東京多摩借地借家人組合

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借地人の車庫証明 借地契約書など借地を証明する書類があれば地主の承諾書は不要 

2017年01月31日 | 借地借家の法律知識
 国立市谷保で宅地67坪を借地している大山さん(仮名)は、数年前に父親が亡くなり、借地権を相続した。

 借地契約は昭和34年に始まり、平成元年10月に20年契約を更新した。平成7年に地代の取り決めを公租公課額の2・4倍とすることで地主と合意した。先代の地主が亡くなり、相続した地主は、相続税の負担を理由に平成18年度から毎年30%の地代増額を請求し、平成24年度まで毎年請求を続けてきた。大山さんの父親はたまらず組合に相談し、値上げを拒否し地代を供託し、大山さんも地代の供託を継続している。

 大山さんは、この度車を購入し立川警察署に車庫証明の申請を行ったところ、立川警察署の車庫証明係の担当者から「地主の承諾書がないと申請は受け付けられない」と言われた。困った大山さんは、その場で組合事務所に電話をかけ、組合の事務局長に立川警察署の担当者に電話をしてもらった。

 事務局長は「借地人は自動車を駐車する権利がある。承諾書を提出できない場合には、借地契約書など借地権があることを証明する書類があれば、警察は車庫証明を発行する義務がある。警察庁の交通規制課に確認してほしい」と伝えたところ、車庫証明があっさり発行された。大山さんは、改めて組合の適切な対応に感謝している。
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国土交通省 あらたな住宅セーフティネット制度創設 予算規模の大幅な拡大と制度の拡充必要

2017年01月30日 | 国と東京都の住宅政策
 国土交通省は、平成29年度予算大臣折衝の結果を公表し、新たな住宅セーフティネット制度の創設を発表した。

 同制度は、子育て世帯や高齢者世帯などの住宅確保要配慮者の増加に対応するため、民間賃貸住宅や空き家を活用した住宅確保要配慮者向け住宅の登録制度等を設け、住宅の改修や入居者負担の軽減、居住支援協議会等による居住支援活動等への支援を行うことが目的とされている。

 低額所得者の入居負担の軽減化の支援措置として、①家賃低廉化に要する費用として国費上限2万円(月・1戸)、②入居時の家賃債務保証料(国費上限3万円(1戸)とされ、国と地方が2分の1を補助する。予算は27億円と小規模で、国会審議の中で予算規模の大幅な拡大と制度拡充の議論が必要とされている。

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さまよう住まい 阪神大震災22年/上(その1) 一生の家と信じていた

2017年01月18日 | 最新情報
http://mainichi.jp/articles/20170113/ddn/002/040/031000c

 昨年5月12日の神戸地裁203号法廷。男性は「被告」として証言台に立った。「この家で終身、生活できると信じてきました。被災した時、まさか21年後に神戸市に訴えられるとは夢にも思っていませんでした」。意見を聞いてもらえる数少ない機会と思い、原稿を丸暗記した。まっすぐに裁判長を見つめた。
 男性は、神戸市が阪神大震災(1995年)の被災者向けに用意した借り上げ復興住宅「キャナルタウンウエスト」(兵庫区)に住む元調理師の吉山隆生さん(66)。震災で戸建ての自宅が全壊し、仮設住宅を経て99年12月に移った。周囲の環境にも慣れ、落ち着いた日々を過ごしていた。
 20年の期限で家主に返還される制度と知ったのは6年前。「入居時には書面でも口頭でも説明はなかった」と訴える。その後、85歳以上や重度の身体障害者などの継続入居は認められたが、吉山さんは対象外だった。退去を拒むと、昨年2月11日、明け渡しを求める訴状が届いた。被告の欄に自分の名前があった。紙を持つ手が震えた。
 「神戸市という大きな組織が、自分を訴えた」。眠れず、睡眠導入剤が欠かせなくなった。それでも午前5時には目が覚める。一からやり直す自分を想像する。「何か悪いことをしたのか」。何度も自問するが、答えは出ない。

     ◇

 兵庫県と神戸市など6市の借り上げ復興住宅には昨年末現在で約2800世帯が住む。宝塚、伊丹両市は計71世帯について無条件の継続入居を決断したが、それ以外は年齢などの条件を満たさなければ2022年までに次々と入居期限が訪れ、転居を迫られる。西宮市と大阪府豊中市は猶予期間を設けて原則転居を求めており、入居先によって格差が生じている。
 昨年11月下旬の夜。神戸市灘区の県営借り上げ住宅「HAT神戸灘の浜」の集会所では継続入居の可否判定について、県が年内最後の説明会を開いていた。「みんな1人で住んどる人ばかり。支え合って生きとるんや」。初老の男性の怒号が飛ぶと、約10人の参加者が一斉にうなずいた。

     ◇

 17日で阪神大震災の発生から22年を迎える。昨年末に前立腺の手術をした吉山さんは年末年始を県内の親戚宅で過ごし、1月4日に住み慣れた部屋へ戻った。体調は優れないが、「ほっとする」という。「やっぱり、出て行かなければならない理由が分からない」とつぶやいた。

さまよう住まい 阪神大震災22年/上(その2止) 「ハコ」優先のツケ
http://mainichi.jp/articles/20170112/ddn/002/040/049000c

 真冬の早朝に起こった未曽有の大災害は、全壊だけでも18万世帯から住居を奪った。「一刻も早く住まいを」。22年前の当時、行政側も懸命だった。
 阪神大震災1週間後の1995年1月24日深夜。建設省(現・国土交通省)から兵庫県に出向し、都市住宅部長として被災者の住宅復興に奔走していた柴田高博さん(67)は貝原俊民知事(2014年死去)からこう告げられた。「失意の底にいる被災者に、生活の基本となる住宅の早期供給が必要だ」
 それから2カ月のうちに柴田さんらは住宅復興計画を作り上げた。公営住宅の建設や民間からの買い取りなど考えられる手段を総動員した。公営住宅が足りない場合を想定し、建設省と算段をつけたのが、公団住宅などを借り上げる手法だった。柴田さんは「被災者目線とはスピード。必要なのはモノだった」と振り返る。
 その結果、震災5年後の2000年1月14日に仮設住宅の解消にこぎ着けることができた。今もプレハブ仮設が2万戸近く残る東日本大震災被災地の現状を考えると、その早さが分かる。だが、大事なことが忘れられていた。「借り上げ期間の20年の途中で、入居者と話し合って次のステップを考えないといけない、という問題意識が続かなかった」。当時の県幹部はこう打ち明ける。

     ◇

 仮設の次の住まいを「ついの住み家」にできるか。この課題に取り組んだのが、東日本大震災の被災地・仙台市だ。ピーク時に約1万2000世帯が仮設住宅で暮らした。その8割は自治体が公営や民間住宅の空き部屋を借り上げ、避難者に無償提供する「みなし仮設住宅」に入居していた。
 仮設住宅の供与はいつか終わる。同市によると、「追い出し」にならないように次の住まいに移ってもらうことが至上命令だった。そのため、震災直後から仮設の全戸訪問を1年かけて実施し、「日常生活の自立性」と「住まい再建の実現性」を調べた。支援が必要な世帯への訪問や聞き取りを繰り返し、「いつか出ていかなければならない」と伝えた。
 公的支援ではすくいきれないニーズについては民間支援団体と連携した。その一つに、「伴走型支援」を行う一般社団法人「パーソナルサポートセンター」(PSC・仙台市)がある。不動産業者と連携し、連帯保証人不要の物件を紹介。転居の初期費用がないケースでは民間の貸付制度を活用した。転居先の候補には一緒に足を運び、「次の生活」をイメージしてもらった。
 PSCはこれまで、166件の転居に携わった。1世帯当たりの平均相談数は20回。「166通りの支援をした」という。PSC理事でもある「人と防災未来センター」(神戸市)の菅野拓研究員は「『ハコ』ではなく、『暮らし』を用意することを重視した」と強調する。「ハコ」を優先した阪神大震災の負の側面は、その後の災害で教訓として生かされている。(この連載は井上元宏、神足俊輔が担当します)

さまよう住まい 阪神大震災22年/中 家賃補助 国は依然難色
http://mainichi.jp/articles/20170113/ddn/002/040/031000c

 仮設住宅を出なければならないが、住める場所がない--。東日本大震災(2011年)の被災地で、こんな事態に直面する被災者が相次ぐのではとの懸念が広がっている。
 津波で甚大な被害を受けた被災地では、仮設建設が間に合わず、民間賃貸住宅を転用する「みなし仮設」が多い。2年の期限は更新されているが、家賃を全額公費負担する「仮設」の状況をずっと続けるわけにはいかないのが実情だ。
 一方、有力な移転先となる災害公営住宅(復興住宅)は自治体の条例や公営住宅法に基づいて運営されており、入居には条件がある。被災した自宅が撤去されていない場合や税を滞納している人などは対象から外れてしまう。
 宮城県石巻市は15年12月、仮設住宅から民間賃貸住宅に移る際の家賃補助への財政措置を復興庁に要望した。復興住宅への入居資格がないみなし仮設の被災者に家賃を補助することで継続入居を可能にし、生活再建を促す、という思惑があった。だが、国は「公営住宅が同じ役目を果たす」と消極的だった。
 昨年11月、同市は市税滞納者らについても条件付きで復興住宅への入居を認める決断をした。それでも行き先が決まらない世帯が数十世帯残るという。同市で仮設入居者の聞き取り調査をしてきた宇都彰浩弁護士(仙台弁護士会)はこう指摘する。「震災で仕事を失うなどして生活に困窮している人もいる。他の自治体でも同じような人がいるとみられ、対策が必要だ」

       ◇

 被災者への家賃補助の是非は、阪神大震災(1995年)の翌年にも実は議論されていた。
 兵庫県と神戸市、国の復興協議で、県や市は「自らの努力で民間賃貸へ高い家賃を払っている低所得者層へ家賃補助を行いたい」と求めた。だが、国側は「大阪、東京でも高家賃に苦しんでいる人はたくさんいる」と素っ気なかった。
 県や市は既存制度では対応困難な支援を行うために創設した復興基金を活用。民間住宅の家主に補助金を出す形で被災者の家賃負担減額(1万~3万円が上限)を実現した。支出総額は約346億円に上った。
 被災地の自治体が被災者への家賃補助を求め、国が難色を示す--。この構図は昨年4月に発生した熊本地震でも繰り返された。
 「国の支援はありますでしょうか」。昨年8月、国土交通省で熊本市の幹部が問い掛けた。市が用意したA4の資料の項目には「短期の家賃補助」とあった。
 市は中心市街地に人口を集めるコンパクトシティ構想を進めている。少子高齢化が進む中、郊外に公営住宅を増やせば、住宅政策の転換を迫られることになる。
 対策として「みなし仮設」の借り上げ公営化が当初浮上したが、期限途中で退去しても家賃負担が続く問題や、期限後に阪神大震災被災地で起きている「借り上げ復興住宅からの立ち退き問題」を抱える可能性があるため断念。既存の公営住宅への優先入居を進めることで復興住宅の建設を150戸に抑えることにした。これで足りるのかは、担当者もまだ分からない。
 国交省は空き家活用策として今秋にも、低所得の子育て世帯などに家賃を一部補助する施策を始める。だが、「災害時の制度ではない」と、くぎを刺すのを忘れていない。

さまよう住まい 阪神大震災22年/下 進まぬ自力再建支援
http://mainichi.jp/articles/20170114/ddn/002/040/029000c

 熊本市南区の2階建て民家は地盤が15センチ沈下し、少し傾いていた。ドアは開かなくなり、庭のブロック塀には電柱が倒れかかったままだ。住人の女性(56)は熊本地震から9カ月が過ぎた今も、「半壊」と判定されたこの家で暮らす。仕事はコンビニのパート。「修理したいが、お金がない」と肩を落とした。
 業者への見積もりでは、地盤のかさ上げだけで600万円かかる。夫は5年前に死亡し、住宅ローンは生命保険で払い終えたが、蓄えはわずかだ。被災者生活再建支援法の対象になるのは「大規模半壊」以上。仮設住宅に移っていないため、公費の支援は応急修理の費用(上限57万6000円)だけ。トイレの水回り修理に消えた。「亡き夫と建てた家を離れたくない」
 昨年末、熊本県は地盤かさ上げの独自補助を決めた。とはいえ、自己負担分や家のゆがみの補修などの出費は重く、修理もままならない家に住み続けるつもりだ。
 一方、熊本県西原村の男性(60)は「全壊」の自宅の再建をあきらめ、災害公営住宅への入居を考えている。地震数カ月前に退職したばかりで、大学1年と高校2年の娘を養うためアルバイトを始めた。再建するなら被災者生活再建支援制度で300万円が支給されるが、それだけでは足りず、ローンを組む自信もない。「地震保険が切れてなければ……」とつぶやいた。

       ◇

 大災害が起きた時、被災者自身による住宅再建を、どう支えていくのか。
 内閣府が設置した「被災者に対する国の支援の在り方に関する検討会」のワーキンググループでは2014年5月、半壊住宅の修理費支援の拡大が議論されていた。仮設住宅の建設費は東日本大震災で最大1世帯あたり700万円に達していた。そのため、支援の上限を引き上げるべきだとの意見も出た。
 同年8月の検討会で、委員だった林春男・防災科学技術研究所理事長は「被災者一人一人の自立のために、包括的な法制度にし、支援メニューを広げることが重要」との姿勢で臨んだ。だが、内閣府の担当者に「それは難しいですよ」と反論された。「修理費を増やすと、私有財産への補償になりかねない。それに南海トラフ巨大地震の規模を考えると、財政的に持続しない」との論理だった。
 検討会は同月、中間とりまとめを出したが、修理費支援問題の意見の食い違いは埋まらず、結論は先送りされた。その後、会議が開かれないまま、熊本地震が発生した。

       ◇

 内閣府は昨年11月、「大規模災害時における被災者の住まいの確保策に関する検討会」を新たにスタートさせた。首都直下や南海トラフ巨大地震を想定したもので、仮設から恒久住宅の確保策まで議論し、今夏にも新たな方針を打ち出すとしている。
 現行制度では、仮設住宅は災害救助法、その後は被災者生活再建支援法や公営住宅法に基づいた別々の対応となる。一方で、民間賃貸住宅を転用する「みなし仮設」など、東日本大震災以降、住居確保の手法も被災者のニーズも、法の想定を超え多様化している。
 座長に選ばれた林理事長はこう決意を語る。「現在は阪神大震災当時より高齢化が進み、支援が必要な人も増えている。型どおりの支援では済まないし、財源を確保するためには地震保険や公的な共済制度なども組み合わせる必要がある。大事なのは、人の生活を優先して考えることだ」(この連載は井上元宏、神足俊輔が担当しました)

記者の目 阪神大震災 22年後の住まい=神足俊輔(神戸支局)
http://mainichi.jp/articles/20170117/ddm/005/070/007000c

被災者目線で支援を 神足(かみあし)俊輔

 阪神大震災で自宅を失った「被災者」が、再び住まいを追われようとしている。兵庫県や神戸市などが民間から借り上げた復興住宅が、入居期限の20年を超えつつあるためだ。神戸市や同県西宮市は、継続入居を望む住民に明け渡しを求める訴訟まで起こした。17日で発生22年を迎えた阪神大震災の被災者が、住居を今なお定められない姿は、災害後の住宅確保策の不備を象徴している。

入居期限迎える「借り上げ」住宅

 なぜ今、住民が追い出されるのか。私は同僚とともに、2011年の東日本大震災と16年の熊本地震の被災地も取材し、「さまよう住まい」(大阪本社発行12~14日朝刊)を連載、課題を探った。取材を通じ、被災者の生活再建の基盤は住宅だと強く感じた。
 借り上げ復興住宅は、「住宅災害」とされた阪神大震災で行政がスピードを最優先に検討、採用された制度だ。公営復興住宅が不足したため民間などから借り上げて家賃の一部を行政が支払い、入居者は公営並みの家賃を負担している。だが期限を迎え、高齢や障害の程度などによって継続入居を認める自治体もあるものの、大半は住み替えを求められている。一方、公営復興住宅に入居した人は住み替える必要がない。
 「ついのすみかだと思っていた」。昨年2月に神戸市から提訴された吉山隆生さん(66)はそう語る。被災後20年近くを過ごし、かかりつけの病院を含め、なんとか再構築した生活環境がある。住まいを追われるのは、暮らしを奪われることと同義だ。
 退去を求めた理由を市は「借り上げ住宅の家賃の一部を行政が負担し続ければ、公営住宅の入居者らに対する財政負担と比べ不公平が生じる」と説明する。提訴についても、退去に応じた住民との公平性を強調する。だが、好んで出て行った住民がどれだけいるだろうか。震災で足に障害を抱えた神戸市のある夫婦も、全壊した自宅近くの借り上げ住宅から4年前に市営住宅に越したが、「あのまま住み続けたかった」と今も残念がっている。
 制度を定めた公営住宅法の改正が入居後になったため、契約時に期限が通知されなかった住民もいる。それでも、期限について神戸市などが住民に説明し始めたのは、制度が始まって15年近くたった10年ごろだ。市は相談会などで「個別に手厚い対応をした」というが、疑問が残る。
 一方、東日本大震災の被災地・仙台市では、仮設住宅で暮らした約1万2000世帯(ピーク時)のうち8割が、公営・民間住宅の空き部屋を市が借り上げて無償提供する「みなし仮設住宅」に入居していた。市の担当者は全世帯を訪ね、被災者の自立の可能性を分類し、支援を検討した。貧困や病気などで支援が必要な世帯とは特に話し合いを重ねた。入居期限についても説明しながら、次の暮らしを見据える「伴走型支援」によって、追い出しにならないよう心を配ったという。仮設は今年度中に解消される。

働きかけ怠った行政の責任重い

 住民への働きかけを長く怠った神戸市などの責任は重い。阪神の被災者が移転を迫られているのが仮設ではなく復興住宅である点にも、問題の根深さを感じる。自治体の対応に問題はあるが、住まいを取り戻そうとする被災者への支援制度に、より根深い問題があるのではないか。
 住宅は住み慣れた場所に再建するのが望ましい。再建がかなわなくても、場所を変えず継続的に住まいが確保されるべきだ。必要なのは「持ち家の再建」と「賃貸住宅の家賃」に対する支援だろう。
 だから阪神、東日本、熊本の被災地の自治体は、民間賃貸住宅に入居する被災者への家賃補助への財政措置を、それぞれ国に対して要望した。だが国は財政的に持続できないと難色を示し続けている。
 住宅再建への支援も不十分だ。被災者生活再建支援法の対象は「大規模半壊」以上で、額も300万円にとどまる。仮設住宅には建設・解体で1戸500万円以上かかるとされ、被災者の住宅再建に詳しい津久井進弁護士(兵庫県弁護士会)は「再建可能な場合は、仮設用の費用を住宅の修繕に利用できるようにすべきだ。仮設住宅を減らすことにもつながる」と訴える。津久井弁護士ら阪神、東日本被災地の弁護士や研究者のグループは、持ち家への直接支援や家賃補助を拡充する立法の提言を検討している。
 私有財産への公費投入や現金支給による支援に、国などは強い拒絶感を示してきた。財政問題も無論大きい。それでも、被災者の目線で多様な状況に応える住宅支援制度を整えることが、今後懸念される大災害に備えるために不可欠だと私は考える。
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更新料と地代増額請求を強要 応じなければ更新を拒絶 地主の代理人弁護士が内容証明郵便

2017年01月10日 | 契約更新と更新料
北区赤羽に住む本田さん(仮名)は親の代から借地していた。今年の七月に父親が死亡し、相続した。同じ時期に、更新の時期が来て、地主から更新料と地代の値上げ請求が来ていた。本田さん、相続が完了してからと思い、地主との話し合いをしてこなかったところ、弁護士から内容証明書が送られてきた。その内容は「期間が満了したので、賃料の増額に同意し、増額された賃料を支払うこと。なおかつ更新料を支払わない限り更新を拒絶し、異議申し立てを行う」と記載されていた。賃料については、現行賃料の3倍の増額請求で、更新料については支払い特約もないにもかかわらず、更新を行う際は更新料を支払う義務があるとし、2週間以内に支払うよう請求してきた。更新料問題の本が図書館にあり、そこから借地借家人組合を知り相談に来た。建物が存在するので更新することを通知するとともに借地借家問題に詳しい専門家や弁護士と相談し回答すると返事することにした。(東京借地借家人新聞1月号より)
 

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東日本大震災 福島第1原発事故 自主避難、帰還も転居も難しく 都営住宅、細かい入居要件

2017年01月10日 | 最新情報

http://mainichi.jp/articles/20170106/ddm/041/040/163000c

 東京電力福島第1原発事故などの自主避難者に対する福島県の住宅無償提供が3月末に打ち切られる問題で、各都道府県による今春以降の住宅支援に大きな温度差があることが判明した。手厚い支援を打ち出す自治体では腰を据えて生活再建を図れる一方、支援の手からこぼれる避難者は暮らしの基盤が揺らぎかねない事態になっている。
 「当面は住居の心配をしなくていいので、本当にありがたい」
 鳥取県の県営住宅に中学生と小学生の子ども2人と避難する女性(38)は、感謝の言葉を口にした。鳥取県は2019年3月まで住宅を無償提供する方針で、2年間は今の生活を続けられるからだ。
 福島県沿岸部から避難して5年。古里に夫を残し、放射線量も下がる中、友達ができて鳥取を気に入っている子どもを見ると、帰還するかすぐには決心できない。「子どもがもう少し成長し、本人たちも納得の上で帰還できれば」と話す。
 群馬県は、避難者の公営住宅入居で要件緩和を求めた国の通知に沿い、県営住宅の定期募集で抽選番号を二つ与える「優遇策」を提示。ただ入れる保証はなく転居費もかかる。福島県いわき市から民間住宅に1人で避難する50代女性は応募しなかった。「『6年もたつのに甘ったれるな』というメッセージと受け止めるしかない」。女性は落胆の色を見せた。
 一方、全国最多の約5200人が避難する東京都。都営住宅を希望する避難者に対する入居優先枠を300世帯分設けた。同様の枠は5道府県(北海道・新潟・埼玉・神奈川・京都)が設けたが、入居条件に関する細かい要件が壁となり、応募できない事態も生じている。
 福島県郡山市から東京23区内の都営住宅に避難する50代女性は、同居する子ども3人のうち長男が大学生で成人しており、ひとり親世帯に適用される「子どもが20歳未満」との要件に引っかかった。下の子ども2人は都心の高校に通学中で、福島への帰還も郊外への転居も難しい。年度末までの退去を迫られる中、落ち着く先は未定という。「せめて子どもが自立するまで住ませてほしい。福島の原発の恩恵を最も受け、財政も豊かな東京がなぜこんなに冷たいのか」
 東京都の担当者は「都民との公平性の観点から、要件に当てはまらない方は一般募集に応募してもらうしかない」とする。昨年11月の一般募集では、23区内の都営住宅の平均倍率は53・0倍だった。【大久保昂、尾崎修二】

6割「福島に戻らない」

 自主避難者を対象に福島県が昨年行った今年4月以降の住まいに関する意向調査によると、福島帰還を「希望」「決定」とした県外の避難世帯は計約2割にとどまる。約5割が「避難継続を希望」、約1割が避難先での定住を決めており、6割が福島に戻らない意向だ。
 県職員による戸別訪問などで順次、住居の確保状況を調査した。昨年11月15日現在で、確定済み=約5割▽ある程度確定=約3割▽未確定=約1割▽不在など=約1割。
 住まいが決まらない理由は「住宅が見つからない・公営住宅に当選しない」「子どもの就学(転校)が不安」「除染や県内の放射線が不安」などだった。【尾崎修二】

 ■解説

自治体は柔軟な対応を

 国策で進めた原発による事故で福島県外に自主避難した人たちにとって、避難先の違いで打ち切り後の支援策に差が出るのは不条理だ。自然災害を想定した災害救助法による期限付きの「仮設住宅」政策にとどめ、新たな仕組みを作らなかった国の姿勢こそ問題と考えるが、各自治体は柔軟に対応してほしい。
 福島県が打ち切りを決めた背景には、復興へ向けて避難者の帰還を促す意向がある。避難先の自治体の対応が分かれたのは、福島県への「遠慮」があるのかもしれない。
 避難生活が5年を超える中、帰還の意思を示した県外避難者は約2割にとどまる。放射能への不安だけではない。移転先が生活拠点になりつつある。福島に戻れば、子どもの転校や就職などに直面し、人間関係の修復も必要になる。
 500世帯以上の避難者が集まった山形・新潟両県は、財政負担を伴う支援策で応えた。避難先の自治体は戸別訪問などを通じて、避難者の苦悩を肌で感じているはずだ。国や自治体は避難者との対話を通し、可能な限りの支援策を講じてほしい。【尾崎修二】

東日本大震災 福島第1原発事故 避難先、住宅支援に格差 福島打ち切り後、9道府県が独自策
http://mainichi.jp/articles/20170106/ddm/001/040/186000c

 東京電力福島第1原発事故などの影響で避難を余儀なくされた「自主避難者」に対する住宅の無償提供を、福島県が3月末に打ち切る問題で、避難継続を希望する世帯を対象に、9道府県が財政負担などを伴う独自策で支援することが毎日新聞の調査で分かった。その他の多くの自治体は、公営住宅を希望する自主避難者の入居要件緩和を求めた国の通知にならった支援内容にとどまっていた。原発事故から間もなく6年を迎える中、自主避難者の住宅支援は避難先の選択で格差が生まれることになる。
 福島県によると、打ち切り対象は1万524世帯・2万6601人(昨年10月末集計)で、うち県外は5230世帯・1万3844人。毎日新聞が昨年10月以降、福島県を除く46都道府県に打ち切り後の自主避難者への支援策を質問した結果、鳥取など6道府県が住宅を無償提供し、3県が家賃などを補助するとした。
 鳥取県は県営住宅などを無償提供し、民間賃貸住宅でも家賃を全額補助する。新たに住む避難者にも適用する。山形県は低所得者に県職員住宅を無償提供し、北海道と奈良、愛媛両県は道・県営住宅などの入居世帯の家賃を免除。京都府は入居後6年まで府営住宅などの家賃を免除し、2017年4月以降も期限まで居住できる。新潟県は子どもの転校を避ける目的で、民間賃貸住宅に住む低所得者に月額1万円を支給する。
 独自支援する鳥取県は「避難者は住まいの不安を感じていた。(過疎化・高齢化を抱える自治体として)定住への期待感もある」と回答した。一方、大半の自治体は公営住宅希望者に対する入居優先枠を設けるなど、国の通知に合わせた支援策を用意するが、入居できても転居が必要で、要件が厳しいという。「国が統一的に対応を検討すべきだ」(岩手県)との意見もあった。【尾崎修二、大久保昂】

 ■ことば

自主避難者への住宅無償提供

 福島県は災害救助法に基づき、公営・民間賃貸住宅を「仮設住宅」とみなし、避難指示区域外(福島市など)の自主避難者の家賃を負担してきた。自主避難者に対するほぼ唯一の公的支援だったが、一昨年6月に「除染やインフラの復興が整った」として今年3月末で打ち切ると表明。代替策として、民間賃貸入居者の一部家賃を2年間補助(所得制限あり)し、県外から戻る場合は転居費を最大10万円補助する。

東日本大震災 福島第1原発事故 住宅支援、9道府県継続 原発事故の避難者問題に詳しい津久井弁護士の話
http://mainichi.jp/articles/20170106/ddn/001/040/009000c

やる気次第で手厚く 原発事故の避難者問題に詳しい津久井進弁護士(兵庫県弁護士会)の話

 新潟県など避難者の多い自治体も財政負担を伴うメニューを用意しており、やる気次第で手厚い支援はできる。本来は国が対応すべき課題だが、各自治体が真剣に支援策を考えることは、自分たちが被災した時の対応力を高めることにつながる。国から言われたことだけをするのではなく、各自治体で工夫を凝らしてほしい。
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