脱法ハウス:大阪にもあった 市が立ち入り調査
http://mainichi.jp/select/news/20130802k0000m040125000c.html
居室が極端に狭く、火災時に危険な「脱法ハウス」を巡り、大阪市が7月下旬、建築基準法違反の疑いがあるとして、同市北区の4階建て雑居ビル内の「シェアハウス」を立ち入り調査していたことが、市への取材で分かった。国土交通省は先月30日、同法違反の疑いがある物件が全国に398カ所あると発表したが、首都圏以外で具体的物件が浮かんだのは初めて。脱法ハウスが全国の大都市部に広がっている可能性が強まった。
このビルは各階とも1室(約30平方メートル)からなり、1階にテナントが入居。2~4階がシェアハウスで、各室を四つに切り分け、カプセルホテルのベッドのような上下2段の個室を計八つ設けている。
個室は約2.5畳(幅約1.8メートル、奥行き約2.3メートル)で、窓がない。天井高は1.2メートルで立ち上がることもできない。各個室にテレビや布団、照明器具がつき、外出時は南京錠で施錠し、入室時も内側から鍵がかけられるが、個室を隔てる壁は薄い。共有スペースには台所やトイレ、シャワー室がある。インターネット上で入居者を募集し、毎月の賃料は2万9800円、光熱費は5000円。
建築基準法令は、居室に採光窓を設け、天井高を2.1メートル以上と規定。各個室を居室とすれば、同法に違反する。同市は近隣から情報提供を受け、7月19日に立ち入り調査を実施。市建築指導部監察課は「(シェアハウスの居室に)明確な定義がなく、国交省と連絡を取りながら違法性の有無を検討している。近く判断を出したい」としている。
シェアハウスを運営する兵庫県尼崎市の業者は、空室だった2~4階を借りて改修し、今年2月に入居募集を始めた。業者は取材に「個室が『居室』に当たるかどうか我々には判断できない。法的な問題があれば是正したい」と説明。「今はすさまじい格差社会。家賃が100円でも安ければ助かるという人も多い。入居者も喜んでいるはずだ」としている。
同社によると、入居者はフリーターが多く、長期出張のサラリーマンもいたという。フリーターで音楽活動をしているという20代の男性は「インターネットで見つけ、1カ月前から住んでいる。火災が起きたらどこから逃げたらいいのか。建築基準法などを考えればどうなのかなとは思う」と不安を漏らすが、その一方で「カプセルホテルと同じ感覚。お金もためたいし、僕らも助かっている。あと2~3カ月くらいは住みたい」と話した。【松井聡、遠藤孝康】
脱法ハウス:大阪、天井1.2メートル窓なし個室 業者「格差社会で喜ぶ人も」
http://mainichi.jp/area/news/20130802ddn041040011000c.html 一室を小さく区切り、多くの個室で寝泊まりできるように改造した「脱法ハウス」が問題になっている。大阪市北区の雑居ビルにあるシェアハウスには、上下2層の小さな個室が連なっていた。若い入居者から「家賃が安く、敷金や保証人も不要」「都会に近くて便利」などと支持がある一方、窓がないなど防災面の不安もある。
シェアハウスの運営会社の了解を得て室内を取材した。入り口近くにテーブルが置かれた共用スペースがあり、八つの個室が並ぶ。個室同士を隔てる壁は薄く、向かい側の個室との間の「廊下」は幅59センチ。個室は上下に分かれ、天井の高さ1・2メートル。上の部屋には階段で上がる。個室の扉は幅約80センチ、高さ約1メートルで、住人はかがんで出入りする。地震や火災が起きた場合、住人が素早く一斉に逃げられるのか、構造上の不安が残る。
一方で、運営会社の男性社長は胸をはる。「今はすさまじい格差社会。家賃が100円でも安ければ助かるという人も多い」。3、4年間空室だったこの物件を何とかしようと、シェアハウスに住んだ経験がある従業員の提案に従って運営を始めたという。他のシェアハウスを見学して参考にしており、「テレビなど備品もそろえ、他のシェアハウスと比べて住環境は良い。壁紙などにもこだわった。入居者も喜んでいるはずだ」と話す。
同社によると、入居者にはフリーターが多く、長期出張のサラリーマンもいたという。フリーターで音楽活動をしているという20代男性は「インターネットで見つけ、1カ月前から住んでいる。火災が起きたら、どこから逃げたらいいのか。建築基準法などを考えればどうなのかなとは思う」と防災面の不安を漏らす一方、「カプセルホテルと同じ感覚。お金もためたいし、僕らも助かっている」と話した。【松井聡、遠藤孝康】