東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

地主・家主が代わったら 賃料の支払いに注意を

2021年09月29日 | 借地借家の法律知識
 今年5月に神戸地方裁判所で、賃料不払い等を理由とした建物明渡訴訟で、家主の明渡請求が認められ、賃借人が全面敗訴する判決が下りました。

 家主の不動産会社は競売で賃借人が居住する建物と土地を取得し、競売で落札後会社の社員が賃借人宅を訪問し、いきなり建物が老朽化していることを理由に明渡しを請求してきました。

 所有権が移転した時点で新しい家主が誰なのか登記簿等を調べて、確認すべきだったが、新しい所有者かどうかわからず、賃借人は旧家主に家賃を支払っていました。新家主から所有権が移転した旨の通知が来ましたが、それも十分に確認せず、賃料を支払わないまま突然新家主から6か月分の家賃を1週間以内に支払うよう請求されましたが、旧家主にも家賃を支払っているため、請求金額の一部しか支払わなかったため、契約の解除が認められています。

 賃貸人が変わった場合には、十分に注意が必要です。まずは、賃貸人の所有する土地(建物)の所有権が移転したかどうか登記簿を提出させるか、自ら法務局に行って登記簿を調査すべきです。所有権の移転は確認出来たら、まずは賃貸人に対して賃料を支払うので賃貸人の送金先の銀行口座を教えてもらって下さい。仮に、賃料を集金に来るようでしたら日時を決めて集金に来るよう督促して下さい。もし、賃料の受け取りを拒否する場合には、直ちに法務局に供託してください。賃料の支払いを放置したり、旧地主・家主に賃料を支払ってしまったら最悪です。誰に賃料を支払っていいかわからない時も、ほっておかず組合にご相談ください。賃料不払いはよほどのことがない限り、裁判で勝ち目はありません。賃借人は十分に注意しましょう。(東京多摩借組ニュースより)
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民事執行法が改正 財産開示手続きで裁判所の出頭拒否すると刑事罰も

2021年09月27日 | 裁判手続き
 今年5月1日から民事執行法が改正された。

 裁判で勝訴しても相手側からお金が支払われず、強制執行の申し立てを行うにも、相手にどんな財産があるのかわからない場合がある。強制執行の申し立てをする際には、債務者のどの財産を対象とするのか特定する必要がある。例えば、①預貯金を差し押さえるのには、債務者の預貯金を取り扱う金融機関名、店舗(支店等)等、②給与を差し押さえるには、債務者の勤務先の名称、所在地等を、③不動産を競売にかけるには、債務者の所有する不動産の所在、地番等、それぞれ申立書に記載する必要がある。

 民事執行法には、債務者を裁判に呼び出し、どんな財産を持っているかを裁判官の前で明らかにさせる手続きがある(財産開示手続)。今回の改正では、この手続きがより使いやすく、強力なものになった。この手続きは強制執行に必要な債務名義(仮執行宣言付判決や執行証書などを含む)を有していれば、その種類を問わず、誰でも申立てが可能となった。また、裁判所から債務者に呼び出しを行い、債務者は裁判所に出頭し、自己の財産に関し開示する陳述を行う。出頭しないと罰則が強化され、6カ月以下の懲役叉は50万以下の罰金が課せられる。

 すでに、家賃滞納で保証会社から財産開示手続きの申し立てをされ、裁判所に呼び出されていた賃借人は期日に出頭しなかったことで警視庁に書類送検された。家賃滞納は注意が必要である。
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セーフティネット住宅の家賃低廉化補助のある住宅 令和2年度で全国で僅か208戸しかなかった

2021年09月24日 | セーフティネット住宅
 2017年10月から住宅セーフティネット法が一部改正され、高齢者・子育て世帯・障害者など住宅確保が困難な人の入居を拒まないセーフティネット住宅の登録が始まって、4年が経過しました。国交省の「セーフティネット住宅情報システム」に掲載された登録住宅は9月21日現在で60万7千戸を超えています。しかし、本紙639号(5月15日号)で報道したようにハウスメーカーである大東建託の賃貸物件が8割以上を占めています。しかも、大東建託の物件は、家賃債務保証会社の審査が必要とされ、審査が通らないと入居できない仕組みになっています。インターネット上の不動産物件の検索と何ら変わらない有様です。

私たちが期待した家賃低廉化補助(家賃補助)のある登録住宅は、国交省の令和2年度の実績では、全国で17自治体で僅か208戸しかありません。これでは「まやかしのセーフティネット」と言わざるを得ません。


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高齢者らに住まい、新制度4年 登録住宅「空室」わずか、補助も少なく

2021年09月24日 | 国と東京都の住宅政策
https://www.chunichi.co.jp/article/334198

 賃貸住宅への入居を断られやすい高齢者や障害者らに、民間の空き家や空き部屋を紹介する国の「新たな住宅セーフティネット制度」が始まってから四年。登録物件は六十万戸を超え、希望に沿った住まいが確保できた人もいる。一方で、家賃減額などの経済的な支援は限られ、低所得者らが利用しにくいなどの課題も浮かび上がっている。 (佐橋大)

 名古屋市の男性(87)は、体の不自由な妻(83)と二人で賃貸アパートで暮らしている。築十六年の1LDKで、家賃は月七万円。住宅セーフティネット制度を利用して二年前に入居した。

 それまでは近くの実家に住んでいたが、大家に「取り壊したいからすぐに出て行ってほしい」と言われたという。「引っ越しの経験もなかったので困った」と男性。高齢者の相談窓口である地元の地域包括支援センターに相談したところ、居住支援法人のNPO法人「あたたかい心」(同市)を紹介された。

 住み慣れた同じ学区内でバリアフリーな環境、年金暮らしに見合う家賃という夫妻の希望を踏まえ、担当スタッフの深津千十勢(ちとせ)さん(43)が住まい探しに協力。制度の登録住宅には条件に合う物件がなく、数カ月かけて不動産会社にあた...

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セーフティネット住宅の登録の実態 大半が大東建託の賃貸物件

2021年09月22日 | 国と東京都の住宅政策
2017年10月から住宅セーフティネット法が一部改正され、高齢者・子育て世帯・障害者など住宅確保が困難な人の入居を拒まないセーフティネット住宅の登録が始まって、4年が経過しました。国交省の「セーフティネット住宅情報システム」に掲載された登録住宅は9月21日現在で60万7千戸を超えています。しかし、本紙639号(5月15日号)で報道したようにハウスメーカーである大東建託の賃貸物件が8割以上を占めています。しかも、大東建託の物件は、家賃債務保証会社の審査が必要とされ、審査が通らないと入居できない仕組みになっています。インターネット上の不動産物件の検索と何ら変わらない有様です。

私たちが期待した家賃低廉化補助(家賃補助)のある登録住宅は、国交省の令和2年度の実績では、全国で17自治体で僅か208戸しかありません。これでは「まやかしのセーフティネット」と言わざるを得ません。




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多摩26市・町の消費生活センターに組合の紹介を要請

2021年09月22日 | 借地借家人組合への入会と組合の活動
消費生活センター御中

 前略、日頃より各地の消費生活センターの相談員の方々から、借地や借家の賃貸借契約に関するトラブルの相談が寄せられ、借地借家人組合としては回答ができるご質問にはできるだけ対応させていただいております。
 最近でも、賃貸住宅の退去後の原状回復問題、過剰なリフォーム代の請求、建物や設備の修繕、管理会社や家賃債務保証会社とのトラブル、老朽建物の明渡問題、オーナーチェンジに伴う賃貸借契約書の作成等、大変相談が増えております。東京都の多摩地域の相談で同センターでも解決が困難な相談については、ぜひとも東京多摩借地借家人組合をご紹介下さいますようお願い申し上げます。

 当組合では、営利を目的とせず、借地借家人の不当な権利の侵害から借地借家人の権利や生活を守るために自主的に活動しています。運動資金は組合員の組合費や寄付金で賄い、運営しております。また、様々な相談に対しても、相談料は無料で、相談員が丁寧に対応するよう心がけております。

 借地借家の様々な相談は、解決するためには、法律知識を教えるだけではなく、交渉力も必要であり、組合として交渉のお手伝いもしております。ぜひ、借地借家問題で困っている市民に当組合をご紹介いただければ幸いです。組合の地図も掲載したリーフレットをお送り致しますので普及して下さい。リーフレットが足りない場合は東京多摩借組にご連絡いただければ、お持ちするか郵送させていただきます。

〒190-0023 立川市柴崎町4-5-3
いわなビル101
東京多摩借地借家人組合
℡:042(526)1094
FAX:042(512)7194
Email:union.tama.sh@sepia.plala.or.jp



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東京都市開発が公租公課の5倍の地代値上げを請求

2021年09月17日 | 地代家賃の増減
 底地買い業者大手の東京都市開発(株)は、8月1日から底地の買取を拒否している借地人に対し、固定資産税・都市計画税の合計額の5倍に地代増額を請求してきました。
 同社は借地人に「底地を買い取るか、買い取れなければ借地権を売れ」と迫り、地代の送金は認めず、集金に来るか永田町の会社に持参しろと要求し、借地人を困らせています。組合にも多くの相談が寄せられ、借地権の買取を拒否し、地代を供託している借地人もおります。

 調布市の借地人のMさんは、令和元年12月に旧地主が土地を東京都市開発に売却し、Mさんは組合に相談し、地代を組合に預けて都市開発の社員が組合事務所に地代の集金に来ています。底地の買取価格をめぐって交渉は決裂し、同社の社員はなかなか地代の集金に来なくなっています。Mさんは地代の増額を拒否する通知を同社に文書で提出しました。今年の8月分以降の地代の受領を拒否するようなら、法務局に供託することを組合と相談しています。Mさんの現在支払っている地代は固定資産税・都市計画税の4倍超で近隣と比べても高額な地代を支払っており、値上げをする必要は全くありません。

 他にも三鷹市のSさんも同社の土地買取りを拒否し公租公課額の5倍の地代増額請求通知が送られてきています。Sさんも値上げに応じないで供託を続ける決意です。(多摩借組組合ニュース)

組合への入会常時受け付けています

電話 042(526)1094

mail union.tama.sh@sepia.plala.or.jp

東京多摩借地借家人組合
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建物の老朽化は賃貸住宅の明渡しの理由になるの?

2021年09月09日 | 明渡しと地上げ問題
Q 家主から、来年の更新のときは更新しないから出て行ってほしいと言われました。理由は「建物が老朽化したから」ということしか教えてくれません。出ていきたくないのですが、どのように対応すればいいでしょうか。

A 基本的に、あなたが居住を続けている場合、抽象的な「建物の老朽化」という理由だけで出ていく必要はありません。家主から更新しない理由や立退料などの提示をきちんと受けて、交渉を行ってください。
 最近は、この老朽化と耐震補強を理由に更新拒絶を申し出てくる不動産業者が多いようですが、いずれも「正当事由」との関係では、建て替えの必要性を満たしているような事案はほとんどありません。
あなたのケースでも、「老朽化」以上の説明をしてこないといったことからすると、「正当事由」を満たす更新拒絶とはいえない可能性が高いと思います。

 この「正当事由」の要件を満たすためには、賃貸人からの立退料の提示を受けることもあります。これは、「明渡しの条件として賃貸人から賃借人に対して(払われる)財産上の給付」(借地借家法28条)に当たります。この金額によって、賃借人が明渡しによって受ける損害(新住居移転にかかる初期費用、引越し費用、その他準備費用、生活環境の変更に対する補償等)が補填される場合、正当事由を満たされる場合もあります。┅┅┅┅┅┅

以上は『借地借家の知識とQ&A』弁護士西田穣著(法学書院)より、抜粋しました。西田弁護士は東借連常任弁護団に所属しています。

(東京多摩借組ニュース9月号より)

組合入会の申し込みは

東京多摩借地借家人組合まで

電話 042(526)1094

メール union.tama.sh@sepia.plala.or.jp


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民事執行法が改正された 裁判所の出頭拒否すると刑事罰も

2021年09月09日 | 最新情報
今年5月1日から民事執行法が改正された。

 裁判で勝訴しても相手側からお金が支払われず、強制執行の申し立てを行うにも、相手にどんな財産があるのかわからない場合がある。強制執行の申し立てをする際には、債務者のどの財産を対象とするのか特定する必要がある。例えば、①預貯金を差し押さえるのには、債務者の預貯金を取り扱う金融機関名、店舗(支店等)等、②給与を差し押さえるには、債務者の勤務先の名称、所在地等を、③不動産を競売にかけるには、債務者の所有する不動産の所在、地番等、それぞれ申立書に記載する必要がある。

 民事執行法には、債務者を裁判に呼び出し、どんな財産を持っているかを裁判官の前で明らかにさせる手続きがある(財産開示手続)。今回の改正では、この手続きがより使いやすく、強力なものになった。この手続きは強制執行に必要な債務名義(仮執行宣言付判決や執行証書などを含む)を有していれば、その種類を問わず、誰でも申立てが可能となった。また、裁判所から債務者に呼び出しを行い、債務者は裁判所に出頭し、自己の財産に関し開示する陳述を行う。出頭しないと罰則が強化され、6カ月以下の懲役叉は50万以下の罰金が課せられる。

 すでに、家賃滞納で保証会社から財産開示手続きの申し立てをされ、裁判所に呼び出されていた賃借人は期日に出頭しなかったことで警視庁に書類送検された。家賃滞納は注意が必要である。

(東京借地借家人新聞より)
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家賃債務保証業者の法規制急げ 傷害や脱税事件の業者も営業を継続

2021年09月06日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
国土交通省の昨年10月の調査によると、賃貸借契約のさいの家賃債務保証業者の利用は8割と急増しています。
大手仲介業者に十数年勤務するAさんは「ほぼ100%の物件で保証業者必須になっている」と話し、さらに増加していると思われます。

 保証業者の審査3割が落選

 組合が、賃貸借契約時に保証業者の「審査」を受けたことがある、という方に聞いたところ(99人が回答)、約3割が「落とされたことがある」と回答。うち約半数は別の保証業者か保証業者なしの物件で契約できていますが、残りの半数近い方(全体の約14%)は転居を諦める、または現在も困っているという状況です。
 この「審査」についても「直近3か月分の預金通帳のコピーを提出」など、行き過ぎていると思わざるをえないものも少なくありません。賃借人からは「出自不明な1企業に貯蓄額まで差し出すのは悪用される心配もあり、恐怖しかない」という声もあがっています。
 じっさい現状では、保証業者の設立、運営にあたり何の規制もなく、過去に傷害や脱税事件を起こした業者も営業を続けています。
 
保証形態わからない賃借人

 さらに国交省の調査では、賃借人の35%が、自分が契約した賃貸借契約の保証形態について「わからない、覚えていない」と答えています。
 前述のAさんは「保証業者についての説明マニュアルは、ありません。説明せずに申込書を書かせて、重要事項説明もサラッとやっている仲介業者が多いのではないか」と話します。
 保証業者の契約について、現状では賃借人は業者を選べません。まともな説明もなく、賃貸借契約と紐づいて保証業者と契約させられ、結果的に反社会的と思われる業者にも賃借人の個人情報や契約金が流れてしまうのも問題です。

 急がれる保証業者の法規制

 こうしたことからも、保証業者の法規制は急務です。同時に営利目的である以上、弱者は保証業社から契約を拒否され、部屋を借りることができません。今こそ、公的な保証人制度の創設が急がれます。

(東京借地借家人新聞より)

 保証会社被害のご相談は

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電話 042(526)1094
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地主家主が変わったら 賃料の支払いに注意を

2021年09月03日 | 借地借家の法律知識
 今年5月に神戸地方裁判所で、賃料不払い等を理由とした建物明渡訴訟で、家主の明渡請求が認められ、賃借人が全面敗訴する判決が下りました。

 家主の不動産会社は競売で賃借人が居住する建物と土地を取得し、競売で落札後会社の社員が賃借人宅を訪問し、いきなり建物が老朽化していることを理由に明渡しを請求してきました。

 所有権が移転した時点に新しい家主が誰なのか登記簿等を調べて、確認すべきだったが、新しい所有者かどうかわからず、賃借人は旧家主に家賃を支払っていました。新家主から所有権が移転した旨の通知が来ましたが、それも十分に確認せず、賃料を支払わないまま突然新家主から6か月分の家賃を1週間以内に支払うよう請求されましたが、旧家主にも家賃を支払っているため、請求金額の一部しか支払わなかったため、契約の解除が認められています。

 賃貸人が変わった場合には、十分に注意が必要です。まずは、賃貸人の所有する土地(建物)の所有権が移転したかどうか登記簿を提出させるか、自ら法務局に行って登記簿を調査すべきです。所有権の移転は確認出来たら、まずは賃貸人に対して賃料を支払うので賃貸人の送金先の銀行口座を教えてもらって下さい。仮に、賃料を集金に来るようでしたら日時を決めて集金に来るよう督促して下さい。もし、賃料の受け取りを拒否する場合には、直ちに法務局に供託してください。賃料の支払いを放置したり、旧地主・家主に賃料を支払ってしまったら最悪です。誰に賃料を支払っていいかわからない時も、ほっておかず組合にご相談ください。賃料不払いはよほどのことがない限り、裁判で勝ち目はありません。賃借人は十分に注意しましょう。


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借家の更新料の請求撤回させる 契約書に「今後、更新料金はありません」と明記

2021年09月01日 | 契約更新と更新料
 八王子市中野上町に住むWさんは、今年6月に借家契約の更新を迎え、管理会社から更新料として家賃の1か月分12万5000円を請求されました。Wさんはコロナで収入が下がっているので、更新料をまけてほしいと交渉したが応じてもらえず、組合に相談に来ました。

 契約書には更新料を支払う特約はなく、組合役員から「この契約書なら更新料を支払わなくても大丈夫です」とアドバイスを受け、Wさんと組合の連名で賃貸人に「賃貸借契約書には、契約更新時に更新料を支払う旨の一義的で具体的な特約は存在せず、賃借人には更新料を支払う法的な義務はありません。今後本件についてのご連絡、ご通知は当組合までお寄せください」と通知しました。
 数日後、管理会社の社員は組合に電話をかけてきて「更新料を払わなくてもよいから、移転料を出すので退去する意思はないか」と言ってきましたが、Wさんは退去する意思は全くないと返答しました。何回かやりとりがあり、管理会社は更新料請求をあきらめ、契約書だけでも作成してほしいと言ってきました。

 更新契約書案を組合に送ってきましたが、特約条項には「今後、更新料金はありません」と明記され、ほぼ国の標準契約書が使われおり、Wさんと相談し契約書の作成に応じました。家主や不動産屋が更新料を請求しないことを契約書に明確に記載することは珍しく組合が交渉して更新料も請求を撤回させた事例として画期的な成果となりました。

 更新料については「家賃の1ヶ月分を支払って更新する」とか「法定更新でも2年ごと家賃の1ヶ月分の更新料を支払う」と書いてあるなど、がんじがらめの契約書が増えています。今回は幸い更新料支払いの特約がなくラッキーでした。

(多摩借祖ニュースより)
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