花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

夫婦喧嘩は犬も食わない

2018-09-19 21:29:55 | Weblog
 「夫婦喧嘩は犬も食わない」と言いますが、この言葉を犬の立場で考えてみました。「犬も」の「も」とは、「犬でさえ」ということです。「犬でさえ」の裏には、犬は何でも食べる→悪食、の見方が潜んでいます。犬は人間との友達歴が一番長い動物ですから、人間がいろんな食べ物を与えて、食べられる食べ物の種類が広がってきたのでしょう。だからと言って、何でも食べる悪食と思われるのは心外なはずです。
 さて、夫婦喧嘩です。理由がはっきりした夫婦喧嘩は弁護士の飯のタネになりえますが、犬も食わない夫婦喧嘩は、訳の分からない些細なきっかけに、感情のもつれが加わり、ぐちゃぐちゃになった喧嘩です。元々白黒のない諍いへ仲裁に入ったり、どちらかの肩を持ったりすれば、とんだとばっちりを受けるのが必定。「君子危うきに近寄らず」でほったらかしにするのが得策となれば、「食わない犬」は「近寄らない君子」となり、悪食と腐された犬の溜飲も下がることかと思います。

アジア大会男子サッカー決勝・日韓戦

2018-09-03 20:58:59 | Weblog
 9月1日の夜、アジア大会男子サッカーの決勝戦、日韓戦がテレビ放映されました。次の日は山へ行くため早起きするので、「前半戦だけでも見るか」と軽い気持ちで見始めたのですが、双方の気力、体力を振り絞った戦いを見ているとテレビを消すことが出来ず、前半後半90分プラス延長の前後半30分の計120分を見ることになりました。韓国の勝利でゲームが終わった時は日付が変わろうとしていました。
 翌日の朝日新聞には、「U21の日本が、『本気』の韓国に食らいつき、そして力尽きた」と書いてありました。ワールドカップ・ロシア大会出場メンバーを含む韓国は、21歳以下の国内組だけで固めた日本より戦力的には上だったようです。また記事には、「優勝すれば約2年間の兵役が免除される韓国の気迫はすさまじかった」ともありました。兵役免除のために韓国のスポーツ選手が必死になるとは、時々耳にすることです。しかし、この記事の文脈で兵役免除に触れているのには、いささか違和感を覚えました。「兵役免除を賭けて鬼気迫る韓国に、果敢に挑んだヤングジャパンが最後には力尽きた」という構図は、判官びいきの日本人好みです。でも、ここで兵役免除を持ち出すのは負け惜しみではないでしょうか。延長に入って明らかにフィジカルが落ちた日本は、やはり実力で負けたと思います。兵役免除はモチベーションに強くつながっているでしょうが、それだけで勝ち抜けるほどスポーツ界のトップ層は甘くないと思います。決勝へ進むような人たちに必死さで遜色はなく、実力やコンディションのほんの紙一重の差、あるいは微妙な運がメダルの色を分けるように思えます。
 「兵役が免除される韓国の気迫はすさまじかった」と言えば、「なるほどなぁ」と思いがちですが、これはオーストリアの哲学者、エルンスト・トーピチュが、人々に対して説得力があれば、その言説が真理であると見なされる傾向のことを、「説得力優先のファラシー(fallacy)」と呼んだことに当てはまりそうです。説得力それ自体は何ら真理を証明するものではありません。この記事の記者は、はたして韓国選手に兵役免除のことを尋ねた上で書いたのでしょうか。もしそうでないとするなら、ゲーム内容が良かっただけに、「兵役免除」の負け惜しみは残念です。

人生は変化に満ちている

2018-09-01 13:51:29 | Weblog
 俳人の黛まどかさんは、自身の四国遍路体験を綴った「奇跡の四国遍路」(中公新書ラクレ)中で次のような言葉を書き留めています。足の痛みをこらえながら高知県の足摺岬を歩いている時のものです。「生きるとは変化を受け入れることだと、ある哲学者が述べていた。転勤、災害、病、老化、死・・・人生は変化に満ちている。そしてそこには痛みや苦悩がつきまとう。しかし変化をしなやかに受け入れ、何かを諦め何かを捨てて前へと進み、歩き続けていれば、いつか恵みを受け取るに違いない。」
 我執を捨て前向きに生きていれば、新しい出会いがあり、そこに喜びが生まれるということでしょうか。人生の変化は個人個人別々なので、それはご本人がそれぞれ向き合うとして、季節もまた変化していきます。今年の7月、8月は記録的な暑さでした。その暑さには早く去って頂き、代わって主役の座に登ろうとする秋の姿を見つけながら、一年ぶりのお楽しみを味わいたいものです。今日から9月。秋は毎年やってきますが、一期一会の気持ちで迎えれば、去年とは違った恵みを感じられるかもしれません。
 さて、黛さんの「人生の変化・・・」のくだりに添えられた句は、「風の立つところに神や草若葉」でした。