花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

久しぶり 二題 その2

2013-06-10 21:55:17 | Weblog
 梅雨っぽくない6月の土曜日、夕方買い物に出かけた帰りに、なぜだか急にウィスキーが飲みたくなりコンビニに立ち寄りました。そこで、サントリー・オールドを買いました。サントリー・オールドを飲むのは、いつ以来か思い出せないくらいに久しぶりのことです。でも、前にオールドを飲んだのよりもはるかな昔、私が高校生の頃、開高健の「フィッシュ・オン」を読んだ時のことははっきりと思い出せます。開高健が新潟県の銀山湖へイワナを釣りに行った時の、おそらく坊主だったと思われますが、舟の上でオールドを片手に渋い顔をしている写真が、「このかなしみは、何ならむ」のキャプションとともにやけに印象に残りました。それから、「いつかはオールドを飲んでみたなぁ」と思いつつも、主に懐具合の制約でトリス時代が長く続いたこともあって、オールドはしばらく憧れのお酒でした。その後、比較的余裕が出来てオールドが高嶺の花ではなくなりましたが、いつしか開高健がテレビなどで手にするウィスキーはサントリー・ローヤルになっていて、当時5000円くらいだったローヤルは簡単に飲めるお酒ではありませんでした。そして、世の中は焼酎やら日本酒の大吟醸やらワインやら、ウィスキー以外のお酒が人気を集めるようになり、私も世の趨勢に流されてオールドを飲む機会はあまりなくなってしまいました。憧れた割にはこれまで飲んだ銘柄としては必ずしも上位には入ってこないかもしれませんが、もろもろつらつら思い出しながら、久しぶりのサントリー・オールドをオンザロックで飲みました。
 ところで、最近教えてもらった言葉に「寝る前の水は宝水、朝起きの水は命水」というのがあります。それぞれ、血液がドロドロ血になるのを防ぐ効果があるそうです。夜寝る前と朝起きた時にコップ一杯の水を飲むよう心掛けていますが、それとは別にお酒を飲む際も時々水をふくむようにしています。アルコールを分解する過程で身体の中の水が使われるらしく、水分補給しながらお酒を飲むとダメージが少ないと聞いたからです。この日、サントリー・オールドのオンザロックの横には、水の入ったコップが置かれていました。そして、床に就く前に一杯の水を飲んだことはもちろんでした。

久しぶり 二題 その1

2013-06-09 16:36:48 | Book
 今年は平年より早く梅雨入りしましたが、梅雨入り宣言した後は「どこが梅雨なんだろう」というような日が続いています。6月2回目の土曜日も、窓から入って部屋を通り抜けていく風はカラっとしています。この日は、久しぶりに丸山眞男の文章が読んでみたくなり、書棚から「丸山眞男セレクション」(平凡社ライブラリー)を取り出しました。「超国家主義の論理と心理」における、おなじみの「へだたりのパトス」や「抑圧の移譲による精神的均衡の保持」などの分析は何度読んでも感心させられます。また、「福沢諭吉の哲学」の初めの方で、福沢諭吉はヨーロッパ文明の紹介者に過ぎないという見方に対して、「一個独立の思想家であるか、それとも他人の学説の単なる紹介者乃至解説者であるかということは、他の思想や学説の影響の大小によるのではなく、むしろ彼がどの程度までそうした影響を自己の思想のなかに主体的に取り入れたかということで決まるのである」と反論するあたり、「丸山節が冴えているなぁ」と思いました。
 丸山眞男の文章が時代を突き抜けて凄いのか、はたまた自分が初読の時から進歩がないのかはさて置き、久しぶりに触れてみた丸山眞男の論考は、いつもながら新鮮な思考の枠組みを与えてくれます。かつて「なるほど」と思ったのをすっかり忘れてしまっていただけかもしれませんが、忘れたら忘れたでまた「なるほど」と思えばいいだけです。要は、何度目の「なるほど」かが問題なのではなく、その「なるほど」をどう「主体的に取り入れ」られるかが大切だと思います。土日で読み切れなかった分は、週明けからの通勤電車で読みます。会社は楽しくないかもしれませんが、会社へ行くのが楽しみです。