花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

当たり前の事になる

2015-03-09 21:32:14 | Weblog
 本日の朝日新聞夕刊にドイツのメルケル首相来日に関する記事が載っていました。浜離宮朝日ホールでの講演で女子学生から苦労について尋ねられ、「私はたくさんの人に支えられてきた。最初は大変だったが、一回踏み出すとそれが当たり前の事になる」と答えたことが紹介されていました。「一回踏み出すとそれが当たり前の事になる」、これはとっても良い言葉だと思います。新しいこと、面倒くさそうなこと、辛そうなことに直面した時、先延ばししたり回避したくなるのは人情ですが、そういう時に「やってやろう」と自らを鼓舞して取り組むと、想像していたよりどってことなかったりすることがままあります。多少面倒くさかったり、辛かったりしたとしても、次からは普通のことになっています。私はこのようなことを「こころの閾値が上がる」と呼んでいます。自分の中で普通のことが増える、つまり大変だと思うこと、嫌だと思うことが減り、こころが動じなくなります。
 ところで、朝日新聞の記事を読んでいて変なことを思い出しました。山登りの最中、経験の浅い仲間が「んこ」をしたくなったことがありました。蒼白な顔で「結構限界、もれそう」と切羽詰った様子です。「見ないから、そこらの木の陰でやってこいよ」に、「トイレ以外でしたことないから・・・。」表情からすると麓までのあと1~2時間我慢出来そうにも見えなかったので、「もらすと取り返しがつかなくなるぞ。帰りの電車に乗れないし、他の連中に知られれば、会社に来られなくなる。ちょっと山をやってる連中はみんな平気でするもんだ」と半ば脅すように、半ば励ますように言うと、少し間を置いてから意を決したように登山道を離れて樹林の中に消えて行きました。そして、しばらくたってすっきりした顔で戻ってきました。この時、彼は「こころの閾値が上がった」のではないかと思います。帰りの電車の中でビールを飲んでいたら、声を落として「お蔭さまで山でんこが出来るようになりました」と、はにかみながら、でもどことなく嬉しそうに話し掛けてきました。「当たり前の事」が増えることは、それだけ逞しくなることを意味します。

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