に関する相談も多い」とい
う。今年度上半期の相談者を職種別にみると、フリーランスとして個人で働く人や、飲食業従事者、ホテルなどの観光・接客業からの
相談が目立つという。
 全国社会福祉協議会によると、支援機関の運営を担う290の地区社協のうち185社協で、「相談の1割以上が外国人」だったと
いう。派遣労働やアルバイトの外国人が多く失職したためとみられる。
 こうした状況を受け、厚労省は「この年末年始はコロナの影響で例年以上に迅速な対応が求められる」として、12月29日~1月
3日の臨時窓口開設や一時的な宿泊施設確保などの対策を講じるよう、自治体に求める通知を出した。一方、東京都は、住まいを失っ
た人たちのために、今年度の補正予算でホテルを1日最大で1000室確保。12月21日から提供を始める。

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「たらい回し」も…住まい失った困窮者、支援に地域差

2020年12月19日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/672950

 失業などで住まいを失った人に自治体が宿泊場所や衣食を無償提供する「一時生活支援事業」について、九州7県のうち4県が実施し
ていないことが分かった。福祉事務所がある市町村も事業主体となるが、九州では8割近くが未実施。ニーズを十分に把握しないま
ま、「財源不足」を理由に事業化しない自治体が目立つ。新型コロナウイルスの影響で厳しい雇用情勢が続く中、生活困窮者支援の地
域格差が顕著になっている。
 一時生活支援は、失業や減収で非課税の所得基準などになった人が対象。制度は2015年にスタートしたが、九州では佐賀、長崎、大
分、宮崎の4県が未実施。市町村(12月現在)でも、福岡25市(対象29市)、佐賀10市(同10市)、長崎13市町(同14市町)、大分10
市(同14市)、宮崎9市(同9市)、鹿児島18市町村(同23市町村)が実施していない。
 未実施の自治体は、「路上生活者が少なく、予算をかけづらい」「生活保護で対応する」「ニーズを感じない」-などを理由に挙げ
る。
 これに対し、未実施の佐賀市などで支援に取り組む「NPOスチューデント・サポート・フェイス」の谷口仁史代表理事は、「地方で
も車上生活者は増えている」と指摘。生活保護を受ける際の住宅支援では、申請者自らが物件を探す必要があるなど2週間近くかかる
として、市や県に一時生活支援の実施を求める。
 事業未実施の自治体の職員が、家を失った相談者に交通費を渡して別の自治体で支援を受けるよう促す「たらい回し」の事例も起き
ている。
 さらに、コロナ禍の長期化で困窮者が増える恐れもある。北九州市では4~9月、支援施設に30人が新規で滞在。福岡市では4~11月
に約160人が施設を利用した。市は「家賃を補助する国の住居確保給付金の期限切れや、年度末の雇用終了などで相談者は増えるので
は」とみる。
 一方、熊本では県と対象の全14市が実施している。うち9市は県と費用を出し合い、熊本市内のアパート9部屋を確保して困窮者を支
援。ノウハウを得た一部の市が共同事業から離脱後、地元の旅館などと提携し、困窮者の利用時に限って市が費用負担する「節減モデ
ル」も実現している。 (大坪拓也)

支援施設に入居「希望持てた」6月解雇の28歳男性、再起への日々

 自宅を失った困窮者に、仮住まいを提供する一時生活支援事業によって救われた人は少なくない。新型コロナウイルス禍で派遣切り
にあった男性(28)は、北九州市が事業を委託するNPO法人「抱樸(ほうぼく)」の滞在施設に11月から身を寄せ、再起に向けた日々
を過ごしている。
 男性は福岡県内の自動車関連会社を6月末で解雇された。3年間働き、やりがいも感じていた。だが、社の借り上げ住宅を追われ、ア
パートに越した。
 「コロナの波にもまれたくない」。正社員の職を探したが要件を満たせず、派遣会社の選考も落ちた。月10万円の失業保険は、家賃
や奨学金返済で大半が消えた。家賃を支援する国の住居確保給付金制度も知らなかった。「無気力で部屋にこもり、諦めて情報も調べ
なかった」。失業保険の給付期限が迫り、10月末でアパートを解約。住まいを失った。
 所持金は1万円ほど。昼はパチンコ店の休憩室などで過ごし、カップ麺や値下げ品のパンでしのいだ。ネットカフェや公園で寝泊ま
りし、冷える体をさすった。「この先どうすれば…」
 実家は頼れなかった。両親とは、自らの適性に悩んで専門学校を中退してから不仲になり、5年前から音信不通。生活保護の利用も
頭をよぎったが、行政が親族に扶養の可否を確認する「扶養照会」があり、男性には難しかった。
 1週間余りで手持ちは小銭だけになった。すがる思いで区役所を訪れた。翌々日に抱樸の独自のシェルターに入居後、11月中旬に現
在の一時生活支援施設に移った。
 ベッド付きの3畳半の個室に腰を据え、早寝早起きの毎日。別の支援制度を使い、就職に必要な自動車免許の取得へ教習所にも通っ
ている。面接講座も受ける予定だ。「本当にありがたい。希望が持ててきた。正社員を目指したい」。生気を取り戻した男性は、力強
く語った。 (大坪拓也)

【ワードBOX】一時生活支援事業 

 2015年4月に施行された生活困窮者自立支援法に基づく。地方自治体がニーズに応じて実施するかどうかを判断する任意事業だが、
国は生活保護に至る前の「第2のセーフティーネット」と位置づけ、事業費の3分の2を補助している。都道府県や市町村の委託を受け
た支援団体や社会福祉協議会が原則3カ月(最長半年)、専用施設やアパートを仮住まいとして確保し、3食や衣類などを提供する。対
象者は就労訓練も受けられる。

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コロナ禍で賃貸困難の相談増 要配慮者「居住支援」増す重要度

2020年11月04日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www.at-s.com/news/article/topics/shizuoka/820458.html

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済的打撃を受け、低額所得者や高齢者など「住宅確保要配慮者」とされる人の円滑な入居をサ
ポートする居住支援の活動が重要度を増している。静岡県内で最初に居住支援法人の指定を受けた「WAC(ワック)清水さわやか
サービス」(静岡市清水区)によると、感染が拡大し始めた春以降、失職した人からの相談件数が高水準で推移。しかし、制度の歴史
が浅く認知不足や、支援団体の少なさから県全域をカバーする体制が敷かれていないのが現状だ。
 勤務先の自動車部品工場の業績悪化で、2月に派遣契約を突然解除された男性(38)が10月上旬、同法人を訪れた。現在は在職
中と同じ家賃約4万2千円のアパートに住んでいるが、コロナ禍で再就職の求人が少なく、生活保護を受給して暮らしをつなぐ日々。
静岡市の家賃補助の上限額である月3万9千円以内のアパートを探している。鈴木久義代表が低額所得者に理解ある不動産会社の中か
ら、男性の希望に合う物件を提案した。男性は「生活保護を受けていると話した途端、物件を紹介してくれない不動産会社も多い」と
支援の必要性を語る。ワック清水では、必要に応じて不動産会社との交渉や入居後のサポートを行う。
 ワック清水によると、今年9月までの相談は64件で、すでに昨年1年間の相談件数を超えている。活動を始めた2018年当初
は、家が見つからない高齢者や障害者からの相談が多かったが、感染拡大と共に派遣切りにあった人からの相談が上乗せされたとい
う。男性も初めてワック清水を訪れたのは今年5月。鈴木代表は「社員寮に入っていた人は雇用契約解除で即退去となる。今現在家が
ある人はどうしても優先順位が下がってしまう」と人手不足を嘆く。
 県内には他に三つの居住支援法人があり、活動は広がりつつある。しかし各法人の活動区域は団体の所在地中心なのが現状。鈴木代
表は「支援を県内に行き届かせるには法人数がまだ足りない。要配慮者に認知が広がらない要因にもなっている」と話す。

 ■入居後の見守り、交流の場を/静岡県立大短期大学部 佐々木隆志教授(社会福祉)

 社会福祉が専門の県立大短期大学部の佐々木隆志教授は、物件所有者が低額所得者や高齢者への賃貸契約をためらうのは、家賃滞納
と物件の価値が低下することへの二つの懸念が要因と指摘する。
 生活保護受給者は真面目に働かないという誤解は根強く、入居者が高齢の場合は孤独死の可能性も考える大家も多いという。そのた
め賃貸契約の仲介だけでなく、入居後の見守りを行う居住支援は今後一層重要になる。
 居住支援は制度としてまだ新しい。佐々木教授は「行政が周知活動に努めるべき。空き家問題の解消にも一役買うはず」と話す。そ
れと同時に、住民同士が自然に交流できる場を設け、多様性を受け入れる地域づくりも進める必要があるとした。

 <メモ>居住支援法人 住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を図るため、住宅情報の提供、相談、見守りなどの生活支
援を行う組織。2017年に施行された改正住宅セーフティーネット法を基に、都道府県が指定する。県内ではWAC清水さわやか
サービス(静岡市清水区)、天竜厚生会(浜松市天竜区)、静岡生活振興会(袋井市)、ふじのくにコンシェルジュ(富士宮市)が指
定を受けている。静岡生活振興会は県内全域を活動区域としているが、東部地域の相談はメールや電話相談が主という。

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住居確保給付金の拡充と改善を求め厚労省に緊急要請

2020年09月30日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
 新型コロナウイルスの影響で、会社の倒産・休業で仕事を失ったり、賃金が激減する人が急増する中で、住居を失う恐れのある人の家賃を補助する「住居確保給付金」の制度が4月から緩和され、前年度の21倍に当たる8万2千件超に支給決定が激増。コロナの影響が長期化する中で年末には給付金を打ち切られる恐れもあり、最長9ヶ月の支給期間の延長や支給額の見直し等を求めて、住まいの貧困に取り組むネットワークは9月25日に厚生労働省に緊急申し入れを行いました。

 要請行動には、ネットワークの世話人の稲葉剛氏、坂庭国晴氏、ネットワークのメンバーの全借連の細谷紫朗事務局長他が参加しました。国会議員の日本共産党の宮本徹衆院議員も同席しました。

 要請内容は、①支給期間が最大9ヵ月であるため、収入が回復しないまま支給期限を迎え、家賃が支払えなくなる。支給期間を少なくとも1年間に延長すること。また、公営住宅やセーフティネット住宅への転居を支援する。②収入要件が生活保護水準であるため制度対象外になる人が多く、申請すら受け付けてもらえていない。収入要件の現行基準を改め、公営住宅入居収入基準などに引き上げる。③支給額の上限額を見直し、支払い家賃額に見合った支給額に引き上げる。④この制度の実施主体の窓口になっている「生活困窮者自立相談支援機関」の人員を大幅増や支援を行い、負担軽減と迅速な受付、支給が行われるように改善する。⑤住宅確保給付金の予算を大幅に増額し、財源を確保すること。また、給付金利用者の実態を全国的に調査し、制度の拡充・改善を行い、全国的な「家賃補助制度」の実現につながるよう検討すること以上。

 厚生労働省社会・援護局地域福祉課の担当者は、給付金の急増を受けて、第2次補正予算の予備費で219億円を追加していると指摘しましたが、給付期間の延長や制度の見直しについては明確な回答がありませんでした。同制度が失業等によって生活が困窮し、家賃が支払えなくなった人を生活保護に至る前に、就労により自立を促す制度であると強調していました。
 稲葉氏からは「コロナ以前に作られた制度であり、現状に合っていない。コロナは何時終息するか分からない中で、この制度が最後の頼みの綱という方が多く、それが打ち切られると寒い冬の時期に路頭に迷う人が出かねない」と訴えました。

 住まいの貧困に取りくむネットワークには住居確保給付金問題で以下の様な相談メールが寄せられ、厚労省の緊急申し入れ当日紹介されました。

 「私もコロナで収入が減り、6月~7月の収入でなんとか食べるだけ生活しており、住居確保給付金を5月から受けて今は延長しました。コロナ前もダブルワークで生計を立てていましたが、1つの仕事がダメになり、この先の仕事の見通しはまだありません。月に6万~7万円では本当に生活できません。住居確保給付金を9ヵ月でなく、もっと長くしてもらえるように政府に働きかけて下さい。私は一人暮らし50歳の女性です。このままでは自殺を考えるようになっている日々です」。

 このような声は全国各地で起きています。現制度では、もはや限界であり、コロナ禍では対応できません。全借連では、家賃に困窮する人達が住まいを失わないよう、住居確保給付金制度の抜本的な改善、恒久的な「家賃補助制度」の創設等をめざして、国会請願署名運動を開始します。

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ローン破綻!家賃が払えない!… 身近に迫る“住居喪失クライシス”

2020年09月11日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4456/index.html

新型コロナの影響が長引く中、多くの人が「住居を失う危機」に直面している。不動産会社には住宅売却の相談が殺到。収入の減少の
長期化で住宅ローンが支払えなくなり、自宅を手放す人がここにきて続出しているというのだ。さらに、賃貸住宅の家賃が支払えなく
なった人向けの支援制度「住居確保給付金」の申請件数も急増。給付金は最長9か月で打ち切られるため、年末にかけて住居を失う人
がますます増えると懸念されている。番組ではローン破綻や家賃滞納の厳しい現実、制度の問題点などをルポ。住まいを失う危機にあ
る人をどう支えていくべきか、様々な現場を通して考えていく。

出演者
石井光太さん (ノンフィクション作家)
稲葉剛さん (つくろい東京ファンド代表)
武田真一 (キャスター) 、 栗原望 (アナウンサー)

ローン破綻!家賃が…コロナで住まいを失う

都内の不動産会社です。「住宅ローンが払えない」という相談が連日寄せられています。
明誠商事 飛田芳幸さん
「ご相談の伺いをできればと思いますので。」
この日、訪れたのはイベント関連の運送会社で働く50代の男性。
飛田芳幸さん
「ボーナスも7月は全く?」
運送業 男性(50代)
「ないですね。」
飛田芳幸さん
「ゼロですか?」
男性
「はい。このまま復帰しなければ、たぶん11月で…って感じですね。」
飛田芳幸さん
「えっ、11月で何かあるんですか?」
男性
「もう、終わりですね。」
飛田芳幸さん
「会社終わり?」
男性
「うん。」
感染拡大で大規模イベントの中止が相次ぎ、収入が大幅に減少。自宅の売却を迫られています。
飛田芳幸さん
「売っても1,000万円だから、要するに(借金が)700万円くらい残ってしまう。」
5か月ローンを滞納したため、遅延損害金も発生。自宅を売却しても多額の借金が残るといいます。
飛田芳幸さん
「借金を払わないということになると、自己破産という話になるんですよ。全く払いきれないとなると。」
男性
「はい。」
懸命に働いてきたという男性。まさか、自己破産に追い込まれるとは思ってもみませんでした。
男性
「仕事もこういう状況で見通しが立たない。もうさすがにちょっと、どうにもならないという感じですね。」
こうした深刻な相談は、8月以降、急激に増えているといいます。
飛田芳幸さん
「給付金とか貯金があって、いっときは5月、6月、7月は落ち着いてきて、8月になってからコロナの影響でもう我慢できず、返済
がどうしても難しいと。貯金も今ほとんどないという方の相談が8月からかなり増えて。相談はどんどん増えていくと思いますね。」
住まいの喪失は、家族の暮らしにも大きな影響を及ぼしています。8月にマイホームの売却を決めた、建設業の男性です。
「おいくらで購入しましたか?」
建設業正社員 男性(40代)
「2,700、2,800万円だったと思う。結婚を機に購入しました。子どもができれば、やっぱり広いほうがいいのかなと思いまし
て。」
10年前に35年ローンでマイホームを購入。妻と小学生の息子の3人で暮らしてきました。
「一番気に入っている場所はどこだったんですか?」
男性
「やっぱりリビングですよね。やっぱり家族と一緒にいますからね。」
毎月の支払いは9万円。しかし、感染拡大の影響で建設現場の仕事が減り、月収は3分の2に。夏のボーナスも大きく減り、ローンの
支払いが苦しくなったのです。
男性
「早いうちに手を打って、売って、そのお金を多少なりとも子どもに少しでもかけられればいいかなと思って。やっぱり何か売る日が
近づくにつれて、受け入れられなくなってきますね。いつも、夢なのかなとか、そんな感じですよね。」
先月(8月)22日。男性は、売却の契約書に印鑑を押しました。
明誠商事 飛田芳幸さん
「これでもう書類は全部、売買契約書、重要事項整いました。」
引っ越しの期限は、今月(9月)下旬。子どものことを考え、今の地域から離れた場所に借りられる部屋を探しています。
男性
「子どものお友達も家知っていますし、『何で変わったの?』って言われたら言えないでしょうし。だったらね、学区外に行って、誰
も知らないところで、そういうこと言われないように。友達はいちから作らなきゃならないんですけど。子どもと寝ているんですけど
ね、いつも。そのときは、ああって考えますね。」
賃貸住宅に住んでいる人たちにとっても、事態は深刻です。都内の福祉事務所です。
フリーランスデザイナー(40代)
「お金を使い切ってしまったので。もう数百円なので。次の月から(家賃を)どうしようという感じなので。」
申請するのは、「住居確保給付金」。仕事を失った人などに家賃を支給する、5年前にできた制度です。
給付金の支給期間は原則3か月。その間に新たな仕事を見つけるなどして、生活を立て直してもらうのがねらいです。しかし、新型ウ
イルスの影響が長期化し、収入回復の見通しが立たない人が相次いでいるのです。
相談員
「お仕事どんな状況ですか?」
ホテル勤務 男性(50代)
「以前よりもだいぶ仕事がない状況というか、ゼロです。」
相談員
「皆さん苦労されている。心配ですけどね。」
ホテルで働く50代の男性。6月から給付金を受けていますが、3か月たった今も収入が回復していません。この日、支給期間の延長
を申請しましたが、給付金を受けられるのは最長でも9か月間。それまでに生活を立て直さなければなりません。
男性
「宿泊業界、どこも厳しいと思います。やっぱりここまで続くとは誰も思ってなかったと思いますし。預貯金の面でも、このままいく
と底をついてしまうので、不安だらけですね。」
9か月の支給期間内に仕事が見つからず、住まいを失う危機に直面している人がいます。
神奈川県に住む30代の男性。以前は国家公務員でしたが、病気で退職し、去年(2019年)11月から給付金を受けていました。
元国家公務員 男性(30代)
「申請をしたときにですね、最初の3か月以内に仕事を決めて復帰するぐらいの予定でいたので。」
しかし、新たな職を探していたさなかに、新型ウイルスの感染が拡大。50社以上応募しましたが採用されず、給付金は7月で打ち切
られました。
男性
「就職活動できれば元の生活に戻れるんじゃないかと思っていたんですけれども、やはり9か月という上限があるということで打ち切
られてしまって、困っているところですね。住居確保給付金という名前なのに、住宅が確保されないという状況になってしまっている
ので、もうホームレスになるしかないのかなと。」

家賃が払えない…コロナで住まいを失う

武田:新型コロナによる生活困窮の実態を取材されている石井さん。住まいを失うということは、場合によっては命の危機につながる
ことでもあると思うんですけれども、石井さんは改めてどう捉えてらっしゃいますか?
石井さん:生活が困窮するということにおいて、家を失うというのは最後の最後に来ることなんですね。実際は、家を失う前にたくさ
んのものを失って、生活が破綻しているというケースがあります。例えば、僕が知っている場合ですと、ローンを払えないので実家に
お金を借りる。でも借りすぎて、実家のほうから逆に取り立てをされてしまっている。あるいは、配偶者との間にいさかいが絶えなく
て、DVが起きてしまう。そして離婚になってしまう。子どもはそういった状況を見て、家に居場所が見つからず出ていってしまう、
家出してしまう。そういったようなことが起きてしまうんですね。現状、こうしたことはたくさん起きています。そういう人というの
は、いくつものトラブルを抱えながら「新しい仕事を見つけなさい」、あるいは「新しい家を見つけなさい」と言われても、なかなか
できない。例えば1か月間に1,000件の方が1,000人が家を失っていると考えれば、その何倍もの数が、家を失う前に、今言っ
たような状況になっているということを考えなければならないと思っています。
武田:「8月になって再び相談が増えている」ということばがとても心に残ったんですけれども、3月から継続して取材している、社
会部の横井さん。この家賃や住宅ローンの支払いが滞ってしまう、困難になってしまうというケースは、今どうなっているんでしょう
か?
横井悠記者(社会部):今も増え続けています。NHKが全国36の自治体に調査したところ、住居確保給付金の申請件数は、7月ま
での4か月間でおよそ5万件。去年の同じ時期の90倍に上っていることが分かりました。
また、最初の3か月では生活を立て直せず、支給期間を延長した人も全体の半数以上に上っていて、住居喪失の危機が日増しに深刻さ
を増していることがうかがえます。
次に住宅ローンですが、住宅金融支援機構によりますと、計画どおりにローンを支払うことが難しくなり、返済条件を見直して月々の
返済額を減らした件数は、3月は2件でしたが、5月以降急増し、8月も1,000件近くに上っているということです。
支払いが滞りますと、先ほど紹介した男性のように、損害金が発生して返済額が膨れ上がり、ついには自宅の売却を迫られるというこ
とにもつながりかねません。金融機関の多くが返済条件の見直しに応じていますので、支払いに困った場合は、まずは金融機関に相談
することが必要です。
武田:生活困窮者の支援活動に取り組んでいる稲葉さん。危機は長引いていますね。稲葉さんのもとではどうですか?
稲葉さん:7月の下旬からコロナの感染が再拡大していますけれども、実はそれに比例するかのように、私たちのもとに寄せられる生
活困窮の相談というのが、再び増加傾向にありまして、いわば“貧困の第2波”とも言える状況になっています。
コロナの経済的な影響が長期化、深刻化する中で、飲食業や宿泊業を中心に事業を縮小したり、あるいは倒産、廃業に追い込まれたり
という企業が増えておりますけれども、こうした職場で働いていた方々の中から、非正規の方を中心に、仕事を失って、住まいまで
失ってしまうというような相談が相次いでいるという状況になっています。そして、こうした人たちを支える仕組みとして住居確保給
付金があるわけですけれども、住居確保給付金の支給期間というのが最大でも9か月ということになっております。今、利用されてい
る方の多くが、この春から利用されていますので、そうすると年末年始には支給はストップしてしまうという状況になってしまうの
で、支給期間の延長を含めて、この制度を拡充していくということが求められているというふうに考えています。
横井記者:今、お話しいただいた住居確保給付金は、生活の頼みの綱となっています。ただ、申請が急増する中で、自治体の相談窓口
が今、危機的な状況になっているんです。

住居喪失クライシス 公的支援もひっ迫!

住居確保給付金の申請が殺到している、大阪市内の自治体の相談窓口です。
大阪市への申請件数は、ことし(2020年)7月までの4か月間で6,000件余り。去年の同じ時期の270倍に上ります。人手
が足りず手続きも煩雑なため、対応が追いついていません。窓口の負担は深刻です。
大阪弁護士会が府内の相談員に行った調査では、75%が「体も気持ちも疲れ果てた」と回答。「退職を考えた」という人も43%に
上りました。
退職を決めた相談員
「日中は相談者からの電話が鳴りやみませんし、常に差し迫った相談者が来る。相手の方から『死ね言うんか』とか、『こんな対応し
かできひんのか』と。ストレスがずっとある状態なので、もう辞めるという選択肢しかないのかなって。」
調査を行った弁護士 小久保哲郎さん
「相談員の皆さんが限界に達する中で、悲鳴のような声がたくさん寄せられています。このままいくと“相談崩壊”、もう相談現場自
体が持ちこたえられなくなって、市民の相談を受け止められなくなるんじゃないか。」

“相談崩壊”を防ぐために

横井記者:ご覧いただいたような状況は、大阪だけではなくて、全国でも起きています。NHKのアンケート調査でも「多忙で職員の
数が足りない」「退職する職員がでてきている」という回答が相次ぎました。生活に苦しむ人たちを支える側も疲弊し、十分な支援が
行き届かない状況になっているんです。
武田:“相談崩壊”ということばがありましたけれども、支える側の相談の窓口を改善していくには、どんなことが必要なのでしょう
か?
稲葉さん:“相談崩壊”を防ぐためには、相談員の方の負担を軽減するということが急務だというふうに考えています。そのために必
要なことは、2つあると考えております。
1つは、相談員の数を増員する。そして、待遇を改善するということが必要だと考えています。実は、相談員の方の中には“官製ワー
キングプア”ということばがありますけれども、非正規で年収も200万未満という方も多いので、そうした方々に対してきちんと待
遇を保障すると。それによって、相談に集中できるような体制というのを作っていく必要があるというふうに思います。
もう1つは、実は、この住居確保給付金の申請手続きが非常に煩雑であると。たとえば、収入が減少したということを証明する書類な
ど、10種類程度の書類を持ってこなければ申請できないということが、相談者だけでなく相談員にも負担になっているという問題が
あります。何度も来ていただいて、書類を持ってきてもらうということ自体が、相談員にとっても心理的な負担になってきているとい
うことがありますので、思いきってこの申請手続きを簡素化して、収入要件と資産の要件だけでシンプルに利用できるような“家賃補
助制度”に替えていくということが求められていると考えます。
武田:支える側も疲弊し、深刻さを増す住居喪失クライシス。民間企業や団体も支援に動き始めています。

住宅を失わせないために 民間の取り組み

千葉県に本社がある、家賃保証会社です。保証会社は、入居者から契約料を受け取って保証人となり、家賃の滞納があれば一時的に立
て替えます。このため、入居者の生活が破綻しないよう、さまざまなサポートを用意しています。
入居者
「日雇い行ったりね、そういうのもせんと、もう生活やっていかれへんから。もうギリギリの生活です。」
クラウドファンディングなどで資金を集め、収入が減った人や、ひとり親世帯を対象に、最大10万円を支給します。生活を立て直
し、その先も家賃を払い続けてもらうためです。
担当者
「これでエントリーできましたので。」
入居者
「そんなの(普通は)何にもないから、一瞬疑うわ、えーって。ありがとうございます。」
さらに、家賃の支払いが難しくなった場合には、住居確保給付金の申請にも同行しています。飲食店を長年経営してきたこちらの女性
は、営業自粛が続き、収入が激減。自宅の家賃が支払えなくなっていました。
飲食店経営 女性
「資産も全部なくしてしまって、本当にお恥ずかしいんだけど、このたびお世話になることにしたんです。」
日本賃貸保証 奥出勝也さん
「お客様からお伺いしているのが、4月、5月の収入が全くゼロの状況と伺っていたんですよ。そこについての収入の証明とかは、の
ちのち書類で用意すればいい形になりますよね。」
申請に必要な書類や記入方法などを、きめ細かくアドバイスします。
女性
「(支援の手続きを)どうやって、どのようにしたらいいか分からないものですから。ネットもできないし、それですべてが後手後手
になっている状態でしたので。すごく頑張ろうという気持ちが起きてきました。」
奥出勝也さん
「市の制度とか国の制度っていうのは、伝わりきらないところはあると思います。なるべく不備がなくスムーズに支給されるように、
サポートしていきたいと思います。」
すでに住まいを失った人を支援する、民間のプロジェクトも始まっています。新たな住まいを見つける際に壁となるのが、敷金などの
初期費用です。
ビッグイシュー基金 高野太一さん
「住まいを失ったり困窮する人って、めちゃくちゃ増えてくるだろうなってことで。やっぱりそういう方々に直接現物を給付するとい
う形で(入居の)初期費用を出すということ。」
このプロジェクトでは、民間企業からの寄付金を原資に、住まいを失った人に最大30万円を支給。敷金や礼金、家具の購入費など入
居にかかる費用に充ててもらっているのです。生活困窮者を支援する全国19の団体と連携しています。
LGBTハウジングファースト(ぷれいす東京) 生島嗣さん
「転居費用っていうのは、すごく大きなハードルになっているというのはあると思いますね。今2、3人くらい(支援したい)候補者
がいるので、順次ご提案しながら。」
支援団体の一つを訪ねました。60代の男性。3月に飲食店を雇い止めになり、一時は路上生活を余儀なくされていました。仕事がよ
うやく見つかり、今はアパートを探しています。
不動産会社
「お家賃としては、大体5万円台から6万円台。5万円台が理想という捉え方でよろしいですか?」
飲食業 男性(60代)
「はい、結構です。」
今回、プロジェクトの支援で入居の初期費用のめどが立ち、家探しは大きく前進しています。
不動産会社
「これで絞り込んで、ちょっと多めに図面を出していって、だんだん絞り込んでいこうと思います。」
男性
「そうですね。なんかおもしろくなってきました。今この勢いがあるときに、一気に家を探すことまで進めたい。」
栗原
「30万円の支援というのは大きいですか?」
男性
「もう、とてつもなく大きいです。これは貸し付けではなく支援ということなので、いつか恩返しできればいい。支援されるだけで終
わることなく、それを返すくらいの気持ちで働いていきたいと思います。」

いま必要な支援とは

武田:取材に当たった栗原さん、どんなことを感じましたか?
栗原:プロジェクトの支援を受けた男性の話を聞いて印象に残ったのは、「私は運がよかった」ということばです。本当にはっとさせ
られました。この方は支援にたまたまたどり着いただけで、その裏には支援からこぼれ落ちている人がたくさんいるということを意味
しているわけで、この“運”ということばに、問題の根深さがあるというふうに感じました。
武田:稲葉さんがほかに今、必要だと思う支援が具体的にあるそうですけれども、どんなことでしょうか?
稲葉さん:住まいを失った方々の相談支援をする中で、今見えてきた課題としては、通信手段の確保という問題があります。生活困窮
者の方々の中には、すでに携帯電話などを失っている方も多く、そうすると、今の社会では電話番号がないと、なかなか仕事を探すに
も住まいを探すにも、大きなハードルになってしまうという問題があります。そこで、つくろい東京ファンドでは「つながる電話プロ
ジェクト」という取り組みを始めておりまして、スマートフォンを2年間無償貸与する。これによって公的な支援であったり、あるい
は住宅・仕事へのアクセスを容易にしていくという環境づくりを考えております。
栗原:困っている方がたくさんいる状況だと思うんですけれども、改めて支援の窓口をご紹介していきます。家賃が払えないなど、住
まいを失いそうになったときの相談窓口として、厚生労働省では住居確保給付金に関してのコールセンターを設置しています。こちら
の番号におかけください。
そして先ほどご紹介した入居の初期費用を支援するプロジェクトについては、こちらのホームページからアクセスできます。
武田:住宅を失った方々が、「まさか自分が」と口々におっしゃっていたのが印象的だったんですけれども、ウィズコロナの時代、暮
らし方や社会のあり方について、私たちはちょっとずつ慣れている一方で、これから多くの方が、この住居喪失という現実に直面して
いくんじゃないかという不安も感じるんですが、石井さんは今何が必要だと感じていますか?
石井さん:初めに申し上げたように、家を失うということは、それ以外にたくさんの問題を家族が抱えてしまうということなんです。
そこにおいて、例えばNPOに住宅の部分だけ支援してもらって、何とかなるということではありません。やはりそこには、トータル
の支援というのが必要になってきます。
僕が知っている例ですと、家を失うことによって子どもが居場所を失って、深夜はいかいをするようになってしまった。そのときに、
学校は必死になってその子に対してきちんと家庭訪問をしてあげる。例えば塾だとか習い事などの月謝を低くしてあげる。あるいは、
クラブの友達や近くの保護者が、その子たちを家に呼んであげる。つまり、地域で支援するということが、どうしても欠かせないこと
なんですね。
現状でコロナの状況というのは、本当に被害を被った人と被らない人に分かれます。だけど地域支援というのは、困っている人を支え
るということなんです。今必要なのは、誰が困っている困っていないではなくて、地域全部が今言ったような状況を把握して、困って
いる人に対してトータルで支援をしてあげるということだと思っています。
武田:稲葉さん、まだまだ継続して支援するということが必要だと思うんですけれどもこれ以上、住居喪失を広げないために今後必要
となるような施策とはどんなことでしょう?
稲葉さん:私たち全国の民間支援団体は、工夫を凝らしながら、多くの方々にご協力いただきながら支援活動を展開しておりますけれ
ども、やはり民間の力には限界があるというふうに考えています。国に対して私たちは、きょうは住居確保給付金の問題を中心にお話
ししましたけれども、例えばほかにも、民間の空き家を借り上げた形での住宅支援であったり、特別定額給付金10万円の再支給など
が考えられるべきだと思っております。
そして、最後のセーフティーネットである生活保護。残念ながら生活保護にはマイナスイメージがついて回っておりますので、政府か
らの積極的な「困っている方は生活保護を利用してください」という広報も必要とされている。そうした形で、あらゆる政策手段を総
動員しなければ、今の危機は乗り越えられないと考えています。
武田:たくさんの施策・政策、社会全体での助け合い。そういったもので何とか乗り切ってほしい、そういう状況を作らなければいけ
ないと思いますね。

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住まいは人権デー 「コロナ禍の住宅問題と住宅人権を考える」シンポジウム開催

2020年07月14日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
 2020年「住まいは人権デー」の集い「コロナ禍の住宅問題と住宅人権を考える」が、6月14日午後2時から練馬区区民プラザ・ココネリで開催されました。

 坂庭国晴氏(住まい連代表幹事)から「問われる日本の住宅政策と住宅人権」と題して報告。

派遣労働者などコロナ禍で解雇を迫られ、家賃が支払えなくなり、住まいを失う事態が発生していることについて、国連・人間居住会議(ハビタット)の宣言「居住の権利は最も重要な基本的人権」から見ても、大きく侵害されている実態にあると指摘しました。

 次に、東京都立大学非常勤講師の小田川華子氏より、今年2月8日に開催した住まいについて自由に語る座談会で参加者から出た住宅の悩みや声を紹介し、家賃負担を軽減し、家賃補助がないと東京では暮らしていけないと強調しました。

 続いて、7人の方からコロナ危機での住宅困窮者、居住者の状況についてリレートークが行われました。ジャーナリストの藤田和恵氏は、行政の側では住まいを失って生活保護の申請をすると、都内では生活保護の家賃扶助の範囲で借りられる住宅がないために、無料低額宿泊所を紹介するなどこれまでの住宅無策の実態を報告しました。

 東借連会長の細谷紫朗氏は、新型コロナウイルスの影響による賃料不払いは契約解除理由に当たるのかについて、法務省が5月にホームページで発表した「新型コロナウイルス感染症の影響により3か月程度の賃料不払いが生じても、不払いの前後の状況等を踏まえ、信頼関係が破壊されていないと判断される」を照会し、賃借人は家賃が支払えなくなっても、直ちには退去する必要はない。住居確保給付金や生活保護等の支援を受け、国は賃料不払いを理由に明渡し請求しないための法制化を強く求めました。
(全国借地借家人新聞より)

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困窮者家賃補助、申請1077件 道内4、5月 昨年の100倍 相談は5千件超

2020年06月16日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/430530

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、困窮世帯の家賃を期限付きで補助する「住居確保給付金」の全道の申請件数が4、5月で計
1077件と、昨年同期の100倍近くに急増したことが北海道新聞の取材で分かった。ただ、申請は相談件数の約2割にとどまって
おり、要件の厳しさなどから断念するケースも少なくないとみられる。
 住居確保給付金は、従来ある厚生労働省の生活困窮者自立支援制度の一つで、原則3カ月(最長9カ月)の家賃を補助する。対象は
失業や離職、廃業で減収となった世帯に限定されてきたが、政府は4月下旬、新型ウイルスの影響に伴う休業などで減収した世帯にも
拡大。フリーランスも対象となった。
 道などによると、全道の申請件数は感染が拡大した4月に228件(昨年同月3件)と急増し、対象拡大後の5月は849件(同8
件)に達した。申請者は居酒屋などの飲食業やサービス業を営む人が多く、道央の自治体の窓口担当者は「20~50代が中心で、ひ
とり親家庭も目立つ」と話す。
 一方、住居確保給付金に関する全道の4、5月の相談件数は計5277件と申請件数の5倍に上った。
 給付金の支給には、収入が基準額以下でなければならないといった要件がある。基準額は自治体ごとに異なり、札幌市が単身世帯で
月収8万4千円、3人世帯で同17万2千円、旭川市が単身世帯で同8万1千円、3人世帯で同15万9千円など。「基準額は生活保
護費とほぼ同水準。要件は厳しく、収入が半減しても申請できない事例がある」(旭川市の担当者)といい、相談が必ずしも申請に結
びついていない実態が浮かぶ。

コロナ、住まい奪った 国の家賃補助制度、実態に追いつかず 民間が受け皿に
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/430537

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、生活の基盤である「住まい」を失うほど窮地に追い込まれた人々がいる。家がなければ、国
が家賃を補助する住居確保給付金などの支援制度につながることすらできない。札幌市のホームレス支援団体では相談が昨年の倍に急
増し、一時的な住まい「シェルター」の提供数を増やして対応。関係者は「景気悪化の影響が深刻さを増す中、住まい確保の対策を徹
底すべきだ」と訴える。

■業績悪化で失業

 政府が緊急事態宣言を全国に発令した4月中旬、男性(53)は札幌市中央区の大通公園にいた。道央のホテルに調理師として勤務
していたが、業績悪化で職を失い、社員寮にも住めなくなった。かばんには所持金2万6千円のほかは、手書きのレシピノート10冊
が入っているだけだった。
 2日に1度、100円のおにぎり1個を食べ、パーカにジーパン姿で植え込みで寝る毎日。仕事を探して飲食業など計80社に電話
したものの断られ、5月中旬、所持金は800円に。スマートフォンで「仕事ない 家ない」と検索し、札幌市ホームレス相談支援セ
ンター「ジョイン」のホームページにたどり着いた。
 ジョインのシェルターで半月ほど暮らし、今月から生活保護を受けてアパートを借りた。「当時は職探しで頭がいっぱい。行政に助
けを求める考えを持てなかった」と男性は言う。
 ジョインによると、新型コロナ感染拡大の影響を受けた人からの相談は4月が43件、5月が46件。それぞれ前年同月の相談件数
の倍以上だ。相談者の年齢は18~58歳と幅広く、13人は失業と同時に住居を失い、うち9人はジョインのシェルターを利用し
た。

■住宅提供拡充へ

 国の生活困窮者自立支援制度の住居確保給付金は、あくまで家賃の補助で、住まいを失えば受け取れない。ジョインのシェルターの
定員は計約40人と限られており、5月から8人分増設したものの、ほぼ満室の状態が続く。ジョインの小川遼・相談支援員は「住居
確保給付金を受けられたとしても、支給期間(最長9カ月)を過ぎたころに住まいを失う人がさらに増えるかもしれない」と危機感を
強める。

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家賃滞納対処法 明渡し合意書作成しない 弁護士 林 治

2020年06月08日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
 新型コロナウイルスの感染拡大により、経済活動が停滞しそれに伴い収入も減少し、住まいの家賃を支払えない者が増加している。賃料の不払いが続いた場合、賃貸借契約が解除され住まいの明渡を求められる恐れも出ている。

 滞納した場合、大家や家賃保証会社が強硬に(時には強迫など違法な手段を用いて)明け渡しを求めてくることもある。このような場合でも直ちに出て行かなければならないわけではない。大家が強制的に明渡を求めるには、裁判で明渡請求をして勝訴判決を得てから、その判決に基づき強制執行手続きを改めて裁判所に求めるという法的手続きを経なければならない。実力で部屋から追い出すことはできないのであり、もしそれを行ったら違法行為であり大家の方が責任を問われることになる。このような法的手続きを経ないで違法に退去を迫る者を追い出し屋と呼んでいる。

 また、追い出し屋の中には、実力で無理やり追い出したのではなく、合意により出て行ってもらったことを装うために、明け渡しの合意書を作成させることもある。例えば「私と大家は、本件物件を〇月×日までに明け渡すことを合意した。〇月×日以降本件物件内の残置物は大家が任意に処分することに私は異議を述べない」などと言う内容の書面に署名・押印させることがある。このような書面を基に、追い出し屋は「合意したんだから出ていけ」と迫るのである。

 滞納した負い目や自分でも合意書を作成してしまったことから、転居先も決まっていないのに仕方なく退去してしまうことも多い。しかし、この合意書が直ちに法的に有効になるものではない。

 しかし、無用なトラブルを避けるため実現できないような合意書は作成しないこと、もし仮に合意してしまった場合でも直ちに書面が有効になるわけではないことを知ってほしい。

 もし追い出し屋からの請求や実際に追い出されそうになった場合は、近くの借地借家人組合や弁護士に相談をしてほしい。
(全国借地借家人新聞より)


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まさか、家を失うとは… ~広がる 住居喪失クライシス~

2020年06月06日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4424/index.html

新型コロナウイルスの影響で収入が激減、生活の基盤である“家”を失う人たちが増えている。マイホームのローンが払えず売却を検
討する30代の家族、家賃滞納が続きアパートから立ち退きを迫られる50代夫婦、雇い止めと同時に住んでいた社員寮から出て行かざる
を得なくなった30代男性…。コロナショックの前は“普通に暮らしていた”人たちが路頭に迷うケースが相次いでいるのだ。番組で
は、新型コロナウイルスの影響で、突然、住居喪失の危機に陥った人たちの日常に密着。厳しい現実を描くとともに、国や自治体の支
援のあり方を考える。

出演者
石井光太さん (作家)
稲葉剛さん (つくろい東京ファンド 代表)
武田真一 (キャスター) 、 栗原望 (アナウンサー)

まさか、家を失うとは…住居喪失クライシス

「これから たくさん電話がかかってくると思うので、みなさんの力に人々の命がかかっている。頑張っていけたらと思う。」
新型コロナウイルスの影響で、生活に苦しむ人たちのための電話相談です。
「(所持金は)300円。食べ物は?カップラーメン。」
「家賃は待ってもらえない?厳しいですね。」
「出て行ってくれと言われている。」
「売ろうとしても、住宅ローン額にすらならない。」
収入が減り、家賃や住宅ローンが払えない。
この日だけで、100件を超える相談が寄せられました。
住宅ローンの支払いに苦しむ、30代の男性です。
マイホームを購入したのは3年前。携帯ショップの正社員になったことをきっかけに、35年の住宅ローンを組みました。
取材班
「いくらでしたか?」
携帯販売員
「3100万円くらい。」
毎月の支払は10万円。
しかし、勤務先の携帯ショップが営業を短縮。残業代がなくなり、収入が半減。ローンの支払いが難しくなりました。
携帯販売員
「とにかく、どうにかしないといけない。家族とも相談をしているが、このままだと厳しい。」
男性は、家族4人の生活費を賄うため、身の回りのものをインターネットで売り始めています。
携帯販売員
「これがいま出品している(商品)。昔 使っていたゲーム、健康器具、使ってない体重計。だいたい2~3千円にはなる。」
取材班
「それで何とか回っていますか?」
携帯販売員
「正直、回ってない。厳しいところですね。」
子どものころからピアノを続け、音楽大学を卒業した男性。長年慣れ親しんだ、このピアノの売却も検討しています。
携帯販売員
「音大に行かせてくれた父と母が、弾くと喜ぶ。自分も頑張った(思い)がこもっているので、(売るのは)嫌だ。」
貯蓄もほとんどなく、日々の暮らしさえ苦しい状況。
勤務先の営業短縮は今も続き、このままでは家を手放さざるを得ないと考えています。
携帯販売員
「こういうふうにピンチになるとは思ってなかった。正直、驚いています。」
賃貸住宅の家賃が払えず、立ち退きを迫られるケースも増えています。
都内の2LDKのアパートで夫と暮らしている、50代の女性です。
感染拡大の影響で勤務先の保育園が休園、仕事を失いました。派遣社員の夫の収入も半減したため、月6万5000円の家賃が払えな
くなり、3月から滞納が続いています。
50代 女性
「昨日も大家さんが『払ってもらわないと困る』と。だけど貯蓄もない。」
取材班
「所持金は?」
50代 女性
「300円ぐらい。300円ぐらいしかなかった。」
貯金も底をつき、災害に備えて買いだめていたカップ麺でしのぐ日々。
50代 女性
「これよ」
取材班
「何の薬?」
50代 女性
「心臓、心筋梗塞」
心臓に持病がありますが、薬代も払うことができないと言います。
取材班
「あと何日分?」
50代 女性
「これだけ」
取材班
「これで最後?」
50代 女性
「そう」
取材班
「病院に行くお金も?」
50代 女性
「ない。1万数千円かかるので。」
このまま滞納した家賃が払えなければ、アパートを出ていかなくてはなりません。
50代 女性
「住むところを失ったら、どうにもならない。来月になれば(仕事が)元に戻る約束もない。先が見えない。絶望しかない。」
住居喪失の危機。
一体どこまで広がるのでしょうか。

武田:感染が拡大する前までは普通に暮らしていた人たちが、生活の基盤である住まいを失いかねないという事態。栗原さん、一体ど
れくらい広がっているんでしょうか。
栗原:VTRでお伝えした人たちのケースは、決してひと事ではないんですね。データで見ていきます。まず、住宅ローンに関する相
談ですけれども、住宅金融支援機構に寄せられた相談件数は、2月は15件だったんですが、4月には1158件。77倍に急増して
いるんですね。「支払いを1か月だけ待ってほしい」など、切実な声が寄せられています。ほかの金融機関でも同じような相談が増え
ているということです。
武田:賃貸住宅についてはどうなんですか。
栗原:200余りの不動産会社を対象に行った調査によりますと、新型コロナウイルスの影響で、入居者から家賃の滞納や解約の相談
があったと回答した業者は35%に上りました。調査が行われたのは4月で、その後も経済や雇用の状況は悪化していますので、こう
した相談はもっと増えていると考えられています。
武田:生活困窮者の支援活動に取り組んでいる稲葉さん、こうした人たちの相談に乗っていらっしゃるということですけれども、今、
どんな危機感を抱いていらっしゃいますか。
稲葉さん:かつてないスピードで貧困が拡大していて、私たちのもとにも、「家賃が払えない」「立ち退きを迫られている」といった
ような相談が3月ぐらいから寄せられるようになっています。本来ですと、賃貸住宅の入居者の方には居住権、住み続ける権利があり
ますので、たとえ家賃を滞納していたとしても、大家さん側から無理やり追い出す、物理的に入居者を立ち退かせるというのは法律に
違反している行為ということになります。ただ、そうした権利についてもご存じない方が多いので、不況が長期化する中で6月、7月
となってくると、住まいを失う方が続出するのではないかというふうに危機感を抱いております。
武田:石井さんも、新型コロナウイルスによる生活困窮の実態を取材されているということですけれども、今回のウイルスの流行によ
る住居喪失の問題をどう捉えていらっしゃいますか。
石井さん:住居というのは、あくまでもマンションや一戸建てだけではないんですよね。仕事と一体化している会社の寮というのがあ
ります。例えば、風俗店、水商売、工場、パチンコ屋さん、警備会社といったような会社というのは、寮を用意することによって、本
当に着のみ着のままでも働ける。そして、すぐお金をあげるというような形で、仕事を売りにしています。あるいは私の知っている限
りですと、虐待を受けた子どもが家にいたくないということで、ホテルや旅館といったところに就職するケースがあります。今回コロ
ナによって、第1波として住宅の被害を受けた人たちというのは、寮に住んでいた人たちなんですよね。これは追い出されてしまって
いる。実際、これが4月、5月、6月という段階。今、本当に危機的状況にあるわけです。今回ここで取り上げるローンによる正社員
というのは、第2波の状況だということを忘れてはならない。この2つをきちんと支援するということが求められているのではないの
かなと思っています。
武田:その支援をどうするかということなんですが、どんな支援策があるのでしょうか。
栗原:住宅ローンに関して住宅金融支援機構は、感染拡大の影響で収入が減った人などについて、最長で15年返済期間を延長して、
月々の返済額を減らすなどの対応を始めています。また、返済条件の見直しに応じているので、ぜひ相談してみてください。
そして、家賃が払えない人が利用できる制度、「住居確保給付金」。仕事を失うなどした人に、自治体が原則3か月間 家賃を支給す
る制度です。さらに、取材した女性も使っていましたが、「緊急小口資金」。収入が減った人が、当面の生活費として最大20万円を
無利子で借りられます。
武田:そうした支援策はあるわけなんですが、取材を進めていきますと、それだけでは住まいの危機を救いきれない実態が見えてきま
した。先ほどのVTRで、家賃が払えず困っていた女性のケースをご覧ください。

家賃の滞納が続いている50代の女性。
この日、国の支援制度を利用するため、区役所に電話しました。
利用しようとしたのは「住居確保給付金」。仕事を失った人などに、自治体が家賃を支給する制度です。
しかし…。
50代 女性
「(契約の)名義が娘の名義なんですよ。」
「賃貸契約書の名義となっている方が申請になります。(娘さんじゃないと)申請も難しい。」
住居確保給付金は、契約者本人でなければ原則 利用できません。
しかし、女性はアパートを借りた際、一緒に住んでいた娘の名義で契約。そのままにしていました。名義の変更には、手数料などとし
て10万円を不動産会社に払う必要があります。
50代 女性
「10万円がないと言っても、どうにもならない?」
「そうですね。(名義)変更していただければと思います。」
制度の利用を諦めざるを得ませんでした。
50代 女性
「決まりがあって、事情は通用しない。制度も受けられない。どうすることもできない。」
立ち退きの危機が迫る中、女性は別の制度を利用することにしました。
「緊急小口資金」、収入が減った人が無利子で最大20万円借りられる制度です。
50代 女性
「とりあえず(家賃)1か月分だけでも『出ていただきたい』と言われたことも事実なので、2か月、3か月(滞納すると)大家さん
も困ると思う。一応これで家賃は払いました。」
女性は借りたお金で、滞納していた家賃のうち1か月分を支払いました。
しかし、残ったお金は食費や光熱費に回さなければならず、滞納している残りの家賃を支払うめどは立っていません。
50代 女性
「緊急小口(資金)で助けていただきましたけど、それで今後よくなるわけではない。どうにもなんないけど、なんないよね。限界だ
よね。限界。」

武田:今の方の「決まりがあって、事情が通用しない」という言葉がすごく印象に残りました。女性のように、本人ではなく親や子ど
もが契約者になっているケースはよくあるということなんですよね。本当にどうにかならないものなんでしょうか。
稲葉さん:アパートの契約の名義人が別であっても、どなたが住んでいるか調べれば分かることですので、自治体には実態に即した柔
軟な運用も求めたいというふうに思います。もう一つ、住居確保給付金そのものにも限界があるというふうに私たちは考えておりまし
て、例えば東京23区で1人で暮らしていらっしゃる方の場合、収入の要件が月収13万7700円以下の方、支給される家賃の補助
額も上限が5万3700円になっています。ただ、この間、私たちが相談に乗っていたケースで、もともと自営業で家賃が10万円の
ところに暮らしていらっしゃった中所得者以上の方々も家賃に対応せざるを得ないという状況に追い込まれています。そうした方々に
対応できる施策になっていない、もともと低所得者向けとして作られた対策ですので、中所得者以上の方が利用しづらい問題がありま
す。
武田:5万3000円余りじゃ足りないわけですよね。
稲葉さん:5万3700円補助してもらったとしても、それだけで家賃は賄えませんので、やっぱり住み続けることができない。そし
て、転居しようにも転居するために敷金、礼金等、初期費用が必要になっていきますので、この収入要件や家賃の上限額を撤廃する必
要があると思いますし、支給期間も最長で9か月となっておりますけれども、コロナの影響がどれだけ続くか分かりませんので、これ
も延長するべきだというふうに考えております。
武田:石井さんは、こうした支援制度をどうお考えでしょうか。
石井さん:緊急支援は絶対的に必要だと思っています。ただし、このコロナの怖さというのは、あと半月続くのか、1年続くのか、2
年続くのか誰にも分からないというところなんですね。その中で、例えば10万円あげますよと言ったとしても、それはその場限りの
ものなんですよね。受け取る側からすると、いつ自分が家を失うのか分からない。10万円では足りないのが見えているわけです。そ
うすると、やはり住宅を失う前に心を病んでしまうケースが多々出てくるであろうと。いま制度として必要なのは、その場限りの支援
ではなくて、持続可能な支援ではないのかなというふうに思っています。持続可能というのは、例えば10万円をもらっても半年後ま
では分からない、仕事があるかどうか分からないということであれば、じゃあ仕事も一緒にそこで紹介しますとか、住宅が本当に半年
後になくなってしまいますと、じゃあ10万円プラス住宅も用意します、といったような形で、セットできちんと持続可能な生活を安
定させるような支援が必要になってくるだろうと。これをするには、やはり国、自治体が縦割りの事業ではなくて、すべての部署が一
丸となってセットで支援をしていくことが必要になってくるのではないかと思っています。
武田:ここまで住居を失う瀬戸際に立たされているケースを見てきましたが、実際に住まいを失って、思ってもみなかった路上生活に
追い込まれた人たちもいます。その厳しい現実です。

埼玉県のJR川口駅前。
路上生活者を支援する団体の夜回りです。
「支援団体でまわってきていて。いま、家がない感じですか?」
「ないです。」
「収入はどうなっていますか?」
「100円くらいあるけど。仕事はなくなるわ、(居)場所はなくなるわ、大変ですよ。」
この日、駅の周辺だけで、新たに4人が路上生活を始めていたことが分かりました。
先月から路上生活を始めた30代の男性がいます。
以前はホテルで働き、月27万円の収入がありました。3月に退職し、転職先を探していたさなかに感染が拡大。仕事が見つからず、
所持金も底をつき、住む場所を失いました。
30代 男性
「21円です。路上生活は今回が初めてで、最初は場所が決まらず転々としていたんですけど、寝るところを探してて、ここに来た。
とうとうここまで来ちゃったなという感じです。」
ここ数日は、公園の水を飲んで飢えをしのいできたと言います。
30代 男性
「本当にこれが自分の悪い夢だったらって何度も考えたり、寝て覚めたら元の生活に戻ってるんじゃないかとか。それでも結局、朝起
きると今の状態で、今こうして生きてますけど、このまま死んでもという考えも時々よぎって、もうどうしようもないというか、限界
というか。」
このままでは生きていけないと、男性は生活保護の申請を決断しました。
区役所職員
「体調悪いとか、持病があるとかってあります?」
30代 男性
「ないです。」
区役所職員
「ちょっと仕事が途切れちゃって、こんな状況になってという感じですかね。まず住むところをしっかり確保して、頑張っていただけ
ればいいなと思っています。」
生活保護の受給が決まり、最低限の生活費や家賃の補助を受けられることになりました。早速、アパートを借りて暮らしを立て直そう
とした男性。
しかし、壁が立ちはだかります。
不動産会社
「入居の時期としてはいつ?早め?」
30代 男性
「早め。」
不動産会社
「35歳の方で生活保護の方は大丈夫でしょうか?生活保護は不可ってことですね。」
不動産会社
「ダメでしたね。すいませんね。物件はあったんですけど、ダメって言われた。」
生活保護受給者を敬遠し、入居を拒否する大家も少なくありません。
不動産会社
「生活保護の方なんですよ。生活保護 お断りですか。」
不動産会社
「本当、冷たい世間ですよね。」
さらに、感染拡大によって思わぬ事態が起きていました。
不動産会社
「お世話になってます。大久保とか北新宿で生活保護の方で、お風呂、シャワールームで物件ありましたよね?今ないですか?今な
い。新宿区においてはないでしょうか?豊島区でも売り切れ。」
生活保護の申請が急増し、家賃の安い物件が奪い合いになっていたのです。
不動産会社
「今後、生活保護の方も増えてくるでしょうけど、このまま物件が増えていくことはないと思われますし、対象となる物件がない以
上、ご案内すらできないという感じです。」
男性は、これまで10軒の不動産会社に相談しましたが、アパートはまだ見つかっていません。
30代 男性
「生活保護っていうハードルという壁が、まさかこんなに厚いというか、断られるっていうのは正直 驚きました。しっかりとした職
に就くとしたら、必ず住所が必要になると思うんで、いま現状では厳しいのかなと思いますね。」
栗原:この男性のように、生活保護を命綱として申請する人たちが今、急増しているんですね。NHKが東京23区、大阪市、名古屋
市など39の自治体に取材をしたところ、4月の生活保護の申請件数は8701件。去年より32%増えていました。中でも東京23
区は2121件と40%も増えているんですね。
またNHKは、感染拡大の影響で住む場所を失い、生活保護を申請するなどした都内の551人について、自治体にアンケート調査を
行いました。その結果、71%の人が今後の住まいがまだ決まっていないことが分かったんですね。最後のセーフティーネットとも言
える生活保護を受給しても住まいが見つけられない。厳しい現実が見えてきました。

武田:これだけ生活保護を申請する人が増えているとすると、本当にどうにかしなければならないと思うのですが、いかがですか。
稲葉さん:私たちの団体では、民間の賃貸住宅の空き家、空き室を借り上げて個室シェルターを整備したり、今晩泊まるところがない
という生活困窮者の方からのSOSに応えて、緊急の宿泊費、ビジネスホテル代を基金からお渡しするというような支援事業を行って
おりますけれども、やはり民間の支援というのは限界があります。ですから、生活保護を中心とした公的支援を拡充することが重要だ
というふうに思っております。VTRに出てきた福祉事務所はきちんと対応してくださっていたようですけれども、残念ながら、一部
の自治体では生活保護の相談が増える中で、相談に対応しきれなくなって、水際作戦といって、役所の窓口に来た人をたらい回しにし
たり、追い返したりするといったような現状が出てきています。ですので、生活保護の窓口をきちんと拡充していくことが重要だとい
うふうに思いますし、制度上では、先ほどの生活保護を利用しても住居が見つからないケースも出てきております。東京の新宿区では
家賃の上限が5万3700円なんですけれども、それでは見つからないという現状になっておりますので、家賃の上限額を引き上げて
いくといったような制度改正も求められるというふうに考えます。
武田:今、ステイホームと言われていますけれども、その家さえないという現実であるわけですね。石井さんは、何が必要だと考えま
すか。
石井さん:本当に今、稲葉さんがおっしゃったような生活保護だとかNPOの支援というのは絶対的に必要です。ただし、実はその
セーフティーネットをよしとしない人たちもいるんですね。例えば、あるアルコール依存症の人が非常に家に迷惑をかけてしまって追
い出されるように出ていって、パチンコ屋さんの寮で働いていたと。そこもだめになって、生活保護を受けてと言ったんだけれども、
生活保護を受けたくないと。なぜかというと家族に連絡がいってしまうから、もうこれ以上迷惑をかけたくない。だから俺は生活保護
を受けないと。あるいは、貧困から20年間ぐらい風俗で働いていた人がNPOのほうには助けを求めたくない。なぜか。NPOに
いって、自分が頑張ってきたことを否定されたくないと言うんですね。このように、本当に今あるセーフティーネットは非常にいいも
のなんですけれども、そこに引っ掛からない人たちが、どうしても出てきてしまうんですよ。そういった人たちが存在するということ
をしっかりと見つめた上で、じゃあ そういった人たちをどう救うかを同時に考えないといけない。彼らは、それまで風俗やパチンコ
といったところの寮にいたんですよね。そうすると、そういったところをきちんと手厚く支援して、そして、そういった人たちも必ず
こぼれないようにするという努力が必要なんじゃないかなというふうに思っています。
武田:例えば、寮を持っている会社を支援するというようなアイデアということですね。
石井さん:事業だけではなくて、寮のほうも同時に支援するということが必要になってくると思います。
武田:住まいというのはすべての生活の基盤なわけですけれども、今、それが揺らいでいるという状況。国や自治体がどういう考え方
で支援に取り組んでいけばいいのか。稲葉さんにキーワードを書いていただきました。「ハウジングファースト」。
稲葉さん:「ハウジングファースト」というのは、生活困窮者の支援において、安定した住まいの確保を最優先とするという考え方の
ことを指しています。今コロナの状況の中で、多くの人たちが住まいを失いかけている。そして、すでに失ってしまった方々もいると
いう状況になっております。私たちは今回の状況を「コロナ災害」と呼んでいます。例えば災害時、災害によって住まいを失った す
べての方に対して住宅が提供されます。近年では、みなし仮設というふうに言って、民間の住宅を借り上げて行政が提供するというこ
とが行われている。ですから、今の事態においても、住まいを失った方々に直接住宅を提供するといったような支援策が求められると
いうふうに思いますし、いま失いかけている人たちについては、住居確保給付金や生活保護で、公的な支援というのもフル動員して生
活を支えるべき、住まいを支えるべきだと考えます。
武田:まさに、まずは住まい。それがないと、10万円の給付ですとか、いろんなサービスも受けられないということになるわけです
ね。
稲葉さんも関わっていらっしゃる、住まいや暮らしの電話相談会は今週6日の土曜日にも開かれます。ぜひ困った方は声を上げていた
だきたいと思いますね。
今後も経済状況の悪化が予測される中で、住まいの危機に直面する人が増えていくことも考えられます。住まいを失うということは、
まさに命の危機にも直結します。早急な対策が求められています。

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新型コロナで住居喪失 低家賃アパートが “奪い合い” 状態に

2020年06月05日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200603/k10012456461000.html

新型コロナウイルスの影響で住まいを失って東京都が用意したホテルに一時的に宿泊し、生活保護を申請するなどしたおよそ550人に
ついて、NHKが自治体にアンケート調査を行ったところ、新たな住まいがまだ決まっていない人が全体のおよそ7割に上ることが分
かりました。生活に困窮する人が急増し、住まいの確保が難しくなっている実態が浮かび上がっています。
新型コロナウイルスの影響で経済的に困窮し、住まいや居場所を失う人が急増する中、東京都はビジネスホテルに一時的に宿泊しても
らっていますが、緊急事態宣言が解除され、無料で宿泊できるのは最長でも来月7日までです。
NHKは、ホテルに宿泊し生活保護を申請するなどした551人に、今後の住まいが確保できているかどうか、都内の自治体にアンケー
ト調査を行いました。
その結果、先月末の時点で新たな住まいが決まっていない人が、392人と全体の71%に上ることが分かりました。
理由は
▽「アパートや困窮者向けの宿泊所などの空きがない」という人が120人、
▽今後はネットカフェに戻るという人も80人いました。
NHKが調べたところ、東京23区では、ことし4月の生活保護の申請件数が2121件と、去年の同じ時期より40%増えています。
このため都心部では、生活保護の家賃補助で借りることができる低家賃のアパートがいわば奪い合いの状態になっていて、生活に困窮
する人の住まいの確保が難しくなっている実態が浮かび上がっています。
貧困や生活保護の問題に詳しい日本福祉大学の山田壮志郎准教授は「今回の緊急事態によって住宅支援の不十分さが表面化した形だ。
ビジネスホテルの滞在期限が迫る中で、次の行き先が見えないのは非常に不安だと思う。住居が確保できるまでホテルに宿泊できるよ
うにしたり、生活保護の家賃補助の上限額を引き上げたりするなど、実態に合った支援を行うべきだ」と指摘しています。

「しっかりした仕事見つけるには住所必要だが…」

「最後のセーフティネット」と呼ばれる生活保護を申請しても住まいを確保できない人が相次いでいます。
先月中旬、JR新宿駅近くの高架下で寝泊まりをしていた36歳の男性は、これまでネットカフェで寝泊まりしながら都内のホテルで働
き、月27万円ほどの収入を得ていました。
しかし、ことし3月末で退職し、転職先を探していたさなかに感染が拡大しました。
ネットカフェも休業になり、宿泊施設を転々としながら仕事を探していましたが転職先は見つからず、所持金も底を尽きました。
このため、初めて路上生活を余儀なくされ、公園の水を飲んで飢えをしのぎ、寝袋にくるまって過ごす日々が1週間ほど続いたといい
ます。
その時の状況について男性は「『これは悪い夢で目覚めたら元の生活に戻っている』と何度も考えましたが、朝、目覚めると状況は変
わらず、『このまま死んでしまおうか』と頭によぎりました」と話しました。
男性は悩んだ末に生活保護の申請を決断し、当面は最低限の生活費の支給を受けながら、東京都の支援策によって無料でビジネスホテ
ルに宿泊できることになりました。
家賃の補助も受けられる見通しになり、アパートを借りて生活を立て直そうとしました。
しかし、生活保護の受給者を敬遠する大家も多く、男性には保証人や緊急連絡先になってくれる家族もいないため、物件探しは難航し
ました。
また、生活保護を申請する人が急増する中、家賃補助の上限額の月5万3700円以下で借りられる低家賃のアパートが奪い合いの状態に
なっていて、3日までに10軒の不動産会社に相談しましたが、入居できるアパートは見つかっていません。
男性は「1件のアパートを何人もが争っている状況で、生活保護を受給してもこんなに厳しいのかと正直驚きました。しっかりとした
仕事を見つけるためには住所が必要になると思いますが、現状は厳しく、いつアパートが見つかるのか不安です」と話していました。

生活保護申請件数が4割増 東京23区

感染拡大の影響が深刻化し、経済的に困窮して新たに生活保護を申請する人が急増しています。
感染拡大に向けた取り組みを重点的に進める「特定警戒都道府県」に指定されていた13都道府県のうち、東京23区と政令指定都市や県
庁所在地の合わせて39の自治体にNHKが取材したところ、ことし4月の生活保護の申請件数は8701件に上り、去年の同じ時期より
32%増えたことが分かりました。
中でも東京23区の申請件数は合わせて2121件に上り、去年の同じ時期より40%も増えています。

生活保護の家賃補助 単身で5万3700円まで

東京都は、緊急事態宣言に伴い住まいや居場所を失った人たちの一時的な宿泊施設として、ビジネスホテルの部屋を無料で提供してい
て、6月1日時点で延べ1094人が利用しています。
このうち、生活に困窮し福祉の窓口で生活保護を申請するなどした551人がホテルに宿泊できるのは最長でも来月7日までで、多くの人
が今後アパートなどを自分で探す必要があります。東京23区の生活保護の家賃補助の上限額は、単身世帯の場合、原則、月5万3700円
ですが、都心部では低家賃で借りることができるアパートの数が限られ、生活保護の受給者などが入居する「無料低額宿泊所」もすで
に多くが満室の状態です。
東京都地域福祉課の畑中和夫課長は「アパートを見つけるのに苦労している人が多く、先月末までだったホテルに宿泊できる期間を延
長するなどの対策を取っている。区や市は、住まいが確保できるよう粘り強くサポートしてほしい」と話しています。

生活保護受給者の9割以上が住居未定 新宿区

ことし4月の生活保護の申請件数が去年の同じ時期より70%余りも急増した新宿区は、アンケート調査に、9割以上の人の今後の住まい
が決まっていないと回答しています。
新宿区生活福祉課の片岡丈人課長は「以前から新宿区内では、生活保護の家賃補助の上限額で借りられるアパートがある程度、埋まっ
ていたが、感染拡大の影響で新たな需要が発生し、対応が困難になっている。住まいを落ち着いた場所にきちんと定めていただくこと
が自立に向けた大前提になるので、家賃補助の額を実態に合わせて引き上げるよう国に要望していきたい」と話しています。
また、アンケートに回答した別の自治体の担当者は「生活保護の家賃補助で借りられるアパートがもともと地域に少なく、生活保護の
急増で物件が“取り合い”とも言える状態になっている。ビジネスホテルに宿泊できる都の支援策が期限を迎え、次の住まいが見つか
らなければ、生活保護を受けても一時的にネットカフェに戻らざるをえない深刻な状況にある」と話しています。

生活保護申請者 働き盛り中心に幅広い世代が

アンケートでは、新型コロナウイルスの影響で住まいや居場所を失い、生活保護を申請するなどした551人の年代や性別についても調
査しました。
▽50代が143人と最も多く、
▽30代が122人、
▽40代が120人、
▽60代が78人、
▽20代が60人などとなっていて、働き盛りの世代を中心に幅広い年代の人たちが感染拡大の影響を受けている実態が明らかになりまし
た。
男女別では
▽男性が477人、
▽女性が74人です。
生活保護の受給者の住宅支援について課題だと感じる点について複数回答で尋ねたところ、東京23区のうち15の区が「生活保護の基準
額で入れるアパートが少ない」と回答しました。
また「区内全域で再開発が行われ、基準額で入居できる古いアパートがなくなってきた」などと、時代の変化で生活に困窮した人の住
まいの確保が厳しくなっていることをうかがわせる回答もありました。

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「犬と一緒にアパート追い出された」「家賃払えず路上生活になった」コロナで生活困窮 6月6日に電話相談実施

2020年05月29日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www.bengo4.com/c_5/n_11276/

新型コロナウイルスの感染拡大は、雇用にも暗い影を落とし、生活苦を訴える人が増えている。こうした状況を受けて、NPOや弁護士
らが、住まい、生活保護、労働、借金など、あらゆる法律相談に応じる無料電話相談を6月6日に実施する。
このグループが4月18、19日に電話相談を実施したときも、「休業手当が出ない」「解雇や雇い止め、売り上げの激減により生活費が
ない」など、5009件の相談が寄せられていた。
5月28日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見した猪股正弁護士は「夫のDVから逃げてシェアハウスで生活していた人が、コール
センターの仕事がなくなり、家賃が払えず追い出され、路上生活をしているという相談が最近あった。緊急事態宣言は解除されたが、
仕事が始まらない人や、給料が入るまでの生活費がない人もいるだろう。困窮した方からの相談がたくさん寄せられるのではないか」
と話した。

●「犬と一緒にアパートを出され、犬も自分も食べていない」

NPOなどで相談対応をしている現場からも声があがった。
作家の雨宮処凛さんは「路上生活を始めた人がいるなど、深刻さは増している。『犬と一緒にアパートを出されてしまって、犬も自分
も食べていない』という相談もあった。放置されている人がたくさんいる。そういう人の声を受け止めて、国に伝え、一刻も早い対応
をしてほしい」と述べた。
『つくろい東京ファンド』代表理事の稲葉剛さんも、「さまざまな業種において解雇が進んでいる。家賃が払えないという相談が増え
ているし、5月末に派遣切りが増えるという話もある。生活保護のオンライン申請を早急に認めてほしい」と話した。
【電話相談概要】 「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る なんでも電話相談会」 日時:6月6日(土)10-22時
0120-157-930(フリーダイヤル)
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新型コロナ、オーナーの取り組み in関西

2020年05月28日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
https://www.zenchin.com/news/in-1334.php

 賃貸業界にも及び始めたコロナ禍。関西のオーナーに入居者対応の取り組みを取材した。

 敷金で減額分を補填

■賃料75%減額、1年間の猶予

 大阪市内で2棟の宿泊施設を所有している図越寛オーナーは、ホテル運営会社に貸している9階建て全16室の『ブエナビスタなんば心
斎橋』のテナント賃料を1年間75%引きとして猶予を行っている。
 所有する宿泊施設の中で、賃貸住宅への貸し出しが可能な特区民泊の物件は、すでに住居へ転用。一方で、ホテル仕様だった同物件
は、稼働率が低下し、運営会社側から家賃減額の相談が入ったことで、猶予の措置を講じたという。
 「新型コロナウイルスの宿泊業界への経済的ダメージは、短期的なものだと考えている。物件ごと売却することも可能だが、いずれ
観光客が返ってくることを信じて堪える選択をした」と話す。減額猶予した分の賃料は、1年後に24回の分割払いで回収する予定だ。
 また、図越オーナーが賃貸物件として所有している9棟の全共用部に、感染予防のためのチラシと消毒液を設置している。「今は
オーナー、テナント、全員が不安な状況にある。オーナー、テナント、入居者の壁を越えて乗り切りたい」と話す。

■家賃交渉月5件申請をサポート

 「4月に入ってから、住居でも入居者から家賃減額の要請が入るようになった」と話すのは、兵庫県内で約150戸を所有する古田佳奈
美オーナー(兵庫県神戸市)だ。シングルマザーや生活保護受給者など、いわゆる生活弱者の入居者から寄せられることが多いという。
 こうした相談に対し古田オーナーは、まずは住宅確保給付金の案内を徹底。時には申請書類作成を手伝うこともあり、これまで5件
の申請を行った。また、住宅確保給付金を受け取っても家賃の支払いが難しいケースは、賃料の一時的な減額にも応じている。例えば、5万円の家賃の場合、月々の請求を4万円として、敷金の中から補填する。「家賃減額の声をオーナー側に上げてくれる入居者は、真面目な人が多い。オーナーとして力になりたい」と古田オーナーは力強く話していた。

■助成金制度賃借人に周知

 『おおや倶楽部』(大阪市)の糸川康雄組合長は入居している40戸に、助成金や融資制度などを記載したチラシを4月9日に配布した。
 個人向けには緊急小口資金や総合支援資金、住宅確保給付金など、各社会福祉協議会に相談するように促した。企業向けには雇用調
整助成金や日本政策金融公庫の融資、各自治体のセーフティネット保証などを案内している。糸川オーナーは「制度を周知させるた
め、郵送やポスティングを行った。一度テナント入居者から家賃の問い合わせがあったが、今のところ質問や減額交渉はない」と話
す。チラシのフォーマットは、おおや倶楽部のメンバーも使用できるよう共有しているという。

■店子、家賃半額要求、通知書送付で一蹴

 店舗やテナントの管理を行うK-FIRST(ケーファースト:大阪府堺市)は数件の入居者から家賃減額を求められたという。
 オーナーと協議をして承諾を得、数カ月間30%減額する旨を個々の入居者に伝えていた。しかし「30%減なんてあり得ない。半年間半額にしてほしい」と複数人から声があがったため個別対応を中止。「家賃減額のお知らせ」として4~6月の3カ月分を30%減額する通知書を全テナントに送付した。すると意外にも抗議や苦情の連絡は全くなく、支払ってくれるという。
 管理物件には古くから入居する飲食店や小売店などのテナントが多く、ほとんどが家賃保証に加入していない。田中健司社長は「事
業用の家賃保証が入居者にあまり認識されておらず、加入が疎まれる現状がある。今後家賃滞納の発生も予想される中で、入居者へ家
賃保証への加入をどう促していけばよいかが課題」と話す。

■設備入れ替えネット環境改善

 『がんばる家主の会』(大阪市)の松浦昭会長は会のメンバーとZoomを用いて定期的に情報交換をしている。テレビ会議をする中で、
音声が途切れることがありネットワークの改善が必要だと感じたという。そこで松浦オーナーは十数年前、所有物件に導入したイン
ターネット設備を新たなサービスに刷新。6月から切り替わる予定だ。松浦オーナーは「コロナ収束後も元の生活には戻らず、在宅で
の勤務や勉強会は増加するだろう。それに伴い、物件の価値も変わり、ネット環境の見直しがより検討されるのではないか」と推測し
ているIoTを活用した見守り機器やスマートロックにも着目。機能や利便性を研究し、導入を検討していく考えだ。

■失業者の入居希望収入ゼロでも契約

 一方、コロナ禍により物件入居の問い合わせが増えたケースもある。『関西大家の会』の松田英明会長は、大阪市内に1棟、京都市
に1棟、北海道札幌市に8棟の全191戸を所有する。札幌市内の物件では、離婚した単身者や店を廃業した経営者などから、入居希望の
問い合わせが3件入った。望まれる物件は賃料4万円台の2DKだ。主に固定費の削減を理由に、同じ札幌市内からの住み替えが多いとい
う。「失業し、収入がゼロの人もいる。普段であれば断ることも考えるが、今回の事態はやむを得ないケース」と松田オーナー。貯蓄
もあり、家賃保証会社の審査も通ったため、契約に至った。
 物件が住居と近い場合は、オーナー自身が直接入居者の話を聞くことができるが、遠隔地であればそうはいかない。松田オーナーは
「周囲に迷惑をかけない、家賃をしっかり払う、保証会社の審査を通っていることの3点を基準にしています」と話す。
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住居喪失 対策強めて 支援団体が都に要望書

2020年05月27日 | 新型コロナ被害と家賃 住宅支援
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-05-27/2020052713_02_1.html

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う住居喪失者への支援強化を求めて生活困窮者支援団体は26日、小池百合子東京都知事と都福祉
保健局長宛ての要望書を提出しました。

 都では、ネットカフェの休業などで住宅を失った人に都内のビジネスホテルを借り上げて緊急一時住宅提供を行っています。ビジネスホテル利用者は、(1)都の支援窓口「TOKYOチャレンジネット」から利用し、仕事があり、数カ月間の一時住宅を提供されて、アパート暮らしの初期費用をためて自立を目指す人(2)各区市の福祉窓口から生活困窮者自立支援制度や生活保護を利用した人がいます。生保利用以外の人は現金給付がなく、仕事も減るなか生活費は掛かり所持金が無くなっています。

 要望では、▽相談体制の強化や現金給付、早期の一時住宅への移行や一時住宅利用期限の柔軟な延長▽生保利用者は、ホテルから直
接居宅への移行▽支援の積極的な広報▽今後も住居喪失者の増加が見込まれることから、包括的かつ量的に十分な支援システムの構築
―などを求めました。都福祉保健局は、今後の対応について、「基本的に居宅移行が原則です」とこたえました。
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