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賃貸借契約を終了させるにはどのような手続が必要か

2007年04月29日 | 借地借家の法律知識
● 賃貸借契約は、「定期借家」の場合を除き、基本的には期間が満了しても契約が更新されるものとして締結されています。したがって、契約期間の満了と同時に契約を終了させる場合であっても、貸主から契約を終了させるためには、期間満了1年前から6ヶ月前までの間に、借主に対し「更新しない」という通知をしなければならず、かつ、その通知をするには、その通知が正当と認められる、いわゆる「正当の事由」(注)が必要とされています。(借地借家法第26条第1項、第28条)。

(注) 「正当の事由」は、貸主・借主双方がその建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の貸主が建物の明渡しの条件としてまたは建物の明渡しと引換えに建物の借主に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、判断するとされています(同法第28条)。


● 貸主が更新を拒絶した場合、契約は「法定更新」されますが、その場合の契約は、「期間の定めのない」契約となります(同法第26条第1項ただし書き)。

● この「期間の定めのない」契約の場合は、貸主はいつでも解約の申し入れをすることができ、その申入れの日から6ヶ月を経過すれば契約は終了しますが、その場合にも「正当の事由」は必要となります(同法第27条、第28条)。

● 一方、借主から契約を終了させる場合には、「定期借家」の場合を除き、借地借家法には特別の規定がありませんので、通常、当事者間の特約で、1ヶ月前に予告をすることにより契約を終了させることができる旨を定めています。詳細は、末尾資料12に掲載されていますので、参照してください。

● また、「定期借家」の場合にも、前述のとおり、借主からの解約申入れについては、一定の場合に限り、1ヶ月前の予告をもって契約を終了させることができる旨が約定されていますので(同法第38条第5項)、標準的な定期の賃貸借契約書にもその旨が定められています。詳細は、末尾資料13に掲載されていますので、参照してください。

● なお、貸主から契約を終了させる場合の借地借家法上の規定は、強行規定とされていますので、それと異なる特約で借主に不利なものはすべて無効となります(同法第30条)。したがって、借主からの解約申入れ期間を1ヶ月前とする際に、貸主からの解約申入れ期間を3ヶ月前とする契約書が散見されますが、この予告期間の定めは無効ということになります。しかし、借主がその貸主からの申し出に応じ、当事者が合意で契約を終了させることはできます。



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父親が死亡し借地を相続しようとしたら、地主から更新料を支払えば名義を変更してあげるといわれたが

2007年04月28日 | 相続と遺言、遺産分割
(問) 2年前に借地人だった父親が死亡し長男の私が相続することになりましたが、何の手続きもせず現在までそのまま放置しています。借地権の相続はどのような手続きをすればいいのでしょうか。

 借地契約は今年の2月15日で契約期間が満了します。すでに地主から更新料を坪当たり10万円、57坪で570万円要求されています。

 私は借地更新料は支払義務がないという話を聞いていますが、地主は更新料を払えば、借地人名義を私の名前で契約書を作ってあげると言っています。このため、更新料の支払を拒否すると私名義の契約書ができないと思いますが大丈夫でしょうか。

 (答) 借地の相続は、借地上の建物の登記の所有者名義を相続人に変更するだけでいいのです。これは司法書士に頼めば簡単にできます。その際に地主の承諾は不要です。地主に対しては、建物所有者の相続による移転登記終了後に「借地権は私が引継ぎました」という通知をするだけでいいのです。これで借地権の相続は完了です。相続人名義の借地契約書は無くてもなんの問題もありません。

 借地更新料はご指摘のとおり支払義務はありません。それは、借地契約の更新は地主にしてもらわなくても法律の定めで自動的に更新されるからです。

 借地契約の更新には、地主と借地人が更新契約条件に合意して、更新契約書に署名捺印する「合意更新」と従前の契約期間が過ぎると法律の定めで自動的に更新する「法定更新」の2通りあります。

 法定更新した場合の契約条件は、借地上の建物が非堅固(木造並)では期間は20年で、その他の契約条件は従前と同一です。

 地主は更新料を請求する根拠として「更新料の授受は世間の慣習だ」と主張しましたが、最高裁判所で慣習説は否定され、借地更新料は支払義務なしとされました。最高裁判所昭和51年10月1日および最高裁判所昭和53年1月24日の判決で法的には決着済みの問題になりました。


東京借地借家人新聞より



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国民投票法案の凍結期間 自民「改憲の大綱は作成可能」

2007年04月27日 | 政治経済
2007年04月27日06時10分(アサヒコム)

 憲法改正の手続きを定める与党の国民投票法案で、改憲原案を国会に提出できない3年間の「凍結期間」内であっても、改憲案の大綱や骨子は作成できる仕組みであることが明らかになった。同法が成立すれば、次の国会から実質的な改憲論議に踏み込むことができることになる。自民党はそれを前提に、改憲の実現時期について「最短で11年秋」とした見通しをまとめているが、「憲法について冷静に考える」という凍結期間の趣旨に反するとの反発は必至だ。

 与党案では、同法成立後に衆参両院に新設される憲法審査会には、改憲原案の「審査権」のほか、憲法に関する「調査権」もあると規定している。審査権は3年間凍結されると付則で定めたが、「調査」に関してはどこまで可能なのかあいまいだった。与党案提案者の船田元氏(自民)は凍結期間について「憲法の調査に専念する。経過したらすぐに手のひらを返すように改正原案を発議することにはならない」と説明していた。

 26日の参院憲法調査特別委員会で、与党案提案者の保岡興治氏(自民)が凍結期間について「改憲原案そのものを審議することはしない期間として『凍結』という言葉は使われている」と説明。「3年間は原案は審議できないが、骨子案、要綱くらいまでは詰めてもいい」と語った。

 複数の自民党関係者によると、同党の法案提案者が3月23日の党総務会で、凍結期間内でも「具体的改憲の骨子案の作成など」は可能とした資料を配布していた。5月に国民投票法が成立すると、最短で11年秋にも改憲が可能との見通しを示している。

 具体的には、今年秋の臨時国会で衆参両院に憲法審査会を設置。凍結期間の間に改憲原案の大綱・骨子をまとめて、解禁直後にそれをもとにした改憲原案を提出。凍結期間中の論議も踏まえ、1年余りの審議で採決する――と想定している。

 ただ、同法案をめぐる与党と民主党との協調路線が破綻(はたん)していることから、自民党の想定通りに憲法審査会が運営されることは考えにくい。26日の審議では、同じ与党案提案者の赤松正雄氏(公明)が保岡氏の答弁を「論理的には可能性は否定できない」としつつも慎重姿勢を示し、「3年たってすぐに改正原案の審査に入るとは考えられない」との認識を示した。
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不動産業者から請求される仲介手数料とは

2007年04月26日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
 賃貸借契約における仲介手数料とは、仲介の依頼を受けた宅地建物取引業者が、依頼者のために奔走して契約締結を実現した場合に、依頼者が業者へ支払う成功報酬です。宅地建物取引業法では、仲介手数料の上限は、借賃の2分の1に相当する金額以内の手数料を貸主・借主の双方がそれぞれ仲介業者に支払います。ただし、契約前に貸主借主の承諾をもらっている場合には、借主または貸主のどちらか一方が借賃の1か月分払ってもよいとされています。実際には、業者の多くは借主の承諾も受けないまま、借主が1月分払っているのが実態です。なお、契約更新の手続きについては宅兼業法の仲介ではなく、あくまで貸主の依頼で業者が行っているもので、借主は更新手数料を請求されても支払う必要はありません。不当な請求を受けている方は、借地借家人組合にご相談下さい。


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借地契約を合意解約し新法適用の契約へ切替えられるのか

2007年04月25日 | 賃貸借契約
(問)借地借家法施行(平成4年8月1日)前に締結した借地契約が更新を迎える。地主に借地契約を期間満了により合意で一旦終了させ、改めて借地借家法(新法)に基づく契約にして欲しいと言われた。

(答)期間満了により一旦、契約を合意解約し、改めてその時点から新法による存続期間30年の借地契約を新規に締結することにより、新法が適用される契約内容にすることは可能である。借地人が新法施行前の借地権を捨てて新法に基づく契約に切替えることに合理的な理由があり、借地人の真意に基づいて行われたという客観的な事実があれば切替えは可能である。

 普通借地権は新法では堅固・非堅固建物という区別をせずに一律に借地権の存続期間を原則30年としているものの、最初の更新は20年で2回目以降は10年である。借地人は将来的には期間を短縮され、更新拒絶の主張、更新料請求の機会が増える。増改築の制限も強化され借地人にとって何の利点もない。このように新法は旧法に比較すると全体として貸主側に有利に、借主側に不利なものになっている。そのため貸主が既存の借地契約を新法の適用のある契約にしたいと考えるのは当然であろう。

 新法成立時の参議院附帯決議に「既存の借地関係には更新等の規定は適用されない旨及び特約で新法を適用させることは無効である旨を、マスコミその他あらゆる方法を通じて周知徹底させること。」とあるように、新法施行前に締結された既存の借地契約は新法施行後においても旧法が適用される(借地借家法附則4条但書及び6条)。そもそも、地主が新法に基づく借地契約に切替えることを借地人に要求する目的は、最終的には借地人の不利益になる契約内容に改悪するところに真の狙いがある。従って、地主がこのような不当な要求を押し付けようとしても借地人はこれに応じる必要はない。仮に借地人の無知に乗じ、或は地主の圧力に屈して借地人が意に反して嫌々従前の借地契約を形式上合意解約し、改めて新規に新法に基づく契約を締結した場合でも、合意解約に特段の合理的理由が存在せず、また借地人の真意に基づかないものであれば、旧法11条の強行規定により借地人に不利な特約として無効とされる。



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基金2億円の「住替え支援センター」(仮)設置へ

2007年04月24日 | 国と東京都の住宅政策
国土交通省は、主に高齢者が保有する住宅ストックを、ファミリー向けの賃貸住宅として活用していくことを狙いに、2003年度から「住替え支援センター」(仮称)を設置し、民間企業によるサブリース事業を活用した「住宅循環円滑化支援事業」をスタートさせる方針である。

 住宅循環円滑化支援事業を推進する主体となる「住替え支援センター」の業務内容は、高齢者等の住宅について、(1)賃料や売却価格の査定、(2)定期借家制度など関係制度の説明、(3)賃貸住宅経営に関するノウハウの提供、(4)住替え先の賃貸住宅等に関する情報の提供、(5)紛争の処理―等が挙がっている。

 住宅循環円滑化支援事業の概要
 高齢者等が安心して住宅資産を賃貸化することにより、賃貸住宅市場において不足しているファミリー向けの良質な賃貸住宅の供給が促進される。
 このような既存ストックを活用した循環型の住宅市場を形成するため、「住宅支援センター」において、住宅資産の賃貸化を支援する「住宅循環円滑化支援事業」を実施する。

 具体的には、以下の施策を講ずる。
 [1]住宅循環円滑化保証基金の整備による預り金保証制度の確立
 住宅資産の管理・転貸により賃貸住宅の供給事業を行うサブリース会社の倒産等の非常時においても、住宅資産の適切な管理が維持され、資産所有者の債権保護、入居者の居住の安定が図られるよう、サブリース事業に伴う預り金(家賃)の保証制度の確立を支援する。その保証対象は、オーナーに対する滞納家賃(1ヵ月分)とする。
 このため、異常時リスクに対応した「住宅循環円滑化保証基金」(仮称、国交省が1億円、民間企業等が1億円をそれぞれ拠出し、合計2億円で創設)を整備し、民間による自発的な集団保証システムの早期確立を促す。

 [2]管理代行システムの確立
 預り金(家賃)保証制度の運用時に併せて、管理会社の倒産時等において速やかに管理代行会社による適切な管理、未回収債権の回収支援を行うことができるよう、管理代行システムを確立し、導入する。

 [3]敷金保全ルールの管理
 サブリース事業に伴う敷金の保全ルールを確立し、サブリース会社が倒産した場合でも、入居者及び資産所有者の適切な保護が図られるよう「住替え支援センター」にサブリース会社が保管する敷金を保全するための会計を設け、預り金保証制度の加入会社に対する義務付けを図る。 

 [4]サブリース契約書の標準化等
 効率的で合理的な賃貸住宅経営を可能とするサブリースの仕組みを活用するため、サブリース事業に係る賃貸借契約書の標準化を図り、預り金保証制度への加入会社に義務付ける等、その徹底を図る。
 また、賃貸住宅に係るトラブルとして多発している原状回復に関するトラブルの解消を図るため、「原状回復に係るガイドライン(1998年3月)」の見直しを行うとともに、その周知徹底を図る。 

 【問合先】国土交通省住宅局住宅総合整備課 TEL03(5253)8181内39313


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定例法律相談会のご案内

2007年04月23日 | 借地借家人組合への入会と組合の活動
◎日時 5月12日(土)午後1時30分から午後4時まで(先約順)
◎会場 組合事務所
◎担当 組合顧問 土橋実弁護士

組合員の方の相談は無料です。電話で予約の上お越し下さい。相談の際は必要な資料を持参下さい。非組合員の方は事前に組合へ入会手続きをされれば、相談を受けることができます。組合の顧問弁護士が親切にご相談に応じます。


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定期借家制度はなぜ普及しない

2007年04月21日 | 定期借家制度
 アットホームがまとめた2006年の首都圏の居住用賃貸登録物件における「定期借家物件の登録状況」によると、昨年1年間の定期借家の登録物件数は前年比16・8%増の2万1532件で、全登録物件数に占めるシェアは3・3%(前年比0・6ポイント増)で低迷したままだ。このうちマンションは1万1178件(前年比6・1%増、全登録物件に占めるシェア2・8%)、アパートは4709件(同62・8%増、同2・1%)、一戸建は5645件(同12・8%増、同22・0%)となっており、定期借家物件の割合が一番高いのは一戸建で、マンション・アパートでは、依然として普及していない。「スタート当初の方が数があった」という諦めの声も。

 「住宅新報」4月17日号では、導入されて7年が経過しても「なぜ普及しないのか」という特集記事を掲載した。不動産業者に対するヒヤリング調査の結果では、「業者が積極的に導入しているケースは皆無に近い」と報告。業者のコメントの中には「定期借家制度自体難しく感じられる。余り必要だと思えない。特に今は家賃相場が下がり気味なため、定借によってさらに下がるようなことはしたくない」、「ファミリー世帯は長く住みたいと考えている。ニーズに合っていない」と正直だ。国・都・業界も推進に躍起だが、「笛吹けど踊らず」という状況だ。



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家主がかわったとたんに明渡しを請求された

2007年04月20日 | 明渡しと地上げ問題
(A) 私は、借家に住んでいますが、最近、家主が替わったといって、新しい家主から明け渡しを要求されました。明け渡さなければならないのでしょうか?



(Q) 前家主との借家契約に基づいて居住していれば、明け渡さなくてもよい

 前の家主との借家契約に基づいて居住していれば、家主が替わっても明け渡しに応じる必要はありません。
 一般的に契約は、契約した当事者だけに効力を有し、第三者がその契約に左右されることはありません。しかし、この原則に従えば、借家人は家主が建物を第三者に売ってしまい、新所有者が賃貸することを承認しない場合は、建物を明け渡さなければならなくなり、安心して借家に住むことができません。
 そこで、借地借家法では借家人の居住権を保護するために、「建物の賃貸借は、その登記がなくても建物の引渡しがあったときは、その後にその建物について物権を取得した者に対して対抗することができる。」と規定しています。
 つまり、借家人の住んでいる家を買った人は、借家人がその家に引き続き居住することを拒絶することはできないのです。
 そして、新しい家主は借家人と前の家主との借家契約を、そのまま賃貸人として引き継ぐことになります。したがって、前の家主との契約期間や家賃、敷金などに関する契約もそのまま同じ条件で新しい家主に引き継がれます。
 ただし、借家人は借り受けた家を占有していることが必要ですので、家主に無断で第三者に貸している場合などは、明け渡しを拒むことはできません。
 また、ご質問のようなケースでは新しい家主が借家人との借家契約の継続を解除するために家賃を受け取らないこともあります。そのような場合には前の家主との契約で定められた家賃を、法務局の中にある供託所に供託することによって、借家契約を継続することができます。


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賃貸住宅を退去するとき

2007年04月19日 | 敷金と原状回復
借り主が賃貸住宅を退去するときには、あらかじめ契約書で定めた期間を設けて退去日を貸主に通知する必要があります。また、退去に際しては、住宅の通常の使用に伴って生じた損耗を除いて、原状回復しなければなりません。
賃貸借契約の解約
 契約期間中の契約については、貸主から解約を申し入れる場合は6カ月前の通知とそれに伴う正当な理由が必要とされています。
 また、借り主からの場合は30日前に通知をし、その期間の経過した時点で契約が終了するとされています。やむを得ない事情により即時に契約を終了させる場合には、解約通知日から起算して30日分の賃料を支払うことにより、解約できるとされています(国土交通省「賃貸住宅標準契約書」による)。
原状回復とは
 賃貸住宅における原状回復義務とは、その住宅を入居時の状態に完全に戻すまでの必要はなく、借り主の故意・過失により生じた、住宅の汚損、破損、もしくは無断で原状を変更したときに負う責任をいいます。
 したがって、通常の使用によって生じた、襖、障子、畳(こすれ)、クロス(ポスターや絵画の跡)などの損耗、家具の設置によるカーペットのへこみ跡、テレビや冷蔵庫の後部壁面の黒ずみなどについては、入居当時の状態よりも悪くなっていたとしても、そのまま貸主に返還すればよいとされています。これは、自然損耗分の原状回復費用は、減価償却費として賃料に含まれていると考えられるからです。
費用負担の伴う原状回復とは
 物件を改造したような場合、例えば、建物に取り付けた棚や不注意による破損、また、部屋に生じた結露を放置したことにより拡大したカビやシミ、クーラーからの水漏れを放置したことによる壁の腐食などは、その程度にもよりますが、責任を問われ費用負担を求められるケースもあります。
それでもトラブルが起こったら
 まず、家主との話し合いが大切なことですが、中には家主の代行として、アパートを管理している管理会社が話し合いの場に出てくることもあります。そのときは、後述の「住宅賃貸借(借家)契約の手引」を参考に話し合いをすることが解決の早道になります。しかしながら、話し合いができないのであれば、少額訴訟制度(*1)や民事調停を利用するとよいでしょう。
原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
 (財)不動産適正取引推進機構(*2)が発行している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(’04年2月改訂)は、賃貸住宅標準契約書(*3)、民法や判例などの考え方を踏まえ、原状回復をめぐるトラブルの未然防止と円滑な解決のために、契約や退去の際に貸主・借り主双方があらかじめ理解しておくべき一般的なルールなどを示したものです。また、小冊子「住宅賃貸借(借家)契約の手引」を紛争の未然防止と円滑な解決のために発行しており、賃貸借契約における紛争解決の参考になります。 (国民生活センター 暮らしの豆知識より)


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大規模災害で建物が滅失してしまった場合借地権・再築はどうなるのか

2007年04月18日 | 借地借家の法律知識
(問)借地上の建物が大災害により倒壊・焼失・流失等で滅失した場合は借地人の権利はどうなるのか。


(答)借地契約が借地借家法施行(1992年8月1日)前に設定された借地権(建物滅失後の建物築造)に関しては借地法7条が適用される。借地権の存続期間が終了する前に地震・火事・台風等による災害によって借地上の建物が滅失した場合、借地権自体は消滅しない。借地法7条は建物が滅失しても建物を再築することが出来ることを規定している。判例も「建物を新築する時は、地主の承諾を得る旨の特約があるとしても、この特約は消失した建物を再築する際にも地主の承諾が必要である趣旨ではない」(東京高裁1958年2月12日判決)としている。従って災害による滅失の場合は増改築を制限する特約があっても地主の承諾は不要と言うことになる。
  問題は、借地人の建物が滅失している間―例えば建物の再築が資金繰り等で長引いている間に、地主が第三者に土地を売却してしまった場合である。本来、借地人は借地上の建物を登記しておけば土地所有者が代っても新所有者に対して自分の借地権を対抗(主張)することが出来、借地の明渡しを求められることはない。しかし建物が滅失している間に土地を取得した新所有者に対しては原則的には借地権を主張することは出来ない。だが「借地借家法」は建物の滅失の原因を問わずに借地人が建物を特定する事項・建物の滅失の日・建物建築予定等を掲示することによって建物が無くても旧建物の滅失の日から2年に限って新所有者に対抗することが出来る(借地借家法10条2項)という救済規定を定めている。
  大規模災害があった場合は政令で適用地域を定めて罹災都市借地借家臨時処理法(以下処理法)が適用される。12年前の阪神大震災の場合は20日後に処理法が指定された。「処理法」は借地権の存続期間に関しては建物の再築を容易にするために残存期間が10年以下の場合は一律に政令施行日から10年間に延長される(処理法11条)。また政令施行日から5年間に限り建物が滅失のままでも前記掲示をしなくても新所有者に借地権を対抗することが出来る(処理法10条)として借地借家法10条よりも救済措置が強化されている。


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契約更新時に定期借家契約への切り替えを要求されたが

2007年04月16日 | 定期借家制度
(質問)従来の借家契約の更新を迎え、家主から定期借家契約に切り替えるよう要求されました。切り替える必要があるでしょうか。

(回答)定期借家等について規定した改正法は、定期借家に関する部分に関しては、平成12年3月1日から施行されました。しかし、施行日より前に締結された借家契約(既存の契約)の更新に関しては、居住用、営業用にかかわらず、従来どおり法定更新制度ないし正当事由制度の適用があります。
 それでは、家主と借家人が合意の上、既存の借家契約を合意解約して、新たに定期借家契約を結ぶことができるでしょうか。これについては、改正法は、既存の借家を保護するため、居住用借家については、合意により契約を終了させて、引続き新たに同一建物について定期借家契約を結ぶことを、当分の間、禁止することにしました(改正法附則3条)。なお、当分の間とは、改正法施行後4年程度が目途とされています(改正法附則4条)。
 なお、営業用借家の場合は、既存の借家契約でも、家主と借家人が合意の上で解約し、新たに定期借家契約を結ぶことが認められていますので、注意する必要があります。


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マンション賃貸契約「更新料は違法」提訴 京都の会社員、元家主に返還求め

2007年04月14日 | 契約更新と更新料
4月13日16時3分配信 産経新聞


 マンションの賃貸契約を更新する際に更新料を課すのは消費者契約法に違反し無効だとして、京都市北区の男性会社員(52)が元家主の男性を相手取り、更新料など計61万5000円の返還を求める訴訟を13日、京都簡裁に起こした。男性の弁護団によると、消契法に基づいてマンション賃貸契約の更新料返還を求める訴訟は全国初めてという。

 訴状によると、男性は平成12年8月から月額家賃4万5000円で賃貸契約を結び、京都市左京区のマンションに入居。契約には1年ごとに更新料10万円を支払う条項も含まれており、男性は18年11月に転居するまで、5回にわたり計50万円の更新料を支払った。

 原告側は「更新料は賃貸人が地位や情報力、交渉力の格差を利用し、賃借人に一方的に押しつけてきた慣行で、更新料支払い条項には合理性がない」と主張。その上で「この条項は消費者の利益を一方的に害しており、消契法第10条により無効」として返還を求めている。

 原告の男性はマンションの部屋ごとに更新料の金額が違うことを知り、家主に対し18年分の更新料の支払いを拒否。今年2月に京都弁護士会が開設した「更新料110番」に電話相談をして、今回の訴訟を起こしたという。

 関係者によると、更新料は1~2年ごとの賃貸契約更新の都度、家賃の半月分から2月分を支払うもので、京都市周辺や東京を中心とした首都圏などだけで、慣例的に行われている。

                   ◇

【用語解説】消費者契約法

 消費者と事業者との間の契約で、情報の質や量、交渉力などに格差があることを考慮し、消費者側の利益を保護するために平成13年4月に施行された。労働契約を除くあらゆる契約に適用され、消費者は事実と異なる説明を受けて結んだ契約を取り消す権利がある▽消費者が契約を解除した際、事業者は実際に発生した損害額を超える違約金を請求できない▽消費者の利益を一方的に害する契約条項は無効とする-などと定められている。賃貸住宅の敷金や大学の学納金をめぐり、消契法を根拠に返還を求める訴訟が全国で相次いでいる。


更新料・礼金廃止させよう

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借地借家問題市民セミナー八王子で4月14日に開催

2007年04月13日 | 借地借家問題セミナーと相談会
東京多摩借組主催の「借地借家問題市民セミナー」を開催します。

日時 4月14日(土)午後1時30分開会

会場 八王子市民会館

講演 「知って得する借地借家人、テナントのための法律知識」

契約の更新、更新料、明渡し、増改築、譲渡転貸、賃料の改定、供託、原状回復等借地借家問題の法律知識の基礎をお話します。皆様奮ってご参加下さい。

 講演終了後、質疑応答、個別相談も受付けます。

講師 東京借地借家人組合専務理事 細谷紫朗氏

参加 無料(直接会場にお越し下さい)

法律知識のパンフレットは会場にて希望者に有料で配布します。

申込 東京多摩借地借家人組合まで

 042(526)1094







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店舗の設備の修繕義務違反を理由とする賃料不払いで契約解除された事例

2007年04月13日 | 最高裁と判例集
店舗の賃借人が、賃貸人のクーラー等の設備の修繕義務違反を理由に賃料支払を拒むことは許されないとして、賃料不払を理由とする解除が認められた事例 (東京地裁平成5年11月8日判決、判例時報1501号115頁)

 (事案)
 クーラー、換気扇の設備のなされている店舗をスナック営業の目的で賃借したYは、賃料を9か月分払わなかった。そこで賃貸人Xは賃貸借契約を解除し、Yに店舗の明渡しを求めた。

 これに対しYは、入店当初からクーラー、換気扇の故障により休業を余儀なくされた上、数度にわたる換気扇の増設、交換等の修理の結果、飲食店としての営業が不可能になるほどの騒音、温度差という新たなトラブルが生じた。このように当初から機器の性能に難があってYは本件店舗をスナック営業という本来用途に従って使用収益できなかったのであるから、使用収益が可能になるまで賃料の全部又は一部の支払を免れると主張してXの明渡請を求争った。

 (判旨)
 賃貸人は賃借人に対し、賃貸目的物の使用収益に必要な修繕をする義務を負い(民法606条)、賃貸人が右修繕義務を怠り、その結果、賃借人が目的物の使用収益を全くできなかった場合には、賃借人は、右使用収益ができなかった期間の賃料支払義務を免れると解されるか、右修繕義務の不履行が賃借人の使用収益に及ぼす障害の程度が一部にとどまる場合には、賃借人は、当然には賃料支払義務を右一部についても免れないというべきである」

 これを本件についてみると、証拠上は、エアコンと換気扇の機能障害は、スナック営業を全く不能ならしめる程度にまでは至っていないし、換気扇増設後の騒音についても同様である。したがってYは、その間本件店舗で営業活動をしていると否とを問わず、店舗を占有する以上、その期間中の賃料支払義務を当然に免れるものではない。よって、Yの主張は理由がなく、Xの契約解除は有効である。

 (寸評)
 賃貸人の修繕義務不履行に対して、賃借人はいかなる対抗措置がとれるか。まず、修繕義務不履行を理由とする損害賠償の請求ができ、これと賃料との相殺が可能である。更に、賃借人自らが修繕して、その修繕費の償還(民法608条1項)もしくは賃料との相殺を請求することができる。あるいはまた、使用収益の不完全な割合に応じて賃料の減額請求権を取得する。

 この本件の賃借人Yは、右のいずれとも違い、賃料全額の支払をストップしてしまった。最も危険なやり方であったといわねばならない。
 修繕義務の不履行に対しては、いずれの方法が実践的に有効であるかは、事案毎に慎重に検討する必要がある。   1994.11.


(弁護士 白石 光征)


東京借地借家人新聞より


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
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